説明

移動式照明装置

【課題】 停電に見舞われた様々な場所で、或は夜間の工事現場で、誰でもが容易に設置できた上で、操作し易く、手軽に発電効率を上げることができる、ソーラーパネルを用いた安価な移動式照明装置を提供する。
【解決手段】 それぞれ台車上に設置された1基又は2基のソーラーパネル、蓄電池、照明灯から成り、前記1基又は2基のソーラーパネルは前記台車上へそれぞれ1本又は2本のソーラーパネル用支柱を介して縦方向及び又は水平方向へ回転調節可能に取り付け、前記1基又は2基の蓄電池は前記ソーラーパネルで発電された電気を蓄電して前記1基又は2基の照明灯を点灯させると共に、前記照明灯は前記台車上へ取り付けた1本又は2本の照明灯用支柱へ上下方向へスライド調節可能、或は縦方向及び又は水平方向へ回転調節可能に取り付けたことで解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてソーラーパネルからの電気を用いて適宜場所を移動させて照明を行うことの出来る移動式照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今年の3月11に見舞われた、東北関東大震災は、電力の供給を電力会社に大きく依存する従来の電力の供給システムに大きな警鐘と教訓をもたらした。今後、原子力発電に依存しづらい状況の中、電力の供給能力に不足を来たす事態が生じる恐れがあり、また、地震や津波、洪水時に大規模な停電が発生した際には夜間暗闇の中でなす術もないことも実証された。
【0003】
このような状況の中、商用電源だけに頼らない、公害や騒音を出さない自然力を利用した手軽な照明装置が求められている。自然力を利用するものの中でも、とくにソーラーパネルを用いた移動式照明装置は、緊急時に容易に利用できる照明装置として有望である。
【0004】
従来、このようなソーラーパネルを利用した移動式照明装置として、下記する特許文献1に記載されたものが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−351486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この特許文献1に記載された移動式照明装置は、停電時や地震や津波、洪水などの被災地で、主として夜間の工事現場で用いるのに適した騒音の少ない照明装置を得ることを目的とし、そのために移動式の機器本体上へソーラーパネルと、蓄電池と、照明灯とを取り付けたものであるが、主として工事現場用のものであるので、手軽さ、購入価格の安価さ、操作のし易さ、発電効率を上げる工夫のし易さ、設置のし易さ、といった点で問題点のあるものであった。
【0007】
本発明は上記問題点について改良を加えたもので、停電に見舞われた様々な場所で、或は夜間の工事現場で、誰でもが容易に設置できた上で、操作し易く、手軽に発電効率を上げることができる、ソーラーパネルを用いた安価な移動式照明装置を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために本発明は、請求項1発明にあっては、それぞれ台車上に設置されたソーラーパネルと、蓄電池と、照明灯とから成り、前記ソーラーパネルは前記台車上へソーラーパネル用支柱を介して縦方向及び又は水平方向へ回転調節可能に取り付け、前記蓄電池は前記ソーラーパネルで発電された電気を蓄電して前記照明灯を点灯させると共に、前記照明灯は前記台車上へ取り付けた照明灯用支柱へ上下方向へスライド調節可能、或は縦方向及び又は水平方向へ回転調節可能に取り付けたことを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2発明にあっては、それぞれ台車上に設置された各一対ずつのソーラーパネルと、蓄電池と、照明灯とから成り、前記各ソーラーパネルは前記台車上へ一対のソーラーパネル用支柱を介してそれぞれ縦方向及び又は水平方向へ回転調節可能に取り付け、前記各蓄電池は前記各ソーラーパネルで発電された電気を蓄電して前記各照明灯を点灯させると共に、前記各照明灯は前記台車上へ取り付けた一対の照明灯用支柱へそれぞれ上下方向へスライド調節可能、或は縦方向及び又は水平方向へ回転調節可能に取り付けたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明はさらに、上記請求項1と2発明において、前記台車の周囲に転倒防止手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
本発明はさらに、上記請求項1と2発明において、前記ソーラーパネルを縦方向へ回転調節可能に取り付ける手段は縦方向回転調節手段であり、この縦方向回転調節手段は、前記ソーラーパネルの下面より突設した取付片と、この取付片を前記ソーラーパネル用支柱の上部に水平回転調節可能に取り付けた2叉状の保持部材と、前記ソーラーパネルを保持部材の一対の保持腕へ回転可能に取り付ける調節ナット付きの支持シャフトと、一対の保持腕に設けたガイド溝と、このガイド溝と係合して取付片に取り付けられたガイドピンと、で構成したことを特徴とする。
【0012】
本発明はさらに、上記請求項1と2発明において、前記ソーラーパネルを水平方向へ回転調節させる手段は水平回転調節手段であり、この水平回転調節手段は、保持部材の下部に設けたところのソーラーパネル用支柱の上端側に被せた筒状の取付筒体と、この取付筒体の外側に取り付けた複数の締付ネジと、で構成したことを特徴とする。
【0013】
本発明はさらに、上記請求項1と2発明において、前記照明灯を上下方向へ移動調節させる手段は上下方向調節手段であり、この上下方向調節手段は、照明灯用支柱を構成する台車上に立設固定されたところの下部支持部と、この下部支持部の上下方向の位置に対して軸心を共通として取り付けられた一対の上部保持パイプ及び下部保持パイプと、この上部保持パイプ及び下部保持パイプへ挿通させたパイプ状の上部支持部材と、上部保持パイプに取り付けられた上部支持部材を上部保持パイプへ固定させる締付ネジと、上部保持パイプと上部支持部材を貫通している連結ピンと、で構成したことを特徴とする。
【0014】
そして、本発明は、上記請求項1と2発明において、前記照明灯を縦方向へ回転調節させる手段は縦方向回転調節手段であり、この縦方向回転調節手段は、上部支持部材の上端部へ取り付けた保持部材の一対の保持腕と、この保持腕の間に前記照明灯を挟んで固定する締付ネジと、で構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以上のように構成したので、現場でソーラーパネルを動かすことにより、当該ソーラーパネルを太陽の方向へ向けたり、照明灯を動かして設置場所の状況に拘わらず、必要な方向へ光を向けることができる上に、構成をできる限りに簡単にして操作し易く、かつ、停電に見舞われた様々な被災地や工事現場へ安価に提供できるものである。本発明のさらなる効果はさらに以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る移動式照明装置の側面図である。
【図2】図1に示した移動式照明装置の正面図である。
【図3】図1に示した移動式照明装置のやや拡大させた平面図である。
【図4】図1に示した移動式照明装置の背面図である。
【図5】本発明に係る転倒防止手段の説明図である。
【図6】本発明に係るソーラーパネルの取付部分の構成を説明する拡大一部断面図である。
【図7】本発明に係るソーラーパネルの取付部分の構成を説明する他の角度から見た拡大一部断面図である。
【図8】本発明に係る照明灯の取付部分の構成を示す一部拡大断面図である。
【図9】本発明に係る移動式照明装置の他の実施例を示す側面図である。
【図10】図9に示した移動式照明装置の正面図である。
【図11】図9に示した移動式照明装置の平面図である。
【図12】図9に示した移動式照明装置の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明を実施するための最良の形態の移動式照明装置AとBを図面に基づいて説明するが、本発明を実施するための最良の形態は、移動式照明装置Aにあっては、それぞれ台車上に設置されたソーラーパネルと、蓄電池と、照明灯とから成り、前記ソーラーパネルは前記台車上へソーラーパネル用支柱を介して縦方向及び又は水平方向へ回転調節可能に取り付け、前記蓄電池は前記ソーラーパネルで発電された電気を蓄電して前記照明灯を点灯させると共に、前記照明灯は前記台車上へ取り付けた照明灯用支柱へ上下方向へスライド調節可能、或は縦方向及び又は水平方向へ回転調節可能に取り付けたことを特徴とするものであり、また、移動式照明装置Bにあっては、それぞれ台車上に設置された各一対ずつのソーラーパネルと、蓄電池と、照明灯とから成り、前記各ソーラーパネルは前記台車上へ一対のソーラーパネル用支柱を介してそれぞれ縦方向及び又は水平方向へ回転調節可能に取り付け、前記各蓄電池は前記各ソーラーパネルで発電された電気を蓄電して前記各照明灯を点灯させると共に、前記各照明灯は前記台車上へ取り付けた一対の照明灯用支柱へそれぞれ上下方向へスライド調節可能、或は縦方向及び又は水平方向へ回転調節可能に取り付けたことを特徴とするものである。
【実施例1】
【0018】
図面によれば図1乃至図8において、指示記号1で示したものは全体として平面矩形状を呈した台車であり、その下面の4角にはキャスター付きの車輪2が取り付けられている。台車1は、3本の大小の断面矩形状を呈した角パイプ材3、4、5の各端部を例えば断面矩形状を呈した連結部材6、6で連結して成るもので、安価かつ強固に製造できる構成である。また、角パイプ材3、4、5は、中央の角パイプ材4が幅広に構成してある。台車1の長さの短い側の両側4角からは、台車1を安定させるための4組の転倒防止手段7が取り付けられており、これらの各転倒防止手段7は、前後の各連結部材6、6の両端部に対して伸縮可能に取り付けた4本の幅調節部材7aと、これらの幅調節部材7aに対し直交する上下方向へ当該幅調節部材7aに設けた図示してない雌ネジ孔へ高さ調節可能に取り付けた雄ネジから成る補助脚部7bから成り、各幅調節部材7aには、連結部材6、6に設けたガイド長孔6aを介して当該幅調節部材7aへ取り付けた締付ネジ7cが取り付けられると共に、補助脚部7bにはその先端に踏張り用の円盤部材7dが回転可能に取り付けられている。
【0019】
尚、台車1上には台板等を取り付けることが好ましいが、この台板を省略すると、製作コストを下げることができる。また、転倒防止手段7は、これがあると足場の悪い場所や傾斜地でも安定して台車を設置できるが、さらに安価に製造しようとすれば、これを省略することは可能である。さらに、各車輪2はこれをブレーキ付きとすることが安定した設置のために好ましい。台車1の材料はスチール材に亜鉛メッキをし、その上に塗装を施してあるが、可能な限りSUSを用いることが好ましい。
【0020】
ソーラーパネル8そのものは公知構成のものであるが、台車1上に、正確には台車1を構成する中央の角パイプ材4の上に、筒状のソーラーパネル用支柱9を介して縦方向へ回転可能かつ水平方向へ回転可能に取り付けられている。さらに詳しくは、ソーラーパネル8を縦方向へ回転調調節可能に取り付ける縦方向回転調節手段aは、ソーラーパネル8の下面より突設した取付片8aと、この取付片8aをソーラーパネル用支柱9の上部に水平回転調節可能に取り付けた2叉状の保持部材10と、ソーラーパネル8を保持部材10の一対の保持腕10a、10aへ回転可能に取り付ける調節ナット11a付きの支持シャフト11と、一対の保持腕10a、10aに設けたガイド溝10b、10b(一方のみ表示)と、このガイド溝10b、10bと係合して取付片8aに取り付けられたガイド用の締付ボルト12とで構成されている。尚、ガイド溝は取付片8aの側に設けても良い。その場合にはこのガイド溝は保持腕に設けた締付ボルトと係合することになる。また、取付片8a側に一対の保持片を設け、この一対の保持片を板状の保持部材へ縦方向へ回転可能に設けても良い。
【0021】
次にソーラーパネル8をソーラーパネル用支柱9へ水平回転調節可能に取り付ける水平回転調節手段bは、保持部材10の下部に設けたところのソーラーパネル用支柱9の上端側に被せた筒状の取付筒体13と、この取付筒体13の外側に取り付けた複数の締付ボルト14、14、・・・とで構成されている。尚、取付筒体13は、筒状のソーラーパネル用支柱9の上端部へ挿入させる構成であってもよい。この場合には締付ボルトはソーラーパネル用支柱9の側に設けられることになろう。
【0022】
このようにしてソーラーパネル8は、実施例のものにおいて、縦方向かつ水平方向へ回動調節可能である。尚、ソーラーパネル8を水平方向へ回転させる水平回転調節手段bは、これがあると、台車1を動かさなくとも日中天空を移動して行く太陽の方向へソーラーパネル8を容易に向け易いが、製造コストを下げようと思えば省略することは可能である。しかし、ソーラーパネル8を縦方向へ回転させる縦方向回転調節手段aは、設置場所や季節によって太陽光の入射角度が異なるので、発電効率を上げようとすれば必要な手段である。
【0023】
次に、照明灯15は、光源として例えばLEDランプ使用のもので、台車1の中央の角パイプ材4の後端部側に照明灯用支柱16を介して、上下方向へ移動可能、かつ縦方向へ回動可能、さらに水平方向へ回転可能に取り付けられている。さらに詳しくは、照明灯を上下方向へ移動させる上下方向調節手段cは、照明灯用支柱16を構成する台車1上に立設固定されたところの下部支持部16aと、この下部支持部16aの上下方向の位置に対して軸心を共通として取り付けられた一対の上部保持パイプ16b及び下部保持パイプ16cと、この上部保持パイプ16b及び下部保持パイプ16cへ挿通させたパイプ状の上部支持部材17と、上部保持パイプ16bに取り付けられた上部支持部材17を上部保持パイプ16bへ固定させる締付ネジ18と、上部保持パイプ16bと上部支持部材17を貫通している連結ピン19で構成されており、上部支持部材17の上端に照明灯15が取り付けられている。照明灯15の高さ調節は、連結ピン19を抜き取り、締付ネジ18を緩めて上部支持部材17の高さを調節し、連結ピン19を上部支持部材17に設けた複数の調節孔17aのどれかに差し込んだ後、締付ネジ18で締め付けて上部支持部材17を常備保持パイプ16bへ固定させることによって行なうことができる。尚、連結ピン19は、締付ネジ18の締付力を強くするか、他の堅固な固定手段を用いた場合には省略できる。但し、実施例のものは安価に製造できる利点がある。
【0024】
照明灯15を縦方向へ回転させる縦方向回転調節手段dは、上部支持部材17の先端に回転調節可能に取り付けた2叉状の保持部材20であり、この保持部材20の一対の保持腕20a、20aに調節ナット20b、20bを介してその両側を保持させることにより、調節ナット20b、20bを緩めたり締め付けたりすることによって、照明灯15の縦方向の回転調節が行われるように構成されている。照明灯15を水平方向へ回転調節させる水平回転調節手段eは、保持部材20の基部20cを上部支持部材17の上端へ固定させる締付ネジ21であり、この締付ネジ21を緩めたり、締め付けたりすることによって、照明灯15を水平方向へ回転調節することができる構成となっている。尚、この水平回転調節手段eは、製作コストを下げる為にこれを省略することが可能であるが、この水平回転調節手段eがあると、照明灯15の照明方向の微調節が可能であるという利点がある。
【0025】
ソーラーパネル8のソーラーパネル用支柱9と、照明灯15の照明灯用支柱16の間に照明灯用支柱16の側へ位置させて、台車1の中央の角パイプ材4の上に例えばリチウム電池使用の蓄電池22が、収容ケース22aを介して取り付けられている。この蓄電池22の収容ケース22aは、さらにその上端部側を固定部材23を介して照明灯15の照明灯用支柱16の下部支持部16aへ固着されている。
【0026】
さらに、台車1の照明灯15の照明灯用支柱16側一端部には、手押し部24が取り付けられている。導線は図示してないが、ソーラーパネル8から蓄電池22へ、蓄電池22から照明灯15へ可及的に外部へ露出することなく配線されている。
【0027】
したがって、本発明に係る移動式照明装置Aを設置場所或は現場まで、車両などを用いて運んで行き、降ろした後手押し部24を用いて設置場所或は現場へ移動させ、設置場所或は現場が決まったところで、転倒防止手段7を用いて安定させる。勿論、この際に車輪は図示してない公知のブレーキ手段を用いて固定させておくことが望ましい。
【0028】
その後、ソーラーパネル8の傾斜角度或は傾斜方向を縦方向回転調節手段aや水平回転調節手段bを用いて調節し、同時に照明灯15の高さや、傾斜角度、照明方向を、上下方向調節手段cや、縦方向回転調節手段d及び水平回転調節手段e等を用いて調節する。尚、この照明灯15の位置調節は、夜間において点灯の後に調節しても良い。このようにして設置すると、ソーラーパネル8は、太陽の方向に受光効果の上がる方向にセットされ、光電効果により出力された電気は蓄電池22へ充電される。夜間に周囲が暗くなると、点灯スイッチをONさせると、蓄電池22に充電されている電気で照明灯を点灯させ、周囲を明るく照らすことができるものである。
【実施例2】
【0029】
図9乃至図12は、本発明に係る移動式照明装置の他の実施例を示す。この実施例2に係る移動式照明装置Bは、基本的な構成は実施例1と同じであるが、照明灯が2基ある点で、実施例1に係る移動式照明装置Aのものとは異なる。
【0030】
詳しく説明すると、4個の車輪31付きの台車30は、角パイプ材32と角パイプ材33を前後方向に配置し、その両側部と中央部を連結部材34、35、36で連結した平面略矩形状のもので、前部側の角パイプ材32上に所定間隔を空けて立設並置した一対のソーラーパネル用支柱37、38を介してそれぞれのソーラーパネル用支柱37、38上に一対のソーラーパネル39、40が縦方向及び水平方向へ回転調節可能に取り付けられている。その取付手段である縦方向回転調節手段fと水平回転調節手段gについては、それぞれソーラーパネル用支柱37、38に対応して一対設けられているが、その構成は実施例1の縦方向回転調節手段aと水平回転調節手bものと同じであるので説明を省略する。各々縦方向で分離された2基のソーラーパネル39、40の内、一方のソーラーパネル39が2基ある照明灯41、42の一方の照明灯41用のものであり、他方のソーラーパネル40が残されたもう一方の照明灯42用のものである。
【0031】
台車30上のソーラーパネル用支柱37、38を設置した側とは反対側に位置して、角パイプ材33上に一対の照明灯用支柱43、44が所定間隔を空けて立設並置されており、この照明灯用支柱43、44の上端部に各照明灯41、42が上下方向へスライド調節可能、傾斜角度調節可能、さらに水平方向へ回転調節可能に取り付けられている。各照明灯用支柱43、44の構成、及び各照明灯41、42を上下方向へスライドさせる上下方向調節手段hと、縦方向回転調節手段i、さらに水平回転調節手段jはそれぞれ一対ずつ設けられているが、それらの各構成は、実施例1の上下方向調節手段cと、縦方向回転調節手段d、さらに水平回転調節手段eと同じであるので、説明を省略する。
【0032】
ソーラーパネル用支柱37、38と照明灯用支柱43、44の間で、照明灯用支柱43、44側に位置して一対の蓄電池45、46が収納ケース45a、46b内に収容されて台車30を構成する角パイプ材33上に並置固定されている。
【0033】
この蓄電池45、46はそれぞれ一対の照明灯用のものであり、このように、2基ある照明灯41、42は、それぞれに専用のソーラーパネル39或は40と蓄電池45或は46を有している。尚、指示記号47で示したものは手押し部である
【0034】
そして、台車30の照明灯用支柱43、44を設けた側の端部には、手押し部47が設けられている。尚、この実施例2では、実施例1での転倒防止手段7を省略してあるが、この転倒防止手段を設けることは、任意であり、この転倒防止手段があると、移動用点灯装置の使用場所或は現場の足場が悪かったり傾斜している場合でも、台車30の設置が安定する利点を有する。
【0035】
以上のように実施すると、2基の照明灯41、42は、それぞれに電気を供給するソーラーパネル39、40と蓄電池45、46を有し、それぞれに電源の供給を受けて点灯するので、照明灯が1基の場合よりも明るく照明することが可能である。
【0036】
その他の実施例として、台車30の構成は、実施例2のように構成すると、安価に堅固かつ安価に製造できる利点を有するが、実施例のものに限定されるものではなく、他の台板を用いた公知構成のものに代えることができる。さらに、ソーラーパネルや照明灯の傾斜角度を調節する縦方向回転調節手段aとd或はfとiは、その他の公知構成のもの及び流体シリンダーを用いたものに代えることは可能である。また、ソーラーパネルや照明灯を水平方向へ回転調節する水平回転調節手段bやe或はgやjも実施例のものに限定されず、その他の種々の公知手段に代えることができる。さらに、照明灯を上下方向へスライドさせる上下方向調節手段cとhも、公知の例えばピニオンとラックを用いた上下方向調節手段その他の公知構成のものに代えることができる。但し、以上の各調節手段は実施例1と2のもののように構成すると、制作コストを安価に抑えることができる利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は以上のように構成したので、地震や洪水、津波等による被災時の停電時に手軽に運んで誰でもが設置、操作して照明を行う移動式の照明装置として、或は夜間における騒音の発生しない移動式照明装置として用いることができるものである。
【符号の説明】
【0038】
A、B 移動式照明装置
a、f 縦方向回転調節手段
b、g 水平回転調節手段
c、h 上下方向調節手段
d、i 縦方向回転調節手段
e、j 水平回転調節手段
1 台車
7 転倒防止手段
7c 締付ネジ
8 ソーラーパネル
8a 取付片
9 ソーラーパネル用支柱
10 保持部材
10a 保持腕
10b ガイド溝
11 支持シャフト
11a 調節ナット
12 締付ボルト
13 取付筒体
14 締付ボルト
15 照明灯
16 照明灯用支柱
16a 下部支持部
16b 上部保持パイプ
16c 下部保持パイプ
17 上部支持部材
18 締付ネジ
19 連結ピン
20 保持部材
20a 保持腕
20b 調節ナット
20c 基部
21 締付ネジ
22 蓄電池
30 台車
37 ソーラーパネル用支柱
38 ソーラーパネル用支柱
39 ソーラーパネル
40 ソーラーパネル
41 照明灯
42 照明灯
43 照明灯用支柱
44 照明灯用支柱
45 蓄電池
46 蓄電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ台車上に設置されたソーラーパネルと、蓄電池と、照明灯とから成り、前記ソーラーパネルは前記台車上へソーラーパネル用支柱を介して縦方向及び又は水平方向へ回転調節可能に取り付け、前記蓄電池は前記ソーラーパネルで発電された電気を蓄電して前記照明灯を点灯させると共に、前記照明灯は前記台車上へ取り付けた照明灯用支柱へ上下方向へスライド調節可能、或は縦方向及び又は水平方向へ回転調節可能に取り付けたことを特徴とする、移動式照明装置。
【請求項2】
それぞれ台車上に設置された各一対ずつのソーラーパネルと、蓄電池と、照明灯とから成り、前記各ソーラーパネルは前記台車上へ一対のソーラーパネル用支柱を介してそれぞれ縦方向及び又は水平方向へ回転調節可能に取り付け、前記各蓄電池は前記各ソーラーパネルで発電された電気を蓄電して前記各照明灯を点灯させると共に、前記各照明灯は前記台車上へ取り付けた一対の照明灯用支柱へそれぞれ上下方向へスライド調節可能、或は縦方向及び又は水平方向へ回転調節可能に取り付けたことを特徴とする、移動式照明装置。
【請求項3】
前記台車にはさらに、その周囲に転倒防止手段を設けたことを特徴とする、請求項1又は2に各記載の移動式照明装置。
【請求項4】
前記ソーラーパネルを縦方向へ回転調節可能に取り付ける手段は縦方向回転調節手段であり、この縦方向回転調節手段は、前記ソーラーパネルの下面より突設した取付片と、この取付片を前記ソーラーパネル用支柱の上部に水平回転調節可能に取り付けた2叉状の保持部材と、前記ソーラーパネルを保持部材の一対の保持腕へ回転可能に取り付ける調節ナット付きの支持シャフトと、一対の保持腕に設けたガイド溝と、このガイド溝と係合して取付片に取り付けられたガイド用の締付ボルトと、で構成したことを特徴とする、請求項1又は2に記載の移動式照明装置。
【請求項5】
前記ソーラーパネルを水平方向へ回転調節させる手段は水平回転調節手段であり、この水平回転調節手段は、保持部材の下部に設けたところのソーラーパネル用支柱の上端側に被せた筒状の取付筒体と、この取付筒体の外側に取り付けた複数の締付ネジと、で構成したことを特徴とする、請求項1又は2に記載の移動式照明装置。
【請求項6】
前記照明灯を上下方向へ移動調節させる手段は上下方向調節手段であり、この上下方向調節手段は、照明灯用支柱を構成する台車上に立設固定されたところの下部支持部と、この下部支持部の上下方向の位置に対して軸心を共通として取り付けられた一対の上部保持パイプ及び下部保持パイプと、この上部保持パイプ及び下部保持パイプへ挿通させたパイプ状の上部支持部材と、上部保持パイプに取り付けられた上部支持部材を上部保持パイプへ固定させる締付ネジと、上部保持パイプと上部支持部材を貫通している連結ピンと、で構成したことを特徴とする、請求項1又は2に記載の移動式照明装置。
【請求項7】
前記照明灯を縦方向へ回転調節させる手段は縦方向回転調節手段であり、この縦方向回転調節手段は、上部支持部材の上端部へ取り付けた保持部材の一対の保持腕と、この保持腕の間に前記照明灯を挟んで固定する締付ネジと、で構成したことを特徴とする、請求項1又は2に記載の移動式照明装置。
【請求項8】
前記照明灯を水平方向へ回転調節させる水平回転調節手段は、保持部材の基部を上部支持部材の上端へ固定させる締付ネジで構成したことを特徴とする、請求項1又は2に記載の移動式照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−243532(P2012−243532A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111839(P2011−111839)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(509300898)株式会社後藤工業 (2)
【Fターム(参考)】