説明

移植機

【課題】 苗植付位置の左右両側を転動して鎮圧する左右一対の鎮圧輪を備え、この左右の鎮圧輪は、その回転軸心を対向方向に向かうに従って上方に移行する傾斜状として左右鎮圧輪の対向間隔が上方に行くに従って漸次大となるように傾斜しており、苗を植え付ける植付体を左右一対設けると共に、一対で1組の鎮圧輪を一対の植付体に対応して2組設けた移植機において、鎮圧輪を径大にできる、または、2組の鎮圧輪同志を接近させて植付け条間を狭めることができる移植機を提供する。
【解決手段】 左右2組の鎮圧輪28うちの、左右方向中央側で隣り合う鎮圧輪28の一方を駆動する駆動ギヤ97を鎮圧輪28の回転軸心Xに対して上下一方側に位置ズレさせ且つ他方の鎮圧輪28を駆動する駆動ギヤ97を鎮圧輪28の回転軸心Xに対して上下他方側に位置ズレさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に苗を植え付ける移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、移植機として、走行体の後部に移植装置を設け、走行しながら圃場に苗を植え付けるようにした移植機があり、前記移植装置として、開閉自在で且つ昇降自在に支持されていて閉じた状態で上死点側において苗が供給され且つ下死点側で畝に突入して開くことにより畝に植え穴を形成すると共に該植え穴に苗を放出するようにした植付体と、苗植付位置の左右両側を転動して植付位置に放出された苗の左右両側の土を鎮圧する左右一対の鎮圧輪とを備えたものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−194553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来の移植機にあっては、圃場を転動している際に、鎮圧輪の外周面に土が付着すると共に該付着した土が、鎮圧輪の外周面の土を掻き落とすスクレーパに引っ掛かって該鎮圧輪の回転が止まり、該鎮圧輪が圃場の上を引きずられることとなる場合がある。
そこで、図15に示すように、左右各鎮圧輪120の対向側とは反対側の面に、駆動盤121を一体回転自在に設け、この駆動盤121に鎮圧輪120の回転軸心Xを中心とした円周方向に間隔をおいて配置された係合孔122を該円周方向全周に亘って設けると共に、これら係合孔122に噛合する駆動ギヤ123を設け、この駆動ギヤ123を走行体のエンジンにより回転駆動することにより、鎮圧輪120を強制駆動するようにした鎮圧装置が考えられている。
【0004】
この図15に示す鎮圧装置は、苗Nを圃場に植え付ける植付体が左右一対備えられた2条植えの移植機に設けられる鎮圧装置であって、一対で1組の鎮圧輪120も左右の植付体に対応して左右2組設けられており、各組の左右一対の鎮圧輪120は、その回転軸心Xを対向方向に向かうに従って上方に移行する傾斜状として左右鎮圧輪120の対向間隔が上方に行くに従って漸次大となるように傾斜させて構成されており、また、駆動ギヤ123の回転軸心Zと鎮圧輪120の回転軸心Xとが直交するように構成されている。
前記図15に示す鎮圧装置にあっては、駆動ギヤ123が、泥等のかみ込みや土ホコリにより摩耗するという問題や、駆動ギヤ123の、鎮圧輪120の反対向側上端から左右方向外方へのはみ出し量が比較的大きいという問題がある。
【0005】
また、前記鎮圧輪120は、径が大きい程、沈み込みが少なく又土押しも少ないが、前記図15に示す鎮圧装置にあっては、2組の鎮圧輪120うちの、左右方向中央側で隣接する鎮圧輪120の駆動ギヤ123がネックとなって、植付条間Wを狭くすると鎮圧輪120の径を大きくすることができないという問題がある。
また、石等がかみ込んで鎮圧輪120がロックした場合に、鎮圧輪120の駆動系に過負荷がかかるという問題がある。
そこで、本発明は、前記問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、圃場の苗植付位置の左右両側を転動して植付位置に供給された苗の左右両側の土を鎮圧する左右一対の鎮圧輪を備え、この左右の鎮圧輪を、その回転軸心を対向方向に向かうに従って上方に移行する傾斜状として左右鎮圧輪の対向間隔が上方に行くに従って漸次大となるように傾斜させた移植機において、
左右各鎮圧輪の対向側とは反対側の面に、回転軸心を中心とした円周方向に間隔をおいて配置された係合孔を設け、これら係合孔に噛合して回転することで鎮圧輪を回転駆動する駆動ギヤを設け、この駆動ギヤを鎮圧輪の回転軸心の上下一方側に位置ズレさせて配置したことを特徴とする。
【0007】
また、苗を植え付ける植付体を左右方向に複数個設けると共に、一対で1組の鎮圧輪を複数の植付体に対応して左右方向に複数組設け、左右方向で隣り合う2組の鎮圧輪うちの、左右方向中央側で隣り合う鎮圧輪の一方を駆動する駆動ギヤが鎮圧輪の回転軸心に対して上下一方側に位置ズレし且つ他方の鎮圧輪を駆動する駆動ギヤが鎮圧輪の回転軸心に対して上下他方側に位置ズレしているのがよい。
この構成によれば、左右方向で隣り合う2組の鎮圧輪を左右方向に接近させて植付条間を狭めること、又は、鎮圧輪の径を大きくすることができる。
【0008】
また、係合孔が形成された駆動盤を、各鎮圧輪に一体回転自在で且つ回転軸心方向に移動自在に設け、鎮圧輪に過負荷がかかった際に駆動盤が鎮圧輪の回転軸心方向に移動して駆動ギヤから外れるように、駆動盤を係合孔が駆動ギヤに係合する方向に付勢部材で付勢するのがよい。
この構成によれば、石等がかみ込んで鎮圧輪がロックした場合、駆動盤が付勢部材の付勢力に抗して鎮圧輪の回転軸心方向に移動して駆動ギヤから外れることにより、駆動系に過負荷がかかるのを防止できる。
【0009】
また、駆動ギヤは前後軸回りに回転駆動され、係合孔は鎮圧輪の径方向に対して、該径方向外方に行くに従って鎮圧輪の回転方向前方側に移行するように傾斜して形成するのがよい。
この構成により、駆動ギヤを鎮圧輪の回転軸心に対して上下一方側に位置ズレさせて配置したものであっても、駆動ギヤが駆動盤にスムーズに噛合する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、駆動ギヤを鎮圧輪の回転軸心の上方側に位置ズレさせて配置した場合、駆動ギヤが地面から離れるので、泥等のかみ込みや土ホコリによる駆動ギヤの摩耗を防止することができ、また、左右一対の鎮圧輪はその対向間隔が上方に行くに従って漸次大となるように傾斜しているので、駆動ギヤを鎮圧輪の回転軸心の下方側に位置ズレさせて配置した場合、駆動ギヤの、鎮圧輪の反対向側上端から左右方向外方へのはみ出し量を少なくでき、鎮圧輪及び駆動ギヤをコンパクトに(左右の幅を狭く)構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1〜図3において、1は玉葱等の野菜の苗を圃場に植え付ける移植機であり、本実施の形態では、前部に走行体1Aを備え、後部に移植装置1B及びハンドル4を備えた歩行型の移植機1を例示している。
走行体1Aは、エンジン(動力源)E、ミッションケースM、左右一対の前輪(車輪)2及び左右一対の後輪(車輪)3を備えており、ミッションケースMの前後方向中途部下部から架台Kが前方突出状に設けられ、この架台K上にエンジンEが搭載され、エンジンEの後部にミッションケースMの前端側が連結されており、これらエンジンE、ミッションケースM、架台K等によって車体Bが主構成されている。
【0012】
架台Kの前下部には、左右方向に配置された筒状の前輪支軸18が軸受等を介して左右方向の軸心廻りに回動自在に支持され、この前輪支軸18の左右両側には、それぞれ取付軸19が一体回動自在で且つ左右方向位置調整自在に挿入され、各取付軸19の左右方向外端側に、それぞれ後方に向かうに従って下方に移行する傾斜状に配置された前輪支持アーム20の前端側が固定され、左右各前輪支持アーム20の後端側にそれぞれ前輪2が左右軸廻りに回転自在に取り付けられている。
ミッションケースMの後部左右両側には、左右方向の軸心を有する後輪支軸21が左右方向外方に向けて突出状に設けられ、左右各後輪支軸21の外端側に、それぞれ後方に向かうに従って下方に移行する傾斜状に配置された走行伝動ケース22の前端側が左右方向の軸心廻りに回動自在に支持されており、左右各走行伝動ケース22の後端側にそれぞれ後輪3が左右軸廻りに回転自在に取り付けられている。
【0013】
ミッションケースMから左右両側に出力されるエンジンEからの動力は、後輪支軸21内の伝動軸及び走行伝動ケース22内の動力伝達機構を経て後輪3に伝達されて該後輪3が回転駆動され、走行体1Aが走行する。
また、前輪支軸18と左右の後輪支軸21とは、左右一対の連動ロッド23によって連動連結されていて、前輪支軸18が軸心廻りに回動すると、左右の前輪支持アーム20が前輪支軸18の軸心廻りに上下に揺動して左右の前輪2が車体Bに対して昇降すると共に、左右の連動ロッド23が押し引きされて左右の走行伝動ケース22が後輪支軸21の軸心廻りに上下に揺動して左右の後輪3が車体Bに対して昇降する。
【0014】
したがって、左右一対の前後輪2,3が、車体Bに対して4輪同時に昇降自在とされている。
また、架台Kには、油圧シリンダ等からなる昇降シリンダ24が設けられ、この昇降シリンダ24のピストンロッドは前輪支軸18にブラケットを介して連動連結されていて、昇降シリンダ24のピストンロッドを出退させることにより前輪支軸18が軸心廻りに回動するように構成されており、この昇降シリンダ24の伸縮によって車体Bに対して相対的に前後輪2,3が昇降し、該前後輪2,3が昇降することにより走行体1Aの車体B及び移植装置1Bが地面に対して昇降自在(高さ調整自在)とされている。
【0015】
前記移植装置1Bは、図1〜図3に示すように、走行体1Aの車体Bに固定されたフレームFと、苗Nを圃場に植え付ける植付体26と、この植付体26に苗Nを供給する苗供給装置27と、圃場に植え付けられた苗Nの側方の土を押圧して鎮圧すると共に株際に土を押し付けて覆土する鎮圧輪28を備えた覆土・鎮圧装置29等とを備えている。
この移植装置1BのフレームFは、動力伝達ケース30と、植付伝動ケース46と、第1フレーム32と、第2フレーム33と、第3フレーム34とで主構成されている。
動力伝達ケース30は、その下部が走行体1AのミッションケースMの後部に取付固定されていてミッションケースMから上方に突出状に設けられ、この動力伝達ケース30の上部後面側には筒体35が後方突出状に取付固定され、この筒体35の後端側に植付伝動ケース46が連結されている。
【0016】
第1フレーム32は、前部から中途部にかけて前後方向直線状に形成され後部が後方に向かうに従って上方に移行する傾斜状に形成された左右一対のパイプ材からなり、この第1フレーム32の前端側は植付伝動ケース46の後面側下部に連結されており、該第1フレーム32の後端側にハンドル4が連結されている。
第2フレーム33は、前後方向直線状に形成されて第1フレーム32の下方側に配置され、この第2フレーム33の後部側が、連結フレーム36を介して第1フレーム32の前後方向中途部に連結されている。
【0017】
この第2フレーム33の前部には第3フレーム34の後部が固定され、この第3フレーム34の前部は、動力伝達ケース30の下部に連結されている。
この移植装置1BのフレームFと走行体1Aの車体Bとで移植機1の機体が構成されている。
ミッションケースMの後下部には、エンジンEからの動力がミッションケースM内の動力伝達機構を介して伝達される出力軸37が設けられ、この出力軸37から動力伝達ケース内の伝動機構、筒体35内の伝動軸等を介して植付伝動ケース46内の動力伝達機構に動力が入力される。
【0018】
前記植付体26は、上端開口状で前後に開閉自在に構成されていると共に、フレームFに上下動自在に支持されており、閉じた状態でその移動軌跡の上死点側で上方から苗Nが落下供給され、内部に苗Nを収容した状態で下降して圃場(畝)に突入し且つ前後に開くことにより、圃場に植え穴を形成すると共に該植え穴に苗Nを落下放出(供給)することにより苗Nを植え付け、上死点に至るまでの上昇過程で閉じるように構成されている。
また、本実施の形態にあっては、2条植えの移植機1が例示されており、したがって、植付体26は左右一対備えられている。
【0019】
また、左右一対の植付体26は、上方側に移動したとき互いに離間し下方側に移動したとき互いに接近するように、下方に行くに従って左右方向内方に移行する傾斜方向に昇降する。
苗供給装置27は、図3〜図6に示すように、移植機1の後部上側に配置されていて第1フレーム32等に取り付けられた苗載台5と、この苗載台5に搭載された苗トレイTから苗Nを取り出す苗取出し装置7と、この苗取出し装置7で取り出された苗Nを植付体26上方に移送する苗移送装置6と、この苗移送装置6で植付体26上方に送られた横向き姿勢の苗Nを縦向き姿勢に姿勢変更して植付体26に供給する苗姿勢変更装置38とを有し、各装置は植付伝動ケース46から出力される動力によって駆動される。
【0020】
苗トレイTは樹脂製で可撓性を有していて弾性的に湾曲自在であり、多数のポット部Pが縦横に基盤目状に形成されており、このポット部Pに充填された床土に播種して、野菜(玉葱)等の苗(ポット苗)Nが育苗されている。
なお、本実施の形態では、この苗Nの床土部Naの形状は底部に行くにしたがって径小となる截頭円錐状に形成されている(底部に行くにしたがって断面積が小さくなる截頭四角錐状に形成されていてもよい)。
また、苗トレイTは、ポット部Pの開口が前方を向くように(苗Nの茎葉部Nbが前方を向くように)苗載台5に上方からセットされる。
【0021】
苗取出し装置7は、苗移送装置6の上方に配置され、ポット部Pから苗Nを押し出す押出杆8と、この押出杆8で押し出された苗Nを受持すると共に苗移送装置6へと渡す苗受渡し機構9とを有する。
押出杆8は、苗トレイTの横一列(左右方向一列)の苗Nに対応する数設けられ、苗載台5の後方側に前後方向移動自在に備えられ、前方移動してポット部P内にその底部(後方)から挿入されて横一列の苗Nを前方に押し出し、その後、後退する。
なお、苗Nが押し出された後、苗トレイTは苗Nの横一列分下方に縦送りされ、押出杆8は、苗移送装置6の苗Nがなくなるまで(または、大部分がなくなるまで)待機する。
【0022】
また、苗トレイTは苗載台5の下部側で湾曲されて、後方側に取り出される。
ポット部Pから押し出された横一列の苗Nは、その床土部(根鉢)Naが苗受渡し機構9の苗受けアーム10の苗受け溝10a内に押し込まれる。
苗受けアーム10は、植付伝動ケース46内の動力伝達機構によって回転駆動されるクランク11に連動部材13を介して連動連結されており、クランク11の回転によって、図5に実線で示す苗受取り位置と、仮想線で示す苗渡し位置とに位置変更自在とされていて、苗受取り位置でポット部Pから押し出された苗Nを受持し、その後、苗Nを前後逆方向に反転させながら下方に回動し、苗渡し位置に至る際に、苗受け溝10aが苗Nの床土部Naを先にして跳ね出し部材12の位置を通過し、これにより苗Nが苗受け溝10aから押し出され、跳ね出し部材12は苗Nが苗受け溝10aから抜け切ると同時に、下方(矢印a1方向)に回動し、苗Nを下方の苗移送装置6上に落下させるように構成されている。
【0023】
苗移送装置6は、図3〜図5に示すように、苗載台5の前方で且つ下方側に配置され、左右の植付体26に対応して左右一対設けられ、且つ移植装置1Bの左右方向のセンターを境に左右に振り分け配置されており、第1フレーム32に取付支持されている。
左右各苗移送装置6は、前後方向の軸心回りに回転自在な左右のプーリ15と、この左右プーリ15に掛装されたエンドレスの苗移送ベルト16を有し、左右一方(左右方向外側)のプーリ15は、植付伝動ケース46内の動力伝達機構からベベルギヤ伝動機構等を介して伝達される動力によって回転駆動する回転軸39によって駆動され、このプーリ15の回転駆動によって、苗移送ベルト16は、その上部側が、移植装置1Bの左右方向中央側から左右方向外方側に向けて移動されるように構成されている。
【0024】
苗Nは、その茎葉部Nbが後方を向いた横向き姿勢で左右方向に並ぶように苗移送ベルト16上に載置され、苗移送ベルト16によって左右方向(床土部の深さ方向に略直交する水平方向)に移送され、各苗移送ベルト16の終端部(左右方向外端部)において下方に落下する。
また、苗移送ベルト16の表面の前端部側(苗Nの床土部Naの載置側)には、ベルト幅方向(前後方向)に複数配置された位置決め用突起40が苗移送方向Cに等間隔をおいて設けられ、苗移送方向Cで隣り合う位置決め用突起40間に苗Nが1つずつ位置決めされるようになっている。
【0025】
前記左右の植付体26は、その移動域の上死点側で、左右方向で同じ側にある苗移送ベルト16の終端側下方に位置するように設けられている。
苗姿勢変更装置38は植付体26に対応して左右一対設けられており、この左右の姿勢変更装置38は左右方向で同じ側にある苗移送ベルト16の終端側に設けられている。
この苗姿勢変更装置38は、苗移送ベルト16終端から横向き姿勢で落下する苗Nを受ける苗受け手段41と、苗Nの床土部Nbを押し下げる押下げ手段42と、苗Nを挟持して下方に高速で送る左右一対の縦送りローラ43とを備えている。
【0026】
苗受け手段41は、図6〜図10に示すように、苗移送ベルト16終端部の前部側で左右方向外側方に配置されていて苗Nの床土部Naを受ける床土受け部45と、この床土受け部45の後方側に配置されていて苗Nの茎葉部Nbを受ける茎葉受け部47と、苗Nの下葉Ncを受ける下葉受け48とから構成されている。
床土受け部45は床土部Naを左右両側(苗移送方向C両側)から挟持状に受ける左右一対の受部材49,50を備えている。
左右の受部材49,50は板材によって形成され、左右方向内方側の受部材49は苗移送ベルト16の終端部の略真下にその板面が左右方向を向くように配置されており、苗移送ベルト16の前方側に配置され且つ植付伝動ケース46側に固定された支持壁51に固定されている(この受部材49を固定受部材という)。
【0027】
この固定受部材49は、上部が上方に向かうに従って左右方向内方側に移行する傾斜状に形成され、下部が上下方向に沿うように形成され、固定受部材49の上部には、該固定受部材49を苗移送ベルト16に近接させるべく、苗移送ベルト16の位置決め用突起40との干渉を避けるための溝52が形成されている。
左右方向外方側の受部材50は、苗移送ベルト16終端部の左右方向外側方に所定間隔をおいて配置され、その上端側が前記支持壁51に固定された支軸53に前後方向の軸心回りに回動自在に支持されていて左右揺動自在とされている(この受部材50を可動受部材という)。
【0028】
この可動受部材50は、下部側が固定受部材49に左右方向で対向状に配置され、前記支軸53に套嵌された捩りコイルバネ(図示省略)等の付勢手段によって支軸53回りに固定受部材49に近接するように付勢されていると共に、支軸53の端部に固定されたストッパ54によって支軸53回りの回動が規制されている。
また、可動受部材50は、図7に示すように、ストッパ54によって回動規制された状態において、その下部側が下方に向かうに従って左右方向内方に移行する傾斜状となるように形成されており、固定受部材49と可動受部材50との対向間隔が下方に行くに従って漸次狭くなるように且つ上下方向中途部で苗Nの床土部Naの幅よりも狭くなるように構成されている。
【0029】
したがって、苗Nの床土部Naは、苗移送ベルト16の終端において、位置決め用突起40に案内されて固定受部材49と可動受部材50との間に上方から落下し、固定受部材49と可動受部材50との間の中途部で固定受部材49と可動受部材50とで挟まれるようにして受持される。
また、この実施の形態にあっては、床土受け部45は可動受部材50が左右方向に揺動することにより開閉自在とされていて、可動受部材50がバネの付勢力に抗して左右方向外方に揺動することにより床土受け部45が開き、床土部Naが床土受け部45から外れて下方に落下するように構成されている。
【0030】
茎葉受け部47は、板材によって形成されていて、苗移送ベルト16の終端部よりも下方側(苗移送ベルト16のプーリ15中心Dよりも下方側)に配置されている。
また、この茎葉受け部47は、底壁47aと左右側壁47bとを有して上方開放状に形成され、底壁47aは後端から前方に行くに従って左右幅が狭くなるように形成されていて、前端側(床土受け部45側)において、図7に示すように、茎葉受け部47の断面形状が下面側に凸となるV字状となるように形成されていて、苗の茎葉部Nbを茎葉受け部47の左右方向中央部に寄せる機能を有する。
【0031】
また、茎葉受け部47の底壁47aは、後端から前方に行くに従って(茎葉部Nb先端側から株元側に行くに従って)下方に移行する傾斜状に形成されていると共に、前端側において、前端部が下方を向くように且つ前上方に凸となる湾曲状に形成されている。
なお、茎葉受け部47は支持部材を介して前記支持壁51に支持されている。
下葉受け48は左右一対設けられ、図10に示すように、茎葉受け部47の前端部の左右両側から前方に向けて突出状に延設されていて、茎葉受け部47に一体形成(又は別体で形成されて茎葉受け部47に固着)されている。
【0032】
なお、この下葉受け48は左右一方だけでもよい。
左右一対の縦送りローラ43は、茎葉受け部47の前端側下方で且つ上死点位置に位置する植付体26の上方で且つ可動受部材50下部及び固定受部材49の後方側に配置されており、前後方向の軸心を有し、周面が左右方向で接触している。
また、左右の各縦送りローラ43は、前後方向の軸心を有する回転軸55の後部に固定され、回転軸55の前部は、フレームF側に固定された支持枠体56に設けた軸受部57に軸心回りに回転自在に支持されている。
【0033】
前記軸受部57は、固定受部材49及び可動受部材50の前方側に位置している。
左右の縦送りローラ43を支持する各回転軸55には、軸受部57の前側に配置された平歯車58が固定され、これら平歯車58は互いに噛合されており、一方の回転軸55が植付伝動ケース46から出力される動力によって前後軸回りに回転駆動されることにより、図4に矢示で示すように、縦送りローラ43の接触側において周面が下方移動するように、左右の縦送りローラ43が互いに逆方向に回転する。
左右の縦送りローラ43は、これらの軸心を通り且つ該軸心Gに直交する線分Hが左右方向内方に行くに従って上方に移行する傾斜状となるように構成されており、左右の縦送りローラ43が植付体26の傾斜昇降方向に対応して取り付けられている(植付体26の傾斜昇降方向と左右の縦送りローラ43の軸心Gを通る線分Hとが略直交するように構成するのがよい)。
【0034】
前記茎葉受け部47の前端部は縦送りローラ43の回転軸心G方向の中央側に位置していると共に、該茎葉受け部47の左右方向中央部は、左右の縦送りローラ43間の上方(縦送りローラ43の接触部分の略真上)に位置しており、茎葉受け部47の底壁47a前端は、左右の縦送りローラ43の両方の上端側に接する接線Jよりも下方に入り込むように構成されていて、茎葉受け部47を縦送りローラ43に近接させて、縦送りローラ43との隙間を少なくしている。
また、下葉受け48は、図10に示すように、縦送りローラ43の前端まで延設されていて、縦送りローラ43を覆うように該縦送りローラ43の上方に位置する。
【0035】
また、固定受部材49及び可動受部材50の下端部は、左右の縦送りローラ43の両方の上端側に接する接線Jよりも下方に位置するように構成されている。
押下げ手段42は、植付伝動ケース46の側方に設けられており、床土部Naを押し下げて床土受け部45から下方に送り出す送出し爪59と、この送出し爪59を支持する揺動アーム60とを有する。
揺動アーム60は、その前端部(基部側)が、植付伝動ケース46の下部前方で左右方向に配置された揺動支点軸61の端部側に左右方向の軸心廻りに回動自在に支持されていて上下揺動自在とされており、前記揺動支点軸61は植付伝動ケース46に固定されたブラケット62に支持されている。
【0036】
送出し爪59は、その上端側が揺動アーム60の後端部(先端側)に取付固定され、下端側の面が床土部Naに接当する接当面63とされており、且つ下端側から上方側に向けて形成された複数の溝64によって下部側が前後方向複数に分割されている。
揺動アーム60の前後方向中途部には、枢軸65を介してリンク66の一端側が左右方向の軸心廻りに回動自在に枢支連結されており、このリンク66の他端側は、回動部材67の一端側に枢軸68を介して枢支連結されている。
この回動部材67の他端側は、植付伝動ケース46の前部側の側面上部に設けられた左右方向の軸心を有する駆動軸69に連結されていて該駆動軸69回りに回動し、駆動軸69によって回動部材67が回動することにより揺動アーム60が前端側の揺動支点軸61回りに上下に揺動し、回動部材67の一回転によって送出し爪59が上下に一往復動する。
【0037】
送出し爪59は、上死点で床土受け部45の固定受部材49と可動受部材50との間の上方で且つ苗移送ベルト16よりも上方に位置しており、ここから固定受部材49と可動受部材50との間を通過して下部側が縦送りローラ43と軸受部57との間に至るように下降し、その下降途中で下端の接当面63が固定受部材49と可動受部材50との間に受持された床土部Naに接当して該床土部Naを押し下げる。
床土部Naは、可動受部材50を押圧することにより該可動受部材50を支軸53回りに回動させて(可動受部材50を押し開きながら)下方移動し、床土部Naが下方移動すると該床土部Naが床土受け部45から外れると共に茎葉部Nbの株元側が縦送りローラ43間にかみ込まれる。
【0038】
送出し爪59の接当面63は、図9(a)に示すように、床土部Naを押し下げて茎葉部Nbの株元側を縦送りローラ43間にかみ込ませる際において、苗Nが後方に行くに従って上方に移行する傾斜姿勢となるように、床土部Naを押し下げるべく該床土部Naに面接触した状態において、後方に行くに従って上方に移行する傾斜状となるように形成されている(送出し爪59の接当面63は、床土部Naを押し下げるべく該床土部Naに面接触した状態において、縦送りローラ43の回転軸心Gに対して後方に行くに従って上方に移行する傾斜角度Oが付けられている)。
【0039】
なお、送出し爪59は、図9に示す位置からさらに下降して下死点位置に至る。
また、図9(b)に示すように、床土部Naを押し下げて茎葉部Nbの株元側を縦送りローラ43間にかみ込ませる際における、送出し爪59の接当面63の後端(縦送りローラ43側端部)と、縦送りローラ43の前端(送出し爪59側の端部)との間の間隔Qは苗Nの床土部Naの底部の深さS方向に直交する方向の幅(截頭円錐状の床土部Naであれば底部の直径、截頭四角錐状の床土部Naであれば底部の対向する辺間の間隔)Uよりも狭くなるように構成されている。
【0040】
例えば、床土部Naを押し下げて茎葉部Nbを縦送りローラ43間にかみ込ませる際における、送出し爪59の接当面63の後端と縦送りローラ43の前端との間の間隔が広いと、茎葉部Nbが縦送りローラ43間にかみ込まれずに、送出し爪59と縦送りローラ43との間をすり抜けて落ちる場合があるが、前記のように構成することにより、茎葉部Nbを確実に縦送りローラ43間に押し込むことができる。
なお、前記床土部Naの幅Uは16mmに形成されているが、送出し爪59と、縦送りローラ43との間の間隔Qは、この床土部Naの幅Uよりも狭くするのがよく、できるだけ狭い方がよい。(例えば、2〜3mm(好ましくは2mm)とするのがよい)。
【0041】
さらに、送出し爪59の床土部Naと接触する部分の、床土部Naの深さS方向に対応する方向の幅(前後幅)Rは床土部Naの深さSよりも大に形成されており、これによって、苗Nが送出し爪59に対して前後に位置ズレしても確実に苗Nを送り出すことができる。
前記構成の苗姿勢変更装置38にあっては、苗移送ベルト16の終端から横向き姿勢で落下した苗Nを、苗受け手段41で受け止めて、押下げ手段42によって押し下げられるまで一時待機させる。
【0042】
このとき、苗Nは図8に符号aで示す位置にあり、該苗Nは床土受け部45から茎葉受け部47に行くに従って上方に移行する傾斜姿勢で苗受け手段41によって保持される。
また、この待機状態において、苗の下葉Ncが下葉受け48によって受けられるので、下葉Ncが縦送りローラ43にかみ込まれるのを防止することができる。
次に、上死点位置から送出し爪59が下降すると、送出し爪59は、その接当面63が前端側から床土部Naに接当していき、床土部Naを前述した待機状態から苗Nが起きるようにさらに傾斜させながら押し下げて、茎葉部Nbの株元側を縦送りローラ43間にかみ込ませる。
【0043】
苗Nは、茎葉部Nbが茎葉受け部47で受持された状態で床土部Naが押し下げられることにより床土部Naが縦送りローラ43に近接するように揺動し且つ茎葉部Nbの株元側が縦送りローラ43間にかみ込まれることにより高速で互いに逆回転する一対の縦送りローラ43によって茎葉部Nbが挟持されて下方に高速で送られる。
これら動作が組み合わされることにより、苗Nは、図8に符号b,c,dで示すように、苗受け手段41によって受持された横向き姿勢から下方移動しながら茎葉部Nbが上側で床土部Naが下側となる縦向き姿勢へと姿勢変更する。
【0044】
茎葉受け部47の前端側の円弧形状部分70は、苗Nが姿勢変更しながら縦送りローラ43によって下方に送られるとき、苗Nの姿勢を効果的に縦向き姿勢に変えるガイドの働きをすると共に、苗Nを縦向き姿勢にする際の急激な姿勢変化を防ぎ、苗の損傷を防ぐ。
また、茎葉受け部47の前端位置を縦送りローラ43間の前後方向中央位置に位置させることで、苗Nの茎葉部Nbの株元から先端まで連続して縦送りローラ43間にかみ込ませて苗Nを送ることができる。
さらに、茎葉受け部47の前端を左右の縦送りローラ43の両方の上端側に接する接線Jよりも下方(縦送りローラ43のかみ込み部43a側)に入り込ませることで、確実に茎葉部Nbを縦送りローラ43間にかみ込ませることができる。
【0045】
また、床土受け部45の固定受部材49及び可動受部材50の下端部は、左右の縦送りローラ43の両方の上端側に接する接線Jよりも下方に位置するように構成して、床土部Naが床土受け部45から外れる時期を縦送りローラ43間に茎葉部Nbがかみ込まれる時期に近づけることにより、茎葉部Nbを一対の縦送りローラ43間に確実にかみ込ませることができ、苗Nを送出し爪59で送るときに、苗Nが縦送りローラ43で弾かれるということがない。
また、苗Nを苗受け手段41で受け止めて一時待機させるときに、後方に行くに従って上方に移行する傾斜姿勢で保持することより、横向き姿勢から縦向き姿勢に姿勢変更する際に、急激な姿勢変化を防止して苗Nの損傷を防ぐことができ、さらに、送出し爪59で苗Nの床土部Naを押し下げる際に、床土部Naを待機状態から苗Nが起きるようにさらに傾斜させながら押し下げるようにしているので、横向き姿勢から縦向き姿勢に姿勢変更する際の急激な姿勢変化を防止して苗の損傷を防ぐことができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、左右の縦送りローラ43はこれらの軸心Gを通り且つ該軸心Gに直交する線分Hが左右方向内方に行くに従って上方に移行する傾斜状となるように構成されているので、苗Nは上方に行くに従って左右方向外方に傾斜した縦向き姿勢となり、植付体26の傾斜昇降方向に対応して苗Nが放出され、該苗Nが植付体26に入るタイミングが多少遅れても苗Nは確実に植付体26に入る。
一対の縦送りローラ43の下側で且つ上死点位置に位置する植付体26の上方側には、苗ガイド71が設けられており、苗姿勢変更装置38で縦向き姿勢に姿勢変更された苗Nは、この苗ガイド71を通して植付体26に投入される。
【0047】
この苗ガイド71は、移植装置1BのフレームF側に固定されており、上部側が上方に行くに従って広くなった筒状に形成されており、下部は左右側壁と後壁とから前方開放状のコ字形に形成されており、この苗ガイド71の下部は、上死点に位置する植付体26に挿入状とされる。
縦向き姿勢で下方の植付体26へと送られた苗Nは、植付体26によって圃場の畝に植え付けられる。
前述した移植機1にあっては、苗供給装置27によって植付体26に苗Nを供給して該苗Nを植え付ける動作を繰り返すことにより、走行しながら畝に苗Nが植え付けられる。また、本実施の形態の移植機1では、2条植え移植機であると共に移植装置1Bが左右前後輪2,3の左右方向中央から左右一側(左側)にオフセットされて設けられており、往復4条植え(往路で畝上面側の左右方向一側に2条を植え付け、復路で畝上面側の左右方向他側に2条を植え付ける)が行えるように構成されている。
【0048】
前記覆土・鎮圧装置29は、図1〜図3、図11〜図14に示すように、鎮圧輪28と、この鎮圧輪28を移植装置1BのフレームFに上下位置調整可能に支持する支持装置76と、エンジンE(動力源)からの動力を鎮圧輪28に伝達して該鎮圧輪28を強制的に回転駆動させる駆動装置77と、鎮圧輪28の外周面に付着した土を掻き落とすスクレーパ78とを有する。
鎮圧輪28は、各植付体26に対してそれぞれ左右一対備えられており(従って、本実施の形態では、左右一対で1組の鎮圧輪28が左右方向に2組備えられている)、各植付体26に対する左右一対の鎮圧輪28は、植付体26の左右両側の後方に配置されていて、苗Nの植付位置の左右両側の畝上を転動して、植え穴に供給された苗Nの左右両側の土を押圧して鎮圧すると共に苗Nの株際に土を押し付けて覆土する。
【0049】
前記支持装置76は、移植装置1BのフレームFの第2フレーム33の前後方向中途部に設けられた支持フレーム79と、この支持フレーム79に上下揺動自在に設けられた揺動フレーム82と、上下位置調整機構87とを有する。
支持フレーム79は、図1、図2及び図11に示すように、第2フレーム33を横切るように左右方向に配設されて第2フレーム33に固定された支持杆部80と、この支持杆部80の左右両端から前下方に向けて突出状に延設されたアーム部81とを有する。
揺動フレーム82は、左右方向の主杆部83と、この主杆部83の左右両側から前方突出状に延出された左右の副杆部84とを備え、左右の各副杆部84の前部は、左右の同じ側にある前記アーム部81の下端側に左右方向の軸心廻りに回動自在に枢支連結されており、これにより、揺動フレーム82が上下に揺動自在とされている。
【0050】
この揺動フレーム82の主杆部83には、左右方向に4枚の取付板85が固定され、これら各取付板85にそれぞれ1つの取付ステー86がボルト等によって取付固定され、各取付ステー86にそれぞれ鎮圧輪28が取り付けられている。
また、各取付ステー86は、取付板85に左右方向位置調整自在に取り付けられていて、各鎮圧輪28の左右方向の位置が調整可能とされている。
上下位置調整機構87は揺動フレーム82と第2フレーム33との間に介装されており、操作レバー88と、この操作レバー88を係止する係止板89と、操作レバー88と揺動フレーム82とを連動連結するリンク機構90とを有し、操作レバー88は、係止板89に複数位置で係止可能とされており、操作レバー88の係止板89に対する係止位置を変更することにより、鎮圧輪28の高さが調整可能とされている。
【0051】
各植付体26に対する左右一対の鎮圧輪28は、左右方向で対向状に配置されていると共に、その回転軸心Xが対向方向に向かうに従って上方に移行する傾斜状となるように配置されていて、左右鎮圧輪28は、その対向間隔が上方に行くに従って漸次大となるように傾斜している。
また、左右一対の鎮圧輪28の外周面は、回転軸心X方向で且つ反対向方向に行くに従って漸次径小となるテーパ状に形成されていて、地面に対して面接触するように構成されている。
【0052】
また、前記各取付ステー86の下部側は、各植付体26に対する左右一対の鎮圧輪28の反対向側に配置されており、この取付ステー86の下部に、鎮圧輪28を回転軸心X回りに回転自在に支持する支軸91が設けられている。
各鎮圧輪28の中心部には軸受部92が設けられ、この軸受部92に内嵌されたベアリング93を前記支軸91が挿通していることにより、鎮圧輪28が取付ステー86及び支軸91に回転自在に支持されている。
また、鎮圧輪28は、支軸91の先端側に螺合されたボルト94によって支軸91に対して抜止めされている。
【0053】
前記スクレーパ78は、線材を鎮圧輪28に沿って折曲することによって構成されており、一端側が取付ステー86にねじ込まれたボルト95によって取付ステー86に固定され、他端側が前記抜止め用ボルト94によって支軸91に固定され、中途部が鎮圧輪28の外周面に摺接するように又は外周面と若干の隙間をあけて設けられていて、鎮圧輪28が転動することにより、スクレーパ78で鎮圧輪28の外周面に付いた土が削り落とされる。
前記駆動装置77は、各鎮圧輪28に設けられた駆動盤96と、この駆動盤96に噛合する駆動ギヤ97と、この駆動ギヤ97を駆動する駆動軸98と、この駆動軸98にエンジンEからの動力を伝達する動力伝達装置99とを有する。
【0054】
各駆動盤96は、左右一対の鎮圧輪28の反対向側の面に配置されており、鎮圧輪28の軸受部92の反対向側に設けられた嵌合部100に、鎮圧輪28と一体回転自在で且つ回転軸心X方向に移動自在に外嵌され、抜け止め部材101によって嵌合部100から抜け止めされている。
この駆動盤96と鎮圧輪28の対向側の壁部28aとの間には、軸受部92に套嵌された圧縮コイルバネからなる付勢部材104が設けられていて、駆動盤96が抜け止め部材101に押しつけられるように付勢されている。
【0055】
また、各駆動盤96の外周側には、鎮圧輪28の回転軸心X(支軸91の軸心)を中心とする円周上に周方向等間隔をおいて且つ全周に亘って矩形状の係合孔102が形成されている。
この係合孔102は、駆動盤96の径方向に対して、該径方向外方に行くに従って鎮圧輪28の回転方向Y前方側に移行するように傾斜して形成されている。
各取付ステー86の下端には、前後方向の軸心を有する支持筒103が固定されており、この支持筒103に駆動軸98が挿通され且つ前後方向の軸心回りに回転自在に支持されている。
【0056】
各駆動軸98は、鎮圧輪28の回転軸心Xの上下一方側に位置ズレして配置されている。
具体的には、2組の鎮圧輪28のうち、左右方向外方側の2つの鎮圧輪28及び左右方向中央側で隣接する鎮圧輪28の右側の鎮圧輪28に対応する駆動軸98は回転軸心Xの下側に位置し、左右方向中央側で隣接する鎮圧輪28の左側の鎮圧輪28に対応する駆動軸98は回転軸心Xの上側に位置している。
なお、2組の鎮圧輪28のうち、左右方向外方側の2つの鎮圧輪28及び左右方向中央側で隣接する鎮圧輪28の右側の鎮圧輪28を支持する支軸91は、取付ステー86の下端側に直接設けられ、左右方向中央側で隣接する鎮圧輪28の左側の鎮圧輪28を支持する支軸91は、支持筒103及び該支持筒103に固定された支持板105を介して取付ステー86に設けられている。
【0057】
また、支持筒103から後方に突出する駆動軸98の後端部に駆動ギヤ97が一体回転自在に嵌合されていると共に、駆動ギヤ97は駆動盤98の後部側において、係合孔102に噛合している。
動力伝達装置99は、各駆動軸98に対応して設けられていて後端側が駆動軸98に連動連結され且つ前端側がミッションケースMの下方に配置された伝動ケース106に回転自在に支持された伝動軸107と、ミッションケースMの側面に設けられた動力取出軸108からベベルギヤ伝動機構109を介して動力が伝達される入力軸110と、この入力軸110から各伝動軸107に動力を伝達する伝動機構111とを有する。
【0058】
前記動力取出軸108には、ミッションケースM内の伝動機構を介してエンジンEからの動力が伝達され、この動力取出軸108から動力伝達装置99を介して各駆動軸98に動力が伝達され、駆動軸98と共に駆動ギヤ97が回転駆動されることにより、鎮圧輪28が図13の矢示Y方向に回転駆動される(鎮圧輪28が前進するように回転駆動(前転駆動)される)。
前記構成において、駆動ギヤ97が鎮圧輪28の回転軸心Xの上方側に位置ズレさせて配置されているものにあっては、駆動ギヤ97が地面から離れるので、泥等のかみ込みや土ホコリによる駆動ギヤ97の摩耗を防止することができる。
【0059】
また、駆動ギヤ97が鎮圧輪28の回転軸心Xの下方側に位置ズレさせて配置されているものにあっては、駆動ギヤ97の、鎮圧輪28の反対向側上端から左右方向外方へのはみ出し量を少なくでき、鎮圧輪28及び駆動ギヤ97を左右方向にコンパクトに構成することができる。
特に、2組の鎮圧輪28うちの、左右方向中央側で隣り合う鎮圧輪28の一方を駆動する駆動ギヤ97が鎮圧輪28の回転軸心Xに対して上下一方側に位置ズレし且つ他方の鎮圧輪28を駆動する駆動ギヤ97が鎮圧輪28の回転軸心Xに対して上下他方側に位置ズレしていることから、2組の鎮圧輪28を左右方向に接近させて植付条間を狭めることができる、又は、植付条間が狭くても鎮圧輪28の径を大きくすることができる。
【0060】
また、係合孔102は、駆動盤96の径方向に対して、該径方向外方に行くに従って鎮圧輪28の回転方向Y前方側に移行するように傾斜して形成されているので、駆動ギヤ97を鎮圧輪28の回転軸心Xに対して上下一方側に位置ズレさせて配置したものであっても、駆動ギヤ97が係合孔102にスムーズに噛合する。
さらに、石等がかみ込んで鎮圧輪28がロックした場合、駆動盤96が付勢部材104の付勢力に抗して移動して駆動ギヤ97から外れることにより、鎮圧輪28を駆動する駆動系に過負荷がかかるのを防止できる。また、駆動系が停止しないので、植付けを継続することができる。また、かみ込んだ石等が外れて前記鎮圧輪28のロックが解除した場合、付勢部材104の付勢力によって駆動盤96が駆動ギヤ97に係合して、自然に復帰する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】移植機の側面図である。
【図2】移植機の平面図である。
【図3】移植装置等の側面図である。
【図4】移植装置の要部の背面図である。
【図5】苗供給装置の側面概略構成図である。
【図6】苗姿勢変更装置の側面図である。
【図7】苗姿勢変更装置の背面図である。
【図8】苗姿勢変更装置の要部の側面図である。
【図9】苗を押し下げて縦送りローラにかみ込ませる際の苗姿勢変更装置の要部の側面図である。
【図10】苗姿勢変更装置の平面図である。
【図11】覆土・鎮圧装置の背面図である。
【図12】鎮圧輪の背面断面図である。
【図13】鎮圧輪を軸心方向外方から見た図である。
【図14】鎮圧輪の背面拡大断面図である。
【図15】比較例に係る鎮圧輪の側面図及び背面断面図である。
【符号の説明】
【0062】
26 植付体
28 鎮圧輪
96 駆動盤
97 駆動ギヤ
102 係合孔
104 付勢部材
N 苗(ポット苗)
X 鎮圧輪の回転軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の苗植付位置の左右両側を転動して植付位置に供給された苗(N)の左右両側の土を鎮圧する左右一対の鎮圧輪(28)を備え、この左右の鎮圧輪(28)を、その回転軸心(X)を対向方向に向かうに従って上方に移行する傾斜状として左右鎮圧輪(28)の対向間隔が上方に行くに従って漸次大となるように傾斜させた移植機において、
左右各鎮圧輪(28)の対向側とは反対側の面に、回転軸心(X)を中心とした円周方向に間隔をおいて配置された係合孔(102)を設け、これら係合孔(102)に噛合して回転することで鎮圧輪(28)を回転駆動する駆動ギヤ(97)を設け、この駆動ギヤ(97)を鎮圧輪(28)の回転軸心(X)の上下一方側に位置ズレさせて配置したことを特徴とする移植機。
【請求項2】
苗(N)を植え付ける植付体(26)を左右方向に複数個設けると共に、一対で1組の鎮圧輪(28)を複数の植付体(26)に対応して左右方向に複数組設け、左右方向で隣り合う2組の鎮圧輪(28)うちの、左右方向中央側で隣り合う鎮圧輪(28)の一方を駆動する駆動ギヤ(97)が鎮圧輪(28)の回転軸心(X)に対して上下一方側に位置ズレし且つ他方の鎮圧輪(28)を駆動する駆動ギヤ(97)が鎮圧輪(28)の回転軸心(X)に対して上下他方側に位置ズレしていることを特徴とする請求項1に記載の移植機。
【請求項3】
係合孔(102)が形成された駆動盤(96)を、各鎮圧輪(28)に一体回転自在で且つ回転軸心(X)方向に移動自在に設け、鎮圧輪(28)に過負荷がかかった際に駆動盤(96)が鎮圧輪(28)の回転軸心(X)方向に移動して駆動ギヤ(97)から外れるように、駆動盤(96)を係合孔(102)が駆動ギヤ(97)に係合する方向に付勢部材(104)で付勢したことを特徴とする請求項1又は2に記載の移植機。
【請求項4】
駆動ギヤ(97)は前後軸回りに回転駆動され、係合孔(102)は鎮圧輪(28)の径方向に対して、該径方向外方に行くに従って鎮圧輪(28)の回転方向(Y)前方側に移行するように傾斜して形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の移植機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2006−141366(P2006−141366A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−339643(P2004−339643)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(000100469)みのる産業株式会社 (158)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】