説明

空気圧式振動試験装置

【課題】 試験体の材料に制約のあった従前の振動試験装置に於いて、加振装置を材料に制約のない空気圧式加振装置とすることで、振動試験装置の小型化、製造コストの低減等を図ると共に、構造を簡素化して使用性の向上、気密漏れ等のトラブルの防止を図る。
【解決手段】 圧縮空気を高速で開閉を繰り返す弁装置を通過させ、圧縮空気を間歇的に試験体に吹き付けすることで振動的加振力を試験体に与え、その材質や形態に制約されずに試験体を加振できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気圧式振動試験装置に関するものであり、振動試験装置の構造の簡素化と小型化を図ることにより、試験体の形態や材質に制約されることなく、試験体への付加的な質量を必要としない精密な振動試験を簡単且つ迅速に行えるようにした空気圧式加振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種材料の機械的定数を求めたり、或いは設計製作された機器や装置の固有振動数を確認したりする場合には、所謂振動試験を行う必要があり、一般には、試験体(対象物)を設置する支持部と、試験体に振動を与える加振部と、試験体の応答を検出する検出部と、検出信号に基づいて固有振動数等を演算する演算処理部とを備えた振動試験装置が用いられている。
【0003】
また、前記加振部には、試験体の振動特性に影響を与えないと云う観点から非接触式の加振装置が多く利用されており、放電加振装置、磁気加振装置、音波加振装置、空気加振装置等の各種の加振装置が開発されている。
その中でも、空気加振装置は、試験体が非磁性材製であっても、或いは試験体の形態が複雑な形態の場合であっても、比較的容易に適用することができ、高い実用性を具備している。
【0004】
図5は、振動試験装置の一種である物体の変形特性測定装置の一例を示すものであり(特開2004−69668号)、コンプレッサ41からの加圧空気を、レギュレータ42、電磁弁43、チューブ23及び空気ノズル24を通して試験体25へ噴出すると共に、前記電磁弁43を所定の周期T1で連続開閉することにより、パルス状の空気圧を試験体25に与え、試験体25を加振する。また、振動測定センサ26により、前記パルス状空気圧による加振の結果試験体に生じた加速度、速度又は変位の内の少なくとも一つが検出され、その検出信号は圧力センサ27の検出信号と共にコンピュータ28へ入力される。
【0005】
前記コンピュータ28では、空気ノズル24から噴出したパルス状空気により試験体25に与えられた加振力と、振動センサ26により検出した前記加速度、速度又は変位の内の何れか一つとの間の伝達特性及びこれを用いた物体の変形特性が演算されると共に、コントロールボックス29へ電磁弁43の作動周期(空気圧パルスの周期T1)等の制御信号が送られ、コントロールボックス29を介して電磁弁43の作動制御等が行われる。
【0006】
上記図5の振動試験装置に於ける空気加振装置は、イ.試験体の形状に影響されることなく加振用圧力を均一に付与することができ、如何なる形状の試験体であって容易に振動試験を行えること、ロ.試験体に加わる衝撃が比較的少なく、損傷を与えることがない等の高い実用的効用を有するものである。
しかし、電磁弁43の開閉によりパルス状の空気流を発生する構成としているため高い加振周波数を得ることが基本的に困難であり、高速型電磁弁を使用したとしても、50サイクル程度が上限であり、更に、高速電磁弁使用は、空気圧及び空気流量の点で制約を受けることになり、結果として振動周波数及び加振力の選定範囲が極めて狭いものになると云う問題がある。
【0007】
一方、材料の疲労試験装置等の分野に於いては、図6に示すような構造のエア式非接触加振装置を用いることにより、270〜5300HZ程度の高周波空気圧パルス流を得られるようにした技術が開示されている(特開2004−77163号)。
【0008】
即ち、図6に於いて、30は疲労試験の対象である試験体、31は保持架台、32は伸縮自在な中空管、33はパルス発生器本体胴部、34はモータ、35はシャフト、36は圧力センサ、37は空気噴出ノズル体、38は固定側孔あき円盤、39は回転側孔あき円盤である。
【0009】
前記固定側孔あき円盤38は、外周縁部に複数個(4〜8)の小孔が所定の角度間隔で同一円周上に穿設されたものであり、ノズル体37の入口側に固定されている。また、回転側孔あき円盤39は、モータシャフト35の先端にこれと同芯状に固定されており、且つ回転側孔あき円盤39の外周縁部には、前記固定側孔あき円盤38と同数の小孔が同角度間隔で同一円周上に穿設されている。更に、前記固定側孔あき円盤38と回転側孔あき円盤39とは、同芯軸で対向状に且つ気密性を保持した状態で摺動回転可能に配設されており、入口40から流入した空気は、両円盤38、39の各小孔が合致したときに、両小孔を通して本体胴部33から空気噴出ノズル体37側へ流通する。
【0010】
尚、前記両円盤38、39の各小孔を通して空気噴出ノズル体37側へ流通する空気流の単位時間当りの数(即ち、パルス状空気流の周波数)は、両円盤38、39の外周部分に穿設した小孔の数と回転側円盤の回転数とから決定され、モータ34の回転数を制御することにより、前述の如く270〜5300Hzの高周波パルス状空気流が得られる構成となっている。又、大きい加振力を得るためにノズルの長さを調整して共鳴させることから、ノズルの長さを周波数を変更する度に調整する構成としており、更に、音の共鳴減少を利用することから、前記270〜5000Hzの高周波数領域の加振に対応したものとしている。
【0011】
上記図6に示した疲労試験装置用のエア式非接触加振装置は、5000Hzを超える高周波のパルス状空気流を容易に得ることができるうえ、加振周波数の調整も簡単に行えると云う優れた実用的効用を有するものである。
【0012】
しかし、この図6に示した疲労試験装置は、エア式非接触加振装置が疲労試験装置用のものであるため大型で、取扱い性に欠けると云う難点がある。
また、複数個の小孔38a、39aを有する固定側孔あき円盤38と回転側孔あき円盤39とを気密状に面接触させた状態で、回転側孔あき円盤39を高速回転させる必要があるため、図7に示す如く、両孔あき円盤38、39の摺動面のみならず、回転側孔あき円盤39のモータ側の側面39bの全面をシールされた構造とする必要がある。その結果、回転孔あき側円盤39が高速回転することも相俟って、両孔あき円盤38、39間の気密性の保持や孔あき円盤39のモータ側面39bの気密性の保持が極めて困難となり、加振装置の点検、補修に手数がかかると云う難点がある。
【0013】
【特許文献1】特開2003−98031号
【特許文献2】特開平10−253490号
【特許文献3】特開2004−117323
【特許文献4】特開2004−69668
【特許文献5】特開2004−77163
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、従前の空気圧式振動試験装置における上述の如き問題、即ちイ.電磁弁の開閉作動によりパルス状空気圧流を得る構造の加振装置では、電磁弁の作動特性上の制約から発生可能なパルス状空気圧流の周波数の上限が50〜100Hz程度であり、振動試験体の種類によっては必要とする振動周波数が得られないこと、ロ.疲労試験装置で用いられている複数の小孔を穿設した固定側円盤と回転側円盤との組合せから成るパルス状空気圧流の発生機構を用いた加振装置においては、パルス状空気圧流の発生部の気密性の保持が難しく、その点検、補修に多くの手数を必要とすること、ハ.疲労試験装置用の空気圧式加振装置は極めて大型であって取扱性に欠け、これをそのままプラスチック製構造体等の振動試験用の加振装置に適用することは困難であること等の問題を解決せんとするものであり、試験体の材質や形態等に関係なく適用できると共に、振動試験に必要とする周波数範囲の振動数が容易に得られ、しかも小型軽量であって取扱性に優れ、補修や点検の頻度の低減を可能とした空気圧式振動試験装置を提供することを発明の主目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記発明の課題を解決するため、本願請求項1の空気圧式振動試験装置に係る発明は、圧縮空気を高速で開閉を繰り返す弁装置を通過させ、定盤に固定した試験体に間歇的に吹き付けることにより、前記試験体に振動的加振力を与えるようにしたことを発明の基本構成とするものである。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、高速で開閉を繰り返す弁装置を穴あき回転円板で実現するようにしたものである。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、圧縮空気として、高圧容器に充填した圧縮空気を用いるようにしたものである。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、弁装置を、外周縁部に一つの小孔を穿設した回転円盤と、当該回転円板を回転駆動するモータと、回転円盤の外周縁部の前記小孔を穿設した部分の両側面に当該回転円盤の側面と気密状に摺動可能に配設した入口側カバ及び噴出側カバと、から形成し、回転円盤の回転により入口側カバ内から小孔を通して前記噴出側カバ内へ流入したパルス状空気圧流を、噴出ノズルから噴射する構成としたものである。
【0019】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、弁装置を、外周縁部に複数の小孔を所定の一定角度ピッチ又はランダムな角度ピッチで穿設した回転円盤と、当該回転円盤を回転駆動するモータと、回転円盤の前記モータと対向する側の側面に、当該側面と気密状に且つ摺動可能に配設した入口側カバと、回転円盤の他方の側面に、当該側面と気密状に且つ摺動可能に配設した噴出側カバと、から形成し、回転円盤の回転により入口側カバ内から複数の小孔を通して前記噴出側カバ内へ流入したパルス状空気圧流を、噴出ノズルから噴出する構成としたものである。
【0020】
請求項6の発明は、請求項1の発明において、弁装置を、形態の異なる複数の小孔を所望のピッチで穿設した帯状の金属フイルムと、当該金属フイルムをエンドレス状に回動可能に支持するローラと、前記金属フイルムを回動させるモータと、回動する金属フイルムの一側の側面に当該側面と気密状に且つ摺動可能に配設した入口側カバと、前記金属フイルムの他方の側面に当該側面と気密状に且つ摺動可能に配設した噴出側カバと、から形成し、金属フイルムの回動により入口側カバ内から小孔を通して前記噴出側カバ内へ流入したパルス状空気圧流を、噴出ノズルから噴出する構成としたものである。
【0021】
請求項7の発明は、請求項1の発明において、弁装置を、形態の異なる複数の小孔を胴壁に所望のピッチで穿設した回転ドラム体と、当該回転ドラム体を回転させるモータと、回転ドラム体の内面側に当該内壁面と気密状に且つ摺動可能に配設した入口側カバと、前記回転ドラム体の外壁面側に当該外壁面と気密状に且つ摺動可能に配設した噴出側カバと、から形成し、回転ドラム体の回転により入口側カバ内から小孔を通して前記噴出側カバ内へ流入したパルス状空気圧流を、噴出ノズルから噴出する構成としたものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の空気圧式振動試験装置では、圧縮空気流を高速で開閉を繰り返す弁装置を通過させ、間歇的に試験体へ吹き付ける構成としているため、試験体の材質やその形態が如何なるものであっても、容易に必要な振動手数の加振力を与えることができる。
また、本発明の空気圧式振動試験装置では、空気圧式加振装置が小型軽量化されているため、その取扱いが容易であり、試験体に対する噴射方向を変更することにより、容易に試験体の振動方向を変化させることができる。
更に、弁装置を一つの小孔を有する回転円盤で形成した場合には、弁装置の構造の大幅な簡素化が可能となり、気密漏れ等のトラブルの大幅な削減が可能となる。
更に複数の小孔を設けた回転円盤を用いることにより、高周波の振動加振力を容易に得ることが出来ると共に、従前の2組の回転円盤を組み合わせて使用する構造の空気圧式加振装置に比較して、気密性に係るトラブルを大幅に削減することが可能となる。
加えて、複数の小孔をランダムな角度ピッチで回転円盤に穿設したり、複数の形態の異なる小孔を所望のピッチで形成した穿設した金属フイルム若しくはドラム体を用いることにより、擬似ランダム波等による試験も容易に実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明に係る空気圧式振動試験装置の構成を示す系統図であり、図2は空気圧式振動試験装置を用いた振動試験の実施形態を示す針面図である。また、図3は弁装置の要部を示す断面概要図である。
【0024】
図1及び図2において、1は試験体、2は弁装置、3は空気圧縮機、4は流量制御装置、5は変位計、6はコンピュータ(演算・制御装置)、7はパルス状空気圧流噴射ノズル、8はサーボモータ、9はモータ制御装置、10は回転円盤、11はシャフト、12・13は摺動カバ、14は配管、15は定盤、16は弁装置用サポート、17はノズルサポートである。
【0025】
本発明に係る空気圧式振動試験装置は、図1に示す如く弁装置2、空気圧縮機3、流量制御装置4、サーボモータ8及びモータ制御装置9等から構成されており、空気圧縮機3から流量調整装置4によって所望の圧力及び流量に設定された空気流Aが、配管14を通して弁装置2の摺動カバー12内へ供給され、当該弁装置2に於いて所定の周波数のパルス空気圧流に変換されたあと、パルス状空気圧流噴射ノズル7から試験体1の外表面へ噴射されることにより、試験体1に所定摺動周波数の加振力が付与される。
【0026】
また、前記加振力の付与により試験体1に生じた振動変位等は、レーザ変位計5等によって検出され、コンピュータ6において、試験体1の固有振動周波数等が演算される。
更に、前記パルス状空気圧流の周波数は、後述するようにモータ制御装置9を介してサーボモータ8の回転数を変えることにより所望周波数に制御され、また、試験体1に加わるパルス状空気圧流による加振力は、流量制御装置4による空気流の流量及び又は圧力調整により制御される。
【0027】
前記試験体1は、その材質及び形状(形態)が如何なるものであってもよく、本実施形態においては、後述するように、直径300mm、高さ400mm、厚さ1mmのアクリル製円筒形タンクであって且つその内部に深さ380mmまで水を充填したものを試験体1としている。
【0028】
また、前記弁装置2は、図3に示すようにモータ8の回転軸(シャフト11)の先端に固定され且つ外周縁部に1個の小孔18を穿設して成る回転円盤10と、当該回転円盤10の外周縁部の両側に設けた入口側摺動カバ13及び噴出側摺動カバ12と、噴出側カバ12の出口側に設けた噴射ノズル7と、両摺動カバ12、13を回転円盤10側へ押圧するスプリング19と、両摺動カバ12、13鍔部12a、13aと回転円盤10との間に介挿したシールリング20等から構成されている。
【0029】
配管14を通して入口側摺動カバ13内へ流入した空気流は、回転円盤10が1回転する毎にその小孔18を通して噴出側摺動カバ12内へ流通し、噴出ノズル7から所謂パルス状の空気圧流が噴射されることになり、回転円盤10の回転数を制御することにより、噴出するパルス状空気圧流の周波数、即ち加振振動数が制御されることになる。
尚、圧縮空気流Aの供給源は、コンプレッサ以外の例えば高圧容器に充填した圧縮空気や液体空気からの気化空気であってもよいことは勿論である。
【0030】
尚、本実施形態に於いては、回転円盤10に穿設した小孔18を1個として、回転円盤10と摺動カバ12、13とのシール面を可能な限り小面積としているため、所謂摺動面からの空気漏れ等のトラブルが有効に防止されることになる。しかし、空気圧流の周波数が、回転円盤10の回転数によって制限を受けることになるため、加振周波数は200Hz(回転円盤回転数12,000rpm)までが限度となる。
【0031】
そのため、回転円盤10に複数個の小孔18(例えば2〜10個)を所定の角度ピッチで設け、小孔18の数を増すことにより、モータ8のより低い回転数でもって高い加振周波数を得るようにしてもよい。
尚、モータ8の変速機構の変速比を変えて、回転円盤10の回転数を増速していることは勿論である。また、図2の弁装置2では、回転円盤10に小孔18を所定の角度ピッチで同一円周上に穿設するようにしているが、角度ピッチ等をランダムに選定して、所謂擬似ランダム波による振動試験を行えるようにすることも可能である。
【0032】
図4は本発明で使用される弁装置2の他の例の要部を示す斜面図である。当該図4の弁装置2では、前記回転円盤10に替えて帯状の金属フイルム21が使用されており、この金属フイルム21に、大きさや形状の異なる小孔18が所望のピッチで穿設されている。
【0033】
前記金属フイルム21は、モータ8によりローラ22を回転駆動させることにより、所望の速度で矢印方向へエンドレス状に回動されることになり、入口側摺動カバー12から空気が小孔18を通って出口側摺動カバー13内へ噴出されることになる。
尚、図4に於いて、7は噴射ノズル、8はモータ、12及び13は摺動カバー、22はローラである。
【0034】
上記図4の弁装置2では、小孔18の大きさやその形態、ピッチ等を適宜に選定することにより、任意の加振波形、加振力及び加振振動数を得ることができ、地震波加振等の振動試験に用いることが出来る。
また、図4の弁装置2では、金属フイルム21をローラ21を介してエンドレス状に回動させるようにしているが、金属フイルム21に替えて回転ドラム体(図示省略)を使用し、この回転ドラム体の胴壁に小孔18を所定のピッチで穿設すると共に、ドラム体の内、外両壁面に両摺動カバー12、13を気密状に且つ摺動可能に配設する構成のものとしても良い。
【0035】
前記弁装置2は、振動的な加振力を有効に発生させるため、可能な限り噴射ノズル7に近い位置に置くことが好ましい。同じ理由で、流量制御装置4は弁装置2の上流側に置くことが好ましい。
また、振動的な加振力を有効に発生させるためには、噴射したパルス状の空気圧流が所謂ジェット流にならないように、噴射ノズル7を比較的大きめの口径にすることが好ましい。
【実施例】
【0036】
図2を参照して、1000mm(横幅)×700mm(奥行)×500mm(高さ)の定盤15の上面に、直径300mm、高さ400mm、厚さ1mmのアクリル製の円筒形タンクの内部に高さ380mmまで水を充填して成る試験体1を設置し、ノズルサポート17に固定した噴射ノズル7から試験体1の上端より50mm下方の側壁面へ向って、0〜200Hzのパルス状空気圧流を噴射した。
【0037】
尚、この実施例においては、小孔18の内径30mm、噴射ノズル7の口径を20mm、空気圧縮機の空気圧0.95MPa、パルス状空気圧流の周波数50Hz(モータ回転数750rpm)、小孔18の数4個、空気の平均流速10m/secに夫々設定している。
また、変位計5により検出した試験体1の50Hz振動時の、上端より50mm下方位置における平均振幅は0.02mm程度であった。
【0038】
上記実施例に係る試験結果から、本発明に係る空気圧式振動試験装置の加振周波数は0Hzから200Hzまで可能であり、加振力は空気圧縮機の容量に依存するが、相当程度の大きさまで可能であることが判明した。
また、試験体1がアクリル製の薄肉であることから、鉄片等を貼り付ける必要のある電磁石等による加振装置を用いた場合には試験体の振動特性が変化してしまうが、本発明の空気圧式振動試験装置であれば、容易に正確な振動特性が得られることが判明した。
更に、サーボモータの回転数を一定に制御することで一定振動数の試験、少しずつ回転数を上昇するように制御することで振動数挿引試験を夫々実施することが可能である。
加えて、回転円板の穴を複数個としてその相互間隔をランダムにすることで、擬似ランダム波の試験を実施することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の空気圧式振動試験装置は、振動試験以外に、材料の疲労試験等にも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る空気圧式振動試験装置の基本構成を示す系統図。
【図2】空気圧式振動試験装置を用いた振動試験の実施状態を示す斜面図である。
【図3】本発明に係る空気圧式振動試験装置の弁装置の要部を示す部分断面概要図である。
【図4】弁装置の他の例の要部を示す斜面図である。
【図5】従前の物体の変形特性測定装置に用いられている空気加振装置の構成を示す系統図である。
【図6】従前の疲労試験装置に用いられているエア式非接触加振装置の断面概要図である。
【図7】図6の疲労試験装置に於けるエア式非接触加振装置のパルス波発生部の要部を示す部分断面概要図である。
【符号の説明】
【0041】
1は試験体
2は弁装置
3は空気圧縮機
4は流量制御装置
5は変位計
6はコンピュータ
7はパルス状空気圧流の噴射ノズル
8はモータ
9はモータ制御装置
10は回転円盤
11はシャフト
12、13は摺動カバ
14は配管
15は定盤
16は弁装置用サポート
17はノズルサポート
18は小孔
19は押圧用スプリング
20はシールリング
21は金属フイルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気を高速で開閉を繰り返す弁装置を通過させ、定盤に固定した試験体に間歇的に吹き付けることにより、前記試験体に振動的加振力を与える構成としたことを特徴とする空気圧式振動試験装置。
【請求項2】
高速で開閉を繰り返す弁装置を穴あき回転円板で実現するようにした請求項1に記載の空気圧式振動試験装置。
【請求項3】
圧縮空気として、高圧容器に充填した圧縮空気を用いるようにした請求項1に記載の空気圧式振動試験装置。
【請求項4】
弁装置を、外周縁部に一つの小孔を穿設した回転円盤と、当該回転円板を回転駆動するモータと、回転円盤の外周縁部の前記小孔を穿設した部分の両側面に当該回転円盤の側面と気密状に且つ摺動可能に配設した入口側カバ及び噴出側カバと、から形成し、回転円盤の回転により入口側カバ内から小孔を通して前記噴出側カバ内へ流入したパルス状空気圧流を、噴出ノズルから噴射する構成とした請求項1に記載の空気圧式振動試験装置。
【請求項5】
弁装置を、外周縁部に複数の小孔を所定の一定角度ピッチ又はランダムな角度ピッチで穿設した回転円盤と、当該回転円盤を回転駆動するモータと、回転円盤の前記モータと対向する側の側面に当該側面と気密状に且つ摺動可能に配設した入口側カバと、回転円盤の他方の側面に当該側面と気密状に且つ摺動可能に配設した噴出側カバと、から形成し、回転円盤の回転により入口側カバ内から複数の小孔を通して前記噴出側カバ内へ流入したパルス状空気圧流を、噴出ノズルから噴出する構成とした請求項1に記載の空気圧式振動試験装置。
【請求項6】
弁装置を、形態の異なる複数の小孔を所望のピッチで穿設した帯状の金属フイルムと、当該金属フイルムをエンドレス状に回動可能に支持するローラと、前記金属フイルムを回動させるモータと、回動する金属フイルムの一側の側面に当該側面と気密状に且つ摺動可能に配設した入口側カバと、前記金属フイルムの他方の側面に当該側面と気密状に且つ摺動可能に配設した噴出側カバと、から形成し、金属フイルムの回動により入口側カバ内から小孔を通して前記噴出側カバ内へ流入したパルス状空気圧流を、噴出ノズルから噴出する構成とした請求項1に記載の空気圧式振動試験装置。
【請求項7】
弁装置を、形態の異なる複数の小孔を胴壁に所望のピッチで穿設した回転ドラム体と、当該回転ドラム体を回転させるモータと、回転ドラム体の内面側に当該内壁面と気密状に且つ摺動可能に配設した入口側カバと、前記回転ドラム体の外壁面側に当該外壁面と気密状に且つ摺動可能に配設した噴出側カバと、から形成し、回転ドラム体の回転により入口側カバ内から小孔を通して前記噴出側カバ内へ流入したパルス状空気圧流を、噴出ノズルから噴出する構成とした請求項1に記載の空気圧式振動試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−263590(P2007−263590A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−85580(P2006−85580)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(595035131)株式会社原子力安全システム研究所 (10)