説明

空気清浄機

【課題】1週間という生活リズムに添った空気の汚れ検出を行ない、自動的に運転パターンを形成し、生活パターンに合わせた運転をおこなうことのできる空気清浄機を提供することを目的とする。
【解決手段】本体1内に備えたガス検出部5や粉塵検出部6と、室内の明るさを検出する光検出部8により、ガス検出部5や粉塵検出部6から検出した汚れレベルにより決定される運転風量を光検出部8の検出レベルによりさらに制御して、就寝時等の夜間時に運転風量を下げて低騒音で運転できる空気清浄機を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉塵センサーおよびガスセンサーにより室内の空気汚れを検出し、制御部が送風手段を駆動して室内空気を吸い込み、浄化手段を通して清浄化する空気清浄機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の空気清浄機は下記に記載されたものが知られている。
【0003】
以下その空気清浄機について図12および図13を用いて説明する。図に示すように、空気清浄機本体101には、前面パネル102が設けられ、空気を清浄化するためのフィルター104と、フィルター104に通風するモーター105と、このモーター105を運転制御する制御部106を備えている。また、本体101の側面には室内の空気汚れを検出する光学式の粉塵センサー107を設け、本体101の前面に空気の汚れを検出するガスセンサー108を設けている。
【0004】
上記構成において、粉塵センサー107またはガスセンサー108が汚れを検出したとき、制御部106は粉塵センサー107またはガスセンサー108からの信号の大小によりファンモーター105の回転数を変えて通風量を変化させ、室内の汚れに対応した清浄化運転を行なっている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、自動的に間欠運転する機能を備えたものでは間欠的にファンモーター105を駆動させて室内空気を呼び込み、粉塵センサー107やガスセンサー108にて雰囲気汚れを効率良く検出するものである(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第2758655号公報
【特許文献2】特開平10−122615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の空気清浄機では、汚れの少ない時間帯でも常に間欠的に運転を継続するので無駄な運転をするという課題があり、空気の汚れる時間帯に無駄を省いてタイミング良く運転するといった生活シーンに合った運転が要求されている。
【0007】
また、汚れ量の多い少ないによっては無駄な運転をしすぎるという課題があり、事前に汚れ量を想定して効率良く運転することが要求されている。
【0008】
また、1週間というリズムに対しての予測運転であっても年間を通して同じ生活リズムではないという課題があり、1年間を通した予測運転が要求されている。
【0009】
また、空気汚れが発生しにくい日であっても、定期的に間欠運転を継続することによりクリーンな環境を維持できるが、夜中など静かな時間帯では騒音源になり得るという課題があり、空気汚れが発生しない時間帯には運転方法を変えて、省エネ・低騒音の運転とすることが要求されている。
【0010】
また、空気汚れの種類によっては同じ運転パターンでは除去しきれないという課題があり、空気汚れの種類を判別して効率良く除去することが要求されている。
【0011】
また、季節によっては花粉等の1次的に空気汚れが増加する時期や行事によって、空気汚れが突発的に変化することを想定した運転が要求されている。
【0012】
また、室内の空気汚れ環境に起因する喫煙者が一時的に不在になった場合などの空気汚れ環境が良くなった場合は、従来の汚れ記憶データを保持できないという課題があり、急な環境変化に対しては一時的にデータ更新を停止することが要求されている。
【0013】
また、室内の空気汚れ環境に起因する喫煙者が一時的に不在になった場合などの空気汚れ環境が良くなった場合は、従来の汚れ記憶データによる運転が必要ではなくなるという課題があり、急な環境変化に対しては一時的に運転を停止することが要求されている。
【0014】
また、室内にて発生するニオイにおいては悪臭と芳香材等による良いニオイが存在するがどちらも空気汚れとして除去してしまうという課題があり、良いニオイの場合は除去しないことが要求されている。
【0015】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、1週間単位で生活習慣にそって発生する汚れのパターンを記憶して、そのパターンに従った運転をおこない、また、年間の空気汚れ状況を記憶することで季節的な空気汚れや行事に対応した運転をおこない、また、生活シーンにより汚れの発生する可能性が低い時間帯はクリーン環境を維持する運転よりも騒音を抑える運転とし、また、空気汚れの質の違いにより運転方法を変えて効率良く運転することができ、また急な環境変化に対しても応急処置ができ、また空気汚れに対して運転・停止を指定して運転することができる空気清浄機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の空気清浄機は上記目的を達成するために、本体に設けた吸気口と、この吸気口から吸気した汚れ空気を清浄化する浄化手段と、この浄化手段に通風する送風手段と、空気中の汚れ成分を検出する汚れ検出手段と、前記汚れ検出手段からの検出信号により前記送風手段の風量を制御する制御部を有し、前記制御部は前記汚れ検出手段からの信号を変換して汚れレベル値として時系列的に7日分記憶し、この記憶した汚れレベル値から決定される翌週の前記送風手段の風量を時系列的に制御するようにしたものである。
【0017】
この手段により空気汚れの日常的に繰り返すパターンを1週間単位で学習することにより生活シーンに合った運転を行なうことができる空気清浄機が得られる。
【0018】
また、本発明の空気清浄機は上記目的を達成するために、制御部は前記汚れ検出手段からの信号を変換して汚れレベル値として時系列的に7日分記憶し、この記憶した汚れレベル値と、この記憶した汚れレベルから決定される翌週の前記送風手段の風量による運転により前記汚れ検出手段から検出した汚れレベル値とを演算して翌々週の前記送風手段の風量を時系列的に制御するようにしたものである。
【0019】
この手段により事前に汚れ量を精度良く想定し、効率良く運転することができる空気清浄機が得られる。
【0020】
また、本発明の空気清浄機は上記目的を達成するために、制御部は各週毎に検出した汚れレベル値を365日分すべて記憶するようにしたものである。
【0021】
この手段により1週間単位で補正された汚れ記憶データを1年間の汚れ記憶データと比較してより最適な運転ができる空気清浄機が得られる。
【0022】
また、本発明の空気清浄機は上記目的を達成するために、制御部は前週に記憶した汚れレベル値により決定される運転手段の風量が0となる連続時間が所定時間を越えた場合に、間欠運転する送風手段の風量を下げるようにしたものである。
【0023】
この手段により空気汚れが発生しない時間帯には運転方法を変えて、省エネ・低騒音の運転とすることができる空気清浄機が得られる。
【0024】
また、本発明の空気清浄機は上記目的を達成するために、制御部は前週に記憶した汚れレベル値により決定される運転手段の風量が0となる連続時間が所定時間を越えた場合に、間欠運転の停止時間を延ばすようにしたものである。
【0025】
この手段により空気汚れが発生しない時間帯には運転方法を変えて、省エネ・低騒音の運転とすることができる空気清浄機が得られる。
【0026】
また、本発明の空気清浄機は上記目的を達成するために、汚れ検出手段は粉塵検出部とガス検出部からなり、制御部は各検出部で検出し記憶した汚れレベル値を比較し、換算値の大なる汚れレベル値が粉塵検出部によるものかガス検出部によるものかを判断して、送風手段の運転パターンを変更したものである。
【0027】
この手段により空気汚れの種類によって運転方法を変えて、効率良く除去運転することができる空気清浄機が得られる。
【0028】
また、本発明の空気清浄機は上記目的を達成するために、制御部は1年間の記憶データをもとに、季節要因により発生する空気汚れを想定して、送風手段の運転パターンを変更したものである。
【0029】
この手段により季節的に発生する花粉等の時期には、あらかじめ予測して運転することができる空気清浄機が得られる。
【0030】
また、本発明の空気清浄機は上記目的を達成するために、制御部は7日毎のデータをもとに演算され時系列的に決定された汚れレベル値に対して、当日検出した汚れレベル値が3ランク以上違っていた場合には、翌週のための汚れレベル値の演算には用いないようにしたものである。
【0031】
この手段により想定外の汚れを検出した場合には、基本の運転パターンを変えることなく次週も運転できる空気清浄機が得られる。
【0032】
また、本発明の空気清浄機は上記目的を達成するために、制御部は7日毎のデータをもとに演算され時系列的に決定された風量を一時的に停止させることができるスイッチを設けたものである。
【0033】
この手段によりあらかじめ想定される空気汚れ環境の変化に対してスイッチ操作することで生活パターンによる運転を中断し、通常の汚れ検知による運転ができる空気清浄機が得られる。
【0034】
また、本発明の空気清浄機は上記目的を達成するために、制御部は汚れ検出手段から検出される空気汚れレベル値を無効と判断することができる操作スイッチを設けたものである。
【0035】
この手段により芳香成分が放出された場合でも、汚れ検知せずにニオイを脱臭しない空気清浄機が得られる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば汚れ検出手段からの信号を変換して汚れレベル値として時系列的に7日分記憶し、この記憶した汚れレベル値に対応して運転するので、汚れが発生するタイミングを想定して運転ができるという効果のある空気清浄機を提供できる。
【0037】
また、汚れ検出手段からの信号を変換して汚れレベル値として時系列的に7日分記憶し、この記憶した汚れレベル値と、この記憶した汚れレベルから決定される翌週の前記送風手段の風量による運転により汚れ検出手段から検出した汚れレベル値とを演算して翌々週の送風手段の風量を時系列的に制御するようにしたので、空気汚れを想定した運転で効率良く空気汚れを捕集できるように平準化した生活パターンで運転ができるという効果のある空気清浄機を提供できる。
【0038】
また、汚れ検出手段からの信号を変換して汚れレベル値として時系列的に7日分記憶し、この記憶した汚れレベル値と、この記憶した汚れレベルから決定される翌週の前記送風手段の風量による運転により汚れ検出手段から検出した汚れレベル値とを演算して翌々週の送風手段の風量を時系列的に決定し運転するのと同時に、各汚れレベル値を365日分記憶していくので、翌年には前年の当日に検知した汚れレベル値から当日の運転パターンを補正することで、より生活シーンに適した運転ができるという効果のある空気清浄機を提供できる。
【0039】
また、汚れ検出手段からの信号を変換して汚れレベル値として時系列的に7日分記憶し、この記憶した汚れレベル値と、この記憶した汚れレベルから決定される翌週の前記送風手段の風量による運転により汚れ検出手段から検出した汚れレベル値とを演算した結果、運転手段の風量が0となる連続時間が所定時間を超えた場合に、間欠運転する送風手段の風量を低下させるので、空気汚れが少ない日は余分な運転を抑制することができるという効果のある空気清浄機を提供できる。
【0040】
また、汚れ検出手段からの信号を変換して汚れレベル値として時系列的に7日分記憶し、この記憶した汚れレベル値と、この記憶した汚れレベルから決定される翌週の前記送風手段の風量による運転により汚れ検出手段から検出した汚れレベル値とを演算した結果、運転手段の風量が0となる連続時間が所定時間を超えた場合に、間欠運転の停止時間を延ばすようにしたので、空気汚れが少ない日は余分な運転を抑制することができるという効果のある空気清浄機を提供できる。
【0041】
また、汚れ検出手段からの信号を変換して汚れレベル値として時系列的に7日分記憶し、この記憶した汚れレベル値と、この記憶した汚れレベルから決定される翌週の前記送風手段の風量による運転により汚れ検出手段から検出した汚れレベル値とを演算した結果、記憶した汚れレベル値が粉塵検出部によるものかガス検出部によるものかを判断して、送風手段の運転パターンを変更することで、質の異なる空気汚れを効率良く清浄化できるという効果のある空気清浄機を提供できる。
【0042】
また、1年間の汚れ記憶データをもとに、季節要因により発生する空気汚れを想定して送風手段の運転パターンを変更するので、さらに生活シーンに適した運転ができるという効果のある空気清浄機を提供できる。
【0043】
また、7日毎の汚れ記憶データをもとに、通常の生活リズムから逸脱した空気汚れを検出した日に対しては記憶データの更新はおこなわない運転をおこなうので、記憶された運転パターンを乱さず基本の生活シーンに適した運転ができるという効果のある空気清浄機を提供できる。
【0044】
また、7日毎のデータをもとに演算され時系列的に決定された風量をスイッチ操作によって一時的に停止することができるので、急な室内環境の変化に対しても無駄な運転を抑制できるという効果のある空気清浄機を提供できる。
【0045】
また、汚れ検出手段から検出される空気汚れレベル値をスイッチ操作によって無効と判断することができるので、良い匂いが発生した場合でも除去運転せずに快適な環境で生活できるという効果のある空気清浄機を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
本発明の請求項1記載の発明は、本体に設けた吸気口と、この吸気口から吸気した汚れ空気を清浄化する浄化手段と、この浄化手段に通風する送風手段と、空気中の汚れ成分を検出する汚れ検出手段と、前記汚れ検出手段からの検出信号により前記送風手段の風量を制御する制御部を有し、前記制御部は前記汚れ検出手段からの信号を変換して汚れレベル値として時系列的に7日分記憶し、この記憶した汚れレベル値から決定される翌週の前記送風手段の風量を時系列的に制御するようにしたものであり、月曜日から金曜日までの平日と土曜日日曜日の休日との生活パターンの違いをそれぞれ記憶することで休日の生活パターンにより平日の運転パターンが乱されないという作用を有する。
【0047】
また、前記制御部は前記汚れ検出手段からの信号を変換して汚れレベル値として時系列的に7日分記憶し、この記憶した汚れレベル値と、この記憶した汚れレベルから決定される翌週の前記送風手段の風量による運転により前記汚れ検出手段から検出した汚れレベル値とを演算して翌々週の前記送風手段の風量を時系列的に制御するようにしたものであり、前週の検知汚れレベルに対して今週の同じ時間帯の検知汚れレベルが上昇すれば翌週の運転風量はさらに上昇させ、逆に前週より今週の検知汚れレベルが下降していれば翌週の運転風量は下降させ予測精度を高めて突発的な汚れがあっても平準化して運転できるという作用を有する。
【0048】
また、前記制御部は各週毎に検出した汚れレベル値を365日分すべて記憶したものであり、各週毎に平準化された運転モードに対して前年の該当日の汚れレベル値が高ければ運転風量を上昇させ、逆に前年の汚れレベル値より低ければ運転風量を下降させ、より予測精度高めて運転できるという作用を有する。
【0049】
また、前記制御部は前週に記憶した汚れレベル値により決定される運転手段の風量が0となる連続時間が所定時間を越えた場合に、間欠運転する送風手段の風量を下げるようにしたものであり、記憶している汚れレベルが0の時間帯においては汚れが発生していないため、その時間帯の間欠運転の風量を減少して騒音を下げるという作用を有する。
【0050】
また、前記制御部は前週に記憶した汚れレベル値により決定される運転手段の風量が0となる連続時間が所定時間を越えた場合に、間欠運転の停止時間を延ばすようにしたものであり、記憶している汚れレベルが0の時間帯においては汚れが発生していないため、その時間帯の間欠運転の運転回数を減らして省エネルギーを図り、騒音発生を抑えるという作用を有する。
【0051】
また、汚れ検出手段は粉塵検出部とガス検出部からなり、制御部は各検出部で検出記憶した汚れレベル値を比較し、換算値の大なる汚れレベル値が粉塵検出部によるものかガス検出部によるものかを判断して、送風手段の運転パターンを変更したものであり、花粉等の粉塵汚れを検出した場合は大風量で短時間運転し、アンモニア等の悪臭ガスを検出した場合は中風量で長時間運転するという作用を有する。
【0052】
また、制御部は1年間の記憶データをもとに、季節要因により発生する空気汚れを想定して、送風手段の運転パターンを変更したものであり、花粉等の季節要素の高い空気汚れを想定して事前に大風量で運転するという作用を有する。
【0053】
また、制御部は7日毎の記憶データをもとに、通常の生活リズムから逸脱した空気汚れを検出した日に対しては記憶データの更新はおこなわない運転をするようにしたものであり、正月等の通常の生活リズムでない場合の空気汚れに対しては汚れレベル値の更新はおこなわず、通常の生活リズムでの運転パターンに影響を受けないという作用を有する。
【0054】
また、制御部は7日毎のデータをもとに演算され時系列的に決定された風量を一時的に停止させることができる操作スイッチを設けたものであり、通常の生活リズムで発生する空気汚れのパターンが一時的に変化する場合には、事前に操作スイッチを操作することで
時系列的に決められた運転を停止し、空気汚れを検知すれば運転するという通常運転で運転するという作用を有する。
【0055】
また、制御部は汚れ検出手段から検出される空気汚れレベル値を無効と判断することができる操作スイッチを設けたものであり、芳香材等の良いニオイ成分を室内に放出する場合に、操作スイッチを操作しておくことで汚れ検出手段は検知せず運転をおこなわないで良いニオイを除去しないという作用を有する。
【0056】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0057】
(実施の形態1)
図1〜図3に示すように、空気清浄機本体1は略箱形に形成され、本体1の正面にはフロントパネルを設け、本体1の側面に吸気口2を形成している。本体1内には空気を清浄化するためフィルター3と、このフィルター3に通風するファンモーター4が備えられ、本体1側面に吹出口9が設けられている。ファンモーター4の駆動により吸気口2a、2bから空気が吸い込まれ、フィルター3を通って清浄された後、吹出口9から吹き出される。
【0058】
本体1左上部にはガスセンサー5aを備えたガス検出部5が設けられ、本体1側面には光学式の粉塵センサー6aを備えた粉塵検出部6が設けられている。
【0059】
また本体1の正面上部には操作部8が設けられ、操作部8の内側に制御部7が収納され、制御部7に演算部12を設けている。本体1の正面左端部に室内空気の汚れ状態を色変化で表す汚れ表示部10を備えている。
【0060】
上記構成において、電源が通電されると制御部7は20分間隔でガス検出部5または粉塵検出部6で検出した出力信号を0〜5の汚れレベル値に変換し、各20分間の汚れレベル値の最大値を記憶し始め、トータル7日分の504データを時系列に記憶する。
【0061】
まず、初回運転を開始するために操作部8を自動運転に設定すると、基本動作としてファンモーター4を10分間運転し、50分間停止するサイクルを繰り返す。ガス検出部5または粉塵検出部6により空気汚れを検出すると、汚れ表示部10が青色から赤色に変化し汚れレベルに応じた風量で運転を開始する。このときガス検出部5または粉塵検出部6の検出する汚れレベルに対するファンモーター4の送風量は図2に示す関係としている。
【0062】
空気汚れが清浄化され汚れレベルが0になるとファンモーター4が停止するが、50分間の停止状態が継続していると判断した場合に、制御部7は10分間の運転と50分間の停止サイクルを繰り返す間欠運転に再び移行する。
【0063】
以上のような運転を行なう間に制御部7はガス検出部5または粉塵検出部6で検出した信号を0〜5の6段階の汚れレベル値に変換し、この汚れレベル値を20分間隔の時系列データとして記憶する。なお、このときの個々の汚れレベル値は各20分間の最高値を記憶するようにしているが、各20分間の平均値としてもよい。
【0064】
翌週(汚れデータ値の記憶開始から168時間後)は、記憶された汚れレベル値に対応する風量にて10分ON、10分OFFの基本間欠運転を行なう。例えば図4(イ)(ロ)に示すように、10時から11時の20分毎に検出される汚れレベル値は2,2,1となり、翌週の基本間欠運転は運転風量を中、0、中、0、弱、0の10分間隔の間欠運転となる。この基本間欠運転を行なうときも、室内の空気汚れをガス検出部5や粉塵検出部6により検出を行ない、この検出された汚れレベル値に従った風量を、基本間欠運転の風量0区間に加えることにより、図4(ハ)に示すような実動運転を行なう。この実施例では検出された汚れレベル値は各々2,1,0となる。
【0065】
このように、前週の汚れレベルを時系列的に記憶して基本間欠運転を設定し、翌週の汚れレベル値による風量を加えて調整することで汚れを想定した送風量にて運転でき、日常の空気汚れの発生に合わせた運転とすることができる。
【0066】
なお、本実施例では空気汚れ検出手段として粉塵検出部とガス検出部を用いているが、粉塵検出部のみで実施しても、またガス検出部のみで実施しても同様の効果を得ることができる。
【0067】
また、本実施例で用いたガスセンサーとはアンモニアを検出するアンモニアセンサー等の気体成分を検出する半導体式センサーであり、粉塵センサーとは光学的に粉塵を検出する光学式センサーである。
【0068】
(実施の形態2)
本実施の形態は前記実施の形態1と制御方法が異なるのみであり、同一構成のものは同一番号を付して詳しい説明は省略する。
【0069】
図5に示すように、制御部7に設けた演算部10は、前回まで記憶している汚れレベル値と本日検知した同一タイマ番号毎の汚れレベル値を比較し、増加していれば+1、減少していれば−1、増減なければ±0、というように演算し、翌週の予測される汚れレベル値として記憶するものである。
【0070】
上記構成において、制御部7は毎日20分毎にガス検出部5または粉塵検出部6から検出した汚れレベル値の最大値を記憶し始め、トータル168時間分を時系列的に記憶している。演算部は例えば前回記憶した汚れレベル値が1とし、今回の同一タイマ番号で検出した汚れレベル値が2とすると、演算部10は次回に予測される汚れレベル値を2と設定して制御部7の記憶部7aで記憶する。また前回記憶した汚れレベル値が3とし、今回の同一タイマ番号で検出した汚れレベル値が1とすると、演算部10は次回の汚れレベル値を2と設定して順次記憶する。
【0071】
このように、継続的に汚れレベルを演算して次回の運転風量を決定することで、突発的な汚れが発生した場合でも次の日はその影響を受けることが少なく、日常生活で生じる空気汚れの状態に対応する安定した清浄運転を行なうことができる。
【0072】
(実施の形態3)
本実施の形態は前記実施の形態1あるいは2と制御方法が異なるのみであり、同一構成のものは同一番号を付して詳しい説明は省略する。
【0073】
図6に示すように、制御部7は検出した20分毎の汚れレベル値を365日分すべて記憶しており、前回の記憶レベル値と前年の記憶レベル値を比較し増加していれば+1、減少していれば−1、増減なければ±0、というように演算し、本日の予測される汚れレベル値として記憶するものである。
【0074】
上記構成において、例えば図5の(イ)(ロ)に示すように22時から23時の20分毎に検出される汚れレベル値は5,2,1となり、翌週の基本間欠運転は運転風量を強(10分)、0、中(10分)、0、弱(10分)、0の10分間隔の間欠運転となるが、図6の(ハ)に示すように、前年の記憶汚れレベル値が4,1,3の場合は、運転風量を中(20分)、0、弱(15分)、0、中(10分)、0の間欠運転となるようにしている。
【0075】
このように、継続的に汚れレベルを演算して次回の運転風量を決定することだけでなく、さらに前年の汚れレベルも演算して次回の風量を決定することで、季節的な要因による空気汚れの発生や時期的な行事による空気汚れの発生等を予測した清浄運転を行なうことができる。
【0076】
(実施の形態4)
本実施の形態は前記実施の形態1あるいは2と制御方法が異なるのみであり、同一構成のものは同一番号を付して詳しい説明は省略する。
【0077】
図7(イ)(ロ)に示すように、留守等の不在時はガス検出部5と粉塵検出部6のいずれも空気汚れが検出されない時間帯であるので、その間は一定間隔(10分ON、50分OFF)の間欠運転により運転を継続させるが、その時間帯の汚れレベル値が2時間連続して0となる場合は、制御部7は間欠運転の運転時間10分を変えず、停止時間を50分から110分に延ばす運転に変更する。
【0078】
このように、空気汚れ検出の無い時間帯が連続する場合には、間欠運転の停止時間を延ばすことにより、無駄な送風運転を減らした省エネ運転とすることができ、騒音を低減することができる。
【0079】
次に汚れレベル値が4時間連続して0となる場合は、制御部7は図6(ハ)のように間欠運転の運転風量を減少させるようにする。
【0080】
このように、汚れ検出が無い時間帯が長時間続く場合は間欠運転の運転風量を減少させ、本実施例では最低風量とすることで運転騒音を大幅に下げることができる。また、図6(ハ)のように間欠運転の停止時間を延ばすとともに送風時間を10分から5分に短縮することにより、さらなる省エネ・騒音低減を図ることができる。
【0081】
(実施の形態5)
本実施の形態は前記実施の形態1あるいは2と制御方法が異なるのみであり、同一構成のものは同一番号を付して詳しい説明は省略する。
【0082】
図8(イ)(ロ)(ハ)のように、検出された空気汚れの最大値がガス検出部5による場合は、運転パターンを標準パターンとは異なるガス対応パターンとする。すなわち運転風量は検出レベルに対応した風量にするが、運転時間を2倍に延長して拡散しやすく除去の難しいガス成分を時間をかけて清浄化する。また、検出された空気汚れの最大値が粉塵検出部6による場合は、運転パターンを標準パターンとは異なるガス対応パターンとする。すなわち運転風量は検出レベルに対して1ランクアップしたレベルの風量にし、運転時間を2/3に短縮して、大風量・短時間で一気に粉塵を捕集して清浄化する。
【0083】
このように、各センサーに検出される空気汚れの検出値を判定して運転モードを変えることで汚れ成分に対応した運転を行ない、質の違う空気汚れを効率良く清浄化することができる。
【0084】
(実施の形態6)
本実施の形態は前記実施の形態1あるいは2と制御方法が異なるのみであり、同一構成のものは同一番号を付して詳しい説明は省略する。
【0085】
図9(イ)(ロ)のように、例えば22時から23時の20分毎に検出される汚れレベル値は5,2,1となり、翌週の基本間欠運転は運転風量を強(10分)、0、中(10分)、0、弱(10分)、0の10分間隔の間欠運転となるが、図9の(ハ)に示すように、検出汚れレベル値が0,1,5の場合は、検出レベルが3ランク以上違う時間帯については更新しないので、翌週の運転風量を強(20分)、0、弱(15分)、0、弱(10分)、0の間欠運転となるように記憶する。
【0086】
このように、検出汚れレベル値が時系列的に決定された汚れレベル値と3ランク以上違う場合には、通常の生活パターンと違った空気汚れと判断して次週の運転パターンには反映しないので、非日常的な汚れの発生があっても影響を受けずに運転することができる。
【0087】
(実施の形態7)
本実施の形態は前記実施の形態1あるいは2と制御方法が異なるのみであり、同一構成のものは同一番号を付して詳しい説明は省略する。
【0088】
図10および図11(イ)(ロ)(ハ)のように、操作スイッチ13を設け、生活パターンが変化する場合や汚れ検出部で検出される芳香材等の良いニオイ成分を放出させたい場合など、操作スイッチ13を操作することで一時的に時系列運転を停止させるようにする。
【0089】
このように、記憶汚れレベル運転を一時停止したい場合には、操作スイッチを操作することにより、無駄な送風運転を減らした省エネ運転とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
室内の空気汚れを時系列的に記憶して、事前に運転制御するという方法ですので、検出対象物を空気汚れから湿度や温度に置き換えることで加湿器やエアコンの運転制御にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施の形態1の空気清浄機の一部破断の外観斜視図
【図2】同各検出部の汚れレベル値に対する運転風量の相関図
【図3】同制御ブロック図
【図4】本発明の実施の形態1のタイミングチャート
【図5】本発明の実施の形態2の記憶汚れレベルの演算実施テーブルの図
【図6】本発明の実施の形態3のタイミングチャート
【図7】本発明の実施の形態4のタイミングチャート
【図8】本発明の実施の形態5のタイミングチャート
【図9】本発明の実施の形態6のタイミングチャート
【図10】本発明の実施の形態7のブロック図
【図11】同タイミングチャート
【図12】従来の空気清浄機の一部破談の外観斜視図
【図13】同空気清浄機の間欠運転のタイミングチャート
【符号の説明】
【0092】
1 本体
2 吸気口
3 フィルター(浄化手段)
4 ファンモーター(送風手段)
5 ガス検出部(汚れ検出手段)
6 粉塵検出部(汚れ検出手段)
7 制御部
8 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に設けた吸気口と、この吸気口から吸気した汚れ空気を清浄化する浄化手段と、この浄化手段に通風する送風手段と、空気中の汚れ成分を検出する汚れ検出手段と、前記汚れ検出手段からの検出信号により前記送風手段の風量を制御する制御部を有し、前記制御部は前記汚れ検出手段からの信号を変換して汚れレベル値として時系列的に7日分記憶し、この記憶した汚れレベル値から決定される翌週の前記送風手段の風量を時系列的に制御するようにした空気清浄機。
【請求項2】
制御部は前記汚れ検出手段からの信号を変換して汚れレベル値として時系列的に7日分記憶し、この記憶した汚れレベル値と、この記憶した汚れレベルから決定される翌週の前記送風手段の風量による運転により前記汚れ検出手段から検出した汚れレベル値とを演算して翌々週の前記送風手段の風量を時系列的に制御するようにした空気清浄機。
【請求項3】
制御部は各週毎に検出した汚れレベル値を365日分すべて記憶してなる請求項2記載の空気清浄機。
【請求項4】
制御部は前週に記憶した汚れレベル値により決定される運転手段の風量が0となる連続時間が所定時間を越えた場合に、間欠運転する送風手段の風量を下げるようにした請求項2記載の空気清浄機。
【請求項5】
制御部は前週に記憶した汚れレベル値により決定される運転手段の風量が0となる連続時間が所定時間を越えた場合に、間欠運転の停止時間を延ばすようにした請求項2記載の空気清浄機。
【請求項6】
汚れ検出手段は粉塵検出部とガス検出部からなり、制御部は各検出部で検出し記憶した汚れレベル値を比較し、換算値の大なる汚れレベル値が粉塵検出部によるものかガス検出部によるものかを判断して、送風手段の運転パターンを変更してなる請求項2記載の空気清浄機。
【請求項7】
制御部は1年間の記憶データをもとに、季節要因により発生する空気汚れを想定して、送風手段の運転パターンを変更してなる請求項3記載の空気清浄機。
【請求項8】
制御部は7日毎のデータをもとに、通常の生活リズムから逸脱した空気汚れを検出した日に対しては記憶データの更新はおこなわない運転をするようにした請求項3記載の空気清浄機。
【請求項9】
制御部は7日毎のデータをもとに演算され時系列的に決定された風量を一時的に停止させることができる操作スイッチを設けたことを特徴とする請求項2記載の空気清浄機。
【請求項10】
制御部は汚れ検出手段から検出される空気汚れレベル値を無効と判断することができる操作スイッチを設けたことを特徴とする請求項2記載の空気清浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−212541(P2006−212541A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−27591(P2005−27591)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】