説明

移動する紙ウェブの速度を測定する装置及び方法

対向する第1及び第2の面を有し移動する紙ウェブ(140)の2次元速度を測定する装置(100)であって、前記第1の面に向けられ、前記紙ウェブ(140)を通して光を透過させるよう配置された少なくとも1つの光源(120)、前記第2の面に向けられ、前記透過光を受け前記紙ウェブ(140)の一部の2次元画像を生じるように配置された少なくとも1つの画像取得装置(110)、前記少なくとも1つの光源(120)及び少なくとも1つの画像取得装置(110)を制御し、前記少なくとも1つの画像取得装置(110)から2次元画像を受けとるように配置され、2つの2次元画像の相互相関を計算することにより機械方向と横方向の双方又は一方における前記紙ウェブ(140)の速度成分を演算するように配置された演算手段(150)を含む制御ユニット(130)を備えることを特徴とする装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙の分野、特に移動する紙ウェブ(paper web)の2次元速度を測定する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙生産においては、ツインワイヤフォーミング及びフォードリニアフォーミングが2つの一般的な技術である。ツインワイヤフォーミングでは、抄紙機は、ヘッドボックス、ツインワイヤニップ、内側と外側の移動ワイヤ及びフォーミングロールを含む。ヘッドボックスは、パルプ懸濁液の流れを調整するリップを有している。パルプ懸濁液は、噴流となってヘッドボックスを出てニップに向かう。その後、懸濁液は、内側と外側のワイヤの間に収容され、フォーミングロールで脱水される。フォードリニアフォーミングでは、懸濁液は、噴流となってヘッドボックスを出て、単一移動ワイヤを含むフォーミングテーブル上に載る。ハイブリッド機は、フォードリニアとツインワイヤとの双方の特徴を有する。
【0003】
本願では、パルプ懸濁液を含んで移動する1又は複数のワイヤを移動する紙ウェブという。移動する紙ウェブのパルプ懸濁液は、紙ウェブ内で相対的に移動し、その速度が変化し、その結果、紙ウェブの厚さの変動を生じる。これは、紙ウェブ内の1点での局部的速度が観察領域に対して変化することを意味する。「機械方向」という表現は、紙ウェブの移動に平行な方向をいい、「横方向」は、紙ウェブの移動に垂直な方向をいう。
【0004】
移動する紙ウェブの種々の特性、例えば形成特性(繊維凝集等)、面重量(surface weight)分布又は観察領域での平均速度を測定することは、本分野で知られている。これらの特性は、紙ウェブ全体で、横方向と機械方向の双方で変化する。形成特性の変動は紙質の尺度であるが、速度の変化は、パルプが延ばされているか、又は繊維が不均一で正しく整列されていないことを意味し、これは最終製品の質にも影響する。
【0005】
従来、このような測定は、1以上の光源を紙ウェブに向け、1以上の撮像素子(CCDカメラ等)を紙ウェブの機械方向に位置づけ、紙ウェブ表面で反射される光をとらえることにより行われている。こうして、画像処理技術を用いて関心のある特性を分析することができる。
【0006】
Soederberg L. D. 著「SOFA - STFI On-line Forming analyzer」(第10回 Control Systems Conference、ストックホルム、2002年)という論文は、反射光ではなく透過光を用いて移動する紙ウェブの特性を測定する方法を示している。光源と撮像素子は紙ウェブの反対側に置かれ、撮像素子は、紙ウェブを透過した光をとらえる。測定は、機械方向でのみ行われている。画像からワイヤのパターンを除去する方法も示されている。
【0007】
日本の特開2003−213585号は、透過光を用いて紙質を監視する装置を開示しており、ここでは、2以上のカメラを紙ウェブの上方で横方向に置くことができる。この装置は、観察領域の平均速度を測定する。
【0008】
米国特許第6118132号は、材料の移動表面又はウェブにおける速度、変位及び歪みを測定するシステムを開示している。このシステムは、機械方向に沿って所定距離離れた2つの光感知器配列を含んでいる。2つの配列からの画像が比較され、ウェブ表面での特有パターンの変位が測定され、所望パラメータの計算に用いられる。使用されるのは、反射光である。この装置は、観察領域における平均速度、変位及び歪みを測定する。
【0009】
米国20060171725号は、シートの画像を記録するために光学感知器を用いる2次元検出システムについて記載しており、これによってシートの速度と方向を測定する。この装置は、観察領域における平均速度、変位及び歪みを測定する。
【0010】
上記従来技術による単なる平均速度の測定は、実時間で紙ウェブの局部的な測定と調整を可能にするという問題を解決していない。
【0011】
したがって、生産の効率性及び最終製品の品質保証のために、移動する紙ウェブの2次元速度を測定する更に効率的で正確な方法に対する要望がまだ存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、移動する紙ウェブの2次元の、すなわち機械方向及び横方向の双方の速度を測定する改良した方法及び装置を提供することである。移動する紙ウェブ、すなわちパルプ懸濁液の速度は、流れの状況による。この流れは、紙ウェブ中の相対的な位置に応じて変化し、縁の正確な調整のためには、紙ウェブの異なる位置での局部的測定を組み合わせる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一つの態様によれば、測定とこれに続くヘッドボックスの調整は実時間で行われる。用語「実時間」及び「実時間調整」が意図しているのは、測定から0〜10sの間隔内で、例えば1s未満で入力をヘッドボックスに与えるという意味である。前記時間長は、ウェブの速度と共にヘッドボックスと測定装置との距離に依存している。したがって、時間長は、通常ウェブの長さで決定される。
【0014】
したがって、ヘッドボックスの縁(lip)は、2次元的にウェブ速度を調整する。これに加え、局部的な面重量を測定し、調整に利用してもよい。本発明を用いて実時間で測定された面内変動及び時間的変動は、生産経済学の根底であるので、極めて重要である。以下で説明する本発明を用いることにより、最終生産物の滑らかさが保証される。
【0015】
本発明の一つの態様によれば、移動する紙ウェブの速度を測定する装置が提供される。装置は、紙ウェブの第1の面に向けられ紙ウェブを通して光を透過させるよう配置された少なくとも1つの光源を含む。加えて、装置は、ウェブの第2の面に向けられ透過光を受けて前記紙ウェブの一部の2次元画像を生じるように配置された少なくとも1つの画像取得装置を含む。更に、装置は、少なくとも1つの画像取得装置から2次元画像を受けとるように配置された制御ユニットを含む。制御ユニットは、2つの2次元画像の相互相関を計算することにより機械方向と横方向の双方又は一方における紙ウェブの速度成分を演算するよう配置された演算手段を備える。
【0016】
光源は、連続光又は閃光を放射する。後者の場合、画像を取得するときにのみ、光を放射する。光源は、フォーミングテーブル、ヘッドボックス又は廃液スリットに統合してもよい。
【0017】
一つの実施形態では、取得装置は紙ウェブを横断し、これによって1つの取得装置でウェブの領域を実質的に覆い、測定領域の相対的移動に関するデータを供給する。
【0018】
本発明の他の態様によれば、上述の移動ウェブ速度を測定する少なくとも一つの装置を含む抄紙機が提供される。
【0019】
本発明の一つの態様によれば、抄紙機は、演算された速度成分を移動する紙ウェブの速度を測定する1以上の前記装置から受け取り、演算された前記速度成分を前記ヘッドボックスの制御に使用するよう配置され、機械方向と横方向の双方又は一方で紙ウェブ速度の実時間調整を行う。
【0020】
本発明の更に他の態様によれば、移動する紙ウェブの2次元速度を測定する方法が提供される。この方法は、次の段階を含む。
a)少なくとも1つの光源から前記紙ウェブを通して光を透過させる段階、
b)少なくとも1つの画像取得装置を用いて透過光を取得する段階、
c)段階b)で取得した透過光に基づき前記紙ウェブの一部の第1の2次元画像を生じる段階、
d)再度、少なくとも1つの光源から前記紙ウェブを通して光を透過させる段階、
e)再度、少なくとも1つの画像取得装置を用いて前記透過光を取得する段階、
f)段階e)で取得した透過光に基づき前記紙ウェブの一部の第2の2次元画像を生じる段階、
g)第1及び第2の画像の相互相関を計算して機械方向と横方向の双方又は一方における紙ウェブの速度成分を演算する段階。
【0021】
本発明の実施形態によれば、速度成分を演算する段階(上記段階g)は、第1の画像から第1の質問領域を、第2の画像から第2の質問領域を抽出することを含む。2つの画像は順次取得され、時間差dtだけ離れており、これはウェブの少なくとも一部が双方の画像に再生されるよう十分に小さくなければならない。そして、第1及び第2の質問領域間で相互相関を実行し、相対的移動量dxを決定する。最後に、紙ウェブの速度成分をdx/dtとして計算する。
【0022】
本出願を通じて、用語「画像取得装置」は、一つの画像又は一連の画像を取得できる全ての種類の装置、例えば、写真フィルム使用のカメラ、CCDカメラ、光感知器アレー、ビデオカメラ等を包含することを意図している。カラー及びモノクロ装置の双方(例えば、カラーカメラ及び白黒カメラ)が考えられている。
【0023】
用語「光源」は、光を放射できる任意の種類の装置、例えば、伝統的な電球、発光ダイオード(LED)、蛍光灯、白熱電球、キセノンアーク灯等を包含することを意図している。パルス状及び連続的光源の双方が考えられている。
【0024】
上記のように、用語「移動する紙ウェブ」は、主として、パルプ懸濁液を含んで移動する単一の又は複数のワイヤを指している。
【発明の効果】
【0025】
本発明の効果は、速度測定用に相互相関技術と共に透過光を用いることにより、公知の解決策に比して演算がより高速でより正確に行われることである。後者は、前記ヘッドボックスの実時間調整に道を譲ることとなる。
【0026】
本発明の更なる効果は、横方向の速度測定が可能になることであり、ウェブの一様でない張力等を、横方向移動を考慮していない公知の解決策よりも更に正確に検出することが可能となる。
【0027】
本発明の一つの実施形態では、移動する紙ウェブの2次元速度の測定は、局部的な面重量の測定を伴う。この実施形態によれば、ヘッドボックスは、その縁の調整用の帰還データを受け取り、ウェブの2次元速度が局部的な面重量の調整に用いられる。このウェブの全体的評価により、生産される紙製品の品質が保証される。
【0028】
本発明は、フォードリニア式、ツインワイヤ式及びハイブリッド式抄紙機に等しく適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の特徴と効果は、以下の具体的な説明と次のような添付図面とから更に明らかとなる。
【図1】単一の画像取得装置を用いた、本発明の一つの実施形態による装置を示す。
【図2】数個の画像取得装置が横方向に配置された、本発明の第2の実施形態による装置を示す。
【図3】本発明の一つの態様による抄紙機を示す。
【図4】数個の速度測定装置が異なる位置に配置された、本発明の一つの実施形態による抄紙機を示す。
【図5】本発明の一つの態様による、移動ウェブの速度を測定する方法を示す流れ図である。
【図6】本発明の実施形態による相互相関演算を示す。
【図7】装置の、1つの紙ウェブ上(A)と2つの紙ウェブ間(B)の配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
具体的な説明
ここで図1を参照すると、本発明の一実施形態による紙ウェブ140の速度を測定する装置100が図示されている。装置100は、単一の画像取得装置110(CCDカメラ等)、単一の光源120及び制御ユニット130を含む。制御ユニット130は、演算手段150を含む。画像取得装置110は、ウェブ140の少し上に位置し、単一の光源120は、ウェブ140の少し下に位置して画像取得装置110に対向する。動作時には、制御ユニット130が画像取得装置110に画像取得指示信号を送る。同時に、制御ユニット130は、光源120に光パルス放射指示信号を送る。光源120から放射された光は、ウェブ140を透過し、画像取得装置110によって取得され、第1画像を生じる。短い時間dtの後、制御ユニット130は、画像取得装置110及び光源120に再度信号を送り、第2画像を生じる。制御ユニット130は、少なくともウェブ140の或る部分が両方の画像に取り込まれる時間間隔dtを選択するようになっている。制御ユニット130は、両画像を受信し、2つの画像に基いて速度を演算するよう演算手段150に指示する。最後に、演算手段150は、2つの画像間の相互相関を用いて演算を行う。相互相関演算は、図6に関連して以下で更に詳しく説明する。
【0031】
この代わりに、光源120を連続的なもの(すなわち、ウェブ140を通して光を常時透過させるもの)としてもよく、この場合、制御ユニット130から光源120への信号は不必要となる。
【0032】
本発明の一つの実施形態では、時間分解された速度測定が行われる。換言すれば、画像取得装置110は、絶えず画像を取得するよう、制御ユニット130から指示される。演算手段150は、連続する画像の各対に関する相互相関により速度を演算する。
【0033】
ここで、図2を参照すると、本発明の他の実施形態による、紙ウェブ140の速度を測定する装置200が図示されている。この装置は、ウェブ140の横方向に沿って位置する4個の画像取得装置210と、同様にウェブ140の横方向に沿って位置して画像取得装置210に対向する4個の光源220とを用いる。この形態では、ウェブ140の幅全体に亘るよう画像取得装置210を位置づけることが有利であり、これによって横方向の測定がより信頼できるものとなる。
【0034】
図2は、4個の画像取得装置と4個の光源とを有する構成を示しているが、任意の数の装置を用いることができる。特に、画像取得装置の数は、1つの光源又は複数の光源が十分な明るさを生じるよう配置されている限り、光源の数より多くとも少なくともよい。
【0035】
また、図1に関連して上述したものと同様に、この形態でも時間分解された速度測定を行うことが可能である。
【0036】
図3は、本発明の一つの態様による抄紙機300を示しており、図2に示された速度測定装置を含んでいる。抄紙機300は、パルプが流れでるヘッドボックス310と、抄紙機300の種々のパラメータや状況の制御に用いる処理手段320とを含む。動作時、制御ユニット130は、機械方向と横方向の双方又は一方について演算した速度に関する情報を処理手段320に送る。処理手段320は、この情報をヘッドボックス310の制御に使用する。特に、横方向の薄片状の開口と希釈度との双方又は一方の変動を処理手段320で調整することができる。
【0037】
図4は、本発明の一つの実施形態による抄紙機400を示し、機械方向で異なる位置にある2個の速度測定装置を含んでいる。第1の装置は、画像取得装置及び光源410並びに制御ユニット430を含む。第2の装置は、画像取得装置及び光源420並びに制御ユニット440を含む。制御ユニット430及び440は、共に処理ユニット320に接続されている。この代わりに、取得装置及び光源が紙ウェブを横断するように調整してもよい。この場合、必要な装置は1つであるが、数個の横断装置を用いてもよい。
【0038】
当然、2以上の速度測定装置を用いることができ、抄紙機400の種々の位置にこの装置を置くことができる。一つの好適な実施形態では、速度測定装置を抄紙機400のフォーミングテーブルの要素として統合することができる。例えば、装置を吸引スロットに統合することができる。一つの実施形態では、取得装置と光源の双方又は一方をヘッドボックスに置く。他の実施形態では、光源を紙ウェブの下の廃液ストリップに統合し、廃液ストリップは、透明で、好適に清掃容易であるプレキシガラスのような材料で製作する。
【0039】
好適には、この1つ又は複数の装置を抄紙機400のヘッドボックスと乾燥部の間の適当な位置に配置する。
【0040】
図5は、本発明の一つの態様による移動ウェブ速度測定方法を示す流れ図である。この方法は、少なくとも1つの光源から紙ウェブを通して光を透過させる段階501で始まる。段階502では、少なくとも1つの画像取得装置を用いて透過光をとらえる。段階503では、段階502でとらえた透過光に基いて紙ウェブの一部に対する第1の2次元画像を生じる。そして、段階504〜506で第2の2次元画像を生じる。段階504では、(段階501と同様に)少なくとも1つの光源から紙ウェブを通して再度光を透過させる。段階505では、(段階502に対応して)少なくとも1つの画像取得装置を用いて透過光をとらえる。段階506では、段階505でとらえた透過光に基いて紙ウェブの一部に対する第2の2次元画像を生じる。最後に、段階505では、機械方向と横方向の双方又は一方における紙ウェブの速度成分を前記第1及び第2の画像の相互相関計算によって算出する。
【0041】
本方法は、段階508aで示されているように、任意の回数(例えば、1分間に1回、1時間に1回、又は不定期な時間間隔で)繰り返してもよい。
【0042】
(図1に関連して上述したような)時間分解測定を行う本発明の実施形態では、代わりに、段階508bで本発明を継続する。段階508bでは、段階506で得た第2の2次元画像を新たな第1の2次元画像とする。そして、段階504〜506が再度実行され、新たな第2の2次元画像を生じ、新たな第1及び第2の画像を用いて段階507で新たな演算を行う。換言すれば、段階507の演算は、連続して得られた2つの最新の画像を用いて常時行われる。
【0043】
図6は、本発明の一つの実施形態による相互相関演算を示している。時間間隔dtをおいて2つの画像610及び620が取得されている。画像610では生地の急激な変化が見られる。同じ生地の変化が画像620でもとらえられているが、画像間の時間差のため僅かにずれている。相互相関演算は、画像610及び620から質問領域といわれる比較的小さな部分を抽出することから始まる。図6では、4個の質問領域612、614、622及び624が示されている。そして、相互相関は、抽出された質問領域の対で行われる。図6は、質問領域612と622の間の相互相関を示している。両領域612及び622に生じるパターン(すなわち、この例では生地の変化)を検出することにより、移動量dxを決定することができる。そして、速度がdx/dtとして計算される。
【0044】
図7は、本発明の一つの態様を示しており、抄紙機700は2つの紙ウェブ140を含み、画像取得装置110がその間に位置し、光源120、121が各々互いに反対側に、それぞれ紙ウェブの上方と下方に位置している。時間分解速度測定は、この配置では、図1に関連して上述したものと同じように行われる。
【0045】
上述の方法は、機械方向と横方向の双方で用いることができる。
【0046】
製紙に関連して本発明を説明したが、当業者であれば理解できるように、同じ装置と方法を移動ウェブ又はシート材料の速度測定が望まれる任意の状況に等しく適用できる。
【0047】
上記の具体的な説明は、本発明を例示し、理解を容易にするためのものであり、限定するものと解されてはならない。当業者には、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、代替的な実施形態が明らかとなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1及び第2の面を有し移動する紙ウェブ(140)の2次元速度を測定する装置(100)であって、
a)前記第1の面に向けられ、前記紙ウェブ(140)を通して光を透過させるよう配置された少なくとも1つの光源(120)
b)前記第2の面に向けられ、前記透過光を受け前記紙ウェブ(140)の一部の2次元画像を生じるように配置された少なくとも1つの画像取得装置(110)
c)前記少なくとも1つの光源(120)及び少なくとも1つの画像取得装置(110)を制御し、前記少なくとも1つの画像取得装置(110)から2次元画像を受けとるように配置され、2つの2次元画像の相互相関を計算することにより機械方向と横方向の双方又は一方における前記紙ウェブ(140)の速度成分を演算するように配置された演算手段(150)を含む制御ユニット(130)
を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
更に局部的な面重量の測定を含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記紙ウェブの横方向に連続して位置する少なくとも2つの画像取得装置(210)を含む、請求項1記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つの横断式画像取得装置(210)を含む、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記画像取得装置が紙ウェブの横方向全幅に亘って画像を生じるよう配置されているか、又は配置可能である、請求項1、3又は4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記制御ユニットは、前記少なくとも1つの画像取得装置の各々に第1及び第2の画像を立て続けに取得させて前記紙ウェブの少なくとも一部が第1及び第2の画像の双方に再生されるように配置され、前記演算手段は、前記第1及び第2の画像の相互相関を計算するよう配置されている、請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光源の各々が2つのパルス光を異なる2つのスペクトル部分で放射するように配置され、前記少なくとも1つの画像取得装置が前記透過光から異なる2つのスペクトル部分を取得し2つの対応する画像を生じるよう構成されており、前記演算手段が前記2つの対応する画像間で相互相関を計算するように配置されている、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記制御ユニットが前記1以上の画像取得装置に連続的画像取得を指示するよう配置されている、請求項1又は6に記載の装置。
【請求項9】
前記制御ユニットは、更に、演算された前記速度成分を演算手段から受け取り、演算された前記速度成分を抄紙機に帰還信号を送るために使用するよう配置され、前記帰還信号が機械方向と横方向の双方又は一方で紙ウェブ速度の実時間調整を行うように構成されている、請求項1、6又は8に記載の装置。
【請求項10】
ヘッドボックス(310)及び処理手段(320)を含むことを特徴とする抄紙機であって、請求項1から6までのいずれかに記載の移動する紙ウェブ(210、130)の速度を測定する装置を少なくとも1つ含むことを特徴とする抄紙機。
【請求項11】
前記装置の少なくとも1つがフォーミングテーブル、ヘッドボックス又は廃液ストリップに統合されている、請求項10記載の抄紙機。
【請求項12】
前記処理手段(320)は、演算された前記速度成分を移動する紙ウェブ(210、130)の速度を測定する1以上の前記装置から受け取り、演算された前記速度成分を前記ヘッドボックス(310)の制御に使用するよう配置され、機械方向と横方向の双方又は一方で紙ウェブ速度の実時間調整を行う、請求項10と11のいずれかに記載の抄紙機。
【請求項13】
移動する紙ウェブの速度を測定する方法であって、
d)少なくとも1つの光源から前記紙ウェブを通して光を透過させる段階、
e)少なくとも1つの画像取得装置を用いて前記透過光を取得する段階、
f)段階b)で取得した透過光に基づき前記紙ウェブの一部の第1の2次元画像を生じる段階、
g)再度、少なくとも1つの光源から前記紙ウェブを通して光を透過させる段階、
h)再度、少なくとも1つの画像取得装置を用いて前記透過光を取得する段階、
i)段階e)で取得した透過光に基づき前記紙ウェブの一部の第2の2次元画像を生じる段階、
j)前記第1及び第2の画像の相互相関を計算して機械方向と横方向の双方又は一方における前記紙ウェブの速度成分を演算する段階
を含む方法。
【請求項14】
段階b及びeが時間差dtだけ離れており、dtは前記移動する紙ウェブの少なくとも一部が第1及び第2の画像の双方に再生されるよう十分に小さい、請求項13記載の方法。
【請求項15】
段階a〜gが任意の回数繰り返される、請求項13又は14記載の方法。
【請求項16】
更に、
h)段階fで得られた第2の2次元画像を新たな第1の2次元画像とする段階、
i)段階d〜hを任意回数繰り返す段階
を含む、請求項13又は14記載の方法。
【請求項17】
段階gが、
k)前記第1の画像から第1の質問領域を抽出する段階、
l)前記第2の画像から第2の質問領域を抽出する段階、
m)前記第1及び第2の質問領域間で相互相関を行い、相対的移動量dxを決定する段階、
n)機械方向と横方向の双方又は一方で前記紙ウェブの速度成分を演算する段階
の下位段階を含む、請求項13又は15に記載の方法。
【請求項18】
計算された前記速度成分を機械方向と横方向の双方又は一方で紙ウェブ速度の実時間調整を実行するために用いる付加的段階を含む、請求項13から17までのいずれかに記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2010−532829(P2010−532829A)
【公表日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516006(P2010−516006)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【国際出願番号】PCT/SE2008/050806
【国際公開番号】WO2009/008814
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(510006495)エステーエフイー・スコクスインドゥストリンス・テクニスカ・フォルスクニングスインスティトゥート・アクチボラゲット (1)
【氏名又は名称原語表記】STFI, Skogsindustrins Tekniska Forskningsinstitut AB
【Fターム(参考)】