説明

移動栽培システム

【課題】 栽培ベンチが移動する作業ライン上に栽培ベンチの傾斜装置を備えているので、栽培ベンチ上に栽培の過程で落ちた葉や、ゴミ、埃等を傾斜装置によって栽培ベンチを一方向に傾けることによって、一方の側面から回収又は掃除を可能として、栽培ベンチの掃除作業者は栽培ベンチの周りを周回することなく、ベンチの一側面を直線方向に移動するだけで容易に掃除作業を行なう構成とした。
【解決手段】 栽培ベンチの短辺を保持して一方向に栽培ベンチを回転上昇させる傾斜装置を備えて、この傾斜装置には栽培ベンチを内装配置して回転上昇させる場合に、栽培ベンチが下降移動しないよう、落下防止機構を備えると共に、回転上昇した栽培ベンチの傾斜角に平行な洗浄・乾燥装置を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動しながら育成植物を積載する栽培ベンチを備える移動栽培システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の施設園芸における移動栽培システムは例えば特開2007−252315公報(特許文献1)のように、広域の栽培領域に一端の定めた入り口から栽培ベンチを投入し、栽培領域を成長の段階に合わせながら一方向から他方向に移動しながら育成させ、他端の取り出し口から成長した栽培ベンチの取り出し、成長した植物をベンチから取り除いた後の空になった栽培ベンチを、栽培領域の一端の入り口までの間に、播種・発芽を行なわせる領域をライン上に形成して、循環型栽培システムを形成した栽培装置は公知である。
【0003】
また、特開平11−332381号公報(特許文献2)では、ベンチ本体の傾斜角度を変動可能とするベンチ斜度変動手段を備えて、生育する植物の手入れを行ないやすくした栽培ベンチ装置も公知である。
【0004】
特開2007−044620公報(特許文献3)の発明では、傾斜姿勢の被搬送物を傾斜姿勢に保持しながら搬送する傾斜搬送手段と、被搬送物を水平姿勢から傾斜姿勢に姿勢変更しつつ傾斜搬送手段に向けて案内する姿勢変更案内手段を備えた洗浄装置が記されている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−252315公報
【特許文献2】特開平11−332381号公報
【特許文献3】特開2007−044620公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の施設園芸における移動栽培システムの一例としてあげた特許文献1のように、一箇所から栽培育成場所に投入し、植物の生育によってその栽培位置を変更しながら徐々にベンチ取り出し場所へ移行し、収穫可能となった植物を搭載した栽培ベンチを育成場所から取り出して植物の収穫を行ない、その後に空になったベンチを再度播種して、育成場所に投入する循環型の栽培方法を構築している栽培システムにおいては、植物の成長に応じて、ベンチへの埃の堆積や栽培植物からの土の漏洩、そして植物自体の落葉等により栽培ベンチ内には菌類の繁殖の場所となるゴミが堆積してしまうので、植物の収穫の後に栽培ベンチの内外の掃除が行なわれてから、播種工程に栽培ベンチが移行されるのが通常となっている。
【0007】
通常の栽培ベンチの掃除方法は、掃除作業者が栽培ベンチ上を掃いて一箇所にゴミを集めて取り除くか、吸引掃除機でベンチ上のゴミを吸引の後、高圧洗浄機で付着しているゴミや土を洗い流し、水切りをして乾燥するまでの作業を平面状にレールの上に載った状態で作業者が栽培ベンチの周りを回って行なわれている。
【0008】
通常の栽培ベンチの掃除作業は、作業者が栽培ベンチの長辺の一側面からだけの作業だけでは困難で、両面側から掃除作業を行なわないと、良好な栽培ベンチの掃除が行なえないため、栽培ベンチ掃除作業者は、栽培ベンチの周りを何度も回りながら掃除を行い、作業効率低下の要因となっている。
【0009】
特許文献2ではベンチ本体の傾斜角を変動可能として、ベンチ傾斜度変動手段を備えていて、掃除等の作業性が向上しているものの、固定された支柱を中心としてその前後に傾斜角に応じて移動するだけであって、掃除作業者はそれぞれの箇所に移動する必要があり、この形態においてもベンチの掃除作業を簡単に行なうことは困難である。
【0010】
そこで本発明では、移動しながら植物栽培育成が行なわれる移動栽培システムにおいて、植物の収穫後から播種作業が行なわれるまでの作業ラインの一部に、栽培ベンチをライン上に配置しながら一方に傾斜させて、作業者がベンチ上に堆積した枯葉やゴミ、土、又は埃を一方に集積させて除去させる工程と、ベンチ内に付着した泥、ゴミ、埃等や液体(水や水に次亜塩素酸を混合した溶液)を噴射して洗浄及び殺菌を、栽培ベンチの一方の長辺面から容易に行なえる栽培システムの提案と、回転上昇して傾斜した栽培ベンチのその角度に合わせて洗浄及び乾燥する装置とその領域を備えて、容易に栽培ベンチの掃除、洗浄、殺菌を行なえる移動栽培システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために本発明の請求項1に係わる移動栽培システムは、平面視長方形で育成作物を積載した栽培ベンチを、広敷レール上に広域に配置した栽培領域と、その栽培領域へ栽培ベンチを投入する投入口と、栽培ベンチを栽培領域から取り出す取り出し口とを作業ラインで接続した移動栽培装置において、投入口と取り出し口を繋ぐ作業ラインの一部に、栽培ベンチの短辺を保持して一方向に栽培ベンチを回転上昇させる傾斜装置を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項2に係る移動栽培システムは、請求項1記載の移動栽培システムにおいて、傾斜装置には、栽培ベンチを内装配置して回転上昇させる場合に、栽培ベンチが下降移動しないよう、落下防止機構を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項3に係る移動栽培システムは、請求項1または請求項2記載の移動栽培システムにおいて、傾斜装置には、隣接して洗浄装置を配置し、回転上昇した栽培ベンチの傾斜角に平行な洗浄装置の洗浄領域を形成させたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項4に係る移動栽培システムは、請求項1または請求項2記載の移動栽培システムにおいて、傾斜装置には、隣接して洗浄装置と乾燥装置を配置し、回転上昇した栽培ベンチの傾斜角に平行な洗浄装置と乾燥装置の洗浄・乾燥領域を形成させたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項5に係る移動栽培システムは、請求項1、2、3又は4記載の移動栽培システムにおいて、投入口と取り出し口を繋ぐ作業ラインには、作業ラインから分岐した作業補助レールを備え、作業補助レールに傾斜装置を備えたことを特徴とするものである。
【0016】
請求項6に係る移動栽培システムは、請求項5記載の移動栽培システムにおいて、作業補助レールの端部には、栽培ベンチを複数収納できる収納部を配置し、傾斜装置を通過した栽培ベンチを収納することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の移動栽培システムによれば、栽培ベンチが移動する作業ライン上に栽培ベンチの傾斜装置を備えているので、栽培ベンチ上に栽培の過程で落ちた葉や、ゴミ、埃等を傾斜装置によって栽培ベンチを一方向に傾けることによって、一方の側面から回収又は掃除を可能としている。よって、栽培ベンチの掃除作業者は栽培ベンチの周りを周回することなく、ベンチの一側面を直線方向に移動するだけで容易に掃除作業を行なうことを可能とし、作業効率の向上を可能としている。
【0018】
さらに傾斜装置によって、角度をもって上方に持ち上げられた栽培ベンチは、その傾斜角と平行に洗浄装置又は、洗浄と乾燥の両機能を備えた洗浄乾燥装置とその領域を備えているので、高圧水の噴射による洗浄を行なっても、栽培ベンチの全面に均一に水の洗浄作業を行なうことが出来る。そして洗浄後の水を一方向に集めることが出来るので、作業場所への水の飛散を防止すると共に、栽培ベンチ上の水切れを短時間で行なうことが出来る。さらに栽培ベンチ上の水切れが良好なので、乾燥も短時間で行なうことを可能とし、洗浄作業を効率的に短時間で行なう効果を有しているものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1には、本発明の実施の形態を備える栽培システム全体を示す平面図を、図2は本発明の実施の形態の作業ラインを側面から図示する側面図、図3は図2に詳細と部分拡大図、図4は傾斜装置を作業ライン正面から図示した図、図5は図4の部分拡大図、図6は本発明の実施の形態に洗浄装置又は、洗浄乾燥装置を備えた状態を示す側面図、図7は本発明の第2の実施の形態を示す栽培システム全体を示す平面図、図8本発明の第2の実施の形態の作業補助レールの側面を示す図、図9は図8の部分拡大を示す図である。
【実施例1】
【0020】
図1に示す栽培システム1は、広域な植物を一定期間育成する領域となる栽培領域2と、栽培領域2に隣接し播種及び収穫、洗浄作業を行なう作業領域3から形成されている。
【0021】
平面視長方形で育成植物を積載した栽培ベンチ4は、栽培領域2に平面視縦横方向に列を成し、管理通路以外略隙間無く配置されている。栽培領域2の一端側には投入口5を、そして他端側には取り出し口6が配置されていて、投入口5から栽培領域2の突端まで栽培ベンチ4を送り込むレールの投入レール7が、そして栽培領域2内の他端側の突端から取り出し口6まで栽培ベンチ4を取り出すための取り出しレール8が備えられている。
【0022】
投入レール7と取り出しレール8の間を繋ぎ、栽培領域2内に複数列まんべんなく栽培ベンチ4を栽培領域2に広げるための広域レール9が、栽培ベンチ4一列につき二本が投入レール7と取り出しレール8の間を配置されている。この広域レール9によって栽培ベンチ4は、栽培領域2に複数列そして満遍なく広げられて投入レール7から投入され、そして取り出しレールから取り出されることによって、広域レール9上を植物の生育が進むに連れて投入口側から取り出し口側に栽培ベンチは徐々にその生育場所を移動するようになっている。
【0023】
また図示してはいないが、投入レール7と取り出しレール8の高さは略同じで、広域レール9がそれらのレールより高く配置され、投入レール7から広域レール9又は、広域レール9から取り出しレール8に栽培ベンチを上昇又は下降させるための昇降装置10が広域レール9と投入レール7及び取り出しレール8が接する位置に設けられていて、栽培ベンチ4が良好にそれぞれのレールへの移行を可能としている。
【0024】
作業領域3には、取り出し口6の取り出しレール8から投入口5の投入レール7までの間を繋ぐ、作業ラインとなる作業レール11が配置されていてこの作業レール11上で、栽培ベンチ4上で生育した植物の収穫や、ベンチの洗浄・播種が行なわれるようになっている。なお取り出しレール8から作業レール11、作業レール11から投入レール7にレールを乗り換える場合の昇降装置10が備えられている。
【0025】
栽培ベンチ4の裏面には広域レール9・作業レール11を走行する、即ち横方向に移動する場合の車輪を備えていて(図1参照)、その車輪は図4に示す断面円状が筒状の車輪A30が一方のレールに対応する位置に、そして2個の同形・同大のベアリングでレールを挟み込むように構成された車輪B31が他方のレールに対応する位置にそれぞれ2個ずつ配置されている。
【0026】
さらに作業領域3には、図1の示すように、向かって右方向から収穫スペース12・洗浄部13・播種スペース14の順に配置され、前記洗浄部13には傾斜装置15が配置されている。
【0027】
この傾斜装置15は栽培ベンチ4の平面視長方形の両短辺の略全長を保持する保持部16と保持部16を回転上昇させるための可動部17から構成されており、それぞれは可動ベース18に接合して配置されている。保持部16は支点A19の軸A20とベアリングを介在しながら左右の保持部16が独立して可動ベース18と接合されている。さらに保持部16は軸A20を外側に、そして保持フレーム21を内側にそれぞれ備えていている。この保持フレーム21は内側に向かって開放している断面視コ型形状であって、待機状態において作業レール11を移動してくる栽培ベンチ4がその内部に侵入するにあたり、上下左右の隙間の隙間を保って接触しないように配置されているものである。
【0028】
前記の保持フレーム21の上面には栽培ベンチ4の落下防止機構のストッパ22が配置されている(図3)。このストッパ22にはその重心から外れ、ストッパ22の一端が下を向く方向に容易に回転する位置を支点B23として、保持フレーム21に固体ネジによって接合されている。
【0029】
可動部17は支点C25となる回転軸26にアームA27とアームB28が接続され、アームA27の先端方向で保持フレーム21の底面を押す位置にローラ29が、左右の保持部16に配置されている。アームB28は回転軸26の全長の略中央、そして栽培ベンチ4の中央にあって、その先端は伸縮装置24の一端と繋がれていて、その伸縮装置24の他端は可動ベース18の一部と回転可能状態で接合されている。
【0030】
伸縮装置24の稼動とともにアームB28を引っ張ることによって回転軸26が回転し、回転軸26の略両端にアームA27を回転させるので、ローラ29が保持フレーム21と接触して持ち上げを開始する。保持フレーム21は支点A19を中心に回転しながら上昇し、ローラ29は保持フレーム21との接触位置を支点A19に徐々に接近し、保持部16を支点A19を中心に傾斜させることが出来るようになっている。尚保持フレーム21即ち保持部16の傾斜角は45度から65度くらいに本発明では設定されている。
【0031】
図6に示す傾斜装置15は、保持部16の傾斜角に合わせた洗浄領域又は洗浄・乾燥領域を形成するための洗浄・乾燥装置32を備えた状態を示したものである。この洗浄・乾燥装置32は保持部16内に保持される栽培ベンチ4の全面と略平行面状に、そして栽培ベンチ4と若干の距離を保って、栽培ベンチ4の全表面に高圧水や温風・常温風を均一に供給する洗浄領域又は洗浄・乾燥領域が形成されている。
【0032】
生育段階が終了し、栽培領域2から取り出し口6に取り出しレール8を通過して取り出された栽培ベンチ4は、作業領域3の作業レール11にレールを乗り換え、収穫スペース12にて植物を収穫後、洗浄部13へと作業レール11を移動する。そして洗浄部13の傾斜装置15内へと侵入し、保持部16の保持フレーム21のコ型形状の断面内に栽培ベンチ4の平面視長方形の短辺が保持フレーム21の接触することなく侵入する。栽培ベンチ4の保持フレーム21内の侵入と共に、ストッパ22の一端がその自重によって下方向に傾き、その下端が栽培ベンチ4の上端より下方に配置されているので、栽培ベンチ4の侵入と共に、ストッパ22の傾き下端の栽培ベンチ4と接触している部分を栽培ベンチ4が押し上げて侵入していく。そして栽培ベンチ4の侵入の終了と共に、ストッパ22の下端が栽培ベンチ4の上端より下方に配置されるので、栽培ベンチ4が侵入した方向と逆方向に移動しようとしても、その移動を阻止することが出来るようになっている。
【0033】
上記のように、栽培ベンチ4が保持部16内、そしてストッパ22を通り過ぎた後に、作業者は伸縮装置24を稼動させて、アームA27を上方に回転させることによって、保持フレーム21を支点A19中心に回転上昇させる。栽培ベンチ4はストッパ22によって侵入してきた方向、即ち逆方向にずり落ちることなく、保持フレーム21と共に保持部16の回転する傾斜角度に合わせて傾斜する。
【0034】
保持部16が回転上昇し、適度な傾斜角度、即ち作業者が一方向から栽培ベンチを掃除しやすい角度となったら、図2に示すように作業者は栽培ベンチ4の下側となった栽培ベンチ4の長辺側からベンチの掃き掃除を行なってゴミを下方に集積の後に排除を行ない、高圧の洗浄液体を噴射してベンチ上面の土や汚れの洗浄を行なう。
【0035】
また図6に示すように保持部16が回転上昇し、洗浄・乾燥装置32と略平行にそして若干の隙間を保った角度となったら、洗浄・乾燥装置32から高圧の液体、例えば次亜塩素酸を含む溶液を栽培ベンチ4の上面に噴射して殺菌作業を行ない、その後に水を噴射して次亜塩素酸と土汚れ等を洗い流し作業を行なう。そして温風や外気を栽培ベンチ4の上面に通風を行なう。
【0036】
以上のような洗浄作業を行なっても、栽培ベンチ4が傾斜装置15によって傾斜しているので水はけが良好なばかりか、栽培ベンチ4上面に付着している水滴も温風や外気の通風によって下方に移動されるので乾燥の効率が向上すると共に、作業レール11上でおこなえるので栽培ベンチ4を専用の洗浄場所に移動することなく容易に洗浄作業を行なうことを可能としている。
【実施例2】
【0037】
図7に示す栽培システム40は、栽培領域2に隣接する作業領域41の収穫スペース42・播種スペース43に回転装置44を備え、栽培領域2や投入レール7・取り出しレール8を移行する栽培ベンチ4を平面視で90度回転させた状態に向きを変更し、収穫スペース42と播種スペース43を繋ぐ作業ラインは、移動レール45で接続されている。この移動レール45は投入レール7・取り出しレール8と同様な構成であって、これらのレールと高さを略同一としている。
【0038】
移動レール45にはその一部に作業補助レール46が異なる高さに備えられていて、移動レール45から昇降装置10によって異なるレールの高さに栽培ベンチ4を昇降させ、作業補助レール46に栽培ベンチ4を移行させることが出来るようになっている。
【0039】
そしてこの作業補助レール46には洗浄部49とそのレールの先には収納部47が備えられている。この洗浄部49にも実施例1と同様の傾斜装置15が備えられ、栽培ベンチ4の平面視長方形の両短辺を断面視コ型形状の保持部16の保持フレーム21で挟み込み、可動部17の作動によってアーム27を押し上げ、支点A19を支点として保持部16が回転上昇するようになっていている。自重によって回転して、栽培ベンチ4上面より下方にあるストッパ22下端部によって、保持部16内の栽培ベンチ4が回転上昇しても落下しないように構成されているのも実施例1と同様である。また図示していないが、図6に示す洗浄・乾燥装置32を図8に示す実施例2の傾斜装置15に付属させることが出来るものである。
【0040】
洗浄部49の傾斜装置15にて作業の終了した栽培ベンチ4は、傾斜装置15の保持部16が水平状態に移行すると同時に、栽培ベンチ4の底面に装着している車輪30・31が再度作業補助レール46に乗ることによって、栽培ベンチ4の収納部47方向への移動を可能としている(図8参照)。
【0041】
収納部47は作業領域41とは隔てて備えられていて、その内部には栽培ベンチ4を段積みにする装置や、乾燥装置などを備えて、栽培ベンチ4の乾燥による雑菌の繁殖の防止や、空いている栽培ベンチ4の効率的な収納によって、作業の邪魔にならないスペースを確保したり、栽培量の調節を行なうためのベンチ数の調節のために利用されるようになっている。
【0042】
収納部47から栽培ベンチ4を作業領域41に供給する場合は、図9に示すようにストッパ22が自重によって傾かないようにピン48によってストッパ22を保持フレーム21に固定することによって、栽培ベンチ4を容易に傾斜装置15内を通過可能としている。
【0043】
以上のように構成された実施例2における栽培システム40では、栽培領域2で成長した植物を取り出し口6から作業領域41に移行させる。そして収穫スペース42の回転装置44によって、栽培ベンチ4を90度その角度を変え、取り出しレール8から移動レール45へと搭乗するレールの変更を行い、作業者によって収穫作業を行なう。収穫作業終了後、栽培ベンチ4は移動レール45を移動し昇降装置10が配置されている場所で、移動レール45から設置高さの異なる作業補助レール46に、昇降装置10によって昇降し、作業補助レール46に移行が行なわれる。
【0044】
その後、栽培ベンチ4は洗浄部49に侵入し、傾斜装置15内に配置される。作業者は可動部17を稼動させ、アームA27が上昇方向回転を始めるので、保持フレーム21もそれに押されて上昇回転を始め、支点A19を中心に保持部16が回転上昇を行なう。栽培ベンチ4はこの保持部16内に収納され、ストッパ22によって落下しないようになっているので、栽培ベンチ4は保持部16の持ち上げられる角度に従って上昇を行なう。作業者はその回転上昇が終了したならば、栽培ベンチ4の表面を上方から下方に向かって掃き掃除や高圧水による噴射作業によって、その表面のゴミや付着する土を落して洗浄作業を行なう。栽培ベンチ4は傾斜した状態を保っているので、洗浄作業によって表面に付着している水滴を比較的に早く下方に落下させることが出来るので、栽培ベンチの表面を早く乾燥することが出来る。さらに洗浄・乾燥装置32を傾斜している栽培ベンチ4と略並行に配置されている場合は、殺菌剤の噴霧による消毒作業と高圧水による消毒剤の洗い流しと、付着するゴミや土の除去を行い、その後温風や外気による通風が行われるので、すばやく栽培ベンチ表面を乾燥することを可能としている。
【0045】
洗浄作業又は、乾燥作業の終了の後、傾斜装置15の傾斜を開放して作業補助レール46上に栽培ベンチ4を搭乗させ、洗浄部49から収納部47に送り込む。収納部47では生産量の調節のために栽培に使用しないベンチを収納するための段積み装置や、栽培ベンチの更なる消毒乾燥装置を備えているとよく、生産量に応じて栽培ベンチを栽培領域2に洗浄及び除菌の終了しているベンチを計画的に供給することが可能となる。
【0046】
収納部47から栽培ベンチを移動レール45そして播種スペース42に供給を行なう場合には、傾斜装置15のストッパ22はピン48によって保持フレーム21に固定されているので、スムーズな栽培ベンチ4の供給を可能とすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態を備える栽培システム全体を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態の作業ラインを側面から図示する側面図である。
【図3】図2に詳細と部分拡大図である。
【図4】傾斜装置を作業ライン正面から図示した図である。
【図5】図4の部分拡大図である。
【図6】本発明の実施の形態に洗浄装置又は、洗浄乾燥装置を備えた状態を示す側面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態を示す栽培システム全体を示す平面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態の作業補助レールの側面を示す図である。
【図9】図8の部分拡大を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 栽培システム
2 栽培領域
3 作業領域
4 栽培ベンチ
5 投入口
6 取り出し口
7 投入レール
8 取り出しレール
9 広域レール
10 昇降装置
11 作業レール
12 収穫スペース
13 洗浄部
14 播種スペース
15 傾斜装置
16 保持部
17 可動部
18 可動ベース
19 支点A
20 軸A
21 保持フレーム
22 ストッパ
23 支点B
24 伸縮装置
25 支点C
26 回転軸
27 アームA
28 アームB
29 ローラ
30 車輪A
31 車輪B
32 洗浄・乾燥装置
33 給水ライン
40 栽培システム
41 作業領域
42 収穫スペース
43 播種スペース
44 回転装置
45 移動レール
46 作業補助レール
47 収納部
48 ピン
49 洗浄部




【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視長方形で育成作物を積載した栽培ベンチを、広敷レール上に広域に配置した栽培領域と、その栽培領域へ栽培ベンチを投入する投入口と、栽培ベンチを栽培領域から取り出す取り出し口とを作業ラインで接続した移動栽培装置において、
投入口と取り出し口を繋ぐ作業ラインの一部に、栽培ベンチの短辺を保持して一方向に栽培ベンチを回転上昇させる傾斜装置を備えたことを特徴とする、移動栽培システム。
【請求項2】
傾斜装置には、栽培ベンチを内装配置して回転上昇させる場合に、栽培ベンチが下降移動しないよう、落下防止機構を備えたことを特徴とする、請求項1記載の移動栽培システム。
【請求項3】
傾斜装置には、隣接して洗浄装置を配置し、回転上昇した栽培ベンチの傾斜角に平行な洗浄装置の洗浄領域を形成させたことを特徴とする、請求項1または請求項2記載の移動栽培システム。
【請求項4】
傾斜装置には、隣接して洗浄装置と乾燥装置を配置し、回転上昇した栽培ベンチの傾斜角に平行な洗浄装置と乾燥装置の洗浄・乾燥領域を形成させたことを特徴とする、請求項1または請求項2記載の移動栽培システム。
【請求項5】
投入口と取り出し口を繋ぐ作業ラインには、作業ラインから分岐した作業補助レールを備え、作業補助レールに傾斜装置を備えたことを特徴とする、請求項1、2、3又は4記載の移動栽培システム。
【請求項6】
作業補助レールの端部には、栽培ベンチを複数収納できる収納部を配置し、傾斜装置を通過した栽培ベンチを収納することを特徴とする、請求項5記載の移動栽培システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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