移植機
【課題】 植付動力を不等速変換する植付用不等速変換機構を備えた移植機において、横送り動力のトルク変動に起因する振動の発生を抑制し、植付部の安定性を高める。
【解決手段】 苗を載置する苗載台13と、該苗載台13から苗を掻取って圃場に移植する植付機構15と、苗載台13を横送りする横送り機構50と、植付機構15に動力を伝動する植付動力伝動経路と、該植付動力伝動経路に設けられ、植付機構15の動作速度に変化を生じさせる植付用不等速変換機構38と、植付用不等速変換機構38よりも下流側で植付動力伝動経路から分岐され、横送り機構50に動力を伝動する横送り動力伝動経路とを備える移植機において、横送り動力伝動経路に、植付用不等速変換機構38による動作速度変化を打ち消す横送り用不等速変換機構58を設ける。
【解決手段】 苗を載置する苗載台13と、該苗載台13から苗を掻取って圃場に移植する植付機構15と、苗載台13を横送りする横送り機構50と、植付機構15に動力を伝動する植付動力伝動経路と、該植付動力伝動経路に設けられ、植付機構15の動作速度に変化を生じさせる植付用不等速変換機構38と、植付用不等速変換機構38よりも下流側で植付動力伝動経路から分岐され、横送り機構50に動力を伝動する横送り動力伝動経路とを備える移植機において、横送り動力伝動経路に、植付用不等速変換機構38による動作速度変化を打ち消す横送り用不等速変換機構58を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植付機構の植付周期を変えることなく、一周期中の植付動作速度に変化を生じさせる不等速変換機構が設けられた移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
植付動力伝動経路に、偏心ギヤなどの不等速変換機構を設けることにより、植付機構の植付周期を変えることなく、一周期中の植付動作速度に変化を生じさせる移植機が知られている(例えば、特許文献1参照。)。通常、この種の移植機では、植付爪の土中動作速度及び苗掻取動作速度が速くなるように、植付動力を不等速変換している。これにより、植付爪による苗の引き摺りを防止できるだけでなく、植付爪の苗掻取り性能を向上させることが可能になる。
【特許文献1】特開2002−238319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、この種の移植機は、苗載台を横送りする横送り機構を備え、この横送り機構を、植付動力伝動経路から分岐させた動力で動作させている。しかしながら、不等速変換機構の下流側で植付動力伝動経路を分岐させるものでは、横送り動力も不等速になるため、トルク変動による振動が発生し、植付部の安定性が低下するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、苗を載置する苗載台と、該苗載台から苗を掻取って圃場に移植する植付機構と、前記苗載台を横送りする横送り機構と、前記植付機構に動力を伝動する植付動力伝動経路と、該植付動力伝動経路に設けられ、前記植付機構の動作速度に変化を生じさせる植付用不等速変換機構と、該植付用不等速変換機構よりも下流側で前記植付動力伝動経路から分岐され、前記横送り機構に動力を伝動する横送り動力伝動経路とを備える移植機において、前記横送り動力伝動経路に、前記植付用不等速変換機構による動作速度変化を打ち消す横送り用不等速変換機構を設けたことを特徴とする。このように構成すれば、植付用不等速変換機構を経由した不等速の動力を、等速の動力に変換して横送り機構に伝動することが可能になる。これにより、トルク変動による振動の発生を抑制し、植付部の安定性を高めることができる。
また、前記植付用不等速変換機構は、前記植付機構の苗掻取り速度が速くなるように植付動力を不等速変換し、前記横送り用不等速変換機構は、前記植付機構が苗を掻取るとき、前記苗載台の横送り動作速度が遅くなるように横送り動力を不等速変換することを特徴とする。このように構成すれば、植付機構の苗掻取移動量に対して、苗の横移動量が相対的に少なくなるので、苗の掻取り性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図3において、1は乗用田植機の走行機体であって、該走行機体1は、機体前部に搭載されるエンジン2と、エンジン動力を入力するミッションケース3と、フロントアクスルケース4を介して取付けられる左右一対の前輪5と、リヤアクスルケース6を介して取付けられる左右一対の後輪7とを備える。エンジン動力は、ベルト式又は油圧式の無段変速機構8を介してミッションケース3に入力され、ここからフロントアクスルケース4、リヤアクスルケース6及び植付PTO軸9に伝動される。
【0006】
走行機体1の後部には、昇降リンク機構10を介して植付作業部11が連結されている。植付作業部11は、昇降リンク機構10にローリング自在(左右揺動自在)に連結される作業部フレーム12と、該作業部フレーム12の上方に左右往復動自在に設けられる苗載台13と、上記作業部フレーム12から後方に延出する複数の植付伝動ケース14と、該植付伝動ケース14の後端部に設けられる植付機構15と、上記植付伝動ケース14の下方に上下揺動自在に設けられるフロート16とを備えて構成される。植付作業部11に伝動される植付PTO軸9の動力(以下、植付動力という。)は、各植付伝動ケース14に分配され、植付伝動ケース14内のチェン伝動機構(図示せず)を介して各植付機構15に伝動される。
【0007】
植付機構15は、植付動力で回転する回転ケース17と、その両端部に設けられる一対の植付爪支持ケース18とを備えて構成される。植付爪支持ケース18は、先端部に備える植付爪19が所定の軌跡を描くように、回転ケース17内のギヤ列(図示せず)によって姿勢がコントロールされる。つまり、回転ケース17が回転すると、植付爪19が苗載台13の下端部から苗を掻取った後、前方に膨らむ円弧を描きながら土中の植付位置に達し、その後、直線的に上昇するという半月状の静止軌跡(走行停止時の爪先端運動軌跡)を描くように構成されている。これにより、回転ケース17が一回転する毎に二回の植付けが実行される。
【0008】
植付機構15の植付動作速度は、車速に連動しており、車速に対する相対的な植付動作速度を変速することによって、植付機構15の植付株間が調節される。また、植付機構15の植付爪軌跡は、標準株間を基準に設定されており、植付株間を広げるべく植付作動速度を遅くすると、機体進行に伴う植付爪19の前方移動量が土中で大きくなり、植え付けた苗が引き摺られてしまう。そのため、植付株間を広げる場合には、植付機構15の植付周期を変えることなく、一周期中の植付動作速度に変化を生じさせることにより、植付爪19の土中動作速度を速くし、苗の引き摺りを防止する必要がある。以下、そのための構成について説明する。
【0009】
図4〜図7に示すように、ミッションケース3は、入力軸20に入力された動力を、入力軸20に回転自在に支持される筒軸21と、該筒軸21に並列する中間伝動軸22と、該中間伝動軸22に並列する株間変速軸23と、該株間変速軸23に回転自在に支持される筒軸24と、該筒軸24に回転自在に支持される筒軸25とを経由して植付PTO軸9に伝動するように構成されている。
【0010】
入力軸20と筒軸21との間には、主クラッチ機構26が構成されており、その入り切り動作に応じて、走行動力及び植付動力が断続される。主クラッチ機構26の伝動下流側となる筒軸21には、走行動力を取り出すギヤ27と、植付動力を取り出すギヤ28とが一体的に設けられており、植付伝動ギヤ28は、常時噛合するギヤ29を介して、中間伝動軸22に植付動力を伝動している。
【0011】
中間伝動軸22と株間変速軸23の伝動上流側端部との間には、第一株間変速機構30が構成されている。第一株間変速機構30は、中間伝動軸22に一体的に設けられる二枚のギヤ31、32と、株間変速軸23にスプライン嵌合される変速ギヤ33とを備えて構成される。変速ギヤ33は、三つのギヤ部33a、33b、33cを有し、各ギヤ部33a、33b、33cが二枚のギヤ31、32に対して選択的に噛み合うことにより、三段の株間変速を可能にする。
【0012】
株間変速軸23の伝動下流側端部と筒軸24の伝動上流側端部との間には、トルクリミッタ34が構成されている。ここでトルクリミッタ34に伝動される植付動力は等速回転である。これにより、トルクリミッタ34の作動負荷が一定となり、安定したリミット動作が可能になる。
【0013】
筒軸24の伝動下流側端部には、第二株間変速機構35を構成する変速ギヤ36がスプライン嵌合されている。この変速ギヤ36は、中間伝動軸22に回転自在に支持されるギヤ37に噛み合う位置と、側面の噛合歯36aが筒軸25の噛合歯25aに噛み合う位置とに変速操作される。変速ギヤ36の噛合歯36aが筒軸25の噛合歯25aに噛み合う状態では、筒軸24の回転が変速されることなく、筒軸25に伝動される一方、変速ギヤ36がギヤ37に噛み合う状態では、そのギヤ比によって植付動力が変速される。これにより、第二株間変速機構35による二段の変速と、第一株間変速機構30による三段の変速とを組み合せ、六段階の株間調整が可能になる。
【0014】
ギヤ37には、植付用不等速変換機構38を構成する偏心ギヤ39が一体的に設けられている。この偏心ギヤ39は、筒軸25に一体的に設けられる偏心ギヤ40に常時噛合される。つまり、第二株間変速機構35のギヤ36、37同士を噛み合わせた場合には、筒軸24の動力が植付用不等速変換機構38を経由して筒軸25に伝動される。これにより、植付動力の等速・不等切換えができるだけでなく、第二株間変速機構35の変速ギヤ36を利用して等速・不等切換えを行うことが可能になる。しかも、植付用不等速変換機構38の伝動上流側に第一株間変速機構30及び第二株間変速機構35が配置されるので、これらの変速操作に伴って、不等速変換機構38の増速位置がずれてしまうような不都合も回避される。
【0015】
筒軸25は、伝動下手側端部からベベルギヤB1、B2を介して植付PTO軸9に植付動力を伝動する。植付PTO軸9側のベベルギヤB2は、植付PTO軸9に回転自在に設けられ、植付クラッチ機構41を介して、植付PTO軸9に連結される。植付クラッチ機構41は、噛み合い位置が一箇所だけに限られた噛み合いクラッチであり、植付用不等速変換機構38の伝動下流側で植付動力を断続しても、植付用不等速変換機構38の増速位置にズレが生じることがない。
【0016】
また、ミッションケース3は、第一株間変速機構30を変速操作するための第一シフタ軸42と、第二株間変速機構35を変速操作するための第二シフタ軸43とをスライド自在に支持している。第一シフタ軸42の内端部には、変速ギヤ33に係合するシフタフォーク44が設けられる一方、外端部には、第一株間変速レバー45が連繋されている。第一株間変速レバー45の操作位置は、第一デテント機構46によって規定されており、前述した三段の株間変速が可能になる。
【0017】
また、第二シフタ軸43の内端部には、変速ギヤ36に係合するシフタフォーク47が設けられる一方、外端部には、第二株間変速レバー48が連繋されている。第二株間変速レバー48の操作位置は、第二デテント機構49によって規定されており、前述した二段の株間変速が可能になる。そして、第二株間変速機構35においては、前述したように、株間変速と共に等速・不等速変換が行われるため、第二株間変速レバー48が、株間変速操作具と等速・不等速切換操作具に兼用されることになる。
【0018】
上記のように第一株間変速機構30と第二株間変速機構35の組み合せによって調節可能な六段階の株間(K1〜K6)は、K1<K2<K3<K4<K5<K6であるとすると、第一株間変速レバー45及び第二株間変速レバーが下記の位置に操作されたとき現出される。
K1:第一株間変速レバー(小)、第二株間変速レバー(小)
K2:第一株間変速レバー(中)、第二株間変速レバー(小)
K3:第一株間変速レバー(大)、第二株間変速レバー(小)
K4:第一株間変速レバー(小)、第二株間変速レバー(大)
K5:第一株間変速レバー(中)、第二株間変速レバー(大)
K6:第一株間変速レバー(大)、第二株間変速レバー(大)
したがって、株間がK4〜K6のとき、植付動力が不等速となる。
【0019】
次に、苗載台13の横送り機構50について、図8〜図10を参照して説明する。これらの図に示すように、植付作業部11には、植付PTO軸9から植付動力を入力するドライブケース52が設けられている。ドライブケース52は、入力した植付動力を、ベベルギヤ機構52aによって減速(2:1)し、これを分配軸51に伝動する。分配軸51に伝動された植付動力は、植付伝動ケース14を介して植付機構15に伝動されると共に、横送りケース53を介して横送り機構50に伝動される。つまり、横送りケース53は、植付用不等速変換機構38よりも下流側で植付動力伝動経路から分岐され、横送り機構50に動力を伝動する横送り動力伝動経路を構成している。
【0020】
横送り機構50は、左右方向を向いて軸支される横送り軸54と、該横送り軸54にスライド自在に外嵌されるガイドピース55とを備えて構成されている。横送り軸54は、外周に螺旋溝54a(右巻き螺旋溝と左巻き螺旋溝を両端で無端状に連続させたもの)を有するスクリュー軸であり、横送りケース53から伝動される横送り動力で一方向に回転される。ガイドピース55は、横送り軸54の螺旋溝54aに係合すると共に、苗載台13の背面に連結されている。苗載台13との連結により回転が規制されたガイドピース55は、横送り軸54の回転に応じて左右往復方向にスライドし、苗載台13を横送りさせる。
【0021】
横送りケース53は、横送り軸54の一端側を軸支すると共に、入力軸56及び中間軸57の両端部を軸支している。入力軸56は、分配軸51から入力した動力を、横送り用不等速変換機構58を介して中間軸57へ伝動し、中間軸57は、入力軸56から伝動された動力を、横送り変速機構59を介して横送り軸54へ伝動する。横送り変速機構59は、中間軸57に回転自在に設けられる複数の駆動側変速ギヤ60〜63と、横送り軸54の一端側に一体的に設けられ、それぞれ駆動側変速ギヤ60〜63に噛み合う複数の従動側変速ギヤ64〜67と、駆動側変速ギヤ60〜63のいずれかを選択的に中間軸57に連結させるシフタ68と、シフタ68を操作する横送り変速操作軸69と、横送り変速操作軸69を各変速位置に保持するデテント機構70とを備えて構成されている。横送り変速機構59によって横送り動力を変速すると、植付機構15と横送り機構50の相対的な動作速度が変化し、植付機構15による苗掻取量(苗掻取り回数)が変更される。
【0022】
横送り用不等速変換機構58は、一対の楕円ギヤ58aを用いて構成されており、横送り動力を不等速に変速する。図10の(A)に示すように、横送り用不等速変換機構58が発生させる増速域及び減速域は、植付用不等速変換機構38が発生させる増速域及び減速域と逆位相であり、植付動力が植付用不等速変換機構38によって不等速変換されている場合は、植付用不等速変換機構38による速度変化が横送り用不等速変換機構58によって打ち消され、等速の動力が横送り機構50に伝動される。
【0023】
次に、植付用不等速変換機構38及び横送り用不等速変換機構58の作用について、図10を参照して詳細に説明する。図10の(A)に示すように、植付用不等速変換機構38は、前述したように、偏心ギヤ39、40を用いて構成されており、植付動力の一回転中に、増速域と減速域を一回ずつ発生させる。その後、植付動力は、ベベルギヤ機構52aによって2:1に減速され、回転ケース17の一回転中に、増速域と減速域を二回ずつ発生させる。そして、二回の増速域は、植付爪19の苗掻取り位置及び苗植付位置に対応している。
【0024】
一方、横送り用不等速変換機構58は、前述したように、楕円ギヤ58aを用いて構成されており、横送り動力の一回転中に、増速域と減速域を二回ずつ発生させる。横送り用不等速変換機構58は、ベベルギヤ機構52aの伝動下流側に設けられることから、増減速域を逆位相とすることにより、植付動力の速度変化を打ち消し、横送り機構50に等速動力を供給することが可能になる。
【0025】
図10の(B)は、株間がK4〜K6にセットされた状態を示している。この状態では、植付用不等速変換機構38によって植付動力が不等速変換されているが、横送り機構50に伝動される横送り動力は、横送り用不等速変換機構58によって逆変換され、等速となっている。これにより、横送り動力のトルク変動に起因する振動の発生を抑制し、植付作業部11の安定性を高めることができる。しかも、横送り用不等速変換機構58は、植付機構15が苗を掻取るとき、苗載台13の横送り動作速度が遅くなるように横送り動力を不等速変換するので、植付機構15の苗掻取移動量に対して、苗の横移動量が相対的に少なくなり、苗の掻取り性能が向上する。
【0026】
図10の(C)は、株間がK1〜K3にセットされた状態を示している。この状態では、植付用不等速変換機構38による植付動力の不等速変換が行われないため、横送り機構50に伝動される横送り動力は、横送り用不等速変換機構58によって不等速に変換される。この場合には、トルク変動による振動の発生を抑制するという効果は得られないが、横送り用不等速変換機構58は、植付機構15が苗を掻取るとき、苗載台13の横送り動作速度が遅くなるように横送り動力を不等速変換するので、植付機構15の苗掻取移動量に対する苗の横移動量をさらに小さくし、苗の掻取り性能を一層向上させるという効果が得られる。
【0027】
図11に示すように、本実施形態の植付作業部11は、その左右傾斜を自動的に修正する水平制御機構71を備えている。水平制御機構71は、植付作業部11のローリング支軸72で左右揺動自在に支持され、左右一対のスプリング(図示せず)を介して植付作業部11を弾持する中間フレーム73と、該中間フレーム73と昇降リンク機構10との間に介設され、中間フレーム73を強制的に左右揺動させる強制傾斜機構74と、植付作業部11の左右傾斜を検出する傾斜センサ75とを備えて構成されており、傾斜センサ75の検出角が水平となるように、中間フレーム73の傾斜制御を行う。このように構成された植付作業部11では、トルク変動による振動が発生すると、水平制御の精度が低下し、植付精度の低下をまねくおそれがあるため、本発明を適用して振動を抑制することにより、植付精度が向上するという効果が得られる。
【0028】
叙述の如く構成された本実施形態の移植機は、苗を載置する苗載台13と、該苗載台13から苗を掻取って圃場に移植する植付機構15と、苗載台13を横送りする横送り機構50と、植付機構15に動力を伝動する植付動力伝動経路と、該植付動力伝動経路に設けられ、植付機構15の動作速度に変化を生じさせる植付用不等速変換機構38と、植付用不等速変換機構38よりも下流側で植付動力伝動経路から分岐され、横送り機構50に動力を伝動する横送り動力伝動経路とを備えるものであって、横送り動力伝動経路に、植付用不等速変換機構38による動作速度変化を打ち消す横送り用不等速変換機構58を設けたので、植付用不等速変換機構38を経由した不等速の動力を、等速の動力に変換して横送り機構50に伝動することが可能になる。これにより、トルク変動による振動の発生を抑制し、植付作業部11の安定性を高めることができる。
【0029】
また、植付用不等速変換機構38は、植付機構15の苗掻取り速度が速くなるように植付動力を不等速変換し、横送り用不等速変換機構58は、植付機構15が苗を掻取るとき、苗載台13の横送り動作速度が遅くなるように横送り動力を不等速変換するので、植付機構15の苗掻取移動量に対して、苗の横移動量が相対的に少なくし、苗の掻取り性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】乗用田植機の側面図である。
【図2】同上平面図である。
【図3】エンジン及びミッションケースを示す側面図である。
【図4】ミッションケースの展開図である。
【図5】植付動力伝動系を示す展開図である。
【図6】株間変速機構及び不等速変換機構を示す展開図である。
【図7】第二株間変速機構の操作系を示す展開図である。
【図8】植付作業部の伝動構造を示す展開図である。
【図9】植付作業部の伝動構造を示す要部展開図である。
【図10】(A)〜(C)は、植付用不等速変換機構及び横送り用不等速変換機構の作用説明図である。
【図11】水平制御機構の側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 走行機体
3 ミッションケース
11 植付作業部
13 苗載台
15 植付機構
38 植付用不等速変換機構
50 横送り機構
53 横送りケース
58 横送り用不等速変換機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、植付機構の植付周期を変えることなく、一周期中の植付動作速度に変化を生じさせる不等速変換機構が設けられた移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
植付動力伝動経路に、偏心ギヤなどの不等速変換機構を設けることにより、植付機構の植付周期を変えることなく、一周期中の植付動作速度に変化を生じさせる移植機が知られている(例えば、特許文献1参照。)。通常、この種の移植機では、植付爪の土中動作速度及び苗掻取動作速度が速くなるように、植付動力を不等速変換している。これにより、植付爪による苗の引き摺りを防止できるだけでなく、植付爪の苗掻取り性能を向上させることが可能になる。
【特許文献1】特開2002−238319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、この種の移植機は、苗載台を横送りする横送り機構を備え、この横送り機構を、植付動力伝動経路から分岐させた動力で動作させている。しかしながら、不等速変換機構の下流側で植付動力伝動経路を分岐させるものでは、横送り動力も不等速になるため、トルク変動による振動が発生し、植付部の安定性が低下するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、苗を載置する苗載台と、該苗載台から苗を掻取って圃場に移植する植付機構と、前記苗載台を横送りする横送り機構と、前記植付機構に動力を伝動する植付動力伝動経路と、該植付動力伝動経路に設けられ、前記植付機構の動作速度に変化を生じさせる植付用不等速変換機構と、該植付用不等速変換機構よりも下流側で前記植付動力伝動経路から分岐され、前記横送り機構に動力を伝動する横送り動力伝動経路とを備える移植機において、前記横送り動力伝動経路に、前記植付用不等速変換機構による動作速度変化を打ち消す横送り用不等速変換機構を設けたことを特徴とする。このように構成すれば、植付用不等速変換機構を経由した不等速の動力を、等速の動力に変換して横送り機構に伝動することが可能になる。これにより、トルク変動による振動の発生を抑制し、植付部の安定性を高めることができる。
また、前記植付用不等速変換機構は、前記植付機構の苗掻取り速度が速くなるように植付動力を不等速変換し、前記横送り用不等速変換機構は、前記植付機構が苗を掻取るとき、前記苗載台の横送り動作速度が遅くなるように横送り動力を不等速変換することを特徴とする。このように構成すれば、植付機構の苗掻取移動量に対して、苗の横移動量が相対的に少なくなるので、苗の掻取り性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図3において、1は乗用田植機の走行機体であって、該走行機体1は、機体前部に搭載されるエンジン2と、エンジン動力を入力するミッションケース3と、フロントアクスルケース4を介して取付けられる左右一対の前輪5と、リヤアクスルケース6を介して取付けられる左右一対の後輪7とを備える。エンジン動力は、ベルト式又は油圧式の無段変速機構8を介してミッションケース3に入力され、ここからフロントアクスルケース4、リヤアクスルケース6及び植付PTO軸9に伝動される。
【0006】
走行機体1の後部には、昇降リンク機構10を介して植付作業部11が連結されている。植付作業部11は、昇降リンク機構10にローリング自在(左右揺動自在)に連結される作業部フレーム12と、該作業部フレーム12の上方に左右往復動自在に設けられる苗載台13と、上記作業部フレーム12から後方に延出する複数の植付伝動ケース14と、該植付伝動ケース14の後端部に設けられる植付機構15と、上記植付伝動ケース14の下方に上下揺動自在に設けられるフロート16とを備えて構成される。植付作業部11に伝動される植付PTO軸9の動力(以下、植付動力という。)は、各植付伝動ケース14に分配され、植付伝動ケース14内のチェン伝動機構(図示せず)を介して各植付機構15に伝動される。
【0007】
植付機構15は、植付動力で回転する回転ケース17と、その両端部に設けられる一対の植付爪支持ケース18とを備えて構成される。植付爪支持ケース18は、先端部に備える植付爪19が所定の軌跡を描くように、回転ケース17内のギヤ列(図示せず)によって姿勢がコントロールされる。つまり、回転ケース17が回転すると、植付爪19が苗載台13の下端部から苗を掻取った後、前方に膨らむ円弧を描きながら土中の植付位置に達し、その後、直線的に上昇するという半月状の静止軌跡(走行停止時の爪先端運動軌跡)を描くように構成されている。これにより、回転ケース17が一回転する毎に二回の植付けが実行される。
【0008】
植付機構15の植付動作速度は、車速に連動しており、車速に対する相対的な植付動作速度を変速することによって、植付機構15の植付株間が調節される。また、植付機構15の植付爪軌跡は、標準株間を基準に設定されており、植付株間を広げるべく植付作動速度を遅くすると、機体進行に伴う植付爪19の前方移動量が土中で大きくなり、植え付けた苗が引き摺られてしまう。そのため、植付株間を広げる場合には、植付機構15の植付周期を変えることなく、一周期中の植付動作速度に変化を生じさせることにより、植付爪19の土中動作速度を速くし、苗の引き摺りを防止する必要がある。以下、そのための構成について説明する。
【0009】
図4〜図7に示すように、ミッションケース3は、入力軸20に入力された動力を、入力軸20に回転自在に支持される筒軸21と、該筒軸21に並列する中間伝動軸22と、該中間伝動軸22に並列する株間変速軸23と、該株間変速軸23に回転自在に支持される筒軸24と、該筒軸24に回転自在に支持される筒軸25とを経由して植付PTO軸9に伝動するように構成されている。
【0010】
入力軸20と筒軸21との間には、主クラッチ機構26が構成されており、その入り切り動作に応じて、走行動力及び植付動力が断続される。主クラッチ機構26の伝動下流側となる筒軸21には、走行動力を取り出すギヤ27と、植付動力を取り出すギヤ28とが一体的に設けられており、植付伝動ギヤ28は、常時噛合するギヤ29を介して、中間伝動軸22に植付動力を伝動している。
【0011】
中間伝動軸22と株間変速軸23の伝動上流側端部との間には、第一株間変速機構30が構成されている。第一株間変速機構30は、中間伝動軸22に一体的に設けられる二枚のギヤ31、32と、株間変速軸23にスプライン嵌合される変速ギヤ33とを備えて構成される。変速ギヤ33は、三つのギヤ部33a、33b、33cを有し、各ギヤ部33a、33b、33cが二枚のギヤ31、32に対して選択的に噛み合うことにより、三段の株間変速を可能にする。
【0012】
株間変速軸23の伝動下流側端部と筒軸24の伝動上流側端部との間には、トルクリミッタ34が構成されている。ここでトルクリミッタ34に伝動される植付動力は等速回転である。これにより、トルクリミッタ34の作動負荷が一定となり、安定したリミット動作が可能になる。
【0013】
筒軸24の伝動下流側端部には、第二株間変速機構35を構成する変速ギヤ36がスプライン嵌合されている。この変速ギヤ36は、中間伝動軸22に回転自在に支持されるギヤ37に噛み合う位置と、側面の噛合歯36aが筒軸25の噛合歯25aに噛み合う位置とに変速操作される。変速ギヤ36の噛合歯36aが筒軸25の噛合歯25aに噛み合う状態では、筒軸24の回転が変速されることなく、筒軸25に伝動される一方、変速ギヤ36がギヤ37に噛み合う状態では、そのギヤ比によって植付動力が変速される。これにより、第二株間変速機構35による二段の変速と、第一株間変速機構30による三段の変速とを組み合せ、六段階の株間調整が可能になる。
【0014】
ギヤ37には、植付用不等速変換機構38を構成する偏心ギヤ39が一体的に設けられている。この偏心ギヤ39は、筒軸25に一体的に設けられる偏心ギヤ40に常時噛合される。つまり、第二株間変速機構35のギヤ36、37同士を噛み合わせた場合には、筒軸24の動力が植付用不等速変換機構38を経由して筒軸25に伝動される。これにより、植付動力の等速・不等切換えができるだけでなく、第二株間変速機構35の変速ギヤ36を利用して等速・不等切換えを行うことが可能になる。しかも、植付用不等速変換機構38の伝動上流側に第一株間変速機構30及び第二株間変速機構35が配置されるので、これらの変速操作に伴って、不等速変換機構38の増速位置がずれてしまうような不都合も回避される。
【0015】
筒軸25は、伝動下手側端部からベベルギヤB1、B2を介して植付PTO軸9に植付動力を伝動する。植付PTO軸9側のベベルギヤB2は、植付PTO軸9に回転自在に設けられ、植付クラッチ機構41を介して、植付PTO軸9に連結される。植付クラッチ機構41は、噛み合い位置が一箇所だけに限られた噛み合いクラッチであり、植付用不等速変換機構38の伝動下流側で植付動力を断続しても、植付用不等速変換機構38の増速位置にズレが生じることがない。
【0016】
また、ミッションケース3は、第一株間変速機構30を変速操作するための第一シフタ軸42と、第二株間変速機構35を変速操作するための第二シフタ軸43とをスライド自在に支持している。第一シフタ軸42の内端部には、変速ギヤ33に係合するシフタフォーク44が設けられる一方、外端部には、第一株間変速レバー45が連繋されている。第一株間変速レバー45の操作位置は、第一デテント機構46によって規定されており、前述した三段の株間変速が可能になる。
【0017】
また、第二シフタ軸43の内端部には、変速ギヤ36に係合するシフタフォーク47が設けられる一方、外端部には、第二株間変速レバー48が連繋されている。第二株間変速レバー48の操作位置は、第二デテント機構49によって規定されており、前述した二段の株間変速が可能になる。そして、第二株間変速機構35においては、前述したように、株間変速と共に等速・不等速変換が行われるため、第二株間変速レバー48が、株間変速操作具と等速・不等速切換操作具に兼用されることになる。
【0018】
上記のように第一株間変速機構30と第二株間変速機構35の組み合せによって調節可能な六段階の株間(K1〜K6)は、K1<K2<K3<K4<K5<K6であるとすると、第一株間変速レバー45及び第二株間変速レバーが下記の位置に操作されたとき現出される。
K1:第一株間変速レバー(小)、第二株間変速レバー(小)
K2:第一株間変速レバー(中)、第二株間変速レバー(小)
K3:第一株間変速レバー(大)、第二株間変速レバー(小)
K4:第一株間変速レバー(小)、第二株間変速レバー(大)
K5:第一株間変速レバー(中)、第二株間変速レバー(大)
K6:第一株間変速レバー(大)、第二株間変速レバー(大)
したがって、株間がK4〜K6のとき、植付動力が不等速となる。
【0019】
次に、苗載台13の横送り機構50について、図8〜図10を参照して説明する。これらの図に示すように、植付作業部11には、植付PTO軸9から植付動力を入力するドライブケース52が設けられている。ドライブケース52は、入力した植付動力を、ベベルギヤ機構52aによって減速(2:1)し、これを分配軸51に伝動する。分配軸51に伝動された植付動力は、植付伝動ケース14を介して植付機構15に伝動されると共に、横送りケース53を介して横送り機構50に伝動される。つまり、横送りケース53は、植付用不等速変換機構38よりも下流側で植付動力伝動経路から分岐され、横送り機構50に動力を伝動する横送り動力伝動経路を構成している。
【0020】
横送り機構50は、左右方向を向いて軸支される横送り軸54と、該横送り軸54にスライド自在に外嵌されるガイドピース55とを備えて構成されている。横送り軸54は、外周に螺旋溝54a(右巻き螺旋溝と左巻き螺旋溝を両端で無端状に連続させたもの)を有するスクリュー軸であり、横送りケース53から伝動される横送り動力で一方向に回転される。ガイドピース55は、横送り軸54の螺旋溝54aに係合すると共に、苗載台13の背面に連結されている。苗載台13との連結により回転が規制されたガイドピース55は、横送り軸54の回転に応じて左右往復方向にスライドし、苗載台13を横送りさせる。
【0021】
横送りケース53は、横送り軸54の一端側を軸支すると共に、入力軸56及び中間軸57の両端部を軸支している。入力軸56は、分配軸51から入力した動力を、横送り用不等速変換機構58を介して中間軸57へ伝動し、中間軸57は、入力軸56から伝動された動力を、横送り変速機構59を介して横送り軸54へ伝動する。横送り変速機構59は、中間軸57に回転自在に設けられる複数の駆動側変速ギヤ60〜63と、横送り軸54の一端側に一体的に設けられ、それぞれ駆動側変速ギヤ60〜63に噛み合う複数の従動側変速ギヤ64〜67と、駆動側変速ギヤ60〜63のいずれかを選択的に中間軸57に連結させるシフタ68と、シフタ68を操作する横送り変速操作軸69と、横送り変速操作軸69を各変速位置に保持するデテント機構70とを備えて構成されている。横送り変速機構59によって横送り動力を変速すると、植付機構15と横送り機構50の相対的な動作速度が変化し、植付機構15による苗掻取量(苗掻取り回数)が変更される。
【0022】
横送り用不等速変換機構58は、一対の楕円ギヤ58aを用いて構成されており、横送り動力を不等速に変速する。図10の(A)に示すように、横送り用不等速変換機構58が発生させる増速域及び減速域は、植付用不等速変換機構38が発生させる増速域及び減速域と逆位相であり、植付動力が植付用不等速変換機構38によって不等速変換されている場合は、植付用不等速変換機構38による速度変化が横送り用不等速変換機構58によって打ち消され、等速の動力が横送り機構50に伝動される。
【0023】
次に、植付用不等速変換機構38及び横送り用不等速変換機構58の作用について、図10を参照して詳細に説明する。図10の(A)に示すように、植付用不等速変換機構38は、前述したように、偏心ギヤ39、40を用いて構成されており、植付動力の一回転中に、増速域と減速域を一回ずつ発生させる。その後、植付動力は、ベベルギヤ機構52aによって2:1に減速され、回転ケース17の一回転中に、増速域と減速域を二回ずつ発生させる。そして、二回の増速域は、植付爪19の苗掻取り位置及び苗植付位置に対応している。
【0024】
一方、横送り用不等速変換機構58は、前述したように、楕円ギヤ58aを用いて構成されており、横送り動力の一回転中に、増速域と減速域を二回ずつ発生させる。横送り用不等速変換機構58は、ベベルギヤ機構52aの伝動下流側に設けられることから、増減速域を逆位相とすることにより、植付動力の速度変化を打ち消し、横送り機構50に等速動力を供給することが可能になる。
【0025】
図10の(B)は、株間がK4〜K6にセットされた状態を示している。この状態では、植付用不等速変換機構38によって植付動力が不等速変換されているが、横送り機構50に伝動される横送り動力は、横送り用不等速変換機構58によって逆変換され、等速となっている。これにより、横送り動力のトルク変動に起因する振動の発生を抑制し、植付作業部11の安定性を高めることができる。しかも、横送り用不等速変換機構58は、植付機構15が苗を掻取るとき、苗載台13の横送り動作速度が遅くなるように横送り動力を不等速変換するので、植付機構15の苗掻取移動量に対して、苗の横移動量が相対的に少なくなり、苗の掻取り性能が向上する。
【0026】
図10の(C)は、株間がK1〜K3にセットされた状態を示している。この状態では、植付用不等速変換機構38による植付動力の不等速変換が行われないため、横送り機構50に伝動される横送り動力は、横送り用不等速変換機構58によって不等速に変換される。この場合には、トルク変動による振動の発生を抑制するという効果は得られないが、横送り用不等速変換機構58は、植付機構15が苗を掻取るとき、苗載台13の横送り動作速度が遅くなるように横送り動力を不等速変換するので、植付機構15の苗掻取移動量に対する苗の横移動量をさらに小さくし、苗の掻取り性能を一層向上させるという効果が得られる。
【0027】
図11に示すように、本実施形態の植付作業部11は、その左右傾斜を自動的に修正する水平制御機構71を備えている。水平制御機構71は、植付作業部11のローリング支軸72で左右揺動自在に支持され、左右一対のスプリング(図示せず)を介して植付作業部11を弾持する中間フレーム73と、該中間フレーム73と昇降リンク機構10との間に介設され、中間フレーム73を強制的に左右揺動させる強制傾斜機構74と、植付作業部11の左右傾斜を検出する傾斜センサ75とを備えて構成されており、傾斜センサ75の検出角が水平となるように、中間フレーム73の傾斜制御を行う。このように構成された植付作業部11では、トルク変動による振動が発生すると、水平制御の精度が低下し、植付精度の低下をまねくおそれがあるため、本発明を適用して振動を抑制することにより、植付精度が向上するという効果が得られる。
【0028】
叙述の如く構成された本実施形態の移植機は、苗を載置する苗載台13と、該苗載台13から苗を掻取って圃場に移植する植付機構15と、苗載台13を横送りする横送り機構50と、植付機構15に動力を伝動する植付動力伝動経路と、該植付動力伝動経路に設けられ、植付機構15の動作速度に変化を生じさせる植付用不等速変換機構38と、植付用不等速変換機構38よりも下流側で植付動力伝動経路から分岐され、横送り機構50に動力を伝動する横送り動力伝動経路とを備えるものであって、横送り動力伝動経路に、植付用不等速変換機構38による動作速度変化を打ち消す横送り用不等速変換機構58を設けたので、植付用不等速変換機構38を経由した不等速の動力を、等速の動力に変換して横送り機構50に伝動することが可能になる。これにより、トルク変動による振動の発生を抑制し、植付作業部11の安定性を高めることができる。
【0029】
また、植付用不等速変換機構38は、植付機構15の苗掻取り速度が速くなるように植付動力を不等速変換し、横送り用不等速変換機構58は、植付機構15が苗を掻取るとき、苗載台13の横送り動作速度が遅くなるように横送り動力を不等速変換するので、植付機構15の苗掻取移動量に対して、苗の横移動量が相対的に少なくし、苗の掻取り性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】乗用田植機の側面図である。
【図2】同上平面図である。
【図3】エンジン及びミッションケースを示す側面図である。
【図4】ミッションケースの展開図である。
【図5】植付動力伝動系を示す展開図である。
【図6】株間変速機構及び不等速変換機構を示す展開図である。
【図7】第二株間変速機構の操作系を示す展開図である。
【図8】植付作業部の伝動構造を示す展開図である。
【図9】植付作業部の伝動構造を示す要部展開図である。
【図10】(A)〜(C)は、植付用不等速変換機構及び横送り用不等速変換機構の作用説明図である。
【図11】水平制御機構の側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 走行機体
3 ミッションケース
11 植付作業部
13 苗載台
15 植付機構
38 植付用不等速変換機構
50 横送り機構
53 横送りケース
58 横送り用不等速変換機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗を載置する苗載台と、該苗載台から苗を掻取って圃場に移植する植付機構と、前記苗載台を横送りする横送り機構と、前記植付機構に動力を伝動する植付動力伝動経路と、該植付動力伝動経路に設けられ、前記植付機構の動作速度に変化を生じさせる植付用不等速変換機構と、該植付用不等速変換機構よりも下流側で前記植付動力伝動経路から分岐され、前記横送り機構に動力を伝動する横送り動力伝動経路とを備える移植機において、前記横送り動力伝動経路に、前記植付用不等速変換機構による動作速度変化を打ち消す横送り用不等速変換機構を設けたことを特徴とする移植機。
【請求項2】
前記植付用不等速変換機構は、前記植付機構の苗掻取り速度が速くなるように植付動力を不等速変換し、前記横送り用不等速変換機構は、前記植付機構が苗を掻取るとき、前記苗載台の横送り動作速度が遅くなるように横送り動力を不等速変換することを特徴とする請求項1記載の移植機。
【請求項1】
苗を載置する苗載台と、該苗載台から苗を掻取って圃場に移植する植付機構と、前記苗載台を横送りする横送り機構と、前記植付機構に動力を伝動する植付動力伝動経路と、該植付動力伝動経路に設けられ、前記植付機構の動作速度に変化を生じさせる植付用不等速変換機構と、該植付用不等速変換機構よりも下流側で前記植付動力伝動経路から分岐され、前記横送り機構に動力を伝動する横送り動力伝動経路とを備える移植機において、前記横送り動力伝動経路に、前記植付用不等速変換機構による動作速度変化を打ち消す横送り用不等速変換機構を設けたことを特徴とする移植機。
【請求項2】
前記植付用不等速変換機構は、前記植付機構の苗掻取り速度が速くなるように植付動力を不等速変換し、前記横送り用不等速変換機構は、前記植付機構が苗を掻取るとき、前記苗載台の横送り動作速度が遅くなるように横送り動力を不等速変換することを特徴とする請求項1記載の移植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−14650(P2006−14650A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195283(P2004−195283)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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