説明

移動ガイド手段を備える商品陳列トレイ及び移動ガイド手段

【課題】商品陳列トレイの一対の収納室を連通させる部分における柱状商品の移動をよりスムーズに行うことが可能で、しかも商品陳列トレイを大型化させることのない移動ガイド手段を備える商品陳列トレイ及び移動ガイド手段を提供する。
【解決手段】商品陳列トレイ10の後端連結部内に位置させた揺動部材22に、左右一対の着力部28、29と、この一対の着力部の間に位置する整列ガイド面27とを形成し、一対の着力部は、その一方が左右の収納室のいずれか一方にある柱状商品W3により後方に押圧されたとき、その他方が他方の収納室内にある柱状商品W4を前方に押し出し、整列ガイド面は、一方の着力部28を後方に押した柱状商品W3がその後に係合したとき、揺動部材を左右の着力部が左右方向に並ぶ中立位置に復帰させる移動ガイド手段(20)を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面円形の柱状商品(例えば缶や瓶)を陳列するための移動ガイド手段を備える商品陳列トレイ及び移動ガイド手段に関する。
【背景技術】
【0002】
瓶や缶等の柱状商品を陳列するためのオープンケース型の陳列棚は、その構造上、開いた手前側から商品を補充するようになっている。ところで、販売者としては、賞味期限や消費者の心証を考慮して、補充した順序の早い、すなわち古い商品を確実に売りたいという要求(いわゆる先入れ先出し)がある。しかし、手前側から商品を補充するオープンケース型の陳列棚では新しい商品を補充すると以前から陳列されていた商品は奥に追いやられてしまい、先に入れた商品ほど売れるのが遅くなるという、いわゆる先入れ後出し現象が起こる。また冷蔵商品で先入れ後出しがなされると、長く陳列されていて冷えている商品は奥に位置する一方で、補充した直後で冷えていない商品が手前に出てしまうという不具合もある。このような不具合を解消するには、商品補充の度に、以前から入っているものを手前側に出し、新しいものを奥側に入れるという手間を経なければならず、作業効率が悪かった。
そこで本出願人は、前後方向に並べた柱状商品の底面を支持する商品載置面と、柱状商品を前後方向に移動可能に案内する直進ガイド面と、を有する左右に並ぶ一対の平行な収納室を備え、この一対の収納室の前端部と後端部を連通部でそれぞれ連通し、この連通部において柱状商品を一方の収納室から他方の収納室側に移動可能とした商品陳列トレイを発明した(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−142925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし特許文献1の商品陳列トレイは、後端側の連通部における柱状商品の移動を円滑にするための手段に関してまだ改良の余地がある。
【0004】
本発明の目的は、商品陳列トレイの一対の収納室を連通させる部分における柱状商品の移動をよりスムーズに行うことが可能で、しかも商品陳列トレイを大型化させることのない移動ガイド手段を備える商品陳列トレイ及び移動ガイド手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の移動ガイド手段を備える商品陳列トレイは、左右一対の収納室と、該左右一対の収納室の後端部を連通させる後端連通部と、を備え、断面円形の柱状商品が左右の収納室の間を上記後端連通部を通って移動可能な商品陳列トレイと、この商品陳列トレイの後端連結部内に位置させて、上下方向の揺動軸に揺動可能に支持した揺動部材と、を具備し、この揺動部材は、その左右の端部にそれぞれ、左右一対の上記収納室の延長上にそれぞれ位置する一対の着力部と、この一対の着力部の間に位置する整列ガイド面とを備え、上記一対の着力部は、その一方が左右の収納室のいずれか一方にある柱状商品により後方に押圧されたとき、その他方が他方の収納室内にある柱状商品を前方に押し出し、上記整列ガイド面は、一方の着力部を後方に押した柱状商品がその後に係合したとき、上記揺動部材を、左右の上記着力部が左右方向に並ぶ中立位置に復帰させることを特徴としている。
【0006】
上記整列ガイド面に係合している柱状商品が上記一方の収納室の後端部に位置する柱状商品によって後方に押圧されたときに、該整列ガイド面に係合していた柱状商品を、この柱状商品の循環方向側に位置する一方の上記着力部の直前に移動させるガイド面を上記商品陳列トレイまたは移動ガイド手段に形成するのが好ましい。
【0007】
さらに、上記一対の着力部の少なくとも一方が曲面であるのが好ましい。
【0008】
さらに、上記一対の収納室の上記柱状商品の底面を支持する商品載置面に、柱状商品の移動方向に沿って、上記柱状商品の径より幅が狭い案内溝を形成するのが好ましい。
【0009】
また、本発明の移動ガイド手段は、左右一対の収納室と、該左右一対の収納室の後端部を連通させる後端連通部と、を備え、断面円形の柱状商品が左右の収納室の間を上記後端連通部を通って移動可能な商品陳列トレイの上記後端連通部に設ける移動ガイド手段であって、上下方向の揺動軸に揺動可能に支持した揺動部材と、この揺動部材の左右の端部にそれぞれ設けた、左右一対の上記収納室の延長上にそれぞれ位置する一対の着力部と、上記揺動部材の一対の着力部の間に形成した整列ガイド面と、を備え、上記一対の着力部は、その一方が左右の収納室のいずれか一方にある柱状商品により後方に押圧されたとき、その他方が他方の収納室内にある柱状商品を前方に押し出し、上記整列ガイド面は、一方の着力部を後方に押した柱状商品がその後に係合したとき、上記揺動部材を、左右の上記着力部が左右方向に並ぶ中立位置に復帰させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一対の収納室を連通させる後端連通部における缶や瓶等の柱状商品の移動をスムーズに行うことが可能なので、商品のいわゆる先入れ先出し状態を簡単に実現できる。
さらに、移動ガイド手段は上下方向の揺動軸回りに一回転するものではなく、狭い範囲で時計回り及び反時計回りに揺動するだけなので、商品陳列トレイにおける移動ガイド手段を設けるためのスペースを極めて小さく出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
まず、図1〜11を参照しながら本発明の第1の実施形態について説明する。なお、以下の説明における前後方向及び左右方向は図1の矢線に示した方向とする。
上面が開放された箱状体である商品陳列トレイ10は、例えば図示を省略した冷蔵ショーケース内に固定するものであり、前面板11、左側面板12、右側面板13、後面板14、底面板15及び前面が略円弧形状の後部上板16を一体的に備えている。底面板15の後端部は半円形状であり、この底面板15の後端部と後面板14の下端部の間には隙間17が形成してある。さらに底面板15には、長方形の前後両端部にそれぞれ半円を接続した形状(陸上トラックのような形状)の商品載置面18が形成してある。この商品載置面18は断面円形の柱状商品である缶W0〜W8を載置する部分であり、図5及び図6に示すように商品載置面18には、商品載置面18の外形と相似する形状の案内溝18aが多数凹設してある。これら各案内溝18aは、缶W0〜W8の径より幅が狭い有底溝であり、缶W0〜W8が商品載置面18上を円滑に移動するようにするためのものである(図1〜図3では案内溝18aの図示を省略している)。
底面板15の左右方向の中央部には前後方向に延びるガイド板19が突設してある。商品陳列トレイ10の内部は、このガイド板19の左側部分である左側収納室CLと、ガイド板19の右側部分である右側収納室CRと、ガイド板19の前方において左側収納室CLと右側収納室CRの前端部どうしを連通する前端連通部CAと、ガイド板19の後方において左側収納室CLと右側収納室CRの後端部どうしを連通する後端連通部CBと、に区画してある。左側収納室CLと右側収納室CRの幅(左右寸法)は同一であり、その幅は缶W0〜W8と略同一(僅かに大きい)である。
【0012】
次に商品陳列トレイ10に着脱可能な移動ガイド手段20の構造について説明する。
移動ガイド手段20はベース部材21及び揺動部材22を備えている。ベース部材21の左右寸法は、左側面板12と右側面板13の内面間寸法(左右寸法)と同じであり、ベース部材21の前面は略円弧形状のガイド面23となっている。さらにベース部材21の上面にはガイド面23に沿って略円弧形状の係合突起24が突設してある。係合突起24の後面の曲率は後部上板16の前面の曲率と同一である。略円弧形状の揺動部材22はベース部材21の直下に位置しており、ベース部材21(係合突起24)を上下方向に貫通する揺動軸25が揺動部材22の中央部を回転可能に支持している。26は揺動部材22が揺動軸25の下方に抜け出すのを阻止するワッシャである。揺動部材22の上面はベース部材21の下面に回転可能に接触している。揺動部材22の前面は略円弧状の整列ガイド面27を構成しており、揺動部材22の左端面は曲面からなる被押圧面(着力部)28であり、揺動部材22の右端面は曲面からなる押圧面29(着力部)である。
以上の構造の移動ガイド手段20は、商品陳列トレイ10の上面開口から商品陳列トレイ10内部の後端部に挿入した後に商品陳列トレイ10の内面に取り付ける。具体的には、ベース部材21の上面(係合突起24を除く部分)が後部上板16の下面に接触し、係合突起24の後面全体が後部上板16の前面全体に当接し、かつベース部材21の後面が後面板14の前面に接触する状態で商品陳列トレイ10に取り付ける。ベース部材21の左右寸法と左側面板12と右側面板13の内面間寸法が同一なので(ベース部材21の左右両側面が左側面板12と右側面板13の内面につっぱるので)、意図的に移動ガイド手段20を動かさない限り、移動ガイド手段20が商品陳列トレイ10に対して移動することはない。
【0013】
次に移動ガイド手段20を装着した商品陳列トレイ10の動作について説明する。
本実施形態の商品陳列トレイ10の商品載置面18には計10本の缶W0〜W8を並べて載置可能である。図3は、中身の生産年月日及び賞味期限が同一の8本の缶W1〜W8を商品載置面18に載置した状態を示しており、左側収納室CLに3本の缶(缶W1、缶W2、缶W3)を前後方向に並べて陳列し、右側収納室CRに4本の缶(缶W5、缶W6、缶W7、缶W8)を前後方向に並べて陳列し(缶W1と缶W7、缶W2と缶W6、缶W3と缶W5はそれぞれ左右方向に並んでいる)、後端連通部CBの中央部に1本の缶W4を陳列している。商品陳列トレイ10の商品載置面18には、さらに左側収納室CLの前端部と、前端連通部CAの中央部に缶を陳列可能である。
このように図3の状態では左側収納室CLの前端部に缶を陳列していないので、この部分に、既に陳列してある各缶W1〜W8より新しい(中身の生産年月日が新しく賞味期限が先である)缶W0を陳列できる。このように他の缶W1〜W8より新しい缶W0を左側収納室CLの前端部に陳列すると、缶W0が商品陳列トレイ10の前端側に位置するいわゆる「先入れ後出し状態」になってしまうので、この缶W0は商品陳列トレイ10の最も奥側(後端連通部CB部分)に移動させる必要がある。
【0014】
缶W0を後端連通部CBまで移動するには、まず左側収納室CLの前端部に入れた缶W0を後方に押圧する。すると、缶W0がその直後に位置する缶W1を後方に押圧し、さらに缶W1が缶W2を後方に押圧し、缶W2が缶W3を後方に押圧する。缶W0を後方に押圧する直前においては、図7に示すように後端連通部CBに位置する缶W4の後端面が揺動部材22の整列ガイド面27の中央部に当接しており(このとき、揺動部材22の被押圧面28と押圧面29は左右方向に並ぶ中立位置に位置している)、さらに缶W3と缶W5が左右方向に並んでいる。このとき仮に移動ガイド手段20が存在しないと、缶W3から缶W4に缶W4を右側に移動させる力が伝わりにくく、そのため各缶W0〜W8の移動が不円滑になることが経験的に知られている。しかし移動ガイド手段20を具備する本実施形態では、缶W0の後方への押圧動作に伴って缶W3が缶W4を押圧すると、缶W4が揺動部材22を図7の反時計方向に回転させながらガイド面23に沿って右前方に移動し、やがて缶W4が揺動部材22の押圧面29に当接し、さらに缶W3が揺動部材22の被押圧面28に当接する(図8参照)。さらに缶W3が後方に移動すると、缶W3がガイド面23に沿って移動しながら揺動部材22の被押圧面28を後方に押圧するので、揺動部材22が図8の時計方向に回転する。すると、この動きに伴って揺動部材22の押圧面29が缶W4を前方に押圧するので、やがて揺動部材22の被押圧面28と押圧面29が左右方向に並び、かつ缶W3と缶W4が左右方向に並ぶ(図9参照)。この状態から缶W3がさらに後方に移動すると、缶W3がガイド面23に沿って移動しながら揺動部材22の被押圧面28をさらに後方に押圧するので、揺動部材22が時計方向に回転し、揺動部材22の押圧面29が缶W4をさらに前方に押圧する(図10参照)。そして、缶W0が缶一本分だけ後方に移動したとき(図3において缶W1が位置している位置まで移動したとき)、ガイド面23に沿って移動してきた缶W3の後端面が揺動部材22の整列ガイド面(整列ガイド面)27の中央部に当接するので、揺動部材22の被押圧面28と押圧面29が再度左右方向に並び(揺動部材22が中立位置に位置し)、さらに缶W2と缶W4が左右方向に並ぶ(図11参照)。
このように缶W4が缶一本分移動すると、缶W5、缶W6、缶W7、缶W8がその直後に位置する缶によって前方に押圧されるので、それぞれの缶W5〜W8が缶一本分だけ前方に移動する(缶W8は前端連通部CAの中央部に移動する)。
このように各缶W0〜W8の位置が缶一本分だけ時計回りに移動したら、前端連通部CAの中央部に移動してきた缶W8を左側収納室CLの前端部に移動させて(缶W0に接触させる)、さらに、この缶W8を缶一本分だけ後方に移動させる。すると、各缶がさらに一本分だけ時計回りに移動するので、このような手順で缶Wを4本分時計回りに移動させれば、他の缶に比べて新しい商品である缶W0を後端連通部CBまで(図7における缶W4の位置まで)移動させることが出来る。
【0015】
以上説明したように商品陳列トレイ10に移動ガイド手段20を設ければ、商品載置面18上に載置された各柱状商品(缶)を円滑に移動(循環)させることができるので、商品のいわゆる先入れ先出し状態を簡単に実現できる。
さらに、本実施形態の移動ガイド手段20は一回転するものではなく、揺動軸25回りに狭い範囲で時計回り及び反時計回りに揺動するだけなので、商品陳列トレイ10における移動ガイド手段20を設けるためのスペースは極めて小さくて済む。従って、移動ガイド手段20を設けたことにより商品陳列トレイ10の後端部(移動ガイド手段20を設けるための部分)の幅(左右方向寸法)が大きくなることはない(商品陳列トレイ10の後端部の幅は商品陳列トレイ10の前部の幅と変わらない)。また、移動ガイド手段20を設けないことを前提に設計した商品陳列トレイ10の後端部に比べて、本実施形態の商品陳列トレイ10の後端部の前後長の増加量はごく僅かに抑えることが可能である。
さらに、被押圧面28と押圧面29を曲面として形成してあるので、被押圧面28と押圧面29の缶W0〜W8との回転接触動作は円滑に行われる。従って、揺動部材22の揺動動作が不円滑になることはない。
【0016】
また、商品載置面18に形成した各案内溝18aは缶W0〜W8を各案内溝18aに沿って案内する効果を発揮する。さらに商品載置面18に案内溝18aを形成したことにより、商品載置面18を単なる扁平面(案内溝18aがない平面)とした場合に比べて各缶と商品載置面18の間の摩擦抵抗を低減している。従って、各缶W0〜W8は商品載置面18上を極めて円滑に移動可能である。
さらに本実施形態では平面視において各缶を時計方向に移動(循環)させているが、各缶を反時計方向に移動(循環)させることが可能なのは勿論である。この場合は揺動部材22の右端面29が缶によって押圧される被押圧面となり、揺動部材22の左端面28が缶を押圧する押圧面として機能する。
【0017】
次に本発明の第2の実施形態について図12〜図24を参照しながら説明する(前後方向及び左右方向は図12の矢線に示した方向を基準とする)。なお、第1の実施形態と同じ部材には同じ符合を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の商品陳列トレイ30も前面板11、左側面板12、右側面板13、後面板14、底面板15(商品載置面18)、後部上板16、隙間17及びガイド板19を備えている。但し、この商品陳列トレイ30は同種の商品陳列トレイ30と左右方向に接続するための構造を具備している。即ち、右側面板13の前端部と後端部には有底の係合溝31と係合溝32が形成してある。さらに、右側面板13の前後方向の中央部には、その後方部分に比べて凹んでいる係合凹部33が形成してある。一方、左側面板12の前端部と後端部には、係合溝31と係合溝32にそれぞれ対応する形状の係合突起35と係合突起36が突設してあり、さらに係合凹部33と対応する係合凸部37が突設してある。
従って、図13に示すように、左側の商品陳列トレイ30の係合溝31と係合溝32と係合凹部33に右側の商品陳列トレイ30の係合突起35と係合突起36と係合凸部37をそれぞれ上方から係合すれば、左右の商品陳列トレイ30の上面が連続する状態で2つの商品陳列トレイ30どうしを接続できる。さらに、同様の手順により3つ以上の商品陳列トレイ30を左右方向に接続することが可能である。また、右側に位置する商品陳列トレイ30を上方に移動させることにより、左側の商品陳列トレイ30から右側の商品陳列トレイ30を簡単に取り外すことができる。
さらに、本実施形態の後面板14の前面の中央部の上半部には左右対称形状をなす断面円弧状の一対の保持板40と保持板41が突設してある。図示するように、保持板40と保持板41の上下寸法は後面板14の上下寸法の半分より短い。さらに後面板14の前面における保持板40と保持板41の間には、その前端である接触線43(稜線)が後面板14の前面と同一平面上に位置する三角柱形状の中央突起42が形成してある。また、後面板14と後部上板16の間の角部の左右方向の中央部には係合孔45が穿設してある。
【0018】
本実施形態の移動ガイド手段50は、平面視略円弧形状の揺動部材51と、揺動部材51の後面中央部に突設した接続部52と、接続部52の後端に接続した半円柱形状の枢着部(揺動軸)53とを有している。この枢着部53の上下寸法は、保持板40及び保持板41の下端面と底面板15の間の上下寸法より短い。揺動部材51の前面には整列ガイド面55が形成してあり、揺動部材51の左端面と右端面はそれぞれ曲面状の被押圧面(着力部)56と押圧面(着力部)57になっている。さらに、枢着部53の後面の上端部には円錐を半分に割った形状の係合突起59が突設してある。
図12、図18及び図19に示すように、この移動ガイド手段50は、商品陳列トレイ30の上面開口から商品陳列トレイ30内に挿入する。そして、その枢着部53を保持板40及び保持板41の下方から保持板40と保持板41と中央突起42(接触線43)とで囲まれた空間に挿入し、係合突起59の下面を係合孔45の底面に弾性係合させることにより商品陳列トレイ30に装着する。このようにして移動ガイド手段50を商品陳列トレイ30の後端部に装着すると、図16に示すように枢着部53の周面が保持板40及び保持板41の内周面に接触し、枢着部53の後面が中央突起42の接触線43と線接触するので、移動ガイド手段50は枢着部53の扁平な後面が中央突起42の左右両側面に接触する範囲内で左右方向に揺動可能になる。さらに、図15に示すように係合突起59の下面が係合孔45の底面に弾性係合するので、係合突起59と係合孔45の係合を意図的に解除しない限り、移動ガイド手段50が商品陳列トレイ30から不意に抜け落ちることはない。
【0019】
以上構成の本実施形態では、図20に示すように被押圧面56と押圧面57が左右方向に並び整列ガイド面55に缶W4が接触する状態(第1の実施形態の図3及び図7に相当する状態)において、商品陳列トレイ30の左側収納室CLの前端部に載置した缶W0(図12〜図24では図示略)を後方に押圧すると、缶W4が移動ガイド手段50を図20の反時計方向に回転させながら後部上板16の略円弧状の前面(ガイド面)に沿って右前方に移動して押圧面57と接触し、缶W3が被押圧面56に接触する図21の状態(第1の実施形態の図8に相当する状態)となる。缶W0をさらに後方に押圧すると、缶W3が被押圧面56に接触したまま後部上板16の前面に沿って移動し、移動ガイド手段50の被押圧面56と押圧面57が左右方向に並び、かつ缶W4が押圧面57に接触する図22(第1の実施形態の図9に相当する状態。このとき缶W3と缶W4も左右方向に並ぶ)の状態となる。さらに、缶W3が後部上板16の前面に沿って移動しながら被押圧面56を押圧すると、移動ガイド手段50が時計方向に回転し、押圧面57が缶W4を前方に押圧する図23の状態(第1の実施形態の図10に相当する状態)となる。そして、缶W0が缶一本分だけ後方に移動したときに、缶W3が移動ガイド手段50の整列ガイド面55の左右2カ所に接触するので被押圧面56と押圧面57が再度左右方向に並び、かつ缶W2と缶W4が左右方向に並ぶ図24の状態(第1の実施形態の図11に相当する状態)になる。
従って、第1の実施形態と同じ要領によって缶W0を後端連通部CBまで移動(循環)させることが可能である。
【0020】
以上説明したように本実施形態の商品陳列トレイ30と移動ガイド手段50によっても、商品載置面18上に載置された各缶を円滑に移動(循環)させることができる。
さらに本実施形態においても、移動ガイド手段50を設けるために必要な商品陳列トレイ30内のスペースは極めて小さいので、移動ガイド手段50を設けることによって商品陳列トレイ30の後端部の左右寸法が大きくなることはない。また、移動ガイド手段50を設けたことによって生じる商品陳列トレイ30の後端部の前後長の増加量はごく僅かである。
なお本実施形態においても、各缶を反時計方向に移動(循環)させることが可能であり、この場合は移動ガイド手段50の右端面57が缶によって押圧される被押圧面となり、移動ガイド手段50の左端面56が缶を押圧する押圧面として機能する。
【0021】
以上本発明を第1及び第2の実施形態を利用して説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、様々な変更を施しながら実施可能である。
例えば、第1の実施形態の移動ガイド手段20のベース部材21を商品陳列トレイ10と一体的に成形してもよい。
さらに、第2の実施形態の商品陳列トレイ30に第1の実施形態の移動ガイド手段20を装着して実施することは勿論可能であり、第1の実施形態の商品陳列トレイ10(保持板40、保持板41、中央突起42及び係合孔45を形成する)に第2の実施形態の移動ガイド手段50を装着して実施することも勿論可能である。
また商品陳列トレイ10及び商品陳列トレイ30は、その前面板11を商品名等を表示した広告表示面として利用することが可能である。
また、本発明の商品陳列トレイ10及び商品陳列トレイ30に載置できるのは缶には限られず断面円形の柱状商品であれば瓶等も当然に陳列可能である。また、商品陳列トレイ10及び商品陳列トレイ30は冷蔵ショーケースに取り付けて使用する以外にも様々な態様で使用可能であり、例えば、他の食品容器、あるいはシャンプーや整髪料など様々な商品の陳列用に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態の商品陳列トレイを前方から見た斜視図である。
【図2】商品陳列トレイと移動ガイド手段の前方から見た分解斜視図である。
【図3】商品陳列トレイに缶を陳列した状態を示す斜視図である。
【図4】商品陳列トレイの後端部と移動ガイド手段を下方から見た斜視図である。
【図5】商品陳列トレイの平面図である。
【図6】図5のVI-VI矢線に沿う断面図である。
【図7】移動ガイド手段の働きを説明するための商品陳列トレイの後端部及び移動ガイド手段の平面図である。
【図8】図7の状態から各缶が平面視で時計方向に移動したときの図7と同様の平面図である。
【図9】図8の状態から各缶がさらに時計方向に移動したときの図7と同様の平面図である。
【図10】図9の状態から各缶がさらに時計方向に移動したときの図7と同様の平面図である。
【図11】図7の状態から各缶が一本分だけ時計方向に移動したときの図7と同様の平面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態の商品陳列トレイと移動ガイド手段の前方から見た分解斜視図である。
【図13】2つの商品陳列トレイを接続した状態を示す前方から見た分解斜視図である。
【図14】商品陳列トレイと移動ガイド手段の平面図である。
【図15】図14のXV-XV矢線に沿う断面図である。
【図16】図15のXVI-XVI矢線に沿う断面図である。
【図17】移動ガイド手段の中央部分の平面図である。
【図18】商品陳列トレイの後端部と移動ガイド手段を後方から見た分解斜視図である。
【図19】商品陳列トレイの後端部と移動ガイド手段を前方から見た斜視図である。
【図20】移動ガイド手段の働きを説明するための商品陳列トレイの後端部及び移動ガイド手段の平面図である。
【図21】図20の状態から各缶が平面視で時計方向に移動したときの図20と同様の平面図である。
【図22】図21の状態から各缶がさらに時計方向に移動したときの図20と同様の平面図である。
【図23】図22の状態から各缶がさらに時計方向に移動したときの図20と同様の平面図である。
【図24】図20の状態から各缶が一本分だけ時計方向に移動したときの図20と同様の平面図である。
【符号の説明】
【0023】
10 商品陳列トレイ
11 前面板
12 左側面板(直進ガイド面)
13 右側面板(直進ガイド面)
14 後面板
15 底面板(載置面)
16 後部上板
17 隙間
18 商品載置面
18a 案内溝
19 ガイド板(直進ガイド面)
20 移動ガイド手段
21 ベース部材
22 揺動部材
23 ガイド面
24 係合突起
25 揺動軸
26 ワッシャ
27 整列ガイド面
28 被押圧面(着力部)
29 押圧面(着力部)
30 商品陳列トレイ
31 32 係合溝
33 係合凹部
35 36 係合突起
37 係合凸部
40 41 保持板
42 中央突起
43 接触線
45 係合孔
50 移動ガイド手段
51 揺動部材
52 接続部
53 枢着部(揺動軸)
55 整列ガイド面
56 被押圧面(着力部)
57 押圧面(着力部)
59 係合突起
CA 前端連通部
CB 後端連通部
CL 左側収納室
CR 右側収納室
W0〜W9 缶(柱状商品)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の収納室と、該左右一対の収納室の後端部を連通させる後端連通部を備え、断面円形の柱状商品が左右の収納室の間を上記後端連通部を通って移動可能な商品陳列トレイと、
この商品陳列トレイの後端連結部内に位置させて、上下方向の揺動軸に揺動可能に支持した揺動部材を具備し、
この揺動部材は、その左右の端部にそれぞれ、左右一対の上記収納室の延長上にそれぞれ位置する一対の着力部と、この一対の着力部の間に位置する整列ガイド面とを備え、
上記一対の着力部は、その一方が左右の収納室のいずれか一方にある柱状商品により後方に押圧されたとき、その他方が他方の収納室内にある柱状商品を前方に押し出し、
上記整列ガイド面は、一方の着力部を後方に押した柱状商品がその後に係合したとき、上記揺動部材を、左右の上記着力部が左右方向に並ぶ中立位置に復帰させることを特徴とする移動ガイド手段を備える商品陳列トレイ。
【請求項2】
請求項1記載の移動ガイド手段を備える商品陳列トレイにおいて、
上記整列ガイド面に係合している柱状商品が上記一方の収納室の後端部に位置する柱状商品によって後方に押圧されたときに、該整列ガイド面に係合していた柱状商品を、この柱状商品の移動方向側に位置する一方の上記着力部の直前に移動させるガイド面を上記商品陳列トレイまたは移動ガイド手段に形成した移動ガイド手段を備える商品陳列トレイ。
【請求項3】
請求項1または2記載の移動ガイド手段を備える商品陳列トレイにおいて、
上記一対の着力部の少なくとも一方が曲面である移動ガイド手段を備える商品陳列トレイ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の移動ガイド手段を備える商品陳列トレイにおいて、上記一対の収納室の上記柱状商品の底面を支持する商品載置面に、柱状商品の移動方向に沿って、上記柱状商品の径より幅が狭い案内溝を形成した移動ガイド手段を備える商品陳列トレイ。
【請求項5】
左右一対の収納室と、該左右一対の収納室の後端部を連通させる後端連通部を備え、断面円形の柱状商品が左右の収納室の間を上記後端連通部を通って移動可能な商品陳列トレイの上記後端連通部に設ける移動ガイド手段であって、
上下方向の揺動軸に揺動可能に支持した揺動部材と、
この揺動部材の左右の端部にそれぞれ設けた、左右一対の上記収納室の延長上にそれぞれ位置する一対の着力部と、
上記揺動部材の一対の着力部の間に形成した整列ガイド面と、を備え、
上記一対の着力部は、その一方が左右の収納室のいずれか一方にある柱状商品により後方に押圧されたとき、その他方が他方の収納室内にある柱状商品を前方に押し出し、
上記整列ガイド面は、一方の着力部を後方に押した柱状商品がその後に係合したとき、上記揺動部材を、左右の上記着力部が左右方向に並ぶ中立位置に復帰させることを特徴とする移動ガイド手段。
【請求項6】
請求項5記載の移動ガイド手段において、
上記一対の着力部の少なくとも一方が曲面である移動ガイド手段。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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