説明

移載装置の物品運搬箱の把持治具

【課題】狭いスペースでも物品運搬箱を把持することができるとともに移動手段によって複数の物品運搬箱を同時に持上げることができる移載装置の物品運搬箱の把持治具を提供する。
【解決手段】複数個段積みされた状態の物品運搬箱10の側壁部14の外方位置に配置されるL字状形状の支持体部材32と、外向きフランジ18の下面から物品運搬箱10を支持する複数の支持爪部材38と、移動手段Hに吊り下げた状態に連結する吊り下げ保持部材46と、支持体部材32と吊り下げ保持部材46とを連結するフレーム部材52と、物品運搬箱10の開口部16の隅部を内面側からクランプする落下防止クランプ54とを備えており、支持爪部材38を最下段に位置する物品運搬箱10dの外向きフランジ18に対して適用し、落下防止クランプ54を最上段に位置する物品運搬箱10aに対して適用した移載装置の物品運搬箱の把持治具30。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は移載装置の物品運搬箱の把持治具に関する。詳しくは、物品を入れた載置状態で上方が開口した状態の4角形の箱形状で形成され、該箱形状を形成する側壁部の上端には外方に張り出す外向きフランジを備え、前記上方の開口部を塞ぐ格好で順次段積み可能な形態として形成された合成樹脂製の物品運搬箱を、単体又は複数個段積みされた状態で把持治具により把持して、該把持治具により把持された物品運搬箱を吊り下げた状態として移動手段により移載する移載装置の物品運搬箱の把持治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の製造現場や部品組立工場では、部品等を物品運搬箱に収容して運搬されている。この物品運搬箱は、物品を入れた載置状態で上方が開口した状態の4角形の箱形状で形成され、箱形状を形成する側壁部の上端には外方に張り出す外向きフランジを備え、上方の開口部を塞ぐ格好で順次段積み可能な形態として形成された合成樹脂製の箱である。
【0003】
この物品運搬箱による運搬時においては、パレット(物品を荷役・輸送・保管するために単位数量にまとめて載せる面とフォークリフトのフォークなどの差込口を有する荷役台)上に、物品運搬箱が複数段に段積みされたものが複数隣接して隙間なく並べられた状態で載置される。運搬されパレット単位で積み降ろされた後は、生産に伴う工程、手順、必要数量、必要時期等に応じて所要単位にまとめる仕分け作業が行なわれる。
【0004】
従来、この仕分け作業は作業者が物品運搬箱に形成された外向きフランジを手で掴み、持上げて仕分けを行なっていた。一つ一つ物品運搬箱を手作業で仕分けるのは、重筋作業であり作業者の負担が大きかった。また、手作業のため作業時間が多くかかり作業能率がよくなかった。この作業者の負担軽減及び作業能率向上を図るために、図15に図示されるような把持治具330によって物品運搬箱310を把持するとともに、吊り下げた状態にして移動手段Hにより移載する移載装置が利用されてきた。この把持治具330は、移動手段Hの下端に連結構成されており、物品運搬箱310の側壁部上端で外方に張り出した外向きフランジを挟み込むように係合する一対のフック332を備えたものである。この物品運搬箱310を把持治具330により把持して移動手段Hにより移載することによって、作業者の負担軽減及び作業能率向上を図っていた。
【0005】
ところが、従来の把持治具330は、一対のフック332を物品運搬箱310の両側から係合して持上げる構成であるため、物品運搬箱310の両側にフック332を係合、離脱させるスペースが必要である。しかし、図16に図示されるように、パレット上に載置された物品運搬箱310は隙間なく並べられた状態で載置されている。そのため、この隙間なく並べられた状態の物品運搬箱310をずらす等の移動作業をしてフック332を係合、離脱させるスペースを作る必要があった。
【0006】
ここで、上記問題点を解決するために特許文献1に示された技術が開示されている。この特許文献1の把持治具においては、物品運搬箱の側壁部のうち一面のみをつかむ構成である。すなわち、物品運搬箱には側壁部上端で外方に張り出した外向きフランジが構成されており、この側壁部のうち一面の外向きフランジを上方からつかんで持上げるという構成である。また、この把持治具は片側の側壁部一面をつかむ構成であるので重量重心を調整するための重りが構成されている。この把持治具によれば、隙間なく並べられた状態の物品運搬箱でも、「ずらす」等の移動作業をしてフックを係合、離脱させるスペースを作る必要がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−133662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1の把持治具は、以下のような問題があった。一つ目に、作業能率の面で改善余地があった。すなわち、一つずつ物品運搬箱をつかんで持上げる構成であり、複数の物品運搬箱は同時に持上げることができない。二つ目に、コスト面において懸念があった。すなわち、物品運搬箱の外向きフランジを上方からつかんで持上げるという構成は多くの部品で構成されており部品点数が多い。また、構造も複雑であるため製造コストがかかる。三つ目に、物品運搬箱が破損するおそれがあるといった構造上の懸念があった。すなわち、物品運搬箱の片側の側壁部一面のみをつかむ構成であるため、この把持治具によってつかまれた外向きフランジの部分に物品運搬箱内の部品等の内容物の重量が集中的にかかり負荷がおおきくなって、外向きフランジが破損するおそれがある。また、内容物の重量によって物品運搬箱が撓むといった懸念もあり、かかる重量が大きい場合には顕著となる。四つ目に、把持治具自体の重量が重くなるという重量面の懸念があった。すなわち、重量重心を調整するための重りが構成されているため、把持治具自体の重量が重くなり物品運搬箱に収容する内容物の重量に制限がかかってしまうというものである。五つ目に、この把持治具の装着性に懸念があった。すなわち、把持治具が物品運搬箱の外向きフランジを上方からつかんで持上げる際、掴み場所がずれて開口部に落ち込みやすいというものである。
【0009】
そこで、本発明者は、上記把持治具において、狭いスペースでも物品運搬箱を把持することができるとともに、移動手段によって複数の物品運搬箱を同時に持上げることができ、物品運搬箱に収容される内容物の重量の負担がかかりにくい把持の構造について鋭意検討した。その結果、物品運搬箱の側壁部上端で外方に張り出した外向きフランジの構造に着目した。また、この物品運搬箱は上方の開口部を塞ぐ格好で順次段積み可能な形態であることから、この複数段に段積みされた物品運搬箱のうち最下段の物品運搬箱に着目した。
すなわち、物品運搬箱の側壁部上端で外方に張り出した外向きフランジを側面から把持する構成であれば、狭いスペースでも物品運搬箱を把持することができる。また、複数段に段積みされた物品運搬箱の最下段の物品運搬箱を把持して持上げることができれば、上方に段積みされた複数の物品運搬箱も同時に持上げることができる。
【0010】
而して、本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、狭いスペースでも物品運搬箱を把持することができるとともに、移動手段によって複数の物品運搬箱を同時に持上げることができる移載装置の物品運搬箱の把持治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の移載装置の物品運搬箱の把持治具は次の手段をとる。
先ず、第1の発明に係る移載装置は、物品を入れた載置状態で上方が開口した状態の4角形の箱形状で形成され、該箱形状を形成する側壁部の上端には外方に張り出す外向きフランジを備え、前記上方の開口部を塞ぐ格好で順次段積み可能な形態として形成された合成樹脂製の物品運搬箱を、単体又は複数個段積みされた状態で把持治具により把持して、該把持治具により把持された物品運搬箱を吊り下げた状態として移動手段により移載する移載装置の物品運搬箱の把持治具であって、前記物品運搬箱を形成する箱形状の隣接した二つの側壁部の配置構成に対応してその外方位置に配置されるL字状形状の支持体部材と、前記支持体部材に取り付けられ、該支持体部材から前記側壁部の上端に備えられる外向きフランジに向けて突設して形成され該外向きフランジの下面から前記物品運搬箱を支持する複数の支持爪部材と、前記物品運搬箱の開口部の上方位置に配設されて該物品運搬箱を前記移動手段に吊り下げた状態に連結する吊り下げ保持部材と、前記支持体部材と前記吊り下げ保持部材とを一体的状態として連結するフレーム部材と、前記吊り下げ保持部材又はフレーム部材に備えられ、前記物品運搬箱の開口部の隅部のうち、前記L字状形状の支持体部材が配置される二つの側壁部に挟まれた隅部を内面側からクランプして前記物品運搬箱の落下を防止する落下防止クランプと、を備えており、該把持治具の支持爪部材を最下段に位置する物品運搬箱の外向きフランジに対して適用し、落下防止クランプを最上段に位置する物品運搬箱に対して適用して物品運搬箱を移載することを特徴とする。
【0012】
この第1の発明によれば、物品運搬箱を支持する支持爪部材は、物品運搬箱を形成する箱形状の隣接した二つの側壁部の配置構成に対応してその外方位置に配置されるL字状形状の支持体部材に取り付けられている。この支持体部材から側壁部の上端に備えられる外向きフランジに向けて突設して形成され外向きフランジの下面から物品運搬箱を支持する構成である。そのため、狭いスペースでも物品運搬箱を把持することができるとともに、移動手段によって複数の物品運搬箱を同時に持上げることができる。
また、このL字状形状の支持体部材は、二つの側壁部の配置構成に対応してその外方位置に配置される構成であり、物品運搬箱の二つの側壁部を支持する構成であるため、物品運搬箱内の部品等の内容物の重量が物品運搬箱の一箇所に集中的に負荷がかかることがなく、物品運搬箱が破損することを抑制することができる。
【0013】
次に、第2の発明は、上述した第1の発明において、前記吊り下げ保持部材に対する前記移動手段からの連結位置は前記物品運搬箱の箱形状の開口部の上方側から平面視で見た状態で、前記複数段に段積みされた物品運搬箱の重心位置を挟んで前記落下防止クランプの位置とは反対方向に前記重心位置から離れた位置に構成されることを特徴とする。
【0014】
この第2の発明によれば、吊り下げ保持部材に対する移動手段からの連結位置は、物品運搬箱の箱形状の開口部の上方側から平面視で見た状態で、複数段に段積みされた物品運搬箱の重心位置を挟んで落下防止クランプの位置とは反対方向に重心位置から離れた位置に構成される。そのため、物品運搬箱が移動手段によって持上げられたとき、物品運搬箱は、物品運搬箱の重心が落下防止クランプの位置側にかかるため、落下防止クランプの位置とは反対方向の連結位置側には倒れない構成となっている。そのため、物品運搬箱は、持上げたときも把持治具からの支持が外れない。また重量重心を調整する重りを必要とせず把持治具自体が重くならない。そのため、把持治具自体が重くなることによって物品運搬箱に収容する内容物の重量に制限がかかることはない。
【0015】
次に、第3の発明は、上述した第1の発明又は第2の発明において、前記物品運搬箱の側壁部の外面には補強リブが形成されており、前記支持爪部材は、前記物品運搬箱の補強リブに隣接して配置されていることを特徴とする。
【0016】
この第3の発明によれば、支持爪部材は、物品運搬箱の補強リブに隣接して配置されているため物品運搬箱の剛性が高い位置で支持する。このため、把持治具によって物品運搬箱が持上げられたときにかかる物品運搬箱の撓みを抑制することができる。
【0017】
次に、第4の発明は、上述した第1の発明から第3の発明のいずれかにおいて、前記物品運搬箱は前記側壁部に四方の角部における外面から外方に向かって突出する角部補強リブを備えており、前記支持爪部材の配置構成として、前記角部補強リブを挟み込む配置構成を含むことを特徴とする。
【0018】
この第4の発明によれば、支持爪部材は、角部補強リブを挟み込む配置構成である。よって、支持爪部材は角部補強リブを挟み込むように位置を合わせることによって、物品運搬箱に対する把持治具の位置決めができ容易に装着することができる。すなわち、把持治具の装着性の向上が図れる。
【0019】
次に、第5の発明は、上述した第1の発明から第4の発明のいずれかにおいて、前記物品運搬箱の外向きフランジは、側壁部上端で外方に張り出すと共に外方端部が下方に折り返された折返し片が形成されている構成であり、前記支持爪部材は、前記折返し片と、前記側壁部との間に嵌合する嵌合部が構成されていることを特徴とする。
【0020】
この第5の発明によれば、物品運搬箱の外向きフランジは、側壁部上端で外方に張り出すと共に外方端部が下方に折り返された折返し片が形成されている構成である。これに対応して支持爪部材は、この折り返し片と側壁部との間に嵌合する嵌合部が構成されている。そのため、把持治具が物品運搬箱を持上げているときは、支持爪部材の嵌合部が外向きフランジに嵌合した状態となるため物品運搬箱の脱落を防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は上記各発明の手段をとることにより、狭いスペースでも物品運搬箱を把持することができるとともに、移動手段によって複数の物品運搬箱を同時に持上げることができる移載装置の物品運搬箱の把持治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施例1に係る物品運搬箱の概略的に示した全体斜視図である。
【図2】本実施例1に係る移載装置の物品運搬箱の把持治具の全体構成を示した全体斜視図である。
【図3】本実施例1に係る移載装置の物品運搬箱の把持治具を示した平面図である。
【図4】図2のIV−IV線断面図である。
【図5】図4のVの位置の部分拡大図である。
【図6】図4のVIの位置の部分拡大図である。
【図7】図4のVIIの位置の部分拡大図である。
【図8】図4のVIII−VIII線断面図である。
【図9】図4のIX−IX線断面図である。
【図10】本実施例1に係る移載装置の物品運搬箱の把持治具の落下防止クランプの装着の詳細を示した部分拡大斜視図である。
【図11】本実施例2に係る移載装置の物品運搬箱の把持治具の全体構成を示した全体斜視図である。
【図12】本実施例2に係る移載装置の物品運搬箱の把持治具を示した平面図である。
【図13】図11のXIII−XIII線断面図である。
【図14】本実施例2に係る移載装置の物品運搬箱の把持治具の落下防止クランプの装着の詳細を示した部分拡大斜視図である。
【図15】従来の移載装置の物品運搬箱の把持治具を概略的に示した全体斜視図である。
【図16】従来の移載装置の物品運搬箱の把持治具の使用例を示した全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明を実施するための形態の実施例について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0024】
この発明の実施例1に係る移載装置の物品運搬箱の把持治具を図1から図10にしたがって説明する。
【0025】
先ず物品運搬箱10について説明する。
図1に図示されるように、この物品運搬箱10は、部品等の物品を入れて運搬するために構成されるものである。この物品運搬箱10は、合成樹脂製のものであり物品を入れた載置状態で上方が開口した状態の4角形の箱形状で形成されている。詳しくは、この物品運搬箱10は、平面方形状に形成される底板部12と、この底板部12の四辺の各辺から上方に向かって立設されて箱形状を形成する側壁部14と、上面がこの側壁部14に囲まれて形成される開口部16を構成している。また、側壁部14の上端には外方に張り出す外向きフランジ18を備える。また、この外向きフランジ18は側壁部14の上端で外方に張り出すと共に外方端部が下方に折り返された折返し片18aが形成された部位を有している。この折返し片18aは、物品運搬箱10の外向きフランジ18の剛性を高めると共に作業者が手で掴みやすくするためのものである。
側壁部14の外面には外方に向かって突出する補強リブ20が側壁部14の上下方向にわたって垂直上に形成されている。また、側壁部14の四方の角部における外面には外方に向かって突出する角部補強リブ22が側壁部14の角部の上下方向にわたって垂直上に形成されている。また、この物品運搬箱10は、一方の物品運搬箱10の上方の開口部16を他方の物品運搬箱10の底板部12が塞ぐ格好で順次段積み可能な形態として形成されている。ここで本実施例1においては、物品運搬箱10が複数個段積みされた状態として最大4段に段積みされた物品運搬箱10を把持することのできる把持治具30について説明する。なお図2に図示されるように、4段に段積みされた物品運搬箱10は最上段から順次下に向かって10a、10b、10c、10dとして図示する。
【0026】
把持治具30について説明する。
図2に図示されるように、この把持治具30は、複数段に段積みされた物品運搬箱10を一度に把持するために構成されるものである。詳しくは、把持治具30は、複数段に段積みされた物品運搬箱10の最下段の物品運搬箱10dの側壁部14の上端で外方に張り出した外向きフランジ18を側面から支持する構成と、複数段に段積みされた物品運搬箱10の最上段に位置する物品運搬箱10aの落下を防止する構成と、物品運搬箱10aの開口部16の上方位置に配設されて物品運搬箱10を移動手段Hに吊り下げた状態に連結する構成とを備えている。そして、この把持治具30は、4段に段積みされた物品運搬箱10aから10dを一度に把持して移動手段Hにより移載する移載装置として活用される。ここで、移動手段Hとは、クレーン、ホイスト装置等の昇降補助装置によって物品運搬箱10を所望の位置に移動させるものである。この把持治具30は、概略、支持体部材32、支持爪部材38、吊り下げ保持部材46、フレーム部材52、落下防止クランプ54から構成されている。この各構成について以下に説明する。
【0027】
支持体部材32について説明する。
図2に図示されるように、この支持体部材32は、後述する支持爪部材38が取り付けられる部材であり、複数段に段積みされた物品運搬箱10の最下段の物品運搬箱10dの側壁部14の上端で外方に張り出した外向きフランジ18を側面から支持するものである。この支持体部材32は、金属製の押出成形による角型の棒状部材32aから構成されており、各面は軸方向の全長にわたって溝部34が構成されている。本実施例1においては、アルミ合金の押出成形による四角柱状の棒状部材32aが選択されている。図8及び図9に図示されるように、この棒状部材32aを断面方向で見た形状は、各辺の中間位置から中心方向に向かって所定の幅を有して溝部34が形成され、中間位置は更に幅広の四角溝部36が形成されて、断面が略X字形状に形成されている。図2に図示されるように、この棒状部材32aの端部が剛結合されてL字状形状に構成されている。この支持体部材32は、物品運搬箱10dを形成する箱形状の隣接した二つの側壁部14の配置構成に対応してその外方位置に配置される構成となっている。
なお、剛結合の構成は、溶接による結合でもよいし、金属製の板状部材から構成されたブラケットを介してボルトとナット、螺子部材等の締結部材によって連結結合する構成であってもよい。また、支持体部材32に構成される棒状部材32aは、金属製の押出成形による角型の棒状部材から構成されていればよく、材質はアルミ合金に限られず各種の金属製品を適用できる。軽量化の観点から考慮するとアルミ合金材を選択するのが望ましい。また、四角柱状に限定されず角型であればよく多角形の角型部材も適用できる。
【0028】
支持爪部材38について説明する。
図2に図示されるように、この支持爪部材38は、支持体部材32に取り付けられるものであり、支持体部材32から物品運搬箱10dの側壁部14の上端に備えられる外向きフランジ18に向かって突設して構成されて、この外向きフランジ18の下面から物品運搬箱10dを支持する働きをなすものである。この支持爪部材38は、支持体部材32に複数個が構成されて物品運搬箱10dを支持する構成とされている。本実施例1においては、L字状形状に形成された支持体部材32の一辺につき3つの支持爪部材38が構成されている。図4に図示されるように、この支持爪部材38は、支持体部材32のL字状形状の角部から棒状部材32aの端部にむかって順次、38a、38b、38cとして図示する。なお、支持爪部材38は、3つに限られない。すなわち、物品運搬箱10の形状に即して複数の構成であればよく、例えば、物品運搬箱10の各辺の長さが異なる場合には、各辺に構成される支持爪部材38の数は異なっていてもよい。
【0029】
図5から図9に図示されるように、この支持爪部材38は、金属製の板状部材によって形成されるプレート部材40と、このプレート部材40を上記した支持体部材32の棒状部材32aの上面の所望位置に固定するクランプレバー42と、物品運搬箱10の外向きフランジ18に嵌合する合成樹脂製の嵌合部44から構成されている。
このプレート部材40は、角が切り落とされて台形状に形成されて物品運搬箱10の外向きフランジ18を支持する支持部位40bと、四角状に形成されて支持体部材32に連結される連結部位40aと、が一体に形成されている。図8及び図9によく示されているように、プレート部材40の連結部位40aには後述するクランプレバー42の螺子軸部42aが挿通される貫通孔40cが形成されている。クランプレバー42は、先端に螺子溝が形成された螺子軸部42aと、この螺子軸部42aの径方向に突き出し状に形成されて締結操作の操作力を及ぼすことのできる操作部位42bと、螺子軸部42aに螺合可能と共に上記した支持体部材32の棒状部材32aに形成された溝部34のうち四角溝部36に差込み可能な四角ナット42cから構成されている。図9に図示されるように、嵌合部44は、物品運搬箱10の外向きフランジ18に形成された折返し片18aと、物品運搬箱10の側壁部14との間に嵌合可能な構成であり、プレート部材40の支持部位40bの上面において、上方に突出するように結合されている。図8及び図9に図示されるように、この嵌合部44は、折返し片18aと側壁部14との間に嵌合可能な構成であると共に、折返し片18aが構成されていない外向きフランジ18の場合でも外向きフランジ18の下方側から支持可能な平面部44aを有している。また、この嵌合部44は、物品運搬箱と直接当接する部位であり保護の観点から合成樹脂製で構成されている。物品運搬箱の保護する上で問題がなければ金属製であってもよい。なおプレート部材40と嵌合部44の結合構成は、ボルトとナット、螺子部材等の締結部材による結合いずれも適用できるものである。また、嵌合部44が金属製で構成されている場合には、溶接による結合であってもよい。
【0030】
支持体部材32に対する支持爪部材38の取り付けは以下のとおりである。
図8及び図9に図示されるように、支持体部材32の棒状部材32aに形成された溝部34のうち四角溝部36にクランプレバー42に構成される四角ナット42cを差し込む。そして、支持体部材32の棒状部材32aの上面でかつ、四角ナット42cが差し込まれた位置にプレート部材40の連結部位40aを載置する。このプレート部材40の載置する向きは、物品運搬箱10の側壁部14に向かう内方側に支持部位40bが突設するように連結部位40aを棒状部材32aの上面に載置する。そして、プレート部材40の連結部位40aに形成された貫通孔40cにクランプレバー42の螺子軸部42aを挿通すると共に棒状部材32aの溝部34に挿入する。このとき、クランプレバー42の螺子軸部42aと棒状部材32aの四角溝部36に差し込まれた四角ナット42cとを螺合する。以上より、クランプレバー42の操作部位42bに締結操作力を及ぼすと、プレート部材40と棒状部材32aがクランプレバー42によって挟み込まれた状態で締結固定される。また、クランプレバー42の締結を解除した状態にすればプレート部材40は棒状部材32aの軸方向においてスライド移動可能となる。こうして支持爪部材38は棒状部材32aの軸方向において所望位置にスライド移動させて締結固定可能な構成とされている。
【0031】
支持体部材32に対する支持爪部材38の配置について説明する。
図5に図示されるように、物品運搬箱10dの側壁部14の四方の角部における外面には外方に向かって突出する角部補強リブ22が形成されている。この角部補強リブ22は側壁部14の角部の外面の上下方向にわたって垂直上に形成されている(図1参照)。L字状形状に形成された支持体部材32の隅部に配置される支持爪部材38aは、この角部補強リブ22を挟み込んだ配置構成で隣接して配置されており、角部補強リブ22が差し込まれるスリットSが形成されている。
図6に図示されるように、物品運搬箱10の側壁部14の外面には外方に向かって突出する補強リブ20が形成されている。この補強リブ20は側壁部14の外面の上下方向にわたって垂直上に形成されている(図1参照)。この支持爪部材38のうち、物品運搬箱10の補強リブ20の形成位置に対応する支持爪部材38cは、この補強リブ20に隣接して配置される構成となっている。
【0032】
この支持爪部材38の支持部位40bについての詳細について説明する。
図5から図7に図示されるように、この支持爪部材38は、支持体部材32から物品運搬箱10dの側壁部14の上端に備えられる外向きフランジ18に向かって突設して形成される構成である。そして、この支持爪部材38の支持部位40bは、角が切り落とされて台形状に形成されている。ここで、この台形状を形成している斜辺のうち、L字状形状に形成された支持体部材32の隅部側に配置される斜辺40dは、把持治具30が物品運搬箱10dを把持する際に進入する把持治具進入方向Kと平行して形成されている。換言すれば、上記した補強リブ20に係合する際にこの補強リブ20と干渉しないように、かつ補強リブ20に隣接するように形成されている。なお、支持爪部材38の支持部位40bの形状は台形形状に限られず、補強リブ20と干渉しない構成であれば、種々の形状を適用できる。
【0033】
吊り下げ保持部材46について説明する。
図2及び図3に図示されるように、この吊り下げ保持部材46は物品運搬箱10aの開口部16の上方位置に配設されて物品運搬箱10を移動手段Hに吊り下げた状態に連結するものである。この吊り下げ保持部材46は、金属製の押出成形による角型の棒状部材が剛結合されて三角形状に形成されている。詳しくは、この吊り下げ保持部材46は、支持体部材32のL字状形状に対応して同一形状のL字状部位48と、このL字状部位48の両端を結んだ底辺部位50とからなる。この底辺部位50の位置には、移動手段Hが連結される部位として金属状の板状部材で構成された連結プレート51が剛結合されている。この連結プレート51の位置、すなわち吊り下げ保持部材46に対する移動手段Hからの連結位置は、物品運搬箱10の箱形状の開口部16の上方側から平面視で見た状態で、複数段に段積みされた物品運搬箱10の重心位置Gを挟んで後述する落下防止クランプ54の位置(L字状部位48の角部)とは反対方向に重心位置Gから離れた位置に設定される。なお、吊り下げ保持部材46の棒状部材の剛結合及び連結プレート51の剛結合の構成は、支持体部材32と同様に、溶接による結合でもよいし、金属製の板状部材から構成されたブラケットを介してボルトとナット、螺子部材等の締結部材によって連結結合する構成であってもよい。
【0034】
フレーム部材52について説明する。
図2に図示されるように、このフレーム部材52は、支持体部材32と吊り下げ保持部材46とを一体的状態として連結するために構成されているものである。
詳しくは、このフレーム部材52は支持体部材32で構成された棒状部材32aと同様に、金属製の押出成形による角型の棒状部材から構成されている。このフレーム部材52は、同一長さのフレーム部材52が3本で構成されており、上方側に配設される吊り下げ保持部材46のL字状部位48の両辺及び角部の三点の位置と、下方側に配設される支持体部材32のL字状部位の両辺及び角部の三点の位置とを対応させて一体的状態として剛結合されている。
支持体部材32と吊り下げ保持部材46と連結するフレーム部材52の長さは、物品運搬箱10の形状に伴って設定される。すなわち、複数段に段積みされた物品運搬箱10を把持することに対応して最下段の物品運搬箱10dの外向きフランジ18の下面の位置と、最上段の物品運搬箱10aの外向きフランジ18の上面の位置との長さを許容する長さで構成されている。なお、支持体部材32と吊り下げ保持部材46とフレーム部材52の剛結合の構成は、支持体部材32と同様に、溶接による結合でもよいし、金属製の板状部材から構成されたブラケットを介してボルトとナット、螺子部材等の締結部材によって連結結合する構成であってもよい。
【0035】
落下防止クランプ54について説明する。
図2に図示されるように、この落下防止クランプ54は、複数段に段積みされた物品運搬箱10の最上段に位置する物品運搬箱10aに対して適用するものである。この落下防止クランプ54は、複数段に段積みされた物品運搬箱10の最上段に位置する物品運搬箱10aの開口部16の隅部のうち、L字状形状の支持体部材32が配置される二つの側壁部14に挟まれた隅部を内面側からクランプして物品運搬箱10の落下を防止するものである。
【0036】
図10に図示されるように、この落下防止クランプ54は、フレーム部材52に上下方向にスライド移動可能な構成とされており、物品運搬箱10aの開口部16の隅部までスライド移動して内面側をクランプするクランプ状態と、物品運搬箱10aの開口部16の隅部から上方側にスライド移動してクランプ状態を解除するクランプ解除状態に切替できる構成となっている。この落下防止クランプ54は、金属製の板状部材によって形成されるプレート部材56と、このプレート部材56を上記したフレーム部材52の溝部が形成された側面に連結されてフレーム部材52の上下方向において所望位置に固定するクランプレバー42と、物品運搬箱10aの開口部16の隅部の内面側からクランプするクランプ部位58から構成される。なお、クランプレバー42は、支持爪部材38に構成されたクランプレバーと同様の構成であるため説明を省略する。
【0037】
プレート部材56は、金属製の板状部材によって、フレーム部材52の溝部53が形成された側面に連結される連結部位56aと、フレーム部材52の連結部位から物品運搬箱10aの開口部16の隅部の内面側までクランプ部位58を架け渡すための延出部位56bとが一体に形成されている。プレート部材56の連結部位56aには、クランプレバー42の螺子軸部が挿通される貫通孔(図示省略)が形成されている。クランプ部位58は、合成樹脂製の板状部材によって、物品運搬箱10aの開口部16の隅部の内面側における内面形状に沿った形状に形成された当接部材58aと、この当接部材58aの上方側に配置されて当接部材58aが物品運搬箱10aの開口部16の隅部の内面側に当接するときに物品運搬箱10aの外向きフランジ18の上面に当接する合成樹脂製のストッパー部材58bとが構成されており両部材は、重ね合わされて結合されている。
なお、本実施例1においては、クランプ部位58の当接部材58a及びストッパー部材58bはいずれも、物品運搬箱と直接当接する部位であり保護の観点から合成樹脂製で構成されている。しかしながら、これに限定されるものではなく、当接部材58a及びストッパー部材58bは、物品運搬箱の保護する上で問題がなければ金属製であってもよいし、いずれか一方が合成樹脂で形成されて、他方が金属製の組み合わせであってもよい。なお当接部材58a及びストッパー部材58bの結合構成は、ボルトとナット、螺子部材等の締結部材による結合を適用できるものである。また、当接部材58a及びストッパー部材58bの両方が金属製で構成されている場合には、溶接による結合であってもよい。また、同一材料である場合には、当接部材58a及びストッパー部材58bは一体の構成であってもよい。
【0038】
上記構成からなる本実施例1における移載装置の物品運搬箱10の把持治具30の作動は次の通りである。
図2に図示されているように、物品運搬箱10a、10b、10c、10dが、4段に段積みされている。図10に図示されるように、先ず把持治具30に構成される落下防止クランプ54のクランプレバー42の締結固定を解除してフレーム部材52の軸方向において上方一杯までスライド移動させることにより落下防止クランプ54を物品運搬箱10aと干渉しない位置まで退避させる。
【0039】
次に、図5から図7に図示されるように、把持治具30に構成される支持体部材32に取り付けられた支持爪部材38のうち支持爪部材38aによって構成されるスリットSと物品運搬箱10dの角部補強リブ22とを同一位置に合わせる。そうすると、支持爪部材38b、支持爪部材38cも併せて物品運搬箱10dの所定の支持位置となる。
次に、支持爪部材38aのスリットSに角部補強リブ22を差し込むように把持治具30を進入させる。そして、物品運搬箱10dの外向きフランジ18の下面側から支持するように係合させる。このとき、支持爪部材38bに位置する物品運搬箱10dの外向きフランジ18には折返し片18aが構成されており、支持爪部材38bの嵌合部44が物品運搬箱10dの側壁部14と折返し片18aの間に嵌合する。
【0040】
次に、落下防止クランプ54を物品運搬箱10aと干渉しない退避位置からクランプレバー42を締結固定を解除してフレーム部材52の軸方向において物品運搬箱10aの外向きフランジ18までスライド移動させる。そうすると、落下防止クランプ54に構成されるクランプ部位58の当接部材58aが物品運搬箱10aの開口部16の隅部の内面側に当接すると共に、ストッパー部材58bが物品運搬箱10aの外向きフランジ18の上面に当接する。こうして、落下防止クランプ54によってクランプされて物品運搬箱10は把持治具30によって把持された状態となる。この状態で、物品運搬箱10は移動手段Hによって上方に持上げられて、吊り下げた状態で所望の位置に移動する。
【0041】
このような構成の移載装置の物品運搬箱10の把持治具30によれば、物品運搬箱10を支持する支持爪部材38は、物品運搬箱10を形成する箱形状の隣接した二つの側壁部14の配置構成に対応してその外方位置に配置されるL字状形状の支持体部材32に取り付けられている。この支持体部材32から側壁部14の上端に備えられる外向きフランジ18に向けて突設して形成され外向きフランジ18の下面から物品運搬箱10を支持する構成である。そのため、狭いスペースでも物品運搬箱10を把持することができるとともに、移動手段Hによって複数の物品運搬箱10を同時に持上げることができる。
また、このL字状形状の支持体部材32は、二つの側壁部14の配置構成に対応してその外方位置に配置される構成であり、物品運搬箱10の二つの側壁部14を支持する構成であるため、物品運搬箱10内の部品等の内容物の重量が物品運搬箱10の一箇所に集中的に負荷がかかることがなく、物品運搬箱10が破損することを抑制することができる。
【0042】
また、吊り下げ保持部材46に対する移動手段Hからの連結位置は、物品運搬箱10の箱形状の開口部16の上方側から平面視で見た状態で、複数段に段積みされた物品運搬箱10の重心位置Gを挟んで落下防止クランプ54の位置とは反対方向に重心位置Gから離れた位置に構成される。そのため、物品運搬箱10が移動手段Hによって持上げられたとき、物品運搬箱10は、物品運搬箱10の重心が落下防止クランプ54の位置側にかかるため、落下防止クランプ54の位置とは反対方向の連結位置側には倒れない構成となっている。そのため、物品運搬箱10は、持上げたときも把持治具30からの支持が外れない。また重量重心を調整する重りを必要とせず把持治具30自体が重くならない。そのため、把持治具30自体が重くなることによって物品運搬箱10に収容する内容物の重量に制限がかかることはない。
【0043】
また、支持爪部材38は、物品運搬箱10の補強リブ20に隣接して配置されているため物品運搬箱10の剛性が高い位置で支持する。このため、把持治具30によって物品運搬箱10が持上げられたときにかかる物品運搬箱10の撓みを抑制することができる。
【0044】
また、支持爪部材38aは、角部補強リブ22を挟み込む配置構成である。よって、支持爪部材38aは角部補強リブ22を挟み込むように位置を合わせることによって、物品運搬箱10に対する把持治具30の位置決めができ容易に装着することができる。すなわち、把持治具30の装着性の向上が図れる。
【0045】
また、物品運搬箱10の外向きフランジ18は、側壁部14上端で外方に張り出すと共に外方端部が下方に折り返された折返し片18aが形成されている構成である。これに対応して支持爪部材38は、この折り返し片と側壁部14との間に嵌合する嵌合部44が構成されている。そのため、把持治具30が物品運搬箱10を持上げているときは、支持爪部材38の嵌合部44が外向きフランジ18に嵌合した状態となるため物品運搬箱10の脱落を防止することができる。
【0046】
支持爪部材38が支持体部材32の棒状部材32aの軸方向においてスライド移動可能な構成である。そのため、補強リブ20の位置の異なる物品運搬箱10であっても適宜、支持爪部材38の位置を調整することができる。
また、落下防止クランプ54はフレーム部材52の軸方向においてスライド移動可能な構成である。そのため、側壁部の高さが異なる物品運搬箱10であっても適宜、落下防止クランプ54の位置を調整することができる。また、実施例1においては、物品運搬箱10が4段に段積みされたものを把持する構成であったが、これより少ない数が段積みされた場合でも落下防止クランプ54の位置を調整すれば把持することができる。以上より、物品運搬箱10の形状、数に適宜対応できる構成である。
【実施例2】
【0047】
次に、この発明の実施例2に係る移載装置の物品運搬箱の把持治具130を図11から図14にしたがって説明する。なお、上記実施例1と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略することがある。
実施例1に係る移載装置の物品運搬箱の把持治具30は、支持爪部材38が支持体部材32の棒状部材32aの軸方向においてスライド移動可能な構成であった。また、落下防止クランプ54はフレーム部材52の軸方向においてスライド移動可能な構成であった。
図11から図14に図示されるように、実施例2に係る移載装置の物品運搬箱の把持治具130は、物品運搬箱10の形状が予め決まった形状であって、一度に把持する物品運搬箱10の数が決められている場合に、かかる物品運搬箱10の専用把持治具としてさらなる簡素化を図ったものである。
すなわち、支持爪部材138の固定は、クランプレバー42による締結固定ではなく剛結合した構成である。支持爪部材138がスライド移動しないことに伴い、支持体部材132は金属製の中空パイプによって構成されている。また、落下防止クランプ154は、公知のクランプ部材が吊り下げ保持部材46にブラケットを介して剛結合した構成である。これに伴い、フレーム部材152は金属製の中空パイプによって構成されている。
【0048】
以上より、本実施例2の移載装置の物品運搬箱の把持治具130は、実施例1と同一の機能を果たし、同一の作用、効果を得ることができると共に、次のような作用、効果を得ることができる。すなわち、この把持治具130の支持爪部材138、落下防止クランプ154はスライド移動しない構成であるため支持体部材132、フレーム部材152は、金属製の中空パイプ等を適用できる。また、支持爪部材138、落下防止クランプ154はクランプレバー42の構成が不要となる。以上より、コスト面の抑制が図れると共に軽量化を図ることができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の移載装置の物品運搬箱の把持治具は、本実施の形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
例えば、上記した実施例1、2における移載装置の物品運搬箱の把持治具30、130において、物品運搬箱10は折返し片18aが形成されている構成のものについて示した。しかしながら、本発明における移載装置の物品運搬箱の把持治具は、これに限定されるものでなく、物品運搬箱が折返し片を構成しない外向きフランジの場合でも物品運搬箱を把持可能な構成である。
【0050】
また、上記した実施例1、2における移載装置の物品運搬箱の把持治具30、130において、物品運搬箱10は、側壁部14の四方の角部における外面には外方に向かって突出する角部補強リブ22が側壁部14の角部の上下方向にわたって垂直上に形成されている構成について示した。しかしながら、本発明における移載装置の物品運搬箱の把持治具は、これに限定されるものでなく、物品運搬箱に角部補強リブが構成されていない物品運搬箱でも把持可能な構成である。
【0051】
また、上記した実施例1、2における移載装置の物品運搬箱の把持治具30、130において、支持爪部材38は補強リブに隣接して配置される構成について示した。しかしながら、本発明における移載装置の物品運搬箱の把持治具は、これに限定されるものでなく、物品運搬箱の剛性が高く撓みのおそれがない場合には、支持爪部材は補強リブに隣接した位置に構成されないものであってもよい。
【0052】
また、上記した実施例1、2における移載装置の物品運搬箱の把持治具30、130において、吊り下げ保持部材46の連結プレート51の位置、すなわち吊り下げ保持部材46に対する移動手段Hからの連結位置は、物品運搬箱10の箱形状の開口部16の上方側から平面視で見た状態で、複数段に段積みされた物品運搬箱10の重心位置Gを挟んで落下防止クランプ54の位置とは反対方向に重心位置Gから離れた位置に構成されるものについて示した。しかしながら、本発明における移載装置の物品運搬箱の把持治具は、これに限定されるものでなく、吊り下げ保持部材に対する移動手段からの連結位置は、物品運搬箱が連結位置側には倒れない構成であって、物品運搬箱を把持して持上げたときも把持治具からの支持が外れない構成であれば、重心位置に近接した位置であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 物品運搬箱
10a 物品運搬箱
10b 物品運搬箱
10c 物品運搬箱
10d 物品運搬箱
12 底板部
14 側壁部
16 開口部
18 フランジ
18a 折返し片
20 補強リブ
22 角部補強リブ
30 把持治具
32 支持体部材
32a 棒状部材
34 溝部
36 四角溝部
38 支持爪部材
38a 支持爪部材
38b 支持爪部材
38c 支持爪部材
40 プレート部材
40a 連結部位
40b 支持部位
40c 貫通孔
40d 斜辺
42 クランプレバー
42a 螺子軸部
42b 操作部位
42c 四角ナット
44 嵌合部
44a 平面部
46 吊り下げ保持部材
48 L字状部位
50 底辺部位
51 連結プレート
52 フレーム部材
53 溝部
54 落下防止クランプ
56 プレート部材
56a 連結部位
56b 延出部位
58 クランプ部位
58a 当接部材
58b ストッパー部材
130 把持治具
132 支持体部材
138 支持爪部材
152 フレーム部材
154 落下防止クランプ
G 重心位置
H 移動手段
K 把持治具進入方向
S スリット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を入れた載置状態で上方が開口した状態の4角形の箱形状で形成され、該箱形状を形成する側壁部の上端には外方に張り出す外向きフランジを備え、前記上方の開口部を塞ぐ格好で順次段積み可能な形態として形成された合成樹脂製の物品運搬箱を、単体又は複数個段積みされた状態で把持治具により把持して、該把持治具により把持された物品運搬箱を吊り下げた状態として移動手段により移載する移載装置の物品運搬箱の把持治具であって、
前記物品運搬箱を形成する箱形状の隣接した二つの側壁部の配置構成に対応してその外方位置に配置されるL字状形状の支持体部材と、
前記支持体部材に取り付けられ、該支持体部材から前記側壁部の上端に備えられる外向きフランジに向けて突設して形成され該外向きフランジの下面から前記物品運搬箱を支持する複数の支持爪部材と、
前記物品運搬箱の開口部の上方位置に配設されて該物品運搬箱を前記移動手段に吊り下げた状態に連結する吊り下げ保持部材と、
前記支持体部材と前記吊り下げ保持部材とを一体的状態として連結するフレーム部材と、
前記吊り下げ保持部材又はフレーム部材に備えられ、前記物品運搬箱の開口部の隅部のうち、前記L字状形状の支持体部材が配置される二つの側壁部に挟まれた隅部を内面側からクランプして前記物品運搬箱の落下を防止する落下防止クランプと、を備えており、
該把持治具の支持爪部材を最下段に位置する物品運搬箱の外向きフランジに対して適用し、落下防止クランプを最上段に位置する物品運搬箱に対して適用して物品運搬箱を移載することを特徴とする移載装置の物品運搬箱の把持治具。
【請求項2】
請求項1に記載の移載装置の物品運搬箱の把持治具であって、
前記吊り下げ保持部材に対する前記移動手段からの連結位置は前記物品運搬箱の箱形状の開口部の上方側から平面視で見た状態で、前記複数段に段積みされた物品運搬箱の重心位置を挟んで前記落下防止クランプの位置とは反対方向に前記重心位置から離れた位置に構成されることを特徴とする移載装置の物品運搬箱の把持治具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の移載装置の物品運搬箱の把持治具であって、
前記物品運搬箱の側壁部の外面には補強リブが形成されており、
前記支持爪部材は、前記物品運搬箱の補強リブに隣接して配置されていることを特徴とする移載装置の物品運搬箱の把持治具。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の移載装置の物品運搬箱の把持治具であって、
前記物品運搬箱は前記側壁部に四方の角部における外面から外方に向かって突出する角部補強リブを備えており、
前記支持爪部材の配置構成として、前記角部補強リブを挟み込む配置構成を含むことを特徴とする移載装置の物品運搬箱の把持治具。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の移載装置の物品運搬箱の把持治具であって、
前記物品運搬箱の外向きフランジは、側壁部上端で外方に張り出すと共に外方端部が下方に折り返された折返し片が形成されている構成であり、
前記支持爪部材は、前記折返し片と、前記側壁部との間に嵌合する嵌合部が構成されていることを特徴とする移載装置の物品運搬箱の把持治具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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