説明

空気清浄機及び空気清浄システム

【課題】簡単な構成で室内全体を満遍なく、且つ効率良く除塵することができるようにした空気清浄システムと、そのシステムに好適な空気清浄機を提供する。
【解決手段】室内空間30に複数の空気清浄機10を互いに離間して配置し、空気清浄機10が、空気吸入口11c及び空気排出口11aを有する筐体11と、空気吸入口11c側に配置しプラスに帯電して空気中の塵埃を除去する電極フィルタ部14と、電極フィルタ部14を透過した空気を圧送して空気排出口11aから吐出させて空気流を発生する空気圧送部12と、空気流をイオン化状態にするマイナスイオン発生部13とを備え、各空気清浄機10の空気排出口11aを他の空気清浄機10に向けて配置し、各空気清浄機10から他の空気清浄機10に到達したイオン化状態の空気流をその空気清浄機10の空気吸入口11cから取り込んで空気中の塵埃を除去するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内空間の空気中に浮遊した塵埃を除去する空気清浄機及び空気清浄システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気中の塵埃を除去する装置として空気清浄機が使用されている。空気清浄機とは、空気集塵機と称される装置や、一般的な空気集塵機に比べて空気中の塵埃の除去能力が高い装置や、塵埃と共に臭い成分などを除去できる装置などである。
空気集塵機や空気清浄機として、空気吸引口及び空気排出口を有する筐体内に空気吸引手段が設けられると共に空気吸引口にフィルタが設けられ、空気吸引手段により空気を吸引する際、空気中に含まれる塵埃がフィルタにより除去されるように構成されたものが知られている。
フィルタとしては、例えば空気集塵機では、各種のメッシュ、布、紙製のフィルタが使用されており、塵埃の除去効率の高い紙製のヘパフィルタが用いられることもある。また、空気清浄機では、空気吸引口から吸引される空気流に沿って複数枚の金属板が互いに並置されたものが使用されることがある(例えば下記特許文献1参照)。この金属板を用いたフィルタには、電気が供給されており、室内空間の空気を空気吸引口から吸引する際、帯電した金属板間に空気を通過させることで、空気中に含まれる塵埃が金属板に静電気的に付着して分離できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−31200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような金属板製のフィルタが装着された空気清浄機では、空気清浄機に設けられた空気吸引手段によって周囲の空気を吸引し、この空気を帯電したフィルタに通過させている。そのため、空気清浄機から離れた位置に存在する空気中の塵埃を除去することが容易でなかった。
パチンコ店等の遊技場では、タバコの煙粒子を含む塵埃が多量に存在することが多く、室内全体の空気中に含まれる塵埃を十分に除去して、快適な遊技環境を提供することが望まれている。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、室内空間の広い範囲に存在する塵埃を効率良く除去できる空気清浄システムを提供すると共に、この空気清浄システムに好適に使用できる空気清浄機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明の空気清浄システムは、室内空間に複数の空気清浄機が互いに離間して配置された空気清浄システムであり、各空気清浄機は、空気吸入口及び空気排出口を有する筐体と、空気吸入口側に配置され、プラスに帯電して空気吸入口から流入する空気中の塵埃を除去する電極フィルタ部と、電極フィルタ部を透過した空気を圧送することで空気排出口から吐出して空気流を発生させる空気圧送部と、空気圧送部から空気排出口までの空気流路に配置されて空気流をイオン化状態にするマイナスイオン発生部とを備え、各空気清浄機の空気排出口が他の空気清浄機に向けて配置され、各空気清浄機の空気排出口から排出されて他の空気清浄機に到達したイオン化状態の空気流が空気清浄機の空気吸入口から取り込まれることにより空気中の塵埃を除去する構成を備えている。
複数の空気清浄機は各空気清浄機で発生する空気流により室内空間に循環流を形成するように配置されているのがよい。
【0007】
上記目的を達成する本発明の空気清浄機は、空気吸入口及び空気排出口を有する筐体と、空気吸入口側に配置され、プラスに帯電して空気吸入口から流入する空気中の塵埃を除去する電極フィルタ部と、電極フィルタ部を透過した空気を圧送することで空気排出口から吐出して空気流を発生させる空気圧送部と、空気圧送部から空気排出口までの空気流路に配置されたマイナスイオン発生部と、マイナスイオン発生部に付着した汚れを除去するクリーナ部とを備えている。
【0008】
クリーナ部は、空気圧送部で生じる空気流により揺動可能に空気流路に配置された風圧揺動片を有し、風圧揺動片が揺動することでイオン発生部に接触してイオン発生部に堆積した塵埃を払い落とす構成を備えるのがよい。
【0009】
クリーナ部は、マイナスイオン発生部に洗浄液を供給してマイナスイオン発生部に付着した汚れを洗浄する洗浄装置を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の空気清浄システムによれば、室内空間に互いに離間して配置された複数の空気清浄機が、プラスに帯電して空気吸入口から流入する空気中の塵埃を除去する電極フィルタ部と、空気を圧送して空気流を発生させる空気圧送部と、空気流をイオン化状態にするマイナスイオン発生部とを備えており、しかも各空気清浄機の空気排出口が他の空気清浄機に向けて配置されている。よって、各空気清浄機から排出されて他の空気清浄機に到達した空気流はイオン化状態で、この空気流が他の空気清浄機の空気吸入口から取り込まれることで塵埃が除去される。
そのためイオン化状態で空気流が電極フィルタ部を通過することで塵埃を除去するため効率良く塵埃を除去でき、室内空間の広い範囲に存在する塵埃を満遍なく、且つ効率良く除去できる空気清浄システムを提供することができる。
【0011】
本発明の空気清浄機によれば、空気圧送部から空気排出口までの空気流路にマイナスイオン発生部が配置されており、空気圧送部により圧送された空気にマイナスイオンを発生させて空気排出口から吐出することで空気流を発生させるので、空気流によりマイナスイオンをより離れた空間にまで供給することができ、室内空間の広い範囲に浮遊してプラスを帯びた塵埃にマイナスイオンを接触させることができる。また空気吸入口側に配置されて空気中の塵埃を除去する電極フィルタ部がプラスに帯電しており、電極フィルタ部の近傍に電場が生じているので、マイナスイオンと接触することで電極フィルタ部に引き寄せられ易くなった塵埃を効率よく電極フィルタ部で捕集することができ、室内空間の広い範囲に存在する塵埃を満遍なく、且つ効率良く除去することが可能である。
【0012】
しかもマイナスイオン発生部にクリーナ部が設けられていると、マイナスイオン発生部に汚れが付着してマイナスイオンの発生量が低下することを防止でき、長期間塵埃を効率良く除去することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による空気清浄機の一実施形態の外観を示す正面図である。
【図2】図1の空気清浄機を示す右側面図である。
【図3】空気清浄機の内部構成を示す図1のA−A断面図である。
【図4】図1の空気清浄機におけるクリーナ部を示す部分概略図である。
【図5】図1の空気清浄機におけるマイナスイオン発生部と風圧揺動片とを示す要部概略図である。
【図6】図1の空気清浄機における電気的構成を示すブロック図である。
【図7】空気清浄機の室内空間における第一の配置例を示す概略平面図である。
【図8】空気清浄機の室内空間における第二の配置例を示す概略平面図である。
【図9】実施例の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1乃至図8を用いて本発明の実施形態について説明する。
【0015】
図1から図6は、本発明の空気清浄システムに使用される空気清浄機の一実施形態の構成を示している。
空気清浄機10は、筐体11と、筐体11内に配置される空気圧送部12と、マイナスイオン発生部13と、電極フィルタ部14及びクリーナ部15と、駆動制御部20とから構成されている。
【0016】
筐体11は、鋼板等により中空に形成されており、空気圧送部12、マイナスイオン発生部13、電極フィルタ部14及びクリーナ部15等が内部に配設されている。筐体11の上面には空気排出口11aが形成されている。図示の場合、空気排出口11aは、筐体11の上部に装着されて一側方側に向けて開口されたフード11bにより形成されている。ここではフード11bの装着向きを変更することで、空気流の吐出向きを適宜変更することができる。この空気排出口11aの下方には、空気圧送部12、マイナスイオン発生部13が配置されている。
【0017】
筐体11の前面には、空気吸入口11cが形成されており、この空気吸入口11cは、開閉可能な扉11dにより閉じられている。扉11dは、閉鎖時に外部から筐体11内に空気を吸入可能となるように、ほぼ全面に亘って格子状に多数の開口が形成されている。扉11dの内側にはプレフィルタ11eを備えている。プレフィルタ11eは、例えば織布、不織布、スポンジ等、適宜な多孔性材料により形成されており、扉11dの多数の開口を通過する空気に含まれる大きな塵埃粒子を除去可能となっている。
【0018】
電極フィルタ部14は、帯電フィルタであって、空気吸入口11cの全体を覆う金属網からなるネット電極14bと、ネット電極14bの外側に隣接して積層配置されて空気吸入口11cの全体を覆うフィルタ14aとを備えている。この実施形態では2枚のフィルタ14aが隣接して積層配置されて構成されている。フィルタ14aは、例えばハニカム構造の紙製フィルタからなる。ハニカム構造の紙製フィルタは、例えば120〜90セルで25mm厚のものが使用される。その際、ハニカム構造の各孔が、図3の左右方向となる空気の吸入方向を向くように配置される。尚、フィルタ14aは、交換の際に着脱を容易にするために、一側に図示しないアクリル樹脂製のリボンを備えている。
【0019】
ネット電極14bはプラスに帯電されており、駆動制御部20により例えば数1000V程度の高い正電圧が供給されるようになっている。これにより、フィルタ14aが配置される全面に亘って正電圧が供給されてフィルタ14aやその周囲には電場が生じている。
【0020】
空気圧送部12は、送風ファン12aと、送風ファン12aを駆動する駆動モータ12bとを備える。送風ファン12aは、この実施形態ではシロッコファンであり、図3に示すように、筐体11の空気排出口11aのほぼ全幅に亘って軸方向に延びている。駆動モータ12bは、駆動制御部20から給電されることにより、送風ファン12aを回転駆動可能となっている。
送風ファン12aが駆動モータ12bにより回転駆動されると、空気吸入口11cから送風ファン12a内部に吸入空気が吸入され、この空気が側周面から加圧して放出されて筐体11内に設けられた空気流路11fへ加圧排出されるようになっている。この送風ファン12aにより空気排出口11aから圧送される空気の送風量は大きい程、空気清浄機10からより離間した位置までマイナスイオンを到達させて効率よく空気中の塵埃を除去できる。空気の送風量を、例えば1000m/hr以上、好ましくは1500m/hrとすることもよい。また風速として例えば30m/sec以上とすることもできる。
【0021】
マイナスイオン発生部13は、空気圧送部12から空気排出口11aまでの間の空気流路11fに装着されており、棒状に形成された支持部13bの先端に導電性の弾性材料からなるイオン発生部材13aが設けられた構成を有する。導電性の弾性材料は、例えばカーボンファイバー等の線材であり、このイオン発生部材13aは多数の線材を略一方向きに束ねてそれぞれ先端を突出させたブラシまたは刷毛状に形成されている。
このマイナスイオン発生部13は支持部13bにより支持され、送風ファン12aの回転軸に沿う幅方向に一方の側面側から延びており、イオン発生部材13aの先端が空気流路11fのほぼ中央付近に配置されている。このマイナスイオン発生部13では、駆動制御部20から電圧を印加して例えば放電させることで、イオン発生部材13aの先端で空気圧送部12からの空気にマイナスイオンを発生させるようになっている。そのため、空気圧送部12から圧送された空気流は、マイナスイオン発生部13と接触した後、空気流路11f内を流れ、フード11bの形状や配向に従い、例えば図1に矢印Aで示すように、空気排出口11aから所定の方向に吐出される。
【0022】
そのためマイナスイオン発生部13では、空気排出口11aから吐出される空気流をイオン化状態にすることができる。ここでイオン化状態とは、所謂マイナスイオンが空気中に含まれた状態のことであり、少なくとも本実施形態の空気清浄機を稼働しない状態に比べて当該空気中に含まれるマイナスイオンの量が増加している状態のことである。なおマイナスイオンとは、例えば空気中に含まれる空気や水等の分子、粒子が電離したり、空気中に含まれる空気や水等の分子、粒子に負イオンが付着したりすることで生じた大気イオン等、各種の負イオンなどが含まれる。
【0023】
クリーナ部15は、図4に示すように、イオン発生部材13aに付着している塵埃を払い落とすための風圧揺動片16と、イオン発生部材13aに付着している塵埃や汚れを洗浄するための洗浄装置17と、から構成されている。
風圧揺動片16は、図4及び図5に示すように、板状体からなり、送風ファン12aの近傍に配置されて空気流路11fの壁面に、揺動支点16aを介して揺動可能に取り付けられている。この風圧揺動片16は、図4に矢印Bで示すように、空気圧送部12の送風ファン12aの稼働時に生じる空気圧により前部が上方へ揺動し、送風ファン12aの停止により、自重により前部が下方へ揺動することが可能となっている。そして、この揺動時に風圧揺動片16がマイナスイオン発生部13のイオン発生部材13aに接触したり衝突したりすることで、イオン発生部材13aを弾性変形させたり振動させ、イオン発生部材13aに付着した塵埃を払い落とすことが可能となっている。
【0024】
洗浄装置17は、洗浄ノズル17aと、例えば揮発性の洗浄液を加圧状態で貯蔵する洗浄液タンク17bと、洗浄液タンク17bから洗浄ノズル17aへの洗浄液の供給を制御する電磁弁17cとを備えている。
洗浄液は特に限定されるものではないが、例えばアルコール類、オレンジ抽出物等の植物抽出液などが好適である。
洗浄ノズル17aは、図4に示すように、マイナスイオン発生部13のイオン発生部材13aに配向させて配置されており、洗浄液をイオン発生部材13aに直接吹き付けることができるようになっている。
電磁弁17cは、洗浄液タンク17bから洗浄ノズル17aへの洗浄液の供給及び停止を行うもので、電磁弁17cの動作により洗浄液が洗浄ノズル17aから吐出及び停止可能となっている。
【0025】
電磁弁17cは駆動制御部20により制御されており、空気清浄機10の使用前あるいは使用後に駆動されることで、洗浄液をイオン発生部材13aに吹きつけ、この洗浄液によりイオン発生部材13aに付着した塵埃を除去したり、イオン発生部材13aに固着した汚れを洗い落としたりできるようになっている。
【0026】
駆動制御部20は、図3及び図6に示すように、電源21と、制御部22とを備えている。電源21は、一般商用電源から直流変換して給電する給電部やバッテリ等である。制御部22は、電源21から給電されることにより、空気圧送部12、マイナスイオン発生部13、電極フィルタ部14及び洗浄装置17を制御する。
【0027】
即ち、制御部22は、空気圧送部12の送風ファン12aを駆動して、使用時に空気流を筐体11の空気排出口11aから外部に吐出する。また、制御部22はマイナスイオン発生部13を駆動し、イオン発生部材13aに所定の電圧を印加し、空気流中にマイナスイオンを発生させる。さらに電極フィルタ部14のネット電極14bに高い正電圧を印加し、フィルタ14a及びその周囲に電場を発生させる。加えて、この制御部22は、洗浄装置17の電磁弁17cを駆動制御し、洗浄ノズル17aから洗浄液をイオン発生部材13aに対して吐出させる。
【0028】
この制御部22では、空気圧送部12、マイナスイオン発生部13、電極フィルタ部14及び洗浄装置17をそれぞれ独立してオンオフ動作させるように構成してもよいが、これらが相互に連動するように制御するのがよい。その場合、空気圧送部12、マイナスイオン発生部13及び電極フィルタ部14を連動させて行う通常運転制御モードと、これらと洗浄装置17とを連動させて行う洗浄運転制御モードとを、自動或いは手動で選択して行うことが好ましい。自動で選択する場合、例えば通常運転制御モードで連続して空気清浄機10を稼働期間中に、予め可変に設定された所定時間毎に洗浄運転制御モードで制御を行ってもよく、通常運転制御モードで1乃至複数回空気清浄機10を稼働する毎に、洗浄運転制御モードで制御を行ってもよく、毎回洗浄運転制御モードで制御を行ってもよい。
なお筐体11の扉11dの内側に、プラス帯電された電極フィルタ部14が存在しているので、制御部22は、安全のため扉11dが開放されたとき、フィルタ14aへの高い正電圧の印加を中止するようにしてもよい。
【0029】
本発明の実施形態による空気清浄機10は以上のように構成されており、以下のように動作する。
まず、空気清浄機10を通常運転制御モードで稼働する場合について説明する。
空気清浄機10を停止状態から起動すると、駆動制御部20により空気圧送部12の駆動モータ12bが駆動されて送風ファン12aが回転し、空気を送風ファン12aから空気流路11fへ加圧して送り出す。
【0030】
このとき、クリーナ部15の風圧揺動片16が送風ファン12aで発生する空気流の空気圧により跳ね上げられ、イオン発生部材13aに衝突することで、上方に弾性変形させたり、振動させたりする。これによりイオン発生部材13aに付着していた塵埃粒子が払い落とされる。
【0031】
空気流路11fでは、駆動制御部20によりマイナスイオン発生部13に電圧が印加され、空気圧送部12の送風ファン12aにより発生した空気流がこのイオン発生部材13aの近傍を通過することにより、空気流中にマイナスイオンを発生させる。
【0032】
マイナスイオンを含んだ空気流は筐体11の空気排出口11aから吐出され、室内空間に空気流を形成して塵埃を除去すべき室内空間に放出される。これにより、マイナスイオンを含む空気流が流動し、例えばマイナスイオンが空気流と共に移動したり拡散したりすることで、空気清浄機10の周囲から空気清浄機10から離間した室内空間内の位置までの広い範囲にマイナスイオンが供給され、室内空間に供給されたマイナスイオンは空気中に浮遊する塵埃粒子と接触する。そのため、室内空間に浮遊するプラスを帯びた塵埃粒子が、例えば電気的に中性あるいはマイナスを帯びたり、マイナスイオンが表面に付着したり、さらに複数の粒子が凝集したりする。その結果、後述するように電極フィルタ部14に引きつけられ易くなる。
【0033】
一方、空気吸入口11cでは、駆動制御部20によりネット電極14bではプラスの電圧が印加されてフィルタ14aやその周囲に電場が形成される。この状態で空気圧送部12により室内空間を循環した空気流が吸入される。
吸入された空気は、まず筐体11の空気吸入口11c側に配置された扉11dのプレフィルタ11eを通過する。その際、大きな塵埃粒子がプレフィルタ11eにより除去される。
プレフィルタ11eを通過した空気流は、続いて電極フィルタ部14のフィルタ14aのハニカム構造の個々の孔を通過する。このとき、室内空間でマイナスイオンに接触した塵埃粒子は、電場が形成されたフィルタ14aの孔を通過する際、ネット電極14bから生じる電気力線の向きとは逆向きに力を受け、フィルタ14aに吸着する。
この場合、フィルタ14aに吸着される塵埃粒子は、空気中に浮遊する塵埃粒子だけでなく、タバコの煙粒子やヤニあるいはインフルエンザのウィルス粒子等もフィルタ14aに吸着される。
この空気が再び空気圧送部12により空気排出口11aから室内空間に空気流として放出され、これを継続することで、室内空間の空気が清浄化される。
【0034】
任意の時間空気清浄機10を稼働した後、駆動制御部20により、空気圧送部12、マイナスイオン発生部13、電極フィルタ部14及び洗浄装置17の駆動を停止させる。
この停止時には、まず空気圧送部12の稼働が停止されると、送風ファン12aによる空気流の圧力によりイオン発生部材13aの上方へ跳ね上げられていた風圧揺動片16が自重により下方へ揺動し、イオン発生部材13aに再び当接して下方へ弾性変形させ、図4に示す待機位置に戻る。これにより風圧揺動片16がイオン発生部材13aに付着した塵埃を払い落として除去する。
【0035】
次に、空気清浄機10を洗浄運転制御モードで稼働する場合について説明する。
このモードでは、上述の通常運転制御モードと同様の制御を開始する前、具体的には駆動制御部20により送風ファン12aを回転駆動させる前に洗浄動作を行うか、通常運転制御モードにおける稼働停止後、具体的には空気圧送部12の稼働停止後に洗浄動作を行うように制御を実行することができる。
洗浄運転制御モードでは、駆動制御部20によりクリーナ部15の洗浄装置17を稼働する。ここでは洗浄装置17の電磁弁17cを駆動し、洗浄液タンク17b内に加圧状態で保持されていた洗浄液を洗浄ノズル17aに供給し、洗浄ノズル17aからマイナスイオン発生部13のイオン発生部材13aに洗浄液が噴射される。すると、イオン発生部材13aに付着していた固着した塵埃粒子やタバコのヤニ、有機物質などの汚れが洗浄液により洗い流され、イオン発生部材13aの表面が洗浄される。
【0036】
その後、空気圧送部12を駆動し、マイナスイオン発生部13のイオン発生部材13aに付着している洗浄液を乾燥させる。このとき、予め設定されている所定の時間で空気圧送部12を駆動してもよく、乾燥程度を検出可能な検出部により乾燥状態であることを検出するまでの時間で空気圧送部12を駆動してもよい。
洗浄運転制御モード後に通常運転制御モードの制御を行う場合、これらの乾燥時間経過後に、マイナスイオン発生部13に電気を供給して上述のように通常運転制御モードによる制御を実施すればよい。
【0037】
本実施形態の空気清浄システムは、以上のような空気清浄機10を複数互いに離間して配置することにより、例えば図7に示すように構成されている。ここでは、少なくとも互いに隣接する二台の空気清浄機10が上記のような構成を備えるのがよく、特に全ての空気清浄機10が上記のような構成を備えるのが好適である。
この空気清浄システムは塵埃を除去すべき室内空間であるパチンコ店、ホール等の遊技店用のシステムである。このような室内空間30では、ビル衛生管理法等の基準値である浮遊塵埃量が0.150mg/m以上となる空間が多く、この実施形態でもそのような室内空間30を対象にしており、好ましくは100mg/m以上、より好ましくは200mg/m以上の室内空間30を対象とするのが好適である。
この実施形態の室内空間30には、遊技台31が並んで、所謂遊技島32として配置されており、各遊技島32の上部、ここでは全ての遊技島32より上部の空間に空気清浄機10が設置されている。
【0038】
この空気清浄システムでは、各空気清浄機10の空気排出口11aが他の空気清浄機10に向けてそれぞれ設置されている。ここでは、全ての空気清浄機10が、図7にて矢印Fで示すように、室内空間30に設定される平面視における一方回りの循環流を形成するように、各空気清浄機10の空気排出口11aが下流側に隣接する空気清浄機10に向けて空気流を吐出するように配置されている。
【0039】
ここでは、上述のように、空気圧送部12により圧送されて空気排出口11aから吐出されて形成された空気流が少なくとも次の空気清浄機10に到達することが望ましく、各空気圧送部12の送風量がそれ以上となるように設定されたり、互いに上流下流に隣接する空気清浄機10間の間隙を送風量に基づき適宜設定されたりするのが好適である。
【0040】
この実施形態では、各空気清浄機10から吐出されて次の空気清浄機10に到達した空気流が上述のイオン化状態であることが必要である。このイオン化状態であることで次の空気清浄機10において塵埃を効率よく除去可能にするためである。
マイナスイオンは大気中の帯電した塵埃等により中和されて通常短時間で減少したり消失したりし、マイナスイオン発生地点からの距離の二乗に反比例して低下することが知られている。ところが本実施形態の空気清浄システムでは、何れかの空気清浄機10で生成したマイナスイオンを含有する空気流が他の空気清浄機10に到達した段階で、空気流中のマイナスイオンを残留させているのである。ここでは、例えばマイナスイオン発生部13におけるマイナスイオン量を多くしたり、空気圧送部12による送風量や送風速度を大きくしたり、空気排出口11aの吐出方向をより正確に隣接する空気清浄機10に向けることなどで実現することが可能である。
【0041】
より具体的には、例えば循環流Fに沿って隣接する下流側の空気清浄機10の位置、少なくともその空気清浄機10の1m上流側で測定されるマイナスイオン濃度が、少なくとも空気清浄機10を可動させない状態における室内空間30内のマイナスイオン濃度より高くし、好ましくは2000個/cc以上、より好ましくは3000個/cc以上、特に5000個/cc以上とするのがよい。このマイナスイオン濃度は、例えば大気イオン濃度を測定する各種の方法で測定でき、例えばエーベルト方式やゲルディエン方式などを利用して測定してもよい。
【0042】
このように配置された複数の空気清浄機10によれば、一つの空気清浄機10から放出された空気流が、室内空間30内を流れて、次の空気清浄機10付近に達し、この空気清浄機10において、上述のように、筐体11の空気吸入口11cから筐体11内に取り込まれ、その際プレフィルタ11e及び電極フィルタ部14により塵埃が除去される。
このようなことが順に行われることで、室内空間30全体に亘って、図7にて矢印Fで示すように、空気流が形成されて隅々まで循環し、室内空間30全体の空気中に浮遊する塵埃粒子を各空気清浄機10により除去することができる。
【0043】
図8は上述のような空気清浄機10を使用した空気清浄システムの第二の構成例を示している。図8において、塵埃を除去すべき室内空間40は、カラオケルーム等であって、その天井付近の互いに離れた二カ所に、それぞれ空気清浄機10が設置されている。
【0044】
この場合も同様にして、一つの空気清浄機10から放出された空気流が、室内空間40内を流れて、もう一つの空気清浄機10付近に達し、この空気清浄機10の筐体11の空気吸入口11cから筐体11内に取り込まれ、その際プレフィルタ11e及び電極フィルタ部14により塵埃粒子が除去される。ここでは図8にて矢印Fで示す空気流Fの流れに沿って、一方の空気清浄機10の空気排出口11aが他方の空気清浄機10に向けて配置されており、図7のシステムと同じである。
従って、室内空間40全体に亘って空気流Fが隅々まで循環しながら、空気中に浮遊する塵埃粒子をマイナスイオン化するので、室内空間40全体の空気中に浮遊する塵埃粒子が、他方の空気清浄機10の筐体11内に取り込まれ、プレフィルタ11e及び電極フィルタ部14に付着して空気中から除去される。
【0045】
以上のような空気清浄機10によれば、空気圧送部12から空気排出口11aまでの空気流路11fにマイナスイオン発生部13が配置されており、空気圧送部12により圧送された空気にマイナスイオンを発生させて空気排出口11aから吐出することで、空気流を発生させるので、空気流によりマイナスイオンをより離れた空間にまで供給することができ、室内空間の広い範囲に浮遊してプラスを帯びた塵埃にマイナスイオンを接触させることができる。
そして、空気吸入口11c側に配置されて空気中の塵埃を除去する電極フィルタ部14がプラスに帯電してその周りには電場が生じているので、マイナスイオンと接触した塵埃を効率よく電極フィルタ部14に引きつけられ、これにより塵埃が電極フィルタ部14に効率よく捕集される。
そのため、室内空間の広い範囲に存在する塵埃を効率良く除去することが可能である。
【0046】
この空気清浄機10では、電極フィルタ部14がプラスに帯電したネット電極14bと、ネット電極14bの外側に着脱可能に配置されたフィルタ14aとを備えているので、使用時に塵埃が付着したフィルタ14aを電極フィルタ部14から離脱させて捕集した塵埃を処分することができ、メンテナンス性がよい。
【0047】
しかも、フィルタ14aはハニカム構造の紙製フィルタからなり、ハニカム構造の各孔が空気吸入口11cの空気吸入方向に沿って配置されているので、吸入空気の圧損を少なく抑えることができ、しかも紙製フィルタであるため使い捨て可能で、メンテナンス性もさらに良好である。
【0048】
また、マイナスイオン発生部13に付着した汚れを除去するクリーナ部15を備えているので、マイナスイオン発生部13に汚れが付着してマイナスイオンの発生量が低下することを防止できる。
【0049】
さらに、クリーナ部15が空気圧送部12により生じる空気流により揺動可能に空気流路に配置された風圧揺動片16を有し、風圧揺動片16が揺動することでマイナスイオン発生部13に接触してイオン発生部材13aに堆積した塵埃を払い落とすことができるので、空気圧送部12の稼働及び停止を行うことで、風圧揺動片16によりイオン発生部材13aの塵埃を除去でき、風圧揺動片16を動作させるための駆動部を設けることなく、クリーナ部15を簡単に構成できる。
【0050】
また、クリーナ部15がマイナスイオン発生部13に洗浄液を供給してマイナスイオン発生部13に付着した汚れを洗浄する洗浄装置17を備えているので、マイナスイオン発生部13に付着した汚れを洗浄液により効率よく除去することができる。
【0051】
以上のような空気清浄機10が、室内空間に複数個互いに離間して配置された空気清浄システムによれば、各空気清浄機10の空気排出口11aから排出された空気が、他の空気清浄機10の空気吸入口11cから取り込まれることにより室内空間の空気中の塵埃を除去するので、各空気清浄機10の空気排出口11aからの空気流により離れた空間にマイナスイオンが供給され、その空間の空気が他の空気清浄機10の空気吸入口11cから取り込まれて塵埃が電源フィルタにより除去される。そのため、広い空間内に浮遊する塵埃を満遍なく、且つ効率よく除去することが可能である。
【0052】
しかも、この空気清浄システムでは、各空気清浄機10の空気排出口11aが他の空気清浄機10に向けて配置され、各空気清浄機10で発生する空気流により室内空間に所定方向Fの室内空気流を形成するようになっているので、各空気清浄機10で発生する空気流により室内空間に所定方向Fの室内空気流を形成することができ、そのために広い空間であっても全体の空気を流動させることができて、より効率よく空間内に浮遊する塵埃を除去することができる。
【0053】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができる。例えば、空気圧送部12の送風ファン12aはシロッコファンが使用されているが、これに限らず、他の型式の送風機であってもよい。
また、上述した実施形態においては、塵埃を除去すべき室内空間として遊技店やカラオケルームの場合について説明したが、これに限らず、交通機関の車室や、各種会議室等でもよい。
さらに、上述した実施形態においては、空気清浄機10は、クリーナ部15として、風圧揺動片16及び洗浄装置17を備えているが、何れか一方のみを備えていてもよいことは明らかである。
【実施例】
【0054】
以下、本発明の実施例について説明する。
図7に示すように複数の空気清浄機を遊技島上に設置することで空気清浄システムを装着した複数のパチンコ店のホールにおいて、空気浄化システムを稼働させたとき、所定の測定点におけるマイナスイオン量と塵埃量の変化とを測定した。ここでは塵埃量の測定点は、互いに隣接する下流側の空気清浄機10の1m手前の位置とした。
各空気清浄機10のマイナスイオン発生量は、空気排出口11cから1m下流において3×10個/ccであった。
マイナスイオン濃度は空気イオンカウンター(アンデス電気株式会社製、ITC−201A)を用いて測定し、塵埃量は光学散乱方式デジタル粉塵計(日本カノマックス株式会社製、MODEL3442)を用いて測定した。なお、各遊技ホールの測定を開始した塵埃量は100mg/m〜500mg/mとした。
結果を図9に示す。図中、曲線A〜Fは異なる遊技ホールにおける測定値を示す。
【0055】
図9から明らかな通り、空気清浄システムの稼働前の塵埃量が多い程、塵埃量の減少が顕著であった。しかも測定点におけるマイナスイオン量が2000〜3000個/cc以上とすることで塵埃量を減少できることが確認でき、特に5000個/cc以上で顕著に減少できることが確認できた。
【符号の説明】
【0056】
10 空気清浄機
11 筐体
11a 空気排出口
11b フード
11c 空気吸入口
11d 扉
11e プレフィルタ
12 空気圧送部
12a 送風ファン
12b 駆動モータ
13 マイナスイオン発生部
13a イオン発生部材
13b 支持部
14 電極フィルタ部
14a フィルタ
14b ネット電極
15 クリーナ部
16 風圧揺動片
16a 揺動支点
17 洗浄装置
17a 洗浄ノズル
17b 洗浄液タンク
17c 電磁弁
20 駆動制御部
21 電源
22 制御部
30 室内空間(遊技店)
31 遊技台
32 遊技島
40 室内空間(カラオケルーム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内空間に複数の空気清浄機が互いに離間して配置された空気清浄システムであって、
上記複数の空気清浄機のそれぞれは、
空気吸入口及び空気排出口を有する筐体と、
上記空気吸入口側に配置され、プラスに帯電して上記空気吸入口から流入する空気中の塵埃を除去する電極フィルタ部と、
上記電極フィルタ部を透過した空気を圧送することで上記空気排出口から吐出して空気流を発生させる空気圧送部と、
上記空気圧送部から上記空気排出口までの空気流路に配置されて上記空気流をイオン化状態にするマイナスイオン発生部と、を備え、
上記各空気清浄機の上記空気排出口が他の空気清浄機に向けて配置され、上記各空気清浄機から排出されて上記他の空気清浄機に到達した上記イオン化状態の空気流が該他の空気清浄機の空気吸入口から取り込まれることにより空気中の塵埃が除去される、空気清浄システム。
【請求項2】
前記複数の空気清浄機が、該各空気清浄機で発生する空気流により室内空間に所定方向の循環流を形成するように配置されている、請求項1に記載の空気清浄システム。
【請求項3】
空気吸入口及び空気排出口を有する筐体と、
上記空気吸入口側に配置され、プラスに帯電して上記空気吸入口から流入する空気中の塵埃を除去する電極フィルタ部と、
上記電極フィルタ部を透過した空気を圧送することで上記空気排出口から吐出して空気流を発生させる空気圧送部と、
上記空気圧送部から上記空気排出口までの空気流路に配置されたマイナスイオン発生部と、
該マイナスイオン発生部に付着した汚れを除去するクリーナ部とを備えた、空気清浄機。
【請求項4】
前記クリーナ部が、前記空気圧送部により生じる空気流により揺動可能に前記空気流路に配置された風圧揺動片を有し、該風圧揺動片が揺動することで前記マイナスイオン発生部に接触して該マイナスイオン発生部に堆積した塵埃を払い落とす構成を備える、請求項3に記載の空気清浄機。
【請求項5】
前記クリーナ部が、前記マイナスイオン発生部に洗浄液を供給して該マイナスイオン発生部に付着した汚れを洗浄する洗浄装置を備えている、請求項3又は4に記載の空気清浄機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−206665(P2011−206665A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76404(P2010−76404)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(510074106)株式会社グリーンランド (1)
【Fターム(参考)】