説明

積層型容器

【課題】凹部のある単位体を積み重ねた積層型容器の端側の単位体の凹部を貯留域に用いいて貯留容量の大きくすること。
【解決手段】複数個の単位体2を積み重ねて隣接する単位体2,2の重合箇所を水密に接合して積層体3が形成され、積層体3の一端側(図中の上端側)の単位体2の開口先端側に仲介体4を介して蓋体5を水密に接合したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個の単位体を積み重ねて単位体どうしを水密に接合した積層型容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、積層型容器には、特許文献1に記載のものがある。この積層型容器70は、図10に示す如く、面部71aの周縁から延設した側縁部71bの先端側を開口して、側縁部71bに対面する間隔が先端側へ行く程に大きい嵌合領域71b−1を形成した単位体71の複数個からなり、一方の単位体71の開口部から内側へ他方の単位体71の面部側を嵌入して積み重ねた積層体を形成し、隣接する単位体70,70の重合箇所を水密に接合して積層体内部に複数の貯留室を形成し、隣接する貯留室どうしを単位体71の面部71aに設けた開孔71cで連通したものである。
【特許文献1】特開2003−314976
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の積層型容器70は、積層体の端側の単位体71の開口先端側が開放した凹部となり、この凹部を貯留容量に含めることができず凹部の有効利用が図れなかった。そこで、本発明は、この問題を解決するために、積層体の端側の凹部を貯留域に用いることで貯留容量の大きな積層型容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
積層体の端側の凹部を貯留域に用いるために請求項1記載の本発明が採用した手段は、面部の周縁から延設した側縁部の先端側を開口して、側縁部に嵌合領域を形成した単位体の複数個からなり、一方の単位体の開口部から嵌合領域へ他方の単位体の面部側を嵌入して積み重ねた積層体を形成し、隣接する単位体の重合箇所を水密に接合して積層体内部に複数の貯留室を形成し、隣接する貯留室どうしを単位体の面部に設けられた開孔で連通した積層型容器において、開孔の有る面部の周縁から延設した側縁部の先端側を開口して、面部から開口先端側へ至る背丈を前記単位体の面部から開口先端側へ至る背丈よりも低くした仲介体と、外面部の先端側を開口して内側に凹部を形成した蓋体とを備え、積層体の端側の単位体の開口先端側から嵌合領域へ仲介体の一部を嵌入して、単位体の嵌合領域から仲介体の嵌合案内部を突出させ、端側の単位体と仲介体との重合箇所を水密に接合して両者の間に貯留室を形成し、仲介体の嵌合案内部に蓋体の外面部の開口先端側を外嵌して、端側の単位体と蓋体とを突き合わせ、単位体と蓋体との突き合わせ箇所及び/又は仲介体と蓋体との嵌合箇所を水密に接合して仲介体と蓋体との間に貯留室を形成したことを特徴とする積層型容器である。
【0005】
製造コストの低減を図るために請求項2記載の本発明が採用した手段は、前記仲介体は、前記単位体の側縁部の途中を切断して先端側を除去した形状のものである請求項1記載の積層型容器である。
【0006】
製造コストの低減を図るために請求項3記載の本発明が採用した手段は、前記蓋体は、前記単位体と同一形状のものである請求項1又は2記載の積層型容器である。
【0007】
製造コストの低減を図るために請求項4記載の本発明が採用した手段は、前記蓋体は、前記単位体の側縁部の途中を切断して先端側を除去した形状のものである請求項1又は2記載の積層型容器である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の本発明は、積層体の端側の単位体と蓋体とを仲介体を介して確実且つ水密に接合できると共に、端側の単位体と仲介体との間の貯留室及び蓋体の内側の貯留室に内圧が加わったとしても、端側の単位体と蓋体との境界部における拡大しようとする変形を阻止できる。その結果、本発明は、積層体の端側の凹部を貯留域に用いることで貯留容量の大きな積層型容器を提供することができる。
【0009】
請求項2記載の本発明は、単位体の側縁部の途中を切除して仲介体を得たり、または、単位体と仲介体を同一のプレス型でプレス成型することが可能となり、製造コストの低減を図ることができる。
【0010】
請求項3記載の本発明は、蓋体と単位体を共用することで、蓋体と単位体を別途製造する必要が無くなり製造コストの低減を図ることができる。
【0011】
請求項4記載の本発明は、単位体の側縁部の途中を切除して蓋体を得たり、または、単位体と蓋体を同一のプレス型でプレス成型することが可能となり、製造コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る積層型容器(以下、「本発明積層型容器」と言う。)を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0013】
(第1の実施の形態)
図1乃至図3は本発明の第1の実施の形態を示すものであり、図1は本発明積層型容器1を示すものであって、(A)は左半分を断面した正面図、(B)は左半分を断面した右側面図である。図2は単位体2を示すものであって、(A)は平面図、(B)は正面図である。図3は本発明積層型容器1の一部を拡大したものであって、(A)は正面断面図、(B)は(A)のB部を更に拡大した正面断面図、(C)は(A)のC部を更に拡大した正面断面図である。
【0014】
本実施の形態に係る本発明積層型容器1は、図1に示す如く、複数個の単位体2を積み重ねて隣接する単位体2,2の重合箇所を水密に接合して積層体3が形成され、積層体3の一端側(図中の上端側)の単位体2の開口先端側に仲介体4を介して蓋体5を水密に接合したものである。
【0015】
前記単位体2は、図2に示す如く、ステンレススチール等の板素材をプレス成型等して得たものであり、一方(図中の上方)の開口部2dと対面する他方(図中の下方)の面部2aと、面部2aの周縁から延設して嵌合領域2b−1を有する側縁部2bとから形成されている。前記積層体3の他端側(図1の下端側)を形成する以外の単位体2は、面部2aに開孔2cを設け、積層体3の他端側を形成する単位体2は、面部2aに開孔2cを設けていない。側縁部2bは、面部側から開口部側へ向かって行く程に対面する部位の間隔を拡大(すなわち、縦方向(図中の前後方向)及び横方向(図中の左右方向)の内幅寸法Y及びXを拡幅)するようになっており、面部側の彎曲部2eを除く全体を嵌合領域2b−1としてある。開孔2cは、千鳥配列等で複数個を設けるか、または、左右の何れか一方側寄りに設け、隣接する単位体2,2を左右の向きが逆となるようにして積み重ねたときに、二個の単位体2,2の開孔2cが平面視状態で重ならないようにし、二個の単位体2,2の間に形成した貯留室R1(図1参照)を貯留液が蛇行しながら通過できるようにしてある。なお、単位体2は、図示は省略したが、面部2aに切り起こし片等からなるデイスタントを設けて、隣接する単位体2,2を重ねたとき、一方の単位体2のデイスタントの先端を一方の単位体2の面部2aに当接させて、両者を平行に積み重ねできるようにすることもある。
【0016】
前記仲介体4は、図1及び図3に示す如く、ステンレススチール等の板素材をプレス成型等して得たものであり、一方(図中の上方)の開口部4dと対面する他方の面部4aと、面部4aの周縁から彎曲部を介して略垂直に起立するか又は面部4aの周縁から直ちに略垂直に起立する側縁部4bとからなり、面部4aに開孔4cを設けてある。仲介体4は、面部4aと側縁部4bとの間に彎曲部を設けずに、必要に応じて設けてある。仲介体4は、背丈H4を単位体2の背丈H2より低くし、単位体2の開口部2dから内側へ面部(4a)側を嵌入して単位体2の側縁部2bに当接させたとき、単位体2の開口部2d(すなわち、側縁部2bの開口先端部)から側縁部4bの先端側である嵌合案内部4fを突出する大きさの寸法となっている。
【0017】
前記蓋体5は、図1及び図3に示す如く、前記単位体2と同一形状のものであって、単位体2の面部2aに開孔2cを設けていないものが用いられる。すなわち、蓋体5は、一方(図中の下方)の開口部5dと対面する他方の面部5aと、面部5aの周縁から延設して嵌合領域5b−1を形成した側縁部5bとから形成されている。蓋体5は、面部5aと側縁部5bとから外面部が形成されている。
【0018】
前記積層体3は、図3に示す如く、一方の単位体2の開口部2dから嵌合領域2b−1の内側へ他方の単位体2の面部側を嵌入して適宜個数の単位体2を次々に積み重ねると共に、隣接する単位体2,2の重合箇所Eを接合材(例えばロウ材)6で水密に接合し、内部に形成された隣接する貯留室R1,R1どうしを単位体2の開孔2cで連通してある。また、積層体3は、端側(図3に示されている上端側)の単位体2の開口部2dから単位体2の内側へ前記仲介体4の一部である下半部(面部側寄り)を嵌入して、端側の単位体2の側縁部2bの先端から仲介体4の嵌合案内部4f(側縁部4bの上半部)を突出させ、単位体2と仲介体4との重合箇所Fを接合材(例えばロウ材)6で水密に接合して両者の間に貯留室R2を形成してある。更に、積層体3は、仲介体4の嵌合案内部4fに蓋体5の側縁部5bの開口先端側を外嵌して、端側の単位体2と蓋体5とを突き合わせ、単位体2と蓋体5との突き合わせ箇所G及び/又は仲介体4と蓋体5との嵌合箇所Jを接合材(例えばロウ材)6で水密に接合して仲介体4と蓋体5との間に貯留室R3を形成して、本発明積層型容器1となっている。
【0019】
複数個の単位体2、仲介体4及び蓋体5を用いて本発明積層型容器1を組み立てる手順は次の通りである。先ず、単位体2,2の重合箇所Eに対応するいずれか一方又は両方の単位体2の部位と、端側の単位体2と仲介体4との重合箇所Fに対応する単位体2及び仲介体4のいずれか一方又は両方の部位と、仲介体4と蓋体5との嵌合箇所Jに対応する仲介体4及び蓋体5のいずれか一方又は両方の部位との各々に、適宜厚みて帯状に成形した溶融型の接合材6を予め貼着し、または、ペースト状の接合材6を適宜厚みに塗着して準備する。次に、準備した複数個の単位体2を積み重ねて接合前の積層体3を形成し、積層体3を形成する端側(図中上端側)の単位体2に仲介体4を内嵌し、端側の単位体2から突出する仲介体4の嵌合案内部4fに蓋体5を外嵌して接合前の積層型容器の組み立てを行う。最後に、この組み立てられた接合前の積層型容器を加熱装置に入れ、溶融型の接合材6の溶融温度まで昇温して、重合箇所E,F及び嵌合箇所Jに溶融した接合材を展延させて単位体2、仲介体4及び蓋体5に溶融接合材6を付着させ、単位体2と蓋体5との突き合わせ箇所Gにも展延した接合材を充満させ、その後に、冷却して接合材6を凝固させて重合箇所E,F、突き合わせ箇所G及び嵌合箇所Jを水密に接合して本発明積層型容器1を完成する。
【0020】
本発明積層型容器1を電気温水器の貯湯タンクとして用いるときには、上部及び底部等に給排用の配管7,8(図1参照)を接続すると共に、本発明積層型容器1の外側に面状の電気ヒータ(図示略)を巻付ける。単位体2や仲介体4等にヒータ挿通孔を設けてあるときには、棒状の電気ヒータを本発明積層型容器1の内側へ挿入して取付けることができる。
【0021】
本発明積層型容器1は、積層体3の端側の単位体2と蓋体5とを仲介体4を介して確実且つ水密に接合できると共に、端側の単位体2と仲介体4との間の貯留室R2及び蓋体5の内側の貯留室R3に内圧が加わったとしても、端側の単位体2と蓋体5との境界部の拡幅変形を仲介体4で阻止でき、内圧式の容器として用いることが可能となり、積層体3の端側の単位体2の凹部を貯留域(R2およびR3の一部)に用いることで貯留容量を大きくすることが可能となる。
【0022】
(第2の実施の形態)
図4及び図5は本発明の第2の実施の形態を示すものであり、図4は本発明積層型容器11を示すものであって、(A)は左半分を断面した正面図、(B)は左半分を断面した右側面図である。図5は本発明積層型容器11の一部を拡大したものであって、(A)は中間省略した正面断面図、(B)は(A)のB部を更に拡大した正面断面図、(C)は(A)のC部を更に拡大した正面断面図である。
【0023】
本実施に係る本発明積層型容器11が前記第1の実施に係る本発明積層型容器1(図1乃至図3参照)と相違する点は、形状の異なる蓋体15を用いると共に、積層体3の下方に蓋体15を外嵌接合したことであり、この相違点以外の構成については前記第1の実施に係る本発明積層型容器1と実質的に同一であって、同一符号は同一構成を示すものである。
【0024】
前記蓋体15は、ステンレススチール等の板素材をプレス成型等して得たものであり、彎曲した外面部15aの先端側を開口して開口部15dを形成すると共に内側に凹部を形成してある。複数個の単位体2を積み重ねて形成した積層体3は、仲介体4の嵌合案内部4fに蓋体15の外面部15aの開口先端側を外嵌して、単位体2と蓋体15とを突き合わせ、単位体2と蓋体15との突き合わせ箇所G及び/又は仲介体4と蓋体15との嵌合箇所Jを接合材(例えばロウ材)6で水密に接合して仲介体4と蓋体15との間に貯留室R3を形成すると共に、下方の単位体2の面部2a側に蓋体15の外面部15aの開口先端側を外嵌して、単位体2と蓋体15との嵌合箇所Kを接合材(例えばロウ材)6で水密に接合して単位体2と蓋体15との間に貯留室R4を形成してある。
【0025】
(第3の実施の形態)
図6は本発明の第3の実施の形態を示すものであり、(A)は本発明積層型容器21の一部を拡大したものであって、(A)は中間省略した正面断面図、(B)は(A)のB部を更に拡大した正面断面図である。
【0026】
本実施に係る本発明積層型容器21が前記第2の実施に係る本発明積層型容器11(図5参照)と相違する点は、二個の仲介体4を用いたことであり、この相違点以外の構成については前記第2の実施に係る本発明積層型容器11と実質的に同一であって、同一符号は同一構成を示すものである。
【0027】
本発明積層型容器21は、積層体3の端側(図中の上端側)の単位体2に内嵌した仲介体4と別の仲介体4とを、両者の開口先端部どうしを突き合わせるようにして重ね合わせ、別の仲介体4と蓋体15との嵌合箇所Lを接合材(例えばロウ材)6で水密に接合して蓋体15を補強してある。
【0028】
(第4の実施の形態)
図7及び図8は本発明の第4の実施の形態を示すものであり、図7は本発明積層型容器31の一部を拡大したものであって、(A)は正面断面図、(B)は(A)のB部を更に拡大した正面断面図、(C)は(A)のC部を更に拡大した正面断面図である。図8は単位体32を示すものであって、(A)は中間省略した平面図、(B)は中間省略した正面図、(C)は拡大した正面断面図である。
【0029】
本実施に係る本発明積層型容器31が前記第1の実施に係る本発明積層型容器1(図1乃至図3参照)と大きく相違する点は、単位体32として、側縁部32bに傾斜角度の異なる嵌合領域32b−1及び嵌合領域32b−2を形成したものを用いると共に、仲介体34として、単位体32の側縁部32bの途中(図8(B)に示す箇所N)を切断して開口先端側を除去した形状のものを用い、更に、蓋体35として、単位体32の側縁部32bの途中(図8(B)に示す箇所M)の途中を切断して開口先端側を除去した形状のものを用いたことである。このように、仲介体34及び蓋体35は、単位体32の側縁部32bの途中を切除して得たり、または、単位体32と同一のプレス型でプレス成型することが可能となり、製造コストの低減を図ることができる。
【0030】
本実施の形態に係る本発明積層型容器31は、図7(A)に示す如く、複数個の単位体32を積み重ねて隣接する単位体32,32の重合箇所を水密に接合して積層体33が形成され、積層体33の一端側(図中の上端側)の単位体32の開口先端側に仲介体34を介して蓋体35を水密に接合したものである。
【0031】
前記単位体32は、図8に示す如く、ステンレススチール等の板素材をプレス成型等して得たものであり、一方(図中の上方)の開口部32dと対面する他方の面部32aと、面部32aの周縁から延設して傾斜角度θ1,θ2の異なる嵌合領域32b−1及び嵌合領域32b−2を有する側縁部32bとから形成されている。嵌合領域32b−1,32b−2は、面部側から開口部側へ向かって行く程に縦方向(図中の前後方向)及び横方向(図中の左右方向)の内幅寸法Y及びXを拡幅するようになっており、嵌合領域32b−1の傾斜角度θ1を嵌合領域32b−2の傾斜角度θ2より大きく(θ1>θ2)してある。単位体32は、面部32aに開孔32cを必要に応じて設けてある。
【0032】
前記仲介体34は、ステンレススチール等の板素材をプレス成型等して得たものであり、一方(図中の上方)の開口部34dと対面する他方の面部34aと、面部34aの周縁から彎曲部を介して傾斜角度θ1で起立し又は面部34aの周縁から直ちに傾斜角度θ1で起立した側縁部34bとからなり、面部34aに開孔34cを設けてある。仲介体34は、背丈H4を単位体32の嵌合領域32b−1までの背丈H2より低くし、単位体32の開口部32dから内側へ面部(34a)側を嵌入して単位体32の側縁部32b−1に当接させたとき、単位体32の開口部32d(すなわち、側縁部32bの開口先端部)から側縁部4bの先端側からなる嵌合案内部34fを突出する大きさの寸法となっている。
【0033】
前記蓋体35は、単位体32の嵌合領域32b−2の途中(図8(B)に示す箇所M)を切断して開口先端側を除去した形状のものを用いてある。
【0034】
前記積層体33は、一方の単位体32の開口部32dから内側へ他方の単位体32の面部側を嵌入して適宜個数の単位体32を次々に積み重ねると共に、隣接する単位体32,2の重合箇所Eを接合材(例えばロウ材)6で水密に接合し、内部に形成された隣接する貯留室R1,R1どうしを単位体32の開孔32cで連通してある。また、積層体33は、端側(図7(A)に示されている上端側)の単位体32の開口部32dから単位体32の内側へ前記仲介体34の一部である下半部(面部側寄り)を嵌入して、端側の単位体32の嵌合領域32b−1の先端から仲介体34の嵌合案内部34f(側縁部34bの上半部)を突出させ、単位体32と仲介体34との重合箇所Fを接合材(例えばロウ材)6で水密に接合して両者の間に貯留室R2を形成してある。更に、積層体33は、仲介体34の嵌合案内部34fに蓋体35の嵌合領域35b−2(図7(B)参照)の開口先端側を外嵌して、端側の単位体32と蓋体35とを突き合わせ、単位体31と蓋体35との突き合わせ箇所Mを接合材(例えばロウ材)6で水密に接合して仲介体34と蓋体35との間に貯留室R3を形成して、本発明積層型容器31となっている。
【0035】
複数個の単位体32、仲介体34及び蓋体35を用いて本発明積層型容器31を組み立てる手順は次の通りである。先ず、図7(A)に示す如く、複数個の単位体32を積み重ねて積層体33を形成し、積層体33を形成する端側(図中上端側)の単位体32に仲介体34を内嵌し、端側の単位体32から突出する仲介体34の嵌合案内部34fに蓋体35を外嵌して接合前の積層型容器の組み立てを行う。その後に、単位体32,32の重合箇所Eに近接する先細部と、端側の単位体32と仲介体34との重合箇所Fに近接する先細部と、仲介体34と蓋体35との嵌合箇所Mに近接する先細部との各々に、線状等の溶融型の接合材6を配設して準備する。次に、接合材6を配設して組み立てられている接合前の積層型容器を加熱装置に入れ、溶融型の接合材6の溶融温度まで昇温して、重合箇所E,F及び嵌合箇所Mに溶融した接合材を展延させて単位体32、仲介体34及び蓋体35に溶融接合材6を付着させ、その後に、冷却して接合材6を凝固させて重合箇所E,F、及び嵌合箇所Mを水密に接合して本発明積層型容器31を完成する。
【0036】
(第5の実施の形態)
図9は本発明の第5の実施の形態を示すものであり、(A)は本発明積層型容器41の一部を拡大したものであって、(A)は正面断面図、(B)は(A)のB部を更に拡大した正面断面図、(C)は(A)のC部を更に拡大した正面断面図である。
【0037】
本実施に係る本発明積層型容器41が前記第1の実施に係る本発明積層型容器1(図1乃至図3参照)と相違する点は、仲介体54として、単位体2の側縁部2bの途中を切断して開口先端側を除去した形状のものを用いると共に、仲介体54の開口側を単位体2に向けて嵌合させ、単位体2の開口部2d(すなわち、側縁部2bの開口先端部)から面部52a側の嵌合案内部54fを突出させたことであり、この相違点以外の構成については前記第1の実施に係る本発明積層型容器1と実質的に同一であって、同一符号は同一構成を示すものである。仲介体54f,面部52aに開孔54cを設けてある。
【0038】
仲介体54は、単位体2の側縁部2bの途中を切除して得たり、または、単位体2と同一のプレス型でプレス成型することが可能となり、製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明積層型容器の第1の実施の形態を示すものであり、(A)は左半分を断面した正面図、(B)は左半分を断面した右側面図である。
【図2】第1の実施の形態における単位体を示すものであって、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図3】第1の実施の形態における本発明積層型容器の一部を拡大したものであって、(A)は正面断面図、(B)は(A)のB部を更に拡大した正面断面図、(C)は(A)のC部を更に拡大した正面断面図である。
【図4】本発明積層型容器の第2の実施の形態を示すものであり、(A)は左半分を断面した正面図、(B)は左半分を断面した右側面図である。
【図5】第2の実施の形態における本発明積層型容器の一部を拡大したものであって、(A)は中間省略した正面断面図、(B)は(A)のB部を更に拡大した正面断面図、(C)は(A)のC部を更に拡大した正面断面図である。
【図6】第3の実施の形態における本発明積層型容器の一部を拡大したものであって、(A)は中間省略した正面断面図、(B)は(A)のB部を更に拡大した正面断面図である。
【図7】第3の実施の形態における本発明積層型容器の一部を拡大したものであって、(A)は正面断面図、(B)は(A)のB部を更に拡大した正面断面図、(C)は(A)のC部を更に拡大した正面断面図である。
【図8】第3の実施の形態における単位体を示すものであって、(A)は中間省略した平面図、(B)は中間省略した正面図、(C)は拡大した正面断面図である。
【図9】第4の実施の形態における本発明積層型容器の一部を拡大したものであって、(A)は正面断面図、(B)は(A)のB部を更に拡大した正面断面図、(C)は(A)のC部を更に拡大した正面断面図である。
【図10】従来の積層型容器を示すものであって、(A)は重ね合せ前の状態の単位体を示す斜視図、(B)は積層型容器を中間省略して示す側面図である。
【符号の説明】
【0040】
2…単位体、3…積層体、4(34,54)…仲介体、5(15,35)…蓋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面部の周縁から延設した側縁部の先端側を開口して、側縁部に嵌合領域を形成した単位体の複数個からなり、一方の単位体の開口部から嵌合領域へ他方の単位体の面部側を嵌入して積み重ねた積層体を形成し、隣接する単位体の重合箇所を水密に接合して積層体内部に複数の貯留室を形成し、隣接する貯留室どうしを単位体の面部に設けられた開孔で連通した積層型容器において、開孔の有る面部の周縁から延設した側縁部の先端側を開口して、面部から開口先端側へ至る背丈を前記単位体の面部から開口先端側へ至る背丈よりも低くした仲介体と、外面部の先端側を開口して内側に凹部を形成した蓋体とを備え、積層体の端側の単位体の開口先端側から嵌合領域へ仲介体の一部を嵌入して、単位体の嵌合領域から仲介体の嵌合案内部を突出させ、端側の単位体と仲介体との重合箇所を水密に接合して両者の間に貯留室を形成し、仲介体の嵌合案内部に蓋体の外面部の開口先端側を外嵌して、端側の単位体と蓋体とを突き合わせ、単位体と蓋体との突き合わせ箇所及び/又は仲介体と蓋体との嵌合箇所を水密に接合して仲介体と蓋体との間に貯留室を形成したことを特徴とする積層型容器。
【請求項2】
前記仲介体は、前記単位体の側縁部の途中を切断して先端側を除去した形状のものである請求項1記載の積層型容器。
【請求項3】
前記蓋体は、前記単位体と同一形状のものである請求項1又は2記載の積層型容器。
【請求項4】
前記蓋体は、前記単位体の側縁部の途中を切断して先端側を除去した形状のものである請求項1又は2記載の積層型容器である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−39112(P2007−39112A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−227495(P2005−227495)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】