説明

移動体の振動状態下における画像補正方法

【課題】本発明は、移動体内に設けられた表示用モニタが移動体の振動によって振動している状態下で、画像に補正を加えることにより、移動体内で表示用モニタを見た場合に画像がぶれずに見ることができることを目的とする。
【解決手段】本発明による移動体の振動状態下における画像補正方法は、静止状態に維持された画像入力装置(13)で表示用モニタ(3)を撮影し、この表示用モニタ(3)のぶれ量を算出して得た補正量(13a)を画像取り込み補正装置(11)に入力し、補正前画像(2)補正量(13a)に基づいて画像シフトする補正を行い、補正後画像(12)を表示することにより、ぶれのない画像を見ることができる方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の振動状態下における画像補正方法に関し、特に、移動体内に設けられた表示モニタが移動体の振動によって振動している状態下で、画像に補正を加えることにより、移動体内で表示モニタを見た場合に画像がぶれずに見ることができるようにするための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般には、図8のように、外部カメラ1の画像2は表示用モニタ3に表示され、この画像2自体にぶれ等があった場合の画像のぶれを補正する方法としては、例えば、特許文献1及び2に示されている方法を挙げることができる。
すなわち、特許文献1に開示された画像ずれ補正装置においては、ウインドウに入射した光から画像信号を得る撮像機に対して、ウインドウを旋回させる旋回フレームに固定され、さらにウインドウから入射した光の光路上で結像する位置に配置された光軸位置を示すマーキングと、撮像機から供給される画像信号におけるマーキングの位置変化に基づいて画像のずれ量を検出し、そのずれ量に基づいて出力する画像のずれを補正する補正手段とを備えたことにより、撮像装置本体の歪みや視軸安定系の傾斜に伴う画像のぶれを検出し補正することを可能とし、常に安定した画像の表示が可能となる。
【0003】
また、特許文献2に開示された目標検出処理装置、飛行体及び目標検出処理方法においては、撮像条件の違いにより生じるフレーム間の画像のずれ量を補正して、小型で低輝度な目標を検出するために、飛行体の飛行中に目標を撮像する場合に、まず、飛行速度・高度検出器で検出される自飛行体の高度及び飛行速度を検出し、この検出結果に加えてジンバル機構部から得られる撮像器の視軸方向、撮像器から得られる撮像視野、撮像間隔といった撮像条件を取得する。そして、像流れ量演算部にて、これら取得した撮像条件から撮像器の視野内の距離に応じて生じる各フレーム画像ごとの流れ量を求め、像流れ量補正部にてビデオ信号中の画像の流れ量を求めた流れ量に応じて各フレームごとにシフトさせて、フレーム積分処理部によりフレーム間の相関を求めて撮像器走査内の目標を検出する方法である。
従って、撮像条件の違いにより生じるフレーム間の画像のずれ量を確実に補正し、これにより小型で低輝度な目標を検出し得る目標検出処理装置及び目標検出処理方法を提供し、さらにこの目標検出処理装置を用いて目標を検出することが可能な飛行体を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−211379号公報
【特許文献2】特開2003−270317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の画像のぶれを補正する方法は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、前述の特許文献1及び2に開示された方法は、何れの場合も、撮像した画像自体にずれやぶれが発生している場合に、この画像を後処理にて補正する方法で、このように画像自体のずれ及びぶれ等を補正して正常な画像として移動体内の表示モニタに表示した場合には、移動体の振動等がなければ画像は安定して見ることができるが、表示モニタが移動体の振動により振動している場合には、移動体内で表示モニタ内の画像を見た場合、振動等によりぶれた状態の画面を見ることになり、移動体内の乗員は安定した画像のモニタを行うことは困難であった。
すなわち、本発明は、ぶれのない正常な画像が表示モニタに送られているにも拘わらず、移動体の振動等によって表示モニタ自体が振動し、画像がぶれている場合に、ぶれのない画像を見ることができるようにする方法である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による移動体の振動状態下における画像補正方法は、車両、飛翔体、船舶の何れかからなる移動体内の表示用モニタが前記移動体の振動によってぶれている状態下で、前記振動とは関係のない静止状態に維持された画像入力装置で前記表示用モニタを撮影し、前記表示用モニタのぶれ量を算出して得た補正量を画像取り込み補正装置に入力し、前記画像取り込み補正装置で前記表示用モニタに入力される補正前画像を前記補正量に基づいて画像シフトする補正を行い、前記補正後の補正後画像を前記補正前画像に代えて前記表示用モニタに表示する方法であり、また、前記補正前画像は、テレビ放送画像、又は、前記移動体に設けられた空間安定装置を介して設けられた外部カメラによって撮像された画像である方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明による移動体の振動状態下における画像補正方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、移動体内に移動体の振動の影響を受けない独立した状態の画像撮像装置を用いて振動している表示用モニタを撮影し、このモニタ画面のぶれ量を産出して得た補正量で補正前画像を画像シフトさせる補正を行い、補正後の補正後画像を表示モニタに表示しているため、移動体内で見る表示モニタは、移動体の振動に拘わらず、ぶれのない状態の画像として見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明による画像補正方法を示すブロック図である。
【図2】図1の要部の具体的構成図である。
【図3】図1の認識画像を示す構成図である。
【図4】図1のぶれ発生を示す具体的構成図である。
【図5】図4のぶれ発生の認識画像を示す構成図である。
【図6】補正後の補正後画像を示す構成図である。
【図7】図1の処理方法を示すフロー図である。
【図8】従来の表示方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、移動体内に設けられた表示モニタが移動体の振動によって振動している状態下で、画像に補正を加えることにより、移動体内で表示モニタを見た場合に画像がぶれずに見ることができるようにした移動体の振動状態下における画像補正方法を提供することを目的とする。
【実施例】
【0010】
以下、図面と共に本発明による移動体の振動状態下における画像補正方法の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図1は、本発明の画像補正方法を示すブロック図であり、このブロック図において符号10で示されるものは、飛行機、ヘリコプタ、船舶等からなる移動体であり、この移動体10の画像取り込み補正装置11には、外部カメラ1からの画像である補正前画像2が取り込まれるように構成されている。
前記補正前画像2は、前記外部カメラ1からの画像に限ることなく、例えば、アンテナで受けた各種画像とすることもできる。
【0011】
前記画像取り込み補正装置11からの補正後画像12は、移動体10内の表示用モニタ3で表示され、前記表示用モニタ3はこの移動体10内の画像入力装置13によって前記表示用モニタ3を撮影し、この画像入力装置13によって表示用モニタ3のぶれ量を算出して得た補正量13aを前記画像後取り込み補正装置11に送るように構成されている。
【0012】
次に、前述の構成において、実際に、図1のブロック図に示される画像補正を行う場合について述べる。
まず、図7の処理方法のフローに示されるように、処理開始(第1ステップ100)後に、画像基準位置認識(第2ステップ101)として、図2及び図3で示されるように、表示用モニタ3の画面3aに画像3bが表示されていると共に枠部3cに形成された十印等からなる認識基準3dを有する状態で画像入力装置13で撮影される。
【0013】
前記第2ステップ101は、移動体が静止状態の時に行われ、初期時に1回のみである。
尚、前記画像入力装置13は、前記移動体10内で、振動等の影響を受けないように構成(例えば、周知の空間安定装置等に設けられている)され、常に、表示用モニタ3のぶれ状態を撮影することができるように構成されている。
【0014】
前記第2ステップ101における前記認識基準3dを撮影して、画像入力装置13に入力された認識画像3eは図3に示される通りで、この認識画像3eが画像入力装置13に入力される(第3ステップ102)。
【0015】
前述の第2ステップ101は、前述のように、初期時の立上り時に1回のみであるが、この動作が終了した後は、引き続き画像入力装置13による撮影が継続され、移動体10が移動を開始した後も、表示用モニタ3の撮影は継続されている。
【0016】
そのため、第3ステップ102の動作継続により、移動体10の移動中での振動等による表示用モニタ3のぶれ14が発生し(図4で示す)、このぶれ14の状態が画像入力装置13に入力されることにより、前記図3の認識基準3dとのずれ量15が瞬時に算出され(第4ステップ103)、このずれ量15に対する補正量13aが図1のように画像取り込み補正装置11に送られ、図5及び図6で示されるように、この補正量13aに基づいて前記補正前画像2を画像シフトする補正を行う(第5ステップ104)と共に、画像取り込み補正装置11から出力された補正後画像12が表示用モニタ3に表示される(第6ステップ105)。
【0017】
前述の第3ステップ102から第6ステップ105は、移動体10を用いて表示用モニタ3を使用する間は、常に繰返して行われるため、移動体10による振動によって発生するぶれの状態に拘わらず、最適な画像シフトが瞬時に行われるため、移動体10内では、常にぶれのない安定した画面を見ることができる。
尚、前述のぶれに応じて画像シフトを行う技術は、例えば、前述の特許文献1及び2で示されるような周知の技術を用いて行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明による移動体の振動状態下における画像補正方法は、移動体内の表示用モニタに限ることなく、例えば、振動の多い製鉄現場、金属加工現場等においても適用可である。
【符号の説明】
【0019】
1 外部カメラ
2 補正前画像
3 表示用モニタ
10 移動体
11 画像取り込み補正装置
12 補正後画像
13 画像入力装置
14 ぶれ
100 第1ステップ
101 第2ステップ
102 第3ステップ
103 第4ステップ
104 第5ステップ
105 第6ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両、飛翔体、船舶の何れかからなる移動体(10)内の表示用モニタ(3)が前記移動体(10)の振動によってぶれている状態下で、前記振動とは関係のない静止状態に維持された画像入力装置(13)で前記表示用モニタ(3)を撮影し、前記表示用モニタ(3)のぶれ量を算出して得た補正量(13a)を画像取り込み補正装置(11)に入力し、前記画像取り込み補正装置(11)で前記表示用モニタ(3)に入力される補正前画像(2)を前記補正量(13a)に基づいて画像シフトする補正を行い、前記補正後の補正後画像(12)を前記補正前画像(2)に代えて前記表示用モニタ(3)に表示することを特徴とする移動体の振動状態下における画像補正方法。
【請求項2】
前記補正前画像(2)は、テレビ放送画像、又は、前記移動体(10)に設けられた空間安定装置を介して設けられた外部カメラによって撮像された画像であることを特徴とする請求項1記載の移動体の振動状態下における画像補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−175007(P2011−175007A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37481(P2010−37481)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)
【Fターム(参考)】