説明

空気清浄装置及びこれに用いられる捕獲剤調整装置

【課題】捕獲剤を無駄に使用することなく、ガス状化学物質の捕獲性能を常時良好に保ちながら、ガス除去フィルタの寿命を延ばす。
【解決手段】清浄対象空気Airが通過可能な空気流通路1と、この空気流通路1の途中に配設され且つ除去対象のガス状化学物質捕獲用の捕獲剤4が保持される捕獲剤保持部3を有するガス除去フィルタ2と、捕獲剤保持部3に対する捕獲剤4の保持状態を使用可能範囲に調整する捕獲剤調整装置5とを備え、捕獲剤調整装置5には、ガス除去フィルタ2の捕獲剤保持部3に捕獲剤4が略均一に補給又は交換可能とする捕獲剤供給手段6を具備させたり、ガス除去フィルタ2の捕獲剤保持部3に保持される未使用捕獲剤が劣化せずに保管可能な未使用捕獲剤保管手段10(図2参照)を具備させたり、空気流通路1の切替手段16(図3参照)を具備させ、ガス除去フィルタ2の捕獲剤保持領域を切替選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害なガス状化学物質を除去する空気清浄装置に係り、特に、ガス状化学物質除去効果の持続性を改善した空気清浄装置及びこれに用いられる捕獲剤調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、室内化学物質汚染により引き起こされる健康被害が相次ぎ、シックハウス問題が社会問題として表面化してきている。
この種のシックハウス問題は、ホルムアルデヒド等のVOC(Volatile Organic Compounds)のような有害なガス状化学物質が要因になっていることから、空気清浄装置としては、塵埃などの粒子を除去するもののほか、有害なガス状化学物質を除去するものが既に提供されつつある。
この種のガス状化学物質の除去方法としては、吸着法、触媒法、吸収法などが既に提案されている。
【0003】
ここでいう吸着法としては、空気流通路内に活性炭や特殊なイオン交換体が含まれるガス除去フィルタを配設し、このガス除去フィルタにガス状化学物質を捕集するようにしたものがある(例えば特許文献1,2参照)。
また、触媒法としては、フィルタに触媒や酸化剤を添着又は付着させ、触媒や酸化剤の酸化作用によりガス状化学物質の無害化を図るようにしたものがある(例えば特許文献3)。
更に、吸収法としては、フィルタに浸透させた水又は薬液によってガス状化学物質を吸収除去するようにしたものがある(例えば特許文献4参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−33333号公報(実施例,図1)
【特許文献2】特公平6−87996号公報(発明の構成,第1図)
【特許文献3】特開平10−33653号公報(発明の実施の形態,図1)
【特許文献4】特開2005−102923号公報(発明を実施するための最良の形態,図1)
【特許文献5】特開2001−104465号公報(発明の実施の形態1,図1)
【特許文献6】特開平9−137955号公報(発明の実施の形態,図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の空気清浄装置はいずれも有害なガス状化学物質を除去するものではあるが、近年、国土交通省の換気設備の認可基準として、化学物質除去性能の持続期間を延ばすことが必要不可欠になっており、如何に化学物質除去性能の持続期間を延ばすかが大きな技術的課題としてクローズアップされている。
ところが、特許文献1,2の吸着法を用いた空気清浄装置での持続期間は、装置の使用量にもよるがおおよそ数ヶ月程度の寿命であり、寿命の点で不十分な点が見られる。
また、特許文献3の触媒法を用いた空気清浄装置では、寿命の点ではある程度許容されるものの、吸着法に比べて化学物質除去性能が低く、二次生成物による空気汚染が生ずる懸念がある。
更に、特許文献4の吸収法については吸収剤を常時供給する方式が採られているため、吸収剤の使用量が不必要に多くなるという不具合が見られ、吸収剤を無駄にすることなく、如何に化学物質除去性能の持続時間を延ばすかについては何ら考慮されていない。
【0006】
本発明は、以上の技術的課題を解決するためになされたものであって、捕獲剤を無駄に使用することなく、ガス状化学物質の捕獲性能を常時良好に保ちながら、ガス除去フィルタの寿命を延ばすことを可能とした空気清浄装置及びこれに用いられる捕獲剤調整装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の基本的構成は、図1ないし図3に示すように、ガス状化学物質が除去可能な空気清浄装置において、清浄対象空気Airが通過可能な空気流通路1と、この空気流通路1の途中に配設され且つ除去対象のガス状化学物質捕獲用の捕獲剤4が保持される捕獲剤保持部3を有するガス除去フィルタ2と、このガス除去フィルタ2に付設され、捕獲剤保持部3に対する捕獲剤4の保持状態を使用可能範囲に調整する捕獲剤調整装置5とを備えたものである。
【0008】
ここで、本発明は以下の3つに大別される。
第1の態様は、図1(a)(b)に示すように、前記捕獲剤調整装置5には、ガス除去フィルタ2の捕獲剤保持部3に捕獲剤4が略均一に補給又は交換可能とする捕獲剤供給手段6を有することを特徴とする。つまり、捕獲剤4を補給・交換することを前提とする態様(捕獲剤補給・交換型)である。
第1の態様において、ガス状化学物質としては、ホルムアルデヒド等のVOCを主として対象とするが、これ以外も広く含む。
また、空気流通路1は単一構成のものは勿論であるが、複数構成のものでもよい。複数構成の場合、そのうちの少なくとも一つに本件のガス除去フィルタ2、捕獲剤調整装置5を装備すればよい。
更に、捕獲剤としては、吸着剤、吸収剤など捕獲対象であるガス状化学物質を捕獲できるものは広く含み、液状、霧状、流動性の良い粉体(顆粒体も含む)など適宜選定して差し支えない。代表的にはグラフト重合薬剤などが使用されるが、これに限られるものではない。尚、図1(a)は液状捕獲剤を例示したものを示し、また、図1(b)は粉体からなる捕獲剤を例示したものを示すが、これらに限定されるものではない。
更にまた、ガス除去フィルタ2としては捕獲剤保持部3を有すればよく、その数、設置状態については任意である。
また、捕獲剤調整装置5としては捕獲剤保持部3に対する捕獲剤4の保持状態を使用可能範囲に調整するものであればよいが、本態様では、ガス除去フィルタ2の捕獲剤保持部3に捕獲剤が略均一に補給又は交換可能とする捕獲剤供給手段6を有することを要する。
【0009】
第2の態様は、図2に示すように、ガス除去フィルタ2の捕獲剤保持部3を移動自在に設けると共に、前記捕獲剤調整装置5には、ガス除去フィルタ2の捕獲剤保持部3に保持される未使用捕獲剤が劣化せずに保管可能な未使用捕獲剤保管手段10を有することを特徴とする。つまり、捕獲剤保持部3を移動させることを前提とする態様(捕獲剤保持部移動型)である。
この第2の態様では、捕獲剤4はガス除去フィルタ2の捕獲剤保持部3に予め保持された態様でもよいし、あるいは、使用時に捕獲剤保持部3に保持させる態様でもよい。
【0010】
第3の態様は、図3に示すように、前記ガス除去フィルタ2の捕獲剤保持部3に捕獲剤3を予め保持すると共に、前記捕獲剤調整装置5には空気流通路1が切替選択可能な切替手段16を具備させ、この切替手段16にてガス除去フィルタ2の捕獲剤保持領域を切替選択することを特徴とする。つまり、空気流通路1を切替えることを前提とする態様(空気流通路切替型)である。
【0011】
ここで、捕獲剤保持部3の代表的態様としては、図1(a)又は図2に示すように、液状若しくは霧状の捕獲剤4が浸透保持可能なフィルタ基材を有するものが挙げられる。
また、捕獲剤保持部3の他の態様としては、捕獲剤4が保持可能な収容空間を有するものが挙げられる。本態様では、捕獲剤としては、流動性の良い粉体や液体が対象となる。そして、捕獲剤保持部3の構成例としては、ガス除去フィルタ単独で捕獲剤保持部3を構成する態様は勿論、例えば図1(b)に示すように、プレフィルタ(例えば粒子除去フィルタ8)、ポストフィルタ(補助フィルタ9)間の空間部にて構成するようにしてもよい。
更に、捕獲剤保持部3の別の態様としては、図2又は図3に示すように、捕獲剤4が含まれる捕獲剤層をベース基材に積層したフィルタ基材を有するものが挙げられる。
【0012】
更にまた、捕獲剤保持部3の別の態様としては、拡散スクラバー法に基づくものが挙げられる。この拡散スクラバー法を用いると、流路抵抗が少なく、簡単にガス捕集を行うことができる点で好ましい。また、ガス捕集の吸収液としては水を使用すればよく、水に溶ける多くのガス状化学物質を捕集することができる。
また、捕獲剤保持部3のレイアウトとしては、空気流通路1の空気進行方向に交差するように配置されてもよいし、あるいは、空気流通路1の空気進行方向に沿って略平行に配置される等適宜選定して差し支えない。
ここで、前者の態様(交差配置方式)にあっては、交差していればよいため、空気進行方向に対して直交配置していない態様も含む。一方、後者の態様(平行配置方式)にあっては、捕獲剤保持部3は空気との接触面積を広く確保することが好ましい。
【0013】
更に、ガス除去フィルタ2としては単数配列でよいが、ガス状化学物質の除去性能を向上させるという観点からすれば、複数段配列されている態様が好ましい。
この場合、複数段配列の態様としては、空気進行方向に沿って縦列若しくはこれに直交して並列するなど適宜選定して差し支えない。ここでいう‘複数段’とは複数のガス除去フィルタ2を複数配列する態様は勿論であるが、例えばウェブ方式の一つのガス除去フィルタ2を複数段に折り返して用いる態様をも含む。
また、ガス除去フィルタ2としては、捕獲剤保持部3に単一の捕獲剤4を保持したもので差し支えないが、複数種のガス状化学物質を除去する場合には複数の捕獲剤4を保持するようにすればよい。この場合、ガス除去フィルタ2を複数設ける態様に限らず、一つのガス除去フィルタ2に複数主の捕獲剤4を設けるようにしてもよい。尚、複数種の捕獲剤4としては、全て異なる捕獲剤4であることは必ずしも必要ではない。
更に、ガス除去フィルタ2としては粒子除去可能な構成を備えるようにしてもよい。本態様では、粒子除去性能を兼用することができるため、粒子除去フィルタ8を別途設ける必要性がなく、その分、フィルタ構成を簡略化することができる。
【0014】
また、捕獲剤調整装置5の好ましい態様としては、捕獲剤4の使用履歴許容限界値に対応する信号をトリガーとして捕獲剤保持部3に対する捕獲剤4の保持状態を調整する態様が挙げられる。このトリガー調整方式によれば、例えば捕獲剤4の使用履歴限界をセンサ等で直接若しくは間接的に検出し、この検出信号をトリガーとして捕獲剤4の寿命が終了する前に捕獲剤4を補給又は交換するようにすればよい。
更に、捕獲剤調整装置5の別の好ましい態様としては、捕獲剤4の使用履歴許容限界値に基づく期間毎に捕獲剤保持部3に対する捕獲剤4の保持状態を定期調整するものが挙げられる。この定期調整方式によれば、例えば捕獲剤4の使用履歴限界に基づいて適切な期間を定め、捕獲剤4の寿命が終了する前に捕獲剤4を定期的に補給又は交換するようにすればよい。そして、本態様は、例えば管理会社等からの調整指示(指示形式としてはメール指示等各種)に応じてユーザー自身が手動調整する態様や、定期的なメンテナンス調整に併せて定期調整を行う態様も含む。
【0015】
次に、第1の態様における捕獲剤調整装置5の捕獲剤供給手段6の代表的態様としては、図1(a)に示すように、捕獲剤保持部3に対応して設けられ且つ捕獲剤保持部3に保持可能な補給若しくは交換用の捕獲剤4を不連続供給するものであればよい。本態様において、捕獲剤4は粉状、液状、霧状を問わず、捕獲剤供給手段6は捕獲剤4を不連続供給するものであることを要する。ここでいう‘不連続供給’とは連続供給(常時供給)を除外するものであり、必要に応じて供給することを意味する。このため、捕獲剤が不必要に消費されることは防止される。
また、捕獲剤保持部3の配置姿勢は任意であるが、重力作用を有効に利用するという観点からすれば、少なくとも鉛直方向成分を含む姿勢(鉛直配置姿勢のみならず傾斜配置姿勢も含む)であることが好ましい。
更に、捕獲剤供給手段6にて捕獲剤4を補給若しくは交換する場合には、廃棄可能な捕獲剤4の処理については捕獲剤補給・交換時に取り除くようにしてもよいが、図1(a)(b)に示すように、捕獲剤保持部3に対応して設けられ且つ捕獲剤保持部3に保持されていた捕獲剤4の全部若しくは一部が排出可能な排出手段7を設ける方式(捕獲剤排出方式)が好ましい。
【0016】
また、捕獲剤供給方式の好ましい態様としては、ガス除去フィルタ2の捕獲剤保持部3に対し捕獲剤4が均一に供給可能な均一供給要素を有するものが挙げられる。ここで、捕獲剤4としては、主として液状捕獲剤を想定しているが、霧状、粉体などにも適用可能である。
本態様は、捕獲剤保持部3に液状捕獲剤を均一に浸透させる上で好ましく、均一供給要素としては、液状捕獲剤が均一に蓄積されるタンクを設置した態様や、少なくとも均等配置された複数箇所にノズルを設けた態様、更に、ガイド部材を別途設ける態様が挙げられる。
更に、捕獲剤保持部3としても、捕獲剤4が略均一に浸透するような工夫(捕獲剤保持部を構成する繊維要素等に拡散浸透性を付与するなど)を施すことが好ましい。
【0017】
また、捕獲剤供給方式の好ましい態様としては、ガス除去フィルタ2の捕獲剤保持部3に保持される捕獲剤の使用履歴が検出可能な使用履歴センサを有し、この使用履歴センサからの検出信号に基づいて捕獲剤の供給動作を制御するものが挙げられる。ここでいう‘捕獲剤の使用履歴’としては、捕獲剤量に対応する濃度情報や捕獲剤の使用履歴に伴う電気特性変化などが挙げられる。
更に、捕獲剤供給方式の好ましい態様としては、ガス除去フィルタ2の捕獲剤保持部3に保持された捕獲剤4との反応物が処理可能な加熱処理要素を備えているものが挙げられる。本態様によれば、加熱処理要素にて捕獲剤との反応物を除去することができる。但し、この反応物については有害であることが多いため、加熱処理後の反応物についての廃棄処理には注意を要する。
【0018】
また、捕獲剤調整装置5の捕獲剤供給手段6の別の態様としては、ガス除去フィルタ2の捕獲剤保持部3全域に霧状捕獲剤が散布可能なスプレー要素を備えている態様(スプレー方式)が挙げられる。このスプレー要素には多数のノズルを通じて散布する方式や、圧力缶に充填された霧状捕獲剤を噴霧する方式などがある。
更に、捕獲剤調整装置5の捕獲剤供給手段6の別の態様としては、ガス除去フィルタ2の捕獲剤保持部3全域を清掃する清掃部材と、この清掃部材による清掃処理の後に前記捕獲剤保持部3に対して霧状捕獲剤が散布可能なスプレー要素とを備えている態様が挙げられる。本態様によれば、清掃部材による清掃過程を経ることで、捕獲剤保持部3によるスプレー散布による捕獲剤を均一塗布することが可能である。
【0019】
更に、捕獲剤調整装置5の捕獲剤供給手段6の他の態様としては、補給若しくは交換用の捕獲剤が供給可能に収容されている捕獲剤供給カートリッジを有するものが挙げられる。この場合、捕獲剤供給カートリッジとしては、ガス除去フィルタ2の寿命に対応する捕獲剤を一括収容するようにしてもよいし、複数パーツに分割し、捕獲剤を分割供給可能に収容するようにしてもよい。
【0020】
また、本発明の第2の態様の代表的態様としては、図2に示すように、ガス除去フィルタ2が移動自在なウェブ状フィルタ基材を有し、このフィルタ基材に捕獲剤保持部3を設けると共にこの捕獲剤保持部3に捕獲剤4を常時保持させたものであり、捕獲剤調整装置5が、ウェブ状ガス除去フィルタ2の一端側を巻き戻し部材11に巻き戻し可能に巻き付け、前記他端を巻き取り部材12に巻き取り可能に係止させたものであり、巻き取り部材12の巻き取り動作に連動してウェブ状ガス除去フィルタ2を順次移動させる態様(ウェブ巻き取り方式)が挙げられる。
このウェブ巻き取り方式は例えば特許文献5,6に示すように公知の手法を広く用いることが可能であるが、本発明では未使用捕獲剤保管手段10を備えている点を特徴とするものである。
【0021】
ここで、ウェブ巻き取り方式の好ましい態様としては、捕獲剤調整装置5の未使用捕獲剤保管手段10が、巻き戻し部材11が収納される巻き戻しホルダ13を有し、この巻き戻しホルダ13にはウェブ状ガス除去フィルタ2が巻き戻し可能に引き出される引出口14を形成すると共に、この引出口14とウェブ状ガス除去フィルタ2との間を密封手段15にて密封し且つウェブ状ガス除去フィルタ2を移動自在にしたものがある。
本態様において、密封手段15にはシール部材を用いる態様の他、引出口の一方の縁部をバネ作用で付勢し、ウェブ状ガス除去フィルタを挟持する態様が挙げられる。但し、この密封手段15は密封性とフィルタ引出性とを両立することを要する。
このように、本態様によれば、密封手段15の存在により、巻き戻しホルダ13内の巻き戻し部材11に巻き付けられているウェブ状ガス除去フィルタ2の経時変化(劣化)を防止することができる。
【0022】
更に、密封手段15としてのシール部材の好ましい態様としては、シール部材に捕獲剤と同等な捕獲剤を含める態様がある。この場合、シール部材でガス状化学物質を捕獲するため、巻き戻しホルダ13内でのウェブ状ガス除去フィルタ2の劣化をより抑制可能である。
また、ウェブ巻き取り方式の別の態様としては、捕獲剤調整装置5の未使用捕獲剤保管手段10が、巻き戻し部材11が収納される巻き戻しホルダ13を有し、この巻き戻しホルダ13内に捕獲剤と同等の補助捕獲剤を設置する態様がある。
【0023】
更に、本発明における第3の態様の捕獲剤調整装置5の代表的態様としては、図3に示すように、空気流通路1が複数の領域(1a〜1c)に切替選択可能な切替手段16としてのシャッタを有し、このシャッタにて切替選択された空気流通路1に対応してガス除去フィルタ2の捕獲剤保持領域(捕獲剤保持部3の領域3a〜3cに相当)を切替選択するものが挙げられる。
本態様は一つの空気流通路開口をシャッタにて選択するものである。
また、捕獲剤調整装置5の他の代表的態様としては、図3に示すように、複数の空気流通路1(例えば1a〜1c)が切替選択可能な切替手段16としてのバルブを有し、複数の空気流通路1に対応して夫々ガス除去フィルタ2(夫々捕獲剤保持部3a〜3cを具備)を配置したものが挙げられる。
【0024】
更に、本発明の好ましい態様としては、図1ないし図3に示すように、空気流通路1のうちガス除去フィルタ2の上流側に粒子捕獲用の粒子除去フィルタ(プレフィルタ)8を備えているものが挙げられる。本態様によれば、ガス除去フィルタ2の目詰まりを防止することができる点で好ましい。
ここで、粒子除去フィルタ8の代表例は粉塵フィルタであり、この粒子除去フィルタ8は固定型、移動型を問わない。
また、本発明の好ましい態様としては、例えば図1,図2に示すように、更に、空気流通路1のうちガス除去フィルタ2の下流側に補助フィルタ(ポストフィルタ)9を備えているものが挙げられる。本態様によれば、例えば活性炭等のフィルタを設けることにより、ガス除去フィルタ2からの生成物(放電生成物や付着した飛散物等)を除去することが可能である。
【0025】
更に、本発明の好ましい態様としては、例えば図1,図2に示すように、空気流通路1の途中に配設される粒子捕獲用の粒子除去フィルタ8を備え、ガス除去フィルタ2と粒子除去フィルタ8とで通気速度が変更可能な通気速度可変手段を設けるものが挙げられる。本態様によれば、通気速度が高速である場合には粒子除去フィルタ8による粒子除去効率が高くなり、一方、通気速度が低速である場合にガス除去フィルタ2によるガス状化学物質の除去効率が向上することになり、塵埃などの粒子及びガス状化学物質の両方を効率的に捕獲することができる。
また、本発明は、空気清浄装置を対象とするが、これに用いられる捕獲剤調整装置5をも対象とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る空気清浄装置によれば、捕獲剤調整装置を工夫することにより、ガス除去フィルタの捕獲剤保持部に対する捕獲剤の保持状態を使用可能範囲に調整するようにしたので、捕獲剤を無駄に使用することなく、ガス状化学物質の捕獲性能を常時良好に保ちながら、ガス除去フィルタの寿命を延ばすことができる。
また、本発明に係る空気清浄装置に用いられる捕獲剤調整装置によれば、捕獲剤を無駄に使用することなく、ガス状化学物質の捕獲性能を常時良好に保ちながら、ガス除去フィルタの寿命を延ばすことが可能な空気清浄装置を簡単に構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
◎実施の形態1
図4は本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態1を示す。
同図において、空気清浄装置20は、空気流通路21が区画形成されるエアダクト22を有し、このエアダクト22の入口開口23には入口ルーバー24を設けると共に、エアダクト22の出口開口25には出口ルーバー26を設け、空気流通路21には入口側から順にプレフィルタ31、細かな粉塵除去用の粒子除去フィルタ32、ホルムアルデヒド等のVOC除去用のガス除去フィルタ33、ガス除去フィルタ33からの生成物除去用の補助フィルタ34を配設し、更に、プレフィルタ31と粒子除去フィルタ32との間に送風ファン40を配設したものである。
そして、本実施の形態では、ガス除去フィルタ33にはガス捕獲用の液状の捕獲剤(液剤)50を調整する捕獲剤調整装置100が付設されている。
【0028】
本実施の形態において、ガス除去フィルタ33は液状の捕獲剤50が浸透保持可能なフィルタ基材51を固定的に配設したものである。
ここで、液状の捕獲剤50としては、対象汚染物質(捕獲ターゲット)の性質により適宜選定される。例えば捕獲ターゲットがホルムアルデヒドである場合には公知のホルムアルデヒドキャッチャー剤が用いられ、ホルムアルデヒドと他のVOCとの混合ガスの場合にはグラフト重合薬剤(例えば基体に極性物質の吸着能を有する官能基として親水性基及びカチオン性解離基並びに/又はアニオン性解離基を含むマクロモノマーをグラフト重合により結合されている吸着剤:特開2001−178804号公報参照)が用いられる。また、フィルタ基材51としては液状の捕獲剤が浸透保持される繊維状ウェブを始め、不織布、紙、樹脂など通気性のある材質を使用した膜、また、ハニカム状など通気性のある形状を有するもの等適宜選定して差し支えない。
【0029】
また、本実施の形態において、捕獲剤調整装置100は、図5に示すように、捕獲剤50が補給可能な捕獲剤供給装置101を有している。この捕獲剤供給装置101は、所定量の捕獲剤50が貯蔵される捕獲剤供給タンク102を配設する一方、ガス除去フィルタ33の上部には複数のノズル部がガス除去フィルタ33の上縁長さ方向に沿って略均等に配列される均等配分ノズル103を配設し、前記捕獲剤供給タンク102と均等配分ノズル103との間を供給配管104を介して連通接続すると共に、この供給配管104の途中にはポンプ105及び流量調整弁106を介在させたものである。尚、捕獲剤供給タンク102にはガス除去フィルタ33の想定寿命(例えば一年)に対応する捕獲剤50が予め収容されている。また、図5中、符号107は捕獲剤供給タンク102の供給口、108はドレン配管である。
更に、ガス除去フィルタ33内には浸透した捕獲剤50の濃度検知用の濃度センサ110が適宜数設置されており、この濃度センサ110からの情報が流量制御装置111に入力されるようになっている。この流量制御装置111は流量調整弁106の開度を調整することにより薬液(捕獲剤)注入量を制御するものであり、前記濃度センサ110からのセンサ出力をフィードバック信号として運転され、ガス除去フィルタ33のフィルタ基材51での薬液濃度が一定値になるように薬液注入量を制御する濃度調整モードを持つ。また、本例では、流量制御装置111は、前記方式とは別に、タイマーにてある一定期間毎に薬液を供給する定期供給モードを併せ持つ。
【0030】
更にまた、本実施の形態において、捕獲剤調整装置100は捕獲剤の廃液が排出可能な排出装置112を有しており、この排出装置112はガス除去フィルタ33の下部に廃液タンク113をドレン配管114を介して連通接続したもので、余剰の捕獲剤50を廃液タンク113に排出するように構成したものである。
また、本実施の形態では、ガス除去フィルタ33の通風面にはフィルタ加熱装置115が設けられている。このフィルタ加熱装置115は例えばガス除去フィルタ33の通風面の略全域に亘ってクロス状に配列されるヒータ線にて構成されており、例えば加熱制御装置116からの制御信号に基づいて定期的に加熱され、ガス除去フィルタ33のフィルタ基材51内に蓄積される捕獲剤反応物を定期的に除去する。この場合、除去される捕獲剤反応物が室内を汚染しないように、例えば活性炭のような物理吸着材を配置する等配慮することが必要である。尚、フィルタ加熱装置115に代えて予定される反応生成物を化学的に処理する方式を採用しても差し支えない。
【0031】
従って、本実施の形態に係る空気清浄装置によれば、汚染された清浄対象空気Airは送風ファン40により空気流通路21内に取り込まれる。このとき、清浄対象空気Airの塵埃等の粒子のうち大きな粒子はプレフィルタ31で除去され、次いで、プレフィルタ31を通過した細かな粒子が粒子除去フィルタ32にて除去され、更に、ホルムアルデヒド等のガス状化学物質がガス除去フィルタ33にて除去され、最後に、ガス除去フィルタ33からの生成物(放電生成物や付着した飛散物)が補助フィルタ34にて除去される。
特に、本実施の形態に係る捕獲剤供給装置101によれば、ガス除去フィルタ32のフィルタ基材51には液状捕獲剤(液剤)50が必要に応じて補充供給され、かつ、均等配分ノズル103により略均等に配分されるようになっているため、ガス除去フィルタ33のフィルタ基材51は長期に亘って液剤50の浸透度合が略均一な状態に保たれることになり、その分、ガス除去フィルタ33によるガス除去性能は長期に亘って安定的に維持される。このとき、ガス除去フィルタ33に液剤50が常時供給され続ける必要はないため、液剤50が不必要に消費される懸念はない。
【0032】
尚、本実施の形態では、ガス除去フィルタ33の途中に濃度センサ110を配設し、ガス除去フィルタ33のフィルタ基材51に浸透する液状捕獲剤(液剤)50の濃度を検出するようにしているが、例えば図6(a)に示すように、ガス除去フィルタ33のフィルタ基材51の下端部近傍に含浸センサ117を配設し、この含浸センサ117からの信号に基づいてフィルタ基材51への液剤50の含浸状態を検出し、この含浸センサ117からの信号に応じて流量調整弁106を制御するようにしても差し支えない。また、本実施の形態では、ガス除去フィルタ33は単一列のフィルタ基材51にて構成されているが、これに限られるものではなく、例えば図6(b)に示すように、複数列のフィルタ基材51(例えば51a〜51c)を用い、フィルタ基材51との通風接触面積を増加させるようにしてもよいし、あるいは、図6(c)に示すように、フィルタ基材51に蛇腹状の折り畳み部51dを設け、フィルタ基材51の実質的な通風接触面積を増加させるようにしてもよい。
【0033】
◎実施の形態2
図7は本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態2を示す要部説明図である。
同図において、捕獲剤調整装置100の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なる捕獲剤供給装置101を備えている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態で用いられる捕獲剤供給装置101は、液状捕獲剤(液剤)50が複数に分割されて供給される捕獲剤分割供給機構120と、ガス除去フィルタ33のフィルタ基材51の上部に設けられ且つ捕獲剤分割供給機構120にて分割供給された捕獲剤50を一時的に貯蔵した後前記フィルタ基材51に浸透供給する捕獲剤貯蔵タンク130とを備えている。
【0034】
本実施の形態において、捕獲剤分割供給機構120は、図8(a)に示すように、図示外の交換機構により複数の供給容器121を直列交換可能に配置すると共に、各供給容器121に予め液状捕獲剤(液剤)50を充填しておき、液剤押出機構126にて各供給容器121内の液剤を押出し供給するようにしたものである。
ここで、各供給容器121は一端側に吐出口123が開口されたシリンジ122の他端側にピストン124を可動自在に配置したものであり、各シリンジ122内には液状捕獲剤(液剤)50を所定量充填しておき、シリンジ122の吐出口123を密閉シール125にて一次的に塞ぐものである。
また、液剤押出機構126は例えば駆動モータ127の回転に応じて進退自在に移動する押出ロッド(例えば駆動モータ127と同軸のギアに噛合するラックを具備するロッド)128を有し、この押出ロッド128にて供給容器121のピストン124を移動させるようにしたものである。
【0035】
従って、本実施の形態に係る捕獲剤調整装置100によれば、例えばガス除去フィルタ33内の液剤50を補給する必要が生じた場合、濃度センサ110からの検出信号が流量制御装置111に入力されると、この流量制御装置111は捕獲剤分割供給機構120に対して捕獲剤補給制御信号を送出する。すると、捕獲剤分割供給機構120は図示外の交換機構により捕獲剤が充填された供給容器121を所定の供給位置に移動させた後、液剤押出機構126にてピストン124を移動させ、供給容器121の密閉シール125を取り除くと共に供給容器121内の液剤50を捕獲剤貯蔵タンク130に吐出する。
この後、捕獲剤貯蔵タンク130に吐出された液剤50はガス除去フィルタ33のフィルタ基材51の上部の略全域から略均一に浸透していくため、ガス除去フィルタ33に対して液剤50が略均一に補給される。
尚、本実施の形態では、捕獲剤分割供給機構120は直列交換可能に構成されているが、これに限られるものではなく、例えば図8(b)(c)に示すように、回転可能なリボルバ129に複数の供給容器121を搭載し、所定の供給位置に順次移動させるようにしてもよい。この場合、各供給容器121の配設方向としては横置きの態様が示されているが、縦置きの態様でもよいことは勿論である。
【0036】
◎実施の形態3
図9(a)は本発明が適用される空気清浄装置の実施の形態3の要部を示す。
同図において、ガス除去フィルタ33には、実施の形態1,2と同様に捕獲剤調整装置100が付設されているが、捕獲剤供給装置101の構成が実施の形態1,2と異なるものになっている。
すなわち、本実施の形態で用いられる捕獲剤供給装置101は、実施の形態1と同様な捕獲剤供給タンク102を有し、この捕獲剤供給タンク102からの供給配管104の一部には流量調整弁106を介在させたものであるが、実施の形態1と異なり、供給配管104の端部に捕獲剤浸透ガイド140を設け、ガス除去フィルタ33のフィルタ基材51に捕獲剤(液剤)50を略均一に浸透させるようしたものである。
ここで、捕獲剤浸透ガイド140は、ガス除去フィルタ33のフィルタ基材51よりも流動性に優れた材料(例えば樹脂)にて一体的に構成されており、例えば図9(a)(b)に示すように、ガス除去フィルタ33のフィルタ基材51の片面に貼り付けたもので、供給配管104の端部からフィルタ基材51の上縁全体に末広がり状に広がる拡開部141を有し、この拡開部141から下方に垂下する複数の垂下部142を形成すると共に、各垂下部142には斜め下方に向かう適宜数の分岐部143を形成したものである。
【0037】
本実施の形態において、捕獲剤供給装置101は、流量調整弁106の調整により捕獲剤供給タンク102からの捕獲剤(液剤)50を捕獲剤浸透ガイド140を介してガス除去フィルタ33のフィルタ基材51に補給する。
このとき、捕獲剤浸透ガイド140は拡開部141から各垂下部142、分岐部143を介してガス除去フィルタ33のフィルタ基材51の略全域に液剤50を略均等に分配することから、ガス除去フィルタ33のフィルタ基材51には液剤50が略均一に補給される。
尚、本実施の形態では、捕獲剤浸透ガイド140はガス除去フィルタ33のフィルタ基材51の片面に設けたものであるが、両面に設けることも可能である。また、フィルタ基材51への液剤50の浸透度合をより均一にするために、例えば図9(c)に示すように、フィルタ基材51をメッシュ型51eに構成するようにしてもよい。
【0038】
◎実施の形態4
図10(a)は本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態4の要部を示す説明図である。
同図において、ガス除去フィルタ33の捕獲剤供給装置101は、実施の形態2と略同様に、捕獲剤分割供給機構120と分割供給された液状捕獲剤(液剤)50を一時的に貯蔵する捕獲剤貯蔵タンク130とを備えているが、捕獲剤分割供給機構120が実施の形態2と異なるものになっている。
本実施の形態において、捕獲剤分割供給機構120は、夫々液状捕獲剤が供給可能な複数の供給カートリッジ150(具体的には150a〜150d)を有し、各供給カートリッジ150を捕獲剤貯蔵タンク130の頂部に設けたものである。
また、捕獲剤貯蔵タンク130は、図10(b)に示すように、液剤50を貯蔵すると共に、ガス除去フィルタ33のフィルタ基材51の上縁部略全域を液剤50に浸透させた状態でフィルタ基材51を保持するようになっている。
【0039】
ここで、ガス除去フィルタ33の保持構造としては、図10(c)に示すように、捕獲剤貯蔵タンク130を複数のタンクパーツ131,132に分離可能に構成し、これらのタンクパーツ131,132を締結具133にて締結すると共に、これらのタンクパーツ131,132間にガス除去フィルタ33のフィルタ基材33の上縁部を密に挟持するようにしたものが挙げられる。尚、複数のタンクパーツ131,132に分離しないで、例えば図10(d)に示すように、タンクケース134の一部にフィルタ基材51挿入用のスリット135を開設し、このスリット135に挿入されたフィルタ基材51の上縁部を板バネ136等で密に挟持するようにしてもよいし、また、図10(c)では、捕獲剤貯蔵タンク130の下部にガス除去フィルタ33の保持部を確保するようにしているが、図10(e)に示すように、捕獲剤貯蔵タンク130の側部にガス除去フィルタ33の保持部を確保するようにしても差し支えない。
【0040】
また、本実施の形態において、各供給カートリッジ150は定期的に液状捕獲剤(液剤)50を供給するものである。
ここで、供給カートリッジ150の開放構造としては、図11(a)に示すように、各供給カートリッジ150に予め液状捕獲剤(液剤)50を充填しておき、各供給カートリッジ150の連通口部153内には雌ねじ部154を設けると共に、連通口部153に密閉シール155を設ける一方、捕獲剤貯蔵タンク130側には各供給カートリッジ150の連通口部153に螺合可能な連通ボス部137を設け、この連通ボス部137の周囲には雄ねじ部138を設けると共に、この連通ボス部137の一部には密閉シール155破砕用の破砕爪139を設けるようにしたものもある。
この態様によれは、供給カートリッジ150内の液剤50を供給するには、対応する供給カートリッジ150を対応する連通ボス部137に螺合させるようにすればよく、螺合動作に伴って供給カートリッジ150の密閉シール155が破砕爪139にて破砕されると共に、供給カートリッジ150が捕獲剤貯蔵タンク130に連通接続される。このため、供給カートリッジ150内の液剤50が捕獲剤貯蔵タンク130内に吐出され、捕獲剤貯蔵タンク130に吐出された液剤50がガス除去フィルタ33のフィルタ基材51に順次略均一に浸透していく。
【0041】
更に、供給カートリッジ150の開放構造の別の態様としては、図11(b)に示すように、供給カートリッジ150の連通口部153を当初塞いでおき、所定期間が経過した時点で穿孔動作する穿孔具156(例えば電磁ソレノイド等のアクチュエータ157にて動作)にて前記供給カートリッジ150の連通口部153を開放するようにしたものが挙げられる。
本態様によれば、捕獲剤貯蔵タンク130に各供給カートリッジ150を予め組み付けておけば、所定期間経過毎に穿孔具156による穿孔動作により各供給カートリッジ150から液状捕獲剤(液剤)50が捕獲剤貯蔵タンク130に定期供給され、捕獲剤貯蔵タンク130に吐出された液剤50がガス除去フィルタ33のフィルタ基材51に順次略均一に浸透していく。
【0042】
尚、上記実施の形態では、複数の供給カートリッジ150(150a〜150d)を備えた態様が示されているが、これに限られるものではなく、例えば図12(a)に示すように、例えば一つの供給カートリッジ160を複数の供給室161に分け、供給室161毎に捕獲剤を供給可能に構成してもよい。
この場合において、供給カートリッジ160としては全ての供給室161内の液剤が使用された段階で交換するようにしてもよいが、例えば図12(b)(c)に示すように、供給カートリッジ160として、複数のカートリッジ容器162が固定配置される固定型とし、詰め替え可能な詰め替えパック163にて液状捕獲剤(液剤)50を必要に応じてカートリッジ容器162に充填するようにしてもよい。
この態様において、詰め替えパック163による詰め替え方法としては、図12(c)に示すように、カートリッジ容器162に開設される注入口164から詰め替えパック163内の液状捕獲剤50を注入するようにすればよい。
【0043】
◎実施の形態5
図13は本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態5の要部を示す。
同図において、空気清浄装置の基本的構成は実施の形態1と略同様であるが、上述した実施の形態と異なり、空気流通路21に沿って略平行にガス除去フィルタ33を配設したものになっている。
特に、本実施の形態では、ガス除去フィルタ33は複数列(本例では4列)のシート状フィルタを所定間隔毎に配設したものであり、これらのガス除去フィルタ33間に空気流通路21が確保される一方、ガス除去フィルタ33の上部に捕獲剤供給装置101が設けられ、また、ガス除去フィルタ33の下部に捕獲剤50の排出装置112が設けられている。尚、本例では、捕獲剤供給装置101は捕獲剤が一時的に貯蔵される捕獲剤貯蔵タンク130を備えた態様であるが、必ずしもこれに限られるものではなく適宜設計変更して差し支えない。
本実施の形態によれば、ガス除去フィルタ33が空気流通路21に対して直交配置されておらず、空気流通路21に沿って略平行に配置されているため、通気抵抗が少なく抑えられるほか、複数列のガス除去フィルタ33を用いることにより実質的なフィルタ通気面積を拡大することが可能である。
【0044】
◎実施の形態6
図14(a)(b)は本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態6の要部を示す。
同図において、ガス除去フィルタ33は、上述した実施の形態と異なり、駆動モータ171にて回転可能で且つ液状捕獲剤が浸透可能なロール部材170にて構成されており、このガス除去フィルタ33の上部には液剤(捕獲剤)供給装置101が配設されている。
ここで、このガス除去フィルタ33は空気流通路に対して略直交配置されていてもよいし、略平行配置されていてもよいが、ロール部材170の構成として通気抵抗を低減する構成を採用することが好ましい。
本実施の形態によれば、ガス除去フィルタ33はロール部材170を回転動作させる態様であるから、液剤供給装置101から供給される液剤50は回転するガス除去フィルタ33に順次浸透していき、ガス除去フィルタ33には液剤50が略均一に供給される。
尚、本実施の形態において、ガス除去フィルタ33は一つのロール部材170にて構成されているが、これに限られるものではなく、例えば図14(c)に示すように、複数のロール部材170(例えば170a〜170c)を接触転動可能に直線的に配列するようにしたり、あるいは、図14(d)に示すように、複数のロール部材170(例えば170a〜170d)を接触転動可能にジグザク状に配列するようにしてもよい。
【0045】
◎実施の形態7
図15(a)(b)は本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態7の要部を示す。
同図において、空気清浄装置の基本的構成は、空気流通路21には入口側から順に塵埃除去用の粒子除去フィルタ32、ホルムアルデヒド等のVOC除去用のガス除去フィルタ33及びガス除去フィルタ33からの生成物除去用の補助フィルタ34を配設したものである。
特に、本実施の形態では、ガス除去フィルタ33は粒子除去フィルタ32及び補助フィルタ34間にガス捕獲剤が収納可能な収納空間部52を有し、この収納空間部52には顆粒状捕獲剤(顆粒剤)50を収納可能に保持するようになっている。尚、ガス除去フィルタ33の収納空間部52については、前後のフィルタ32,34を用いずにガス除去フィルタ33の構成要素を用いて確保するようにしてもよい。但し、この態様においては、ガス除去フィルタ33の通気抵抗が不必要に嵩まないように収納空間部52を区画する構成要素を工夫することが好ましい。
この顆粒状捕獲剤(顆粒剤)50としては、ホルムアルデヒド等のVOCが捕獲可能な吸着剤を用い、流動性の良い顆粒として構成したものが挙げられる。ここで、顆粒形状としては、球形、円柱形、破砕形など適宜選定して差し支えなく、具体例としては、例えばグラフト重合薬剤のほか、活性炭などの多孔質剤、化学吸着剤や化学吸収剤を添着した多孔質剤などを用いた顆粒剤がある。尚、本態様では、捕獲剤50として顆粒剤を用いているが、顆粒よりも小径の流動性の良い粉体を用いてもよいことは勿論である。また、この顆粒状捕獲剤(顆粒剤)50として例えば使用履歴に応じて色変化するように構成すれば、捕獲剤50の使用履歴を目視確認できる点でユーザーが捕獲剤50の交換時期を容易に認識することができる上で好ましい。
【0046】
更に、ガス除去フィルタ33には捕獲剤調整装置100が付設されており、この捕獲剤調整装置100は、ガス除去フィルタ33の上部に設けられて捕獲剤50を補給する捕獲剤供給装置101と、ガス除去フィルタ33の下部に設けられて収納空間部52からの古い捕獲剤50を排出する排出装置112とを備えている。
そして、捕獲剤供給装置101は、捕獲剤50が収納される捕獲剤供給タンク180と、この捕獲剤供給タンク180とガス除去フィルタ33の収納空間部52との間を連結する入口連結配管181と、この入口連結配管181の一部に設けられる入口開閉バルブ182とを備えている。
一方、排出装置112は、不要になった捕獲剤50を廃棄する廃棄タンク190と、この廃棄タンク190とガス除去フィルタ33の収納空間部52との間を連結する出口連結配管191と、この出口連結配管191の一部に設けられる出口開閉バルブ192とを備えている。
【0047】
特に、入口開閉バルブ182、出口開閉バルブ192は制御装置200(図16(a)参照)からの制御信号に基づいて開閉動作するようになっている。つまり、入口開閉バルブ182は、図15(a)に示す空状態から図15(b)に示す満杯状態に至るように、ガス除去フィルタ33の収納空間部52に捕獲剤供給タンク180内の捕獲剤50を充填するように開放動作する一方、出口開閉バルブ192は、ガス除去フィルタ33の収納空間部52内の捕獲剤50に交換の必要性が生じた場合に開放動作し、廃棄タンク190に古い捕獲剤50全部を廃棄するようになっている。
ここで、入口開閉バルブ182、出口開閉バルブ192の構成例について説明すると以下のようである。
【0048】
図16(a)(b)に示すように、入口開閉バルブ182,出口開閉バルブ192は、例えばスライドガイド201に沿って進退するシャッタ202を有し、このシャッタ202を電磁ソレノイド等のアクチュエータ203にて駆動可能に連結し、シャッタ202を進退動させることによりバルブ開口204を開閉するものである。
また、ガス除去フィルタ33の収納空間部52の下部近傍には空検知センサ205が配置されている。この空検知センサ205は、例えば図16(c)に示すように、ガス除去フィルタ33の収納空間部52内に捕獲剤50が収納されている状況下でスイッチ接片206をオン動作させ、前記収納空間部52内の捕獲剤50が空状態に至った段階でスイッチ接片206をオフ動作させるものである。
【0049】
次に、本実施の形態に係る空気清浄装置の作動について説明する。
今、図15(b)に示すように、ガス除去フィルタ33の収納空間部52に顆粒状捕獲剤(顆粒剤)50が充填されているとすると、図示外の送風ファンにて汚染空気(清浄対象空気)Airが空気流通路21内を通過する場合、汚染空気Airのうち粒子成分が粒子除去フィルタ32にて除去され、更に、ホルムアルデヒド等のガス状化学物質がガス除去フィルタ33にて除去され、最後に、ガス除去フィルタ33からの生成物(放電生成物や付着した飛散物)が補助フィルタ34にて除去される。
特に、本実施の形態においては、制御装置200は、図16(a)に示すように、前回の捕獲剤補給日時情報を記録しておき、前回の捕獲剤補給日時から所定期間経過後に交換制御信号を送出し、出口開閉バルブ192を開放作動させる。
すると、ガス除去フィルタ33の収納空間部52に収納されていた古い顆粒状捕獲剤(顆粒剤)50は開放されたバルブ開口を通じて廃棄タンク190に落下し、廃棄される。
そして、収納空間部52内の捕獲剤50が空になると、空検知センサ205による捕獲剤50の空検知状態が制御装置200に通知され、この検知信号に基づいて制御装置200は出口開閉バルブ192を閉鎖した後入口開閉バルブ182を所定時間開放する。この状態において、捕獲剤供給タンク180内の新しい捕獲剤50が収納空間部52に補給され、捕獲剤50の補給が完了した時点で捕獲剤50の交換が終了する。
【0050】
尚、本実施の形態において、入口開閉バルブ182、出口開閉バルブ192の構成については例えば図16むに示す態様に限られるむものではなく適宜設計変更して差し支えない。
例えば図17(a)(b)に示すように、入口開閉バルブ182(又は出口開閉バルブ192)として、駆動モータ210にて回動する円板状シャッタ211の一部に連通開口212を設け、開放時には円板状シャッタ211の連通開口212を通じてガス除去フィルタ33の収納空間部52の入口開口(又は出口開口)を開放するようにしたものが挙げられる。また、別の態様としては、図18(a)(b)に示すように、スライドガイド201に沿って進退するシャッタ202を有し、このシャッタ202を駆動モータ215及びリンクアーム216からなるアクチュエータ214にて駆動可能に連結し、シャッタ202を進退動させることによりバルブ開口204を開閉するようにしてもよい。更に、図18(c)に示すように、シャッタ機構217として絞り機構218からなる開閉構造を用いるようにしてもよい。
【0051】
◎実施の形態8
図19は本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態8の要部を示す。
同図において、空気清浄装置の基本的構成は、実施の形態7と略同様であるが、捕獲剤調整装置100のうち顆粒状捕獲剤(顆粒剤)50を供給する捕獲剤供給装置101が実施の形態7と異なる構成になっている。尚、実施の形態7と同様な構成要素については実施の形態7と同様な符号付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態において、捕獲剤供給装置101は捕獲剤50が供給可能に収容される捕獲剤供給タンク180を有しているが、この捕獲剤供給タンク180は複数のタンク室184(例えば184a〜184c)に分割されると共に、駆動アクチュエータ185にてシフト移動するようになっており、捕獲剤供給タンク180の各タンク室184がガス除去フィルタ33の収納空間部52に対する補給位置に間欠的に順次設定されるようになっている。
そして、本例では、制御装置200は、捕獲剤50の交換タイミングに応じて入口開閉バルブ182、出口開閉バルブ192等の開閉制御を行うと共に、前記駆動アクチュエータ185による捕獲剤供給タンク180の移動制御を行うようになっている。
【0052】
本実施の形態によれば、捕獲剤供給タンク180の各タンク室184の容量若しくは捕獲剤収容量を予めガス除去フィルタ33の収納空間部52容量に合わせておけば、捕獲剤供給タンク180の定期的移動に伴って捕獲剤供給タンク180の各タンク室184が順次ガス除去フィルタ33の収納空間部52に対応した補給位置Aに到達し、補給位置Aに位置するタンク室184(図19では184b)の捕獲剤50がガス除去フィルタ33の収納空間部52に落下収納される。
尚、ガス除去フィルタ33の収納空間部52に古い捕獲剤50が収納されている状況では、当該古い捕獲剤50は排出装置112の廃棄タンク190に廃棄される。
このように、ガス除去フィルタ33の収納空間部52には定期的に捕獲剤50が交換されることから、ガス除去フィルタ33のガス除去性能は捕獲剤供給タンク180の捕獲剤50の全体容量に対応した分だけ常時良好に保たれる。
【0053】
◎実施の形態9
図20(a)は本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態9の要部を示す。
同図において、空気清浄装置の基本的構成は、実施の形態7,8と同様に、ガス除去フィルタ33に対して捕獲剤調整装置100を付加し、顆粒状捕獲剤(顆粒剤)50を用いた態様であるが、捕獲剤調整装置100の構成が実施の形態7,8と異なるものである。
本実施の形態で用いられる捕獲剤調整装置100は、ガス除去フィルタ33の収納空間部52の下部に捕獲剤供給装置101を設けると共に、前記収納空間部52の上部に排出装置112を設けたものである。
本例では、捕獲剤供給装置101は収納空間部52の下部に連通接続される捕獲剤供給タンク220を有し、この捕獲剤供給タンク220の底壁を上下動自在な昇降板221として構成し、この昇降板221をリフタ222にて昇降自在に支持すると共に、駆動モータ223にて前記リフタ222を昇降動させるようにしたものである。
一方、排出装置112は収納空間部52の上部に連通接続される廃棄タンク225を有する。
【0054】
そして、本実施の形態では、捕獲剤供給タンク220にはガス除去フィルタ33の想定寿命(例えば一年)に対応する捕獲剤50が予め収容されており、図示外の制御装置は捕獲剤50の交換期間に応じた定期期間毎に駆動モータ223を介してリフタ222を所定量上昇させる。
すると、捕獲剤供給タンク220内の捕獲剤50が昇降板221にて上方に押し上げられ、ガス除去フィルタ33の収納空間部52内に押し上げられて充填される。このとき、ガス除去フィルタ33の収納空間部52内に収納されていた古い捕獲剤50は新しい捕獲剤50の押上動作に伴って上方に押し上げられ、廃棄タンク225側に押上げ廃棄される。このため、ガス除去フィルタ33の収納空間部52には新しい捕獲剤50が交換収納されることになり、ガス除去フィルタ33のガス除去性能は良好に保たれる。
【0055】
また、本実施の形態では、捕獲剤供給タンク220は一つのタンク容器にて構成されているが、これに限られるものではなく、例えば図20(b)に示すように、捕獲剤供給タンク220を順次シフト移動可能な複数の分割タンクパック226(例えば226a〜226d)として構成すると共に、この分割タンクパック226の上下端を破砕自在な密閉シール(図示外)で塞ぐ一方、ガス除去フィルタ33の収納空間部52の下部開口には開閉シャッタ227を設け、この開閉シャッタ227に対応するガス除去フィルタ33の補給口の下方には分割タンクパック226内の捕獲剤持上げ用のリフタ228を駆動モータ229にて昇降自在に設けるようにしてもよい。
本態様によれば、図示外の制御装置は所定の交換期間に達すると所定の交換制御信号を送出し、開閉シャッタ227を開放した後、ガス除去フィルタ33の補給口に未使用の分割タンクパック226をシフト移動させると共に、リフタ228を上昇させることにより分割タンクパック226内の捕獲剤50をガス除去フィルタ33の収納空間部52に押し出し充填する。尚、収納空間部52内の古い捕獲剤50は新しい捕獲剤50の充填動作に伴って廃棄タンク225側に押し出し廃棄される。
尚、分割タンクバック226は内蔵した捕獲剤50を押し出し充填する構造になっているが、これに限られるものではなく、分割タンクパック226毎にガス除去フィルタ33の収納空間部52に収納し、分割タンクパック226毎廃棄するようにしてもよい。
【0056】
◎実施の形態10
図21は本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態10の要部を示す。
同図において、空気清浄装置の基本的構成は、空気流通路21の上流側から順に粒子除去フィルタ32、ガス除去フィルタ33及び補助フィルタ34を配列し、ガス除去フィルタ33に捕獲剤調整装置100を付加したものである。
本実施の形態において、ガス除去フィルタ33は移動自在なウェブ状フィルタ基材230を有する。このフィルタ基材230は捕獲剤が含まれる捕獲剤層232をベース基材231上に積層したもので、捕獲剤層232の上に離型剤層233を形成したものである。
【0057】
また、捕獲剤調整装置100は、ウェブ状ガス除去フィルタ33の一端側を巻き戻しロール240に巻き戻し自在に巻き付け、前記他端側を巻き取りロール241に巻き取り可能に係止させたものであり、巻き取りロール241の巻き取り動作に連動してウェブ状ガス除去フィルタ33を順次移動させるようにしたものである。
ここで、制御装置200は所定の移動タイミング毎に駆動モータ242を駆動させ、巻き取りロール241を所定量回転させることによりウェブ状ガス除去フィルタ33を巻き取り移動させるものである。本例では、この場合、ウェブ状除去フィルタ33が空気流通路21を対して略直交配置されているが、巻き取りロール241の回転量はウェブ状ガス除去フィルタ33が空気流通路21の略通路面積分だけ移動する程度に設定されている。
【0058】
更に、本実施の形態では、捕獲剤調整装置100は、ウェブ状ガス除去フィルタ33の未使用捕獲剤が劣化せずに保管可能な未使用捕獲剤保管器250を備えている。この未使用捕獲剤保管器250は、図21及び図22(a)に示すように、巻き戻しロール240が収納される巻き戻しホルダ251を有し、この巻き戻しホルダ251にはウェブ状ガス除去フィルタ33が巻き戻し可能に引き出される引出口252を形成すると共に、この引出口252とウェブ状ガス除去フィルタ33との間を弾性シール材(シール部材)253にて密封するようにしたものである。但し、この弾性シール材253はウェブ状除去フィルタ33に弾性接触するが、その弾性接触の程度はウェブ状除去フィルタ33が弾性シール材253との間で摺動自在であることを要する。
【0059】
特に、本実施の形態では、巻き戻しホルダ251は樹脂製素材にて一体的に成形されたものであり、引出口252を挟んだ一方のホルダ壁251aを弾性変形可能に且つ引出口252を塞ぐ方向Fに付勢するようにしたものである。また、弾性シール材253としては、少なくとも引出口252縁部とウェブ状ガス除去フィルタ33との間の隙間を弾性的に充填するものであればよい。
一方、巻き取りロール241側には使用済捕獲剤保管器260が設けられている。この使用済捕獲剤保管器260は、図21に示すように、巻き取りロール241が収納される巻き取りホルダ261を有し、この巻き取りホルダ261にはウェブ状ガス除去フィルタ33が巻き取り可能に巻き取られる回収口262を形成するものである。尚、この回収口262とウェブ状ガス除去フィルタ33との間には特にシール部材を設ける必要はなく、隙間が残ったままである。
【0060】
次に、本実施の形態に係る空気清浄装置の作動について説明する。
空気流通路21中の汚染空気(清浄対象空気)Airは、図21に示すように、粒子除去フィルタ32,ガス除去フィルタ33及び補助フィルタ34の順に通過する。この間、粒子成分が粒子除去フィルタ32にて除去され、ガス状化学物質がガス除去フィルタ33にて除去され、更に、ガス除去フィルタ33での生成物が補助フィルタ34にて除去される。
そして、ガス除去フィルタ33に保持されている捕獲剤50にガス状化学物質が捕獲され続けると、次第にガス除去フィルタ33によるガス除去性能が低下し始める。このため、本実施の形態では、制御装置200が所定の交換タイミングに応じて所定の交換制御信号を送出し、ウェブ状ガス除去フィルタ33を所定量移動させ、空気流通路21の通風面積内での捕獲剤50を新しい捕獲剤に交換する。これにより、ガス除去フィルタ33によるガス除去性能は良好に保たれる。
【0061】
また、本実施の形態では、未使用捕獲剤保管器250は巻き戻しホルダ251内に位置するウェブ状ガス除去フィルタ33を弾性シール材253にて密封し、汚染空気との接触を回避するようにしているため、巻き戻しホルダ251内のガス除去フィルタ33が未使用時に汚染空気中のガス状化学物質を吸着するという事態は有効に回避される。
特に、未使用捕獲剤の保管性能をより良好に保つという観点からすれば、弾性シール材253に捕獲剤50と同等な捕獲剤を含ませるようにしておくことが好ましい。この場合、汚染空気の一部が巻き戻しホルダ251の引出口252と弾性シール材253との間から内部に入り込もうとしても、当該弾性シール材253部分で汚染空気に含まれるガス状化学物質が吸着保持されるため、巻き戻しホルダ251内での未使用捕獲剤が使用前にて吸着反応等して不必要に劣化するという事態は有効に回避される。
尚、本実施の形態では、ウェブ状ガス除去フィルタ33の上流側に粒子除去フィルタ32を設けているが、ウェブ状ガス除去フィルタ33は捕獲剤50を移動交換するようになっているため、粒子除去フィルタ33を用いずにウェブ状ガス除去フィルタ33で粒子除去フィルタを兼用するようにしても差し支えない。この場合、ウェブ状ガス除去フィルタ33としては、粒子除去可能なメッシュ構成や、粒子除去に対して物理吸着性や電気吸着性を有する構成にすることが好ましい。
【0062】
また、未使用捕獲剤保管器250としては、図22(a)に示す態様に限られるものではなく、図22(b)〜(d)に示すように適宜選定して差し支えない。
例えば図22(b)に示すように、巻き戻しホルダ251の一部に引出口252を開設し、この巻き戻しホルダ251の外側に板バネからなる弾性押圧板255を止め具256にて片持ち支持すると共に、Fで示す方向に付勢される弾性押圧板255の自由端側で引出口252から引き出されたウェブ状ガス除去フィルタ33を引出口252縁部にて弾性挟持するようにした態様が挙げられる。
本態様では、ウェブ状ガス除去フィルタ33は弾性押圧板255により引出口252縁部に挟持されることから、この挟持部が実質的にシール機能を発揮することになり、ウェブ状ガス除去フィルタ33の未使用捕獲剤50が使用前に吸着反応等して不必要に劣化することは回避される。
尚、弾性押圧板255に代えて、図22(c)に示すように、巻き戻しホルダ251の引出口252を開閉する蓋板257を付勢バネ258にて付勢し、この付勢された蓋板257にて引出口252から引き出されたウェブ状ガス除去フィルタ33を引出口252縁部で挟持するようにしてもよい。
【0063】
更に、未使用捕獲剤保管器250の別の態様としては、図22(d)に示すように、巻き戻しホルダ251内に捕獲剤50と同等の補助捕獲剤259を適宜数設置するようにした態様が挙げられる。
本態様によれば、巻き戻しホルダ251の引出口252から巻き戻しホルダ251内に汚染空気が浸入したとしても、この汚染空気に含まれるガス状化学物質は補助捕獲剤259にて吸着等の作用にて有効に捕獲される。このため、ウェブ状ガス除去フィルタ33の未使用捕獲剤50が使用前に吸着反応等して不必要に劣化することはない。
尚、本態様では、巻き戻しホルダ251の引出口252に対してシール構造(弾性シール材を使用したり、引出口縁部での挟持構造など)を施していないが、図22(a)〜(c)に示すようなシール構造を併せて用いるようにしても差し支えない。
【0064】
また、本実施の形態では、ウェブ状ガス除去フィルタ33は、図23(a)に示すように、単一列で構成されているが、これに限られるものではなく、例えば図23(b)に示すように、巻き戻しロール240及び巻き取りロール241の他に適宜数(例えば3つ)の張架ロール243を用い、ウェブ状ガス除去フィルタ33を折り返し部244を介して複数段に折り返し配置するようにしてもよいし、あるいは、図23(c)に示すように、複数列(複数段)のウェブ状ガス除去フィルタ33(例えば33a,33b)を用いるようにしてもよい。
ここで、図23(b)(c)に示すように、複数段のウェブ状ガス除去フィルタ33を用いる態様にあっては、複数種の捕獲剤を区分保持させることにより、複数種のガス状化学物質を効果的に除去することが可能である。
更に、ウェブ状ガス除去フィルタ33のレイアウトとしては、図21に示すように、空気流通路21の空気進行方向に対して略直交配置する態様が示されているが、これに限られるものではなく、例えば図24(a)に示すように、空気流通路21の空気進行方向に対してウェブ状ガス除去フィルタ33を略閉講配置するようにしてもよいし、あるいは、図24(b)に示すように、例えば複数列のウェブ状ガス除去フィルタ33(例えば33a,33b)を用いるが、部品点数の低減という観点から巻き取りロール241を兼用するようにしても差し支えない。
【0065】
◎実施の形態11
図25は本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態11の要部を示す。
同図において、空気清浄装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様に、空気流通路21の入口側から順にプレフィルタ31、粒子除去フィルタ32、ガス除去フィルタ33及び補助フィルタ34を設け、プレフィルタ31と粒子除去フィルタ32との間に送風ファン40を配設したものであるが、ガス除去フィルタ33に付設される捕獲剤調整装置100が実施の形態1〜10と異なる態様のものである。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態において、ガス除去フィルタ33は、実施の形態1と同様に、液状捕獲剤(液剤)50が浸透可能なフィルタ基材51を有するものであるが、このガス除去フィルタ33と粒子除去フィルタ32との間には霧状捕獲剤が充満する噴霧室41が確保されている。
【0066】
また、捕獲剤調整装置100は、ガス除去フィルタ33に液状捕獲剤(液剤)50を霧状捕獲剤として供給する捕獲剤供給装置270と、ガス除去フィルタ33内の余剰捕獲剤を排出する排出装置280とを備えている。
本実施の形態において、捕獲剤供給装置270は、図25及び図26(a)(b)に示すように、液状捕獲剤(液剤)50が貯蔵される捕獲剤供給タンク271と、噴霧室41内にてガス除去フィルタ33に対向して略均等に配置されるスプレーマルチノズル272と、捕獲剤供給タンク271とスプレーマルチノズル272との間を連通接続する連通配管273と、この連通配管273の一部に設けられて所定圧にて液状捕獲剤50をスプレーマルチノズル272に送出するポンプ274とを備えたものである。尚、図26(a)中、符号275は流量調整装置、276は流量調整装置275にて調整された液剤を捕獲剤供給タンク271に戻すための戻り配管、277は捕獲剤供給タンク271に液剤が残っているか否かを検知する残量センサである。
一方、排出装置280はガス除去フィルタ33の下部に廃液タンク281をドレン配管282を介して連通接続したものであり、ガス除去フィルタ33内の余剰な液剤が廃液として廃棄されるようになっている。
【0067】
次に、本実施の形態に係る空気清浄装置の作動について説明する。
空気流通路21中の汚染空気(清浄対象空気)Airは、図25に示すように、プレフィルタ31、粒子除去フィルタ32,ガス除去フィルタ33及び補助フィルタ34の順に通過する。この間、粒子成分がプレフィルタ31及び粒子除去フィルタ32にて除去され、ガス状化学物質がガス除去フィルタ33にて除去され、更に、ガス除去フィルタ33での生成物が補助フィルタ34にて除去される。
ここで、図示外の制御装置は、交換タイミングを規定する時間情報、ガス除去フィルタ33内の液剤の濃度情報や色情報に基づいて所定の交換制御信号を送出し、ポンプ274及び流量調整装置275を駆動し、スプレーマルチノズル272を通じて噴霧室41に霧状捕獲剤を略均一に散布し、ガス除去フィルタ33のフィルタ基材51の略全域に霧状捕獲剤を略均一に浸透させる。尚、残量センサ277が液剤が空であることを検知すると、図示外の制御装置は捕獲剤供給タンク271へ液剤補給を警告する。
この結果、ガス除去フィルタ33には液剤が定期的若しくは不足傾向になると略均一に補給されることになり、その分、ガス除去フィルタ33の液剤の浸透状態は長期に亘って安定し、ガス除去フィルタ33によるガス除去性能は良好に保たれる。
【0068】
本実施の形態では、捕獲剤供給装置270はスプレーマルチノズル272にて片面のみ霧状捕獲剤を噴霧するものであるが、これに限られるものではなく、例えば図26(c)に示すように、複数のガス除去フィルタ33(33a,33b)に対し両面から霧状捕獲剤を噴霧可能な両面スプレーマルチノズル272’を用いるようにしてもよいし、あるいは、図26(d)に示すように、顆粒状捕獲剤(顆粒剤)50が保持可能なガス除去フィルタ33に対して用いるようにしてもよい。
尚、本実施の形態では、ガス除去フィルタ33の上流側に粒子除去フィルタ32を設けているが、上流側の粒子除去フィルタ32を用いずにガス除去フィルタ33で粒子除去フィルタを兼用するようにしてもよい。このことは、後述する実施の形態12〜14についても同様である。
【0069】
◎実施の形態12
図27(a)は本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態12の要部を示す。
同図において、ガス除去フィルタ33にはスプレー方式の捕獲剤供給装置270が設けられているが、捕獲剤供給装置270の構成が実施の形態11と異なる方式を採用している。
同図において、捕獲剤供給装置270は、液状捕獲剤50が高圧Pにて収容される圧力缶290を有し、この圧力缶290には液状捕獲剤50に連通浸漬する連通管291を設けると共に、この連通管291には押下動作に伴って開放するスプレーノズル292を設ける一方、このスプレーノズル292の上方には電磁ソレノイド等のアクチュエータ293を設け、このアクチュエータ293にてスプレーノズル292を押し下げ、霧状捕獲剤を噴霧可能としたものである。尚、制御装置294は、交換タイミングを規定する時間情報、ガス除去フィルタ33内の液剤の濃度情報や色情報に基づいて所定の交換制御信号をアクチュエータ293に送出するようになっている。
【0070】
本実施の形態によれば、制御装置294からの制御信号に応じてアクチュエータ293が駆動すると、圧力缶290のスプレーノズル292を押し下げて噴霧させる。この状態において、ガス除去フィルタ33には圧力缶290から高圧の霧状捕獲剤50’が広範囲に亘って噴霧されることから、ガス除去フィルタ33には略均一に霧状捕獲剤50’が浸透していく。
尚、本実施の形態では、スプレーノズル292の駆動方式として電磁ソレノイド等のアクチュエータ293が用いられているが、これに限られるものではなく、駆動モータ295の回転により偏心カム296を回転させ、この偏心カム296の偏心量を利用してスプレーノズル292を押し下げるようにする等適宜選択して差し支えない。
【0071】
また、本実施の形態において、この種のスプレー方式を採用する場合、ガス除去フィルタ33としては霧状捕獲剤50’が浸透可能なフィルタ基材51を備えたものが用いられているが、これに限定されるものではなく、例えば図28(a)に示すように、霧状捕獲剤50’が含浸可能な顆粒300をガス除去フィルタ33に保持させておき、この顆粒300に霧状捕獲剤50’を含浸させるようにしてもよい。
更に、圧力缶290としては単一のものではよいが、例えば図28(b)に示すように、複数の圧力缶290(290a〜290d)を用意し、各圧力缶290に対して夫々スプレーノズル292を設けると共に、これを駆動するアクチュエータ293を設け、複数の圧力缶290にて霧状捕獲剤をマルチ噴射させるようにしてもよい。
【0072】
◎実施の形態13
図29(a)は本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態13の要部を示す。
同図において、ガス除去フィルタ33はウェブ状のフィルタ基材を有し、一対の正逆回転可能な掛け渡しロール301、302間に往復動自在に掛け渡されている。そして、このガス除去フィルタ33に対向する部位には、ガス除去フィルタの移動方向に直交する方向に延びる捕獲剤供給装置270が設けられている。この捕獲剤供給装置270としては液剤供給装置270a又は霧状捕獲剤を散布する散布装置270bが用いられ、ウェブ状ガス除去フィルタ33に液状捕獲剤又は霧状捕獲剤が順次浸透するようになっている。
ここで、散布装置270bを例に挙げると、図29(b)(c)に示すように、液状捕獲剤が高圧で収容されている圧力缶290を用い、この圧力缶290に連通する複数のスプレーノズル292(292a〜292c)をガス除去フィルタ33の移動方向と直交する方向に均等配設し、所定の噴射タイミングにてスプレーノズル292から霧状捕獲剤50’を噴射させるようにしたものが挙げられる。
【0073】
本実施の形態によれば、図示外の制御装置は、ウェブ状ガス除去フィルタ33に保持されている捕獲剤が不足傾向になる時期タイミングにてウェブ状ガス除去フィルタ33を所定方向に移動させる。このとき、捕獲剤供給装置270としての散布装置270bは移動するウェブ状ガス除去フィルタ33に霧状捕獲剤50’を所定幅毎に吹き付け、その移動に伴ってウェブ状ガス除去フィルタ33の略全域に対して霧状捕獲剤50’を浸透させるものである。
また、次の時期タイミングでは、ウェブ状ガス除去フィルタ33を前回と逆方向に移動させ、例えば散布装置270bによる霧状捕獲剤の散布動作を行うようにすればよい。
尚、本実施の形態では、ウェブ状ガス除去フィルタ33は往復動する態様であるが、これに限られるものではなく、図30に示すように、ウェブ状ガス除去フィルタ33を閉ループベルトとして構成し、一対の張架ロール303、304にウェブ状ガス除去フィルタ33を掛け渡すと共に、例えば一方の張架ロール303を駆動ロールとすることによりウェブ状ガス除去フィルタ33を循環回転させるようにしてもよい。
【0074】
◎実施の形態14
図31は本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態14の要部を示す。
同図において、空気清浄装置はガス除去フィルタ33を有すると共に、ガス除去フィルタ33には捕獲剤調整装置100を付加したものであるが、捕獲剤調整装置100として各実施の形態と異なる捕獲剤供給装置270を備えている。
本実施の形態において、ガス除去フィルタ33としては例えば霧状捕獲剤が浸透可能なフィルタ基材51を固定的に設けたものが用いられる。
一方、捕獲剤供給装置270は、例えば霧状捕獲剤をガス除去フィルタ33に散布する散布装置311と、この散布装置311による霧状捕獲剤の散布前にガス除去フィルタ33面を清掃する清掃装置312と、両者をガイドレール314に沿って進退自在に支持し且つガス除去フィルタ33面に沿って移動させる可動台313とを備えている。
ここで、清掃装置312としては、例えばガス除去フィルタ33面を拭き取る清掃ワイパ312aを支持部材312bを介して可動台313上に固定したものが用いられるが、適宜選定して差し支えない。
【0075】
本実施の形態では、図示外の制御装置は、ガス除去フィルタ33に保持される捕獲剤が不足傾向に到達したと判断すると所定の制御信号を送出し、捕獲剤供給装置270による捕獲剤の供給動作を行わせる。
本例では、捕獲剤供給装置270は、可動台313を適宜移動させながら散布装置311による霧状捕獲剤の散布動作を行うものであり、散布装置311による捕獲剤散布が行われる前に清掃装置312による清掃動作を伴うものである。このため、清掃装置312による清掃動作を行ったガス除去フィルタ312面に対し散布装置311による霧状捕獲剤の散布供給がなされるため、ガス除去フィルタ33はそのフィルタ面の汚れが清掃装置312により常に清掃された状態で捕獲剤の補給が行われることになり、ガス除去フィルタ33の捕獲剤保持状態が安定する。
尚、本実施の形態では、ガス除去フィルタ33としては固定設置型のものが示されているが、これに限られるものではなく、例えばウェブ移動型のものを採用してもよく、この場合には、捕獲剤供給装置270としての散布装置311、清掃装置312を固定配置するようにすればよい。
【0076】
◎実施の形態15
図32は本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態15の要部を示す。
同図において、空気清浄装置は、実施の形態11〜14と異なり、粒子除去フィルタ32そのものをガス除去フィルタ33として兼用するものであり、捕獲剤調整装置100としては、取外し自在な粒子除去フィルタ32を一旦取り外し、取り外した粒子除去フィルタ32に対して有害なガス除去用の捕獲剤が補給可能な捕獲剤供給装置270を備えると共に、粒子除去フィルタ32に保持される捕獲剤の保持状態がチェック可能な監視装置を備えている。
本実施の形態において、捕獲剤供給装置270としては、取り外したガス除去フィルタ33兼用の粒子除去フィルタ32に対して液状捕獲剤を供給可能な液剤供給装置270a又は霧状捕獲剤を供給可能な散布装置270bが用いられる。この場合において、液剤供給装置270a又は散布装置270bとしては、実施の形態11〜14に示すように、自動的に捕獲剤が供給可能な態様を用いてもよいが、手動にて捕獲剤が供給可能な態様(刷毛やロール等を用いた手動による液剤塗布装置や、液剤に粒子除去フィルタ32を浸す液剤塗布装置、手動スプレー缶を用いた散布装置など)であってもよい。このように、液状捕獲剤や霧状捕獲剤が粒子除去フィルタ32に保持されると、この粒子除去フィルタ32は塵埃などの粒子を捕獲することに加えて、これらの捕獲剤によって有害なガスを効果的に捕獲する。
【0077】
また、監視装置としては、ガス除去フィルタ33兼用の粒子除去フィルタ32の近傍に捕獲剤の保持状態チェック(濃度や色などをチェック)用の捕獲剤センサ298を設け、この捕獲剤センサ298からの検知情報を制御装置294に取り込み、この制御装置294にて捕獲剤センサ298からの検知情報が許容値未満になった場合に例えば警告表示部297に警告表示を発し、粒子除去フィルタ32への捕獲剤の補給タイミングを告知するようにしたものや、あるいは、捕獲剤センサ298を用いずに制御装置294にて前回の捕獲剤補給時からの期間を管理し、所定期間経過した時点で警告表示部297に警告表示するようにしたものなど適宜選定することができる。
尚、本実施の形態では、粒子除去フィルタ32は取外し自在なものが用いられているが、これに限られるものではなく、例えばウェブ状の移動型粒子除去フィルタ32に対して、上述した捕獲剤供給装置270を用いて液状捕獲剤又は霧状捕獲剤を定期的若しくは不定期的に補給するようにしてもよいことは勿論である。
【0078】
◎実施の形態16
図33(a)は本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態16の要部を示す。
同図において、空気清浄装置はガス除去フィルタ33を有すると共に、このガス除去フィルタ33には捕獲剤調整装置100を付加し、ガス除去フィルタ33の使用領域を区画調整するようにしたものである。
つまり、本実施の形態では、ガス除去フィルタ33はシート状フィルタ基材を巻いてなるシートロール体53であり、空気流通路の空気進行方向に対してシートロール体53を長手方向に配置(シート状フィルタ基材を略平行に配置)するようになっている。
また、捕獲剤調整装置100は、図33(a)(b)に示すように、ガス除去フィルタ33の空気進行方向上流側に流路切替シャッタ320を設けたものである。この流路切替シャッタ320は、例えば円板状回転プレート321を回転軸322にて回転自在に支持し、前記回転プレート321の一部領域例えば四分の一領域に切欠開口323を設けると共に、この回転プレート321を駆動モータ324にて間欠回転させることにより前記切欠開口323位置を適宜タイミングで移動させるものである。
【0079】
本例では、制御装置200は、ガス除去フィルタ33の使用寿命を考慮した所定の切替タイミングに基づいて駆動モータ324を間欠駆動し、流路切替シャッタ320を四分の一回転ずつ移動させる。すると、流路切替シャッタ320の切欠開口323位置が順次切り替え選択されるため、ガス除去フィルタ33に対する空気通過流域が変わる。このため、ガス除去フィルタ33の使用領域が順次切り替えられることになり、ガス除去フィルタ33の使用寿命は流路切替シャッタ320による四回の切替に対応可能になっている。
尚、本実施の形態では、ガス除去フィルタ33はシート状フィルタ基材を巻いたシートロール体53であるが、これに限られるものではなく、例えば図34に示すように、シート状フィルタ基材を蛇腹状に成形し、これを筒状に束ねた蛇腹シート筒体54とする等適宜選定して差し支えない。但し、ガス除去フィルタ33としては捕獲剤に接触する通風面積を広く確保する形状であれば適宜設計変更できることは勿論である。
【0080】
◎実施の形態17
図35は本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態17の要部を示す。
同図において、空気清浄装置は、実施の形態16と略同様に、ガス除去フィルタ33を有すると共に、このガス除去フィルタ33には捕獲剤調整装置100を付加し、ガス除去フィルタ33の使用領域を区画調整するようにしたものであるが、ガス除去フィルタ33及び捕獲剤調整装置100の構成が実施の形態15と異なる。
本実施の形態において、ガス除去フィルタ33は複数(本例では四つ)の分割要素331〜334に分割されており、ガス除去フィルタ33の各分割要素331〜334としては例えばシート状フィルタ基材を巻いてなるシートロール体53などが用いられるが、これに限られるものではなく適宜選定して差し支えない。そして、ガス除去フィルタ33の各分割要素331〜334は上下に二つ単位で二列に亘った配列されており、空気流通路の空気進行方向に対して各分割要素331〜334を長手方向に配置(シート状フィルタ基材を略平行に配置)するようになっている。
【0081】
また、捕獲剤調整装置100は、ガス除去フィルタ33の空気進行方向上流側に流路切替シャッタ340を設けたものである。この流路切替シャッタ340は例えば円板状回転プレート341を有し、この回転プレート341の一部に開口窓342を設けると共に、この回転プレート341を図示外の駆動モータにて間欠回転させることにより前記開口窓342位置を適宜タイミングで移動させ、ガス除去フィルタ33の各分割要素331〜334位置に合わせて開口窓342位置を設定するものである。
本例では、図示外の制御装置は、ガス除去フィルタ33の使用寿命を考慮した所定の切替タイミングに基づいて図示外の駆動モータを間欠駆動し、流路切替シャッタ340を四分の一回転ずつ移動させる。すると、流路切替シャッタ340の開口窓342位置が順次切り替え選択され、分割要素331〜334のいずれかが開口窓342に面して配置される。この状態において、空気流通路内の汚染空気Airは流路切替シャッタ340の開口窓342を通じてガス除去フィルタ33の対応する分割要素(例えば331)を通過する。
【0082】
この状態において、次に流路切替シャッタ340が流路切替動作が行われると、流路切替シャッタ340の開口窓342がガス除去フィルタ33の他の分割要素(例えば332)に対応した位置に設定されることになり、ガス除去フィルタ33の分割要素332がガス除去に供される。
このように、流路切替シャッタ340による流路切替動作を行うことでガス除去フィルタ33の各分割要素331〜334に対する空気通過領域が変わる。このため、ガス除去フィルタ33(分割要素331〜334)の使用領域が順次切り替えられることになり、ガス除去フィルタ33の使用寿命は流路切替シャッタ340による四回の切替に対応可能になっている。
【0083】
◎実施の形態18
図36(a)(b)は本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態18の要部を示す。
本実施の形態において、空気清浄装置の基本的構成は実施の形態17と略同様であり、ガス除去フィルタ33が実施の形態16と同様に複数の分割要素331〜334からなるものであるが、各分割要素331〜334が実施の形態17と異なる構成になっている。尚、実施の形態17と同様な構成要素については実施の形態17と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態では、ガス除去フィルタ33の各分割要素331〜334はいずれも拡散スクラバー法を応用した構成になっている。
具体的には、ガス除去フィルタ33の各分割要素331〜334は内管351及び外管352からなる二重管構造になっており、内管351の両端を開放したままにする一方、外管352の両端にはリング状の封止フランジ353を装着することにより内管351及び外管352間に吸収液室354を確保するようにしたものである。ここで、内管351は多孔質テフロン膜(PPTFE膜;但し‘テフロン’は登録商標)にて構成されており、吸収液室354にはガス捕集用の吸収液355が収容されている。尚、ガス捕集用の吸収液としては特殊な捕集剤を使用する必要はなく、単に水を用いればよいため、水溶性の有害ガス成分、アルデヒド(HCHO、CHCHO)、酸性・塩基性ガス(HF、HCl、HNO、SO、NH、カルボン酸、メチルアミン)等の捕集・除去が可能である。
【0084】
本実施の形態によれば、流路切替シャッタ340は所定のタイミングで回転して空気流通路の流路を切り替え、開口窓342に面したガス除去フィルタ33の各分割要素331〜334のいずれかを選択的に使用する。
このとき、ガス除去フィルタ33の各分割要素331〜334としては、汚染空気Airは内管351内の通路356を通過するが、内管351を通過する間、汚染空気Air中のガス状化学物質Mは拡散して内管351壁(多孔質テフロン膜内壁;但し‘テフロン’は登録商標)を透過し、吸収液355に簡単に捕集・除去される。また、本態様においては、内管351内を汚染空気Airが通過するため、通気抵抗が非常に少なく、ガス状化学物室Mの除去性能は良好に保たれる。
尚、この種のガス除去フィルタ33としては二重管構造に限られるものではなく、平行板型の拡散スクラバー法を採用した態様など適宜選定して差し支えない。また、本態様では、ガス除去フィルタ33を複数の分割要素に分けているが、これに限られるものではなく、一つのガス除去フィルタ33を拡散スクラバー法を用いて構成し、これに対して使用領域を分けるようにしてもよい。
【0085】
◎実施の形態19
図37は本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態19の要部を示す。
同図において、空気清浄装置は、実施の形態17,18と同様に、空気流通路21中にガス除去フィルタ33を有すると共に、このガス除去フィルタ33に捕獲剤調整装置100を付加し、この捕獲剤調整装置100にてガス除去フィルタ33の使用領域を区画調整するようにしたものであるが、空気流通路21、ガス除去フィルタ33及び捕獲剤調整装置100が実施の形態17,18と異なる構成になっている。
つまり、本実施の形態では、空気流通路21は途中で複数(本例では四つ)に分岐し、各分岐空気流通路21a〜21dに夫々ガス除去フィルタ33(33a〜33d)を配設したものである。
そして、空気流通路21の分岐部位には捕獲剤調整装置100としての流路切替バルブ360が設けられており、この流路切替バルブ360は制御装置200からの切替制御信号に基づいて切替動作し、複数の空気流通路21a〜21dのいずれかを切替選択するようになっている。
ここで、制御装置200からの切替制御信号はガス除去フィルタ33の使用寿命に略対応した定期期間毎に発せられるものである。
【0086】
従って、本実施の形態によれば、空気流通路21内の汚染空気Airは流路切替バルブ360にて切替選択された空気流通路(例えば21a)を介してガス除去フィルタ33aを通過する。
この後、このガス除去フィルタ33aが使用寿命に近づくと、制御装置200から切替制御信号が発せられ、流路切替バルブ360が切替動作された後、空気流通路(例えば21b)が切替選択される。この状態において、空気流通路21内の汚染空気Airは流路切替バルブ360にて切替選択された空気流通路(例えば21b)を介してガス除去フィルタ33bを通過する。以下、流路切替バルブ360による流路切替動作に伴って空気流通路21c、21dが切替選択され、ガス除去フィルタ33c、33dが順次切替選択される。
【0087】
◎実施の形態20
図38は本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態20の要部を示す。
同図において、空気清浄装置は、二系統の空気流通路21(21a,21b)を有し、第一の空気流通路21aには粒子除去フィルタ32を配設する一方、第二の空気流通路21bにはガス状化学物質除去用のガス除去フィルタ33を配設すると共に、このガス除去フィルタ33には捕獲剤調整装置100を付加したものである。尚、ガス除去フィルタ33の下流側にはガス除去フィルタ33からの生成物除去用の補助フィルタ34を必要に応じて設けるようにしてもよい。
そして、各空気流通路21の例えば各フィルタ32,33の上流側には夫々送風ファン40(40a,40b)が配設されており、各送風ファン40(40a,40b)はファン駆動制御装置400にて速度制御されるようになっている。本例では、第一の送風ファン40aによる通気速度をv、第二の送風ファン40bによる通気速度をvとした場合、v>vの関係を満たすように調整されている。
【0088】
本実施の形態によれば、第一の空気流通路21a内の汚染空気Airは粒子除去フィルタ32を通過するため、粒子除去フィルタ32にて汚染空気Air中の塵埃等の粒子成分が除去される。
このとき、第一の送風ファン40aによる通気速度vは高速であるため、粒子成分が粒子除去フィルタ32に確実に捕獲されることになり、その分、粒子除去フィルタ32による粒子除去性能は良好に保たれる。
一方、第二の空気流通路21b内の汚染空気Airはガス除去フィルタ33を通過するため、ガス除去フィルタ33にて汚染空気Air中のガス状化学物室成分が除去される。
このとき、第二の送風ファン40bによる通気速度vは低速であるため、汚染空気Airがガス除去フィルタ33をゆっくりと通過することになり、その分、汚染空気Air中のガス状化学物質がガス除去フィルタ33に効果的に捕獲される。
また、本実施の形態では、ガス除去フィルタ33に捕獲剤調整装置100が付加されているため、ガス除去フィルタ33によるガス除去性能は長期に亘って良好に保たれる。
尚、本実施の形態では、ガス除去フィルタ33には捕獲剤調整装置100が付加されているが、捕獲剤調整装置100が付加されていない態様について本実施の形態で用いたファン駆動制御(通気速度可変制御)を行うことは可能である。このことは以下の実施の形態21〜23においても同様である。
【0089】
◎実施の形態21
図39は本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態21の要部を示す。
同図において、空気清浄装置は、空気流通路21の上流側から順に、粒子成分除去用の粒子除去フィルタ32、ガス状化学物質除去用のガス除去フィルタ33及びガス除去フィルタ33からの生成物除去用の補助フィルタ34を配設したものであり、ガス除去フィルタ33には捕獲剤調整装置100を付加したものである。そして、各フィルタ32〜34の上流側には送風ファン40が配設されており、この送風ファン40はファン駆動制御装置400にて速度制御されるようになっている。本例では、ファン駆動制御装置400は送風ファン40の通気速度を高速vと低速v(v>v)とに定期的に切替運転する高低可変モードを有する。
本実施の形態によれば、空気流通路21内の汚染空気Airは各フィルタ32〜34を順次通過する。
このとき、送風ファン40が高速通気モード(通気速度=高速v)にて運転されると、汚染空気Air中の粒子成分が主として粒子除去フィルタ32に捕獲される。一方、送風ファン40が低速通気モード(通気速度=低速v)にて運転されると、汚染空気Air中のガス状化学物質成分が効果的にガス除去フィルタ33に捕獲される。
【0090】
◎実施の形態22
図40は本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態22の要部を示す。
同図において、空気清浄装置は、実施の形態20と略同様に、空気流通路21の上流側から順に、粒子除去フィルタ32、ガス除去フィルタ33及び補助フィルタ34を配設したものであり、ガス状除去フィルタ33には捕獲剤調整装置100を付加する一方、各フィルタ32〜34の上流側には送風ファン40を配設し、ファン駆動制御装置400にて速度制御するものである。
特に、本実施の形態では、空気流通路21は流路面積が途中でAからA(A>A)に拡径部21eを介して変化するようになっており、流路面積がAの空気流通路21に粒子除去フィルタ32が配設される一方、流路面積がAの空気流通路21にガス除去フィルタ33、補助フィルタ34が配設されている。そして、ファン駆動制御装置400は送風ファン40を所定速度(定速度でよいが、勿論可変速度でも可)で回転駆動するようになっている。
従って、本実施の形態によれば、ファン駆動制御装置400が送風ファン40を定速制御すると、空気流通路21の流路面積の違いにより、流路面積がAの空気流通路21では通気速度が高速vになり、一方、流路面積がAの空気流通路21では通気速度が低速vになる。このため、汚染空気Air中の粒子成分は高速vにて粒子除去フィルタ32に捕獲されることになり、一方、汚染空気Air中のガス状化学物質成分は低速vにてガス除去フィルタ33に効果的に捕獲される。
【0091】
◎実施の形態23
図41は本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態23の要部を示す。
同図において、空気清浄装置は、空気流通路21の途中に流路を絞る仕切り板380を設け、この仕切り板380の上流側に粒子除去フィルタ32を配設すると共に、仕切り板380の下流側背面にガス除去フィルタ33を配設し、空気流通路21の下流側に例えば二つの送風ファン40(40a,40b)を仕切り板380のない領域と仕切り板380の背面直後とに配設し、これらの送風ファン40(40a,40b)をファン駆動制御装置400にて制御するようにしたものである。尚、ガス除去フィルタ33には捕獲剤調整装置100が付加されている。
本例においては、空気流通路21は流路面積Aに形成されており、仕切り板380部分で流路面積Aに絞られている。
従って、本実施の形態では、両方の送風ファン40(40a,40b)を駆動回転させると、空気流通路21のうち流路面積A部分では第一の送風ファン40aによる通気(通気速度v)と第二の送風ファン40bによる通気(通気速度v)とが同時に行われ、粒子除去フィルタ32にはこれらの通気(v+v)により汚染空気Airが高速で通過し、汚染空気Air内の粒子成分が粒子除去フィルタ32に効果的に捕獲される。一方、仕切り板380の背面側に配設されたガス除去フィルタ33には第二の送風ファン40bによる通気(通気速度v)が回り込んで通過することになるため、汚染空気Air中のガス状化学物質成分は低速にてガス除去フィルタ33に効果的に捕獲される。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】(a)(b)は本発明における第1の態様に係る空気清浄装置の夫々別の概要を示す説明図である。
【図2】本発明における第2の態様に係る空気清浄装置の概要を示す説明図である。
【図3】本発明における第3の態様に係る空気清浄装置の概要を示す説明図である。
【図4】本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態1を示す説明図である。
【図5】図4の要部説明図である。
【図6】(a)〜(c)は実施の形態で用いられるガス除去フィルタの変形形態を示す説明図である。
【図7】本発明が適用された空気清浄装置の実施の形態2を示す要部説明図である。
【図8】(a)は実施の形態2で用いられる捕獲剤調整装置の概要を示す説明図、(b)はその変形形態を示す説明図、(c)は(b)中C−C線断面説明図である。
【図9】(a)は実施の形態3で用いられる空気清浄装置の要部を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図、(c)はガス除去フィルタの変形形態を示す説明図である。
【図10】(a)は実施の形態4に係る空気清浄装置の要部を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図、(c)〜(e)はガス除去フィルタの保持構造例を示す説明図である。
【図11】(a)(b)は個別カートリッジの開放例を示す説明図である。
【図12】(a)は実施の形態4に係る空気清浄装置の変形形態を示す説明図、(b)(c)は(a)のカートリッジの変形形態を示す説明図である。
【図13】実施の形態5に係る空気清浄装置の概要を示す説明図である。
【図14】(a)は実施の形態6に係る空気清浄装置の概要を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図、(c)(d)は(a)の変形形態を示す説明図である。
【図15】(a)は実施の形態7に係る空気清浄装置の概要を示す説明図、(b)は捕獲剤を補給した後の状態を示す説明図である。
【図16】(a)は実施の形態7に係る空気清浄装置の捕獲剤調整装置の詳細を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図、(c)は(a)中C方向の詳細図である。
【図17】(a)は実施の形態7における捕獲剤調整装置の捕獲剤供給装置の変形形態を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。
【図18】(a)は実施の形態7における捕獲剤調整装置の捕獲剤供給装置の他の変形形態を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図、(c)は更に別の変形形態を示す説明図である。
【図19】実施の形態8に係る空気清浄装置を示す説明図である。
【図20】(a)は実施の形態9に係る空気清浄装置を示す説明図、(b)はその変形形態を示す説明図である。
【図21】実施の形態10に係る空気清浄装置を示す説明図である。
【図22】(a)は実施の形態10で用いられる未使用捕獲剤管理装置を示す説明図、(b)〜(d)はその変形形態を示す説明図である。
【図23】(a)〜(c)は実施の形態10で用いられるウェブ状ガス除去フィルタの変形形態を示す説明図である。
【図24】(a)(b)は実施の形態10で用いられるウェブ状ガス除去フィルタの更に別の変形形態を示す説明図である。
【図25】実施の形態11に係る空気清浄装置を示す説明図である。
【図26】(a)〜(d)は実施の形態11に係る空気清浄装置の変形形態を示す説明図である。
【図27】(a)は実施の形態12に係る空気清浄装置の要部を示す説明図、(b)はその変形形態を示す説明図である。
【図28】(a)は実施の形態12に係る空気清浄装置の更に別の変形形態を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。
【図29】(a)は実施の形態13に係る空気清浄装置の要部を示す説明図、(b)はその具体的態様、(c)は(b)中C方向から見た矢視図である。
【図30】実施の形態13に係る空気清浄装置の別の変形形態を示す説明図である。
【図31】実施の形態14に係る空気清浄装置の要部を示す説明図である。
【図32】実施の形態15に係る空気清浄装置の要部を示す説明図である。
【図33】(a)は実施の形態16に係る空気清浄装置の要部を示す説明図、(b)はその縦断面に相当する説明図である。
【図34】実施の形態16に係る空気清浄装置の変形形態を示す説明図である。
【図35】実施の形態17に係る空気清浄装置の要部を示す説明図である。
【図36】(a)は実施の形態18に係る空気清浄装置の要部を示す説明図、(b)はその縦断面に相当する説明図である。
【図37】実施の形態19に係る空気清浄装置の要部を示す説明図である。
【図38】実施の形態20に係る空気清浄装置の要部を示す説明図である。
【図39】実施の形態21に係る空気清浄装置の要部を示す説明図である。
【図40】実施の形態22に係る空気清浄装置の要部を示す説明図である。
【図41】実施の形態23に係る空気清浄装置の要部を示す説明図である。
【符号の説明】
【0093】
1(1a〜1c)…空気流通路,2…ガス除去フィルタ,3(3a〜3c)…捕獲剤保持部,4…捕獲剤,5…捕獲剤調整装置,6…捕獲剤供給手段,7…排出手段,8…粒子除去フィルタ,9…補助フィルタ,10…未使用捕獲剤保管手段,11…巻き戻し部材,12…巻き取り部材,13…巻き戻しホルダ,14…引出口,15…密封手段,16…切替手段,Air…清浄対象空気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス状化学物質が除去可能な空気清浄装置において、
清浄対象空気が通過可能な空気流通路と、
この空気流通路の途中に配設され且つ除去対象のガス状化学物質捕獲用の捕獲剤が保持される捕獲剤保持部を有するガス除去フィルタと、
このガス除去フィルタに付設され、捕獲剤保持部に対する捕獲剤の保持状態を使用可能範囲に調整する捕獲剤調整装置とを備え、
前記捕獲剤調整装置はガス除去フィルタの捕獲剤保持部に捕獲剤が略均一に補給又は交換可能とする捕獲剤供給手段を有することを特徴とする空気清浄装置。
【請求項2】
ガス状化学物質が除去可能な空気清浄装置において、
清浄対象空気が通過可能な空気流通路と、
この空気流通路の途中に配設され且つ除去対象のガス状化学物質捕獲用の捕獲剤が保持される捕獲剤保持部を有するガス除去フィルタと、
このガス除去フィルタに付設され、捕獲剤保持部に対する捕獲剤の保持状態を使用可能範囲に調整する捕獲剤調整装置とを備え、
ガス除去フィルタの捕獲剤保持部が移動自在に設けられると共に、前記捕獲剤調整装置はガス除去フィルタの捕獲剤保持部に保持される未使用捕獲剤が劣化せずに保管可能な未使用捕獲剤保管手段を有することを特徴とする空気清浄装置。
【請求項3】
ガス状化学物質が除去可能な空気清浄装置において、
清浄対象空気が通過可能な空気流通路と、
この空気流通路の途中に配設され且つ除去対象のガス状化学物質捕獲用の捕獲剤が保持される捕獲剤保持部を有するガス除去フィルタと、
このガス除去フィルタに付設され、捕獲剤保持部に対する捕獲剤の保持状態を使用可能範囲に調整する捕獲剤調整装置とを備え、
前記ガス除去フィルタの捕獲剤保持部に捕獲剤が予め保持されると共に、前記捕獲剤調整装置は空気流通路が切替選択可能な切替手段を有し、この切替手段にてガス除去フィルタの捕獲剤保持領域を切替選択することを特徴とする空気清浄装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の空気清浄装置において、
ガス除去フィルタの捕獲剤保持部は液状若しくは霧状の捕獲剤が浸透保持可能なフィルタ基材を有することを特徴とする空気清浄装置。
【請求項5】
請求項1記載の空気清浄装置において、
ガス除去フィルタの捕獲剤保持部は捕獲剤が保持可能な収容空間を有するものであることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項6】
請求項2又は3記載の空気清浄装置において、
ガス除去フィルタの捕獲剤保持部は捕獲剤が含まれる捕獲剤層をベース基材に積層したフィルタ基材を有することを特徴とする空気清浄装置。
【請求項7】
請求項1ないし3いずれかに記載の空気清浄装置において、
ガス除去フィルタの捕獲剤保持部は拡散スクラバー法に基づくものであることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項8】
請求項1ないし3いずれかに記載の空気清浄装置において、
ガス除去フィルタの捕獲剤保持部は空気流通路の空気進行方向に交差するように配置されることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項9】
請求項1ないし3いずれかに記載の空気清浄装置において、
ガス除去フィルタの捕獲剤保持部は空気流通路の空気進行方向に沿って略平行に配置されることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項10】
請求項1ないし3いずれかに記載の空気清浄装置において、
ガス除去フィルタは複数段配列されていることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項11】
請求項1ないし3いずれか記載の空気清浄装置において、
ガス除去フィルタは捕獲剤保持部に少なくとも複数種の捕獲剤が保持可能であることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項12】
請求項1ないし3いずれかに空気清浄装置において、
ガス除去フィルタは粒子除去可能な構成を備えていることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項13】
請求項1ないし3いずれかに記載の空気清浄装置において、
捕獲剤調整装置は、捕獲剤の使用履歴許容限界値に対応する信号をトリガーとして捕獲剤保持部に対する捕獲剤の保持状態を調整するものであることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項14】
請求項1ないし3いずれかに記載の空気清浄装置において、
捕獲剤調整装置は、捕獲剤の使用履歴許容限界値に基づく期間毎に捕獲剤保持部に対する捕獲剤の保持状態を定期調整するものであることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項15】
請求項1記載の空気清浄装置において、
捕獲剤調整装置の捕獲剤供給手段は、捕獲剤保持部に対応して設けられ且つ捕獲剤保持部に保持可能な補給若しくは交換用の捕獲剤を不連続供給するものであることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項16】
請求項15記載の空気清浄装置において、
捕獲剤調整装置は、捕獲剤保持部に対応して設けられ且つ捕獲剤保持部に保持されていた捕獲剤の全部若しくは一部が排出可能な排出手段を有することを特徴とする空気清浄装置。
【請求項17】
請求項15記載の空気清浄装置において、
捕獲剤調整装置の捕獲剤供給手段は、ガス除去フィルタの捕獲剤保持部に対し捕獲剤が均一に供給可能な均一供給要素を有することを特徴とする空気清浄装置。
【請求項18】
請求項15記載の空気清浄装置において、
捕獲剤調整装置は、ガス除去フィルタの捕獲剤保持部に保持される捕獲剤の使用履歴が検出可能な使用履歴センサを有し、この使用履歴センサからの検出信号に基づいて捕獲剤の供給動作を制御することを特徴とする空気清浄装置。
【請求項19】
請求項15記載の空気清浄装置において、
捕獲剤調整装置は、ガス除去フィルタの捕獲剤保持部に保持された捕獲剤との反応物が処理可能な加熱処理要素を備えていることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項20】
請求項1記載の画像形成装置において、
捕獲剤調整装置の捕獲剤供給手段は、ガス除去フィルタの捕獲剤保持部全域に霧状捕獲剤が散布可能なスプレー要素を備えていることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項21】
請求項1記載の画像形成装置において、
捕獲剤調整装置の捕獲剤供給手段は、ガス除去フィルタの捕獲剤保持部全域を清掃する清掃部材と、この清掃部材による清掃処理の後に前記捕獲剤保持部に対して霧状捕獲剤が散布可能なスプレー要素とを備えていることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項22】
請求項1記載の空気清浄装置において、
捕獲剤調整装置の捕獲剤補給手段は、補給若しくは交換用の捕獲剤が供給可能に収容されている捕獲剤供給カートリッジを有するものであることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項23】
請求項22記載の空気清浄装置において、
捕獲剤供給カートリッジは複数に分割され、捕獲剤を分割供給可能に収容するものであることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項24】
請求項2記載の画像形成装置において、
ガス除去フィルタは移動自在なウェブ状フィルタ基材を有し、このフィルタ基材に捕獲剤保持部を設けると共にこの捕獲剤保持部に捕獲剤を常時保持させたものであり、
捕獲剤調整装置は、ウェブ状ガス除去フィルタの一端側を巻き戻し部材に巻き戻し可能に巻き付け、前記他端を巻き取り部材に巻き取り可能に係止させたものであり、巻き取り部材の巻き取り動作に連動してウェブ状ガス除去フィルタを順次移動させることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項25】
請求項24記載の空気清浄装置において、
捕獲剤調整装置の未使用捕獲剤保管手段は、巻き戻し部材が収納される巻き戻しホルダを有し、この巻き戻しホルダにはウェブ状ガス除去フィルタが巻き戻し可能に引き出される引出口を形成すると共に、この引出口とウェブ状ガス除去フィルタとの間を密封手段材にて密封し且つウェブ状ガス除去フィルタを移動自在にしたことを特徴とする空気清浄装置。
【請求項26】
請求項24記載の空気清浄装置において、
捕獲剤調整装置の未使用捕獲剤保管手段は、巻き戻し部材が収納される巻き戻しホルダを有し、この巻き戻しホルダ内に捕獲剤と同等の補助捕獲剤を設置することを特徴とする空気清浄装置。
【請求項27】
請求項3記載の空気清浄装置において、
捕獲剤調整装置は、空気流通路が複数の領域に切替選択可能な切替手段としてのシャッタを有し、このシャッタにて選択された空気流通路に対応してガス除去フィルタの捕獲剤保持領域を切替選択することを特徴とする空気清浄装置。
【請求項28】
請求項3記載の空気清浄装置において、
捕獲剤調整装置は、複数の空気流通路が切替選択可能な切替手段としてのバルブを有し、複数の空気流通路に対応して夫々ガス除去フィルタを配置したことを特徴とする空気清浄装置。
【請求項29】
請求項1ないし3いずれかに記載の空気清浄装置において、
更に、空気流通路のうちガス除去フィルタの上流側に粒子捕獲用の粒子除去フィルタを備えていることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項30】
請求項1記載の空気清浄装置において、
更に、空気流通路のうちガス除去フィルタの下流側に補助フィルタを備えていることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項31】
請求項1ないし3いずれかに記載の空気清浄装置において、
更に、空気流通路の途中に配設される粒子捕獲用の粒子除去フィルタを備え、
ガス除去フィルタと粒子除去フィルタとで通気速度が変更可能な通気速度可変手段を設けたことを特徴とする空気清浄装置。
【請求項32】
請求項1ないし31いずれかに記載の空気清浄装置において、
捕獲剤としてグラフト重合薬剤を用いることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項33】
請求項1記載の空気清浄装置において、
ガス除去フィルタは粒子除去フィルタに捕獲剤を補給保持させたものであることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項34】
請求項1ないし33いずれかの記載の空気清浄装置で用いられる捕獲剤調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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