説明

移動体ボイスメール伝送方式

【目的】呼出し先移動体端末が無応答の時、発呼者からの伝言を交換機内に蓄積し、その後目的の移動体端末が通信可能になった時、交換機から移動体端末へ制御チャネルを介して自動的に伝言(ボイスメール)を伝送する。
【構成】着呼先MSS3が通信不可能の時SWE1はCLG4の伝言をVM14に蓄積し、相手から位置登録信号を受信した時SWE1はVM14からボイスメールを取り出し、ENC15により音声信号を符号化し、このボイスメール信号をMBS2の送信電波の制御チャネル6に乗せてMSS3に伝送する。MSS3はこのボイスメールをMEM31に格納し、IND32に表示して使用者に知らせる。使用者からの指示によりDEC33は受信したボイスメールを復号化しVGN34から音声で出力する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は移動体ボイスメール伝送方式に関し、特に無線基地局から送信電波の制御チャネル上で自動的に移動体端末へボイスメールの伝送を行う移動体ボイスメール伝送方式に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の移動体通信システムにおいては、着呼先の移動体端末が電源オフ又はサービスエリア外にいるときには、発呼者は移動体通信交換機(以下単に交換機と記す)本体内のメールボックスに伝言を蓄積し、その後移動体端末加入者が交換機内に伝言が蓄積されていると予測した時、メールボックス番号をダイヤルして伝言を取り出していた。また移動体端末の性格上、加入者が不在の時に端末に電源を供給し続けることは無意味なので、留守番機能付端末は無かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この従来の移動体通信システムでは、呼出し先の移動体端末が電源オフ又はサービスエリア外(不感地帯を含む)に存在しているときは通信不可能なため、用件を早急に伝えたくても伝えられなかった。たとい、発呼者が交換機内のメールボックスに伝言を残しても、移動体端末側加入者はボイスメールの有無が判らず、ボイスメールが在るときにこの加入者がメールボックス番号をダイヤルしたときだけボイスメールを取り出せるので、伝言はすぐには伝わらなかった。また、移動体端末に留守番機能を付加しても、電源オフ又はサービスエリア外にいる場合は、留守番電話の機能が果たせないという欠点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の移動体ボイスメール伝送方式は、移動体通信交換機は呼出し先移動体端末が不応答のとき発呼者からの伝言メッセージを一時蓄積し、その後前記移動体端末からの位置登録信号を受信したとき前記伝言メッセージを無線基地局に送信し、前記無線基地局は前記伝言メッセージを送信電波の制御チャネル上で制御信号と共に時分割多重化して前記移動体端末に送信することを特徴とする。
【0005】そして、前記移動体端末は前記制御チャネル上の前記伝言メッセージを分離して音声信号に復号化した後音声出力するようにしてもよい。
【0006】
【実施例】次に、本発明について図面を参照して説明する。図1は本発明の移動体ボイスメール伝送方式の一実施例を示すブロック図、図2は図1における動作を説明するためのシーケンス図、図3(a),(b)は図1における制御チャネル上の制御信号,ボイスメール信号のフレーム形式の一例を示す図である。
【0007】本実施例は呼出し先の移動体端末が電源オフ又はサービスエリア外に存在して呼出しに無応答のとき、発呼者からボイスメールを交換機のメールボックスに一時蓄積し、この移動体端末が着信可能状態になったときボイスメールを無線基地局からの送信電波の制御チャネルに乗せて移動体端末に自動的に送出する。即ち交換機が留守番電話機能を有している。制御チャネル上の制御信号は図3(a)に示すように、ビット同期と、制御信号種別(ボイスメール転送開始,転送終了信号等)と、ワード同期と、同一データの5回繰返しのワード1〜5とで1フレームを形成し、また、制御チャネル上のボイスメール信号は図3(b)に示すようにビット同期と、信号種別(ボイスメール信号)と、着信移動体端末(MSS)識別信号と、音声信号とにより1フレームを形成している。
【0008】次に、本実施例のブロック構成について説明する。図1に示すように交換機(以下SWE)1はデータ通信回線(以下DLN)5を介して無線基地局(以下MBS)2と接続され、MBS2は送信電波の制御チャネル6を介して移動体端末(以下MSS)3と接続され、MSS3は制御チャネルに同調して信号をモニタしている。SWE1は発呼加入者(以下CLG)4を収容するスイッチ(以下SW)11に接続されたアナウンスメントトランク(以下ANT)12,ボイスメール登録要求信号受信回路(以下REC)13,ボイスメール装置(以下VM)14と、VM14に接続された符号化装置(以下ENC)15と、DLN5を介してMBS2と接続されたデータリンク制御装置(以下DLC)16とを備え、MBS3はボイスメールを格納するメモリ(以下MEM)31と、着信表示器(以下IND)32と、復号化回路(以下DEC)33と、音声発生器(以下VGN)34とを備えている。
【0009】次に本実施例におけるボイスメール転送手順について説明する。SWE1がCLG4から呼出し要求を受けると、DLN5,MBS2を介してMSS3へ制御チャネル6上の呼出し信号を用いて呼出しを行う。この時MSS3が電源オフ又はサービスエリア外にいると、MSS3からSWE1へ呼出し応答を返送して来ない。SWE1では呼出し応答待ちタイマがタイムアウトすると通話パスをSW1によりANT12に接続すると共にREC13に接続して呼出し先のMSS3が不在であることとメールボックスに伝言を登録できる旨をCLG4にアナウンスする。CLG4からのボイスメール登録要求信号を検出するとSWE1は通話パスをSW11によりVM14に切替え接続してCLG4からの伝言を蓄積する。
【0010】一方、MSS3が電源オンするか又はサービスエリア内に移動したとき、制御チャネル6上で位置登録信号をMBS2を介してSWE1へ送出して来る。SWE1は位置登録信号を受けると図3(a)に示したボイスメール転送開始信号(制御信号)をDLC16からDLN5,MBS2,制御チャネル6を介してMSS3へ送出し、次にメールボックスのVM14からボイスメールを取り出してENC15により音声信号を符号化し、図3(b)に示した符号化されたボイスメール信号(音声信号)を制御信号と共に時分割多重化してMSS3宛に送出する。MSS3ではこの音声信号を多重化分離してMEM31に格納する。全ボイスメールを転送終了後、SWE1は図3(a)に示したボイスメール転送終了信号(制御信号)をMSS3へ送出する。この転送終了によりSWE1ではVM14に蓄積されている伝言が消去される。MSS3はボイスメール転送終了信号の受信により全ボイスメールのMEM31への格納を終了し、同時にIND32に可視表示又は可聴表示してMSS3の使用者にボイスメールの着信を知らせる。
【0011】次に、MSS3の使用者がMSS3にボイスメールの読出し指示をすると、MEM31からボイスメールを読み出して符号化された音声信号をDEC13により復号化し、VGN34から音声(伝言)を発生する。
【0012】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、呼出し先移動体端末が電源オフやサービスエリア外に移動しているとき、この移動体端末に対する伝言を交換機内に一時蓄積し、後に移動体端末が通信可能になったとき速やかに伝言を制御チャネルを通して移動体端末に転送するようにしたので、伝言を早く相手先に伝えることができる。また、制御チャネル上に音声を乗せることにより、音声チャネルを無駄に使用したり、音声チャネルの制御などの必要なしにボイスメールを伝送することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の移動体ボイスメール伝送方式の一実施例を示すブロック図である。
【図2】図1における動作を説明するためのシーケンス図である。
【図3】(a),(b)は図1における制御チャネル上の制御信号,ボイスメール信号のフレーム形式の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 交換機(SWE)
2 無線基地局(MBS)
3 移動体端末(MSS)
4 発呼者(CLG)
5 データ通信回線(DLN)
6 制御チャネル
11 スイッチ(SW)
12 アナウンスメントトランク(ANT)
13 ボイスメール登録要求信号受信回路(REC)
14 ボイスメール装置(VM)
15 符号化装置(ENC)
16 データリンク制御装置(DLC)
31 ボイスメール格納メモリ(MEM)
32 着信表示器(IND)
33 復号化回路(DEC)
34 音声発生器(VGN)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 移動体通信交換機は呼出し先移動体端末が不応答のとき発呼者からの伝言メッセージを一時蓄積し、その後前記移動体端末からの位置登録信号を受信したとき前記伝言メッセージを無線基地局に送信し、前記無線基地局は前記伝言メッセージを送信電波の制御チャネル上で制御信号と共に時分割多重化して前記移動体端末に送信することを特徴とする移動体ボイスメール伝送方式。
【請求項2】 前記移動体端末は前記制御チャネル上の前記伝言メッセージを分離して音声信号に復号化した後音声出力することを特徴とする請求項1記載の移動体ボイスメール伝送方式。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開平5−76063
【公開日】平成5年(1993)3月26日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−234233
【出願日】平成3年(1991)9月13日
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)