神経刺激装置
【課題】心臓に悪影響を与えることなく、治療目的に応じて効果的な神経刺激を行うことができる神経刺激装置を提供する。
【解決手段】刺激パルスを出力する刺激パルス出力部4と、心臓事象を検出する心臓事象検出部3と、心臓事象検出部3により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に応じた強度の刺激パルスを、心臓不応期の期間中に出力するように刺激パルス出力部4を制御する制御部5とを備える神経刺激装置1を提供する。
【解決手段】刺激パルスを出力する刺激パルス出力部4と、心臓事象を検出する心臓事象検出部3と、心臓事象検出部3により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に応じた強度の刺激パルスを、心臓不応期の期間中に出力するように刺激パルス出力部4を制御する制御部5とを備える神経刺激装置1を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経刺激装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、心筋梗塞後の患者に迷走神経の刺激を行うことで、心臓のリモデリングを抑制できることが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、心不全の患者に長期的に迷走神経の刺激を行うことで、病気の進行を防ぐ可能性が示されている。
【0003】
上記の従来技術では、患者に心臓治療を行うため、両心室ペーシングによりリモデリング制御治療を実施し、神経刺激により抗リモデリング治療を実施している。また、心臓不応期中に神経刺激を行うことで、神経刺激の回りこみによる不必要な心臓刺激を防ぎ、心臓に悪影響を与えないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−532638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、不応期中の神経刺激の強度については考慮されていないため、脱分極間隔の長短によって刺激量が変動してしまう。そのため、効果的に神経刺激を行うことができないという不都合がある。
【0006】
具体的には、頻拍の治療を目的として迷走神経の刺激を行う場合には、心拍数に応じて神経刺激の強度を変化させることが望ましいが、特許文献1に開示されている技術によれば、脱分極間隔の長短によって刺激量が変動してしまうため、効果的な頻拍の治療を行うことができないという不都合がある。
【0007】
また、心不全の治療を目的として迷走神経の刺激を行う場合には、医師が決めた一定の刺激量を患者に与えることが望ましいが、特許文献1に開示されている技術によれば、脱分極間隔の長短によって刺激量が変動してしまうため、効果的な心不全の治療を行うことができないという不都合がある。
【0008】
また、徐脈の治療を目的として交感神経の刺激を行う場合には、心拍数に反比例して神経刺激の強度を変化させることが望ましいが、特許文献1に開示されている技術によれば、脱分極間隔の長短によって刺激量が変動してしまうため、効果的な徐脈の治療を行うことができないという不都合がある。
【0009】
すなわち、特許文献1に開示されている技術のように、単に心臓不応期中に神経刺激を行うだけでは、頻拍や心不全や徐脈の治療といった治療目的に応じて効果的な神経刺激を行うことができないという不都合がある。
【0010】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、心臓に悪影響を与えることなく、治療目的に応じて効果的な神経刺激を行うことができる神経刺激装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、神経刺激信号を出力する刺激信号出力部と、心臓事象を検出する心臓事象検出部と、該心臓事象検出部により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に応じた強度の神経刺激信号を、心臓不応期の期間中に出力するように前記刺激信号出力部を制御する制御部とを備える神経刺激装置を採用する。
【0012】
本発明によれば、心臓事象検出部により心臓事象が検出され、該心臓事象に基づいて心拍数が求められる。そして、制御部により刺激信号出力部が制御され、心拍数に応じた強度の神経刺激信号が心臓不応期の期間中に出力される。
【0013】
このように心臓不応期中に神経刺激を行うことで、神経刺激の回りこみによる不必要な心臓刺激を防ぎ、心臓に悪影響を与えることを防止することができる。また、心拍数に応じて神経刺激信号の強度を変化させることで、脱分極間隔の長短に関わらず、効果的に神経刺激を行うことができる。すなわち、本発明によれば、心臓に悪影響を与えることなく、効果的な神経刺激を行うことができる。
【0014】
上記発明において、前記制御部が、前記刺激信号出力部から出力されるパルス状の神経刺激信号のパルス電圧、パルス幅、パルス回数、パルス周期の少なくともいずれかを変化させることとしてもよい。このパルス状の神経刺激信号の一群をバーストと呼び、1バーストに出力されるパルスの数をパルス回数と呼ぶ。またバーストとバーストの間隔をバースト周期と呼ぶ。
神経刺激信号は、パルス信号である場合、パルス電圧、パルス幅、パルス回数の3つのパラメータによって、1バーストあたりの強度を規定することができ、また、バースト周期のパラメータを加えることによって、単位時間あたりの刺激強度を規定することができる。上記発明においてはバースト周期を脱分極間隔と一致させている。したがって、制御部が、パルス電圧、パルス幅、パルス回数の少なくともいずれかを変化させることで、刺激信号出力部から出力される神経刺激信号の強度を変化させることができる。なお、各パラメータを単独で異ならせて強度を変更してもよいし、2以上のパラメータを組み合わせて強度を変更することにしてもよい。
【0015】
上記発明において、前記制御部が、神経刺激信号のパルス回数とパルス周期との積が所定値以下となる条件下で、前記刺激信号出力部から出力される神経刺激信号のパルス回数およびパルス周期を変化させることとしてもよい。
このようにすることで、神経刺激信号のパルス回数とパルス周期との積、すなわち神経刺激信号の出力期間が所定値(例えば心臓不応期の期間)以下となる条件下で、神経刺激信号の強度を変化させることができる。
【0016】
上記発明において、前記神経刺激信号が迷走神経に伝達され、前記制御部が、前記心臓事象検出部により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に比例して、前記刺激信号出力部から出力される神経刺激信号の強度を変化させることとしてもよい。
このようにすることで、脱分極間隔の長短に関わらず、心拍数に比例して神経刺激信号の強度を変化させて迷走神経を刺激することができ、効果的な頻拍の治療を行うことができる。
【0017】
上記発明において、前記神経刺激信号が迷走神経に伝達され、前記制御部が、前記心臓事象検出部により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に応じて、前記刺激信号出力部から出力される神経刺激信号の強度変化率を変動させることとしてもよい。
このようにすることで、脱分極間隔の長短に関わらず、心拍数に応じて神経刺激信号の強度変化率を変動させて神経刺激信号の強度を変化させ、迷走神経を刺激することができ、効果的な頻拍の治療を行うことができる。
【0018】
上記発明において、前記神経刺激信号が迷走神経に伝達され、前記制御部が、前記心臓事象検出部により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に応じて、神経刺激信号の強度が一定となるように前記刺激信号出力部を制御することとしてもよい。
このようにすることで、脱分極間隔の長短に関わらず、神経刺激信号の強度を一定に維持して迷走神経を刺激することができ、効果的な心不全の治療を行うことができる。
【0019】
上記発明において、前記神経刺激信号が交感神経に伝達され、前記制御部が、前記心臓事象検出部により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に反比例して、前記刺激信号出力部から出力される神経刺激信号の強度を変化させることとしてもよい。
このようにすることで、脱分極間隔の長短に関わらず、心拍数に反比例して神経刺激信号の強度を変化させて交感神経を刺激することができ、効果的な徐脈の治療を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、心臓に悪影響を与えることなく、治療目的に応じて効果的な神経刺激を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る神経刺激装置を示す全体構成図である。
【図2】図1の神経刺激装置により実行される処理を示すフローチャートである。
【図3】図1の神経刺激装置による心電信号と刺激強度との関係を示すタイムチャートである。
【図4】図1の神経刺激装置により出力される刺激パルスを示す図である。
【図5】比例モードにおける各パラメータの設定例を示す図表である。
【図6】比例モードにおける刺激パルスの相対強度と心拍数との関係を示すグラフである。
【図7】強度変化率変動モードにおける各パラメータの設定例を示す図表である。
【図8】強度変化率変動モードにおける刺激パルスの相対強度と心拍数との関係を示すグラフである。
【図9】一定モードにおける各パラメータの設定例を示す図表である。
【図10】一定モードにおける刺激パルスの相対強度と心拍数との関係を示すグラフである。
【図11】反比例モードにおける各パラメータの設定例を示す図表である。
【図12】反比例モードにおける刺激パルスの相対強度と心拍数との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係る神経刺激装置1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る神経刺激装置1は、図1に示されるように、迷走神経等の心臓H近傍の神経Nに取り付けられる電極2と、心臓Hの事象(心臓事象)を検出する心臓事象検出部3と、電極2を介して神経Nに対して刺激パルス(神経刺激信号)を出力する刺激パルス出力部(刺激信号出力部)4と、心臓事象検出部3により検出された心臓事象に基づいて、刺激パルス出力部4を制御する制御部5とを備えている。
【0023】
心臓事象検出部3は、心臓Hの各部位(例えば、図1に示す例では右心房RAと右心室RV)に接触状態に留置されている2以上の検出電極6と、該2以上の検出電極6を介して心電信号を検出する信号検出部7と、該信号検出部7により検出された信号が所定の閾値を超えた場合に、その時点で心臓Hの脱分極であると判定する脱分極判定部8とを備えている。図中、符号LAは左心房、符号LVは左心室である。
なお、図1に示す例では右心房RAと右心室RVに検出電極6を留置してあるが、脱分極の判定には、右心房RAの心電信号のみを用いてもよいし、右心室RVの心電信号のみを用いてもよいし、これら両方を用いてもよい。
また、検出電極6を留置する部位は右心房RAや右心室RVに限るものではなく、例えば左心房LAや左心室LVでもよい。
【0024】
なお、各検出電極6は、マイナス電極(Tip電極)とプラス電極(Ring電極)からなり、それぞれの電極には導電ワイヤが接続されている。導電ワイヤはマイナス電極とプラス電極間で短絡しないように絶縁被覆されている。これらの絶縁被覆ワイヤは2本まとめられてさらに絶縁被覆がなされている。(図においては、絶縁被覆は省略されている。)信号検出部7は各検出電極6のマイナス電極とプラス電極との間に現れる電位差を心電信号として検出するようになっている。
【0025】
刺激パルス出力部4は、神経Nを電気的に刺激するための刺激パルス列を生成し、生成した刺激パルス列を、電極2を介して神経Nに供給するようになっている。刺激パルス列の強度を決定するパラメータとしては、パルス電圧、パルス幅、パルス回数、およびパルス周期(周波数)が挙げられる。
【0026】
なお、電極2もマイナス電極(Tip電極)とプラス電極(Ring電極)からなり、それぞれの電極には導電ワイヤが接続されている。導電ワイヤはマイナス電極とプラス電極間で短絡しないように絶縁被覆されている。これらの絶縁被覆ワイヤは2本まとめられてさらに絶縁被覆がなされている。(図においては、絶縁被覆は省略されている。)刺激パルス出力部4は電極2のマイナス電極とプラス電極との間に神経Nに供給する刺激パルス列を出力するようになっている。
【0027】
脱分極判定部8は、心臓Hの脱分極が発生したと判定した場合には、制御部5に対して、脱分極が発生した旨の信号を出力するようになっている。
制御部5は、タイマ(図示略)を備えている。制御部5は、脱分極判定部8から脱分極が発生した旨の信号を受信するたびに、タイマをリセットして計時を開始するようになっている。
【0028】
制御部5は、心臓Hの不応期期間として、例えば150msを所定の値として記憶、保持しており、脱分極判定部8からの脱分極の発生の受信時から150ms間を不応期期間として判定するようになっている。また、制御部5は、心臓事象検出部3により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に応じた強度の刺激パルスを、心臓不応期の期間中に出力するように刺激パルス出力部4を制御する。この不応期期間の値は、先に患者の不応期の期間を実測した値や、一般的な値を制御部5に入力しておくことで記憶、保持させている。
【0029】
具体的には、制御部5は、選択された刺激モードに応じて、刺激パルス出力部4から出力される刺激パルスのパルス電圧、パルス幅、パルス回数、パルス周期の少なくともいずれかを変化させる。ここで、刺激パルスは、パルス電圧、パルス幅、パルス回数の3つのパラメータによって、1バーストあたりの強度を規定することができ、また、バースト周期のパラメータを加えることによって、単位時間あたりの刺激強度を規定することができる。本実施形態においてはバースト周期を脱分極間隔と一致させている。したがって、制御部5が、パルス電圧、パルス幅、パルス回数の少なくともいずれかを変化させることで、刺激パルス出力部4から出力される神経刺激信号の強度を変化させることができる。
【0030】
なお、刺激モードとは、刺激パルスの強度を心拍数に比例させる比例モード、刺激パルスの強度の変化率を心拍数に応じて変動させる強度変化率変動モード、刺激パルスの強度を一定に維持する一定モード、刺激パルスの強度を心拍数に反比例させる反比例モードである。これら刺激モードの詳細についてはそれぞれ後述する。
【0031】
上記構成を有する本実施形態に係る神経刺激装置1により実行される処理について、図2のフローチャートに従って以下に説明する。
本実施形態に係る神経刺激装置1では、まず、前述の刺激モード(比例モードM1、強度変化率変動モードM2、一定モードM3、反比例モードM4)の選択が行われる(ステップS1)。この際、刺激モードの選択は、神経刺激装置1に設けたスイッチ(図示略)等が押下されることで決めてもよいし、ユーザが外部からプログラムしても良い。
【0032】
次に、刺激パルスの強度の基準とする基準刺激パラメータとパラメータ変化量を設定する(ステップS2)。これらはユーザが外部からプログラムしてもよいし、神経刺激装置1の図示しないメモリに予め設定されている値を利用しても良い。
【0033】
次に、心臓Hに留置した心臓事象検出部3の検出電極6間に現れる心電信号が信号検出部7により検出され、検出された心電信号が所定の閾値を超えた時点で、脱分極判定部8により心臓Hの脱分極が発生したと判定され、その旨が制御部5に送られる。
脱分極が発生した旨の信号が制御部5に送られてくると、制御部5はタイマをリセットして脱分極の間隔を計測するためのタイマを開始する(ステップS3)。
【0034】
その後、制御部5は、タイマによる計時を継続しつつ脱分極判定部8から脱分極通知が来るまで待機する(ステップS4)。
制御部5は、脱分極の通知が脱分極判定部8から来るたびに脱分極間隔を算出し、タイマをリセット(リスタート)する(ステップS5)。
【0035】
その後、脱分極間隔(瞬時心拍数)と基準刺激パラメータを基に刺激パラメータを決定し、刺激パルス出力部4に刺激パラメータを通知する(ステップS6)。
ユーザまたはプログラムから終了通知が無いかぎり、前述のステップS4からS6までの動作を繰り返す。
【0036】
次に、本実施形態に係る神経刺激装置1による動作例について、図3のタイムチャートを用いて以下に説明する。
図3において、上段は、信号検出部7が検出した心臓の電気活動と、脱分極判定部8が脱分極と判定したタイミング(図中「脱分極」と記載した部分)について示したものである。
【0037】
図3において、中段は、制御部5がタイマで計時した脱分極間隔(800ms、600ms、1000ms)と、心臓不応期の期間を示したものである。なお、括弧内の数値(75bpm、100bpm、60bpm)は瞬時心拍数を示しており、心臓不応期は例えば150msである。
【0038】
図3において、下段は、制御部5から刺激パラメータを通知された刺激パルス出力部4が、心臓不応期中に刺激パルスを出力している様子を示したものである。なお、縦軸は神経刺激電圧、すなわち刺激パルスの電圧を示しており、その電圧は例えば4V、3V、5Vである。
【0039】
ここで、脱分極間隔と心拍数について説明する。
心拍数(単位bpm)とは、以下の式に示すように、通常1分あたりの心拍回数(=脱分極の回数)のことを示すが、脱分極間隔を心拍数に変換したものも心拍数と呼ぶことができる(正確には瞬時心拍数)。
心拍数(瞬時心拍数)=60000[ms]÷脱分極間隔[ms]
【0040】
また、図4に刺激パルスの一例を示す。
制御部5が刺激パルス出力部4に通知するパラメータには、パルス電圧、パルス幅、パルス周期、パルス回数がある。前述のように、刺激パルスは、パルス電圧、パルス幅、パルス回数の3つのパラメータによって、1バーストあたりの強度を規定することができる。なお、各パラメータを単独で異ならせて強度を変更してもよいし、2以上のパラメータを組み合わせて強度を変更することにしてもよい。
【0041】
以上のように、本実施形態に係る神経刺激装置1によれば、心臓事象検出部3により心臓事象が検出され、該心臓事象に基づいて心拍数が求められる。そして、制御部5により刺激パルス出力部4が制御され、心拍数に応じた強度の刺激パルスが心臓不応期の期間中に出力される。
【0042】
このように心臓不応期中に神経刺激を行うことで、神経刺激の回りこみによる不必要な心臓刺激を防ぎ、心臓に悪影響を与えることを防止することができる。また、心拍数に応じて刺激パルスの強度を変化させることで、脱分極間隔の変動に関わらず、効果的に神経刺激を行うことができる。すなわち、本実施形態に係る神経刺激装置1によれば、心臓に悪影響を与えることなく、効果的な神経刺激を行うことができる。
【0043】
以下、本実施形態に係る神経刺激装置1を用いて、前述の各刺激モード(比例モード、強度変化率変動モード、一定モード、反比例モード)における刺激パラメータの決定方法について、刺激モード毎に説明する。
【0044】
<比例モード>
比例モードは、単位時間あたりの刺激強度が心拍数に比例する刺激モードである。
迷走神経の刺激により、心拍数の低下、致死性不整脈の予防、心不全の治療効果が期待できるが、本刺激モードでは特に頻拍の治療(心拍数の低下、致死性不整脈の予防)を目的としている。
【0045】
本刺激モードにおける刺激パラメータの例を図5に示す。
図5に示すように、本刺激モードでは、単位時間あたりの刺激強度が心拍数に比例するように各刺激パラメータが設定されている。刺激パラメータには、前述のように、パルス電圧、パルス幅、パルス回数、パルス周期がある。心拍数とパルス電圧とパルス幅とパルス回数との積で、単位時間あたりの刺激強度(相対値)が決定される。また、パルス回数とパルス周期との積はパルス出力期間を意味し、心臓不応期(本例では150ms)よりも短い必要がある。
【0046】
なお、図5において、相対強度とは、心拍数100bpm(パルス電圧5.0V、パルス幅2ms、パルス回数5回、パルス周期20ms)の場合の刺激強度(5000)を基準とした場合に、該基準に対する各心拍数における刺激強度の大きさを示している。
【0047】
上記のように、本実施形態に係る神経刺激装置1を用いて比例モードを行う場合には、刺激パルスが迷走神経に伝達され、制御部5が、心臓事象検出部3により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に比例して、刺激パルス出力部4から出力される刺激パルスの強度を変化させる。
このようにすることで、脱分極間隔の長短に関わらず、図6に示すように、心拍数に比例して刺激パルスの単位時間あたりの強度を変化させて迷走神経を刺激することができ、効果的な頻拍の治療を行うことができる。
【0048】
<強度変化率変動モード>
強度変化率変動モードは、単位時間あたりの刺激強度の変化率を心拍数に応じて変動させる刺激モードである。
前述の比例モードは単純な比例であったが、強度変化率変動モードは心拍数が高い場合により強度を高めることができる。
【0049】
本刺激モードにおける刺激パラメータの例を図7に示す。
図7に示すように、本刺激モードでは、単位時間あたりの刺激強度の変化率が心拍数に応じて変動するように各刺激パラメータが設定されている。
【0050】
本刺激モードでは、基準刺激パラメータは心拍数100bpmの場合の各パラメータ値(パルス電圧5.0V、パルス幅2ms、パルス回数5回、パルス周期20ms)となっている。また、パラメータ変化量は、パルス電圧0.5V、パルス幅0.2ms、パルス回数1回、パルス周期1msとなっている。
【0051】
ここで、刺激パラメータを変化させる区分として、領域A〜Dの4つの領域に分けて考えることができる。
領域Aでは、パルス電圧を変化させることで単位時間あたりの刺激強度を調節する。本例では、パルス電圧の可変範囲が3.0V〜7.0Vと設定されているものとする。
領域Bでは、パルス幅を変化させることで単位時間あたりの刺激強度を調節する。本例では、パルス幅の可変範囲は1ms〜3msと設定されているものとする。この際、パルス電圧は上限値または下限値である。
【0052】
領域Cでは、パルス回数を変化させることで単位時間あたりの刺激強度を調節する。この際、パルス電圧、パルス幅は上限値または下限値である。
領域Dでは、パルス回数とパルス周期を変化させることで単位時間あたりの刺激強度を調節する。この際、パルス回数とパルス周期との積が心臓不応期(本例では150ms)の期間を超えないように調節される。
【0053】
上記のように、本実施形態に係る神経刺激装置1を用いて強度変化率変動モードを行う場合には、刺激パルスが迷走神経に伝達され、制御部5が、心臓事象検出部3により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に応じて、刺激パルス出力部4から出力される刺激パルスの強度変化率を変動させる。
【0054】
このようにすることで、脱分極間隔の長短に関わらず、図8に示すように、心拍数に応じて刺激パルスの強度変化率を変動させて刺激パルスの強度を変化させ、迷走神経を刺激することができ、特に心拍数が高い場合において、効果的な頻拍の治療を行うことができる。
【0055】
<一定モード>
一定モードは、単位時間あたりの刺激強度が心拍数によらず一定なモードである。
本刺激モードでは、迷走神経の刺激による心不全の治療を目的としている。本刺激モードによれば、医師が決めた刺激量を心拍の変動の影響を受けることなく、一定に患者に与えることが可能となる。
【0056】
本刺激モードにおける刺激パラメータの例を図9に示す。
図9に示すように、本刺激モードでは、単位時間あたりの刺激強度が心拍数によらず一定となるように各刺激パラメータが設定されている。
【0057】
本刺激モードでは、基準刺激パラメータは心拍数100bpmの場合の各パラメータ値(パルス電圧5.0V、パルス幅2ms、パルス回数5回、パルス周期20ms)となっている。また、パラメータ変化量は、パルス電圧0.1V、パルス幅0.2ms、パルス回数1回、パルス周期1msとなっている。
【0058】
ここで、刺激パラメータを変化させる区分は、強度変化率変動モード(図7参照)と同様に、領域A〜Dの4つの領域に分けて考えることができる。
領域Aでは、パルス電圧を変化させることで、単位時間あたりの刺激強度が一定となるように調節する。本例では、パルス電圧の可変範囲が3.0V〜7.0Vと設定されているものとする。
領域Bでは、パルス幅を変化させることで、単位時間あたりの刺激強度が一定となるように調節する。本例では、パルス幅の可変範囲は1ms〜3msと設定されているものとする。この際、パルス電圧は上限値または下限値である。
【0059】
領域でCでは、パルス回数を変化させることで、単位時間あたりの刺激強度が一定となるように調節する。この際、パルス電圧、パルス幅は上限値または下限値である。
領域でDでは、パルス回数とパルス周期を変化させることで、単位時間あたりの刺激強度が一定となるように調節する。この際、パルス回数とパルス周期との積が心臓不応期(本例では150ms)の期間を超えないように調節される。
【0060】
上記のように、本実施形態に係る神経刺激装置1を用いて一定モードを行う場合には、刺激パルスが迷走神経に伝達され、制御部5が、心臓事象検出部3により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に応じて、刺激パルスの強度が一定となるように刺激パルス出力部4を制御する。
【0061】
このようにすることで、脱分極間隔の長短に関わらず、図10に示すように、刺激パルスの強度を一定に維持して迷走神経を刺激することができ、効果的な心不全の治療を行うことができる。
【0062】
<反比例モード>
反比例モードは、単位時間あたりの刺激強度が心拍数に反比例する刺激モードである。
本刺激モードでは、交感神経を刺激することで、心拍数を上げることができ、徐脈の治療に用いることができる。
【0063】
本刺激モードにおける刺激パラメータの例を図11に示す。
図11に示すように、本刺激モードでは、単位時間あたりの刺激強度が心拍数に反比例するように各刺激パラメータが設定されている。
【0064】
本刺激モードでは、基準刺激パラメータは心拍数60bpmの場合の各パラメータ値(パルス電圧5.0V、パルス幅2ms、パルス回数5回、パルス周期20ms)となっている。また、パラメータ変化量は、パルス電圧0.5V、パルス幅0.2ms、パルス回数1回、パルス周期1msとなっている。
【0065】
ここで、刺激パラメータを変化させる区分は、強度変化率変動モード(図7参照)と同様に、領域A〜Dの4つの領域に分けて考えることができる。
領域Aでは、パルス電圧を変化させることで単位時間あたりの刺激強度を調節する。本例では、パルス電圧の可変範囲が3.0V〜7.0Vと設定されているものとする。
領域Bでは、パルス幅を変化させることで単位時間あたりの刺激強度を調節する。本例では、パルス幅の可変範囲は1ms〜3msと設定されているものとする。この際、パルス電圧は上限値または下限値である。
【0066】
領域Cでは、パルス回数を変化させることで単位時間あたりの刺激強度を調節する。この際、パルス電圧、パルス幅は上限値または下限値である。
領域Dでは、パルス回数とパルス周期を変化させることで単位時間あたりの刺激強度を調節する。この際、パルス回数とパルス周期との積が心臓不応期の期間を超えないように調節される。
【0067】
上記のように、本実施形態に係る神経刺激装置1を用いて反比例モードを行う場合には、刺激パルスが交感神経に伝達され、制御部5が、心臓事象検出部3により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に反比例して、刺激パルス出力部4から出力される刺激パルスの強度を変化させる。
【0068】
このようにすることで、脱分極間隔の長短に関わらず、図12に示すように、心拍数に反比例して刺激パルスの強度を変化させて交感神経を刺激することができ、効果的な徐脈の治療を行うことができる。
【0069】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、心拍数は2回の脱分極から得られる瞬時心拍数の例を挙げたが、制御部5が脱分極間隔を数回分保持し、これらの平均をとっても良い。このようにすることで、刺激パラメータの急激な変化を抑えることができる。
また、各刺激モードにおいて、パルス電圧、パルス幅、パルス回数、パルス周期の全てのパラメータを変更することにしたが、変更しないパラメータがあっても良い。
また、本実施形態では所定の値を制御部5に記憶して、それにより判定を行って装置を制御しているが、神経刺激装置に記憶部を設け、該記憶部に値を記憶しておいてもよい。
【符号の説明】
【0070】
H 心臓
N 神経
RA,LA 心房
RV,LV 心室
1 神経刺激装置
2 電極
3 心臓事象検出部
4 刺激パルス出力部(刺激信号出力部)
5 制御部
6 検出電極
7 信号検出部
8 脱分極判定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経刺激装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、心筋梗塞後の患者に迷走神経の刺激を行うことで、心臓のリモデリングを抑制できることが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、心不全の患者に長期的に迷走神経の刺激を行うことで、病気の進行を防ぐ可能性が示されている。
【0003】
上記の従来技術では、患者に心臓治療を行うため、両心室ペーシングによりリモデリング制御治療を実施し、神経刺激により抗リモデリング治療を実施している。また、心臓不応期中に神経刺激を行うことで、神経刺激の回りこみによる不必要な心臓刺激を防ぎ、心臓に悪影響を与えないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−532638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、不応期中の神経刺激の強度については考慮されていないため、脱分極間隔の長短によって刺激量が変動してしまう。そのため、効果的に神経刺激を行うことができないという不都合がある。
【0006】
具体的には、頻拍の治療を目的として迷走神経の刺激を行う場合には、心拍数に応じて神経刺激の強度を変化させることが望ましいが、特許文献1に開示されている技術によれば、脱分極間隔の長短によって刺激量が変動してしまうため、効果的な頻拍の治療を行うことができないという不都合がある。
【0007】
また、心不全の治療を目的として迷走神経の刺激を行う場合には、医師が決めた一定の刺激量を患者に与えることが望ましいが、特許文献1に開示されている技術によれば、脱分極間隔の長短によって刺激量が変動してしまうため、効果的な心不全の治療を行うことができないという不都合がある。
【0008】
また、徐脈の治療を目的として交感神経の刺激を行う場合には、心拍数に反比例して神経刺激の強度を変化させることが望ましいが、特許文献1に開示されている技術によれば、脱分極間隔の長短によって刺激量が変動してしまうため、効果的な徐脈の治療を行うことができないという不都合がある。
【0009】
すなわち、特許文献1に開示されている技術のように、単に心臓不応期中に神経刺激を行うだけでは、頻拍や心不全や徐脈の治療といった治療目的に応じて効果的な神経刺激を行うことができないという不都合がある。
【0010】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、心臓に悪影響を与えることなく、治療目的に応じて効果的な神経刺激を行うことができる神経刺激装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、神経刺激信号を出力する刺激信号出力部と、心臓事象を検出する心臓事象検出部と、該心臓事象検出部により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に応じた強度の神経刺激信号を、心臓不応期の期間中に出力するように前記刺激信号出力部を制御する制御部とを備える神経刺激装置を採用する。
【0012】
本発明によれば、心臓事象検出部により心臓事象が検出され、該心臓事象に基づいて心拍数が求められる。そして、制御部により刺激信号出力部が制御され、心拍数に応じた強度の神経刺激信号が心臓不応期の期間中に出力される。
【0013】
このように心臓不応期中に神経刺激を行うことで、神経刺激の回りこみによる不必要な心臓刺激を防ぎ、心臓に悪影響を与えることを防止することができる。また、心拍数に応じて神経刺激信号の強度を変化させることで、脱分極間隔の長短に関わらず、効果的に神経刺激を行うことができる。すなわち、本発明によれば、心臓に悪影響を与えることなく、効果的な神経刺激を行うことができる。
【0014】
上記発明において、前記制御部が、前記刺激信号出力部から出力されるパルス状の神経刺激信号のパルス電圧、パルス幅、パルス回数、パルス周期の少なくともいずれかを変化させることとしてもよい。このパルス状の神経刺激信号の一群をバーストと呼び、1バーストに出力されるパルスの数をパルス回数と呼ぶ。またバーストとバーストの間隔をバースト周期と呼ぶ。
神経刺激信号は、パルス信号である場合、パルス電圧、パルス幅、パルス回数の3つのパラメータによって、1バーストあたりの強度を規定することができ、また、バースト周期のパラメータを加えることによって、単位時間あたりの刺激強度を規定することができる。上記発明においてはバースト周期を脱分極間隔と一致させている。したがって、制御部が、パルス電圧、パルス幅、パルス回数の少なくともいずれかを変化させることで、刺激信号出力部から出力される神経刺激信号の強度を変化させることができる。なお、各パラメータを単独で異ならせて強度を変更してもよいし、2以上のパラメータを組み合わせて強度を変更することにしてもよい。
【0015】
上記発明において、前記制御部が、神経刺激信号のパルス回数とパルス周期との積が所定値以下となる条件下で、前記刺激信号出力部から出力される神経刺激信号のパルス回数およびパルス周期を変化させることとしてもよい。
このようにすることで、神経刺激信号のパルス回数とパルス周期との積、すなわち神経刺激信号の出力期間が所定値(例えば心臓不応期の期間)以下となる条件下で、神経刺激信号の強度を変化させることができる。
【0016】
上記発明において、前記神経刺激信号が迷走神経に伝達され、前記制御部が、前記心臓事象検出部により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に比例して、前記刺激信号出力部から出力される神経刺激信号の強度を変化させることとしてもよい。
このようにすることで、脱分極間隔の長短に関わらず、心拍数に比例して神経刺激信号の強度を変化させて迷走神経を刺激することができ、効果的な頻拍の治療を行うことができる。
【0017】
上記発明において、前記神経刺激信号が迷走神経に伝達され、前記制御部が、前記心臓事象検出部により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に応じて、前記刺激信号出力部から出力される神経刺激信号の強度変化率を変動させることとしてもよい。
このようにすることで、脱分極間隔の長短に関わらず、心拍数に応じて神経刺激信号の強度変化率を変動させて神経刺激信号の強度を変化させ、迷走神経を刺激することができ、効果的な頻拍の治療を行うことができる。
【0018】
上記発明において、前記神経刺激信号が迷走神経に伝達され、前記制御部が、前記心臓事象検出部により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に応じて、神経刺激信号の強度が一定となるように前記刺激信号出力部を制御することとしてもよい。
このようにすることで、脱分極間隔の長短に関わらず、神経刺激信号の強度を一定に維持して迷走神経を刺激することができ、効果的な心不全の治療を行うことができる。
【0019】
上記発明において、前記神経刺激信号が交感神経に伝達され、前記制御部が、前記心臓事象検出部により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に反比例して、前記刺激信号出力部から出力される神経刺激信号の強度を変化させることとしてもよい。
このようにすることで、脱分極間隔の長短に関わらず、心拍数に反比例して神経刺激信号の強度を変化させて交感神経を刺激することができ、効果的な徐脈の治療を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、心臓に悪影響を与えることなく、治療目的に応じて効果的な神経刺激を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る神経刺激装置を示す全体構成図である。
【図2】図1の神経刺激装置により実行される処理を示すフローチャートである。
【図3】図1の神経刺激装置による心電信号と刺激強度との関係を示すタイムチャートである。
【図4】図1の神経刺激装置により出力される刺激パルスを示す図である。
【図5】比例モードにおける各パラメータの設定例を示す図表である。
【図6】比例モードにおける刺激パルスの相対強度と心拍数との関係を示すグラフである。
【図7】強度変化率変動モードにおける各パラメータの設定例を示す図表である。
【図8】強度変化率変動モードにおける刺激パルスの相対強度と心拍数との関係を示すグラフである。
【図9】一定モードにおける各パラメータの設定例を示す図表である。
【図10】一定モードにおける刺激パルスの相対強度と心拍数との関係を示すグラフである。
【図11】反比例モードにおける各パラメータの設定例を示す図表である。
【図12】反比例モードにおける刺激パルスの相対強度と心拍数との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係る神経刺激装置1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る神経刺激装置1は、図1に示されるように、迷走神経等の心臓H近傍の神経Nに取り付けられる電極2と、心臓Hの事象(心臓事象)を検出する心臓事象検出部3と、電極2を介して神経Nに対して刺激パルス(神経刺激信号)を出力する刺激パルス出力部(刺激信号出力部)4と、心臓事象検出部3により検出された心臓事象に基づいて、刺激パルス出力部4を制御する制御部5とを備えている。
【0023】
心臓事象検出部3は、心臓Hの各部位(例えば、図1に示す例では右心房RAと右心室RV)に接触状態に留置されている2以上の検出電極6と、該2以上の検出電極6を介して心電信号を検出する信号検出部7と、該信号検出部7により検出された信号が所定の閾値を超えた場合に、その時点で心臓Hの脱分極であると判定する脱分極判定部8とを備えている。図中、符号LAは左心房、符号LVは左心室である。
なお、図1に示す例では右心房RAと右心室RVに検出電極6を留置してあるが、脱分極の判定には、右心房RAの心電信号のみを用いてもよいし、右心室RVの心電信号のみを用いてもよいし、これら両方を用いてもよい。
また、検出電極6を留置する部位は右心房RAや右心室RVに限るものではなく、例えば左心房LAや左心室LVでもよい。
【0024】
なお、各検出電極6は、マイナス電極(Tip電極)とプラス電極(Ring電極)からなり、それぞれの電極には導電ワイヤが接続されている。導電ワイヤはマイナス電極とプラス電極間で短絡しないように絶縁被覆されている。これらの絶縁被覆ワイヤは2本まとめられてさらに絶縁被覆がなされている。(図においては、絶縁被覆は省略されている。)信号検出部7は各検出電極6のマイナス電極とプラス電極との間に現れる電位差を心電信号として検出するようになっている。
【0025】
刺激パルス出力部4は、神経Nを電気的に刺激するための刺激パルス列を生成し、生成した刺激パルス列を、電極2を介して神経Nに供給するようになっている。刺激パルス列の強度を決定するパラメータとしては、パルス電圧、パルス幅、パルス回数、およびパルス周期(周波数)が挙げられる。
【0026】
なお、電極2もマイナス電極(Tip電極)とプラス電極(Ring電極)からなり、それぞれの電極には導電ワイヤが接続されている。導電ワイヤはマイナス電極とプラス電極間で短絡しないように絶縁被覆されている。これらの絶縁被覆ワイヤは2本まとめられてさらに絶縁被覆がなされている。(図においては、絶縁被覆は省略されている。)刺激パルス出力部4は電極2のマイナス電極とプラス電極との間に神経Nに供給する刺激パルス列を出力するようになっている。
【0027】
脱分極判定部8は、心臓Hの脱分極が発生したと判定した場合には、制御部5に対して、脱分極が発生した旨の信号を出力するようになっている。
制御部5は、タイマ(図示略)を備えている。制御部5は、脱分極判定部8から脱分極が発生した旨の信号を受信するたびに、タイマをリセットして計時を開始するようになっている。
【0028】
制御部5は、心臓Hの不応期期間として、例えば150msを所定の値として記憶、保持しており、脱分極判定部8からの脱分極の発生の受信時から150ms間を不応期期間として判定するようになっている。また、制御部5は、心臓事象検出部3により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に応じた強度の刺激パルスを、心臓不応期の期間中に出力するように刺激パルス出力部4を制御する。この不応期期間の値は、先に患者の不応期の期間を実測した値や、一般的な値を制御部5に入力しておくことで記憶、保持させている。
【0029】
具体的には、制御部5は、選択された刺激モードに応じて、刺激パルス出力部4から出力される刺激パルスのパルス電圧、パルス幅、パルス回数、パルス周期の少なくともいずれかを変化させる。ここで、刺激パルスは、パルス電圧、パルス幅、パルス回数の3つのパラメータによって、1バーストあたりの強度を規定することができ、また、バースト周期のパラメータを加えることによって、単位時間あたりの刺激強度を規定することができる。本実施形態においてはバースト周期を脱分極間隔と一致させている。したがって、制御部5が、パルス電圧、パルス幅、パルス回数の少なくともいずれかを変化させることで、刺激パルス出力部4から出力される神経刺激信号の強度を変化させることができる。
【0030】
なお、刺激モードとは、刺激パルスの強度を心拍数に比例させる比例モード、刺激パルスの強度の変化率を心拍数に応じて変動させる強度変化率変動モード、刺激パルスの強度を一定に維持する一定モード、刺激パルスの強度を心拍数に反比例させる反比例モードである。これら刺激モードの詳細についてはそれぞれ後述する。
【0031】
上記構成を有する本実施形態に係る神経刺激装置1により実行される処理について、図2のフローチャートに従って以下に説明する。
本実施形態に係る神経刺激装置1では、まず、前述の刺激モード(比例モードM1、強度変化率変動モードM2、一定モードM3、反比例モードM4)の選択が行われる(ステップS1)。この際、刺激モードの選択は、神経刺激装置1に設けたスイッチ(図示略)等が押下されることで決めてもよいし、ユーザが外部からプログラムしても良い。
【0032】
次に、刺激パルスの強度の基準とする基準刺激パラメータとパラメータ変化量を設定する(ステップS2)。これらはユーザが外部からプログラムしてもよいし、神経刺激装置1の図示しないメモリに予め設定されている値を利用しても良い。
【0033】
次に、心臓Hに留置した心臓事象検出部3の検出電極6間に現れる心電信号が信号検出部7により検出され、検出された心電信号が所定の閾値を超えた時点で、脱分極判定部8により心臓Hの脱分極が発生したと判定され、その旨が制御部5に送られる。
脱分極が発生した旨の信号が制御部5に送られてくると、制御部5はタイマをリセットして脱分極の間隔を計測するためのタイマを開始する(ステップS3)。
【0034】
その後、制御部5は、タイマによる計時を継続しつつ脱分極判定部8から脱分極通知が来るまで待機する(ステップS4)。
制御部5は、脱分極の通知が脱分極判定部8から来るたびに脱分極間隔を算出し、タイマをリセット(リスタート)する(ステップS5)。
【0035】
その後、脱分極間隔(瞬時心拍数)と基準刺激パラメータを基に刺激パラメータを決定し、刺激パルス出力部4に刺激パラメータを通知する(ステップS6)。
ユーザまたはプログラムから終了通知が無いかぎり、前述のステップS4からS6までの動作を繰り返す。
【0036】
次に、本実施形態に係る神経刺激装置1による動作例について、図3のタイムチャートを用いて以下に説明する。
図3において、上段は、信号検出部7が検出した心臓の電気活動と、脱分極判定部8が脱分極と判定したタイミング(図中「脱分極」と記載した部分)について示したものである。
【0037】
図3において、中段は、制御部5がタイマで計時した脱分極間隔(800ms、600ms、1000ms)と、心臓不応期の期間を示したものである。なお、括弧内の数値(75bpm、100bpm、60bpm)は瞬時心拍数を示しており、心臓不応期は例えば150msである。
【0038】
図3において、下段は、制御部5から刺激パラメータを通知された刺激パルス出力部4が、心臓不応期中に刺激パルスを出力している様子を示したものである。なお、縦軸は神経刺激電圧、すなわち刺激パルスの電圧を示しており、その電圧は例えば4V、3V、5Vである。
【0039】
ここで、脱分極間隔と心拍数について説明する。
心拍数(単位bpm)とは、以下の式に示すように、通常1分あたりの心拍回数(=脱分極の回数)のことを示すが、脱分極間隔を心拍数に変換したものも心拍数と呼ぶことができる(正確には瞬時心拍数)。
心拍数(瞬時心拍数)=60000[ms]÷脱分極間隔[ms]
【0040】
また、図4に刺激パルスの一例を示す。
制御部5が刺激パルス出力部4に通知するパラメータには、パルス電圧、パルス幅、パルス周期、パルス回数がある。前述のように、刺激パルスは、パルス電圧、パルス幅、パルス回数の3つのパラメータによって、1バーストあたりの強度を規定することができる。なお、各パラメータを単独で異ならせて強度を変更してもよいし、2以上のパラメータを組み合わせて強度を変更することにしてもよい。
【0041】
以上のように、本実施形態に係る神経刺激装置1によれば、心臓事象検出部3により心臓事象が検出され、該心臓事象に基づいて心拍数が求められる。そして、制御部5により刺激パルス出力部4が制御され、心拍数に応じた強度の刺激パルスが心臓不応期の期間中に出力される。
【0042】
このように心臓不応期中に神経刺激を行うことで、神経刺激の回りこみによる不必要な心臓刺激を防ぎ、心臓に悪影響を与えることを防止することができる。また、心拍数に応じて刺激パルスの強度を変化させることで、脱分極間隔の変動に関わらず、効果的に神経刺激を行うことができる。すなわち、本実施形態に係る神経刺激装置1によれば、心臓に悪影響を与えることなく、効果的な神経刺激を行うことができる。
【0043】
以下、本実施形態に係る神経刺激装置1を用いて、前述の各刺激モード(比例モード、強度変化率変動モード、一定モード、反比例モード)における刺激パラメータの決定方法について、刺激モード毎に説明する。
【0044】
<比例モード>
比例モードは、単位時間あたりの刺激強度が心拍数に比例する刺激モードである。
迷走神経の刺激により、心拍数の低下、致死性不整脈の予防、心不全の治療効果が期待できるが、本刺激モードでは特に頻拍の治療(心拍数の低下、致死性不整脈の予防)を目的としている。
【0045】
本刺激モードにおける刺激パラメータの例を図5に示す。
図5に示すように、本刺激モードでは、単位時間あたりの刺激強度が心拍数に比例するように各刺激パラメータが設定されている。刺激パラメータには、前述のように、パルス電圧、パルス幅、パルス回数、パルス周期がある。心拍数とパルス電圧とパルス幅とパルス回数との積で、単位時間あたりの刺激強度(相対値)が決定される。また、パルス回数とパルス周期との積はパルス出力期間を意味し、心臓不応期(本例では150ms)よりも短い必要がある。
【0046】
なお、図5において、相対強度とは、心拍数100bpm(パルス電圧5.0V、パルス幅2ms、パルス回数5回、パルス周期20ms)の場合の刺激強度(5000)を基準とした場合に、該基準に対する各心拍数における刺激強度の大きさを示している。
【0047】
上記のように、本実施形態に係る神経刺激装置1を用いて比例モードを行う場合には、刺激パルスが迷走神経に伝達され、制御部5が、心臓事象検出部3により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に比例して、刺激パルス出力部4から出力される刺激パルスの強度を変化させる。
このようにすることで、脱分極間隔の長短に関わらず、図6に示すように、心拍数に比例して刺激パルスの単位時間あたりの強度を変化させて迷走神経を刺激することができ、効果的な頻拍の治療を行うことができる。
【0048】
<強度変化率変動モード>
強度変化率変動モードは、単位時間あたりの刺激強度の変化率を心拍数に応じて変動させる刺激モードである。
前述の比例モードは単純な比例であったが、強度変化率変動モードは心拍数が高い場合により強度を高めることができる。
【0049】
本刺激モードにおける刺激パラメータの例を図7に示す。
図7に示すように、本刺激モードでは、単位時間あたりの刺激強度の変化率が心拍数に応じて変動するように各刺激パラメータが設定されている。
【0050】
本刺激モードでは、基準刺激パラメータは心拍数100bpmの場合の各パラメータ値(パルス電圧5.0V、パルス幅2ms、パルス回数5回、パルス周期20ms)となっている。また、パラメータ変化量は、パルス電圧0.5V、パルス幅0.2ms、パルス回数1回、パルス周期1msとなっている。
【0051】
ここで、刺激パラメータを変化させる区分として、領域A〜Dの4つの領域に分けて考えることができる。
領域Aでは、パルス電圧を変化させることで単位時間あたりの刺激強度を調節する。本例では、パルス電圧の可変範囲が3.0V〜7.0Vと設定されているものとする。
領域Bでは、パルス幅を変化させることで単位時間あたりの刺激強度を調節する。本例では、パルス幅の可変範囲は1ms〜3msと設定されているものとする。この際、パルス電圧は上限値または下限値である。
【0052】
領域Cでは、パルス回数を変化させることで単位時間あたりの刺激強度を調節する。この際、パルス電圧、パルス幅は上限値または下限値である。
領域Dでは、パルス回数とパルス周期を変化させることで単位時間あたりの刺激強度を調節する。この際、パルス回数とパルス周期との積が心臓不応期(本例では150ms)の期間を超えないように調節される。
【0053】
上記のように、本実施形態に係る神経刺激装置1を用いて強度変化率変動モードを行う場合には、刺激パルスが迷走神経に伝達され、制御部5が、心臓事象検出部3により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に応じて、刺激パルス出力部4から出力される刺激パルスの強度変化率を変動させる。
【0054】
このようにすることで、脱分極間隔の長短に関わらず、図8に示すように、心拍数に応じて刺激パルスの強度変化率を変動させて刺激パルスの強度を変化させ、迷走神経を刺激することができ、特に心拍数が高い場合において、効果的な頻拍の治療を行うことができる。
【0055】
<一定モード>
一定モードは、単位時間あたりの刺激強度が心拍数によらず一定なモードである。
本刺激モードでは、迷走神経の刺激による心不全の治療を目的としている。本刺激モードによれば、医師が決めた刺激量を心拍の変動の影響を受けることなく、一定に患者に与えることが可能となる。
【0056】
本刺激モードにおける刺激パラメータの例を図9に示す。
図9に示すように、本刺激モードでは、単位時間あたりの刺激強度が心拍数によらず一定となるように各刺激パラメータが設定されている。
【0057】
本刺激モードでは、基準刺激パラメータは心拍数100bpmの場合の各パラメータ値(パルス電圧5.0V、パルス幅2ms、パルス回数5回、パルス周期20ms)となっている。また、パラメータ変化量は、パルス電圧0.1V、パルス幅0.2ms、パルス回数1回、パルス周期1msとなっている。
【0058】
ここで、刺激パラメータを変化させる区分は、強度変化率変動モード(図7参照)と同様に、領域A〜Dの4つの領域に分けて考えることができる。
領域Aでは、パルス電圧を変化させることで、単位時間あたりの刺激強度が一定となるように調節する。本例では、パルス電圧の可変範囲が3.0V〜7.0Vと設定されているものとする。
領域Bでは、パルス幅を変化させることで、単位時間あたりの刺激強度が一定となるように調節する。本例では、パルス幅の可変範囲は1ms〜3msと設定されているものとする。この際、パルス電圧は上限値または下限値である。
【0059】
領域でCでは、パルス回数を変化させることで、単位時間あたりの刺激強度が一定となるように調節する。この際、パルス電圧、パルス幅は上限値または下限値である。
領域でDでは、パルス回数とパルス周期を変化させることで、単位時間あたりの刺激強度が一定となるように調節する。この際、パルス回数とパルス周期との積が心臓不応期(本例では150ms)の期間を超えないように調節される。
【0060】
上記のように、本実施形態に係る神経刺激装置1を用いて一定モードを行う場合には、刺激パルスが迷走神経に伝達され、制御部5が、心臓事象検出部3により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に応じて、刺激パルスの強度が一定となるように刺激パルス出力部4を制御する。
【0061】
このようにすることで、脱分極間隔の長短に関わらず、図10に示すように、刺激パルスの強度を一定に維持して迷走神経を刺激することができ、効果的な心不全の治療を行うことができる。
【0062】
<反比例モード>
反比例モードは、単位時間あたりの刺激強度が心拍数に反比例する刺激モードである。
本刺激モードでは、交感神経を刺激することで、心拍数を上げることができ、徐脈の治療に用いることができる。
【0063】
本刺激モードにおける刺激パラメータの例を図11に示す。
図11に示すように、本刺激モードでは、単位時間あたりの刺激強度が心拍数に反比例するように各刺激パラメータが設定されている。
【0064】
本刺激モードでは、基準刺激パラメータは心拍数60bpmの場合の各パラメータ値(パルス電圧5.0V、パルス幅2ms、パルス回数5回、パルス周期20ms)となっている。また、パラメータ変化量は、パルス電圧0.5V、パルス幅0.2ms、パルス回数1回、パルス周期1msとなっている。
【0065】
ここで、刺激パラメータを変化させる区分は、強度変化率変動モード(図7参照)と同様に、領域A〜Dの4つの領域に分けて考えることができる。
領域Aでは、パルス電圧を変化させることで単位時間あたりの刺激強度を調節する。本例では、パルス電圧の可変範囲が3.0V〜7.0Vと設定されているものとする。
領域Bでは、パルス幅を変化させることで単位時間あたりの刺激強度を調節する。本例では、パルス幅の可変範囲は1ms〜3msと設定されているものとする。この際、パルス電圧は上限値または下限値である。
【0066】
領域Cでは、パルス回数を変化させることで単位時間あたりの刺激強度を調節する。この際、パルス電圧、パルス幅は上限値または下限値である。
領域Dでは、パルス回数とパルス周期を変化させることで単位時間あたりの刺激強度を調節する。この際、パルス回数とパルス周期との積が心臓不応期の期間を超えないように調節される。
【0067】
上記のように、本実施形態に係る神経刺激装置1を用いて反比例モードを行う場合には、刺激パルスが交感神経に伝達され、制御部5が、心臓事象検出部3により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に反比例して、刺激パルス出力部4から出力される刺激パルスの強度を変化させる。
【0068】
このようにすることで、脱分極間隔の長短に関わらず、図12に示すように、心拍数に反比例して刺激パルスの強度を変化させて交感神経を刺激することができ、効果的な徐脈の治療を行うことができる。
【0069】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、心拍数は2回の脱分極から得られる瞬時心拍数の例を挙げたが、制御部5が脱分極間隔を数回分保持し、これらの平均をとっても良い。このようにすることで、刺激パラメータの急激な変化を抑えることができる。
また、各刺激モードにおいて、パルス電圧、パルス幅、パルス回数、パルス周期の全てのパラメータを変更することにしたが、変更しないパラメータがあっても良い。
また、本実施形態では所定の値を制御部5に記憶して、それにより判定を行って装置を制御しているが、神経刺激装置に記憶部を設け、該記憶部に値を記憶しておいてもよい。
【符号の説明】
【0070】
H 心臓
N 神経
RA,LA 心房
RV,LV 心室
1 神経刺激装置
2 電極
3 心臓事象検出部
4 刺激パルス出力部(刺激信号出力部)
5 制御部
6 検出電極
7 信号検出部
8 脱分極判定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経刺激信号を出力する刺激信号出力部と、
心臓事象を検出する心臓事象検出部と、
該心臓事象検出部により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に応じた強度の神経刺激信号を、心臓不応期の期間中に出力するように前記刺激信号出力部を制御する制御部とを備える神経刺激装置。
【請求項2】
前記制御部が、前記刺激信号出力部から出力されるパルス状の神経刺激信号のパルス電圧、パルス幅、パルス回数、パルス周期の少なくともいずれかを変化させる請求項1に記載の神経刺激装置。
【請求項3】
前記制御部が、神経刺激信号のパルス回数とパルス周期との積が所定値以下となる条件下で、前記刺激信号出力部から出力される神経刺激信号のパルス回数およびパルス周期を変化させる請求項2に記載の神経刺激装置。
【請求項4】
前記神経刺激信号が迷走神経に伝達され、
前記制御部が、前記心臓事象検出部により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に比例して、前記刺激信号出力部から出力される神経刺激信号の強度を変化させる請求項1から3のいずれかに記載の神経刺激装置。
【請求項5】
前記神経刺激信号が迷走神経に伝達され、
前記制御部が、前記心臓事象検出部により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に応じて、前記刺激信号出力部から出力される神経刺激信号の強度変化率を変動させる請求項1から3のいずれかに記載の神経刺激装置。
【請求項6】
前記神経刺激信号が迷走神経に伝達され、
前記制御部が、前記心臓事象検出部により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に応じて、神経刺激信号の強度が一定となるように前記刺激信号出力部を制御する請求項1から3のいずれかに記載の神経刺激装置。
【請求項7】
前記神経刺激信号が交感神経に伝達され、
前記制御部が、前記心臓事象検出部により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に反比例して、前記刺激信号出力部から出力される神経刺激信号の強度を変化させる請求項1から3のいずれかに記載の神経刺激装置。
【請求項1】
神経刺激信号を出力する刺激信号出力部と、
心臓事象を検出する心臓事象検出部と、
該心臓事象検出部により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に応じた強度の神経刺激信号を、心臓不応期の期間中に出力するように前記刺激信号出力部を制御する制御部とを備える神経刺激装置。
【請求項2】
前記制御部が、前記刺激信号出力部から出力されるパルス状の神経刺激信号のパルス電圧、パルス幅、パルス回数、パルス周期の少なくともいずれかを変化させる請求項1に記載の神経刺激装置。
【請求項3】
前記制御部が、神経刺激信号のパルス回数とパルス周期との積が所定値以下となる条件下で、前記刺激信号出力部から出力される神経刺激信号のパルス回数およびパルス周期を変化させる請求項2に記載の神経刺激装置。
【請求項4】
前記神経刺激信号が迷走神経に伝達され、
前記制御部が、前記心臓事象検出部により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に比例して、前記刺激信号出力部から出力される神経刺激信号の強度を変化させる請求項1から3のいずれかに記載の神経刺激装置。
【請求項5】
前記神経刺激信号が迷走神経に伝達され、
前記制御部が、前記心臓事象検出部により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に応じて、前記刺激信号出力部から出力される神経刺激信号の強度変化率を変動させる請求項1から3のいずれかに記載の神経刺激装置。
【請求項6】
前記神経刺激信号が迷走神経に伝達され、
前記制御部が、前記心臓事象検出部により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に応じて、神経刺激信号の強度が一定となるように前記刺激信号出力部を制御する請求項1から3のいずれかに記載の神経刺激装置。
【請求項7】
前記神経刺激信号が交感神経に伝達され、
前記制御部が、前記心臓事象検出部により検出された心臓事象に基づいて求められる心拍数に反比例して、前記刺激信号出力部から出力される神経刺激信号の強度を変化させる請求項1から3のいずれかに記載の神経刺激装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−63104(P2013−63104A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201949(P2011−201949)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]