説明

種子の乾燥設備

【課題】温湯消毒後の種子を高能率で楽に乾燥できる種子乾燥設備を提供する。
【解決手段】通気可能な棚を備える平面視方形状の乾燥台車(46)と、乾燥台車(46)を搬入収容できる乾燥室(51)とを備え、乾燥室(51)の床面には温風吹出し口(51a,…)を、天井には温風排出口を設ける。乾燥室(51)内の床面のスペースを平面視方形状で、縦の長さが乾燥台車(46)の縦の長さの整数倍で、横の長さが乾燥台車(46)の横の長さの整数倍として、複数の乾燥台車(46,…)を略すき間のないように収容できる広さにし、略すき間なく乾燥台車(46,…)を収容した状態で、少なくとも一つの乾燥台車(46)に対向する範囲に出入り口(51d)を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種子を温湯消毒した後の種子の乾燥設備に関する。
【背景技術】
【0002】
種籾を収容した網袋を消毒装置で温湯に浸漬して消毒し、消毒後の網袋を脱水装置で脱水し、脱水後の網袋を乾燥装置で乾燥し、乾燥後に種籾が網袋に詰められたままの状態で複数個ずつ収容容器に収容して貯蔵庫に貯蔵するものは、公知でである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2008−5800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記背景技術によると、消毒後の脱水した網袋を袋単位で乾燥装置により乾燥するものであつので、乾燥能率が悪く、網袋の積替えに労力を要するという不具合があった。そこで、この発明はこのような不具合を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決するべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、通気可能な棚(46b)を備える平面視方形状の乾燥台車(46)と、前記乾燥台車(46)を搬入収容できる乾燥室(51)とを備え、該乾燥室(51)の床面には温風吹出し口(51a,…)を、天井(51b)には温風排出口(51c)を設け、前記乾燥室(51)内の床面のスペースを平面視方形状で、縦の長さが前記乾燥台車(46)の縦の長さの整数倍で、横の長さが前記乾燥台車(46)の横の長さの整数倍として、複数の乾燥台車(46,…)を略すき間のないように収容できる広さにし、略すき間なく乾燥台車(46,…)を収容した状態で、少なくとも一つの乾燥台車(46)に対向する範囲に出入り口(51d)を構成していることを特徴とする種子乾燥設備とした。
【0005】
従って、請求項1に係る発明によると、通気可能な棚(46b)に種子の載せられた平面視方形状の乾燥台車(46)が、乾燥室(51)内の平面視方形状の床面に、縦方向及び横方向に複数の乾燥台車(46,…)が略すき間のないように収容されていて、乾燥室(51)の床面の温風吹出し口(51a,…)から天井(51b)の温風排出口(51c)に向けて吹き出した温風により種子は乾燥される。また、乾燥終了後の乾燥台車(46,…)は、出入り口(51d)に対向している乾燥台車(46)から順次搬出される。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記乾燥台車(46)には複数段の通気可能な棚(46b,…)を備え、前記温風吹出し口(51a,…)は略すき間なく搬入した各乾燥台車(46,…)の下方にそれぞれ配設したことを特徴とする種子乾燥設備とする。
【0007】
従って、請求項2に係る発明によると、請求項1に係る発明の作用に加えて、乾燥台車(46)の複数段の通気可能な棚(46b,…)に載せられた種子には、各乾燥台車(46,…)の下方にそれぞれ配設されている温風吹出し(口51a,…)から温風が吹き出され、各乾燥台車(46,…)の種子が均等に乾燥される。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によると、乾燥台車(46,…)により種子を乾燥室(51)に搬入するので、種子の搬入を楽に行なうことができ、平面視四辺形の構造簡単な乾燥室(51)でも効率良く乾燥することができる。また、出入り口(51d)から乾燥台車(46,…)を容易に出し入れすることができる。
【0009】
請求項2に係る発明によると、請求項1に係る発明の効果に加えて、乾燥効率の向上を更に図りながら、種子を均等に乾燥することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。
種子消毒設備は、前工程から後工程の順に温湯消毒装置A、種子冷却装置B、乾燥装置Cを順次設けている。温湯消毒装置Aは、箱型の温湯消毒槽1を設け、温湯消毒槽1の上方には多数の種子バケット2を循環移送する循環移送装置3を設けている。尚、前記温湯消毒槽1は、11個の種子バケット2を連ねて収容できる構成となっている。また、種子バケット2には、所定量ごとに種子を収容する網状の種子袋Pを入れるようになっている。
【0011】
循環移送装置3は移送始端側にあって多数の孔を形成する種子バケット2を下降させて温湯消毒槽1内の温湯に浸漬させる下降装置3dと、温湯消毒槽1内を浸漬した状態で種子バケット2を移送する移送装置3aと、移送終端側にあって温湯消毒槽1内を浸漬した種子バケット2を上昇させる上昇装置3bと、上昇装置3bで上昇させた種子バケット2を下降装置3dまで戻す戻し装置3cとを備えている。
【0012】
移送装置3aは、種子バケット2の上端に設けた縁部2aを左右下側から受ける案内レール部4を備え、移送始端部には種子バケット2を移送させるためのチェン式の移送コンベア5を左右に設けている。移送コンベア5は、図3に示すように、周回経路の適宜位置に種子バケット2を移送させる押し用突起5aを備え、該押し用突起5aが種子バケット2の縁部の左右に固着した左右方向の固着軸2bを移送方向に押すことで当該種子バケット2を移送し、移送下手側の種子バケット2が順次移送上手側の種子バケット2に押されて温湯消毒槽1内で種子バケット2が移送されていく構成となっている。
【0013】
上昇装置3bは、図4に示すように、案内レール部4の終端(移送終端)にある種子バケット2の固着軸2bが引っ掛かる持上げ用突起6aを備えるチェン式の上昇コンベア6を左右に設けている。従って、該上昇コンベア6の駆動により、案内レール部4の終端(移送終端)にある種子バケット2の固着軸2bが持上げ用突起6aに持上げられ、種子バケット2が上昇する構成となっている。
【0014】
また、上昇コンベア6は、図4に示すように、持上げ用突起6aが固着軸2bに引っ掛かる上昇始端位置から種子バケット2を上昇させるにつれて移送装置3aの移送方向に移動させる斜めの移動経路(周回経路)を備えた側面視で三角形状の周回経路で周回する。そして、前記斜めの移動経路の途中で種子バケット2を反転させる固定状態の反転カム7を左右に設けており、種子バケット2の上昇で前記反転カム7が種子バケット2の縁部2aにおける固着軸2bの一方側(移送装置3aの移送方向側、種子冷却装置B側)のローラ7aに上側から接触して押し下げることにより、固着軸2bを支点に種子バケット2をその上部の開口部が種子冷却装置B側に向くように反転させ、種子バケット2内の種子袋Pを種子冷却装置Bの冷却バケット8へ排出する構成となっている。
【0015】
また、図4に示すように、上昇コンベア6の種子バケット2を上昇させるにつれて移送装置3aの移送方向に移動させる斜めの移動経路(周回経路)には、前記固定状態の反転カム7に至るまでの間に、種子バケット2を振動させる振動ローラ7b,…を所定間隔毎に固定配置し、上昇コンベア6が上昇移動すると、種子バケット2側のローラ7aと固定状の振動ローラ7b,…が接触し、種子バケット2を振動させるように構成している。
【0016】
前記構成によると、振動負荷を軽減しながら種子バケット2を上下に振動させ、温湯の持出しを少なくし、温湯加熱のための燃料費を節約することができる。また、冷却槽10の冷水の温度上昇を少なくすることができる。
【0017】
尚、図7に示すように、温湯消毒槽1の上端から反転カム7の位置にかけて、上昇あるいは反転する種子バケット2から垂れ落ちる温湯を温湯消毒槽1へ案内するガイド板9を設けている。このガイド板9により、種子バケット2から垂れ落ちる温湯を温湯消毒槽1へ戻して温湯消毒槽1内の熱の放出を抑えると共に、前記温湯が種子冷却装置Bの冷却槽10に垂れ落ちることによる冷却効率の低下を防止できる。反転カム7は、複数(2個)のローラを異なる位置に設けた構成となっており、種子バケット2の上昇で、先ず一方のローラが種子バケット2に上側から接触して種子バケット2を傾け、その後前記一方のローラが種子バケット2から離れることにより、種子バケット2が揺動して種子バケット2内の湯を切り、その後他方のローラが種子バケット2に上側から接触して種子バケット2を傾けて反転させ、該種子バケット2内の種子を種子冷却槽10側へ供給する構成となっている。
【0018】
戻し装置3c及び下降装置3dは、種子バケット2の固着軸2bが引っ掛かる搬送用突起11aを備えるチェン式の戻しコンベア11を左右に備えて構成されている。尚、前記搬送用突起11aは、図3乃至図6に示すように、戻しコンベア11の周回方向の前後に対向して配置され、前後の突起11aで固着軸2bを挟むようにして保持する構成となっている。従って、上昇装置3bの上昇コンベア6でその上端部に上昇した種子バケット2を、前記戻しコンベア11が受け継いで、移送装置3aの移送始端側に横移動した後、下降させてその下降経路の途中の種子袋供給位置rで待機させる。この種子袋供給位置rで、種子バケット2は温湯消毒槽1の上方に位置しており、作業者が当該種子バケット2に種子袋Pを供給するようになっている。そして、移送装置3aが作動して移送始端部に種子バケット2を収容するスペースができると、戻しコンベア11を作動させて前記種子袋供給位置rにある種子バケット2を下降させ、種子バケット2を戻しコンベア11の下端から温湯消毒槽1へ落下して供給する。尚、種子袋供給位置rで待機する種子バケット2は、下部の前側が温湯消毒槽1に取り付けたガイド12に接触し、上部の開口部が前側に向くように傾く。これにより、作業者が種子バケット2に種子(種子袋P)を容易に供給できる。更に、種子バケット2が傾いている分、種子バケット2が温湯消毒槽1の温湯に浸されない高さで且つ当該種子バケット2の前記開口部の高さを極力低く設定することができるため、種子バケット2への種子(種子袋P)の供給が容易である。
【0019】
また、種子袋供給位置rにある種子バケット2を下降させて戻しコンベア11の下端から温湯消毒槽1へ落下するとき、種子バケット2の縁部2aが案内レール部4に衝突することにより騒音が発生したり衝撃で縁部2aを変形させるおそれがある。そこで、種子バケット2の縁部2aが案内レール部4に衝突する前に種子バケット2の底部が温湯消毒槽1の底面に接触するよう、温湯消毒槽1の底面の一部に隆起させた隆起部を設け、該隆起部に落下する種子バケット2の底部が先ず接触する構成とすれば、衝突する部分が水中であるので衝撃音を抑えられ、また縁部2aの変形を防止して循環移送装置3による種子バケット2の移送の適正化が図れる。
【0020】
尚、移送装置3aは複数の種子バケット2を同時に間欠的に移送していくのに対して、戻し装置3c及び下降装置3dは単一の種子バケット2を種子袋供給位置rまで連続的に移送する構成となっている。従って、戻し装置3c及び下降装置3dの移送速度が移送装置3aの移送速度より速く設定されており、空の種子バケット2の数を減らすことにより、コストダウンが図れると共に、温湯消毒槽1の上方の空の種子バケット2の数が少ないため、作業者が温湯消毒槽1内の消毒状況や運転状況を視認するときに空の種子バケット2が邪魔になりにくい。
【0021】
また、移送装置3aで間欠的に移送される種子バケット2の移送は、移送中の時間より移送停止状態の時間の方が長くなるように設定されている。従って、温湯消毒槽1内の後述する温水噴出口13の上方に種子バケット2を長く滞留させることができ、種子の殺菌効果を高めることができる。また、移送装置3aの移送停止時間を長くすることで、これに連動する上昇装置3b及び下降装置3dの停止時間を長く設定することができるので、種子袋供給位置rでの種子バケット2の停止時間を長く設定でき、停止している種子バケット2に種子(種子袋P)を容易に供給できる。また、前記移送装置3aの移送停止時間は調節手段により変更できる構成となっており、この移送停止時間の変更により同一の種子バケット2が温湯消毒槽1に浸漬される総時間を変更できる。従って、種子の品種に応じて種子の消毒時間を変更することができる(例えば、うるち米の種籾は10分間浸漬し、もち米の種籾は6分間浸漬する等)。これにより、移送装置3aの移送中の移送速度を変えずに容易に浸漬時間を変えることができる。尚、移送装置3a、上昇装置3b、戻し装置3c及び下降装置3dは、共通の駆動源(モータ)により作動する。
【0022】
また、種子消毒作業中に装置の故障や点検等のために非常停止したときは、その非常停止時間を計測して前記の消毒時間に加算する制御がなされる。従って、非常停止した分、移送装置3aで間欠移送の停止時間が短くなる。このとき、非常停止中に設定の消毒時間に達した場合は、ランプ等の警報手段により警報する。よって、種子を必要以上に長く温湯に浸漬することにより、種子割れ等の種子の損傷を防止できる。
【0023】
温湯消毒槽1内の底部には所定間隔毎に温水噴出口13を配設し、間欠移送されながら停止している種子バケット2の停止位置下方に温水噴出口13を位置させ、種子バケット2に向けて温水を噴出し、温水が種子バケット2の孔を通過し網状の種子袋Pに収容する種子(種籾)に作用する構成としている。なお、温湯消毒槽1の底部を前後方向中間部に向けて下り傾斜に構成し、中間部に排水溝14を構成している。
【0024】
温湯消毒槽1の後工程には供給シュート15を介して種子冷却装置Bを設けている。この種子冷却装置Bには、供給シュート15の後側に前後方向に長い種子冷却槽10を設け、この種子冷却槽10には前側から後側に向けて複数の冷却バケット8を設けている。冷却バケット8は多数の孔を形成し、左右方向の軸8aにより横軸心回動自在に支持している。そして、冷却バケット8が軸8aを軸心に回動反転すると、冷却バケット8内に収容する種子袋Pが次の冷却バケット8に収容される構成である。尚、冷却バケット8は、反転時に小さく2度回動して種子袋Pの排出を確実に行うようにしている。冷却槽10内には、図8に示すように、各冷却バケット8の収容部ごとに槽内を仕切る仕切り壁16を設けており、この仕切り壁16は種子の排出側(排出シュート17側)のものほど高くなっている。そして、冷却槽10に新たな水を供給する冷却用給水口18が種子冷却槽10内において種子の排出側(排出シュート17側)の端部の位置で給水する構成となっており、冷却用給水口18からの冷却水は冷却槽10内において仕切り壁16で仕切られる前記排出側の区画から順次供給されていくことになる。
【0025】
尚、種子バケット2が上昇装置3bで上昇して反転カム7で反転する直前に到達したことをセンサで検出すると、最も温湯消毒装置Aに近い冷却バケット8が反転してから元に戻り、その後種子バケット2が上昇して反転カム7で反転する構成となっている。これにより、種子バケット2から冷却バケット8に種子を供給する直前に、当該冷却バケット8の種子を次の冷却バケット8に供給することができ、冷却バケット8による種子の冷却時間を長くすることができて冷却効果を高めることができる。
【0026】
また、種子バケット2の容積より冷却バケット8の容積が大きく設定されている。よって、種子バケット2の容積が小さいので、温湯消毒槽1内の種子バケット2が供給されない不要な部分を小さくして温湯を効率良く使用できる。また、冷却バケット8の容積が大きいので、後述する空気噴出口19からの空気により種子の攪拌が容易になり、冷却効果が高まる。
【0027】
また、冷却槽10の冷却バケット8の下方には、図2に示すように、空気噴出管20をそれぞれ設け、ブロワ21により空気噴出口19に空気を供給し、浸漬中の冷却バケット8に向けて空気を噴出する構成としている。また、温湯消毒槽1にも空気噴出管19を設けており、この空気噴出管19は、温水噴出口13を備える温水管22の上側で平面視で交差(直交)するように配置されている。温水管22は温湯消毒槽1の長手方向(前後方向)に延び、温水噴出口13が左右に温湯を噴出するので、温湯消毒槽1の短手方向(左右方向)の対流が前後方向の全体にわたって均等に発生し、温湯消毒槽1内の温度むらを抑えることができる。空気噴出管19は、停止する各種子バケット2の下方に位置しており、各種子バケット2へ向けて空気を噴出することにより全ての種子を均等に攪拌できる。
【0028】
前記ブロア21は冷却槽10用と温湯消毒槽1用とで共通であり、温湯消毒槽1の空気噴出管19へは温湯消毒槽1の外面(側面)で接触する前後に長い接触管23を介して空気が供給される。この接触管23により、温湯消毒槽1へ供給する空気の温度を上昇させることができ、温湯消毒槽1内の温度低下を防止している。
【0029】
また、冷却槽10の冷却バケット8の下方位置、及び、温湯消毒槽1の種子バケット2の下方位置に空気噴出管19を設け、左右方向の空気噴出管20から冷却バケット8、種子バケット2に向けて空気を噴出するにあたり、図11に示すように、冷却バケット8、種子バケット2の底部に左右方向の凹部8a,2aを構成し、左右方向の空気噴出管20が嵌まり込むようにすると、種子袋Pの底面を分圧して拡げ、空気を効率良く供給し、温湯や冷水の浸透効果を高めることができる。
【0030】
次に種子消毒の工程について説明する。
下降装置3dの途中の種子袋供給位置rに停止している種子バケット2に種子を収容した網状の種子袋Pを供給する。そして種子袋供給位置rから温湯消毒槽1内まで下降装置3dで種子バケット2を下降して温湯に浸漬する。
【0031】
温湯消毒槽1内では種子バケット2は移送装置3aで移送され、移送装置3aは間欠駆動する。そして、種子バケット2は温水噴出口13に対向する位置に停止し、停止した状態で噴出する温水に晒され、種子袋P内の種子の消毒作用を促進するものである。
【0032】
各温水噴出口13毎に設定時間停止しながら移送された種子バケット2は移送終端側で上昇装置3bによって引き上げられる。そして上昇装置3bの途中にある反転装置7で種子バケット2が反転し、種子バケット2内の種子袋Pは排出され、供給シュート15を通過して冷却槽10の始端側の冷却バケット8内に供給される。
【0033】
空になった種子バケット2は上昇装置3bで引き続いて上方に移送され、次いで、戻し装置3cで移送始端側に向けて温湯消毒槽1の上方を間欠移送され、下降装置3dで再度種子袋供給位置rに循環移送される。
【0034】
なお、循環移送装置3は間欠駆動の代わりに低速で連続的に駆動するように構成してもよい。
冷却槽10の冷却バケット8に供給された種子袋Pは冷却水により冷却される。冷却バケット8は循環移送装置3の間欠駆動と連動する構成とし、温湯消毒槽1から種子冷却槽10へ次の種子袋Pが供給される前に回動反転して次の冷却バケット8へ種子袋Pを供給し、温湯消毒槽1からの種子袋Pを受け入れる。すなわち、冷却終端側の冷却バケット8から順次回動反転することで種子袋Pを順に次の冷却バケット8に移送すると共に、冷却始端側の冷却バケット8に温湯消毒槽1からの種子袋Pを受け入れるようにしている。
【0035】
そして、複数の冷却バケット8を順次通過した種子袋Pは排出シュート17から排出され、次工程の乾燥装置Cで乾燥される。
この種子消毒装置によると、前後に長い温湯消毒槽1により複数の種子バケット2を移送しながら連続的に能率的に温湯消毒することができ、また、温湯消毒装置Aから種子冷却装置Bに種子袋Pを簡単に供給することができる。
【0036】
また、循環移送装置3が設定時間毎に間欠駆動するため、一つの種子バケット2が温湯に浸漬する時間を一定にすることができ、かつ停止毎に温水にさらされるため、多数の種子袋Pに均一な消毒を効率よく行なうことができる。そして、冷却バケット8と循環移送装置3は連動して駆動するため、種子袋Pを冷却水に浸漬する時間をも一定にすることができ多数の種子袋Pに均一な冷却を行なうことができる。
【0037】
また、温水噴出口13を温湯消毒槽1内全体にわたって設定間隔毎に配置することで、温湯消毒槽1内の温度むらを防止し、種子バケット2内の種子袋Pの種子に温湯の浸透が均等化し、温湯殺菌効果を高めることができる。また、種子バケット2を温湯消毒槽1内で間欠移送することにより、種子の浸漬、離水が迅速になり、浸漬殺菌時間が正確となり、殺菌効果を高めることができる。すなわち、本実施の形態では1つの種子バケット2は10箇所の温水噴出口13毎にその上方で停止して浸漬される。
【0038】
また、冷却槽10内に空気を噴出させることで、冷却槽10内の冷却水の温度上昇を低減する防止することができ、冷却効果を大きくすることができる。
また、冷却バケット8を所定時間毎に駆動反転させ、冷却水内で種子袋Pを所定時間停止冷却しながら移送するので、冷却効果を高めることができる。
【0039】
次に、図10に基づき温湯消毒槽1の温湯温度制御について説明する。
温湯消毒槽1と冷却槽10との間を補給通路61を介して接続し、補給通路61の始端側から分岐した補給始端側接続流路61aを温湯消毒槽1の後部所定高さに連通し、終端側接続流路61bを温湯消毒槽1の底部前側部に接続している。この補給通路61の始端側には電磁弁62を設け、中途部にはポンプ63を設け、温湯消毒槽1の温湯をポンプ63により循環させるように構成している。
【0040】
また、温湯消毒槽1の後側部には温湯温度センサ64を設け、温湯温度センサ64が異常低温を検出すると、制御部65からの指令により電磁弁62を閉鎖し、温湯供給装置(図示省略)から温湯を温湯消毒槽1に補給し、所定の温湯温度に上昇するように制御している。また、前記温湯制御を所定時間経過しても、温湯が所定温度まで上昇しない場合には、制御部65の指令により例えば警報灯66を点滅し、温湯の異常報知をするようにしている。
【0041】
前記構成によると、温湯消毒槽1の温度低下を防止し、種子の温湯消毒を能率的に行なうことができる。
また、図12に示すように、種子袋Pには感熱紙等の感熱材68を例えば貼り付け、温湯消毒槽1の所定温度の温湯に浸漬すると、感熱材68の色が変化するように構成すると、殺菌済みの区別をすることができ、種子消毒の作業能率を高めることができる。また、種子袋Pに殺菌済み票(図示省略)を貼り付け、白い殺菌済み票が温湯を通過すると、赤色に変色するように構成したり、また、種子袋Pに殺菌済み票のスタンプ印を押し、温湯を通過すると、スタンプのインク色が変化するように構成しても、同様の効果が期待できる。
【0042】
次に、図13乃至図15に基づき乾燥施設Cについて説明する。
この乾燥施設Cは、通気可能な種子袋Pを載せた乾燥台車46,…を乾燥室51に搬入しまとめて乾燥する方式である。この乾燥台車46は、平面視方形状の乾燥フレーム46aには通気可能な複数段の網状棚46b,…を差し込み自在に設け、乾燥フレーム46aの四角には移動用の転輪46c,…を備えている。
【0043】
乾燥室51の壁面を断熱パネルで被覆し、平面視方形状の床面全体に所定間隔毎に温風吹出し口51a,…を設け、天井51bには温風排出口51cを設け、加温機52で例えば25度C以下に加温した温風を加温通路53に送り込み、次いで、温風を温風吹出し口51a,…から吹き出し、乾燥台車51,…の種子袋Pの種子を例えば水分値が15%になるまで乾燥する。また、乾燥済みの温風を温風排出口51cから循環通路54に排出し、加温機52に循環するように構成している。
【0044】
また、乾燥室51内のスペースは平面視方形状で、縦方向の長さが乾燥台車46の縦の長さの整数倍で、横方向の長さが乾燥台車46の横方向の長さの整数倍にして、複数の乾燥台車46,…を略すき間のないように収容できるように構成している。また、乾燥室51の側壁には少なくとも一つの乾燥台車46に対向する範囲に出入り口51dを構成し、左右ドア51e,51eにより開閉可能に構成している。
【0045】
そして、前記温風吹出し口51a,…は前記のように略すき間なしに搬入した各乾燥台車46,…の下方中央部位にそれぞれ配置するようにし、各乾燥台車46,…の種子を均等に乾燥するように構成している。
【0046】
前記構成によると、乾燥室51には種子袋P,…を多数載せた乾燥台車46,…を搬入して乾燥するので、種子の搬入が楽となり、平面視四辺形の構造簡単な乾燥室51で種子を効率良く乾燥することができ、また、出入り口51dから乾燥台車46,…の出し入れを容易に行なうことができる。
【0047】
また、乾燥室51には略すき間のないように収容している複数の乾燥台車46,…の下方中央部位に温風吹出し口51a,…をそれぞれ設けているので、種子の乾燥効率を高めながら均等に乾燥することができる。
【0048】
次に、図16に基づき殺菌乾燥施設の他の実施例について説明する。
この実施例は、種子の温湯消毒後の乾燥工程及び種子の催芽工程を合理的に行なおうとするものである。
【0049】
育苗棟71を前後に長く構成し、育苗棟71の前側部の左右一側には温湯消毒槽1及び冷水槽10を配置し、その後側部の左右一側に浸種水槽73を配設し、後側部の左右他側には脱水機72、乾燥室51,…を前後方向に並設している。また、育苗棟71にはクレーン74を設け、種子袋Pを移動をするようにしている。
【0050】
前記構成によると、播種工程の温湯消毒槽1、冷水槽10及び浸種水槽73を前後方向に沿わせて配置しているので、播種工程の作業を楽に能率的に行なうことができる。また、出荷工程の温湯消毒槽1、冷水槽10、脱水機72及び乾燥室51,…を前後方向に沿わせて配置しているので、消毒、脱水、乾燥作業を楽に能率的に行なうことができる。
【0051】
次に、図17乃至図21に基づき種子の消毒乾燥施設に並設するイチゴ栽培施設及びトマトの育苗施設について説明する。
この栽培施設でのイチゴ栽培時には、図17及び図18に示すように、前後方向に沿わせて栽培ベンチ架台81,…を左右に複数並列配設し、栽培ベンチ架台81,…には発疱スチロール製のベッド82,…を載置している。
【0052】
また、栽培ベンチ架台81,…の前後一側には給液配管83から給液立上り配管84,…を立設し、給液立上り配管84、…にはバルブ85を設けている。立上り配管84,…の上端部にはユニオン86を介して延長立上り配管84aを接続し、延長立上げ配管84aの上端部にはコネクタ87を介してドリップチューブ88の前側端部を接続し、ドリップチューブ88をベッド82の上方を通して後方へ延出し、後側端部をベッド82のフレームで支持し、後端をリング付きエンド89で閉鎖している。
【0053】
前記構成によると、栽培用溶液は給液配管83から給液立上り配管84に送られ、更に、延長立上り配管84aを経てドリップチューブ88に送られ、所定間隔毎に設けられた給液孔からベッド82に落下し、イチゴに供給される。
【0054】
次に、図19乃至図21によりトマト苗91,…の育成構成について説明する。
この栽培施設でのトマト苗の育苗時には、左右に隣接する栽培ベンチ架台81,81上に左右幅広のトマト用ベッド82を載置し、ベッド82にトマト苗91,…を左右及び前後に所定間隔を空けながら全面に載置する。
【0055】
左右給液配管83,83から立設している左右給液立上り配管84,84からイチゴ栽培用の延長立上り配管84a,84aを取り外す。次いでし、左右給液配管84,84の上端部に、左右方向に沿って正面視門型をしているトマト用の延長立上り配管84bの両端部を、ユニオン86,86により接続している。
【0056】
このトマト用延長立上げ配管84bには左右方向に所定間隔毎に給水栓ソケット84c,…を取り付け、トマト用のドリップチューブ88,…の前側端部接続し、ドリップチューブ88,…をベッド82の上方を通して後方へ延出し、その後側端部をベッド82のフレームで支持し、後端をリング付きエンド89で閉鎖している。
【0057】
前記構成によると、栽培用溶液が左右給液配管83,83、左右給液立上り配管84,84から延長立上り配管84bに送られ、更に、給水栓ソケット84c,…、ドリップチューブドリップチューブ88,…に送られ、給液孔から左右幅広のトマト用のベッド82上のトマト苗91,…に供給される。
【0058】
また、給液装置を単一構成にしながら、イチゴ用の栽培施設をトマト苗育苗用の栽培施設に容易に転用することができ、栽培施設の有効活用を図ることができる。
次に、図22に基づきトマトの栽培装置を説明する。ベンチ架台81を、地面に打ち込んだ前側左右支柱部81a,81a、後側左右支柱部81a,81aと、これらの支柱部81a,…に載置するベンチ架台部81bと、前側左右支柱部81a,81aと後側左右支柱部81a,81aとの間を連結補強する斜め支柱81cとにより構成している。そして、トマト栽培用のベッド82を例えばロックウールを袋90に入れたままの硬質のもので構成し、ベンチ架台部81bにこのような袋90,…を連続状に載置した構成とする。
【0059】
前記構成によると、支柱部81a,81aを地面に打ち込むことによりベンチ架台81を容易に設置することができ、また、栽培用ベッド82を袋90,…に入ったままのロックウールを並べるだけで構成することができ、コストの低減を図ることができる。
【0060】
次に、図23乃至図25によりイチゴ栽培装置の他の実施例について説明する。
この栽培装置は、ベンチ架台81を、地面に打ち込み支持した支柱部81aと、支柱部81aの上端部に横軸81e回りに回動調節自在に支持されている長方形のベンチ架台部81bと、ベンチ架台部81bに横軸81eの方向に沿わせて設けたイチゴ苗載置用の溝81f,…により構成している。
【0061】
パイプハウス95内に多数のベンチ架台81を配置し、成育時にはベンチ架台部81bを例えば地上1メートル程度の高さに水平状として、ハウス95の略全面を覆うようにし、イチゴの苗96,…を載置し栽培する。
【0062】
また、図示省略したが、太陽の向い角度を例えば日射量センサで検出し、コントローラの指令により、ベンチ架台部81bを横軸81e回りにモータにより回動調節し、ベンチ架台部81bを太陽に向かうように制御し、成育能率を高める。
【0063】
また、収穫作業時には、ベンチ架台部81bを傾斜状に回動調節することにより、作業者はベンチ架台部81bの近くで楽にイチゴの収穫作業をすることができる。また、ベンチ架台部81b,81bの間を運搬車が自由に通れるので、楽にイチゴの搬出をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】温湯消毒設備の一部を示す平面図。
【図2】温湯消毒設備の一部を示す側面図。
【図3】移送装置及び下降装置の一部を示す側面図。
【図4】上昇装置の一部を示す側面図。
【図5】上昇装置の一部及び戻り装置の一部を示す側面図。
【図6】種子袋供給位置を示す側面図。
【図7】反転カム及びガイド板を示す側面図。
【図8】冷却槽を示す断面側面図。
【図9】冷却槽を示す平面図。
【図10】冷却槽、温湯消毒槽の側面図。
【図11】種子バケットの斜視図。
【図12】種子袋の正面図。
【図13】乾燥室の切断側面図。
【図14】乾燥室の切断平面図。
【図15】乾燥台車の斜視図。
【図16】施設の平面図。
【図17】栽培装置の側面図。
【図18】栽培装置の正面図。
【図19】栽培装置の側面図。
【図20】栽培装置の正面図。
【図21】栽培装置の平面図。
【図22】栽培装置の斜視図、正面図。
【図23】栽培装置の側面図。
【図24】パイプハウスの側面図。
【図25】パイプハウスの側面図。
【符号の説明】
【0065】
46 乾燥台車
46b 通気可能な棚
51 乾燥室
51a 温風吹出し口
51b 天井
51c 温風排出口
51d 出入り口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気可能な棚(46b)を備える平面視方形状の乾燥台車(46)と、前記乾燥台車(46)を搬入収容できる乾燥室(51)とを備え、該乾燥室(51)の床面には温風吹出し口(51a,…)を、天井(51b)には温風排出口(51c)を設け、前記乾燥室(51)内の床面のスペースを平面視方形状で、縦の長さが前記乾燥台車(46)の縦の長さの整数倍で、横の長さが前記乾燥台車(46)の横の長さの整数倍として、複数の乾燥台車(46,…)を略すき間のないように収容できる広さにし、略すき間なく乾燥台車(46,…)を収容した状態で、少なくとも一つの乾燥台車(46)に対向する範囲に出入り口(51d)を構成していることを特徴とする種子乾燥設備。
【請求項2】
請求項1において、前記乾燥台車(46)には複数段の通気可能な棚(46b,…)を備え、前記温風吹出し口(51a,…)は略すき間なく搬入した各乾燥台車(46,…)の下方にそれぞれ配設したことを特徴とする種子乾燥設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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