説明

禽用ワクチンの効能を改善できるワクチン増強因子(VAF)

【課題】本発明は、ワクチン増強因子(VAF)を提供するものである。
【解決手段】ワクチン増強因子(VAF)は、卵内接種に適用できるヌクレオチド免疫刺激物である。VAFは、一個又は複数個の異なるDNA構築分子であってよく、一つ一つの構築分子には、一個のDNA分子及びベクターを含み、一つ一つのDNA分子には、一個又は複数個の遺伝子或いは遺伝子断片を含む;これらの遺伝子又は遺伝子断片は、それぞれ禽類ウイルス抗原性を有するポリペプチドをコーディングできる。VAFの使用時機は、受精後17−19日目(鶏の例では)が最も好ましく、注入部位は鶏胚胎の羊膜腔内である。VAFは、単価又は多価、或いは生菌ウイルスや死菌ウイルスに係らず、一般ウイルス性ワクチンと併用することが出来る。又、VAFは、一般ウイルス・ワクチンの使用前に使用することができ、これらのウイルス・ワクチンは、通常雛鳥の孵化又は孵化後に使用されるが、VAFは、前記ウイルス性ワクチンの免疫効用を刺激且つ増進することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係るワクチン増強因子(VACCINE ACCELERATOR FACTOR, VAF)は、禽用卵内注射を行う時、ワクチンの中に添加する核酸分子を指すもので、これらの核酸分子は、一種類又は多種類の構築されたDNA分子であって良く、一つ一つの分子には一個又は複数個の遺伝子又は遺伝子断片を含み、これらの遺伝子断片は、生物体内で禽類ウイルスの抗原分子として転写及び転訳され得る。これらVAFの最も好ましい応用時機は、禽類の受精卵が孵化してから第17〜19日目に、注射方式で羊膜腔の中に入れることで、VAFは、同時に禽用単価/多価生菌ワクチン又は死菌ワクチンと共同使用することが出来る。
尚、本件は、アメリカ特許請求番号10/377,718の部分的継続請求案(CIP,請求期日2003年3月4日)であり、且つアメリカ臨時請求番号60/362,547の優先期日2002年3月8日を享受するものである。
【背景技術】
【0002】
ワクチン注射は、家畜・家禽及びペットの健康維持に対して大きな効果と利益をもたらす、家禽ワクチンには色々異なる注射方法がある、例えば、雛鶏の孵化後にスプレーする方式で免疫させることは既に広く使用されている、勿論、この方法は大量の成長鶏に注射する方式にも応用される、生菌ワクチンには、上述の投与方法のほかに、従来の方式もある、例えば、皮下注射(SC)・雛鶏点眼・点鼻の方式や、飲水方式ですら非常に普及している。これらの方式の中では、注射方式がより簡便であるが、しかし、鶏に接種した効果はさまざまである。
近年、卵内接種の方式では、アメリカのEMBREX社が開発したINOVOJECT(登録商標)システムが発売され、且つ広範に使用されており、一台目の卵内注射機は、アメリカEMBREX社が開発し、且つ80年代末に特許(USP番号5056464、5699751)を取得している。現在、アメリカの白肉鶏には卵内注射でワクチン接種する方式をとり、特にマレクワクチンは既に80%以上を占め、且つ安全で有効であることが実証されている、又、世界各地で、伝染性ファブリキュウス嚢病及びニューキャッスル疫病のワクチンを卵内注射する数量も年々増加している。
卵内注射ワクチンの詳細はSharma等のアメリカ特許(US.Pat.No.4458630)を参照下さい、特に、マレク生菌ワクチンを孵化後18.5日目の受精卵に注射すると、ワクチンの生菌が羊膜腔の中に注入され、胚胎の中で増殖し、且つ保護性抗体を誘導することが出来る。(Sharma(1985), Avian Diseases 29, 1155, 1167-68を参照)。
【0003】
現在、全世界の禽用ワクチン市場は、マレク(MDV)のほかに、伝染性ファブリキュウス嚢病ウィルス(IBDV)、ニューキャッスル疫病ウィルス(Newcastle disease virus)(NDV)、伝染性気管支炎ウィルス(IBV)、伝染性喉気管炎(ILTV)、禽脳脊髄炎ウィルス(AEV)、鶏伝染性貧血因子ウィルス(CAV)、禽痘ウィルス(FPV)、禽流感ウィルス(AIV)、レオウィルス(reovirus)、禽白血病ウィルス(ALV)、網状内皮組織増殖ウィルス(REV)、禽腺ウィルスや出血性腸炎ウィルス(HEV)などがある、これらの伝染病は、往々にして重大な疫病を爆発させ、養禽事業に著しい損失をもたらしている。その中でも、MDV・IBDV・NDV及びIBVなどのウイルスは、その毒性本質のために特に重要である。
【0004】
マレク病(MD)は、悪性のリンパ球増殖異常疾患で、禽類のみが自然感染する。病原であるマレク・ウイルスは疱疹ウィルス(herpes virus)の一種で、全世界の家禽事業に重大な影響を及ぼす、特に、企業化経営の集中生産システム下においては、疎かにすべきではない。マレクの症状は広範であり、神経系統・生殖器官・体内各臓器及び眼や皮膚などに病変が生じる。臨床的には、神経症状及び腫瘍によって起こる臓器機能の損害及び栄養不良などが見られる。鶏は生まれて約6週間目から感染し、12週から24週の間で最も多発する。
【0005】
本病には、治療方法がなく、飼育管理・病原隔離の方式又は比較的抵抗力のある種鶏を選んで育成するか、ワクチン接種などの方法しかない、しかし、飼育管理でこの病気を杜絶させるにはコストが高すぎ、抵抗力のある鶏を選別するのも効果が薄い、従って、ワクチンのみがマレク病を防ぐ唯一の道であると言える。
【0006】
伝染性ファブリキュウス嚢ウィルス(IBDV)は、雛鶏を攻撃して免疫抑制を招く悪性伝染病である。(Kibenge (1988), J. Gen. Virol.,69:1757-1775を参照)。強毒菌株は重大な免疫抑制を招き、且つ鶏のファブリキュウス嚢及び脾臓に対して傷害をもたらし、その他の病原に対する感受性を高め、ワクチン注射の効果を弱める。
IBVDは、ダブル株RNAウィルス科(Birnaviridae)に属するもので、その遺伝子はツーセグメントのダブル株RNAによって構成されている(Dobos et al. (1979), J. Virol., 32:593-605を参照)。小さい方のセグメントB(2.8kb)は、VP1とコードされ、遺伝子の位置はRNA重合酵素を転訳できる。大きい方の遺伝子セグメントA(約3kb)は、単一オープン・リーディング・フレーム(ORF)内で110kDaとコードされる前駆物質ポリペプチドであり、処理後に成熟したVP2・VP3及びVP4蛋白(Azad et al. (1985), Virology, 143:35-44を参照)。及び大小の不明な17-kDa機能性小蛋白質VP5 (Kibenge et al 1991), J. Gen. Virol. 71:569-577を参照)を形成するものである。その中で、VP2とVP3は最も重要な構成蛋白であり、特にVP2は、中和性抗体を誘導できる主な抗原である。(Becht et al. (1988), J. Gen. Virol. 70:1473-1481を参照 )。
VP3の対抗するシングル株抗体(Mabs)は、血清型1及び血清型2のVP3を同時に認識できるので、(Becht et al. (1988), J. Gen. Virol. 69:631-640を参照 )、グループ特異性抗原(group-specific antigen)として認められている。VP4は、酵素切断機能を発現し、且つその機能はウイルス前駆物質蛋白の成熟過程に関与している。(Jagadish et al.(1988, J.Virol., 62:1084-1087 を参照)。
【0007】
今までは、IBDV感染に対する防御方式は、減毒菌株によって生菌ワクチン接種を雛鶏に対して行うか、又は死菌ワクチン(或いは生菌ワクチン)を雌鶏に注射して雌鶏に高力価移形抗体を持たせることによって、雛鶏を保護するほかなかった。しかし、近年は、アメリカ国内で生菌ワクチンを接種した養鶏場でIBDVの強毒株(Snyder et al. (1988), Avian Dis., 32:535-539; Van der Marel et al. (1990), Dtsch. Tierarztl. Wschr., 97:81-83を参照)が分離発見される現象が次々に発生しており、生菌ワクチンの効果に大きな疑問をもたれている。
【0008】
今までIBDVに対するサブ・ユニット・ワクチンの開発にも努力が払われ(Azad et al (1985) "Virology", 143:35-44を参照)、且つ既にIBDVのVP2遺伝子を酵母菌へクローンして発現させ、禽痘ウィルスをベクターとして、組み替え禽痘ウィルスを構築していることが報告されている(Macreadie et al. (1990), Vaccine, 8:549-552を参照)。鶏に酵母菌から発現したVP2抗原を使用して免疫注射を行うと、誘導された抗血清はIBDVの攻撃から鶏を守ることが出来る、しかし、組み替え禽痘ウィルスによって免疫させた場合(Bayliss et al (1991), Arch. Virol., 120:193-205を参照)、強毒菌株攻撃による死亡率を下げることは出来るが、ファブリキュウスによる傷害を避けることは出来ない。
【0009】
ニューキャッスル疫病ウィルス(NDV)は、エンベロープ・リニア・一本鎖・ノンセグメント・ネガティブセンス(negative sense)のRNAウイルスを持つウィルスである。一般的に言って、ネガティブセンスRNAウィルスは、エンベロープを有し、大よそ、ノンセグメント型(例えば、パラミソウィルス ParamyxovirusやラブドウィルスRhabdoviridae)及びセグメント型(例えば、オルトミクソウィルスOrthomyxovirus・ブニアウィルスBunyavirus及び砂粒ウイルス等)に分けられる。ニューキャッスル疫病ウィルスは、副流感ウィルス・仙台ウィルス・猿ウィルス5や耳下腺炎ウィルスと共にパラミソウィルス科に属する。
【0010】
ニューキャッスル疫病ウィルスの構成エレメントは細胞形質膜(cell plasma membrance)から派生した脂質二重層であるウィルス・エンベロープ及びエンベロープから突き出た糖蛋白・ヘマグルチニン ノイラミニダーゼ(HN)を含む。この蛋白質は血球凝集とノイラミニダーゼ両方の活性を同時に持っている。もう一つの重要な蛋白質-融合糖蛋白(F)は、ウイルス・エンベロープと結合した蛋白質で、転訳する前は不活性状態を呈し、ポスト・トランスレーション方式で二本のジスルフィド結合ポリペプチドに切り割かれる。活性化されたF蛋白は、ウィルス・エンベロープ及び宿主細胞形質膜の融合によってニューキャッスル疫病ウィルスを宿主細胞内に浸透させる。
【0011】
もう一つはマトリックス・蛋白質(M)で、この蛋白質はウィルス・アセンブリに関係があり、同時にウィルス・エンベロープとヌクレオカプシド蛋白(nucleocapsid proteins)の両方と交互作用する。ニューキャッスル疫病ウィルスのヌクレオカプシド蛋白(NP)は、螺旋対称の形を呈し、同時にリン蛋白(P)及びRNA重合酵素(L)と相互連結する。リン蛋白の主要機能は、転写作用を調節し、且つメチル化やポリアデニレーション(poly A denylation)等に関与することである。L遺伝子は、RNA重合酵素を発現し、P蛋白と共にウイルスRNA合成に参与する。この蛋白質は、ウイルス蛋白質の中では最大で、ウィルス・ゲノムのコーティング・キャパシティのほとんど半分を占め、ウイルスの転写と複製過程において重要な役割を担っている。
【0012】
全ての(−)鎖RNAウィルスは、NDVを含めて、RNAの複製過程で直接ウイルス蛋白に転訳できないので、先ず(−)鎖RNAを(+)鎖(mRNA)に転写しなければならない。従って、宿主細胞内に進入した時、ウィルスは必要なRNA重合酵素を作り出すことは出来ない、この時、L.P.及びNP等の蛋白は先ず(−)ゲノムと共に細胞の中に進入しなければならない。(−)鎖(ウイルス鎖)のRNA又は(+)鎖のRNAにかかわらず、全てヌクレオカプシド蛋白によって包まれている。ただ一つ包まれていないRNAはmRNAウィルスである。細胞形質膜は、NDVウィルスがRNAを転写する場所であると同様に複製する場所でもある、従って、各種ウィルスは細胞形質膜において複製及びウイルス顆粒の組立てを行い、最後に発芽方式(Budding)で放出する。
【0013】
アメリカ特許第542,779号で、Ahamadらは胚胎卵白に対してNDVを注射したが、全ての胚胎卵白はNDVに対して非常に敏感なため死亡した、従って、先ず化合物EMS(ethyl methane sulfonte)によってNDVを処理して致死性をなくさなければならない、しかし、EMS自体が突然異変作用のある突然異変剤であるので、正常な方法として採用することはできない。
【0014】
伝染性気管支炎ウィルス(IBV)は、冠状ウィルス科(Coronaviridae)に属する、このウィルスには正極性の一本鎖RNAゲノムがあり、長さ約20kb、且つその寸法は通常80-100ナノメーター(nm)で、外観上約20ナノメーターの突出物(スパイク(Spike)がある。IBVは鶏の年齢にかかわらず急性高度伝染性疾病を引き起こすと共に、呼吸・生殖及び腎臓系統などの病変をもたらす。
【0015】
IBVには、三つの構造蛋白がある:スパイク蛋白(S)・膜蛋白及びヌクレオカプシド蛋白である。前記スパイク蛋白は、ウィルス脂質膜から外部へ突出したとき、最外部の形状が滴涙状を呈するので、目前の証拠では、前記蛋白質はウイルスに高度免疫性を有する蛋白質であると見られ、この方面の証拠としては、その他の冠状ウィルスによる研究結果のほかにも、抗体中和試験での証拠がある(D.Cavanagh et al. (1984), Avian Pathology, 13,573-583参照)。
スパイク蛋白には、二種類のサブ・ユニットがあり、それらは、S1 (90KDa)とS2(84KDa)である。糖蛋白S1及びS2が結合すると、先ず酵素によってオリゴ糖除去し、最後の分子量は約125 KDaとなる。その中で、S2の部分はウイルス膜と接触する部分である。IBVは、密集的な大養鶏場に広く分布しており、4週齢に成長した幼鶏は最もIBVに感染し易く、一旦ウイルスに感染すると、二次細菌感染によって病禽の感染率及び死亡率が増大する。
又、IBVに感染した鶏は、卵の生産量が低下したり、薄くて畸形の粗雑でやわらかい殻の不良卵を産み、重大な経済的損失をもたらす。
【0016】
生菌ワクチンを胚胎卵に注射するメリットは、快速(毎時40,000個の卵に注射)有効(100%の卵にワクチン接種)且つ省力的(一孵化場当たり年間$100,000ドル節約)ということにある。近年、Embrex社は既にVNF(登録商標)(Viral Neutralijing Factor)と呼ばれるウイルス性生菌ワクチンを開発している。このVNFワクチンには、特定のウイルスに対する抗体を含んでいる。この抗体及び生菌ワクチンは、特定の比率によって、先ずウイルス-抗体のワクチン複合物(immune complex)を形成するようになっている。
【0017】
抗体の数量が多くないため、ウイルスを完全に中和したり、そのウイルスに対して受動的免疫効能を生じるような事はない。又、抗体の添加によって生菌ウイルスの胚胎卵内における複製のタイミングが数日遅れる。
【0018】
このように、鶏の胚胎中におけるウイルスの複製が遅延する結果、生菌ウイルス・ワクチンの胚胎中における使用を一層安全にする。又、移行抗体の干渉を克服できるのみならず、それによって生じる免疫効能も従来の減毒ワクチンより高くなる。従って、ウイルス-抗体複合物ワクチン技術は、胚胎卵に注射又は幼鶏の免疫に応用することに係らず、施行後に生じる免疫力は比較的一致しており、ワクチンも安全且つ有効である。
【0019】
本発明のワクチン増強因子(VAF)は、免疫刺激能力を有する核酸断片であり、このようなDNA断片は特に禽類ワクチンの使用に適している。このようなワクチン増強因子は、一般商用ワクチンと同時使用できるのみならず、別々に使用することも出来る。そして、ワクチン増強因子の内容物は、単一の遺伝子断片を使用してもよく、或いは複数個の遺伝子を連結した単一の核酸分子、又は多数の分子を使用する前に混合して一緒に使用してもよい。
【0020】
これらの所謂遺伝子断片は、通常将来ウイルス抗原蛋白としてエンコードできる遺伝子断片を指す、これらの抗原は将来禽類の体内で体液免疫及び細胞性免疫を誘導できるものである。従って、使用に際しては、胚胎卵内に適量のVAFを注射するだけで効果が得られる。本発明のVAFは、Embrex社のVNF製品と同じ長所があるが(例えば、従来のワクチンより安全且つ有効である)、しかし、VNFにおいて抗体を使用する方式とは全く異なるものである。
【0021】
さらに重要なことは、VAFは免疫反応を促進できるもので、その中には、抗体の細胞分泌生成や、付随するT細胞活性化及び毒殺型T細胞の活性化などを含むことである。一方、VNFは、ただ正常なワクチンの体内における複製を遅延させるだけである。本発明のVAFは、ワクチンのユーザーが一般生菌ワクチンを使用するとき、一層快速に免疫反応を起こさせ、一層高い量の抗体を生じさせる。又、VAFの使用は、移行抗体の干渉を受けることもない。従って、結論として、VAFは雛鶏孵化前の免疫力を促進できるのみならず、さらに長期間にわたって鶏の健康を増進すると共に、コストダウンすることが出来る。企業化された養殖鶏は、食物の重要な供給源となっている、従って、VAFの技術と適当な免疫戦略を組合わせれば、疾病感染による損失を効果的に減少することが出来る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明のワクチン増強因子(VAF)は、核酸断片又はDNA分子を含有する任意の免疫刺激物によって胚胎卵注射を行うことが出来るものである。VAFは一個又は複数個の構築されたDNA分子で、一つ一つのDNA構築物には一個のベクター及び外源性DNAを含んでおり、そして外源性DNAの部分は少なくとも一個(或いは一個以上)の禽類ウイルスの抗原性遺伝子を含んでいる。VAFはそれに含まれる遺伝子又はDNA断片によって刺激を助けたり、禽類にウイルス性ワクチンを使用した後、免疫保護効用を速やかに増進させたりすることが出来る。VAFには、四種類の形態がある、第一種類は、一個の外源性DNA断片を含み、この断片は禽類ウイルスの抗原性遺伝子である。この形態のVAFは、同じ禽類ウイルスに対して使用されるワクチンに増強及び強化作用をもたらす。第二種類も単一のDNA構築分子で、違うところは、この構築物内におけるウイルス抗原遺伝子断片は二つ(又は二つ以上)ある、簡単に言えば、この構築分子自体が“多価”効用のVAFを備えている。このVAF分子には一個のベクター分子しかないが、それに含まれるウイルス抗原遺伝子断片は二つ以上あるので、それによって免疫効果を増進されるウイルスワクチンも二種類以上に及ぶ。第三種類のVAFは、多重DNA VAFで、この形態のVAFは、それ自体が二種類以上の異なるDNA構築分子を持っており、一つ一つのDNA構築分子は一個のベクターにウイルス抗原遺伝子断片を含んでいる、このような多重DNA VAFには複数個の構築分子を含んでいるので、多種類の禽類ウイルスの免疫効果を増進することができ、従って、これも“多価”効用を備えている。
第四種類のVAFは、多重・多価VAFと呼ばれ、このVAFは、前述第二及び第三種VAFの総合体である、即ち、このようなVAF自体が複数の異なるDNA構築分子を備えており、そして、一つ一つの構築分子には又複数個ウイルスの抗原遺伝子を含んでいる、従って、多重多価VAFは、少なくとも三種類以上の異なる禽類ウイルス性ワクチンの免疫効果を増進できる。複数形態のウイルス性ワクチン(生菌・死菌又はゲノム組み換え型に限らず)をVAFに結合させて使用することが出来る。
これらのワクチンは、同時に又は段階的にVAFと一緒に使用することが出来、胚胎卵にVAF注射を行った後は、後続の従来型商用ワクチンの五分の一を使用するだけで、良好な効果が得られる。このVAF構築分子中のベクター部分はプラスミド(plasmid)又はウイルベクターである。プラスミドの例としては、pcDNA3 pVAX1 pSectag pTracer pDisply pUC系のプラスミド(例えば、pUC7、pUC8 pUC18)及びpGEM系のプラスミドを含み但しこれに限らない。或いは、CMVプロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター、及びβ-アクチンプロモーター等のプロモーターを含む任意のプラスミド、例えば、プラスミドpcDNA3、を使用してDNA構築物を調製してもよい。より好ましいウイルス・ベクターは、桿状ウイルス・疱疹ウイルス及び痘ウイルスによって構成されたグループの中から選ばれたものである。
【0023】
禽類ウイルスの例としては、マレク病ウィルス(MDV)・伝染性ファブリキュウス嚢ウィルス(IBDV)・ニューキャッスル疫病ウィルス(NDV)・伝染性気管支炎ウィルス(IBV)・伝染性喉気管炎ウィルス(ILTV)・禽類脳脊髄炎ウィルス(AEV)・禽類白血病ウイルス(ALV)・禽痘ウイルス(FPV)・禽類パラミソウィルス(APV)・アヒル肝炎ウイルス(DHV)・及び出血性腸炎ウィルス(HEV)があり、但しこれらに限らない。
【0024】
上記禽類ウィルス疾病に対抗する保護性免疫反応の誘導に特に適したDNA分子は、SEQ ID NO:1のDNAシーケンスを持つ完全なマレク病ウィルス(MDV)gB遺伝子若しくはその断片;SEQ ID NO:2のDNAシーケンスを持つ完全な伝染性ファブリキュウス嚢ウィルス(IBDV)VP2遺伝子若しくはその断片;SEQ ID NO:3のDNAシーケンス(塩基対6321から8319まで)を持つ完全なニューキャッスル疫病ウィルス(NDV)HN遺伝子若しくはその断片(即ち、SEQ ID NO:3はNDVの完全なゲノムである);SEQ ID NO:4のDNAシーケンスを持つ完全な伝染性気管支炎ウィルス(IBV)S1遺伝子若しくはその断片;SEQ ID NO:5のDNAシーケンスを持つ完全な伝染性喉気管炎ウィルス(ILTV)糖蛋白G遺伝子若しくはその断片;完全な禽類脳脊髄炎ウィルス(AEV)VP1・VP0又はVP3遺伝子若しくはその断片(VP1遺伝子にはSEQ ID NO:6のDNAシーケンスがあり;VP0遺伝子にはSEQ ID NO:7のDNAシーケンスがある;且つVP3遺伝子にはSEQ ID NO:8のDNAシーケンスがある);SEQ ID NO:9のDNAシーケンスを持つ完全な禽類パラミソウィルス(APV)副糖蛋白G遺伝子若しくはその断片;SEQ ID NO:10のDNAシーケンスを持つ完全な出血性腸炎ウィルス(HEV)A型ペントンベース(penton base) 遺伝子若しくはその断片;及びSEQ ID NO:11のDNAシーケンスを持つ完全な禽痘ウィルス(FPV)エンベロープ抗原遺伝子若しくはその断片があり、但しこれらに限らない。
VAFは、禽卵中、特に禽卵羊膜腔に注射するのが好ましい。前記卵は、受精後約17−19日のものが好ましく、より好ましい禽類は、鶏・七面鳥・アヒル及びガチョウがある。
【0025】
本発明は、禽卵にワクチンを接種する方法も提供する。前記禽卵にワクチンを接種する方法は、禽卵中に上記VAFを注射することを含む。前記VAFを調製する方法には、DNA分子をプラスミド若しくはウィルスベクターへ結合(ligating)させてDNA構築物を形成する方法と;及び次に前記二つ若しくは更に多くのDNA構築物を混合してVAFを形成する方法と、を含む。DNA分子をベクター内に取り込む手順は従来の方法によって達成できる、即ち、遺伝子及び所要ベクターの両方を同じ制限酵素で酵素切断して相補するDNA末端を産生させる場合、例えばT4 DNAリガーゼ( ligase )のような酵素を利用してDNA分子に連結する。PcDNA3に対する制限酵素としては、BamH1とEcoR1が常用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
従来の禽類ワクチンは、化学的に不活性化した生菌ワクチン若しくは改質した生菌ワクチンを含む。不活性化ワクチンは別途免疫化処理を必要とするので、製造コストが高くつくのみならず執行面でも煩雑である。更に、ある種の伝染性ウィルス粒子は不活性化処理後にも生き残って動物に投与した後疾病を誘発する可能性がある。
【0027】
全体的に見て、減毒生菌ウィルス・ワクチンの方が不活性化されたワクチンより好ましい、なぜなら、彼らはいつも同時に体液及び細胞の二種類の反応をベースとした免疫反応を誘導できるからである。これらのワクチンは、通常毒性ウィルス株を連続的に組織培養の中に通過させることを基礎としている。しかし、減毒プロセスはウィルスゲノムの突然異変を誘発し、毒性や免疫性質がお互いに異質な族群のウィルス粒子を招く。一方、従来の減毒生菌ワクチンは毒性を回復して接種された動物の疾病を爆発させ、及びその他の動物に対して病原を拡散させる可能性があることが良く知られている。
鶏の孵化後に行う免疫計画には、異なる時機に異なるワクチンを注射することが含まれる、期間は生後一日から65週間に至るまである、多くのワクチンはその期間中繰り返し注射しなければならない、その原因は、ワクチンの免疫活性の違いや、異なる段階に異なる経路で注射しなければならないことにある。
【0028】
しかしながら、幼少動物に注射する場合と同様に、卵内接種に使われるワクチン種毒は、既に毒性が順化され、一層安全になってはいるが、その反面、宿主を速やかに刺激して保護性免疫反応を起こさせる能力をも喪失している。この問題は、通常幼少動物体内に備わる移行抗体に関係があり、移行抗体は高減毒ワクチン種毒の体内における複製を干渉する。従って、徹底的に減毒したウイルス株ほど、移行抗体が存在する状況の下では、ある種の個体は免疫反応を刺激できず、免疫が無効になるような事情が良く発生する。
【0029】
養鶏事業者は、鶏群には高い量の移行抗体が普遍的に存在することを知っている、移行抗体の干渉があるからこそ、雛鶏の生後数週間以内に何回もワクチンを注射しなければならないのである。正常な状況下では、孵化後に使用されるワクチンは高減毒株であり、孵化後2週間から3週間の鶏は中級減毒株を使用する、このような方式を取る目的は、鶏が病原に接触する前に、全ての個体において、少なくとも一回は正確な免疫タイミングを持ちたいからである。このような方式で行う免疫計画は、養鶏事業では既に永年行われているが、それでも一定比率の鶏は適切な免疫保護を受けていないと一般に思われている。特に、第二回目の免疫注射の時機が間違っていて、特定鶏群中の移行抗体がまだ存在し、或いは第二回免疫剤の投与又は注射過程が不確実あるいは不一致な場合がそうである。
【0030】
従って、VAFを使用してワクチンの免疫効能を刺激且つ強化することは、養鶏事業にとっては極めて有益なことである、特に、VAFを受精後17−19日目の受精卵に注射すると効果がある。VAFには、受精卵の中で発現できる禽類ウイルスの遺伝子又はDNA断片を少なくとも一個又は一片含んでいるので、受精卵の中にVAFを注入すると、禽類ウイルスに対する初級免疫を誘導することが出来る。
【0031】
又、VAFを使用する時は、一般ワクチンの使用前に使ってもよく、同時に一般禽類ウイルスと併用してもよく、何れもそのウイルス・ワクチンの免疫効能を増進することが出来る。特に、VAFを合併使用して免疫させると、ワクチンの分量を従来分量の五分の一に減少しても、同じような免疫効果が得られる。さらに重要なことは、VAFを使用すると、免疫効果を達成する時間を短縮できる。
【0032】
尚、伝染性気管支炎ウイルス及びニューキャッスル疫病ウイルス・ワクチンのような良く知られている商用ウイルス性ワクチンは、胚胎注射には不適格である。その原因は、伝染性気管支炎ウイルスは鶏の胚胎に傷害を与え安いからで、又、ニューキャッスル疫病ウイルス・ワクチンは筋肉注射にしか適用できないからである。若しその病気に応じたVAF分子を使ってウイルス・ワクチン注射を行えば、効能を増進して全面的な予防を達成できる。
【0033】
VAFを調製する目的では、各遺伝子のDNAシーケンスには前記ポリペプチドDNAコードの全長を含む必要はない。大部分の状況においては、抗原決定部位領域の遺伝子断片をコードするだけで十分免疫化に役立つ。抗原決定部位領域のDNAシーケンスは、その他のウィルス株の対応部分を序列化(sequencing)し且つ交互比較することによって見つけ出すことができる。主な抗原決定部位は最大異質性(heterology)を示すブロックである可能性がある。又、これらの抗原決定部位領域は、蛋白質構造の違いによって異なる可能性もある。これらコードされた抗原決定部位の一つまたは更に多くの遺伝子断片は、化学的合成或はDNA組換え技術によって調製することができる。必要に応じて、これらの遺伝子断片を相互リンクさせ又はその他のDNA分子へリンクすることができる。
【0034】
又、ウィルス遺伝子はDNAであるとは限らない。事実上、ある種の良く見掛ける禽ウィルス疾病は、二本鎖或は一本鎖RNAウィルスによって引き起こされたものである。例えば、マレク病ウィルス(MDV)は二本鎖RNAウィルスで、伝染性ファブリキュウス嚢ウィルス(IBDV)・ニューキャッスル疫病ウィルス(NDV)及び伝染性気管支炎ウィルス(IBV)は全て一本鎖RNAウィルスである。しかしながら、RNAウィルス・シーケンスはRT-重合酵素連鎖反応(RT-PCR)技術を使ってDNAの中へ逆転写し、続いて従来のDNA組換え技術によってベクター内に取り込むことができる。
【0035】
尚、遺伝コードの転訳多重性のため、多くのRNA及びDNAシーケンスが異なり、しかし同じアミノ酸シーケンスとして転訳されている可能性がある。従って、抗体結合特性を持つポリペプチドの発現をもたらす全てのRNA及びDNAシーケンスは本発明に包括される。
【0036】
組換えVAF分子を構成する場合、単価或は多価に係わらず、ウィルス遺伝子のDNAシーケンスを自然界の無関係或いは連結していない他のDNA分子に連結することができる。必要に応じて、ウィルス遺伝子のDNAシーケンスを別のDNA分子、つまり、β-ガラクトーゼのようなフュージョン蛋白質シーケンスとしてコードされているDNAベクターに連結し、いわゆる組換え核酸分子或はDNA構築物をもたらし、適当な宿主へクローンすることができる。このようなベクターは、例えば、プラスミド或はバクテリオファージ・コスミド又はウィルス中に存在する核酸シーケンスから派生したものが好ましい。
【0037】
本発明の核酸シーケンスとしてクローンすることのできる特定のベクターは、いずれも従来から知られており、且つプラスミドやウィルス・ベクターを含む。プラスミドの例としては、pBR322、pcDNA3、pVAX1、pSectag、pTracer、pDisplay、pUC系統のプラスミド(例えば、pUC7、pUC8、pUC18)、pGEM系統のプラスミド、Bluescriptプラスミド又はCMVプロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター、及びβ-アクチンプロモーターを含有するその他任意のプラスミドを包括する、但しこれに限らない。好ましいプラスミドはpcDNA3である。ウィルス・ベクターの例としては、バクテリオファージ(例えば、λ及びM13-から派生したバクテリオファージ)、SV40、腺ウィルス(HVT)、ポリオーマ(polyoma)、桿状ウイルス、疱疹ウイルス(HVT)又はポックス・ウィルス(例えば、禽痘ウィルス)を含み、但しこれに限らない。
【0038】
核酸分子組換え構成に使用する方法はいずれもこの方面の技術者が知っているものである。例えば、核酸シーケンスをクローニング・ベクターに挿入することは、遺伝子及び所要のクローニング・ベクターに対して同じ制限酵素を使って酵素切断を行い、これによって相補するDNA末端が産生した時、T4 DNAのようなリガーゼを連結することによって容易に達成することができる。
【0039】
或は、限定酵素切断部位を改質してブラント・エンド(blunt end)を生じさせる必要があるかもしれないが、一本鎖DNAを酵素切断し、又は適当なDNAポリメラーゼを使用することによって潜性末端に注入して達成することが出来る。然る後、T4DNAのようなリガーゼを使ってブラント・エンド連結を行えばよい。必要な場合、リンカーをDNA末端に連結して任意の限定酵素切断部位を作ることもできる。これらのリンカーには、特定のオリゴヌクレオチド・シーケンスをコードした限定部位シーケンスを含むこともできる。制限酵素切断されたベクター及び核酸シーケンスもホモポリメリック・テイリング(homopolymeric tailing)によって改質することができる。
【0040】
本発明は四種類のVAFを提供する。第一種類のVAFは、単一DNA構築分子(単価VAFとも呼ぶ)を含み、一区切りのDNA分子断片及びベクター分子を含み、DNA分子断片は、禽類ウイルスの抗原性遺伝子或いは部分的断片であってよく、将来抗原ポリペプチドを発現し、保護性免疫効果を誘導することが出来る。この形態のVAFは、同じ禽類ウイルスを使用するワクチンに増進及び強化作用をもたらす。第二種類のVAFは、数個(二個又は以上)の単価VAFを含む、即ち、一つ一つのVAFが、異なるDNA分子を携帯し、異なるウイルスに対抗することができる。
【0041】
第三種類のVAFは、単一のDNA構築分子で、ただ違うところは、この構築物の中のウイルス抗原遺伝子断片には二つ(或いは以上)が並列して繋がっており、簡単に言えば、この構築分子自体に“多価”効用を備えたVAF(又は多価組み換えVAFと呼ぶ)を持っている。これらの遺伝子又は遺伝子断片は、プラスミド分子或いはウイルスによって携帯されることが出来る。この多価組み換えVAFは、二種類或いは二種類以上の抗原ポリペプチドを発現できるので、少なくとも二種類以上のウイルスに対する保護作用を提供することが出来る。これらの禽類ウイルスの例としては、マレク病ウィルス(MDV)・伝染性ファブリキュウス嚢ウィルス(IBDV)・ニューキャッスル疫病ウィルス(NDV)・伝染性気管支炎ウィルス(IBV)を含み、但しこれに限らない。これらの遺伝子や遺伝子断片は、正確にベクターの中に差し込まれると共に、アミノ酸コードの読み取り価に符合するので、何れも宿主の中に正確に発現することが出来る。
【0042】
異なる構造のDNA分子がベクターによって携帯される時は、それぞれ遺伝子のエンド・シーケンス及びスタート・シーケンスを備えたものであってよい、そうすれば、蛋白質は別々に発現できる、或いは同一オープン・リーディング・フレームの一部分でであっても良い、そうすれば、発現された蛋白はフュージョン蛋白の形式で現れる。第四種類のVAFは、単価VAF及び多価VAFを混合した後、一緒に使用するものである。
【0043】
これらの遺伝子断片は、下記ウイルス:マレク病ウイルス(MDV)、伝染性ファブリキュウス嚢病ウィルス(IBDV)、ニューキャッスル疫病ウィルス(NDV)、伝染性気管支炎ウィルス(IBV)、伝染性喉気管炎(ILTV)、禽脳脊髄炎ウィルス(AEV)、禽痘ウィルス(FPV)、禽流感ウィルス(AIV)、禽白血病ウィルス(ALV)、アヒル肝炎ウイルスB遺伝子及び出血性腸炎ウィルス(HEV)に由来することが出来、但しこれに限らない、且つ商業的に入手できるプラスミドの中に挿入することが出来る。
【0044】
好ましいDNAシーケンスとしては、SEQ ID NO:1のDNAシーケンスを持つ完全なマレク病ウィルス(MDV)gB遺伝子又はその断片;SEQ ID NO:2のDNAシーケンスを持つ完全な伝染性ファブリキュウス嚢ウィルス(IBDV)VP2遺伝子若しくはその断片;SEQ ID NO:3のDNAシーケンスを持つ完全なニューキャッスル疫病ウィルス(NDV)HN遺伝子若しくはその断片;SEQ ID NO:4のDNAシーケンスを持つ完全な伝染性気管支炎ウィルス(IBV)S1遺伝子若しくはその断片;を含み、但しこれにかぎらない。
【0045】
マレク病ウイルスとしてコードされたgBポリペプチドのDNAシーケンスは、SEQ ID NO:1の核酸シーケンスを持っている。前記DNAシーケンスは3650 bp塩基対のリニアDNAを含んでいる。
【0046】
伝染性ファブリキュウス嚢ウィルスVとしてコードされたVP2ポリペプチドのDNAシーケンスは、SEQ ID NO:1の核酸シーケンスを持っている。前記DNAシーケンスは、IBDV のRNAモデルから逆転写した3004 bp塩基対のリニアDNA分子を含んでいる。
【0047】
完全なニューキャッスル疫病ウィルス・ゲノムのDNAシーケンスは、15186 bps塩基対のDNAを含み、その内、(1)塩基対No.56から1792まではNPポリペプチドとしてコードされ、これはヌクレオカプシド蛋白である;(2) 塩基対No.1804-3244はPポリペプチドとしてコードされ、これはリン蛋白である;(3) 塩基対No.3256-4487はMポリペプチドとしてコードされ、これはマトリックス蛋白である;(4) 塩基対No.4489-6279はFポリペプチドとしてコードされ、これはフュージョン蛋白である;(5) 塩基対No.6321-8319はHNポリペプチドとしてコードされ、これはヘマグルチニン ノイラミニダーゼである;(6) 塩基対No.8370-15073はLポリペプチドとしてコードされ、これは大きい重合酵素蛋白質である。ニューキャッスル疫病ウィルス・ゲノムはSEQ ID NO:3のDNAシーケンスを持っている。
【0048】
SiポリペプチドのDNAシーケンスにはSEQ ID NO:4に示すような伝染性気管支炎ウィルスのRNAモデルから逆転写した1611 bp塩基対のリニアDNAシーケンスを含む。
【0049】
下記のVAF実験設計は範例としての説明であり、本発明の請求範囲を制限するものではない。本発明の範囲を逸脱せず、合理的な技術操作によって行うような合理的変更をなすことができる。
【0050】
I.材料及び方法
【0051】
(A) ウィルス及びワクチン
【0052】
禽類伝染性気管支炎ウィルス(IBV)・伝染性ファブリキュウス嚢病(IBD)及びニューキャッスル疫病(ND)のワクチンはIntervet Inc.から購入した。
【0053】
(B)ウィルスRNA分離及び逆転写重合酵素連鎖反応(RT-PCR)
【0054】
回収された減毒ワクチン(Intervet Inc.)200マイクロリットルを氷で冷やしたGTC緩衝液(4Mグアニデューム・イソチオシアネート、25Mmクエン酸ナトリュウム、pH7.0、0.5% Sarkosyl 、0.1Mメルカプトエタノール)及びソデュームアセテート(pH 4)の中で溶解した。等体積のフェノール・クロロフォルム(1:1)を加え且つかき混ぜた後氷の上に15分間放置した。遠心処理した後、水層を収集し且つ等体積のイソプロパノルでRNAを沈殿させた。4℃下にて12,000rpmで20分間遠心処理してRNAを沈着させ、分離した、然る後、ジエチルピロカーボネート(DEPC)で処理した脱イオン水の中に懸濁させ、且つ−70℃にて貯蔵した。
【0055】
(C)オリゴヌクレオチド
【0056】
逆転写重合酵素連鎖反応に使用するオリゴヌクレオチド・プライマー(primer)は、全てPromegaから購入し、且つそれぞれ禽類伝染性気管支炎ウィルス(Beaudette CK株)・ニューキャッスル疫病ウィルス(Lasota株)及び禽類伝染性ファブリキュウス嚢病ウィルスのゲノムに基づいて設計したものである。PCRに使用した諸プライマーのシーケンスは、
【0057】
IBS1F' 5' CGggatccgccgccgccATGTTGGTAACACCTCTT 3'; (SEQ ID NO:12)
IBS1R' 5' cgGAATTCttaacgtctaaaacgacgtgt 3'; (SEQ ID NO:13)
NDF F' 5' CGGGATCCGCCGCCGCCATGGGCTCCAGACCTTCTACC 3'; (SEQ ID NO:14)
NDF R' 5' CCGCTCGAGTTACATTTTTGTAGTGGCTCTCATT 3'; (SEQ ID NO:15)
NDHN F' 5' CGGGATCCGCCGCCGCCATGGACCGCGCCGTTAGGCAAG 3'; (SEQ ID NO:16)
NDHN R' 5' GCTCTAGATTACTCAACTAGCCAGACCTG 3'; (SEQ ID NO:17)
IBDVP2F' 5' CGGGATCCGCCGCCGCCATGACAAACCTGCAAGAT 3'; (SEQ ID NO:18)
IBDVP2R' 5' CGGAATTCTTACCTTATGGCCCGGATTAT 3'; (SEQ ID NO:19)
である。
【0058】
(D)逆転写重合酵素連鎖反応(RT-PCR)
【0059】
伝染性気管支炎ウィルス・ニューキャッスル疫病ウィルス及び伝染性ファブリキュウス嚢病ウィルスRNA逆転写は、42℃の2.5倍Taq緩衝液(200mM NaCl, 15mM Tris-HCl, pH7.4,, 15Mm MgCl2, 15mM β-メルカプトエタノール及びdATP, dCTP, dGTP, と dTTPをそれぞれ0.25 mM)の中で30分間行った。Taq緩衝液のほかに、反応混合物(40マイクロリットル)にもウィルスRNA、2.4 Uの禽類ミエロブラスト−ジス・ウィルス(AMV)逆転写酵素(Promega)・16 UのRNasin (Promega)及び0.01 ナノモル(nmol)のリバース・プライマー(IBDVP2R, NDF F, NDHN F 又は IBS1R)が含まれる。反応混合物最後の体積は40マイクロリットルであった。逆転写した後、逆転写混合物の中に下記の薬剤を加入した:各ヌクレオチド・トリホスフェート(dATP, dCTP, dGTP, dTTP)を0.02ナノモル、フォワード・プライマー(IBDVP2F, NDF R, NDHN R m又は IBS1F)を0.01ナノモル、及びTaq DNA重合酵素(Strategene)を 1.5 U。次に水を加えて100マイクロリットルの最後の体積とした。反応は、Thermal Cycler (Perkin Elmer-Cetus)の中で32サイクル進行した。一つ一つのPCRサイクルでは、94℃下における変質(denaturation)を1分間、57℃下における焼きなまし(annealing)を1分間、及び72℃下におけるDNAチェーン延長(elongation)を2分間行った。
【0060】
(E)DNAの構築
【0061】
伝染性ファブリキュウス嚢病ウィルス・ワクチン、伝染性気管支炎ウイルス・ワクチン及びニューキャッスル疫病ウィルス・ワクチンのVP2, S1, NDF及びNDHN等からそれぞれ取得した遺伝子を使用してプラスミドpCMV-VP2, pCMV-S, pCMV-NDF及びpCMV-NDHNを構成し、市販のプラスミドpcDNA3(Invitrogen, U.S.A.)の下流に放置した。制限酵素BamH1, EcoR1, Xbal及びXholを使用して全ての遺伝子をpcDNA3ベクター内に挿入した(プライマー・シーケンス中のアンダーラインされたアルファベット)。pcDNA3ベクター内にある全ての遺伝子シーケンスは二方向シーケンシングによって検証した。
【0062】
(F)DNA調製及びDNA注射
【0063】
アフィニティークロマグラフィー(Qiagen. Inc.)によって純化されたプラスミドDNAの定量は、260及び280ナノメーターの吸光光度分析計で測定した。各100マイクログラム分量のDNAを100マイクロリットルのPBS中(0.14 M 塩化ナトリュウム, 10Mm燐酸ナトリュウム、Ph7.4)に懸濁した。DNAライブラリーに対しては、20号1及び1/2インチ針の1cc注射器を使用した。卵内注射組に対しては、一つ一つの卵の大きい端から針で気室を貫通して0.1マイクロリットルのDNAワクチン(各100マイクログラム)を胚胎内(鶏小屋トレイから取った生後18日の受精且つ発育中の卵)に注射した。次にこれらの卵を孵化場へ移し、且つ約21日目に孵化するまでそこに置いた。IM(筋肉内)組に対しては、全てのワクチン(1/5分量の生菌ワクチン)は孵化後10日目に鶏の胸肉内に注射した。
【0064】
II.実験設計
【0065】
特定の無病原(SPF)受精卵(n=60)をランダムに12組に分けた。全ての組の全ての卵(一組5個)にそれぞれ100マイクロリットル体積の試験剤を与えた。A組の一つ一つの卵に100マイクログラムのpCMV-NDV+100マイクログラムのpCMV-NDHN混合物を注射し、B組の一つ一つの卵に100マイクログラムのpCMV-S1を注射し、C組の一つ一つの卵に100マイクログラムのpCMV-VP2を注射し、D組の一つ一つの卵に100マイクログラムのpCMV-NDF+100マイクログラムのpCMV-NDHN+100マイクログラムのpCMV-S1(ND+IB)を注射し、E組の一つ一つの卵に100マイクログラムのpCMV-NDF+100マイクログラムのpCMV-NDHN+100マイクログラムのpCMV-VP2(ND+IBD)を注射し、F組の一つ一つの卵に100マイクログラムのpCMV-VP2+100マイクログラムのpCMV-VP2混合物(ND+IBD)を注射し、G組の一つ一つの卵に100マイクログラムのpCMV-NDF+100マイクログラムのpCMV-NDHN+100マイクログラムのpCMV-S1+100マイクログラムのpCMV-VP2(ND+IB+IBD)を注射し、対照組としてのH組の一つ一つの卵に1分量の市販卵内ワクチン(Embrex, Inc.)を注射し、I, J, K及びL組の一つ一つの卵に100マイクロリットルのPBSを注射した。この実験の中の全ての鶏は、全て孵化後10日目に鶏の胸肉内に100マイクロリットルの体積(1/5分量の生菌ワクチン)を注射した。A及びI組中の鶏に対しては、NDVワクチンを注射した、B及びJ組に対しては、IBVワクチンを注射した、C及びK組に対しては、IBDVワクチンを注射した、D組に対しては、NDV+IBワクチン混合物を注射した、E組に対しては、NDV+IBDワクチン混合物を注射した、F組に対しては、IB+IBDワクチン混合物を注射した、且つG及びL組に対しては、NDV, IB 及びIBDワクチン混合物を注射した。
【0066】
III.人工胚胎卵注射の操作手順
【0067】
胚胎卵注射の方式は、自動注射器(例えばEmbrex Inovoject(登録商標)system)又は人工注射によって行うことが出来る。人工胚胎卵注射の操作手順は下記の通りである。
1.精卵・汚染卵・顛倒卵及び汚れた卵を蝋燭の光でより分けて捨て、胚胎卵注射時の細菌汚染を避ける。
2.気室のある一端を希釈した漂白液で消毒する(蒸留水で漂白液を10倍希釈し、最終濃度を0.5%とする)、一番いいのは、使用直前に消毒液を調製して、綿玉に消毒液をしみこませ、受精卵の気室のある一端を拭いて消毒する、ヨードチンキを消毒剤の代替品としてもよい、消毒能力は次亜塩素酸に及ばないが、胚胎卵が清潔であれば、必ずしも次亜塩素酸を使用しなくてもよい。
3.卵の頂端表面が乾いてから(約5分間)、卵体の表面(特に頂端)に70%イソプロピルアルコールを噴射し、再び自然乾燥してから、1インチ半の18号針で、気室頂端の中央に穴を開ける、深さは4分の1インチから2分の1インチを限度とする、深さのコントロールは、針の先端から適当な位置にゴムを嵌めて制限し、行過ぎによる傷つけを避ける。この小さな穴は、ワクチン又はVAFを注射するためで、注射する時は、針の方向を垂直に出し入れすること、角度に少しでも傾斜があってはならない、正常に孵化させるには、この通りに行わなければならない。
4.AFを注射する時、1mlの注射針を使用するのが最も好ましい、注射針は20号、長さ1インチの針を使用すること、多価又は多重多価VAFを注射する場合は、各DNA分子を混合する時無菌操作を保つよう注意すること。VAFが無菌状態を保っているかどうかを確認するには、0.5mlのVAFサンプルを一般に慣用される血液培養皿やトリプシン培養皿のような細菌培養皿に注入して培養してみるとよい。
5.一般商用生菌ワクチンによって胚胎注射する場合は、0.1ml注射すること、VAFと合併使用する場合は、少量(20マイクロリットルまで減少できる)のワクチンで同じような免疫効能を達成できる。
【0068】
IV.血清学的検査
【0069】
孵化後10日目(同時に低分量の生菌ワクチン注射を使用)、17日目・24日目及び31日目に全ての血清サンプルを収集した。抗体力価は、IDEXX Laboratories, Inc.から購入したIB, IBD, 及びNDV抗体検査キットでELISA検査を行った。全てのサンプルは二重に検査された。検定する前に、サンプル希釈剤を使って検査サンプルを500倍(1:500)に希釈した。キットのマニュアルに基づいて検査手順を踏んだ。検定を正確にするため、測定と共に650ナノメーターにおける吸光度値A(650)を記録した。未知のサンプル中の相対的抗体の含有量はサンプルの陽性サンプル(S/P)比例を計算して測定したものである。終点の力価は、公式:Log10力価 = 1.09(Log10S/P)+ 3.36を使って算出した。
【0070】
V.結果
【0071】
表1に示すように、実験の結果、アンチ伝染性ファブリキュウス嚢病抗体に対する検査では、伝染性ファブリキュウス嚢病ウイルス組換え抗原VP2 (VP2 DNA construct ie., a single, monovalent DNA contruct-containing VAF)は、原発性刺激を受けた後、発現され且つ作用すること示した。低分量のワクチンを追加すると、力価は速やかに増加した。孵化後17日目で(つまり、IM注射後7日目)、C, E, F 及びG組などでは、力価が明らかにKやL組の力価より高かった。最も重要なことは、伝染性ファブリキュウス嚢病ウイルス抗原の発現はその他の単価DNAワクチン(ニューキャッスル疫病ウィルス及び伝染性気管支炎ウイルス)に干渉されることがないことである。伝染性気管支炎ウイルス及びニューキャッスル疫病ウィルスDNAワクチンについても同様の結果が出た。孵化後17日目で、B, D, F及びG組などの力価はずべてJ及びL組の力価より高かった(表2)。且つ孵化後17日目で、A, D, E 及びG組などの力価は全てI及びL組の力価より高かった(表3)。ただ一つ予想外な結果は、アンチ・ニューキャッスル疫病ウィルスの力価は三価DNAワクチンでは高度に誘導できないことである(表3、G組)、しかしながら、アンチ・伝染性ファブリキュウス嚢病及びアンチ伝染性気管支炎では、それができるのである(表1及び2、G組)。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
【表3】

【0075】
本発明は、実際の例によって具体的論述を行ったが、本発明の請求範囲はこの実例に限られるものではなく、むしろ各技術面での修飾を含むものである。従って、特許請求の範囲は、広範囲の解釈及び各種の修飾を包括するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一個又はそれ以上のDNA構築分子を含み、前記DNA構築分子には、一個のDNA分子及びベクターを含み;前記DNA分子には、少なくとも一個の遺伝子又は遺伝子断片を含み;これらの遺伝子又は遺伝子断片は、それぞれ禽類ウイルス抗原性を有するポリペプチドをコーディングできる、従って、ウイルス・ワクチンの免疫保護効果を刺激することが出来ることを特徴とする卵内注射に使用するワクチン増強因子。
【請求項2】
前記ワクチン増強因子には、一個のDNA構築物を含み、前記DNA構築物中のDNA分子には一個の遺伝子又は遺伝子断片を含むことを特徴とする請求項1に記載のワクチン増強因子。
【請求項3】
前記ワクチン増強因子には、一個のDNA構築物を含み、前記DNA構築物中のDNA分子には一個以上の遺伝子又は遺伝子断片を含むことを特徴とする請求項1に記載のワクチン増強因子。
【請求項4】
前記ワクチン増強因子には、一個以上のDNA構築物を含み、前記DNA構築物中のDNA分子には一個以上の遺伝子又は遺伝子断片を含むことを特徴とする請求項1に記載のワクチン増強因子。
【請求項5】
前記ワクチン増強因子には、一個以上のDNA構築物を含み、前記DNA構築物中のDNA分子には一個又は二個又は二個以上の遺伝子又は遺伝子断片を含むことを特徴とする請求項1に記載のワクチン増強因子。
【請求項6】
前記禽類ウイルスは、マレク病ウイルス(MDV)、伝染性ファブリキュウス嚢病ウィルス(IBDV)、ニューキャッスル疫病ウィルス(NDV)、伝染性気管支炎ウィルス(IBV)、伝染性喉気管炎(ILTV)、禽脳脊髄炎ウィルス(AEV)、禽白血病ウィルス(ALV)、禽痘ウィルス(FPV)、禽類パラミソウィルス(APV)・アヒル肝炎ウイルス(DHV)・及び出血性腸炎ウィルス(HEV)によって構成されたグループの中から選ばれたことを特徴とする請求項1に記載のワクチン増強因子。
【請求項7】
前記ベクターは、プラスミド又はウイルス・ベクターであることを特徴とする請求項1に記載のワクチン増強因子。
【請求項8】
前記プラスミドは、pcDNA3 pVAX1 pSectag pTracer pDisply pUC系のプラスミド(例えば、pUC7、pUC8 pUC18)及びpGEM系のプラスミドによって構成されたグループの中から選ばれたことを特徴とする請求項7に記載のワクチン増強因子。
【請求項9】
前記プラスミドには、CMVプロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター、及びβ-アクチン・プロモーター等のプロモーターによって構成されたグループの中から選ばれたことを特徴とする請求項8に記載のワクチン増強因子。
【請求項10】
前記ウイルス・ベクターは、バクテリオファージ、SV40、腺ウィルス、ポリオーマ(polyoma)、桿状ウイルス、疱疹ウイルス(HVT)又はポックス・ウィルス(例えば、禽痘ウィルス)によって構成するグループから選ばれ、但しこれに限らないことを特徴とする請求項7に記載のワクチン増強因子。
【請求項11】
前記DNA分子は、SEQ ID NO:1のDNAシーケンスを持つ完全なマレク病ウィルス(MDV)gB遺伝子又はその断片を有することを特徴とする請求項1に記載のワクチン増強因子。
【請求項12】
前記DNA分子は、SEQ ID NO:2のDNAシーケンスを持つ完全な伝染性ファブリキュウス嚢ウィルス(IBDV)VP2遺伝子若しくはその断片を有することを特徴とする請求項1に記載のワクチン増強因子。
【請求項13】
前記DNA分子は、SEQ ID NO:3の中で、塩基対6321から8319までのDNAシーケンスを持つ完全なニューキャッスル疫病ウィルス(NDV)HN遺伝子若しくはその断片を有することを特徴とする請求項1に記載のワクチン増強因子。
【請求項14】
前記DNA分子は、SEQ ID NO:4のDNAシーケンスを持つ完全な伝染性気管支炎ウィルス(IBV)S1遺伝子若しくはその断片を有することを特徴とする請求項1に記載のワクチン増強因子。
【請求項15】
前記DNA分子は、SEQ ID NO:5のDNAシーケンスを持つ完全な伝染性喉気管炎ウィルス(ILTV)糖蛋白G遺伝子若しくはその断片を有することを特徴とする請求項1に記載のワクチン増強因子。
【請求項16】
前記DNA分子は、完全な禽類脳脊髄炎ウィルス(AEV)VP1・VP0又はVP3遺伝子若しくはその断片であり;前記VP1遺伝子はSEQ ID NO:6のDNAシーケンスを有し;前記VP0遺伝子はSEQ ID NO:7のDNAシーケンスを有し;且つ前期VP3遺伝子はSEQ ID NO:8のDNAシーケンスを有することを特徴とする請求項1に記載のワクチン増強因子。
【請求項17】
前記DNA分子は、SEQ ID NO:9のDNAシーケンスを持つ完全な禽類パラミソウィルス(APV)副糖蛋白G遺伝子若しくはその断片を有することを特徴とする請求項1に記載のワクチン増強因子。
【請求項18】
前記DNA分子は、SEQ ID NO:10のDNAシーケンスを持つ完全な出血性腸炎ウィルス(HEV)A型ペントンベース(penton base) 遺伝子若しくはその断片を有することを特徴とする請求項1に記載のワクチン増強因子。
【請求項19】
前記DNA分子は、SEQ ID NO:11のDNAシーケンスを持つ完全な禽痘ウィルス(FPV)エンベロープ抗原遺伝子若しくはその断片を有することを特徴とする請求項1に記載のワクチン増強因子。
【請求項20】
前記ワクチン増強因子は、禽類の胚胎の中に注入することを特徴とする請求項1に記載のワクチン増強因子。
【請求項21】
前記ワクチン増強因子は、胚胎の羊膜腔内に注入することを特徴とする請求項20に記載のワクチン増強因子。
【請求項22】
前記ワクチン増強因子は、ウイルス・ワクチンと同時に胚胎注射できることを特徴とする請求項20に記載のワクチン増強因子。
【請求項23】
前記ワクチン増強因子は、ウイルス・ワクチンを使用する前に胚胎注射できることを特徴とする請求項20に記載のワクチン増強因子。
【請求項24】
前記卵は、受精後17−19日目の卵であることを特徴とする請求項29に記載のワクチン増強因子。
【請求項25】
前記ウイルス・ワクチンは、禽類の減毒した生菌ワクチン、不活性化ワクチン、又は遺伝子組み換えDNAワクチンによって構成されたグループから選ばれてよいことを特徴とする請求項1に記載のワクチン増強因子。
【請求項26】
前記ウイルス・ワクチンは、禽類の孵化時及び孵化後に使用してよいことを特徴とする請求項23に記載のワクチン増強因子。
【請求項27】
禽類ウイルス性ワクチンの使用に当たっては、建議分量の5分の1でよいことを特徴とする請求項26に記載のワクチン増強因子。
【請求項28】
前記禽類は、鶏・七面鳥・アヒル及びガチョウによって構成されたグループから選ばれたことを特徴とする請求項20に記載のワクチン増強因子。
【請求項29】
禽類ウイルス性感染に対する免疫方法は、請求項1に記載のワクチン増強因子を、有効薬剤量でウイルス・ワクチンと併用し、胚胎卵の羊膜腔内に注入する方法を含む。
【請求項30】
前記受精卵は、受精後約17−19日目のもであることを特徴とする請求項29に記載の免疫方法。
【請求項31】
禽類ウイルス性感染に対する免疫方法は、請求項1に記載のワクチン増強因子を、有効薬剤量で受精後約17−19日目の胚胎卵の羊膜腔内に注入し、且つ孵化後にウイルス・ワクチン免疫を行う方法を含む。

【公表番号】特表2006−524192(P2006−524192A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501303(P2006−501303)
【出願日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/013937
【国際公開番号】WO2004/100877
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(505392282)シュヴァイツァー ケミカル コーポレーション リミティッド (1)
【Fターム(参考)】