説明

移動端末、およびプログラム

【課題】通信される文書の属性に適した通信経路を特定して通信を行う仕組みを提供する。
【解決手段】管理サーバー5のCPU51は、送信対象である文書データを検査し、送信先と送信元を示すユーザー識別情報と文書データの種別を示す文字列を特定する。そして、CPU51は、端末登録テーブル541を参照して、文書データが送られる送信先のユーザーの役職と、この文書データを送った送信元のユーザーの役職を特定し、優先度テーブル542からこの文書データの「送信先の役職」、「送信元の役職」および「種別」のそれぞれに対応する各通信端末2の優先度を抽出して合計する。CPU51は、合計した優先度に応じて、通信端末2の優先順位を決定する。そして、CPU51は、端末登録テーブル541を参照して、送信先のユーザーに対応付けられている各通信端末2の通信端末識別情報を特定し、優先順位の高い通信端末2から順に通信経路の確立を要求する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信システムなどに用いる移動端末およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話網をはじめとする各種無線ネットワークが発達してきている。また、情報端末(移動端末)の小型化・軽量化が進み、携帯可能な情報端末として、PDA(Personal Digital Assistant)などが広く用いられている。昨今では、無線ネットワークと携帯型の情報端末とを接続して使用することにより、どこにいてもオフィスにいるのと同等の仕事ができるようになっている。携帯型の情報端末には、無線ネットワークを含めた複数の各種ネットワークと接続可能なものがある。このような情報端末のユーザーは、迅速な通信を行うために、複数のネットワークの中からその都度、利用可能なものを特定して通信を行えばよい。また、このような情報端末のユーザーは、利用可能なネットワークの能力に応じて、通信内容を選択することもできる。例えば、複数の通信帯域に合わせて編集した複数のコンテンツを保持するコンテンツサーバーが、ユーザー端末からのコンテンツ配信要求を受けたとき、ネットワーク管理・制御システムに、そのユーザー端末が利用可能な帯域値を問い合わせることによって、その帯域値以下の通信帯域に適したコンテンツを選択、配信する技術が開発されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、無線ネットワークは大きく分けて、2つに分類できる。ひとつめは、携帯電話に代表される常時通信リンクが接続されていていつでもデータ通信を行うことができるが、データサイズの大きいデータを送ることが比較的に難しい狭い帯域幅で、かつ利用料金が高めの、常時接続型の無線ネットワーク。ふたつめは、無線LANに代表される常時通信リンクが接続されることはなくデータ通信を行おうとする都度接続し、データサイズの大きいデータを送ることができる広い帯域幅で、かつ利用料金が低めの、非常時接続型の無線ネットワーク。常時接続型の無線ネットワークでは、端末が移動した場合でも通信リンクが切れることはなくメール受信の通知などの非同期型のプッシュ通信などに有効である。このような、常時接続可能な通信ネットワークと非常時接続可能な通信ネットワークを切り替えて効率的にネットワークを利用する技術も開発されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−348494号公報
【特許文献2】特開2006−80981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的に通信される文書には軽重があり、送信の確実性や迅速性等が求められるものとそうではないものがある。また、通信ネットワークの属性によって、データ転送の迅速性、高速データ転送処理の有無などがあり、従来の移動端末においては、非同期通信における双方向通信での通信される文書の属性に適した通信経路を特定して通信を行うことが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一つを解決するように、以下の適用例または形態として実現され得る。
【0007】
〔適用例1〕本適用例の移動端末は、複数の通信ネットワークと接続可能な通信機器と接続可能な移動端末において、前記通信機器が常時接続している通信ネットワークに対して、前記通信機器を介して通信を確立するための第1通信インターフェース部と、複数の通信ネットワークとの通信を同時に確立するための第2通信インターフェース部と、前記第1通信インターフェース部における通信を制御する第1通信制御部と、前記第2通信インターフェース部における通信を制御する第2通信制御部と、送信する文書の属性を用いて送信する前記第1通信制御部および前記第2通信制御部のいずれかを選択する通信経路選択部とを備えることを特徴とする。
これにより、非同期通信における双方向通信での通信される文書の属性に適した通信経路を特定して通信を行うことが可能となり、通信レスポンスの向上や、通信の安定性を向上させることができる。
【0008】
〔適用例2〕また、上記適用例の移動端末において、第1通信ネットワークに接続され、常時接続している前記複数の通信ネットワークにおいて、一定間隔で行われる定期通信を行い、第2通信ネットワークに接続される複数の通信ネットワークにおいて、不定期な通信を行うことが好ましい。
本適用例に係る移動端末は、メール受信の通知などのプッシュ通信を常時受信可能となり、それに呼応した返信などの通信をより帯域の広い通信ネットワークで行うことが可能となる。
【0009】
〔適用例3〕また、上記適用例の移動端末において、前記通信経路選択部は、文書の送信先、送信元および文書の種別を少なくとも含む文書の属性と、通信網の種類とを対応付けて記憶する記憶手段と、送信対象となる文書の送信先、送信元および種別を判別する判別手段と、前記記憶手段によって記憶されている内容に基づいて、前記判別手段によって判別された文書の送信先、送信元および種別に対応する通信網の種類を特定する特定手段と、前記特定手段によって特定された種類の通信網を経由して文書を送信する送信手段とを備えることが好ましい。
本適用例に係る通信装置は、送信対象となる文書の属性に適した通信経路を特定して通信を行うことが可能となる。
【0010】
〔適用例4〕また、上記適用例の移動端末において、前記通信路選択部は、前記判別手段で用いる文書の属性として、文書を保持するユーザーの属性情報と、文書の処理の仕組みを示す種別の属性情報と、を備えることが好ましい。
【0011】
〔適用例5〕また、本適用例に記載のプログラムは、複数の通信ネットワークと接続可能な通信機器と接続可能な移動端末において、コンピューターを常時接続している通信ネットワークとの通信を確立するための第1の通信インターフェース手段と、複数の通信ネットワークとの通信を同時に確立するための第2の通信インターフェース手段と、前記第1のインターフェース手段における通信を制御する第1の通信制御手段と、前記第2のインターフェース手段における通信を制御する第2の通信制御手段と、送信する文書の属性を用いて送信する前記通信ネットワークを選択する通信経路選択手段と、して機能させることを特徴とする。
本適用例に係るプログラムが実行されることにより、非同期通信における双方向通信での通信される文書の属性に適した通信経路を特定して通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】通信システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
【図2】通信網の一例を示すブロック図である。
【図3】移動端末および通信端末の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】管理サーバーの一例を示すブロック図である。
【図5】端末登録テーブルの一例を示す図である。
【図6】優先度テーブルの一例を示す図である。
【図7】通信システムにおけるダウンロードの動作の一例を示すシーケンス図である。
【図8】通信システムにおけるアップロードの動作の一例を示すシーケンス図である。
【図9】優先度の合計結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(A:構成)
以下、本発明の一実施形態である通信システム9の構成を、図を用いて説明する。
(A−1:全体構成)
図1は、通信システム9の全体構成の一例を示すブロック図である。移動端末1は、文書を示す文書データの閲覧や編集を行うための端末であり、例えばPDAなどである。通信端末2A,2B,2C(以下、特に区別の必要がない場合は、これらを総称して「通信端末2」と記す)は、移動端末1と有線または無線で接続可能に構成されており、移動端末1と、それぞれ対応する通信網3A,3B,3Cとの間で情報の遣り取りを行う。複数の通信網3A,3B,3C(以下、特に区別の必要がない場合は、これらを総称して「通信網3」と記す)は、携帯電話通信網や無線LAN(Local Area Network)および有線LANなどである。携帯電話通信網を介して通信を行う通信端末は、携帯電話機であり、無線LANを介して通信を行う通信端末は、無線LAN端末であり、有線LANを介して通信を行う通信端末は有線LAN端末である。ネットワーク4は、各通信網3A,3B,3Cと接続している情報通信回線であり、例えばインターネットである。管理サーバー5は、ネットワーク4に接続されているコンピューター等であり、移動端末1のユーザーの登録情報や、移動端末1で扱う文書データ等を管理するとともに、これらの文書データ等を移動端末1および通信端末2との間で遣り取りする通信装置として機能する。
【0014】
(A−2:通信網の構成)
図2は、通信網3の一例を示すブロック図である。図に例示した通信網3は携帯電話通信網である。ホームロケーションレジスター31は、通信端末2(この場合は携帯電話機)の加入者情報を記憶しており、通信端末2の位置情報を管理する。関門移動交換局32は、ネットワーク4や公衆回線、並びに他社ネットワーク等との相互接続を行う。移動交換局33は、通信端末2の移動を追跡して通信回線の交換サービスを行う。基地局331−1,331−2,331−3(以下、特に区別の必要がない場合は、これらを総称して「基地局331」と記す)は、通信端末2との間で無線通信を行う。この基地局331は予め定められた領域ごとに備えられており、複数の基地局331が移動交換局33に接続されている。ホームロケーションレジスター31、関門移動交換局32および移動交換局33は通信回線30で接続されている。なお、説明を簡略にするため、図において移動交換局33は1つだけ示したが、複数の移動交換局33が通信回線30に接続されていてもよい。
【0015】
(A−3:移動端末および通信端末の構成)
図3は、移動端末1および通信端末2の構成の一例を示すブロック図である。
まず、移動端末1の構成について説明する。CPU11は、ROM12に記憶されているブートローダーや記憶部14に記憶されているコンピュータープログラムを読み出して実行することにより移動端末1の各部を制御する。ROM12は半導体素子等で構成された読み出し専用の不揮発性記憶装置である。このROM12には、記憶部14に記憶されている基本OS(Operating System)をRAM(Random Access Memory)13にロードするためのブートローダーやBIOS(Basic Input/Output System)などが記憶されている。RAM13はCPU11がプログラムを実行する際のワークエリアとして利用される。記憶部14はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性の記憶手段であり、CPU11に読み込まれるプログラムや文書を表す文書データ等を記憶する。操作部15は各種の指示を入力するための操作ボタン等の操作子を備えており、ユーザーによる操作を受け付けてその操作内容に応じた信号をCPU11に供給する。表示部16は、CPU11からの指示に応じて、文書データが表す文書等を表示する。表示部16は、例えば、複数の画素により構成される表示面を有する。この表示面は、例えば、コレステリック液晶等の表示体により構成される。通信部17は、通信端末2A,2B,2Cとそれぞれ接続して通信するための通信端点171A,171B,171C(以下、特に区別の必要がない場合は、これらを総称して「通信端点171」と記す)を備える。この通信端点171は、例えばUSB(Universal Serial Bus)規格に準拠したシリアルインターフェースや、IrDA(Infrared Data Association)、Bluetooth(登録商標)などに準拠した無線インターフェースなどである。以上の構成はバス19によって相互に接続されている。
【0016】
次に、通信端末2の構成について説明する。ここでは、通信端末2Aが携帯電話機の場合について説明する。CPU21、RAM23、記憶部24、操作部25、表示部26およびバス29は、それぞれ、移動端末1が備えるCPU11、RAM13、記憶部14、操作部15、表示部16およびバス19と同じ構成であるが、ROM22には、通信端末2を識別するための通信端末識別情報MIDが記憶されている。通信部27は、第1通信部271と第2通信部272とを有する。第1通信部271は、移動端末1の通信部17が備える通信端点171Aとの間で通信を行う。この第1通信部271は、移動端末1の通信端点171Aと同じ構成であるため、説明を省略する。第2通信部272は、通信網3との間で通信を行う。この第2通信部272は、例えばIMT−2000に準拠した無線通信回路である。
【0017】
図に示したように移動端末1と通信端末2は互いに接続することにより、通信網3およびネットワーク4を介して管理サーバー5との間で文書データを遣り取りするクライアントとして機能する。なお、通信端点171Cには、有線LAN端末である通信端末2Cが接続されている。この有線LAN端末にはCPUやROMなどは備えられていないが、通信端末識別情報MIDとしてMAC(Media Access Control)アドレスが割り当てられている。
【0018】
(A−4:管理サーバーの構成)
図4は、管理サーバー5の一例を示すブロック図である。CPU51、ROM52およびRAM53は、それぞれ、移動端末1が備えるCPU11、ROM12およびRAM13と同じ構成である。CPU51は、文書データの送信先、送信元および種別を判別する判別手段、及び、判別された文書の送信先、送信元および種別に対応する通信網の種類を特定する特定手段である。また、CPU51は、記憶部54に対する書き込みや読み出しを制御する記憶制御手段や、通信部57による送信を制御する送信制御手段としても機能する。通信部57は、ネットワーク4との間で通信を行う。この通信部57は、ネットワーク4を介して複数種類の通信網3のいずれかを経由して、複数のクライアントの各々に対して文書データを順次送信する送信手段である。記憶部54はハードディスクドライブなどの大容量の記憶手段であり、CPU51に読み込まれるプログラムを記憶する。また、記憶部54は、端末登録テーブル541と優先度テーブル542を記憶する。
【0019】
(A−5:端末登録テーブルの構成)
図5は、端末登録テーブル541の一例を示す図である。図に示すように、端末登録テーブル541には、ユーザーを識別するためのユーザー識別情報(ユーザー識別記号)と、そのユーザーの役職を示す「部長」、「一般社員」、「課長」および「係長」等のいずれかの文字列およびそのユーザーが所有する通信端末2の通信端末識別情報MIDとが通信端末識別記号で対応付けて記述されている。
例えば、ユーザー識別情報「U1」が示すユーザー(以下、ユーザーU1という)は「一般社員」であり、ユーザーU1には、通信端末識別情報MIDとして携帯電話機を示す「M1」、無線LAN端末を示す「W1」および有線LAN端末を示す「B1」が対応付けられている。ユーザーU2は「部長」であり、ユーザーU2には、携帯電話機を示す「M2」および有線LAN端末を示す「B2」が対応付けられている。なお、図中の記号「−」は「該当なし」を表している。したがって、ユーザーU2に対応付けられた無線LAN端末は存在しない。なお、通信端末識別情報MIDは、携帯電話機の場合には実際には、電話番号「090−××××−××××」であり、無線LAN端末および有線LAN端末の場合には実際には、それぞれのMACアドレスである。
【0020】
(A−6:優先度テーブルの構成)
図6は、優先度テーブル542の一例を示す図である。図に示すように、優先度テーブル542には、送信される文書データの属性として、「送信先の役職」、「送信元の役職」および「種別」が記述されている。ここで「送信先の役職」とは文書データが送られる側のユーザーの役職を示し、「送信元の役職」とは文書データを送る側のユーザーの役職を示している。また、「種別」とは、文書データの目的や用途を示しており、権限のある承認者から承認を得る必要がある文書データの「種別」は「承認」であり、送信先のユーザーとの間で情報を共有するための文書データの「種別」は「情報共有」である。また、送信元のユーザーから送信先のユーザーへ、一方的に情報を提示するための文書データの「種別」は「通達」である。そして、優先度テーブル542には、文書データの属性の内容に応じて、優先度が記述されている。この優先度とは、通信端末2として、携帯電話機、無線LAN端末および有線LAN端末のうちいずれを優先して使用すべきかを定めた数値であり、数値の大きいものほど優先して使用される。例えば、「送信先の役職」が「部長」であれば、優先度は、携帯電話機「2」、無線LAN端末「0」、有線LAN端末「1」といった具合である。したがって、この場合には、管理サーバー5のCPU51は、携帯電話機→有線LAN端末→無線LAN端末の順で通信端末2を優先して使用する。上述の各通信端末2が特定されると、それぞれ対応する通信網3の種類が特定されるから、すなわち、この優先度テーブル542は、文書データの属性と通信網の種類との組み合わせ毎に、複数の通信網の種類の中からいずれかの通信網を特定するための数値を記憶することで、この文書データの属性と、複数の通信網の種類とを対応付けて記憶する記憶手段である。
【0021】
(B:動作)
次に、本発明の一実施形態である通信システム9の動作を説明する。
図7は、通信システム9におけるダウンロードの動作の一例を示すシーケンス図である。ここでダウンロードとは、管理サーバー5から移動端末1である移動端末1−1へ向けてメール送信が行われて、添付ファイルとして文書データが送信されることをいう。以下、送信先として「U3」が、送信元として「U1」が、種別として「情報共有」が記述された文書データについて図7および図9を用いて説明する。
管理サーバー5のCPU51は、これから送信しようとする文書データを検査し、送信先と送信元を示すユーザー識別情報と文書データの種別を示す文字列を特定する(ステップS101)。また、CPU51は、端末登録テーブル541を参照して、文書データが送られる送信先のユーザーの役職と、その文書データを送った送信元のユーザーの役職を特定する。そして、CPU51は、優先度テーブル542から文書データの「送信先の役職」、「送信元の役職」および「種別」のそれぞれに対応する各通信端末2の優先度を抽出(ステップS102)して、合計する。
【0022】
図9は、この合計結果を示す図である。この文書データの送信先はユーザーU3であるから、「送信先の役職」は「一般社員」である。これに対応する各通信端末の優先度は携帯電話機−無線LAN端末−有線LAN端末の順に「0−1−1」である。そして、この文書データの送信元はユーザーU1であるから、「送信元の役職」は「一般社員」である。これに対応する各通信端末の優先度は携帯電話機−無線LAN端末−有線LAN端末の順に「0−1−1」である。そして、この文書データの「種別」は「情報共有」であるから、対応する各通信端末の優先度は携帯電話機−無線LAN端末−有線LAN端末の順に「0−1−1」である。ここで、管理サーバー5のCPU51が、これらの優先度を合計すると、合計値は、携帯電話機−無線LAN端末−有線LAN端末の順に「0−3−3」となる。すなわち、無線LAN端末の優先度と有線LAN端末の優先度は同じ「3」である。この場合には、管理サーバー5のCPU51は、無線LAN端末2B−1と有線LAN端末2C−1を同じ優先順位として取り扱う(ステップS103)。
【0023】
次に、管理サーバー5は移動端末1−1に向けてメールを受信したことを伝える通知を携帯電話機経由でおこなう(ステップS104およびS105)。これに対して、移動端末1−1は通知を受けたことを知らせるとともに管理サーバー5にメール送信をお願いする通知を、移動端末1−1の通信ネットワーク状況とともに送信する(ステップS106およびS107)。
移動端末1−1の通信ネットワーク状況とは、移動端末1−1が通信網3のいずれの通信ネットワークを使用できるかということである。今回は、通信端末2である携帯電話機2A−1、無線LAN端末2B−1、有線LAN端末2C−1のいずれもが使用可能として説明する。
そして、ステップS104からS107において取得した移動端末1の通信ネットワーク状況と合わせて、最終的な優先順位を決定する(ステップS107)。無線LAN端末2B−1と有線LAN端末2C−1は、同じ優先度でかつ通信ネットワークが使用可能なため、無線LAN端末と有線LAN端末の両方に通信経路の確立を要求し(ステップS108)、早く確立した方の通信経路を用いて通信を行う。この動作例では、有線LAN端末2C−1の方が、無線LAN端末2B−1よりも早く、管理サーバー5に対し、通信経路が確立した旨の通知を行うので(ステップS109)、管理サーバー5のCPU51は、有線LAN端末2C−1との間に確立した通信経路を用いて、文書データを送信する(ステップS110)。
【0024】
有線LAN端末2C−1は、この文書データを移動端末1−1に送信する(ステップS111)。ユーザーU3は移動端末1−1の操作部15を操作して、受け取った文書データを閲覧し、編集作業を行うと、この編集作業に応じて、移動端末1−1のCPU11は、文書データを変更する文書編集を行う(ステップS112)。
【0025】
以上により、管理サーバー5は、メール受信が行われたことを移動端末1へ携帯電話網を利用して通知することができ、さらに現在の移動端末1の通信ネットワーク情報を取得して、通信ネットワーク情報と文書データの属性に応じた通信網3を介して移動端末1へこの文書データを送信することができる。また、この通信システム9のユーザーは、この文書データの属性と、この送信に用いられる通信端末2との対応関係を、優先度テーブル542により設定することにより、文書データの属性に応じた通信網3を自由に設定することができる。
【0026】
図8は、通信システム9におけるアップロードの動作の一例を示すシーケンス図である。ここでアップロードとは、移動端末1から管理サーバー5へ向けてメール返信が行われて、添付ファイルとして文書データが送信されることをいう。まず、ユーザーU1は、自身が所有する移動端末1である移動端末1−2を操作して、文書データを添付ファイルとした返信メールを他のユーザーに送信する指示をする。そして、移動端末1−2のCPU11は、通信部17を介して接続された携帯電話機2A−2、無線LAN端末2B−2同じく無線LAN端末2C−2に対し、通信経路を確立する要求をする(ステップS201)。移動端末1−2のCPU11は、これらの要求に対する応答を各通信端末2から受け付け、最も早く確立した通信経路を通じて通信を行う。このとき携帯電話機2A−2から最も早く応答が帰ってきたとしても、他の帯域の広い通信端末2からの返答を待っても良い。ここでは、無線LAN端末2B−2から最も早く通信経路の確立を示す信号が送られる(ステップS202)。そして、これを受けた移動端末1−2は、この後、他の通信端末2から送られる通信確立を示す信号を無視するとともに、返信メールを無線LAN端末2B−2に送る(ステップS203)。無線LAN端末2B−2は、受け取った返信メールを上記の確立した通信経路を通じて管理サーバー5に送る(ステップS204)。返信メールの送信が終了すると、管理サーバー5は、その旨を示す信号を無線LAN端末2B−2へ送り(ステップS205)、無線LAN端末2B−2は、この信号を移動端末1−2へ送る(ステップS206)。これにより、通信システム9における文書データのアップロードが終了する。
【0027】
(C:変形例)
上述の実施形態を以下のように変形してもよい。
(変形例1)
上述の実施形態においては、移動端末1と通信端末2は互いに接続することにより、通信網3およびネットワーク4を介して管理サーバー5との間で文書データを遣り取りするクライアントとして機能していたが、移動端末1と通信端末2は予め接続されていてもよいし、移動端末1と通信端末2とが一体に構成されていてもよい。すなわち、管理サーバー5との間で文書データを遣り取りするクライアントは、管理サーバー5の通信部57によって送信されてくる文書を受信する受信手段と、受信した文書を表示する表示手段とを有していればよい。また、移動端末1に接続される通信端末2の数は3つに限らず、2つでも、4つ以上でもよい。
【0028】
(変形例2)
移動端末1のCPU11、通信端末2のCPU21および管理サーバー5のCPU51によって実行される各プログラムは、磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体、光ディスクなどの光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリーなどの、コンピューター装置が読み取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムを、インターネットのようなネットワーク経由でダウンロードさせることも可能である。なお、このような制御を行う制御手段としてはCPU以外にも種々の装置を適用することができ、例えば、専用のプロセッサーなどを用いてもよい。
【0029】
(変形例3)
上述の実施形態においては、データとして文書データを送信していたが、画像データや特定アプリ向けのバイナリーデータを送信してもよい。すなわち、送信するデータに関しての属性情報が管理サーバー5に保持されることで、送信データの属性に適した通信経路を特定して通信を行うことができればよい。
【符号の説明】
【0030】
1,1−1,1−2…移動端末、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…記憶部、15…操作部、16…表示部、17…通信部、171A,171B,171C…通信端点、19…バス、2,2A,2B,2C…通信端末、21…CPU、22…ROM、23…RAM、24…記憶部、25…操作部、26…表示部、27…通信部、271…第1通信部、272…第2通信部、29…バス、2A−1,2A−2…携帯電話機、2B−1,2B−2…無線LAN端末、2C−1,2C−2…有線LAN端末、3,3A,3B,3C…通信網、30…通信回線、31…ホームロケーションレジスター、32…関門移動交換局、33…移動交換局、331−1、331−2、331−3…基地局、4…ネットワーク、5…管理サーバー、51…CPU、52…ROM、53…RAM、54…記憶部、541…端末登録テーブル、542…優先度テーブル、57…通信部、59…バス、9…通信システム、MID…通信端末識別情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信ネットワークと接続可能な通信機器と接続可能な移動端末において、
前記通信機器が常時接続している通信ネットワークに対して、前記通信機器を介して通信を確立するための第1通信インターフェース部と、
複数の通信ネットワークとの通信を同時に確立するための第2通信インターフェース部と、
前記第1通信インターフェース部における通信を制御する第1通信制御部と、
前記第2通信インターフェース部における通信を制御する第2通信制御部と、
送信する文書の属性を用いて送信する前記第1通信制御部および前記第2通信制御部のいずれかを選択する通信経路選択部と、を備えることを特徴とする移動端末。
【請求項2】
第1通信ネットワークに接続され、常時接続している前記複数の通信ネットワークにおいて、一定間隔で行われる定期通信を行い、
第2通信ネットワークに接続される前記複数の通信ネットワークにおいて、不定期な通信を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の移動端末。
【請求項3】
前記通信経路選択部は、
文書の送信先、送信元および文書の種別を少なくとも含む文書の属性と、通信網の種類とを対応付けて記憶する記憶手段と、
送信対象となる前記文書の属性を判別する判別手段と、
前記記憶手段によって記憶されている内容に基づいて、前記判別手段によって判別された前記文書の属性に対応する前記通信網の種類を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された種類の通信網を経由して文書を送信する送信手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の移動端末。
【請求項4】
前記通信路選択部は、
前記判別手段で用いる前記文書の属性として、
文書を保持するユーザーの属性情報と、
文書の処理の仕組みを示す種別の属性情報と、を備えることを特徴とする請求項3に記載の移動端末。
【請求項5】
複数の通信ネットワークと接続可能な通信機器と接続可能な移動端末にかかるプログラムであって、
コンピューターを常時接続している通信ネットワークとの通信を確立するための第1の通信インターフェース手段と、
複数の前記通信ネットワークとの通信を同時に確立するための第2の通信インターフェース手段と、
前記第1の通信インターフェース手段における通信を制御する第1の通信制御手段と、
前記第2の通信インターフェース手段における通信を制御する第2の通信制御手段と、
送信する文書の属性を用いて送信する前記通信ネットワークを選択する通信経路選択手段と、して機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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