説明

空気清浄システム

【課題】 集合住宅におけるエントランスから各住戸までの間においても十分な空気清浄化を実現する空気清浄システムを提供する。
【解決手段】 空気清浄システムは、人体や衣服等に付着した花粉等の微小物を吹き飛ばして除去する微小物除去装置10と、空気清浄を行う空気清浄装置20と、空気中の有害物質や余分な湿気を吸着・吸収する吸着壁材30とを有して構成される。これら微小物除去装置10、空気清浄装置20及び吸着壁材30は、集合住宅の集合玄関から各住戸までの通路又はエントランスホール等に配置され、空気清浄化を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄システムに関し、特に、集合住宅や施設等における空気清浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空気中に飛散する花粉量の増大等により、花粉症に苦しむ人が急増している。また、新種のウイルスによるインフルエンザ等の被害も世界各地で発生しており、医療機関はその対応に追われている。
これらのような空気汚染を原因とする様々な健康被害は、世界レベルで深刻な社会問題となっている。
特に、不特定多数の人物が往来、集合する場所では、花粉、ホコリ、ウイルス等の微小物が持ち込まれやすく、前述したような健康被害が発生する可能性が高い。
以上のような背景から、不特定多数の人物が往来、集合するマンション等の集合住宅では、生活空間における空気の清浄化に対する関心がますます高まっている。
【0003】
このようなマンション等の集合住宅における空気清浄化を目的とするものとして、特許文献1が開示するところの空気清浄化システムが提案されている。
この特許文献1に開示される空気清浄化システムは、集合住宅の各住戸の床下に、空調機からの風が通る通路を設け、風はこの通路から通気性のある床材を通して室内に流れる。また、この床材には空気浄化材が含まれており、この床材を通って室内に風が流れる際に空気を効率的に浄化することができる。
【0004】
また、その他、空気清浄化を目的とするものとして、特許文献2が開示するところのエレベータの運転装置が提案されている。
この特許文献2では、エレベータかご内や乗場に設置された空気清浄機は、エレベータの乗客に風を当て吸引することで、花粉等の微小物質を除去し空気を清浄化する。このとき、花粉の飛散量に応じて風量の調節を行うことで、電気代の節約や乗客の不快感をなくすことができる。
【特許文献1】特開2004−347298
【特許文献2】特開2005−75579
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の特許文献1,2にそれぞれ開示されるシステム等には、以下のような問題がある。
特許文献1に開示される空気清浄化システムでは、確かに集合住宅の各住戸内における空気清浄化はできるものの、結局集合住宅におけるエントランスから各住戸までの間は十分に空気清浄化を行えないという問題がある。
また、特許文献2に開示される空気清浄機は、衣服等に付いた花粉等を吹き飛ばして除去できるものの、その除去する場所をエレベータかご内や乗場に限るため、十分に除去できないおそれがあるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、集合住宅におけるエントランスから各住戸までの間においても十分な空気清浄化を実現する空気清浄システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため、本発明における空気清浄システムは、集合住宅における集合玄関から各住戸までの空間において、空気の清浄化を行う装置を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、集合住宅における集合玄関から各住戸までの空間に設置される空気清浄システムであって、所定風量以上の空気を吹き付けて人体又は衣服に付着した微小物を吹き飛ばし、該吹き飛ばした微小物を吸引する微小物除去装置と、空間における空気を吸気し、該吸引した空気から微小物を除去し、該微小物を除去した空気を排気する空気清浄装置と、空間の壁面に配設され、空間における空気中の有害物質を吸着するとともに、該空気の中の水分の調整を行うセラミック製の部材である吸着壁材と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、その空気清浄装置は、集合玄関から各住戸までの屈曲迷路状の通路に設置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、集合住宅の集合玄関から各住戸までの通路等に微小物除去装置、空気清浄装置、吸着壁材等の清浄化機器や部材を配置したので、効果的な空気清浄化を実現し、集合住宅の各住戸に花粉等の微小物が侵入することを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施の形態における空気清浄システムを示す斜視図である。
図に示すように、空気清浄システムは、人体や衣服等に付着した花粉等の微小物を吹き飛ばして除去する微小物除去装置10と、空気清浄を行う空気清浄装置20と、空気中の有害物質や余分な湿気を吸着・吸収する吸着壁材30とを有して構成される。
これら図に示すように、これら微小物除去装置10、空気清浄装置20及び吸着壁材30が、集合住宅の集合玄関から各住戸までの通路又はエントランスホール等に配置され、これらの空気清浄化を行う。なお、この通路又はエントランスホールは、内廊下設計、すなわち外と遮断された密閉状態を保っているものとする。
換言すると、エントランスから各住戸の入口までは直接外気とふれることのない構造となっているものとする。
【0012】
図2は、前述の微小物除去装置10の外観を示す図である。
この微小物除去装置10は、いわゆるエアシャワー装置としての機能を備えるものである。
この微小物除去装置10にはファンが備えられ、このファンにより送り出される所定以上の風量の空気を送り出せるようになっている。このファンにより作り出された空気は、微小物除去装置10の天井部分や側面部分等に所定以上設けられている吹出口11から吹き出すようになっている。
集合住宅の住人等は、微小物除去装置10に設けられたスイッチ等を押下すると、ファンが稼動して吹出口11から風が吹き出し、人体や衣服等に付着した花粉、ホコリ、有害化学物質、ウイルス等の微小物を吹き飛ばす。
吹き飛ばされた微小物は、微小物除去装置10の床面部分や側面部分等に設置されている吸込口12に空気とともに吸い込まれる。
この吸い込まれた微小物は、フィルター等(例えばHEPAフィルター)の微小物除去部により除去された後、排出される。
このように、外出から帰ってきた住人の身体や衣服に所定以上の風量の風を当て吸引することで、住人の身体や衣服に付着した微小物を容易に除去し、集合住宅内にこれらの微小物を持ち込まないようにすることができる。
なお、この微小物除去装置10は、通路やエントランスホールの一角、又はこの通路やエントランスホールの途中から入室可能な、密閉された小部屋内に設置される。このように密閉された小部屋内に設置したときには、吹き飛ばした微小物を周囲に飛散させずに効率よく除去することができる。
【0013】
空気清浄装置20には空気を吸い込む吸気口が設けられており、この吸気口から吸い込んだ空気は、フィルター等(例えばHEPAフィルター)を通すことで微小物が除去され清浄化される。この清浄化された空気は排気口から排気される。
また、この空気清浄装置20からは、プラズマクラスターイオンが送出するようになっており、空気中の花粉、ウイルス、におい等を不活性化する。
空気清浄装置20は、このような空気中の微小物の除去動作を連続的又は断続的に行う。
【0014】
吸着壁材30は、集合住宅の集合玄関から各住戸までの間のホールや通路の壁面に配置される部材であり、例えばシリカゲルを含有したセメントやコンクリートの成型品である。
この吸着壁材30は、集合住宅内の湿度が一定以上になると空気中の水分を吸収し、一定以下になると自身に蓄積している水分を発散する。このように、吸着壁材30は、集合住宅内を快適な湿度に保つように空気中の水分を調整することができ、ダニやカビ等の繁殖を抑制することができる。
また、吸着壁材30は、シックハウスの原因となるホルムアルデヒド、窒素酸化物、硫黄酸化物等の環境汚染物質も吸収するので、集合住宅内の空気を効果的に清浄化することができる。
【0015】
また、図に示すように、集合玄関から各住戸までの通路は、屈曲迷路状に形成されており、集合玄関の扉が開扉したときに、花粉やチリ等の微小物が集合住宅の奥まで流入して来ないようになっている。また、その通路途中には、微小物の流入を防ぐために適宜扉を設けてもよい。
このように、迷路状に形成された通路上に、微小物除去装置10、空気清浄装置20及び吸着壁材30を配設することで、大勢の人が出入りし花粉等の微小物が大量に侵入するおそれのある集合住宅においても、その侵入を最小限に抑え侵入した微量の微小物を効果的に除去することができ、さらに他の有害物質や湿度も吸収し、快適な住空間を容易につくりだすことが可能となる。
【0016】
また、微小物除去装置10を、住人等がある程度の時間自然に立ち止まるような場所に配置し、微小物の除去処理を行うことにより、住人等はわざわざ微小物の除去のためだけに立ち止まることなく身体や衣服に付着した微小物を効果的に除去することができる。
例えば、入館に暗証番号入力が必要な集合玄関、エレベータ乗場、又はエレベータかご内等、住人等が必ず立ち止まる場所に微小物除去装置10を設置し、風を吹き付けて吸引することで、その効果が期待できる。
【0017】
また、その通路の形状に応じて、空気清浄装置20を適切な場所に配置することにより、空気清浄化の効果をさらに向上させることができる。
図3は、その空気清浄装置20の設置場所のパターンを示す図である。
図に示すように、集合玄関から各住戸までを、何箇所か90度に曲折した1本の通路で結び、この通路を外気からほぼ遮断することで、住戸の方まで花粉等が持ち込まれないようにしている。
花粉等の微小物は、玄関から直接流入したり、人体や衣服から離れたりすると、構造上、通路の角に滞留しやすい。このことから、その通路の各角に空気清浄装置20を設置することで、空気を効率良く清浄化することが可能となる。
また、空気清浄装置20は、各角の壁面だけでなく、天井や床に設置することで、空気中の微小物をさらに効率よく除去することができる。
【0018】
また、微小物除去装置10の吸込口12や空気清浄装置20の吸気口の設置場所によっては、さらに微小物の除去を効果的に行うことができる。
図4は、その吸込口12や吸気口の設置例を示す図である。
図に示すように、通路、集合玄関、エントランスホール、エレベータ乗場等に段差が設けられている場合、その段の側面に微小物除去装置10の吸込口12や空気清浄装置20の吸気口を設けることで、下段の床に落ちた微小物を効率よく吸い込むことができ、効果的に空気の正常化を行うことができる。
【0019】
以上説明したように、本実施の形態では、集合住宅の集合玄関から各住戸までの通路やその他、エントランスホールやエレベータ、玄関等の集合住宅の各施設に微小物除去装置10、空気清浄装置20及び吸着壁材30を配置することで、効果的に空気の清浄化を行うことが可能となる。
【0020】
なお、上記の実施例は本発明の好適な実施の一例であり、本発明の実施例は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態における空気清浄システムを示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態における微小物除去装置の外観を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態における空気清浄装置の設置場所のパターンを示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態における吸込口や吸気口の設置例を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
10 微小物除去装置
11 吹出口
12 吸込口
20 空気清浄装置
30 吸着壁材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅における集合玄関から各住戸までの空間において、空気の清浄化を行う装置を備えたことを特徴とする空気清浄システム。
【請求項2】
集合住宅における集合玄関から各住戸までの空間に設置されるシステムであって、
所定風量以上の空気を吹き付けて人体又は衣服に付着した微小物を吹き飛ばし、該吹き飛ばした微小物を吸引する微小物除去装置と、
前記空間における空気を吸気し、該吸引した空気から微小物を除去し、該微小物を除去した空気を排気する空気清浄装置と、
前記空間の壁面に配設され、前記空間における空気中の有害物質を吸着するとともに、該空気の中の水分の調整を行うセラミック製の部材である吸着壁材と、
を有することを特徴とする空気清浄システム。
【請求項3】
前記空気清浄装置は、前記集合玄関から各住戸までの屈曲迷路状の通路に設置されていることを特徴とする請求項2記載の空気清浄システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−175161(P2007−175161A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−375056(P2005−375056)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(501268217)マツヤハウジング株式会社 (1)
【Fターム(参考)】