説明

神経変性障害の診断および早期診断のためのinvitroマルチパラメータ測定法

神経変性障害の診断および早期診断、重度の決定、ならびに経過および予後の評価を行うためのin vitroマルチパラメータ法であって、主観的または客観的に検出可能な認知障害を患っている個人からの生体液中で、少なくとも2種の異なった向血管性ペプチドの濃度を測定し、その結果得られた個人特異的測定値を計算によって複合して個人特異的複合基準値を取得し、得られた個人特異的複合基準値に基づいて、上記個人における神経変性障害の存在に関する結論を出す方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経変性疾患、とりわけアルツハイマー病およびその前駆型などの認知症の診断、とりわけ早期診断のための新規なin vitro法であって、診断を行う際に、複数の向血管性物質または血圧調節物質、とりわけ血管拡張性および/または血管収縮性の生理活性ペプチドの組合せを生物マーカーとして同時に考慮に入れる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明との関連において、「診断」という用語は、判定がなされる患者の(検査される個人の)臨床状態に従って相違する問題に基づいたものでありうる医学判定であって、検出、およびこの場合はとりわけ早期検出、重度の決定、ならびに、治療を伴った経過評価および疾患の将来的経過の予後判定を含めた経過の評価に役立つ医学判定を表す総合的な用語として使用される。本発明との関連においてとりわけ重要なことは、診断とは、特定の疾患に典型な特定の特徴が確定できなかったこと、例えば当該疾患に随伴する生物マーカーまたは生物マーカーの組合せが患者の血液試料中に検出できなかったことにより、その疾患の存在が、まずないであろうとされる陰性診断でもありうるということである。
【0003】
複数の異なった疾患の症例で、上昇したレベルで見出すことのでき、それゆえ単独では特定の疾患の陽性診断を可能にしない-ただし、原則として、それらはさらなる臨床パラメータまたは生化学的パラメータの包含で、陽性診断に決定的ともなりうる-生物マーカーは、陰性診断にも大きな価値を有する。したがって、生物マーカーの組合せは、しばしば、個々の生物マーカーまたはパラメータのみの孤立した判定の場合にはできなかった言明、または同じ蓋然性ではできなかった言明を可能にする。
【0004】
本発明が関係する診断に関する疾患は、緩徐に発症する、非感染性病因の慢性神経変性疾患、とりわけ認知症である傾向がある。
【0005】
認知症は概ね、脳損傷の結果である正常人格レベルの後天的知的能力の減失、とりわけ記憶の減失が共通点である疾患を指す。認知症は原則として、慢性性質の比較的緩徐に発症する疾患である。老年の前に、中年で認知症が発症する場合、それらは初老期認知症と呼ばれ、それらに典型な症候および脳病理学的変化に基づいて、とりわけ以下の疾患または疾患群に区別される。
【0006】
アルツハイマー病(AD)は、最も高頻度の神経変性認知症であり、認知症の全症例の2/3を占めており、本発明の使用の実際的に最も重要な分野である。ADは3つの重要な病理学的特徴、すなわちアミロイドプラークおよび神経原線維束の形成、ならびに神経細胞の減失によって識別されるが、それらが確実に検出できるのは死後になってのみである(概説には(1)を参照;この説明における番号形態の文献参照は、この説明の後にある参考文献のリストに対応している)。アミロイドプラークは、アミロイドβタンパク質の神経外凝集体から成り、一方、神経原線維束は、主としてタウタンパク質および神経フィラメントを含有している。これらのプラークおよび神経原線維の形成が神経細胞死の原因であると推定される。
【0007】
ADの最も重要な症候は、比較的持続的な情動反応性と併発した記銘力障害の増大および知的機能障害である。これらの症候には、より特異的でない障害がさらに伴い、それらは、ADを他の形態の認知症から識別するのを、より困難にしている。
【0008】
多年にわたるAD患者およびADが進行している患者の臨床知見の過程における彼らの観察は、
(a)主観的および客観的認知障害がない個人(本発明との関連では対照群を表す)から、
(b)主観的な認識力低減を訴えているが、いかなる認知障害も見出すことができない患者(本発明との関連では、これは「SCD」患者群であり、「SCD」は「主観的認知障害」を表す)を経て、
(c)軽度の認知障害を有することが見出されており、かつ認知症を引き起こす他の疾患が存在しない場合に「ADの可能性がある」(「pos AD」)と診断される患者(本発明との関連では、これは「MCD pos AD」群であり、「MCD」は「軽度の認知障害」を表す)をさらに経て、
(d)徐々に開始し、かつ緩徐に進行するかなりの認知障害の典型的な臨床像を有し、認知症の他の原因が除外できる場合に「ADの可能性が高い」と診断される患者群(本発明との関連では、これは「pr AD」群であり、この略語は「アルツハイマー病の可能性が高い」を表す)まで
の全範囲を包含する相互に識別可能な患者群に関する判定規準の形成をもたらした。
【0009】
主観的および/または客観的認知障害を有する個人および患者の、様々な群への帰属に関しては、(2)、(3)、(4)、および(5)をさらに参照のこと。
【0010】
レビー小体型認知症(DLB)は、アルツハイマー病に次いで2番目に最も頻度が高い、認知症の原因である。神経病理学的には、DLBは、脳幹および皮質におけるいわゆるレビー小体の存在によって特徴付けられる。これらのレビー小体は、主としてシナプス前タンパク質(αシヌクレイン)およびユビキチンの凝集体を含む。レビー小体の病態は、様々な程度で、アルツハイマー型およびパーキンソン型の神経病理学的変化と関連づけることができる。したがって、DLBの場合も、βアミロイドおよび老人斑の形成があるが、神経原線維束の形成はない(概説には(6)を参照)。レビー小体は、異なった分布ではあるが、パーキンソン病を有する患者の脳にも存在している。
【0011】
DLBの主要な症候は、進行性の認知障害、記銘力および意識の変動を伴う錯乱エピソード、パーキンソニズム、頻繁な転倒、および失神(短い発作性の意識喪失)である。診断判定規準の感度および特異性は、特異性に関しては全体的に高いが、感度に関しては、一部の症例で極めて低い。これは、DLBが日々の臨床業務で頻繁に診断されていないことを意味する。
【0012】
前頭側頭葉型認知症(FTD)は、ピック病とも呼ばれ、初老期認知症の約20%の原因となっている。FTDは、一部の症例では遺伝子起源であり、いわゆるタウオパチーの1つである。タウオパチーは、タウタンパク質サブタイプの過剰発現もしくは低発現によって、または変異したタウタンパク質の発現によって識別される。神経病理学的には、前頭および/または側頭皮質、黒質、ならびに基底神経節の局所的萎縮が起こる。これは、様々な重度な言語障害、人格変化、および行動異常をもたらす。全体的に、FTDは、93%の感度および若干23%の特異性で過小診断され、ADが最も高頻度の誤診となっている。
【0013】
血管性認知症(VAD)という用語は、脳内の血流障害によって認知症が引き起こされる疾患をまとめたものである。様々なタイプのVADがあり、その中で、多発梗塞性認知症(MID)および皮質下VAD(ビンスヴァンガー病とも呼ばれる)が最も頻度の高い形態である。
【0014】
ビンスヴァンガー病は、脳白質中の脳血管病変によって病理学的に特徴付けられる緩徐に進行する認知症である。臨床的には、これは、激越、短気、抑うつ、および多幸症などの行動異常と、わずかな記憶障害とをもたらす。
【0015】
多発梗塞性認知症は、一過性脳虚血発作(TIA)とも呼ばれる、皮質および/または皮質下領域での脳組織の破壊をもたらす複数の小さな脳卒中の結果として徐々に発症する。これらの脳卒中は、全く気付かれないままであることもあり、その場合には、認知症が最初の、目に見えて分かる帰結である。MIDが存在している場合には、重度な抑うつ、気分変動、および癲癇を伴った認知能力の漸進的な低減がある。
【0016】
この頃は、認知症の診断が主として神経心理学的検査ならびに疾患およびその経過の進行の観察に基づいて、ある特定の形態の認知症に関する除外判定規準を用いて行われる。非常に多くの場合、これらの検査はあいまいな結果を与え、それらが、過小診断された形態の認知症または誤診された症例に関する上述の数の原因となっている。この疾患に典型的な脳変化は、当然ながら、生存中の患者に対して直接判定できず、さらに、例えば断層X線撮影または磁気共鳴画像法による医療機器を用いた脳機能の検査は、複雑かつ高価である。
【0017】
したがって、比較的単純な試験方法の補助を用いて、例えば患者の血液試料(血清試料、血漿試料)中で測定できる、情報価値が高い生物マーカーの測定によって、認知症の検出、とりわけ早期検出を補足し、それによってかなり改善できることが望ましいであろう。
【0018】
アルツハイマー病の診断のために、アルツハイマー病協会のロナルドおよびナンシーレーガン研究所(the Ronald and Nancy Reagan Institute)および国立老化研究所作業部会(NIA Working Group)が、AD検出用の理想的な生物マーカーに関して設定した判定規準のガイドラインを公表した(7)。理想的には以下の判定規準が上記生物マーカーによって満たされるべきである。
1.それは脳特異的であり、かつこれらの疾患の神経病理学の根本的な特徴を検出するべきである。
2.少なくとも80%の診断感度および特異性があるべきである。
3.上記生物マーカーの疾患特異的変化は、適切な治療的処置の開始が可能であるために、疾患の可能な限り早い段階で現れるべきである(8)。
【0019】
しかし、現在まで、ADの早期診断および鑑別診断のための十分な確実性を備え、かつ上記のすべての判定規準を満たした、日々の臨床ルーチンで使用できるであろう生物マーカーは、血液中にも脳脊髄液中にも存在していない。現在、IL-6およびTNFαなどの炎症マーカー、3-ニトロチロシンなどの酸化ストレスマーカー、ならびにアミロイドプラークの主要成分であるアミロイドβ、および神経原線維束の実質的成分であるタウタンパク質などのADに特有な病理学的変化に関連したマーカーを含めた様々な潜在的マーカー候補が調査されている((8)、(9)の概説を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】欧州特許第1562984号
【特許文献2】欧州特許第1488209号
【特許文献3】国際公開第2004/090546号
【特許文献4】欧州特許第1564558号
【特許文献5】国際公開第2005/078456号
【特許文献6】独国特許出願第10 2005 036 094.7号
【特許文献7】独国特許出願第10 2006 023 175.9号
【特許文献8】国際公開第2006/018315号
【特許文献9】国際公開第2004/046181号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
有効な検査所見を提供する補足的検査方法であって、認知症、とりわけアルツハイマー病(AD)の生物マーカーとして適した血液試料中または血漿試料中の物質の測定に基づいており、かつ早期の陽性診断を補助するのに適した方法、および/または認知症、とりわけADを有する疑いのある個人の場合には除外による陰性診断に適した方法を求める現行需要がある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、神経変性疾患の検出および早期検出、重度の決定、ならびに経過および予後の評価を行うためのin vitroマルチパラメータ法の形態にあるそのような検査法であって、
向血管性ペプチドから成る群から選択された少なくとも2種の分析物の濃度を、主観的または客観的に検出可能な認知障害を患っている個人の生体液中で測定し、
測定された上記少なくとも2種の分析物それぞれの濃度に関して得られた上記個人特異的測定値を計算によって複合して個人特異的複合基準値を取得し、
決定された上記個人特異的複合基準値に基づいて、上記個人における神経変性疾患もしくは前記疾患の典型的な早期形態の有無、または上記疾患の経過および/もしくは上記疾患を軽減もしくは予防する試みの成否に関する結論を導き出す方法を提供する。
【0023】
上記向血管性ペプチドから成る群は、血管拡張性ペプチドから成る第1の亜群と、血管収縮性ペプチドから成る第2の亜群とを含む。
【0024】
上記計算による評価で、同じ亜群における、測定された向血管性ペプチドの濃度の個人特異的測定値は、同じ序列で、好ましくは乗算によって複合され、異なった亜群の向血管性ペプチドの濃度の個人特異的測定値は、好ましくは除算によって複合される。
【0025】
上記向血管性ペプチドの濃度は、検査されている生体試料、とりわけ血清または血漿中における、関連プロペプチド前駆体から放出される生理的に不活発なプロペプチド断片であって、実際の向血管性ペプチドではないプロペプチド断片の濃度を測定することによって測定することが好ましい。
【0026】
測定される血管拡張性ペプチドは、ナトリウム利尿ペプチドANP、BNP、および/またはCNP、および/またはペプチドアドレノメデュリン、および/または、ペプチドCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)であることが好ましく、測定される血管収縮性ペプチドは、エンドセリン、とりわけエンドセリン1(ET-1)である。しかし、本発明による方法は、前記ペプチドに加えて、または前記ペプチドの代わりに、上記の2つの亜群に割り当てることができる他の向血管性分析物を測定または同時測定することによって改変することもできる。この文脈では、第一に、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン(RAA)系のペプチド、とりわけ血管収縮性ペプチドのアンジオテンシンII、およびアルギニンバソプレシン(AVP)、サブスタンスP(SP)、ならびに第二に、血管拡張性ペプチドであるCGRP1-37、アミリン(IAPP)、エンドセリン3(ET-3)、および血管活性腸管ペプチド(VIP)にさらに言及できる。さらに、NO(例えば亜硝酸塩または硝酸塩として測定できる)などのさらに別の非ペプチド性分析物を同時に考慮に入れてもよいことにも言及できる。前記個々の潜在的分析物に関する補助情報、またはさらなる文献に関しては、(10)および(11)を参照する。加えて、(10)および(11)で言及されており、かつ同一の生理的制御過程で反対の作用に関与する他の対の既知向血管性物質も明示的に参照する。
【0027】
生体液中の各分析物の測定は、全血、血清、または血漿中で行うことが好ましい。
【0028】
ANPの濃度は、proANPの中間領域セグメント(MR-proANP)を検出する、本出願人のアッセイを用いて、proANP断片の濃度として測定することが好ましい。そのようなアッセイは、欧州特許第1562984号および(12)に記載されている。
【0029】
アドレノメデュリン(ADM)の濃度は、プレプロアドレノメデュリンのアミノ酸45〜92を含む中間領域proADM断片(MR-proADM)の濃度として測定することが好ましい。適したアッセイは、欧州特許第1488209号および国際公開第2004/090546号、ならびに(13)に記載されている。
【0030】
エンドセリン1(ET-1)の濃度は、プレプロエンドセリン1のアミノ酸168〜212を含むC末端ET-1断片(CT-proET-1)の濃度として測定することが好ましい。適したアッセイは、欧州特許第1564558号および国際公開第2005/078456号、ならびに(14)に記載されている。
【0031】
上記少なくとも2種の分析物の測定は、例えば本出願人の上記アッセイの1つを用いて、サンドイッチ型のイムノアッセイの形態にある免疫診断アッセイを用いて行うことが好ましい。
【0032】
本発明による方法の好ましい実施形態によれば、上記個人特異的基準値を決定するには、上記血管拡張性ペプチドの1つの濃度の測定値、または少なくとも2種の血管拡張性ペプチドの濃度の少なくとも2つの測定値の乗算によって得られた値を血管収縮性ペプチドET-1の濃度で割る。
【0033】
その改善された診断が本発明の主題を形成する神経変性疾患は、詳細には、アルツハイマー病(AD)、レビー小体型認知症(DLB)、前頭側頭葉型認知症(FTD)、および様々な形態の血管性認知症(VD)から成る群から選択された認知症であり、上記方法は、早期形態のアルツハイマー病(AD)を検出するためのアルツハイマー診断の一部として行うことが好ましい。
【0034】
本発明によるin vitroマルチパラメータ測定は、日常的な臨床適用において比較的大きな規模で、便宜的に、チップ技法測定装置による同時測定として行うことも、免疫クロマトグラフィー測定装置を用いたいわゆるポイントオブケア(POC)測定で行うこともできる。上記マルチパラメータ測定の複合測定結果の決定および評価は、適したコンピュータプログラムを用いて行う。
【0035】
本出願において「濃度」という用語を使用する場合、この用語は、生体試料中で測定できる実際の向血管性ペプチドの定常状態濃度のみを意味するものではないという意味で非限定的である。
【0036】
本発明で論じられている最も重要な病態生理学的に放出される向血管性ペプチドは、生体液中で自由に、または支障なく測定可能であるものに関しては比較的わずかな程度までしか存在しない。病態生理学的放出される向血管性ペプチドの重要な部分は、2つの受容体、および他の膜構造または血管構造に結合することによって、生体液から迅速に抽出および/または分解される。
【0037】
好ましくは本発明に従って、本明細書で言及した本出願人のアッセイを使用して行われる、同じ前駆体プロペプチドから形成された不活性コペプチドの測定は、生体液の瞬時の濃度とは対照的に、「活性濃度」の意味における、比較的長い時間セグメントにわたる向血管性ペプチドの放出を反映するものであり、放出された血管作用性ペプチドの、結合または迅速に分解された断片の間接的な同時検出も可能にする。これは、そのようなコペプチドの安定性が、より高いことと併せて、生体液中、例えば血清または血漿中で測定される分析物の測定可能絶対濃度値を、より高いものにする。
【0038】
しかし、本発明で論じる濃度は、必ずしもそのような不活性コペプチドの測定可能濃度のみではなく、他の測定可能な分析物、例えばNOなどの小分子の濃度であってもよい。NOは、前記不活性コペプチドの測定可能濃度に実質的に比例した比率でその都度形成されるか、または上記生体液中に存在する。上記向血管性ペプチドまたはコペプチドに比例した比率で生体液(血清、血漿)中に存在しているそのような分析物は、「代用向血管性ペプチド」と考えてよく、その測定は、上記向血管性ペプチドまたは対応するコペプチドの直接的測定と同等でありえ、本発明によるマルチパラメータ測定において、同じ方法で上記向血管性ペプチドまたはコペプチドの濃度の測定値を置換できる値を与えることができる。そのような「代用向血管性ペプチド」の測定による向血管性ペプチドの間接的測定も、「向血管性ペプチドの濃度の測定」という用語によって包含されるものとする。
【0039】
認知症で通例であるように、患者の状態の突然の悪化または好転がない慢性の経過を有する傾向のある疾患の場合、例えば、緩徐にのみ変化する、わずかにのみ可変的な、定常状態の全身状態が、様々な疾患関連分析物に関しては進行するであろう可能性が高い。このような場合には、患者の生体液中で測定可能な活性分析物の定常状態濃度、本発明では向血管性ペプチドの定常状態濃度が、生理的に不活発なコペプチドの形態で測定できる、比較的長い時間にわたって病態生理学的に放出される同一分析物の量に実質的に比例しているはずである。これは、測定される「分析物濃度」の特定の選択が診断評価へのいかなる決定的な定性的影響も有することがないように、本発明に従った、不活性コペプチドの好ましいマルチパラメータ測定で検出可能である、健康な個人の対照値の逸脱、および上記疾患に典型的なこれらの逸脱の経過も、原則として、上記活性分析物の、一般的に、より低い定常状態濃度に反映されるべきであることを意味する。
【0040】
本発明は、より詳細に最初に説明した既知形態の認知症にも-様々な程度で-炎症過程および内皮損傷が伴っているという知識を利用することによって認知症の診断を改善するという、発明者らによる考察に基づいている。炎症過程および内皮損傷は、認知症の進行、症候、および経過に必須であると考えられており、この理由から、神経変性疾患は神経炎症性疾患と考えることができる。
【0041】
したがって、アルツハイマー病は、とりわけ、補体因子、急性期タンパク質、および炎症誘発性サイトカインなどの様々な炎症性タンパク質が参加した、脳における局所的慢性炎症反応の存在によって特徴付けられる(9)。
【0042】
炎症過程は、血管性認知症(VAD)の発生にも役割を演じている。VADを有する患者では、TNFα、TGFβ、IL-6、およびGM-CFS(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)のレベルが実質的に増大している(15、16)。
【0043】
DLBの場合にも、炎症過程が役割を演じているようである。したがって、DLBを有する患者の脳における活性小グリア細胞の数が増大しており、扁桃体および海馬などの特定の脳領域で、TNFαなどの炎症誘発性サイトカインが過剰発現されている。
【0044】
その一方、FTD患者の脳における炎症反応の発生に関しては、孤立した症例の情報があるのみである。
【0045】
(i)認知症に伴った神経炎症過程が内皮ストレスおよび血流障害、とりわけ脳における微小循環系障害をもたらすという仮説と、(ii)この点で、心臓組織の血流障害または微小循環系の障害に関連した心血管疾患と類似性があるという仮説と、(iii)様々な向血管性ペプチドの形成の増大が、そのような心血管疾患の症例で検出可能であることを示す探索分析の新知見とから開始して、最後に、(iv)向血管性ペプチドのプロペプチド前駆体の生理的に不活性なペプチド断片の測定を行う、本出願人の新規イムノアッセイを用いて高信頼性かつ臨床的に有効な形態となっている、様々な向血管性ペプチドの濃度の測定に関する改善された分析可能性を用いて、本発明者らは、様々な程度の認知障害を有するが、それ以外には向血管性ペプチドの産生増大に関連したいかなる既知な疾患も患っていない患者の症例でも、そのようなペプチドの濃度上昇に関する徴候を血漿中に見出すことができるかどうかに関する問題を調査した。
【0046】
本出願人による初期調査は、様々な認知症を有する患者、とりわけアルツハイマー病の患者(AD患者)において、血管拡張性ペプチドANP、BNPおよびCNP、ならびにアドレノメデュリン(ADM)も、有意に増大したレベルで見出されることを示している。これらの分析で見出したことは、本出願人のなお未公開の先行独国特許出願、すなわち、それぞれ2005年8月1日出願の特許出願第10 2005 036 094.7号、および2006年5月17日出願の特許出願第10 2006 023 175.9号の主題となっている。患者血漿中のANP(MR-proANPとして)またはADM(MR-proADMとして)の測定が本出願で行われる場合、そのような測定は、本出願人の前記先行特許出願に記載の方法で行われる。
【0047】
アドレノメデュリン産生と、微小循環系との間に関係がありうることは、(17)から公知となっている。しかし、認知症については、この文脈で論じられていない。
【0048】
認知症様の症候を示した個人のナトリウム利尿ペプチドを測定する試みが文献に記載されたときには、有意な相関関係が見出されていなかった(18、19)。
【0049】
下記実験項に記載する、表面上健康である正常な個人(無症候対照)60人、および最初に記載した(b)群から(d)群までに記載の中程度から重度の認知障害を有する患者196人のEDTA血漿試料における測定結果は、例えばMR-proADM、とりわけMR-proANPに関して得られた濃度と、認知障害の形態での認知症症候の重度との間における明確かつ診断上有意な相関関係を初めて示した。上記測定濃度は、上記障害の重度およびそれゆえAD前駆型と有意に相関しており、したがって、様々な患者群の識別に寄与できる。
【0050】
CT-ET-1の平行測定は、認知症患者では、健康かつ正常な個人(対照)と比較して、より低い測定値を与えた。しかし、例えばMR-proANPの測定値など、その測定値は、上記の経過を明確に反映したものではなかった。
【0051】
しかし、本発明によれば、例えばANP(MR-proANP)および/またはADM(MR-proADM)の測定値が、CT-ET-1測定値と適切に複合された場合、とりわけ、特定の患者について測定された血管拡張性ペプチドMR-proANPまたはMR-proADMの値、または任意選択でMR-proANPおよびMR-proADMの値の乗算によって得られた複合値が、上記血管拡張性ペプチドの測定濃度の値もしくはその数学的積の値をCT-ET-1の値で割ることによって、それぞれ、同一患者で測定された血管収縮性ペプチドET-1の値(CT-proET-1として測定される)と関係づけられるという意味で複合された場合に、マルチパラメータ測定に関する全体的測定の有意性のさらなる実質的な改善が得られることが判明した。
【0052】
上記血管拡張性ペプチドの患者特異値は、評価目的で、患者および対照の比較的大きな不均一群の場合における、対応する分析物濃度測定の統計的結果を表す外部カットオフ値のみにではなく、まず初めに、内部変動的かつ個人変動的な患者状態、すなわち患者標準の発現と考えられる、同一患者の症例で測定された少なくとも1種の適切な血管収縮性ペプチドの測定値、ここではとりわけCT-proET-1の測定値の形態にある患者特異的な内部基準値に、このように関係づけられたので、上記血管拡張性ペプチドの測定の有意性が再度、大幅に増大する。
【0053】
そのような評価の場合に得られた複合基準値が例えば対照群、または他の疾患もしくは異なった重度の同一疾患を有する患者群の場合で得られた、対応する平均値に関係づけられた場合、とりわけ、全体的測定の感度が大幅に増大する。
【0054】
この新知見は、下記の実験項で、いくつかの図と2つの表とを参照して、より詳細に説明する。
【0055】
上記調査は、これまで、AD前駆型の徴候を示した患者または「アルツハイマー病の可能性が高い」と診断された患者の血漿試料に限定されていたが、本発明者らは、他の神経炎症性形態の認知症の場合、とりわけ血管性認知症(VAD)およびレビー小体型認知症(DLB)の場合でも、-恐らく異なった典型的濃度範囲で-患者血漿中の向血管性ペプチド濃度の特徴的な変化が検出可能であると想定している。
【0056】
実験項に記載されている、患者血漿中のMR-proANP、MR-proADM、およびCT-pro-ET-1の測定に用いられるアッセイ法は、そこで参照されている文献に記載されている、本出願人の上述のアッセイを用いて行われ、それらのすべては、本質的に、非競合的な免疫発光測定サンドイッチアッセイである。
【0057】
患者試料中のANPまたはADMまたはET-1の測定の問題に関する総論、および前記特許または出版物(12、13、14)における上記アッセイの実行に関する説明を、本出願の記述を補足するために明示的に参照する。
【0058】
血管収縮性ペプチドであるアルギニンバソプレシン(AVP)の濃度の追加的、補足的測定の場合には、プロペプチド断片であるコペプチンを測定するアッセイを用いるのが得策であり、これは、国際公開第2006/018315号または(20)に、より詳細に説明されている。
【0059】
以下において、測定結果および5つの図を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】60人の健康な対照個人、ならびに上述の(b)群、(c)群、および(d)群、すなわち「SCD」群(51人の患者)、「MCD pos AD」群(46人の患者)、および「pr AD」群(99人の患者)に相当する様々な重度の認知障害を有する196人の患者のEDTA血漿中における、MR-proANP濃度の測定結果を示す図である。
【図2】60人の健康な対照個人、ならびに上述の(b)群、(c)群、および(d)群、すなわち「SCD」群(51人の患者)、「MCD pos AD」群(46人の患者)、および「pr AD」群(99人の患者)に相当する様々な重度の認知障害を有する196人の患者のEDTA血漿中における、MR-proADM濃度の測定結果を示す図である。
【図3】60人の健康な対照個人、ならびに上述の(b)群、(c)群、および(d)群、すなわち「SCD」群(51人の患者)、「MCD pos AD」群(46人の患者)、および「pr AD」群(99人の患者)に相当する様々な重度の認知障害を有する196人の患者のEDTA血漿中における、CD-proET-1濃度の測定結果を示す図である。
【図4】詳細には、再度、60人の健康な対照個人、ならびに上述の(b)群、(c)群、および(d)群、すなわち「SCD」群(51人の患者)、「MCD pos AD」群(46人の患者)、および「pr AD」群(99人の患者)に相当する様々な重度の認知障害を有する196人の患者に関する、図1に示した、MR-proANP濃度の測定結果を、同一個体の患者における、図3に示した、CT-proET-1濃度の測定結果に対する商を計算することによって関係づけた場合の、MR-proANP濃度の測定結果の共通コンピューター評価の結果を示す図である。
【図5】詳細には、再度、60人の健康な対照個人、ならびに上述の(b)群、(c)群、および(d)群、すなわち「SCD」群(51人の患者)、「MCD pos AD」群(46人の患者)、および「pr AD」群(99人の患者)に相当する様々な重度の認知障害を有する196人の患者に関する、図2に示した、MR-proADM濃度の測定結果を、同一個体の患者における、図3に示した、CT-proET-1濃度の測定結果に対する商を計算することによって関係づけた場合の、MR-proADM濃度の測定結果の共通コンピューター評価の結果を示す図である。
【実施例】
【0061】
(実験項)
(アッセイの説明)
血漿中のMR-proANPの測定は、実質的に、上述の国際公開第2004/046181号の実験項または(12)に記載の通り、免疫発光測定サンドイッチアッセイを用いて行った。
【0062】
血漿中のMR-proADMの測定は、実質的に、上述の国際公開第2004/090546号の実験項または(13)に記載の通り、免疫発光測定サンドイッチアッセイを用いて行った。
【0063】
血漿中のCT-proET-1の測定は、実質的に、上述の国際公開第2005/078456号の実験項または(14)に記載の通り、免疫発光測定サンドイッチアッセイを用いて行った。
【0064】
(健康対照および様々な重度の認知障害を有する患者の血漿中におけるMR-proANP、MR-proADM、およびCT-pro-ET-1の測定)
それぞれの分析物の濃度の基準値を決定するために、認知障害の症候を示さず、いかなる他の検出可能な疾患(心血管疾患;重度な感染症または炎症)も患っていない、60人の無症候対照個人のEDTA血漿中で測定を行った。無症候対照個人では、体内で、高レベルの、上述した生物マーカー分析物が測定されうることが知られている。対照群では、測定濃度の中央値が以下の通りに決定された。
MR-proANP=62.3pmol/l
MR-proADM=0.60nmol/1
CT-proET-1=68.0pmol/1
【0065】
様々な重度の認知障害の形態にある、認知症の症候であって、それに基づいて上述の(b)群、(c)群、または(d)群の1つに個々の患者を帰属させた症候を有する患者が患者群となった。
【0066】
測定された、健康な対照個人および認知障害を有する患者の血漿中のMR-proANP、MR-proADM、またはCT-proET-1濃度を図1から3に示す。図4および5は、MR-proANP濃度またはMR-proADM濃度を、関連のCT-proET-1濃度に関係づけた(CT-proET-1濃度で割った)場合に得られた値を示す。
【0067】
様々な患者群に関して、いわゆる中央値の形態で決定された数値を表1に示す。
【0068】
【表1】

【0069】
詳細には様々な患者群に関して、その都度カットオフに定められた値を用いた、図1から5に記載の測定値から計算された特異性および感度を表2に示す。MR-proANPの濃度とMR-proADMの濃度との積が計算されている場合(MR-proANP×MR-proADM)、またはこの積が、関連のCT-proET-1濃度でさらに割られている場合に得られた値も表2にさらに記録した。
【0070】
【表2】

【0071】
様々な患者群の中央値から明らかなように、表1および対応する図における値は、とりわけMR-proANP濃度が、ただしMR-proADM濃度も、
対照<SCD<MCD pos AD≦pr AD
の順序の症候の重度に従って明確に増大している。この傾向は、MR-proANPまたはMR-proADMの個々の測定で既に認識可能であるが、上記測定値を、その都度同一患者に関して測定される関連のCT-proET-1濃度で割った場合、さらに例証されることがさらに明らかである。
【0072】
表2は、個々の分析物の測定において、「アルツハイマー病の可能性が高い」(pr AD)患者群のMR-proANPの測定で、64.7%という最も高い感度が得られること、しかし、上記測定値が関連のCT-proET-1濃度と関係づけられた場合には、感度がさらにかなり改善され、「pr AD」群では80.8%の値に達することを示している。
【0073】
同一患者群からの患者の場合における、BNP濃度の予備的な探索測定(Roche Diagnostics社販売のNT-proBNPキットを用いた)、および得られた値の、除算によるCT-ET-1の患者特異的測定値(pmol/l濃度)に対する関係は、MR-proANPの測定におけるものと同様な改善を与えた。すなわち、BNPの測定値もCT-ET-1濃度による除算の結果として、情報価値がさらに高いものになった。
【0074】
MR-proADMの測定では、対応する手順の場合に、感度における同様な改善が得られる(50.5%に比して62.6%)。
【0075】
積MR-proANP×MR-proADMの計算は、最良の個別の分析物であるMR-proANPの値と比較して、有意な変化をもたらさないが、この場合も、前記産物がCT-proET-1濃度の測定値と関係づけられた場合には、上述の通り明確な改善が得られる。
【0076】
向血管性ペプチド、例えばMR-proANP濃度として測定されたANP、またはMR-proADMとして測定されたADMの放出の増大は、他の疾患(敗血症、心臓血管疾患/心不全;しかしこれらは、原則として、認知症から容易に識別できる)の場合でも測定可能であり、したがって向血管性ペプチドは、狭義には、脳特異的なパラメータではないが、向血管性ペプチドの測定、とりわけ、血管拡張性ペプチドの測定と、CT-pro-ET-1などの適した血管収縮性ペプチドの同時測定とを併用したものは、高い特異性と明確に識別可能な感度に基づいて、認知症の診断の目的、とりわけ、補助的な早期AD診断に極めて適している。
【0077】
(参考文献)





【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経変性疾患の検出および早期検出、重度の決定、ならびに経過および予後の評価を行うためのin vitroマルチパラメータ方法であって、
主観的な、または客観的に検出可能な認知障害を患っている個人の生体液中で、向血管性ペプチドから成る群から選択された少なくとも2種の分析物の濃度を測定し、
測定された前記少なくとも2種の分析物それぞれの濃度に関して得られた個人特異的測定値を計算によって複合して個人特異的複合基準値を取得し、
決定された前記個人特異的複合基準値に基づいて、前記個人における神経変性疾患もしくは前記疾患に典型的な早期形態の有無、または前記疾患の経過および/もしくは前記疾患を軽減もしくは予防する試みの成否に関する結論を導き出す方法。
【請求項2】
前記向血管性物質が向血管性ペプチドであり、前記向血管性ペプチドから成る群が、血管拡張性ペプチドから成る第1の亜群と、血管収縮性ペプチドから成る第2の亜群とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記計算による評価で、同じ亜群の向血管性ペプチドの濃度の個人特異的測定値が乗算によって複合され、異なる亜群の向血管性ペプチドの濃度の個人特異的測定値が除算によって複合されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
関連プロペプチド前駆体から放出され、実際の向血管性ペプチドではない、生理不活性なペプチド断片の濃度を測定することによって、前記向血管性ペプチドの濃度を測定することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
血管拡張性ペプチドとしてナトリウム利尿ペプチドANP、BNP、および/またはCNP、および/またはペプチドアドレノメデュリン、および/またはペプチドCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)を測定し、血管収縮性ペプチドとしてエンドセリン(特にエンドセリン1)を測定することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
全血、血清、または血漿から選択された生体液中で前記分析物の測定を行うことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
proANPの中間領域セグメント(MR-proANP)を検出するアッセイを用いて、proANP断片の濃度としてANPの濃度を測定することを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
プレプロアドレノメデュリンのアミノ酸45〜92を含む中間領域proADM断片(MR-proADM)の濃度として、アドレノメデュリン(ADM)の濃度を測定することを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
【請求項9】
プレプロエンドセリン1のアミノ酸168〜212を含むC末端ET-1断片(CT-proET-1)の濃度として、エンドセリン1(ET-1)の濃度を測定することを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
【請求項10】
サンドイッチ型イムノアッセイ形態の免疫診断アッセイ法を用いて、前記少なくとも2種の分析物の測定を行うことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記個人特異的基準値を決定するために、血管拡張性ペプチドの1種の濃度の測定値、または少なくとも2種の血管拡張性ペプチドの濃度の少なくとも2つの測定値の乗算によって得られた値を血管収縮性ペプチドET-1の濃度で割ることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記神経変性疾患が、アルツハイマー病(AD)、レビー小体型認知症(DLB)、前頭側頭葉型認知症(FTD)、および様々な形態の血管性認知症(VD)から成る群から選択された認知症であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
早期形態のアルツハイマー病(AD)を検出するためのアルツハイマー診断の一部として行われることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記マルチパラメータ測定を、チップ技法測定装置または免疫クロマトグラフィー測定装置による同時測定として行うことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記マルチパラメータ測定の複合測定結果の判定および評価をコンピュータプログラムを用いて行うことを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の方法を行うためのキット。
【請求項17】
コンピューター形態の装置であって、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法によって前記測定値を評価するのに適した計算プログラムがインストールされている装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−540309(P2009−540309A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514710(P2009−514710)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005299
【国際公開番号】WO2007/144194
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(501154389)ベー・エル・アー・ハー・エム・エス・アクティエンゲゼルシャフト (29)
【Fターム(参考)】