説明

穀粒鑑定具

【課題】本発明は、体を屈曲させることが可能で穀粒移し替え作業が簡略容易であり、床面上に落下させた場合でも割れる危険性が少なく、更に、万一本体に割れ目が生じた場合でもその判別を容易に行うことができるような穀粒鑑定具を実現し提供する。
【解決手段】本発明に係る穀粒鑑定具1は、柔軟性、復元性を有する材料により皿状に形成した本体2を具備し、この本体2は、皿状に形成した基体2aと、この基体2aの外周を覆う帯電防止仕様で基体2aの内底面3を覆う領域3aを滑面とした被覆層2bとを具備し、被覆層2bを白色、黒色又は青色のうちのいずれかの色とし、基体2aの色を被覆層2bの色とは異なる色としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒鑑定具に関し、詳しくは、米粒や豆粒等のような穀粒の品質鑑定に使用して好適な皿状の穀粒鑑定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から米粒や豆粒等の穀粒の品質検査における作業現場において、カルトンと称される皿状の穀粒鑑定具が使用されている。
【0003】
一般に使用されているカルトンは、硬質の樹脂材料で作られており、また、その形状は、丸型、正方形型、長方形型が一般的である。
【0004】
丸型のカルトンの場合、直径150mm程度のものが一般的であるが、用途によって種々のサイズのものが使用されている。
【0005】
ところで、カルトン上の穀粒試料を、例えば、開口部の小さい袋に入れる場合、従来の硬質の樹脂材料で作られたカルトンにおいては、その形状を例えばU字状等に変形することは困難であることから、スライダーのような器具を使用したり、一旦大きめの袋に入れた後に移し替えたりといった手間が必要となる。
【0006】
また、従来の硬質の樹脂材料で作られたカルトンの場合、落下等の衝撃により割れることがあり、穀粒を扱う作業現場では割れた破片の一部が穀粒に混入する恐れがあり、好ましくない。
【0007】
特許文献1には、例えば、板材をプレス絞り加工することによって皿状に形成したカルトンとして用いることができる蓋体を備えた籾摺装置が提案されている。
【0008】
特許文献1の蓋体の場合も、硬質材料により形成されているものと推定され、その形状を例えばU字状等に変形することは困難であることから、穀粒移し替え作業の不便さを伴い、また、落下等の衝撃による割れの危険性も有するものと推定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−185261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする問題点は、本体を屈曲させることが可能で穀粒移し替え作業が簡略容易であり、床面上に落下させた場合でも割れる危険性が少なく、更に、万一本体に割れ目が生じた場合でもその判別を容易に行うことができるような穀粒鑑定具が存在しない点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る穀粒鑑定具は、柔軟性、復元性を有する材料により皿状に形成した本体を具備する穀粒鑑定具であって、前記本体は帯電防止仕様であり、前記本体の内底面を滑面としたことを最も所有な特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、本体を屈曲させることが可能で穀粒移し替え作業が簡略容易であり、床面上に落下させた場合でも割れる危険性が少なく、かつ、帯電防止仕様であり、本体の内底面を滑面としているので、穀粒の粒同士が重ならないように「ばらけ」させたり、穀粒同士の間隔を適度に離したりすることが容易となり、穀粒の鑑定作業の能率向上を図ることが可能な穀粒鑑定具を実現し提供することができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様の効果を奏することに加えて、前記本体は、皿状に形成した基体と、この基体の外周を覆う帯電防止仕様で基体の内底面を覆う領域を滑面とした被覆層とを具備し、前記基体の色と被覆層の色とを異なる色としているので、仮に本体に度重なる屈曲による劣化や落下等の衝撃によって裂け目や綻びが生じた場合でも、これらの有無を容易に視認し確認でき、交換時期の認識が容易な穀粒鑑定具を実現し提供することができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明と同様の効果を奏することに加えて、前記本体は、皿状に形成した基体と、この基体の外周を覆う帯電防止仕様で基体の内底面を覆う領域を滑面とした被覆層とを具備し、前記被覆層を白色、黒色又は青色のうちのいずれかの色とし、前記基体の色を前記被覆層の色とは異なる色としているので、着色粒の鑑定用として、穀粒の艶や整粒の程度の鑑定用として、又は、穀粒の性状や整粒の程度の鑑定用として各々好適な穀粒鑑定具を実現し提供することができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、本体を丸皿状とした形態の基に、請求項3記載の発明と同様の効果を奏する穀粒鑑定具を実現し提供することができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、本体を四角皿状とした形態の基に、請求項3記載の発明と同様の効果を奏する穀粒鑑定具を実現し提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明の実施例1に係る丸皿状の穀粒鑑定具の平面図である。
【図2】図2は本実施例1に係る丸皿状の穀粒鑑定具の底面図である。
【図3】図3は本実施例1に係る丸皿状の穀粒鑑定具の断面図である。
【図4】図4は本実施例1に係る丸皿状の穀粒鑑定具において、本体に裂け目が生じた場合の当該裂け目の判別態様を示す説明図である。
【図5】図5は本実施例1に係る丸皿状の穀粒鑑定具の穀粒鑑定時の状態を示す概略平面図である。
【図6】図6は本実施例1に係る丸皿状の穀粒鑑定具の穀粒移し替え時における状態を示す概略斜視図である。
【図7】図7は本発明の実施例2に係る四角皿状の穀粒鑑定具の平面図である。
【図8】図8は本実施例2に係る四角皿状の穀粒鑑定具の底面図である。
【図9】図9は本実施例2に係る四角皿状の穀粒鑑定具の断面図である。
【図10】図10は本実施例2に係る四角皿状の穀粒鑑定具において、本体に裂け目が生じた場合の当該裂け目の判別態様を示す説明図である。
【図11】図11は本実施例2に係る四角皿状の穀粒鑑定具の穀粒鑑定時における状態を示す概略平面図である。
【図12】図12は本実施例2に係る四角皿状の穀粒鑑定具の穀粒移し替え時における状態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、本体を屈曲させることが可能で穀粒移し替え作業が簡略容易であり、床面上に落下させた場合でも割れる危険性が少なく、更に、万一本体に割れ目が生じた場合でもその判別を容易に行うことができるような穀粒鑑定具を実現し提供するという目的を、柔軟性、復元性を有する材料により皿状に形成した本体を具備する穀粒鑑定具であって、前記本体は、皿状に形成した基体と、この基体の外周を覆う帯電防止仕様で基体の内底面を覆う領域を滑面とした被覆層とを具備し、前記基体の色と被覆層の色とを異なる色とした構成により実現した。
【実施例1】
【0019】
以下、本発明の実施例1に係る穀粒鑑定具1について図1乃至図6を参照して詳細に説明する。
【0020】
本実施例1に係る穀粒鑑定具1は、図1乃至図3に示すように、全体として丸皿状に構成したものであり、柔軟性、復元性を有する材料により形成した丸皿状の本体2を具備している。前記本体2は、丸皿状に形成した基体2aと、この基体2aの外周を覆う帯電防止仕様で基体2aの円形の内底面3を覆う領域3aを滑面とした樹脂材を用いた被覆層(コーティング層)2bとを具備し、前記基体2aの色と、前記被覆層2bの色とを異なる色としている。
【0021】
前記本体2を構成する被覆層2bは、帯電防止仕様に構成され、また、前記被覆層2bの色を白色、黒色又は青色のうちのいずれかの色としている。
【0022】
以下、本実施例1に係る穀粒鑑定具1について更に詳述する。
【0023】
前記本体2を構成する基体2aの材質は、例えばポリオレフィン系軟質樹脂を用いており、このポリオレフィン系軟質樹脂を成形して丸皿状とし、これにより、例えば穀粒10の鑑定を行う作業者が手で本体2を握るとU状又はV状に折れ曲がり、握り状態を解除すると基の平坦な皿状に戻る柔軟性、復元性を有する形態としている。
【0024】
前記本体2のサイズとしては、例えば、直径18cm、高さ3cmの大型サイズ、直径16cm、高さ2cmの中型サイズ等の例を挙げることができる。
【0025】
前記本体2を構成する被覆層2bは、例えば、そのコーティング時に帯電防止剤を混入させ、又は、成形後帯電防止仕様フッ素樹脂コーティングを施して、全体として本体2に入れる穀粒10同士が仮に帯電している場合でも静電気で付かないような帯電防止仕様としている。
【0026】
前記本体2における基体2aの内底面3を覆う領域3aは、本体2を軽く揺するとこの領域3a上の穀粒10が滑る程度に、滑らかな面に仕上げている。
【0027】
これは、穀粒10の鑑定現場において、多数の穀粒10を見易くするため、軽く本体2を揺すって多数の穀粒10の粒同士が重ならないように「ばらけ」させたり、穀粒10同士の間隔を適度に離したりするためである。
【0028】
本実施例1に係る穀粒鑑定具1においては、上述したように、前記基体2aの外周を覆う被覆層2bにより形成される円形の領域3a、周囲壁面4、さらには、外面5を白色、黒色又は青色のうちのいずれかの色としている。
【0029】
前記被覆層2bを白色とする穀粒鑑定具1を得るためには、例えば、赤色、黄色、灰色等の樹脂材により円形の基体2aを成形した後、基体2aの外周に無色透明の樹脂材料に白色の染顔料を加えた樹脂材をコーティングする例を挙げることができる。
【0030】
また、前記被覆層2bを黒色とする穀粒鑑定具1を得るためには、例えば、赤色、黄色、灰色等の樹脂材により円形の基体2aを成形した後、基体2aの外周に無色透明の樹脂材料に黒色の染顔料を加えた樹脂材をコーティングする例を挙げることができる。
【0031】
更に、前記被覆層2bを青色とする穀粒鑑定具1を得るためには、例えば、赤色、黄色、灰色等の樹脂材により円形の基体2aを成形した後、基体2aの外周に無色透明の樹脂材料に青色の染顔料を加えた樹脂材をコーティングする例を挙げることができる。
【0032】
これらの場合に、上述したような帯電防止処理を併せて施すことは言うまでもない。
【0033】
なお、前記本体2のサイズは、上述した場合に限定されるものではなく、その直径、高さのサイズは種々に設定することができる。
【0034】
上述した本実施例1に係る穀粒鑑定具1によれば、以下の作用、効果を奏する。
【0035】
すなわち、本実施例1に係る穀粒鑑定具1によれば、丸皿状の本体2における円形の内底面3を覆う領域3a及びその周囲の周囲壁面4を白色とすることで、例えば、穀粒である精米の病虫害に起因する着色粒の鑑定用として使用することができる。
【0036】
また、本体2の円形の内底面3を覆う領域3a及びその周囲の周囲壁面4を黒色とすることで、例えば、穀粒10の艶や整粒の程度の鑑定用として使用することができる。
【0037】
更に、本体2の円形の内底面3を覆う領域3a及びその周囲の周囲壁面4を青色とすることで、例えば、穀粒10の性状や整粒の程度の鑑定用として使用することができる。
【0038】
次に、本実施例1に係る穀粒鑑定具1によれば、前記本体2の円形の内底面3を覆う領域3aを滑らかな面にすることで、図5に示すように、軽く本体2を揺すって多数の穀粒10の粒同士が重ならないように「ばらけ」させたり、穀粒10同士の間隔を適度に離したりすることが容易となり、穀粒10の鑑定作業の能率向上を図ることができる。
【0039】
また、前記本体2を構成する被覆層2bを帯電防止仕様としたことで、本体2に入れる穀粒10同士が仮に帯電している場合でも、静電気による穀粒10同士の付着を防止でき、この点からも穀粒10の鑑定作業の能率向上を図ることができる。
【0040】
更に、前記本体2を、穀粒10の鑑定を行う作業者が手で握ることでU状又はV状に折れ曲がり、握り状態を解除すると基の平坦な皿状に戻る柔軟性、復元性を有する形態としているので、図6に示すように穀粒10を入れた本体2をU状又はV状に折り曲げつつ他の容器6(又は袋)へ穀粒10を移し替えることができ、従来のようにスライダーのような器具を使用したり、一旦大きめの袋に入れた後に移し替えたりといった煩雑な手間を回避することができ、穀粒10の鑑定作業から次の作業への移行工程の容易化、迅速化を実現できる。
【0041】
加えて、前記本体2を柔軟性、復元性を有する形態としているので、落下等の衝撃により本体2が割れることを回避でき、穀粒10を扱う作業現場において割れた破片の一部が穀粒10に混入するという不都合な事態発生を無くすことができる。
【0042】
更にまた、前記基体2aの色と、前記被覆層2bの色とを異なる色としているので、図4に示すように、仮に前記本体2に度重なる屈曲による劣化や落下等の衝撃によって裂け目7(又は綻び)が生じた場合でも、裂け目7の部分において裂けた被覆層2b内部の基体2aが表出し、例えば被覆層2bの色が白、基体2aの色が赤色というように明らかに異なる色として視認できるので、裂け目7の有無を容易に視認し判別でき、穀粒鑑定具1自体の交換時期の認識が容易となる。
【実施例2】
【0043】
以下、本発明の実施例2に係る穀粒鑑定具11について、図7乃至図12を参照して詳細に説明する。
【0044】
本実施例2に係る穀粒鑑定具11は、図7乃至図9に示すように、全体として四角皿状に構成したものであり、柔軟性、復元性を有する材料により形成した四角皿状の本体12を具備している。
【0045】
なお、本実施例2においては、実施例1の場合と重複する説明も存在するが、本実施例2に係る穀粒鑑定具11の内容を明確にするため、以下に詳述する。
【0046】
前記本体12は、四角皿状に形成した基体12aと、この基体12aの外周を覆う帯電防止仕様で基体12の内底面13を覆う領域13aを滑面とした樹脂材を用いた被覆層(コーティング層)12bとを具備し、前記基体12aの色と、前記被覆層12bの色とを異なる色としている。
【0047】
以下、本実施例2に係る穀粒鑑定具11について更に詳述する。
【0048】
前記本体12の材質は、例えば、ポリオレフィン系軟質樹脂を用いており、このポリオレフィン系軟質樹脂を成形して四角皿状とし、これにより、例えば穀粒10の鑑定を行う作業者が手で本体12を握るとU状又はV状に折れ曲がり、握り状態を解除すると基の平坦な皿状に戻る柔軟性、復元性を有する形態としている。
【0049】
前記本体12のサイズとしては、例えば、幅18cm、奥行き13cm、高さ2cmの長方形大型、幅12cm、奥行き8cm、高さ1cmの長方形小型、幅15cm、奥行き15cm、高さ2cmの正方形大型、幅10cm、奥行き10cm、高さ1cmの正方形小型等の例を挙げることができる。
【0050】
前記本体12を構成する被覆層12bは、例えば、そのコーティング時に帯電防止剤を混入させ、又は、成形後帯電防止仕様フッ素樹脂コーティングを施して、全体として本体2に入れる穀粒10同士が仮に帯電している場合でも静電気で付かないような帯電防止仕様としている。
【0051】
前記本体12の四角形の内底面13を覆う領域13aは、本体12を軽く揺するとこの領域13a上の穀粒10が滑る程度に、滑らかな面に仕上げている。
【0052】
これは、穀粒10の鑑定現場において、多数の穀粒10を見易くするため、軽く本体12を揺すって多数の穀粒10の粒同士が重ならないように「ばらけ」させたり、穀粒10同士の間隔を適度に離したりするためである。
【0053】
本実施例2に係る穀粒鑑定具11においては、上述したように、前記基体12aの外周を覆う被覆層12bにより形成される四角形の領域13a、周囲壁面14、さらには、外面15を白色、黒色又は青色のうちのいずれかの色としている。
【0054】
前記被覆層12bを白色とする穀粒鑑定具11を得るためには、例えば、赤色、黄色、灰色等の樹脂材により四角形の基体12aを成形した後、基体12aの外周に無色透明の樹脂材料に白色の染顔料を加えた樹脂材をコーティングする例を挙げることができる。
【0055】
前記被覆層12bを黒色とする穀粒鑑定具11を得るためには、例えば、赤色、黄色、灰色等の樹脂材により四角形の基体12aを成形した後、基体12aの外周に無色透明の樹脂材料に黒色の染顔料を加えた樹脂材をコーティングする例を挙げることができる。
【0056】
更に、前記被覆層12bを青色とする穀粒鑑定具11を得るためには、例えば、赤色、黄色、灰色等の樹脂材により四角形の基体12aを成形した後、基体12aの外周に無色透明の樹脂材料に青色の染顔料を加えた樹脂材をコーティングする例を挙げることができる。
【0057】
これらの場合に、上述したような帯電防止処理を併せて施すことは言うまでもない。
【0058】
尚、前記本体12のサイズは、上述した場合に限定されるものではなく、その幅、奥行き、高さのサイズは種々に設定することができる。
【0059】
上述した本実施例2に係る穀粒鑑定具11によれば、以下の作用、効果を奏する。
【0060】
すなわち、本実施例2に係る穀粒鑑定具11によれば、四角皿状の本体12における四角形の内底面13を覆う領域13a及びその周囲の周囲壁面14を白色とすることで、例えば、穀粒である精米の病虫害に起因する着色粒の鑑定用として使用することができる。
【0061】
また、前記本体12の四角形の内底面13を覆う領域13a及びその周囲の周囲壁面14を黒色とすることで、例えば、穀粒10の艶や整粒の程度の鑑定用として使用することができる。
【0062】
更に、前記本体12の四角形の内底面13を覆う領域13a及びその周囲の周囲壁面14を青色とすることで、例えば、穀粒10の性状や整粒の程度の鑑定用として使用することができる。
【0063】
次に、本実施例2に係る穀粒鑑定具11によれば、前記本体12の四角形の内底面13を覆う領域13aを滑らかな面にすることで、図11に示すように、軽く本体12を揺すって多数の穀粒10の粒同士が重ならないように「ばらけ」させたり、穀粒10同士の間隔を適度に離したりすることが容易となり、穀粒10の鑑定作業の能率向上を図ることができる。
【0064】
また、前記本体12を構成する被覆層12bを帯電防止仕様としたことで、本体12に入れる穀粒10同士が仮に帯電している場合でも、静電気による穀粒10同士の付着を防止でき、この点からも穀粒10の鑑定作業の能率向上を図ることができる。
【0065】
更に、前記本体12を、穀粒10の鑑定を行う作業者が手で握ることでU状又はV状に折れ曲がり、握り状態を解除すると基の平坦な皿状に戻る柔軟性、復元性を有する形態としているので、図12に示すように穀粒10を入れた本体12をU状又はV状に折り曲げつつ他の容器6(又は袋)へ穀粒10を移し替えることができ、従来のようにスライダーのような器具を使用したり、一旦大きめの袋に入れた後に移し替えたりといった煩雑な手間を回避することができ、穀粒10の鑑定作業から次の作業への移行工程の容易化、迅速化を実現できる。
【0066】
加えて、前記本体12を柔軟性、復元性を有する形態としているので、落下等の衝撃により本体12が割れることを回避でき、穀粒10を扱う作業現場において割れた破片の一部が穀粒10に混入するという不都合な事態発生を無くすことができる。
【0067】
更にまた、前記基体12aの色と、前記被覆層12bの色とを異なる色としているので、図10に示すように、仮に前記本体12に度重なる屈曲による劣化や落下等の衝撃によって裂け目7(又は綻び)が生じた場合でも、裂け目7の部分において裂けた被覆層12b内部の基体12aが表出し、例えば被覆層12bの色が白、基体12aの色が赤色というように明らかに異なる色として視認できるので、裂け目7の有無を容易に視認し判別でき、穀粒鑑定具11自体の交換時期の認識が容易となる。
【0068】
なお、上述した実施例1、2においては、丸皿状の穀粒鑑定具1、四角皿状の穀粒鑑定具11について説明したが、本発明における穀粒鑑定具自体の形状はこれらに限定されるものではなく、例えば楕円形状の皿、六角形状の皿等としても実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の穀粒鑑定具は、穀粒である精米、籾、更には、麦粒、豆粒等の品質鑑定用として広範に適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 穀粒鑑定具
2 本体
2a 基体
2b 被覆層
3 内底面
3a 領域
4 周囲壁面
5 外面
6 容器
7 裂け目
10 穀粒
11 穀粒鑑定具
12 本体
12a 基体
12b 被覆層
13 内底面
13a 領域
14 周囲壁面
15 外面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性、復元性を有する材料により皿状に形成した本体を具備する穀粒鑑定具であって、
前記本体は帯電防止仕様であり、前記本体の内底面を滑面としたことを特徴とする穀粒鑑定具。
【請求項2】
柔軟性、復元性を有する材料により皿状に形成した本体を具備する穀粒鑑定具であって、
前記本体は、
皿状に形成した基体と、
この基体の外周を覆う帯電防止仕様で基体の内底面を覆う領域を滑面とした被覆層とを具備し、
前記基体の色と被覆層の色とを異なる色としたことを特徴とする穀粒鑑定具。
【請求項3】
柔軟性、復元性を有する材料により皿状に形成した本体を具備する穀粒鑑定具であって、
前記本体は、
皿状に形成した基体と、
この基体の外周を覆う帯電防止仕様で基体の内底面を覆う領域を滑面とした被覆層とを具備し、
前記被覆層を白色、黒色又は青色のうちのいずれかの色とし、前記基体の色を前記被覆層の色とは異なる色としたことを特徴とする穀粒鑑定具。
【請求項4】
柔軟性、復元性を有する材料により丸皿状に形成した本体を具備する穀粒鑑定具であって、
前記本体は、
皿状に形成した基体と、
この基体の外周を覆う帯電防止仕様で基体の内底面を覆う領域を滑面とした被覆層とを具備し、
前記被覆層を白色、黒色又は青色のうちのいずれかの色とし、前記基体の色を前記被覆層の色とは異なる色としたことを特徴とする穀粒鑑定具。
【請求項5】
柔軟性、復元性を有する材料により四角皿状に形成した本体を具備する穀粒鑑定具であって、
前記本体は、
皿状に形成した基体と、
この基体の外周を覆う帯電防止仕様で基体の内底面を覆う領域を滑面とした被覆層とを具備し、
前記被覆層を白色、黒色又は青色のうちのいずれかの色とし、前記基体の色を前記被覆層の色とは異なる色としたことを特徴とする穀粒鑑定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−214988(P2011−214988A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83201(P2010−83201)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【特許番号】特許第4716389号(P4716389)
【特許公報発行日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000129884)株式会社ケット科学研究所 (13)
【出願人】(501264275)伊藤忠ライス株式会社 (10)
【Fターム(参考)】