説明

穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力調整機構

【課題】 穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの伸びの調整を簡単に出来る調整機構を提供する。
【解決手段】支持軸22に一方向に回転自在に支持された巻取りローラー20と、巻取りローラー20を保持するローラー保持板40と、ローラー保持板40を回動自在に保持する支点ブラケット50とを具備し、巻取りローラー20に穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルト10の一端を固定し、バケット搬送ベルト10の他端を支点ブラケット50に固定し、巻取りローラー20にバケット搬送ベルト10を巻き込むことにより張力を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力調整機構に関するものである。
本発明の、穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力調整機構は、昇降機の長時間稼動中に発生するバケット搬送ベルトの伸びを容易に調整出来るようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
穀類搬送昇降機は、図5に示すように、穀類搬送昇降機ケーシング70内の上下部に軸架した上部金車60と下部金車61の間に、多数のバケット10a.10b…を等間隔に装着した搬送ベルト10が回転自在に懸回させ、通常は下部金車61をモータなどで回転駆動させてバケット搬送ベルト10を循環移動させることによりバケットを循環移動させて穀粒などの粒状物を、上方に運搬するものである。
穀類搬送昇降機の搬送ベルト10は長時間稼動中に伸びが生じるために、張力が緩み金車駆動に滑りが発生してバケット搬送ベルト10の循環移動が困難に成りベルトの破損の原因となっていた。
このような事態を解消する為に従来は昇降機上部及び下部の金車の位置を外部調節ボルトにより調節してバケットベルトの張力を調整して滑り防止していた。
【0003】
【特許文献1】特開2000−189820号公報,
【特許文献2】特開2001−019142号公報,
【特許文献3】特開2001−233430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バケットベルト10の張力を調整する場合下に、下部金車61の位置を調節して張力を調整する場合には、下部金車61を一定のレベル以下に下げるとバケット10a.10b・・が昇降機ケースに接触するため、バケットが破損するか、バケットベルト10が停止してしまう事態が発生する。このために下部金車61の位置の調節は無限に調節する事が出来無い。
又、上部金車60を調節する場合には、金車60を上方向に一定のレベル以上に上げると、穀類が上部ケースに当たり、穀類が昇降機ケースに戻る原因となり、穀類の破損の原因となるので、上部金車60の位置の調節も一定の限度に制限される。
このため、バケットベルト10の伸びが大きくなると上部金車60と下部金車61の調節では張力を調整することが出来なくなりバケットベルト10の切り詰めの作業が必要になる。
更に、上部金車60の調節は、高所作業となるので危険である。
このように穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルト10の伸びを調整することは多くの労力と時間がかかる大変困難な仕事であるため、穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルト10の伸びの調整を簡単に出来る調整機構の実現が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上部金車と下部金車とを回転可能に軸着するとともに、多数のバケットを装着したバケット搬送ベルトを前記両金車に懸回した穀類搬送昇降機において、支持軸に一方向に回転自在に支持され巻取りローラーと、巻取りローラーを保持するローラー保持板と、ローラー保持板を回動自在に保持する支点ブラケットとを具備し、前記巻取りローラーに穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの一端を固定し、前記支点ブラケットにバケット搬送ベルトの他端を固定して、前記巻取りローラーに穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトを巻き込むことにより穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力を調整するようにした穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力調整機構を実現することにより問題を解決したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の、類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力調整機構は、バケット搬送ベルトに、使用している間に伸びが生じ、張力不足が発生した場合には、巻取りローラーを一方向に回転させて搬送ベルトの一端を巻き取る事により、バケット搬送ベルトの張力を適当な値に再調整することが出来る。このため、上部金車や下部金車を調整する必要がないので多くの労力と時間をかけることなく簡単に穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの伸びを調整出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の、穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力調整機構の実施形態について図面を使用して説明する。
図1は、本発明の、穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力調整機構の断面図を示し、図2はそのA−A断面図を示し、図3はそのB−B断面図を示したものである。
図1乃至し図3において、
10は、図5に示したような通常の穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトである。バケット搬送ベルト10には適当な間隔で多数のバケット10a,10b・・・が取り付けられている。11はバケット搬送ベルト10の一端で、12はバケット搬送ベルト10の他端である。
20は、巻取りローラーである。21はバケット搬送ベルト10の一端11を巻取りローラー20に固定する固定ビスである。
【0008】
巻取りローラー20の左右側面には、ハンドルの挿入穴24が設けられ、挿入穴24にハンドルを挿入して巻取りローラー20を一方向に回転することにより搬送ベルト10の一端11を巻き取る事が出来る。
22は巻取りローラー20の支持軸で、23は巻取りローラー20を支持軸22に一方向に回転自在に支持する、逆転防止及び逆転防止開放型装置を有しているラジェット機構付のベアリングである。
30は、テンションローラーである。31はテンションローラー30の支持軸で、32はテンショローラー30を支持軸31に一方向に回転自在に支持する、逆転防止及び逆転防止開放型装置を有しているラジェット機構付のベアリングである。
40はローラー保持板である。ローラー保持板40は巻取りローラー20とテンションローラー30を一定の間隔で保持する。
【0009】
50はローラー保持板30を回動自在に保持する支点ブラケットである。
51ははバケット搬送ベルト10の他端12を支点ブラケット50に固定する固定ボルトである。
52はバケット搬送ベルトの張力調整機構の本体ケースである。本体ケース52にはバケット機能を持たすことも可能である。
巻取りローラー20とテンションローラー30を一定の間隔に保持するローラー保持板40を回動自在に保持する支点ブラケット50に取り付けたのは、バケット搬送ベルトの張力調整機が、上部金車及び下部金車の駆動ローラー面を回る時の接触面積を大きくするためである。
【0010】
巻取りローラー20とテンションローラー30のローラーの径は、穀類搬送昇降機のサイズにより決定されるが、最小直径1Ommから最大100mmとする、また、のロール幅は1Ommから500mmである。
又、巻取りローラー20とテンションローラー30のロール表面加工は、加工無しの鍍金処理、及びロレレット加工の鍍金処理及び化学合成品の処理加工を施した物が使用される。
バケット搬送ベルト10は、図5に示すような、穀類搬送昇降機ケーシング70内の上下部に軸架した上部金車60と下部金車61の間に、懸回装着され、バケット搬送ベルト10を循環移動させることによりよりバケットを循環移動させて穀粒などの粒状物を、上方に運搬するものである。
このバケット搬送ベルト10を上部金車60と下部金車61の間に装着するときに、本発明の、穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力調整機構が使用される。
バケット搬送ベルトの張力調整機構の装着方法とその作用について以下に説明する。
【0011】
先ず、バケット搬送ベルト10を上部金車60と下部金車61とに懸回させる。
次に、本体ケース52をはずしてバケット搬送ベルト10の他端12を張力調整機構の支点ブラケット50に固定ボルト51で固定する。
この後、バケット搬送ベルト10の一端11を張力調整機構のテンションローラー30を介して巻取りローラー20に固定ビス21で固定する。
上記の操作により、バケット搬送ベルト10の一端1と他端12が、張力調整機構を介して結合されバケット搬送ベルト10が上部金車2と下部金車3とに緩く懸回される。この状態で本体ケース52を取り付ける。
この後、張力調整機構の巻取りローラー20の左右側面に設けられた、ラジェット機構付ハンドルの挿入穴24又は25にラジェット機構付ハンドルを挿入して巻取りローラー20を一方向に回転することにより搬送ベルト10の一端11を巻き取る事により、バケット搬送ベルト10の張力を適当な値に調整することにより装着作業が完了する。
【0012】
図4は、本発明の、穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力調整機が、上部金車60の駆動ローラー面を回る時の状態を示した図である。
図4において、図1乃至図3と同一の部分には同一の符号を付けてその説明を省略する。
本発明の、穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力調整機が、上部金車60の位置にまで駆動されると、最初に搬送ベルト10の他端12が固定されている支点ブラケット50が上部金車60の上に乗るので搬送ベルト10の他端12は上部金車60の面に沿って円形に曲がりながら上部金車60により駆動される。このとき、ローラー保持板40はテンションローラー30を上部金車60の表面に接触する位置に回動するので上部金車及び下部金車の駆動ローラー面を回る時の接触面積が大きくなるため上部金車60駆動力が搬送ベルト10に十分に伝達されるので安定して搬送ベルト10を駆動することが出来る。
図4では、バケット搬送ベルトの張力調整機が、上部金車60の駆動ローラー面を回る時の動作を説明したが、下部金車61の場合も全く同様である。
【0013】
バケット搬送ベルト10は、使用している間に伸びが生じ、張力が不足してくることがあるが、このような事態が生じた場合には、巻取りローラー20の左右側面に設けられた、ラジェット機構付ハンドルの挿入穴24にハンドルを挿入して巻取りローラー20を一方向に回転することにより搬送ベルト10の一端11を巻き取る事により、バケット搬送ベルト10の張力を適当な値に再調整することが出来る。
尚、上記の実施例では、張力調整機構に巻取りローラー20とテンションローラー30の二本のローラーを使用した例について説明したが、穀類搬送昇降機のサイズが小型の場合には、テンションローラー30を省略して巻取りローラー20にテンションローラー30の機能を兼ねさせることも可能である。
以上の説明より明らかなように、本発明の、類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力調整機構は、バケット搬送ベルトに、使用している間に伸びが生じ、張力が不足た場合には、巻取りローラーを一方向に回転することにより搬送ベルトの一端を巻き取る事により、バケット搬送ベルトの張力を適当な値に再調整することが出来るので、上部金車や下部金車を調整することなく簡単に穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの伸びを調整出来る。

【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は製粉、精米等の各種の穀物処理を行う産業で利用可能である。

【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の、穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力調整機構の断面図を示したものである。
【図2】本発明の、穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力調整機構のA−A断面図を示したものである。
【図3】本発明の穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力調整機構のB−B断面図を示したものである。
【図4】本発明の、穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力調整機が、上部金車60の駆動ローラー面を回る時の状態を示した図である。
【図5】穀類搬送昇降機の一般的な構成を説明した図である。
【符号の説明】
【0016】
10・・・バケット搬送ベルト
10a,10b・・・多数のバケット
11・・・バケット搬送ベルト10の一端
12・・・バケット搬送ベルト10の他端
20・・・巻取りローラー
21・・・バケット搬送ベルト10の一端を巻取りローラー20に固定する固定ビス
24・・・巻取りローラー20のラジェット機構付ハンドルの挿入穴
22・・・巻取りローラー20の支持軸
23・・・巻取りローラー20を支持軸22に支持するラジェット機構付のベアリング
30・・・テンションローラー
31・・・テンションローラー30の支持軸
32・・・テンショローラー30を支持軸に支持するラジェット機構付のベアリング
40・・・ローラー保持板
50・・・ローラー保持板30を回動自在に保持する支点ブラケット
51・・・バケット搬送ベルト10の他端を支点ブラケット50に固定する固定ボルト
52・・・バケット搬送ベルトの張力調整機構の本体ケースで
60・・・上部金車
61・・・下部金車
70・・・穀類搬送昇降機ケーシング


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部金車と下部金車とに、多数のバケットを装着したバケット搬送ベルトを懸回した穀類搬送昇降機において、
支持軸に一方向に回転自在に支持され巻取りローラーと、
該巻取りローラーを保持するローラー保持板と、
該ローラー保持板を回動自在に保持する支点ブラケットと、
を具備し、前記巻取りローラーに穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの一端を固定し、前記支点ブラケットにバケット搬送ベルトの他端を固定して、前記巻取りローラーに穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトを巻き込むことにより穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力を調整することを特徴とする穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力調整機構。
【請求項2】
上部金車と下部金車とに、多数のバケットを装着したバケット搬送ベルトを懸回した穀類搬送昇降機において、
支持軸に一方向に回転自在に支持された巻取りローラーと、
支持軸に一方向に回転自在に支持されたテンショローラーと、
前記巻取りローラーと前記テンションローラーを一定の間隔で保持するローラー保持板と、
該ローラー保持板を回動自在に保持する支点ブラケットと、
を具備し、前記巻取りローラーに穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの一端を固定し、前記支点ブラケットにバケット搬送ベルトの他端を固定して、前記巻取りローラーに穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトを巻き込むことにより穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力を調整することを特徴とする穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力調整機構。
【請求項3】
請求項1乃至請求項2において、巻取りローラーとテンションローラーを一方向に回転自在に支持する機構に、逆転防止及び逆転防止開放型装置を有しているラジェット機構付のベアリングを使用することを特徴とする穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力調整機構。
【請求項4】
請求項1乃至請求項2において、巻取りローラーの側面には、ハンドルの挿入穴が設けられていることを特徴とする穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力調整機構。
【請求項5】
請求項1乃至請求項2において、バケット搬送ベルトの張力調整機構にカバーを設け、該カバーにバケットの機能を持たせたことを特徴とする穀類搬送昇降機のバケット搬送ベルトの張力調整機構。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−298518(P2006−298518A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119288(P2005−119288)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(505142997)大村産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】