説明

空冷式の簡便さで、水冷式と同等以上の凝縮性能と耐久性を有する冷媒凝縮器。

【課題】(イ)気化現象を利用して、冷媒凝縮温度を大気温度以下にする。(ロ)使用する水量を最小にする。(ハ)使用する空気量を最小にする。(ニ)散水量を最小にする事で、冷却水を再循環せずに水質管理に伴うメンテナンスを最小にする。(ホ)伝熱管の表面で気化現象が最大に発生する形状にする。(ヘ)結果としてエネルギー効率(COP)を上げる。
【解決手段】腐食損傷及びスケールの推積を防止し、気化現象を最大に発生させる手段として伝熱管(銅管)の表面に水の吸着、脱着性を有する吸着剤をコーティングして、この吸着剤に水を保持させ、この吸着剤に大気を吹き付けて気化現象を発生させる。吸着剤としては、水の吸着性能が優れている事はもとより、脱着性が優れているスポンジ酸化チタンを使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒凝縮器に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
圧縮機においては蒸発器と凝縮器を用いる。現在、広く使用されている凝縮器には空冷式(空気より冷媒を凝縮させる)と、水冷式(水により冷媒を凝縮させる)が大半である。又、空冷式に水散布をする方法として、エバポレーティブコンデンサーと言う方法もある。
空冷式は大気による冷媒の凝縮であり、凝縮温度は約49℃。この場合のエネルギー効率(COP)は約2.0程度である。
水冷式(クーリング・タワー)においては、冷却塔(クーリング・タワー)での散水の自己蒸発により、約32℃の冷水が作られ、凝縮器にて熱交換により冷媒を凝縮し、凝縮温度は約35℃となる。この時のエネルギー効率(COP)は、約2.6程度となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
(イ)気化現象を利用して、冷媒凝縮温度を大気温度以下にする。
(ロ)使用する水量を最小にする。
(ハ)使用する空気量を最小にする。
(ニ)散水量を最小にする事で、冷却水を再循環せずに水質管理に伴うメンテナンスを最小にする。
(ホ)伝熱管の表面で気化現象が最大に発生する形状にする。
(ヘ)結果としてエネルギー効率(COP)を上げる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(イ)冷媒凝縮温度を大気温度以下にする為には、伝熱管(銅管)の表面に水を散布し気化現象を起こさせ、蒸発潜熱をうばう事により大気温度以下に温度を下げる手法は広く知られている。
この為に、伝熱管又は伝熱管のフィンに散水して気化現象を起こさせる製品が製造販売されている。この方式では散水により熱交換器フィンの腐食損傷及び、スケールの推積によるフィン間の空気流路閉塞が起きる。
腐食損傷及びスケールの推積を防止し、気化現象を最大に発生させる手段として伝熱管(銅管)の表面に水の吸着、脱着性を有する吸着剤をコーティングして、この吸着剤に水を保持させ、この吸着剤に大気を吹き付けて気化現象を発生させる。
吸着剤としては、水の吸着性能が優れている事はもとより、脱着性が優れている事が要件である。
この要件を満たす吸着剤としては、特許第3944233号(平成19年4月13日)にて特許認定された除湿剤(スポンジ酸化チタン)を使用するのが最適と考える。
(ロ)使用する水量については、前記の吸着剤が常に一定量の水を保持するので散水量が従来の方式に比べて少なくてすむ。
(ハ)使用する空気量も使用する水量を少なくする事で、当然少なくする事が出来る。
(ニ)使用する水量が少ないので、水を再循環させる必要がなく、水質管理に伴うメンテナンスが最少に出来る。
(ホ)吸着剤が常に適量の水を保持しているので、気化現象が継続的に発生可能となる。従来方式では、空気を冷却する為に、大量の水を使用しなければならない現象が起きている。
【発明の効果】
【0005】
従来の市販品(散水式)では、散水による熱交換器フィンの腐食損傷及び、スケールの推積によるフィン間の空気流路閉塞を防止する為に、使用条件を大気温度が32℃以上の場合と推奨している。大気温度が32℃以上という条件は、通常、東京を例にとなるなら年間45〜50時間であり、1年8760時間の1%程度である。これに対して発明のシステムの場合、大気温度10℃以上の条件で使用可能とすると、1年間で6378時間となり、使用可能時間は年間の約70%以上となる。
使用可能頻度が年間の70%近くなる事で、冷凍機の年間平均エネルギー効率COP2.6をCOP3.3近く迄上げる事が出来る。これは、約27%の省エネ効果という事になる。
【実施例】
【0006】
図−1に示す試作機を製作し、この試作機を15馬力冷凍機に加えて性能テストを実施した。



【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】 コイルユニット図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝熱管表面に水の吸着剤をコーティングし、適量の水を保持させ、気化現象により蒸発潜熱をうばう事で、伝熱管を冷却する事により、伝熱管内部を通過する冷媒ガスを冷却し、冷媒凝縮温度を大気温度以下まで低減させる方式によるエバポレーティブ・コンデンサー(蒸気式気化凝縮器)の考案。
【請求項2】
前記の吸着剤として、水の吸着、脱着性能の高いスポンジ酸化チタンを使用する方式。

【図1】
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【公開番号】特開2009−162422(P2009−162422A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−342016(P2007−342016)
【出願日】平成19年12月29日(2007.12.29)
【出願人】(599073490)株式会社アースクリーン東北 (25)