説明

移動体通信ネットワークにおいて1グループの端末によって共有される単一の識別子コードを物理的に多重に使用するための方法およびシステム

ネットワークを介して複数の端末と少なくとも1つのコントロールセンターとの間で通信を行うための方法であって、端末が1つのグループにまとめられ、そのグループ内のすべての端末がネットワーク内部で同一の識別子コードを有し、所定の時間枠内で、ネットワークへの回線接続、および個々の端末とコントロールセンターとの間の接続の確立が行われ、その後、接続の切断、およびネットワークからの回線切断が行われ、次の時間枠内で、ネットワークへの回線接続、およびそのグループ内の次の端末とコントロールセンターとの間の接続の確立が行われ、それにより、予め定めることができる期間が経過した後、グループに割り振られたすべての端末が、少なくとも一度はコントロールセンターに接続された、または接続しようと思えばできた状態になる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して複数の端末と少なくとも1つのコントロールセンターとの間で通信を行うための方法および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の端末と少なくとも1つのコントロールセンターとの間でのこの種の通信は、特に、マシンツーマシン通信(マシン間通信;以下、M2Mと略記する)で行われる。M2Mとは、機械、自動機器、車両、コンテナなどと中央制御点(中央制御ポイント)の間での自動情報交換を意味する。これにより、例えば、測定機器、機械、プラント、およびシステムの遠隔監視、制御、および保守を行えるようになる。この点で、通信は、特に固定電話接続および移動電話接続を使用して行われる。
【0003】
移動電話ネットワークではリソースが不足している。今日まで、移動電話ネットワークでは、個別の識別子コード(MSISDN/IMSI/IPアドレス)が使用されている。移動電話ネットワークの利用は、これまでは主に音声によるものである(音声駆動式)。各ユーザを一意に識別できなければならない。
【0004】
将来、データアプリケーションやM2Mでの利用が一層増えていくと考えられる。この点で、ほとんどすべての技術デバイスにM2Mモジュールを装備することができる。これにより、移動電話ネットワークまたは固定電話/遠隔通信ネットワークにおいて、関連のリソース使用と共に、M2Mデバイス、したがって必要な異なる識別子コード(MSISDN/IMSI/IPアドレス)が多数になる。M2M環境では、特に、小さい容量のデータが伝送される。その結果、低い使用率のために大きな容量を確保しておかなければならないので、ユーザ/M2Mモジュールの経済的な動作は難しくなるか、または不可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、既存のネットワークリソースを軽減し、必要なリソース使用を最小限に抑えるように、複数の端末と少なくとも1つのコントロールセンターとの間で通信を行うための方法および通信システムを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明によれば、請求項1に記載の方法および請求項9に記載の通信システムによって実現される。本発明による方法および本発明によるシステムのさらなる有利な実施形態は、従属請求項に記載される。
【0007】
ネットワークを介して複数の端末と少なくとも1つのコントロールセンターとの間で通信を行うための本発明による方法において、特に有利には、端末が1つのグループにまとめられ、そのグループ内のすべての端末が、ネットワーク内部で同一の識別子コードを有し、所定の時間枠(間隔、time window)内で、回線接続(attachment)、および個々の端末とコントロールセンターとの間の接続の確立が行われ、その後、接続の切断、およびネットワークからの回線切断(detachment)が行われ、次の時間枠内で、ネットワークへの回線接続、およびそのグループ内の次の端末とコントロールセンターとの間の接続の確立が行われ、それにより、予め定めることができる期間(時間間隔)が経過した後、グループに割り振られたすべての端末を、少なくとも一度はコントロールセンターに接続させることができた(しかし、必要に応じて接続を制御することができるので、そのように接続しなければならないわけでは必ずしもない)。これは、対応する時間枠が個々の端末ごとに利用可能であったので、グループに割り振られているすべての端末が、期間内で少なくとも一度はネットワークを介してコントロールセンターに接続された、または少なくとも接続しようと思えばできたことを意味し、これは特に、接続の確立が必要に応じてそれぞれの端末によって開始されるときに当てはまる。
【0008】
特に本発明による方法を適用および使用するのに適しており、複数の端末と少なくとも1つのコントロールセンターとを備え、端末とコントロールセンターとがネットワークを介して互いに通信することができる通信システムにおいて、特に有利には、複数の端末が1つのグループにまとめられ、そのグループ内のすべての端末がネットワーク内部で同一の識別子コードを有し、時間管理モジュールが提供され、時間管理モジュールによって、所定の時間枠内で、個々の端末とコントロールセンターとの間の接続の確立が行われ、その後、接続の切断が行われ、次の時間枠内で、そのグループ内の次の端末とコントロールセンターとの間の接続の確立が行われ、それにより、予め定めることができる期間が経過した後、グループに割り振られているすべての端末が、少なくとも一度はコントロールセンターに接続されている。
【0009】
この点で、用語「接続の確立」は、単に純粋な接続自体を表すのみならず、端末とコントロールセンターとの間の通信、ならびに対応する可能なデータ転送、データポーリング、および記憶なども表す。
【0010】
したがって本発明の根底にある着想は、移動電話ネットワーク、コンピュータネットワーク、または固定電話/遠隔通信ネットワーク内部で、複数のユーザ/M2Mモジュールを含む単一のM2Mモジュールグループに対して、単一の識別子コード、例えばMSISDN/IMSI/IPアドレスなどを使用することである。このために、M2Mモジュールグループ内のすべてのM2Mモジュールが、同一の識別子コード(MSISDN/IMSI/IPアドレス)を使用して異なる時間にネットワーク(移動電話ネットワーク、コンピュータネットワーク、インターネット、固定電話/遠隔通信ネットワーク)に回線接続しなければならない。回線接続は、同時に行われてはならず、順次に行われなければならない。この点で、例えば、(例えば法の原理(Modulo principle)に基づく)時間スロット手続き(時間枠処理)を使用することができる。これにより、遠隔通信ネットワーク内で単一の識別子コードを物理的に多重に使用できる(複数の端末で物理的に使用できる)ようになる。
【0011】
好ましくは、ネットワークは、移動電話ネットワーク、固定電話ネットワーク、コンピュータネットワーク、インターネット、または複数のそのような同様のネットワークおよび/または異なるネットワークの組合せである。1つまたは複数のネットワーク技術および通信経路を使用することによって、多様な異なるアプリケーションおよびM2Mソリューションを実現することができる。
【0012】
好ましくは、端末とコントロールセンターとの間の接続の確立は、それぞれの端末によって開始される。そのような接続の確立は、所定の時間スケジュールに従って行うことができるが、特に、アラームコール(警報)としてトリガすることもできる。別の方法として、端末とコントロールセンターとの間の接続の確立は、コントロールセンターによって開始される。
【0013】
さらに、端末とコントロールセンターとの間の接続の確立は、特に定義可能なパラメータの関数として、必要に応じてそれぞれの端末によって開始することができる。これは、例えば以下のようなM2Mソリューションを可能にする。すなわち、ロジスティックスまたはフリート管理(物流管理)の関連でM2M技術を使用することによって、例えば特定の距離を走行するたびに、または予定の経路から逸脱した場合などに、接続の確立およびデータ転送が行われ、実際の位置が、例えば衛星ナビゲーションを使用してナビゲーションデータによって求められて、コントロールセンターに伝送される。
【0014】
1つの特に好ましい実施形態では、端末および/またはコントロールセンターは、特に端末がコントロールセンターに合図することによって、端末とコントロールセンターの間の接続のために追加の接続時間を確保することができる。このようにすると、接続の確立を求める追加要求を合図することができ、考慮に入れることができる。
【0015】
好ましくは、グループ内の端末への個々の接続の時間管理がコントロールセンターによって取り扱われ、すなわち時間管理モジュールがコントロールセンターに割り当てられる。
【0016】
好ましくは、端末が移動電話端末であり、各端末が加入者識別モジュールを有し、1つのグループ内のすべての端末の加入者識別モジュールが同一である。
【0017】
決定因子は、M2Mモジュールグループ内の各モジュール自体が、いつネットワークに回線接続して接続を確立することができるか、およびいつ接続を切断し、回線切断手順を実行して、次のモジュールが接続を確立できるようにしなければならないかを正確に知っている。さらに、中央装置が、いつM2Mモジュールグループの特定のモジュールが接続を確立することができるかを正確に知っている。
【0018】
M2Mモジュールグループの個々のM2Mモジュールは、必要に応じて、接続を確立することも確立しないこともできる。
【0019】
M2Mモジュールグループの個々のM2Mモジュールは、追加の接続時間が必要であることを合図することができる。
【0020】
そのような追加の接続要求に対して、中央装置は、(例えば、そのような要求に対して、定義された時間スロットを空けることによって)時間を確保することができる。
【0021】
例えば、M2Mモジュールグループ内に50個のモジュールがあり、期間が1時間であるとき、個々のモジュールにそれぞれ1分の時間スロットを割り当てることができ、10分の予備時間(時間余力)を、追加の接続要求のために利用可能である。
【0022】
M2Mモジュールグループ内のM2Mモジュールの数、および時間スロットの長さの定義は、(パラメータ設定によって)適切に行われなければならず、動的に変更することができる。
【0023】
中央装置とM2Mモジュールはどちらも接続の確立を開始することができる。
【0024】
重要な態様は、識別子コード(MSISDN/IMSI/IPアドレス)のキャリア(SIMカード)を複製して、M2Mモジュールに挿入することができること、または同一の識別子コード(MSISDN/IMSI/IPアドレス)を複数のM2Mモジュールで使用することができることである。
【0025】
移動電話ネットワークの技術的な変更は必ずしも必要ない。重要なのは、例えば複製されたSIMカードを使用することによって、識別子コード(MSISDN/IMSI/IPアドレス)を多重に使用することができることである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して複数の端末と少なくとも1つのコントロールセンターの間で通信を行うための方法において、前記端末が1つのグループにまとめられ、そのグループ内のすべての端末が前記ネットワーク内部で同一の識別子コードを有し、所定の時間枠内で、前記ネットワークへの回線接続および個々の端末と前記コントロールセンターの間の接続の確立が行われ、その後、前記接続の切断および前記ネットワークからの回線切断が行われ、次の時間枠内で、前記ネットワークへの回線接続および前記グループ内の次の端末と前記コントロールセンターの間の接続の確立が行われ、それにより、所定の期間が経過した後に、前記グループに割り振られたすべての端末が、少なくとも一度は前記コントロールセンターに接続され、または接続しようと思えばできた状態になることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記ネットワークが、移動電話ネットワーク、固定電話ネットワーク、コンピュータネットワーク、または複数のそのような同様のネットワークおよび/または異なるネットワークの組合せであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ネットワークへの回線接続、および端末と前記コントロールセンターの間の接続の確立が、それぞれの前記端末によって開始されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ネットワークへの回線接続、および端末と前記コントロールセンターの間の接続の確立が、前記コントロールセンターによって開始されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記ネットワークへの回線接続、および端末と前記コントロールセンターの間の接続の確立が、特に定義可能なパラメータの関数として、必要に応じてそれぞれの前記端末によって開始されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
端末および/または前記コントロールセンターが、特に前記端末が前記コントロールセンターに合図することによって、前記端末と前記コントロールセンターの間の接続のために追加の接続時間を確保することができることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ネットワークへの前記個々の回線接続および前記グループ内の前記端末への接続の時間管理が、前記コントロールセンターによって取り扱われることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記端末が移動電話端末であり、各端末が加入者識別モジュールを有し、1つのグループ内のすべての端末の前記加入者識別モジュールが同一であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
特に請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法を適用して使用するための通信システムであって、複数の端末と少なくとも1つのコントロールセンターを備え、ネットワークを介して前記端末と前記コントロールセンターが互いに通信することができる通信システムにおいて、複数の端末が1つのグループにまとめられ、そのグループ内のすべての前記端末が前記ネットワーク内部で同一の識別子コードを有し、時間管理モジュールが備えられ、前記時間管理モジュールによって、所定の時間枠内で、前記ネットワークへの回線接続および個々の端末と前記コントロールセンターの間の接続の確立が行われ、その後、前記接続の切断および前記ネットワークからの回線切断が行われ、次の時間枠内で、そのグループ内の次の端末と前記コントロールセンターの間の接続の確立が行われ、それにより、予め定めることができる期間が経過した後に、前記グループに割り振られているすべての端末が、少なくとも一度は前記コントロールセンターに接続されていることを特徴とする、通信システム。
【請求項10】
前記端末が移動電話端末であり、各端末が加入者識別モジュールを有し、1つのグループ内のすべての端末の前記加入者識別モジュールが同一であることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記時間管理モジュールが、前記コントロールセンターに割り当てられることを特徴とする、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ネットワークが、移動電話ネットワーク、固定電話ネットワーク、コンピュータネットワーク、または複数のそのような同様のネットワークおよび/または異なるネットワークの組合せであることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか一項に記載のシステム。

【公表番号】特表2011−530909(P2011−530909A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522408(P2011−522408)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/005705
【国際公開番号】WO2010/017913
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(500355949)ドイチェ テレコム アーゲー (23)
【Fターム(参考)】