説明

空気浄化装置

【課題】 装飾品として設置しておくだけで、効率よく広範囲の空気を浄化することができる空気浄化装置を提供すること。
【解決手段】 中空の容器1の外面に人造植物2を取り付け、人造植物2の表面に、触媒反応による空気浄化機能を有する触媒体を付着させ、容器1に外界の空気を吸入する吸気口3を形成し、人造植物2に向かって吸入した空気を吹き出す噴気口4を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
屋内の空気中には、建材から発生するホルムアルデヒド、衛生設備で使用する水中の塩素から生成されるトリハロメタン等の有害な有機化合物が含まれており、近年、このような有機化合物によって引き起こされるシックハウス症候群が問題となっている。
また、トイレや浴室は密閉されて、湿気が強いため、黴や細菌が繁殖し、悪臭が発生しやすい。
さらに、屋外でも、自動車の排気ガスに含まれる窒素酸化物等の有害有機物により、大気汚染が進行している。
【0003】
そこで、装飾品として設置しておくだけで、有害な有機化合物を分解除去することができ、吸音効果も有するものとして、造花の表面に光触媒酸化チタン及びリン酸チタニア系化合物のいずれか又は双方をコーティングした構造体が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、この構造体では、造花に偶然接触した空気を浄化するだけであって、有効範囲がきわめて狭い空間に限られてしまい、非常に効率が悪く、広範囲の空気を浄化するためには、エアコンや扇風機が必要になる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−190814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、装飾品として設置しておくだけで、効率よく広範囲の空気を浄化することができる空気浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の空気浄化装置は、中空の容器の外面に人造植物を取り付け、該人造植物の表面に、触媒反応による空気浄化機能を有する触媒体を付着させ、前記容器に外界の空気を吸入する吸気口を形成し、前記人造植物に向かって吸入した空気を吹き出す噴気口を形成してある。
前記容器の内部に、前記吸気口から噴気口に至る流路を横切って空気浄化フィルタを設置することが望ましい。
この場合、前記空気浄化フィルタに光触媒体を付着させ、前記容器内に、前記光触媒体の光触媒機能を励起する波長の光線を、前記空気浄化フィルタへ向けて照射する光源を設置しても良い。
また、前記容器に取り外し可能なパネルを設け、該パネルに前記人造植物を植設しても良い。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、汚れた空気を強制的に流動させて触媒体に向けて吹き付けるので、触媒体による触媒反応が助長され、広範囲の空気を効率よく浄化することができる。
また、触媒体は人造植物に付着されているため、装飾効果が高く、室内等に設置していても違和感がない。
請求項2及び3に係る発明によれば、いったん空気浄化フィルタによって浄化された空気を、さらに人造植物に付着した触媒体の触媒反応によって浄化するので、空気をいっそう確実に清浄なものとすることが可能である。
請求項4に係る発明によれば、容器内のメインテナンスが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0009】
図1及び図2は、本発明の実施例1を示す。
図1に示すように、本発明の空気浄化装置は、中空の容器1の外面に人造植物2を植設し、人造植物2の表面に、触媒反応による空気浄化機能を有する触媒体を付着させて成る。
人造植物2は、花、観葉植物、盆栽等を模したものであるが、できるだけ表面積が広くなる形状とするのが好ましい。
また、人造植物2は、プラスチック、布帛等を素材とし、触媒反応により人造植物2の素材自体が分解されないように、その表面にシリカゲル、過酸化チタンゾル等を塗布して保護層を形成する。
【0010】
人造植物2に付着される触媒体としては、光を受けて反応し、有害有機物を分解除去して空気を浄化する光触媒体や、暗い場所でも、酸化反応によって有機物を分解する酸化触媒体等がある。
光触媒体には、TiO2、ZnO、SrTiO3等があり、通常は紫外線によって光触媒機能が励起されるが、可視光線により励起されるものもある。これらの光触媒体の内、TiO2は安価で安定しており、無害なので利用しやすい。
酸化触媒体としては、鉄、マンガン、ニッケル等の酸化物がある。
また、防黴殺菌機能を補完するために、触媒体にPt、Ag、Cu、Nb等の粒子を微量混入することもできる。
【0011】
容器1は、植木鉢のような外観を呈し、その側面下部に吸気口3を形成してある。また、容器1の上面は取り外し可能なパネル11となっており、このパネル11に人造植物2を植設すると共に、複数の噴気口4を形成してある。
図2に示すように、容器1の内部には、吸気口3に臨んで吸気ファン5が設置されると共に、吸気ファン5を駆動するモータ6及びモータ6の電源である蓄電池7が設置される。
吸気ファン5が作動すると、外界の汚れた空気が吸気口3から容器1内へ吸引され、容器1の内部を通って上面の噴気口4から人造植物2の触媒体に向かって吹き付けられ、触媒体に接触した有害有機物が触媒反応によって分解される。
従って、比較的広い範囲の空気を強制的に触媒体へ接触させることができ、空気中の有害な有機物が効率よく分解される。
【実施例2】
【0012】
図3は、本発明の実施例2を示す。
図3に示すように、容器1は壁掛け用花器のような外観であり、その上下面にそれぞれ吸気口3が形成される。
容器1の正面には、人造植物2が取り付けられると共に、人造植物2に空気を吹き付ける複数の噴気口4が形成される。
その他の構成は、実施例1とほぼ同様である。
この空気浄化装置によれば、容器1の上下面に形成された吸気口3を通して、上方の空気及び下方の空気を効率的に容器1の内部に取り込むことができ、この取り込んだ空気を正面の噴気口4を通して、人造植物2に付着された触媒体に吹き付け、空気中に含有される有機物を触媒反応によって分解除去することができる。
【実施例3】
【0013】
図4は、本発明の実施例3を示す。
縦長の植木鉢状に形成された容器1の上面を取り外し可能なパネル11とし、パネル11に人造植物2を植設すると共に、噴気口4を形成する。また、人造植物2の表面には、実施例1と同様の触媒体を付着させる。
容器1の底部には支持脚10が設けられて、容器1の下面が浮いた状態で支持されるようになっており、この下面に吸気口3が形成される。
容器1の内部には、吸気口3の内側に臨んで吸気ファン5が設けられ、吸気ファン5を駆動するモータ6及びモータ6の電源となる蓄電池7が設置される。
【0014】
容器1の内部には、吸気口3から噴気口4に至る空気の流路を横切るように、複数の(図に示す例では3枚の)空気浄化フィルタ8が設置され、空気浄化フィルタ8の間にそれぞれ光源9が配置されている。
空気浄化フィルタ8にはTiO2等の光触媒体が付着される。空気浄化フィルタ8が金属等の無機素材より成る場合には、その表面に光触媒体を付着させるが、有機素材より成る場合には、表面にシリカゲル、過酸化チタンゾル等を塗布して保護層を形成してから光触媒体を付着させる。
【0015】
光源9は、蓄電池7を電源とする蛍光灯、ブラックライト等から成り、空気浄化フィルタ8に付着された光触媒体にむけて、その光触媒機能を励起する波長の光を照射するようになっている。
従って、容器1の外部の空気が吸気口3から容器1内へ吸入され、噴気口4に達する過程で空気浄化フィルタ8を通過し、この際に光触媒体に接触して、空気中に含まれる有害有機物が分解除去される。
そして、ある程度浄化された空気が、噴気口4から人造植物2に向けて吹き出され、人造植物2の表面に付着した触媒体に接触して、さらに浄化される。
【実施例4】
【0016】
図5は、実施例4を示す。
植木鉢状の容器1の上面を取り外し可能なパネル11とし、このパネル11に人造植物2が植設される。
人造植物2は、下端が開口した中空の幹部12を有し、幹部12の下端部がパネル11を貫通して容器1内へ差し込まれている。また、幹部12の上部には多数の噴気口4が形成され、幹部12の上部に装着された花、葉等の表面には触媒体が付着されている。
その他の構成は実施例1又は実施例3とほぼ同様なので、同一部分に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施例の空気浄化装置では、吸気口3から容器1内へ吸引された空気が、人造植物2の幹部12内に吹き込まれる。
そして、幹部12を通過してその上部に形成された噴気口4から人造植物2の花や葉にに吹き付けられ、この部分に付着した触媒体に接触して浄化される。
【0017】
なお、壁掛け型の容器1の内部に光り触媒体を付着させた空気浄化フィルタ及び光源を設置しても良い。
また、空気浄化フィルタは、1枚のみ設置しても良い。さらに、空気浄化フィルタの表面に、光触媒体に代えて、他の触媒反応により有害有機物を分解除去する触媒体を付着させることもできる。或いは、空気浄化フィルタを、吸着によって有害物質を除去するフィルタ、例えば、HEPAフィルタ等とすることもできる。勿論、この場合には、光源は不要となる。
また、噴気口4の内側に臨んで排気ファンを設置しても良く、電源として蓄電池を用いず、室内コンセント等の外部電源と光源或いはモータを導電線によって接続することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1を示す空気浄化装置の斜視図。
【図2】本発明の実施例1を示す空気浄化装置の断面図。
【図3】本発明の実施例2を示す空気浄化装置の斜視図。
【図4】本発明の実施例3を示す空気浄化装置の断面図。
【図5】本発明の実施例4を示す空気浄化装置の断面図。
【符号の説明】
【0019】
1 容器
2 人造植物
3 吸気口
4 噴気口
5 吸気ファン
6 モータ
7 蓄電池
8 空気浄化フィルタ
9 光源
10 支持脚
11 パネル
12 幹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の容器の外面に人造植物を取り付け、該人造植物の表面に、触媒反応による空気浄化機能を有する触媒体を付着させ、前記容器に外界の空気を吸入する吸気口を形成し、前記人造植物に向かって吸入した空気を吹き出す噴気口を形成したことを特徴とする空気浄化装置。
【請求項2】
前記容器の内部に、前記吸気口から噴気口に至る流路を横切って空気浄化フィルタを設置した請求項1に記載の空気浄化装置。
【請求項3】
前記空気浄化フィルタに光触媒体を付着させ、前記容器内に、前記光触媒体の光触媒機能を励起する波長の光線を、前記空気浄化フィルタへ向けて照射する光源を設置した請求項2に記載の空気浄化装置。
【請求項4】
前記容器に取り外し可能なパネルを設け、該パネルに前記人造植物を植設した請求項1乃至3のいずれかに記載の空気浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−110073(P2006−110073A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−300313(P2004−300313)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(503355007)株式会社かこうクリーン・フローラ (1)
【Fターム(参考)】