説明

移動体通信システム、コントローラ装置、移動通信装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基地局と移動局との間で無線伝送路を用いた移動体通信システム、コントローラ装置、移動通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、公衆電話網を利用したデータ通信は、例えば図5に示すようなシステム構成によって実現されている。図5に示す通信システムは、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略称する)1等の情報処理装置を、データ通信用のモデム装置2を介して公衆回線3に接続したものである。モデム装置2は、モデムコントローラ4、モデム(変復調器)5、NCU(Network Control Unit)6によって構成されている。パソコン1は、モデムコントローラ4に接続されている。モデム5は、モデムコントローラ4とNCU6の間で送受されるデータの変復調を行なう。
【0003】パソコン1は、データ通信用の通信ソフトウェアに基づいて、モデムコントローラ4をアクセスすることによって、モデム5へのデータの入出力、モデム5の制御、公衆回線3との接続を制御するためのNCU6の制御を行なう。
【0004】このような構成の通信システムでは、モデムコントローラ4がNCU6を制御して、公衆回線3との接続の制御や、発信、着信を行なうことができる。公衆回線3との接続を切断する場合には、モデムコントローラ4からNCU6に対してオンフックを示すフック制御信号を出力することにより、回線切断を制御している。
【0005】ところで、近年では、アナログ信号を用いた電話機に代わる、ディジタル信号を使った次世代の移動体電話として、ディジタルコードレス電話機、すなわちパーソナルハンディホン(以下、PHPと略称する)による通信システムが計画されている。
【0006】PHPは、コードレス電話機の子機のような小出力のPHP子機(移動局)を家庭のみではなく、駅、ショッピング街、公衆電話ボックス等に公衆基地局を設けておくことにより、屋外でも利用できるようにしたものである。
【0007】PHPは、ディジタル信号を使った通信を行なうので、アナログ信号を用いた電話機では実現できなかったデータ通信サービス、例えば屋外からデータ通信等を行なうことが可能となる。また、このサービスを実現するに当たって、屋外で利用する場合に携帯性を良くするために、モデム装置2にあたるモデム機能を、公衆基地側に設けておく構成が考えられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、PHPを用いた通信システムでは、次のような問題がある。モデム機能が公衆基地局に設ける構成であるので、例えばパソコン通信を行なう場合、従来の有線で接続されていたデータ通信用モデムを制御する通信用ソフトウェアがそのままでは使えなくなってしまう。
【0009】また、基地局は、音声通信を行なうための機能が基本的に設けられ、パソコン通信やFAX通信等のデータ通信を可能とするためには、モデム機能を含むデータ通信のための機能部を付加する必要がある。
【0010】すなわち、公衆回線への発信、着信、切断を行なうNCUにあたる機能が、データ通信のための機能部ではなく、音声通信用の基本構成の中で制御されるように構成されている。また、NCUに当たる機能が無線伝送路によって接続された基地局側から制御されるために、基地局内に設けられたモデムコントローラにNCU制御する機能が備わっていたとしても、直接NCUを制御して発信、着信、切断を行なうことができない。
【0011】そのため、従来の通信用ソフトウェアに基づいて、モデムコントローラにオンフック要求を行なっても、データ通信を行なっていた回線を切断することができず、データ通信を終了させることがでなかった。
【0012】本発明は前記のような事情を考慮してなされたもので、従来のシステムに対応した通信用ソフトウェアに基づいて出力されるフック制御信号(オンフックコマンド)によってデータ通信を行なっていた回線の切断を可能とする移動体通信システム、コントローラ装置、移動通信装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、基地局と移動局が無線伝送路を介して接続されて構成される移動体通信システムにおいて、前記基地局と前記移動局は、それぞれ音声通信を処理する回路と前記基地局内に設けられた変復調装置を利用してデータ通信を処理する回路を有し、前記基地局は、前記基地局と前記移動局が前記データ通信を処理する回路を用いたデータ通信中に、前記変復調装置の機能が停止した場合に、前記無線伝送路を介して前記移動局に前記変復調装置の機能の停止を通知する変復調装置監視手段を有し、前記移動局は、前記変復調装置監視手段による通知に応じて、前記移動局及び前記基地局が用いる回路を、前記データ通信を処理する回路から前記音声通信を処理する回路に切り替える回路切り替え手段を有し、前記移動局から前記基地局に与えられる前記変復調装置に対する機能停止の指示のみで回路の切り替えを行ない、データ通信を終了させることを特徴とする。
【0014】
【0015】
【作用】基地局と移動局が無線伝送路を介して接続されて構成される移動体通信システムが基本的には音声通話のために構成され、パソコン通信やFAX通信等のデータ通信を行なうためには移動局側に情報処理装置等の通信を行なう装置を接続し、基地局側に回線との間で信号の送受を行なうための変復調機能(モデム)を含むデータ通信機能を設ける構成とする。(基地局を複数の移動局によって利用される公衆基地局とした場合、基地局にデータ通信機能を設けることによって、各移動局にデータ通信機能を用意しておく必要がない)。
【0016】このシステム構成においてデータ通信中に情報処理装置からデータ通信の終了が指示された場合に、無線伝送路を介して基地局に通知され変復調機能が停止される。通常、変復調機能が停止されただけでは回線から切断することはできない。そこで、基地局のデータ通信機能に変復調機能の機能が停止した場合、この旨を移動局側に通知する監視手段を設ける。
【0017】基本的構成では、移動局からの発信、着信、回線切断等の制御によって、基地局の回線制御が行なわれるため、監視手段からの通知によって基地局に対する回線切断の制御を実行できる。
【0018】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。図1は本実施例における移動体通信システムの概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施例では、パーソナルハンディホン(以下、PHPと略称する)を用いた通信システムに適用しており、PHP子機10と基地局12との間で無線通信機能が実行される。
【0019】基地局12が公衆回線14と接続されており、PHP子機10から電話をかけると、公衆基地局12、公衆回線14を介して相手先と通話することができる。また、PHP子機10を介して、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略称する)16によるデータ通信が可能である。
【0020】パソコン16とPHP子機10とは、コントローラ部18を介して接続ケーブル19によって接続される。図2はPHP子機10の構成を示すブロック図である。図2に示すように、PHP子機10は、マイコン20、無線部21、ADPCM部23、受話器24、ボタン入力部25、コネクタ部28、及びアンテナ29が設けられている。
【0021】マイコン20は、PHP子機10を構成する各部を制御するものである。マイコン20は、コネクタ部28から入力されるパソコン16からのデータや、ダイヤルボタンが押されることによってボタン入力部25から入力されるデータに応じた電話機能の制御等を行なう。
【0022】無線部21は、アンテナ29と接続されており、アンテナ29を介して基地局12との間で、所定のプロトコルによってデータの送受信を行なう。無線ユニット21は、基地局12との間で送受信されるデータをADPCM部23との間で入出力する。
【0023】ADPCM部23は、無線部21と受話器24との間に設けられ、ADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Modulation :適応差分パルス符号変調)によって高能率圧縮を行なうものである。ADPCM部23は、音声通話を行なう場合、基地局12に送信すべき音声データ(アナログ音声信号)をディジタル音声信号に変換し、また無線部21を介して受信されたディジタル音声信号をアナログ音声信号に変換して受話器24に出力する。ADPCM部23は、マイコン20の制御によってオン/オフが切り替えられる。ADPCM部23のオン/オフによって、音声信号経路(音声通話)とデータ信号経路(データ通信)が切り替えられる。
【0024】受話器24は、電話機能の通話を行なうためのもので、スピーカ及びマイクが設けられている。ボタン入力部25は、PHP子機10の電話機能を操作するために設けられたダイヤルボタン(図示せず)の入力制御を行なうものである。ボタン入力部25は、ダイヤルボタン中の押されたボタンに応じたデータをマイコン20に出力する。ダイヤルボタンは、PHP子機10からダイヤルする際に用いられるもので、0〜9までの数字ボタン、「*」「#」ボタンの他に、内線通補、外線通話等の各種機能ボタンを含んでいる。
【0025】コネクタ部28は、PHP子機10に接続ケーブル19を介して、パソコン16(コントローラ部18)に接続するためのインタフェースである。コネクタ部28を介して、データ通信用のデータは直接、無線部21と送出され、パソコン16から出力されるPHP子機10を制御するための制御コマンドはマイコン20に通知される。
【0026】アンテナ29は、基地局12との間で信号の送受信を行なうためのものである。コントローラ部18は、パソコン16が移動体通信を用いてデータ通信を行なうために、パソコン16とPHP子機10との間の信号制御を行なうものであり、無線通信経路を介して基地局12(フック監視コントローラ49)から送出された通信経路の切り替えを要求するオンフック要求に応じて、経路切り替えコマンドをPHP子機10に出力する機能を有している。
【0027】コントローラ部18は、データリンク部30、及びインタフェース部32によって構成されている。データリンク部30は、PHP子機10と基地局12との間の無線機能(無線伝送路)を介して、基地局12に設けられたデータリンク部46との間で送受されるデータの入出力制御や、データのエラー訂正等を行なうものである。
【0028】インタフェース部32は、パソコン16とデータリンク部30との間のインタフェースである。コントローラ部18は、例えばパソコン16に設けられたカードインタフェース(ICカードスロット)に接続可能なICカードタイプに構成されている。カードインタフェースは、例えばJEIDA(Japan Electronic Industry Development Association )/PCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association )に準拠したものが用いられる。また、RS−232C等を用いた他の接続方法であっても勿論良い。
【0029】図3は基地局12の詳細な構成を示すブロック図である。図3に示すように、基地局12は、マイコン40、無線部41、ADPCM部43、アンテナ44、及びデータ通信部45が設けられている。また、データ通信部45は、データリンク部46、モデムコントローラ47、モデム48、及びフック監視コントローラ49が設けられている。
【0030】基地局12は、基本的には音声通信を行なうための機能を実現するように構成され、公衆回線14との接続処理を行なうNCU(図示せず)がマイコン40によって制御される。基地局12を介してデータ通信を行なう場合には、データ通信部45を基地局12内に付加することにより実現できる。
【0031】マイコン40は、基地局12を構成する各部を制御するものである。マイコン40は、音声通信経路のADPCM部43や公衆回線14との接続処理を行なうNCU(図示せず)の制御の他に、データ通信部45が設けられた際にモデムコントローラ47やデータリンク部46からのデータに応じた基地局12の制御等を行なう。
【0032】無線部41は、アンテナ44と接続されており、アンテナ44を介してPHP子機(基地局)10との間で、所定のプロトコルによってデータの送受信を行なう。無線ユニット41は、PHP子機10との間で送受信されるデータをADPCM部23(音声通話時)またはデータリンク部46(データ通信時)との間で入出力する。
【0033】ADPCM部43は、無線部41と公衆回線14との間に設けられ、ADPCM(適応差分パルス符号変調)によって高能率圧縮を行なうものである。ADPCM部43は、音声通話を行なう場合、PHP子機10に送信すべき音声データ(アナログ音声信号)をディジタル音声信号に変換し、また無線部41を介して受信されたディジタル音声信号をアナログ音声信号に変換して公衆回線14に送出する。ADPCM部43は、マイコン40の制御によってオン/オフが切り替えられる。ADPCM部43のオン/オフによって、音声信号経路(音声通話)とデータ信号経路(データ通信)が切り替えられる。
【0034】アンテナ44は、PHP子機10との間で信号の送受信を行なうためのものである。データ通信部45は、パソコン通信、FAX通信等のデータ通信を行なうための機能であり、基地局12の音声通信のための基本的な機能に付加され、利用される。従って、データ通信部45内のモデムコントローラ47は、直接、基地局12の基本構成として設けられたNCU(図示せず)の制御を行なうことができない。
【0035】データリンク部46は、PHP子機10と基地局12との間の無線機能(無線伝送路)を介して、コントローラ部18に設けられたデータリンク部30との間でデータリンク手順を実行するものである。
【0036】モデムコントローラ47は、モデム48を制御すると共に、データ通信終了時にはオンフックを示すフック制御信号、すなわちハイレベルの信号(オンフックはローレベル)をフック監視コントローラ49に送出する。
【0037】モデム48は、モデムコントローラ47と公衆回線14との間に設けられ、データ通信用のデータの変復調を行なうものである。フック監視コントローラ49は、モデムコントローラ47とデータリンク部46と接続されており、モデムコントローラ47から出力されるフック制御信号がハイレベルからローレベルに変化したら(オンフックを示す)、データリンク部46及び無線通信経路を介して、コントローラ部18にオンフック要求を示す信号を送出する。
【0038】次に、本実施例の動作について説明する。はじめに、通常の音声による通信を行なう場合の通信経路について説明する。この場合、PHP子機10のADPCM部23は、ボタン入力部25からの入力に応じたマイコン20の制御によってオンされる。また、基地局12のADPCM部43も、マイコン40によってオンされる。
【0039】PHP子機10の受話器24(マイク)から入力された音声はアナログ音声信号となり、ADPCM部23によってディジタル化され、無線部21によって変調され基地局12に送信される、一連の音声通信経路を通る。
【0040】基地局12は、アンテナ44によってPHP子機10からの信号を受信し、無線部41によって復調して、ディジタル音声信号に変換する。ADPCM部43は、無線部41からのディジタル音声信号を元のアナログ音声信号に変換して、公衆回線14を介して相手先に送出する。
【0041】次に、パソコン16と公衆回線14に接続された相手先との間でデータ通信を行なう場合の通信経路について説明する。パソコン16から出力されたディジタルデータは、インタフェース部32、データリンク部30、接続ケーブル19、コネクタ部28を介して、PHP子機10内の無線部21に送られる一連のデータ通信経路を通る。
【0042】基地局12内では、無線部41とデータリンク部46、モデムコントローラ47を経たディジタルデータが、モデム48によってアナログの電気信号に変換される一連のデータ通信経路を通る。
【0043】ここでは、パソコン16とモデムコントローラ47とはオンラインモードにあるものとする。この状態から、フック制御信号によってデータ通信を行なっていた回線の切断をする処理について、図4を参照しながら説明する。
【0044】まず、図4(a)に示すように、パソコン16とモデムコントローラ47間はオンラインモードにありデータ通信の可能な状態にある。ここで、パソコン16は、通信用プログラムに従って、コマンドモードへの移行を指示するためのエスケープコードをコントローラ部18に出力する(図4(b))。
【0045】コントローラ部18のインタフェース部32は、パソコン16から出力された前述のエスケープコードを認識する。データリンク部30は、インタフェース部32によって認識された内容を示すデータをデータリンク部30,46間で送受信可能なデータ形式で、PHP子機10及び基地局12のデータ通信経路を介して、基地局12のモデムコントローラ47に対して送出する(図4(c))。
【0046】すなわち、パソコン14は、有線で接続されたデータ通信用モデムを制御するための通信用ソフトウェアに基づいてエスケープコードを出力するため、そのままでは無線通信経路を介して基地局12に送信することがてきない。このため、コントローラ部18においてデータリンク部30,46間で送受信可能なデータ形式に変換して送信を行なう。
【0047】モデムコントローラ47は、コントローラ部18からのデータに応じてコードモードへ移行し、コードモードとなったことを示すデータ「OK」を、データ通信経路を介してパソコン16に通知する(図4(d))。
【0048】ここで、パソコン16は、データ通信終了を要求するコマンド、すなわちオンフック命令「ATH」をデータ通信経路を介してモデムコントローラ47に出力する(図4(e))。
【0049】モデムコントローラ47は、オンフック命令に応じて、モデム48の機能を停止させ、フック制御信号をハイレベル(オフフック)からローレベル(オンフック)に変化させる。モデムコントローラ47は、モデム機能を停止させたことを示す結果コード「OK」を、データ通信経路を介してパソコン16に通知する(図4(f))。なお、パソコン16からオンフック命令「ATH」が出力された場合だけでなく、接続先がデータ通信を終了させた場合も同様の処理を行なう。
【0050】一方、フック監視コントローラ49は、モデムコントローラ47から出力されるフック制御信号を監視しており、ハイレベル(オフフック)からローレベル(オンフック)に変化したことを検出する。フック監視コントローラ49は、これにより、モデム48の機能停止とみなして、データ通信終了(オンフック要求)を通知するコマンド「ONH」を、データリンク部46から基地局12、PHP子機10のデータ通信経路を介してコントローラ部18に送出する(図4(g))。
【0051】これにより、データ通信終了(モデム48の停止状態)の通知を受けたインタフェース部32は、PHP子機10に対して通信終了を示すコード「E」、すなわちADPCM部23,43をオフからオンに切り替えるコマンドを出力する(図4(h))。
【0052】マイコン20は、このコマンドに応じて、基地局12のADPCM部43をオン/オフさせるデータ「SACCH」を基地局12に送出させる(図4(i))。
【0053】基地局12のデータリンク部46は、「SACCH」を受信するとマイコン40に通知する。マイコン40は、ADPCM部43をオンし、ADPCM部43のオンが完了したことを示す「SACCH」をPHP子機10に返送する(図4(j))。また、マイコン40は、データ通信部45の機能をオフさせる。これによって、基地局12の使用経路がデータ通信経路から音声通信経路に切り替えられる。
【0054】PHP子機10は、基地局12から返送された「SACCH」に応じて、ADPCM部23をオンする。これによって、PHP子機10の使用経路がデータ通信経路から音声通信経路に切り替えられる。マイコン20は、データ通信終了を通知するコード「a」をコントローラ部18に出力する。
【0055】こうして、データ通信が終了された際に、PHP子機10と接続先(ホスト側電話機)が共にオフフックである場合には、音声通信経路が接続された状態、すなわち通話中の状態となる(図4(l))。
【0056】また、PHP子機10がオンフックの場合には、PHP子機10と基地局12との間で切断処理が実行される(図4(m))。基地局12のマイコン40は、NCU(図示せず)を制御して公衆回線14との回線を切断する。切断処理が完了すると、PHP子機10からコントローラ部18に対して無線切断通知を示すコード「D」が出力される(図4(n))。
【0057】このようにして、パソコン16からのオフフック命令によって基地局12のモデムコントローラ47がモデム48の機能をオフさせた場合に、フック制御信号を監視することによってモデム48の機能のオフをフック監視コントローラ49が検出し、PHP子機10(移動局)に対してオンフック要求が出力される。これにより、PHP子機10から基地局12に対して通信終了を指示させ、PHP子機10と基地局12の通信経路をデータ通信経路から音声通信経路に切り替えて、データ通信を終了させることができる。
【0058】なお、前記実施例では、PHP子機10を移動局として用いる移動体通信システムを例にして説明しているが、無線通信経路を用いて基地局と移動局との間で通信を行なうシステムにおいて、データ通信を行なう場合に応用することができる。
【0059】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、基地局に設けられた変復調機能の停止を監視し、停止した場合には基地局側に通知する機能を設けることにより、従来のシステムに対応した通信用ソフトウェアに基づいて出力されるフック制御信号(オンフックコマンド)によって変復調機能を停止させて、データ通信を行なっていた回線を切断することが可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係わる移動体通信システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】本実施例におけるPHP子機10の構成を示すブロック図。
【図3】本実施例における基地局12の詳細な構成を示すブロック図。
【図4】本実施例における動作を説明するための処理手順を示す図。
【図5】従来の通信システムの構成を示すブロック図。
【符号の説明】
10…PHP子機(移動局)、12…基地局、14…公衆回線、16…パーソナルコンピュータ(情報処理装置)、18…コントローラ部、19…接続ケーブル、20,40…マイコン、21,41…無線部、23,43…ADPCM部、24…受話器、25…ボタン入力部、30,46…データリンク部、32…インタフェース部、45…データ通信部、47…モデムコントローラ、48…モデム、49…フック監視コントローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 基地局と移動局が無線伝送路を介して接続されて構成される移動体通信システムにおいて、前記基地局と前記移動局は、それぞれ音声通信を処理する回路と前記基地局内に設けられた変復調装置を利用してデータ通信を処理する回路を有し、前記基地局は、前記基地局と前記移動局が前記データ通信を処理する回路を用いたデータ通信中に、前記変復調装置の機能が停止した場合に、前記無線伝送路を介して前記移動局に前記変復調装置の機能の停止を通知する変復調装置監視手段を有し、前記移動局は、前記変復調装置監視手段による通知に応じて、前記移動局及び前記基地局が用いる回路を、前記データ通信を処理する回路から前記音声通信を処理する回路に切り替える回路切り替え手段を有し、前記移動局から前記基地局に与えられる前記変復調装置に対する機能停止の指示のみで回路の切り替えを行ない、データ通信を終了させることを特徴とする移動体通信システム。
【請求項2】 前記変復調監視手段は、前記変復調装置に対するフック制御を行なうために前記基地局に設けられたフック制御機能が、前記変復調装置に対して回線からの切断を要求した場合に、前記変復調装置の機能の停止と判別することを特徴とする請求項1記載の移動体通信システム。
【請求項3】 公衆回線に接続され音声通信及び変復調装置を利用したデータ通信を行なう基地局に対して当該基地局との間で無線伝送路を介して無線通信を行なう移動局と、前記基地局を介してデータ通信を行なう情報処理装置とに接続されるコントローラ装置において、前記情報処理装置からのデータ通信終了を要求するコマンドに応じて、前記基地局に対してデータ通信終了を通知すべく前記移動局へデータ通信終了を通知する情報を出力し、前記データ通信終了を通知する情報に応じて前記基地局からの前記変復調装置の停止を示す情報が受信されたとき、前記移動局における通信をデータ通信から音声通信へ切り替えるべく前記移動局へデータ通信終了を示す情報を出力することを特徴とするコントローラ装置。
【請求項4】 公衆回線に接続され音声通信及び変復調装置を利用したデータ通信を行なう基地局に対して当該基地局との間で無線伝送路を介して無線通信を行なう移動通信装置において、前記基地局を介して前記公衆回線により音声通信を行なう音声通信回路と、前記基地局を介して前記公衆回線によりデータ通信を行なうデータ通信回路と、前記データ通信回路を介してデータ通信を行なう情報処理装置からのデータ通信終了を要求するコマンドに伴い前記データ通信回路を介して前記基地局との間でデータ通信制御を行なうコントローラ装置からのデータ通信終了を示す情報を受け付け、前記基地局へデータ通信から音声通信へ切り替えるよう制御する情報を出力する制御情報出力手段と、前記基地局からのデータ通信から音声通信への切り替えが行なわれたことを示す情報に応じて、前記基地局との無線通信に際して使用する回路を、前記データ通信回路から前記音声通信回路へ切り替える回路切替手段とを具備することを特徴とする移動通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【特許番号】特許第3332113号(P3332113)
【登録日】平成14年7月26日(2002.7.26)
【発行日】平成14年10月7日(2002.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−347204
【出願日】平成5年12月27日(1993.12.27)
【公開番号】特開平7−203069
【公開日】平成7年8月4日(1995.8.4)
【審査請求日】平成12年3月23日(2000.3.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【参考文献】
【文献】特開 平5−327929(JP,A)
【文献】特開 平5−219261(JP,A)
【文献】特開 平5−110718(JP,A)
【文献】特開 平2−254827(JP,A)
【文献】特開 平5−110709(JP,A)
【文献】特開 昭63−99662(JP,A)