説明

移動農機における燃料タンクの保護カバー着脱装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機体前方にエンジンを搭載した移動農機に係り、詳しくは、移動農機における燃料タンクの保護カバー着脱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、機体前方に搭載したエンジン用の燃料タンクの保護カバーを有しない耕耘機や、保護カバーを有しても、支持板に締結部材で固定する耕耘機は既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来既に知られている、燃料タンクの保護カバーを有しない耕耘機は外観が良くないばかりでなく、耕耘作業中、燃料タンクを障害物から保護することができず、危険な場合があった。また、保護カバーを有しても、支持板に締結部材で固定する耕耘機では、保護カバーを外して燃料タンク内の燃料の残量を調べる場合、および調査終了後、保護カバーを装着する場合、工具を必要とし、不便なことが多かった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述事情に鑑みなされたものであって、走行車輪(3)及びミッションケースを有する機体(8)にエンジン(2)を搭載し、かつ該エンジン(2)上方に燃料タンク(12)を配設してなる、移動農機(1)において、前記燃料タンク(12)を固定・支持する支持板(13)と、前記燃料タンク(12)の少なくとも前方及び後方部分に配置され、該燃料タンク(12)又は前記支持板(13)に取付けられた固定側磁着手段(16)と、前記燃料タンク(12)上方を覆って保護する保護カバー(18)と、該保護カバー(18)における前記固定側磁着手段(16)と対向する位置に配置され、前記固定側磁着手段(16)との間で磁力により吸着するカバー側磁着手段(20)と、を備え、前記保護カバー(18)を、前記固定側磁着手段(16)とカバー側磁着手段(20)との間の磁力により、着脱自在に取付けてなるように構成して上述の課題を解決した。
【0005】
【作用】以上の構成に基づき、保護カバー(18)を外すときは、保護カバー(18)の前後部を手で持って、前記固定側磁着手段(16)とカバー側磁着手段(20)との間の磁力に抗して、上方に持ち上げ、例えば、燃料タンク(12)内の燃料の残量を調べ、作業終了後、保護カバー(18)を装着する場合は、固定側磁着手段(16)とカバー側磁着手段(20)との位置を合わせ、カバー側磁着手段(20)を固定側磁着手段(16)の上に置くだけで、磁力によって保護カバー(18)が所定の位置に確実に装着される。
【0006】また、保護カバー(18)の注入キャップ(15)部のみ開口され、注入キャップ(15)は保護カバー(18)の上方に出ているので、保護カバー(18)を装着したまま、燃料注入が可能である。
【0007】なお、上述カッコ内の符号は、図面と対照するものであるが、何等本発明の構成を限定するものではない。
【0008】
【実施例】以下、図面に沿って、本発明の実施例について説明する。
【0009】耕耘機1は、エンジン2の動力を一方では、走行車輪3に伝達し、他方では後方のロータリ4の耕耘軸5を駆動し、耕耘軸5に複数本装着された耕耘爪6を回転させて主として管理作業等の軽作業を行なう移動農機である。
【0010】耕耘機1は、図1に示すように、機体8とロータリ4が一体に構成され、機体8の後部には、走行速度を変更する変速操作レバー9ならびにハンドル10が、斜め後方に向け伸張して配設されている。
【0011】前記エンジン2は、機体前方に搭載され、かつ該エンジン2上部には燃料タンク12を固定・支持する支持板13が装着され、該支持板13には、前記燃料タンク12の取付け孔12a位置に対応して孔13aが明けられ、複数個の取付けボス14を介して締結部材によって燃料タンク12を取付けている。
【0012】燃料タンク12は上下2体の成形品からなり、それぞれのフランジ部12bを融着して合体し、1個の容器をなし、上部には燃料を注入する注入口12cを有し、注入キャップ15を締めて蓋をしている。
【0013】前記支持板13の前部と、前記燃料タンク12のフランジ部12bの後部にはそれぞれ固定側磁着手段としての磁石16が装着されている。
【0014】前記燃料タンク12の上方には、燃料タンク12の注入キャップ15部に対応する位置に開口部18aを有し、該燃料タンク12の上方を覆って保護する保護カバー18が装備され、該保護カバー18における前記磁石16と対向する位置は、凹部18bに形成され、該凹部18bの下面には、前記磁石16との間で磁力により吸着するカバー側磁性体20が装着されている。
【0015】前記保護カバー18は、前記磁石16とカバー側磁性体20の間の磁力により着脱自在に取付けてなるように構成されているので、前記燃料タンク12の燃料の残量を調べる際には、手で保護カバー18の前後部を持ち、前記の磁力に抗して直上に持ち上げ、作業終了後は、磁石16とカバー側磁性体20の位置を合わせ、磁石16上に置くだけで、磁力によって保護カバーが所定の位置に確実に装着される。
【0016】なお、前記凹部18bのフランジが、磁石16の側面に至るまで下方に伸張して保護カバー18を磁石16に置く際の位置合わせの案内になっているので、保護カバー18は、常に一定の位置に正確に装着される。
【0017】また、この種の管理作業用の耕耘機は比較的狭い圃場で使用することが多いので、他人に排気ガスがかからないように、図1及び図2に示すように、排気筒22の屈曲部22aを水平に切断して排気ガスが下向きに排出されるようになっている。
【0018】
【発明の効果】本発明は、走行車輪及びミッションケースを有する機体にエンジンを搭載し、かつ該エンジン上方に燃料タンクを配設してなる、移動農機において、前記燃料タンクを固定・支持する支持板と、前記燃料タンクの少なくとも前方及び後方部分に配置され、該燃料タンク又は前記支持板に取付けられた固定側磁着手段と、前記燃料タンクの上方を覆って保護する保護カバーと、該保護カバーにおける前記固定側磁着手段と対向する位置に配置され、前記固定側磁着手段との間で磁力により吸着するカバー側磁着手段と、を備え、前記保護カバーを、前記固定側磁着手段とカバー側磁着手段との間の磁力により着脱自在に取付けてなるように構成したので、工具を使用せずに保護カバーの着脱ができ、かつ外観が向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】耕耘機の側面図である。
【図2】耕耘機の燃料タンクの側面図である。
【図3】燃料タンク取付けの斜視図である。
【符号の説明】
1 耕耘機
2 エンジン
12 燃料タンク
12c 注入口
13 支持板
15 注入キャップ
16 磁石
18 保護カバー
20 磁性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行車輪及びミッションケースを有する機体にエンジンを搭載し、かつ該エンジン上方に燃料タンクを配設してなる、移動農機において、前記燃料タンクを固定・支持する支持板と、前記燃料タンクの少なくとも前方及び後方部分に配置され、該燃料タンク又は前記支持板に取付けられた固定側磁着手段と、前記燃料タンクの上方を覆って保護する保護カバーと、該保護カバーにおける前記固定側磁着手段と対向する位置に配置され、前記固定側磁着手段との間で磁力により吸着するカバー側磁着手段と、を備え、前記保護カバーを、前記固定側磁着手段とカバー側磁着手段との間の磁力により着脱自在に取付けてなる、移動農機における燃料タンクの保護カバー着脱装置。

【図1】
image rotate


【図3】
image rotate


【図2】
image rotate


【特許番号】特許第3151382号(P3151382)
【登録日】平成13年1月19日(2001.1.19)
【発行日】平成13年4月3日(2001.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−138078
【出願日】平成7年6月5日(1995.6.5)
【公開番号】特開平8−322314
【公開日】平成8年12月10日(1996.12.10)
【審査請求日】平成11年7月8日(1999.7.8)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【参考文献】
【文献】特開 平7−17269(JP,A)
【文献】特開 平6−156097(JP,A)