説明

移載装置

【課題】ロールの抜き取りミスを低減することができる移載装置を提供する。
【解決手段】ロール10を載置するロール載置部1と、このロール載置部1を昇降する昇降装置2と、この昇降装置2を搭載して走行する無人搬送車3とを備える移載装置において、ロール載置部1は、ロール10の載置時にロール10に接触することにより作動するセンサと、ワークリミットスイッチ18よりもロール10側に突出して設置され、ロール10により押されることにより撓むクッション部材19とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
片持ちの巻き取り装置に設置された心棒にスポンジシート等の低密度のシートを巻いてロールを形成する際に、シートの巻き取り量が一定の量になったときには、ロールを心棒から抜き取る必要がある。心棒は内部に複数の爪を備えており、この爪はシートを巻き取る際には心棒の表面から若干量飛び出した状態となってロールを固定し、巻き取りが完了してロールを心棒から抜き取る際には心棒の内部に収納されるようになっている。爪が収納されると心棒とロールとの間に若干の隙間ができるため、ロールは心棒にぶら下がった状態となる。そして、心棒にぶら下がった状態のロールを持ち上げて、心棒の軸方向に引き出すようにして心棒からロールを抜き取っている。
【0003】
ところで、現在、ロールの抜き取り作業は無人搬送車を用いて自動化して行われている。無人搬送車はロールを抜き取る際には心棒の長手方向からロールの下に前進して進入し、無人搬送車に搭載されたV字状の受け台をリフターにより上昇させて心棒にぶら下がった状態になっているロールを下側から持ち上げ、無人搬送車を後退させてロールの抜き取っている。このような技術の一例が下記特許文献1,2に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開昭61−86349号公報
【特許文献2】特開平11−33624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように無人搬送車に搭載された受け台は走行中にロールが転がり出さないようにV字状となっている。このためロールの抜き取り作業のために無人搬送車がロールの下に進入する際には受け台の中心であるV字の谷の部分と心棒の軸心が完全に一致していることが望ましい。
【0006】
ところで、実際の運用では複数台並んで設置された片持ちの巻き取り装置に無人搬送車の走行路本線から直角に曲がってロールの下に進入するようにしている場合が多い。しかし、無人搬送車は若干蛇行するなどして、心棒の軸心と受け台の中心とが完全に一致しない場合がある。
【0007】
この場合、ロールは受け台の中心に習い心棒と平行でなくなるため、予め設定した所定値分持ち上げても心棒とロールとが離れた状態にならない場合がある。また、ロールの重量もシートの巻き取り量によって異なる場合があるため、ロールが心棒から離れるときの荷重が設定した所定値と異なる場合は双方の中心が一致していても、心棒とロールとが完全に離れた状態にならない場合がある。
【0008】
このような状態で無人搬送車を後退させてロールの抜き取りを行うと、心棒とロールの摩擦力の方が受け台とロールの摩擦力より大きくなり、ロールが心棒に残る(以下、空振りという)こととなる。空振りの検出方法として、受け台の先端部に折り返しを付け、この折り返しにテープスイッチ等のセンサを設置することで、ロールの無理な引き抜きを行わないようにしている。このため、空振りが発生するとセンサが反応してしまい、システム全体が異常停止してしまう虞がある。
【0009】
以上のことから本発明は、ロールの抜き取りミスを低減することができる移載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決する第1の発明に係る移載装置は、
ワークを載置する載置手段と、
該載置手段を昇降する昇降手段と、
該昇降手段を搭載して走行する車両と
を備える移載装置において、
前記載置手段は、
前記ワークの載置時に前記ワークに接触することにより作動するセンサと、
前記センサよりも前記ワーク側に突出して設置され、該ワークにより押されることにより撓むクッション部材と
を備える
ことを特徴とする。
【0011】
上記の課題を解決する第2の発明に係る移載装置は、第1の発明に係る移載装置において、
前記クッション部材の硬さを調整することにより前記センサが作動するときの荷重を設定する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ロールの抜き取りミスを低減することができる移載装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る移載装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。
はじめに、本発明に係る移載装置の概要について説明する。
図1は、本発明に係る移載装置の模式図である。なお、図1(a)は本発明に係る移載装置の側面図、図1(b)は本発明に係る移載装置の前面図である。
【0014】
図1に示すように、本発明に係る移載装置は、ロール10を載置するロール載置部1と、ロール載置部1を昇降させる昇降装置2と、昇降装置2を搭載して走行する無人搬送車3とにより構成されている。無人搬送車3は、予め設定した経路を無人で走行することができるようになっている。なお、ロール10は、片持ちの巻き取り装置に設置された心棒にシートを巻き付けることにより形成しているが、ここでは片持ちの巻き取り装置の説明は省略する(上記特許文献1,2参照)。
【0015】
昇降装置2は、荷(以下、ワークという)を持ち上げるためのフォーク11を備えており、ロール載置部1はこのフォーク11によって持ち上げられる。これにより、ロール載置部1にロール10を載置して、ロール10を昇降させることができる。
【0016】
なお、本実施形態においては、片持ちの巻き取り装置の心棒(図示省略)にぶら下がった状態となっているロール10が、心棒から離れて抜き取り可能となったことを判断するために、ロール10が心棒から離れるときの荷重を予め所定値として設定しておき、ロール載置部1に設置した荷重センサ20により計測したロール10の荷重が所定値に達したときにロールが心棒から離れて抜き取り可能となったと判断し、昇降装置2の上昇を停止するようにしている。
【0017】
ロール載置部1には、ロール10が載置されていることを検出するワーク検知センサ12が設置されている。なお、本実施形態においては、荷検知センサ12として光電スイッチを用いた。また、光電スイッチの光路を図1中に一点鎖線で示す。ロール載置部1の前端部の前方側には、前方の障害物を検出する障害物センサ13と、バンパー14が設置されている。
【0018】
このように、本発明に係る移載装置は上述した構成により、ロール載置部1にロール10を載置した上で、無人搬送車3によりロール10を移動することができるようになっている。
以上が本発明に係る移載装置の概要の説明である。
【0019】
次に、本発明に係る移載装置におけるロール載置部の構成について説明する。
図2は、本発明に係る移載装置におけるロール載置部の側面図である。
図2に示すように、ロール載置部1は、ロール載置部1の基部15の上部にロール10を受けるロール受け部16が設置されている。
【0020】
図3は、本発明に係る移載装置におけるロール載置部の前面図である。
図3に示すように、ロール受け部16の上面16aは、前方側から見た形状がV字状となっている。これにより、無人搬送車3の走行中に、ロール載置部1に載置したロール10が転がり出さないようになっている。
【0021】
図2,3に示すように、ロール載置部1の前部の折り返し部17の後方側には、空振りした場合にロール10が接触することにより、空振りしたことを検出するワークリミットスイッチ18が設置されている。なお、本実施形態においては、ワークリミットスイッチ18としてテープスイッチを用いた。
【0022】
ワークリミットスイッチ18の上部には、空振りした場合にロール10が接触するクッション部材19が設置されている。クッション部材19はワークリミットスイッチ18よりも後方側に突出している。このため、空振りした場合には、ロール10はワークリミットスイッチ18より先にクッション部材19に接触するようになっている。
【0023】
クッション部材19は、ワークリミットスイッチ18が作動する以上の荷重で撓むように設定されている。このため、本発明に係る移載装置においては、クッション部材19の形状や素材を任意に設定することにより、クッション部材19の硬さを調整することによりワークリミットスイッチ18が作動するときの荷重を設定することができる。なお、本実施形態においては、クッション部材19の形状は直方体とし、クッション部材19の素材としてはウレタンを用いた。
【0024】
ところで、テープスイッチは安価であるが作動する荷重を設定できるものはないため、荷重に応じた空振りの検出を行うためには、ばねを組み込んだ機械式の荷重センサ等を用いる必要があった。しかし、機械式の荷重センサの場合、動作のためのガイドを設ける必要があり、また、ロール10への引っ掛かりなどにより想定以上の荷重が加わりロール10に傷をつけてしまう虞があった。
【0025】
これに対し、本発明に係る移載装置によれば、ワークリミットスイッチ18に安価なテープスイッチを用いた場合であっても、クッション部材19の形状や素材を任意に設定することによりテープスイッチが作動する荷重を適宜設定することが可能となり、荷重に応じた空振りの検出を行うことができる。
【0026】
また、空振りした場合であっても、ロール10に微小な力を加えることにより心棒からロール10を抜き取ることができる場合が多く、本発明に係る移載装置においては、クッション部材19によりロール10の品質に影響がない程度の力でロール10を心棒から引き抜く方向に押すことにより、ロール10を確実に抜き取ることができる。
以上が本発明に係る移載装置におけるロール載置部1の構成についての説明である。
【0027】
なお、本実施形態においては、ワークとして心棒に巻き付けられたロール10を例として説明を行ったが、本発明に係る移載装置はロール10以外のワークの移載に適用することも可能である。また、本実施形態に係る移載装置は、無人搬送車3に昇降装置2を搭載して構成したが、有人の搬送車に昇降装置2を搭載することにより構成してもよい。
【0028】
以上説明したように、本発明に係る移載装置によれば、ロール10を載置するロール載置部1と、このロール載置部1を昇降する昇降装置2と、この昇降装置2を搭載して走行する無人搬送車3とを備える移載装置において、ロール載置部1は、ロール10の載置時にロール10に接触することにより作動するセンサと、ワークリミットスイッチ18よりもロール10側に突出して設置され、ロール10により押されることにより撓むクッション部材19とを備えることにより、空振りが発生したときにすぐにロール10がワークリミットスイッチ18に接触してしまうことを防ぐことができるため、ロール10の抜き取りミスを低減することができる。
【0029】
また、クッション部材19の硬さを調整することによりワークリミットスイッチ18が作動するときの荷重を設定することにより、空振りが発生したときにより適切な荷重でワークリミットスイッチ18が作動するようにすることができるため、ロール10の抜き取りミスをより低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、ワークの移載装置、特に無人搬送車を用いたワークの移載装置において利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る移載装置の模式図である。
【図2】本発明に係る移載装置におけるロール載置部の側面図である。
【図3】本発明に係る移載装置におけるロール載置部の前面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 ロール載置部
2 昇降装置
3 無人搬送車
10 ロール
11 フォーク
12 荷検知センサ
13 障害物センサ
14 バンパー
15 基部
16 ロール受け部
17 折り返し部
18 ワークリミットスイッチ
19 クッション部材
20 荷重センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを載置する載置手段と、
該載置手段を昇降する昇降手段と、
該昇降手段を搭載して走行する車両と
を備える移載装置において、
前記載置手段は、
前記ワークの載置時に前記ワークに接触することにより作動するセンサと、
前記センサよりも前記ワーク側に突出して設置され、該ワークにより押されることにより撓むクッション部材と
を備える
ことを特徴とする移載装置。
【請求項2】
前記クッション部材の硬さを調整することにより前記センサが作動するときの荷重を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の移載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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