説明

空気浄化装置およびそれを内蔵した冷蔵庫

【課題】圧力損失が小さく、生産コストの安価な脱臭手段を有した空気浄化装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の空気浄化装置5は、通風路1と、この通風路1の内壁面2に膜状に設けられた脱臭手段3と送風手段4によって構成されるものであり、送風手段4が導入する空気6が通風路1を通過するときに脱臭手段3が空気6に含まれる臭気を除去するものである。この手段により、圧力損失が小さく、生産コストの安価な脱臭手段3を有した空気浄化装置5が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中の臭気を除去する空気浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の空気浄化装置の脱臭手段としては、通風路をその断面全体でせき止めるように配置された、直方体のフィルタ形式のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭60−166020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来の空気浄化装置に用いられる、通風路断面全体をせき止める方式の脱臭手段は圧力損失が高いという課題があった。また、近年では、冷蔵庫などの分野に於いては、大きな内容量と共に装置の小型化が求められ、庫内の脱臭を行う空気浄化装置は大きさや配置場所が制限されるようになってきた。そのため、図6に示すように、空気浄化装置の通風路は、その断面の形状が方形でなかったり複雑な形状であるという場合も多く、脱臭手段をその形状に加工することが困難で、生産コストが高いという課題があった。
【0004】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、圧力損失が小さく、また、生産コストが通風路断面形状に依存しない安価な脱臭手段を有する空気浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の空気浄化装置は、上記目的を達成するために、脱臭手段と送風手段と通風路を備え、前記脱臭手段が、前期通風路の内壁面上に膜状に設けられる構造を有したものである。
【0006】
この手段により、圧力損失が小さく、生産コストが通風路断面形状に依存しない安価な脱臭手段を備えた空気浄化装置が得られる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、脱臭手段を通風路の内壁面に膜状に設けることにより、低い圧力損失で通風路を空気が通過しながら空気中の臭気を除去することが可能で、かつ脱臭手段の生産コストを通風路断面形状に依存することなく安価に抑えた空気浄化装置を提供できる。
【0008】
また、通風路内壁面に配置する脱臭手段に脱臭材として粒状活性炭を用いることで、高い脱臭効率と低い圧力損失を有し、かつ脱臭手段の生産コストを通風路断面形状に依存することなく安価に抑えた空気浄化装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の請求項1記載の発明は、脱臭手段と送風手段と通風路を備え、前記脱臭手段は、前記通風路の内壁面上に膜状に設けられることを特徴とするものであり、低い圧力損失で通風路を空気が通過しながら空気中の臭気を除去し、かつ脱臭手段の生産コストを通風路断面形状に依存することなく安価に抑える作用を有する。
【0010】
また、脱臭手段は、粒状活性炭を脱臭材として用いることで、高い脱臭効率と低い圧力損失を有し、かつ脱臭手段の生産コストを通風路断面形状に依存することなく安価に抑える作用を有する。
【0011】
また、脱臭手段は、脱臭剤を配したシート材であることを特徴とするものであり、低い圧力損失で通風路を空気が通過しながら空気中の臭気を除去し、かつ脱臭手段の生産コストを通風路断面形状に依存することなく安価に抑える作用を有する。
【0012】
また、通風路が筒状の内壁を形成している場合において、脱臭手段は、通風路の内壁の形状にあわせてシート材を筒状に成型したものであり、この筒状の脱臭手段を通風路の上流側または下流側から挿入して形成されるものであり、様々な通風路の断面形状に適した形状で、かつ、容易に組み立て、取り付けができる空気浄化装置を提供することができる。
【0013】
また、脱臭手段を脱臭剤を配した波板材としたものであり、低い圧力損失で通風路を空気が通過しながら空気中の臭気を除去し、かつ脱臭手段の生産コストを通風路断面形状に依存することなく安価に抑える作用を有する。
【0014】
また、通風路が筒状の内壁を形成している場合において、脱臭手段は、波板材を用いて、この波板の折り目の方向を通風方向と平行にし、波板材を屈曲させて通風路の内壁に貼り付けられるものであり、様々な通風路の断面形状に適した形状で、かつ、容易に組み立て、取り付けができる空気浄化装置を提供することができる。
【0015】
また、波板材に平板材を貼り合せて構成したものであり、低い圧力損失で通風路を空気が通過しながら空気中の臭気を除去する作用と、波板材の形状を安定させ、脱臭手段の生産コストを通風路断面形状に依存することなく安価に抑える作用を有する。
【0016】
また、脱臭手段を通風路の内壁に貼り付ける際、屈曲部となる位置で平板材を切断するものであり、表裏に平板材を貼り付けて波板材の形状を安定化した場合においても様々な通風路の断面形状に適した形状を実現することができる。
【0017】
また、脱臭手段の波板材、および平板材は、紙と脱臭剤を主原料として構成されるものであり、低い圧力損失で通風路を空気が通過しながら空気中の臭気を除去する作用と、板材の加工性を高め、脱臭手段の生産コストを通風路断面形状に依存することなく安価に抑える作用を有する。
【0018】
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態による空気浄化装置5は、図1に示すように、通風路1と、この通風路1の内壁面2に膜状に貼り付けるように設けた脱臭手段3と、送風手段4によって構成される。脱臭手段3は、詳しくは、図2に示すように、網目状シート12に粒状活性炭11を添着して構成されている。
【0019】
このような構成の空気浄化装置5は、送風手段4が導入する空気6が通風路1を通過するときに脱臭手段3が空気6に含まれる臭気を除去するものである。
【0020】
このような構成によれば、図6に示すような、従来の脱臭手段103を通風路101の断面に平行に配置して空気を垂直に受け止める従来の方式に比べて空気6が通風路1を通過するときの圧力損失を低くすることができる。また、脱臭手段3の形態として一般的に知られるハニカム状のものの中で、図1に示すような曲線を含む断面形状や多角形などの断面形状を持つ通風路1に適用させる場合は、その加工が困難で生産コストが高くなるが、本方式の脱臭手段3は、例えば薄膜状に加工された状態で内壁面2に沿って貼り付けて配置するものであるため、通風路1が特殊な断面形状であっても、加工が困難になることはなく、安価に生産することが可能である。
【0021】
また、通風路1の内壁面2に脱臭手段3を膜状に配置するには、内壁面2上に脱臭剤を塗装する方法などが考えられるが、脱臭効率を高めるために多量の脱臭剤を塗布することは、塗装膜の固着性を損なうことになり不都合である。そのため、粒状活性炭11を平面状に配置したものであれば、塗装膜であるよりも多くの量の脱臭剤がひとかたまりの粒となっていて、見かけ上は厚みの大きい塗装膜のはたらきをして、脱臭効率を高めることが可能となる。
【0022】
図3に示すのは、脱臭手段3として、脱臭剤を含んだ平板材を通風路1の断面形状に合わせて加工して、内壁面2上に配置したものである。通風路1の内壁面2に脱臭剤を塗装するよりも加工が容易で、特に通風路1が長い場合には、脱臭手段3を通風路の開放部から挿入することで簡単に配置することができる。
【0023】
また、脱臭手段3としては、紙と脱臭剤を主原料として構成された板材を基材としてもちいる。このような構成により、脱臭剤が紙の繊維間に保持されるため、多量の脱臭剤を含むことが可能であり、通風路1の内壁面2に塗装膜を形成する場合に比べて脱臭効率が高い。また、この板材であれば平板の状態でも、波板状に加工してからでも通風路形状に合わせた加工をすることが可能である。
【0024】
なお、このような空気浄化装置5は、冷蔵庫のような取付場所に制限のある機器に適したものである。
【0025】
(実施の形態2)
図4に示すように、脱臭手段3は、脱臭剤を含んだ波板材を通風路1の断面形状に合わせて加工して、内壁面2上に配置したものである。通風路1の内壁面2に脱臭剤を塗装するよりも加工が容易で、特に通風路1が長い場合には、脱臭手段3を通風路の開放部から挿入することで簡単に配置することができる。また、平板状であるよりも脱臭手段3の表面積が大きいため、脱臭効率が高くなる。
【0026】
(実施の形態3)
また、第3の実施の形態は、図5に示すように、波板材21に平板材22を貼り合わせて構成するものである。このような構成によれば、通風路の断面形状に合わせて加工するときに形状が安定し、通風路1内に挿入するときの作業性がよい。また、通風路の壁面の屈曲部においては、脱臭手段3の平板材を波板材の折り目に沿って切断することにより、通風路の断面形状に適した形状に容易に加工することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の空気浄化装置を臭気の存在する雰囲気中で運転することにより、空気中の臭気を除去する用途に使うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態1の空気浄化装置の説明図
【図2】本発明の実施の形態1の脱臭手段の説明図
【図3】本発明の実施の形態1の脱臭手段の説明図
【図4】本発明の実施の形態2の脱臭手段の説明図
【図5】本発明の実施の形態3の脱臭手段の説明図
【図6】従来のの脱臭フィルタの説明図
【符号の説明】
【0029】
1 通風路
2 内壁面
3 脱臭手段
4 送風手段
5 空気浄化装置
6 空気
11 粒状活性炭
12 網目状シート
21 波板材
22 平板材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱臭手段と送風手段と通風路を備え、前記脱臭手段は、前記通風路の内壁面上に膜状に設けられることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項2】
前記脱臭手段は、粒状活性炭を脱臭材として用いることを特徴とする請求項1記載の空気浄化装置。
【請求項3】
前記脱臭手段は、脱臭剤を配したシート材であることを特徴とする請求項1または2記載の空気浄化装置。
【請求項4】
前記通風路が筒状の内壁を形成している場合において、前記脱臭手段は、前記通風路の内壁の形状にあわせて前記シート材を筒状に成型したものであり、この筒状の脱臭手段を通風路の上流側または下流側から挿入して形成される請求項3記載の空気浄化装置。
【請求項5】
前記脱臭手段は、、脱臭剤を配した波板材であることを特徴とする請求項1または2記載の空気浄化装置。
【請求項6】
前記通風路が筒状の内壁を形成している場合において、前記脱臭手段は、前記波板材を用いて、この波板の折り目の方向を通風方向と平行にし、前記波板材を屈曲させて前記通風路の内壁に貼り付けられることを特徴とする請求項5記載の空気浄化装置。
【請求項7】
前記脱臭手段は、波板材に平板材を貼り合わせて構成されることを特徴とする請求項5、または6に記載の空気浄化装置。
【請求項8】
前記脱臭手段を前記通風路の内壁に貼り付ける際、屈曲部となる位置で平板材を切断することを特長とする請求項7記載の空気浄化装置。
【請求項9】
前記脱臭手段の波板材、および平板材は、紙と脱臭剤を主原料として構成されることを特徴とする請求項3〜8いずれかひとつに記載の空気浄化装置。
【請求項10】
請求項1〜9いずれかひとつに記載の空気浄化装置を庫内に設けた冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−189602(P2009−189602A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34150(P2008−34150)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】