説明

空気安定性有機−無機ナノ粒子ハイブリッド太陽電池

太陽電池は、低仕事関数カソードと、有機−無機ナノ粒子複合材の活性層と、カソードと活性層との間に位置し、それらと物理的に接触するZnOナノ粒子層と、二層電極である透明高仕事関数アノードとを含む。ZnOナノ粒子層を含有することにより、変換効率の増加を示す太陽電池が得られ、デバイス劣化速度が低減される。本発明の実施形態は、新規太陽電池のZnOナノ粒子層としての使用に有利な新規ZnOナノ粒子、およびZnOナノ粒子を製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年3月6日出願の米国仮特許出願第61/158,189号に基づく優先権の利益を主張し、その開示は、すべての図、表および図面を含むその全内容が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
有機およびハイブリッド有機−無機ナノ粒子太陽電池は、単純なコーティングおよび印刷法により製造することができることから、低コストで広範な再生可能エネルギーの有望な源である。特に、CdSe/ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)系ハイブリッド太陽電池は、約2.8%の電力変換効率を示している。ハイブリッド有機/無機ナノ粒子光電池は、その有望性にもかかわらず、商業用デバイスにおいて使用されていない。主な障壁は、空気中で急速に劣化するという、ハイブリッド有機/無機ナノ粒子太陽電池の傾向であった。ほとんどの半導体ポリマー材料は、湿気および/または酸素に暴露されると劣化することから、太陽電池劣化のメカニズムは、活性層における酸素および水の作用に起因すると考えられる。加えて、これらの材料においては光酸化が深刻な問題となり得る。
【0003】
有機ポリマー系光起電デバイスの劣化は、ガラスおよび/または金属を使用した不透過性包装材内に部品を密封し、酸素および水蒸気への暴露を防止することにより、許容レベルまで低減することができる。全体の厚さが5〜7μmのポリマー層により分離された無機酸化物層を備えるハイブリッド多層バリアを使用した可撓性包装材を作製する試みは、ある程度の有望な結果を示しているが、酸素および湿気の透過を低減し得る封入方法は費用がかかり、概してデバイス厚の増加および可撓性の損失をもたらす。印刷プラスチック電子機器のための可撓性および十分に薄い層を達成するためには、プラスチック基板における大規模な商業化を可能とすべく、改善されたバリア材料が必要であるか、または湿気および酸素に対する感受性が本質的に低減されているデバイスが必要である。
【0004】
低減された感受性を有するデバイスに関して、Leeら、Adv.Mater.2007、19、2445頁は、図1に示されるようなITO/PEDOT:PSS/活性層/TiOアモルファス層/Alデバイスを報告している。ポリマー太陽電池の低仕事関数アルミニウムカソードと活性層との間の酸化チタン層は、デバイスの耐久性を大幅に改善することができた。実質的な酸素/水保護および洗浄作用を有するチタニア(TiO)の能力が確立されたが、この作用は、光触媒として機能するTiOの能力およびTiOの本質的な酸素欠損に起因する。一般に、結晶TiO層は、ポリマー電子デバイス製造のためのプロセスに適合しない約450℃の温度で調製される。Leeらは、ポリマー太陽電池のコレクタおよび光学スペーサとしてのポリマー系活性層上の亜酸化チタン(TiO)層の製造を可能とする溶液系ゾル−ゲルプロセスを開発した。残念ながら、亜酸化チタン(TiO)層を有する太陽電池の電力変換効率は、グローブボックス内環境下で6日後に約50%低下した。
【0005】
Hauら、Appl.Phys.Lett.2008 92、253301頁は、図2に示されるようなITO/ZnO NPs/活性層/PEDOT:PSS/Ag反転デバイス(ZnO NPsはZnOナノ粒子である)を報告している。ZnO NPが使用されたのは、熱的な後処理をしなくても良好な電子移動度を示すためである。ITO/ガラス上のZnOナノ粒子層およびITO被覆プラスチック基板上のZnO NPは、ガラス基板上の電極としてLiF/Alを使用した従来のデバイスのものに匹敵する安定性を有していた。デバイスの改善された安定性は、PEDOT:PSS層およびAg電極に起因すると考えられるが、PEDOT:PSS層は、活性層への酸素の侵入を防止するバリアとして機能し、空気中で酸化銀の層を形成するAg電極の能力が、その実効仕事関数を増加させる。太陽電池は、空気中で40日後にわずか20%の電力変換効率の損失を示した。残念ながら、銀またはその他の空気感受性の低い高仕事関数材料、例えば金のコストは、Al電極の代替とするには極めて高価である。
【0006】
したがって、商業化を実現するために、実行可能な価格の良好な効率および安定性を示すハイブリッド有機−無機ナノ粒子太陽電池が、依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、低仕事関数電極と、半導体特性を示し、可視または近赤外電磁放射線を吸収する、有機ポリマーを含む光活性層とが、低仕事関数電極と光活性層との間に位置し、それらの少なくとも一部と電気的に接触するZnOナノ粒子層を有し、光活性層と物理的および電気的に接触する、二層電極である透明高仕事関数電極を備える、空気耐性光電池を対象とする。低仕事関数電極は、アルミニウムであってもよく、または、アルミニウムで被覆されたマグネシウム、カルシウムもしくはバリウムであってもよい。有機ポリマーは、置換または非置換チオフェン、フェニレンビニレン、フェニレンエチニレン、フルオレンまたはこれらの任意の組合せである複数の反復単位を有する有機ポリマーであってもよい。光活性層は、セレン化カドミウムナノ粒子ポリ(3−ヘキシルチオフェン)複合材(CdSe/P3HT)等の有機−無機ナノ粒子複合材の形態である無機ナノ粒子をさらに含んでもよい。使用可能なその他の無機ナノ粒子は、IV族、II−VI族、III−V族、IV−VI族、I−III−VI族半導体または半導体合金、例えばSiGe1−x、ZnCd1−xSeTe1−y、PbS、PbSe、CdTe、CdTeSe1−y、ZnCd1−xTeSe1−y−z、InGa1−xAsまたはCu(InGa1−x)Seの無機ナノ粒子を含む。透明高仕事関数電極は、インジウムスズ酸化物(ITO)上のポリ(3,4−エチレンジオキシレンチオフェン)−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)であってもよい。
【0008】
本発明の一実施形態は、結合したZnOナノスフェアおよびこれらのZnOナノ粒子の合成に関し、個々のスフェアは、3nmから4nmの平均直径を有する。約3nmの平均表面粗度を有するナノ粒子ZnO層を、これらのZnOナノ粒子を用いて製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】従来技術のITO/PEDOT:PSS/活性層/TiOアモルファス層/Al太陽電池設計である。
【図2】従来技術のITO/ZnO NPs/活性層/PEDOT:PSS/Ag反転太陽電池設計である。
【図3】本発明の実施形態によるITO/PEDOT:PSS/活性層/ZnO NPs/Al太陽電池設計である。
【図4】活性層がP3HT/CdSeである、本発明の一実施形態による例示的光起電デバイスである。
【図5】一方は本発明の一実施形態によるZnOナノ粒子層を有し、他方は有さないが、それ以外は同等の構造を有する図4の設計の2つの太陽電池における、印加電圧に対する電流密度のプロットである。
【図6】本発明の一実施形態による図4のデバイスのエネルギー準位図である。
【図7】本発明の一実施形態による図4のa)ITO/PEDOT/CdSe:P3HT/Alデバイスおよびb)ITO/PEDOT/CdSe:P3HT/ZnO/Alデバイスの表面の原子間力顕微鏡(AFM)画像である。
【図8】図7のITO/PEDOT/CdSe:P3HT/Alデバイス、ならびに調製直後および45日間の使用後の本発明の実施形態によるITO/PEDOT/CdSe:P3HT/ZnO/Alデバイスの外部量子効率(EQE)の複合プロットである。
【図9】本発明の実施形態による、製造直後および45日間の使用後のa)比較的薄いZnOナノ粒子層およびb)比較的厚いZnOナノ粒子層を有する2つの太陽電池における、印加電圧に対する電流密度のプロットである。
【図10】図7のITO/PEDOT/CdSe:P3HT/Alデバイス、および本発明の実施形態による薄いZnO層または厚いZnO層を有するITO/PEDOT/CdSe:P3HT/ZnO/Alデバイスにおける、6時間にわたる電力変換効率(PCE)の複合プロットである。
【図11】本発明の一実施形態による二量体結合ZnOナノスフェアの形態のZnOナノ粒子の、5nm目盛付きの透過型電子顕微鏡画像である。
【図12】本発明の一実施形態によるZnOナノ粒子の懸濁液の吸収スペクトルおよび325nmで励起されたフォトルミネッセンススペクトルの複合プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態によるITO/PEDOT:PSS/活性層/ZnO NPs/Al太陽電池を図3に示す。新規ハイブリッド有機光(太陽)電池は、アルミニウム電極と光活性層(活性層)との間にZnOナノ粒子層を含有することにより、増加した効率および安定性を有する。活性層は、有機相または有機−無機ナノ粒子層、例えば本発明の一実施形態によるセレン化カドミウムナノ粒子ポリ(3−ヘキシルチオフェン)複合材(CdSe/P3HT)であってもよい。有機半導体の電荷キャリア移動度より高い無機半導体の電荷キャリア移動度に起因して、無機ナノ粒子を組み込むことにより光生成電荷の収集の改善をもたらすことができる。CdSeではなく、他のIV族、II−VI族、III−V族、IV−VI族、I族−III−VI族半導体、およびこれらの半導体の合金(例えばSiGe1−x、ZnCd1−xSeTe1−y、PbS、PbSe、CdTe、CdTeSe1−y、ZnCd1−xTeSe1−y−z、InGa1−xAs、またはCu(InGa1−x)Se)もまた、ハイブリッド活性層に使用されるナノ粒子として用いることができる。使用可能な他の有機ポリマーおよびコポリマーの例は、1つまたは複数の置換または非置換反復単位、例えばチオフェン、フェニレンビニレン、フェニレンエチニレン、フルオレン、または、半導体特性ならびに可視および近赤外スペクトル領域において吸収を示すその他の共役ポリマーを含む有機ポリマーおよびコポリマーを含む。活性層は、入射光の十分な吸収を確実とするために、約50nmから約300nmの厚さであってもよい。
【0011】
ZnOナノ粒子層は、活性層と低仕事関数電極との間に位置し、活性層および電極の両方の少なくとも一部と電気的に接触し、一般には物理的に接触している。本発明の多くの実施形態において、活性層は、ZnOナノ粒子層で完全に被覆されている。ZnOナノ粒子層は、5nmから約50nmの厚さを有してもよく、当技術分野において知られている任意の流体プロセスを使用して形成され得る。例えば、ZnOナノ粒子層は、20mg/mlから40mg/mlのエタノール中ナノ粒子懸濁液から、スピンコーティングまたはインクジェット印刷により活性層の表面上に形成され得る。
【0012】
本発明の実施形態によれば、太陽電池は薄層デバイスである。図3に示されるように、デバイスは一般的に、ガラスまたはプラスチック等の透明基板上に形成され、基板上に透明高仕事関数電極が設けられる。透明高仕事関数電極は、正孔キャリアを収集するよう構成されている。この電極は、正孔注入層、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)上のポリ(3,4−エチレンジオキシレンチオフェン)−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)を備える二層電極であってもよい。ITOではなく、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、亜鉛スズ酸化物(ZTO)、銅インジウム酸化物(CIO)、銅亜鉛酸化物(CZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、およびカーボンナノチューブ系フィルムを含む、当技術分野において知られている他の導電性酸化物および金属ポリマー等の他の材料を、透明電極に使用することができる。低仕事関数金属対向電極は、例えばアルミニウム、または、本発明の他の実施形態においてはアルミニウムで被覆されたマグネシウム、カルシウム、バリウム、LiF、CsFもしくはCSCOであり、電子キャリアを収集する。光活性層、例えばCdSe/P3HT層は、吸収性および電荷分離性のバルクヘテロ接合層であり、これは、図3に示されるように、2つの電荷選択性電極の間に位置する。2つの電極間の仕事関数の差は、光生成された電子および正孔が対向する電極に向かって移動するための駆動力を提供する。
【0013】
驚くべきことに、本発明者らは、Al電極と活性層との間にZnOナノ粒子層を含有することにより、電力変換効率の増加が促進されるだけでなく、デバイスの劣化速度が大幅に低減されることを発見した。CdSe/P3HT系ハイブリッド太陽電池の電力変換効率は、図4に示されるように、活性CdSe/P3HT層とアルミニウム電極との間にZnOナノ粒子層が挿入されると、2.5倍増加する。最適化されていない開発中の太陽電池に関して、ZnOナノ粒子層を有さないハイブリッド太陽電池およびそれを有するハイブリッド太陽電池の電流密度対電圧を図5に示す。ZnOナノ粒子層を含有する太陽電池では電力変換効率が1.4%へ増加し、ZnOナノ粒子層を有さないがそれ以外は同等である太陽電池の電力変換効率が0.34%であるのに比べて、4倍の電力変換効率の増加が観察された。メカニズムに束縛されないが、効率が改善したのは、ZnOナノ粒子層によって、電子移動に対する界面障壁が低下したことに起因するものと考えられる。図4に示される電池のエネルギー準位図を図6に示す。図7aおよび7bに示されるように、ZnOナノ粒子層を含有することにより、デバイスの表面がZnOナノ粒子層を有さない同等のデバイスよりも滑らかであることも分かる。
【0014】
図8では、ZnOナノ粒子層を有さない電池と比較して、新しい太陽電池および使用された太陽電池における外部量子効率(EQE)が波長に対してプロットされているが、同図に見られるように、ZnOナノ粒子層を有するこれらのハイブリッド太陽電池では劣化速度の低減も生じる。メカニズムに束縛されないが、劣化耐性は、ZnOナノ粒子層によって、紫外線が吸収され、ならびに/または空気からCdSe/P3HT層への酸素および水の拡散(酸素および水が活性層と反応し得る)が低減されることによってもたらされる。この場合も、封入材を使用することなく安定性の改善が観察された。ZnO系ハイブリッド太陽電池の寿命は、封入材またはその他の外部包装材によりさらに改善することができると考えるのが妥当である。このハイブリッド有機/無機ナノ粒子太陽電池デバイスは、信頼性のある効率的な商品を可能にする。
【0015】
図9aおよび9bでは、薄いZnOナノ粒子層および厚いZnOナノ粒子層を有する電池において電流密度が電圧に対してプロットされているが、同図に見られるように、このハイブリッドデバイスの劣化は劇的に抑制された。空気中で45日後、薄いZnOナノ粒子層を有する太陽電池は、元の電力変換効率の64%を維持した(図9a)。空気中で45日後、厚いZnOナノ粒子層を有する太陽電池は、電力変換効率の84%を維持する結果となった(図9b)。太陽電池は両方とも、封入することなく周囲空気の存在下で使用した。図10に、ZnOナノ粒子層を有さない電池と比較した、薄いZnOナノ粒子層および厚いZnOナノ粒子層を有する電池における経時的な太陽電池の電力変換効率(PCE)のプロットを示すが、これは、本発明の一実施形態によるZnOナノ粒子層を有するデバイスの優れたPCEを実証している。
【0016】
本発明の一実施形態において、ZnOナノ粒子は、カルボン酸の亜鉛塩、例えば酢酸亜鉛を、極性非プロトン性溶媒、例えばジメチルスルホキシドに溶解し、亜鉛塩溶液を、水酸化テトラアルキルアンモニウムのアルコール溶液、例えば水酸化テトラメチルアンモニウムのエタノール溶液と混合することにより調製することができる。使用可能な他の極性非プロトン性溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)およびアセトニトリル(MeCN)を含むが、これらに限定されない。使用可能な他の水酸化テトラアルキルアンモニウム塩は、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、他の対称水酸化テトラアルキルアンモニウムおよび非対称水酸化テトラアルキルアンモニウムを含むが、これらに限定されない。使用可能な他のアルコールは、イソプロパノールおよびブタノールを含むが、これらに限定されない。典型的には、水酸化テトラアルキルアンモニウムの濃度は、亜鉛塩の濃度を超えるが、これは必須ではない。混合した後、6nm未満、例えば2nmから6nm、または3nmから4nmの平均直径を有するZnOナノ粒子が形成する。典型的には、溶液は撹拌しながら混合されるが、これは必須ではない。溶液は、標準室温で混合して維持することができる。所望の期間後、例えば1時間後、ZnOナノ粒子を形成させ、適切な技術により単離することができる。例えば、アルコールおよび炭化水素の混合物、例えばエタノールおよびヘプタンの混合物(エタノール−ヘプタン比は例えば1対4体積部である)により、ZnOナノ粒子から過剰の試薬を洗浄することができる。
【0017】
水酸化テトラアルキルアンモニウムおよび亜鉛塩の割合を制御することにより、得られるZnOナノ粒子は、孤立したナノスフェアの形態であるか、またはナノスフェアは、縮合した二量体、三量体、四量体またはさらに高次の凝集ZnOナノ粒子として結合し得る。二量体結合ZnOナノスフェアを図11に示す。光電池の特性および安定性の点で最高品質のZnOナノ粒子層は、高い割合の二量体結合ZnOナノスフェアを有するZnOナノ粒子から得られた。ZnOナノスフェアの光学特性を図12に示すが、370nmを超える波長ではごくわずかな吸収しか観察されず、近紫外光の吸収によるフォトルミネッセンスが、可視領域において発光している。
【0018】
材料および方法
3〜4nmの典型的な平均直径を有するZnOナノ粒子を、ゾル−ゲル法を用いて合成した。典型的な合成としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)中の酢酸亜鉛(0.1M、30mL)およびエタノール中の水酸化テトラメチルアンモニウム(0.55M、30mL)を、室温で1時間混合および撹拌し、エタノール:ヘプタン(体積比で1:4)で2回洗浄し、エタノール中で保存した。活性層へスピンコーティングした後、ZnOナノ粒子層の厚さは、溶液濃度および回転速度に応じて、5〜50nmであった。ZnOナノ粒子層の平均粗度(R)は、約3nmであった。
【0019】
ハイブリッド太陽電池の光起電特性は、擬似AM1.5太陽光を提供するOriel Xeアークランプを使用して測定した。Agilent 4155C半導体パラメータアナライザを使用して、暗闇および擬似AM1.5太陽光の下でのPVデバイスの電流密度−電圧(J−V)特性を測定した。KG1フィルタを有する較正済単結晶シリコン参照電池を用いて光強度を測定し、ASTM Standard E973に従いスペクトル不整合因子を補正した。
【0020】
本明細書において上記または下記に参照または引用されるすべての特許、特許出願、仮特許出願、および出版物は、本明細書の明示的な教示と矛盾しない範囲で、参照することによりすべての図および表を含むその全内容が組み入れられる。
【0021】
本明細書に記載される例および実施形態は例示のみを目的とすること、またその教示に照らした様々な修正または変更が当業者に示唆され、それらが本出願の精神および範囲内に含まれることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低仕事関数電極と、
有機ポリマーを含む光活性層であって、半導体特性を示し、可視または近赤外電磁放射線を吸収する光活性層と、
前記低仕事関数電極と前記光活性層との間に位置し、それらの少なくとも一部と電気的に接触するZnOナノ粒子層と、
前記光活性層と物理的および電気的に接触する二層電極を備える透明高仕事関数電極と
を備える、空気耐性光電池。
【請求項2】
前記低仕事関数電極が、アルミニウムを含む、請求項1に記載の光電池。
【請求項3】
前記低仕事関数電極が、アルミニウムで被覆されたマグネシウム、カルシウム、バリウム、LiF、CsF、またはCsCOの薄層を備える、請求項1に記載の光電池。
【請求項4】
前記光活性層が、無機ナノ粒子または有機−無機ナノ粒子複合材をさらに含む、請求項1に記載の光電池。
【請求項5】
前記有機−無機ナノ粒子複合材が、セレン化カドミウムナノ粒子ポリ(3−ヘキシルチオフェン)複合材(CdSe/P3HT)を含む、請求項4に記載の光電池。
【請求項6】
前記無機ナノ粒子が、IV族、II−VI族、III−V族、IV−VI族、I−III−VI族半導体または半導体合金を含む、請求項4に記載の光電池。
【請求項7】
前記IV族半導体が、ケイ素、ゲルマニウム、またはグラフェン、カーボンナノチューブ、フラーレンもしくはそれらの誘導体を含む炭素系材料を含む、請求項6に記載の光電池。
【請求項8】
前記半導体合金が、SiGe1−x、ZnCd1−xSeTe1−y、PbS、PbSe、CdTe、CdTeSe1−y、ZnCd1−xTeSe1−y−z、InGa1−xAsまたはCu(InGa1−x)Seを含む、請求項6に記載の光電池。
【請求項9】
前記有機ポリマーが、置換または非置換チオフェン、フェニレンビニレン、フェニレンエチニレン、フルオレンまたはこれらの任意の組合せを含む複数の反復単位を含む、請求項1に記載の光電池。
【請求項10】
前記透明高仕事関数電極が、インジウムスズ酸化物(ITO)上のポリ(3,4−エチレンジオキシレンチオフェン)−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)を含む、請求項1に記載の光電池。
【請求項11】
前記透明高仕事関数電極が、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、亜鉛スズ酸化物(ZTO)、銅インジウム酸化物(CIO)、銅亜鉛酸化物(CZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、またはカーボンナノチューブを含む、請求項1に記載の光電池。
【請求項12】
前記ZnOナノ粒子層が、5nmから50nmの厚さである、請求項1に記載の光電池。
【請求項13】
前記ZnOナノ粒子層の前記ZnOナノ粒子が、2nmから6nmの平均直径を有する、請求項1に記載の光電池。
【請求項14】
前記ZnOナノ粒子層が、約3nmの平均粗度を有する、請求項1に記載の光電池。
【請求項15】
前記ZnOナノ粒子層が、LiF、CsF、CsCO、CsOH、またはポリマーとのブレンドをさらに含む、請求項1に記載の光電池。
【請求項16】
前記ポリマーが、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ[9,9−ビス(6’(ジエタノールアミノ)ヘキシル)−フルオレン](PFO−OH)もしくはその4級化塩、またはポリ[9,9−ビス(3’−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル)−2,7−フルオレン]−alt−2,7−(9,9−ジオクチルフルオレン)](PF−NR2)もしくはその4級化塩を含む、請求項15に記載の光電池。
【請求項17】
前記ZnOナノ粒子層が、金属原子をドープされたZnOナノ粒子を含む、請求項1に記載の光電池。
【請求項18】
前記金属原子ドーパントが、Al、In、Sb、Mg、Gd、Ga、Cuまたはこれらの任意の組合せである、請求項1に記載の光電池。
【請求項19】
カルボン酸の亜鉛塩の極性非プロトン性溶媒中の溶液を提供するステップと、
水酸化テトラアルキルアンモニウムのアルコール溶液を提供するステップと、
前記亜鉛塩溶液を前記水酸化テトラアルキルアンモニウム溶液と混合して、ZnOナノ粒子を形成するステップと、
前記ZnOナノ粒子を単離するステップと
を含む、ZnOナノ粒子を製造する方法。
【請求項20】
前記亜鉛塩が、酢酸亜鉛である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記水酸化テトラアルキルアンモニウムが、水酸化テトラメチルアンモニウムである、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記極性非プロトン性溶媒が、ジメチルスルホキシドである、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記アルコールが、エタノールである、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記混合するステップが、室温で行われる、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記単離するステップが、アルコール−炭化水素混合物で洗浄するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記アルコール−炭化水素混合物が、エタノールおよびヘプタンを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記アルコール−炭化水素混合物が、炭化水素4体積部に対しアルコール約1体積部を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
複数の結合したZnOナノスフェアを含む、ZnOナノ粒子。
【請求項29】
前記結合したZnOナノスフェアが、二量体、三量体、四量体または五量体を含む、請求項28に記載のZnOナノスフェア。
【請求項30】
前記結合したZnOナノスフェアの大部分が二量体である、請求項29に記載のZnOナノスフェア。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−519965(P2012−519965A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553129(P2011−553129)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/026320
【国際公開番号】WO2010/102178
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(504433168)ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファウンデーション,インク. (10)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF FLORIDA RESEATCH FOUNDATION,INC.
【Fターム(参考)】