説明

空気清浄装置

【課題】塵埃やオイルミストを効率的に除去して作業環境の向上を図ると共に、設備コスト、メンテナンスコストの削減が得られる空気清浄装置を提供する。
【解決手段】底部11及び全面に亘って吸入口21aが形成された外周面21を有する本体部10及び、本体部10の上方に連続配置されて本体部10内と外部を連通する排出口43を備えるとともにモータ47によって回転するファン48を収容するファンケース40及び、本体部10内に保持されたロールフィルタFから引き出されて外周面21の外面を全周に覆うフィルタFaを備える。モータ47によるファン48の回転により生成される空気流により、フィルタFaを通過して濾過される外気を外周面21の全面に亘って形成され吸入口21aから本体部10内に吸引しかつファンケース40の排出口21から外部に放出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄装置、特に、フィルタに塵埃やオイルミストを吸着させる空気清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、機械部品等を切削や研削等の機械加工する工場内では、これらの部品等を機械加工する際に、大量の塵埃や切粉が発生すると共に切削油等によるオイルミストが発生して作業環境が悪化することが懸念される。また、塵埃や切粉に付着したオイルミストが工場内の機器へ徐々に付着堆積すると、機器の誤作動や腐蝕を誘発したり、床や壁に付着したオイルミスト等により作業員が転倒したり、オイルミストに引火して火災が誘発される等の問題が生じることが考えられる。このような事態を有効的に回避すべく、塵埃やオイルミストが浮遊、即ち混在する空気を清浄するための空気清浄装置が種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1においてターボブロアの誘引作用を利用した空気清浄装置が提案されている。この特許文献1で開示される空気清浄装置は、上方が開放した筒状の本体を有するとともに円筒状のフィルタを収容する本体部、及びこの本体部の上方を閉塞すると共に吸気用モータ及びターボブロアが収容配設されるファンケースを備え、ファンケースを蓋体によって被覆して構成される。本体部の周壁には、吸込口が円筒状に突出形成され、ファンケースの側壁に排出口が形成される。ターボブロアの駆動によって、この吸込口から外気が吸入されて塵埃等の異物をフィルタに吸着して清浄し、清浄された空気が排出口から排出される。
【0004】
また、特許文献2に開示される空気清浄装置は、複数の筒状フィルタを有する空気清浄装置本体を備え、送風機によって空気清浄装置本体に吸塵口から外気を吸入するとともに、微粉炭が収容された微粉炭タンクから微粉炭を吸入し、塵埃と微粉炭をフィルタ内面に付着させることで作業空間の外気の清浄及び脱臭がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−14520号公報
【特許文献2】実用新案登録第3118337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載された空気清浄装置は、吸込口から塵埃等が混在する外気を吸引して清浄化するものであり、本体部周壁に局部的に設けられた吸入口から外気を吸入するのみに過ぎないので、作業空間に大量発生するオイルミストや塵埃が浮遊する外気の清浄を行う工場内の空気清浄装置としては、効率的な清浄が実行できないことが懸念される。そのため、多数の空気清浄装置を工場内に設置する必要が生じるが、工場内は部品等の製造・加工ラインの機器が作業合理化を図って配置されているので、多数の空気清浄装置を配置する設置スペースの確保が困難である場合が多く、適切な空気清浄装置の配置ができないことがある。また、多数の空気清浄装置を設置することによる設備コストや、フィルタ交換回数の増大に伴う作業負担及びメンテナンスコストの増大が懸念される。
【0007】
また、上記特許文献2に記載された空気清浄装置によると、複数の筒状フィルタによって清浄能力を高めているものの、特許文献1と同様に局部的に配設された吸塵口から外気を吸入して清浄するので、工場内の空気清浄装置としては効率的に清浄できないことが懸念される。従って、特許文献1と同様に、多数の空気清浄装置が必要になり設備コスト、作業負担、メンテナンスコストの増大が懸念される。
【0008】
従って、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、外気中に混在する塵埃やオイルミストを効率的に除去して作業環境の向上を図ると共に、設備コスト、メンテナンスコストの削減が得られる空気清浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明による空気清浄装置は、底部及び該底部の外周縁に連続して形成されて筒状で全周に亘って多数の吸入孔が開口する外周面を備えた上方が開放される本体部と、該本体部の上方に連続配置されて本体部内と外部を連通する排出口を備えるとともにモータによって回転するファンを収容するファンケースと、前記外周面の外面を全周に亘って被装するシート状のフィルタと、を備え、前記モータによるファンの回転により生成される空気流により、前記フィルタを通過して濾過される外気を外周面の吸入孔から本体部内に吸引しかつ前記ファンケースの排出口から外部に放出することを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、空気清浄装置の外周面の全面に亘って吸入孔が形成されるとともに、この外周面の全域にフィルタが巻装されて本体部の外周面が被覆されているので、外気吸入の方向性が制限されることなく、空気清浄装置の外周面全面から周辺の外気を吸入することが可能となる。従って、フィルタによる濾過面積が比較的大きく確保されて清浄能力を高めることで、工場内の広い作業空間でも効率よく清浄作業を実行することができる。また、清浄能力の向上に伴って空気清浄装置の設置数を少数とすることができるので、空気清浄装置の設置スペースの確保が容易になり、製造・加工ラインの機器等が合理的に配置された既存の工場内においても容易に設置することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明による空気清浄装置は、請求項1に記載の空気清浄装置において、前記フィルタは、シート状の濾紙を巻回してロール状に形成されたロールフィルタであって、前記本体部内には、前記ロールフィルタを保持するロールフィルタ保持部を備え、前記外周面は、該外周面の一部が開放形成された開口部と、該開口部に上下方向に連続する間隙を形成して開閉する開閉パネルと、を備え、前記ロールフィルタ保持部に前記ロールフィルタが保持されて前記本体部の内部に設置されるとともに前記フィルタの端部が前記間隙から引き出されて前記外周面に被装されることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、開閉パネルを開蓋してロール状に形成されたロールフィルタをそのまま本体部の内部に設置して、開閉パネルと外周面との間に形成される間隙からフィルタが引き出されて外周面の全域にロールフィルタを巻装させて本体部の外周面を被装することが可能となる。従って、フィルタの清浄能力が低下により本体外周面に巻装されたフィルタの使用済み部分を除去し、未使用部分のフィルタを本体内部から引き出して外周面に巻装して使用することが可能になり、フィルタを空気清浄装置に設置する場合や交換する場合に、空気清浄装置に合わせてフィルタを切断加工する必要がなくなり、極めて容易にフィルタの設置及び交換をすることができる。その結果、作業負担及び作業コストが軽減される。
【0013】
請求項3に記載の発明による空気清浄装置は、請求項2に記載の空気清浄装置において、前記開閉パネルは、前記外周面に巻装された前記フィルタの端部を保持するフィルタ端部保持部が設けられたことを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、フィルタを本体部の外周面に巻装させたフィルタの端部をフィルタ端部保持部で保持する簡単な構造で、フィルタを簡易に本体部の外周面に巻装保持させることができる。従って、作業負担及び作業コストが軽減される。
【0015】
請求項4に記載の発明による空気清浄装置は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気清浄装置において、前記本体部の外周面は、底部の外周縁に沿って配置される平面状の第1側面、後面、第2側面及び開閉パネルからなる前面を備えた多角形状に形成されたことを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、本体部の外周面を複数の平面状の第1側面、後面、第2側面及び開閉パネルを有する多角形状に形成することによって本体部の成形性が向上し、空気清浄装置の製造が容易になる。また、フィルタを外周面に巻装させる際に、第1側面、後面、第2側面及び開閉パネルが連続する連続部にフィルタを巻掛けることでフィルタの位置決めを容易に行える。更に、本体部の多角形状の隅部内に脱臭剤や消臭剤等の配置スペースを容易に確保できる。
【0017】
請求項5に記載の発明による空気清浄装置は、請求項4に記載の空気清浄装置において、前記複数の平面状の第1側面、後面、第2側面及び開閉パネルからなる前面の連続部の外方側において前記底部と前記ファンケースとの間で前記本体部の上下方向に延在するフィルタガイド部材を備えることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、フィルタの清浄能力の低下により本体部の外周面に巻装されたフィルタ使用済み部分を除去して、未使用部分のフィルタを本体部内から引き出して外周面に巻装させる場合に、フィルタの引き出しに対応してフィルタガイド部材がフィルタを誘導するので、円滑なフィルタ送りが実現されてフィルタの未使用部分を引き出すことができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によると、空気清浄装置の外周面の全面に亘って吸入孔が形成されるとともに、この外周面の全域にフィルタが巻装されて本体部の外周面が被覆されているので、外気吸入の方向性に依拠せずに、空気清浄装置の外周面全面から周辺の外気を吸入することが可能となる。従って、フィルタの濾過面積が比較的大きく確保されて清浄能力を高めることで、工場内の広い作業空間でも効率よく清浄作業を実行することができる。また、清浄能力を高めて空気清浄装置の設置数を少数とすることができるので、既に製造・加工ラインの機器構成が合理的に配置された既存の工場内においても空気清浄装置の設置スペースの確保が容易になり、かつ設備コストも削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る空気清浄装置の正面図である。
【図2】図1のI−I線断面図である。
【図3】図1のII−II線断面図である。
【図4】図1のA矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1乃至図4を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の一実施の形態として、機械部品等を切削、研削等の機械加工する工場内に配置されて塵埃やオイルミスト等が漂い混在する外気を清浄する空気清浄装置を例に説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る空気清浄装置1の正面図であり、図2は図1のI−I線断面図であり、図3は図1のII−II線断面図であり、図4は図1のA矢視図である。
【0023】
図1乃至図3で示すように、空気清浄装置1は、底部11、全面に亘り多数の吸入孔21aが開口する多孔パネルやネット状のパネル等によって構成され、底部11の外周縁に沿って配設される第1側面23、後面25、第2側面27、第1開閉パネル32及び第2開閉パネル34からなる前面31を備えた、上下方向に延在する矩形筒状の外周面21を有する上方が開放されたボックス状の本体部10と、本体部10の上方に連続配置されてモータ47及びファン48を保持するファンケース40を備え、本体部10内に保持されロールフィルタFから濾紙等のフィルタFaを引き出し本体部10の外周面21の全面に巻装される。
【0024】
なお、本実施の形態において使用されるロールフィルタFは、円筒状の芯材FFhに濾紙等によって形成されるシート状のフィルタFaを巻回し、その端部Fbを引き出すことによって繰り出される。また、説明の便宜上後述するロールフィルタ保持部51に保持された状態におけるロールフィルタFの上端側の側面及び下端側の側面をそれぞれ上端面Fc及び下端面Fdと称する。
【0025】
本体部10は、矩形板状の底部11を有し、底部11の各下面隅部に空気清浄装置1を移動可能に保持するキャスタ2が取り付けられる。底部11の各上面隅部11a〜11d近傍にそれぞれフレーム状の第1〜第4支柱12〜15が立設される。図3に示すように前面側に立設される第1支柱12及び第4支柱15は、それぞれ隅部11a、11d側が開放された断面L字状で、その対向する側縁に互いの第4支柱15及び第1支柱12側に折曲形成された前面フランジ12a、15a及び他方の側縁に沿って前面フランジ12a、15aから離反する方向に折曲形成された取付フランジ12b、15bを有する。後面側に立設される第2支柱13及び第3支柱14は、それぞれ隅部11b、11c側が開放された断面L字状で各側縁に沿って互いに離反する方向に折曲形成された取付フランジ13a、13b、14a、14bが形成される。
【0026】
図1に示すように第1支柱12と第4支柱15の上端及び下端間にそれぞれ矩形板状の上部仕切板16及び下部仕切板17が架設される。同様に図示は省略するが、第1支柱12と第2支柱13の上端及び下端間、第2支柱13と第3支柱14の上端及び下端間、第3支柱14と第4支柱15の上端及び下端間にそれぞれ上部仕切板及び下部仕切板が架設される。
【0027】
次に、外周面21に付いて図1及び図3を参照して説明する。全面に亘って多数の吸入口21aが形成された多孔パネル等によって形成され、第1支柱12の前面フランジ12a及び取付フランジ12bに結合されて第1支柱12の外面を覆う矩形帯状の連続部22、この連続部22に連続形成されて第1支柱12と第2支柱13との間に張設される矩形平面状の第1側面23、第1側面23に連続形成されて第2支柱13の取付フランジ13a及び13bに結合されて第2支柱13の外面を覆う矩形帯状の連続部24、この連続部24に連続形成されて第2支柱14と第3支柱14との間に張設される矩形平面状の後面25、後面25に連続形成されて第3支柱14の取付フランジ14a及び14bに結合されて第3支柱13の外面を覆う矩形帯状の連続部26、この連続部26に連続形成されて第3支柱14と第4支柱15との間に張設される矩形平面状の第2側面27、第2側部27に連続形成されて第4支柱15の取付フランジ15b及び前面フランジ15aに結合されて第4支柱15の外面を覆う矩形帯状の連続部28によって形成され、第1支柱12と第4支柱15との間に上方に上部仕切板16を有し、下方に下部仕切板17を有する矩形の開口部29が開口する。
【0028】
第1支柱12の前面フランジ12a及び第4支柱15の前面フランジ15aに開口部29を開閉する第1開閉パネル32、34からなる前面31を備える。第1開閉パネル32は上下方向に延在する基端32a、開放端32b、上端32c及び下端32dを有する多孔パネルやネット状のパネル等によって形成される矩形平面状で、基端32aがヒンジ35を介して第1支柱12の前面フランジ12aに開閉自在に支持される。この第1開閉パネル32は閉状態において上端32c及び下端32dがそれぞれ上部仕切板16及び下部仕切板17にオーバラップして外側から当接することで閉鎖位置が規制される。
【0029】
第2開閉パネル34は上下方向に延在する基端34a、開放端34b、上端34c及び下端34dを有する多孔パネルやネット状のパネル等によって形成され矩形平面状で、基端34aがヒンジ35を介して第4支柱15の前面フランジ15aに開閉自在に支持され、閉状態において上端34c及び下端34dがそれぞれ上部仕切板16及び下部仕切板17にオーバラップして外側から当接することで閉鎖位置が規制される。この第1開閉パネル32及び第2開閉パネル34が閉鎖位置において対向する第1開閉パネル32の開放端32bと第2開閉パネル34の開放端34bとの間に上下方向に連続する隙間Sが形成される。
【0030】
また、第2開閉パネル34の開放端34b近傍にロールフィルタFの端部Fbをクランプするフィルタ端部保持部36が設けられる。フィルタ端部保持部36は、第2開閉パネル34に基部37aが取り付けられる断面コ字状のベース部材37、ベース部材37の端部にヒンジ38aを介して基端が揺動自在に支持されたL字状に屈曲形成されたフィルタ保持部材38、ベース部材37とフィルタ保持部材38との間に張設されてフィルタ保持部材38をベース部材37の基部37a側に押圧付勢するスプリング39を備え、ベース部材37の基部37aとフィルタ保持部材38の屈曲部との間にフィルタFaの端部Fbをクランプする。
【0031】
一方、底部11の上面中央に後述するフィルタクランプ55と協働してロールフィルタ保持部51を構成する円柱状でロールフィルタFの芯材Fhに嵌入可能な第1フィルタ支持軸53及びロールフィルタFの端面Fdに当接してロールフィルタFを保持するフィルタストッパ54からなるフィルタ支持部52が設けられる。また、底部11上に図示しないドレン用受皿が載置される。
【0032】
次に図2及び図4を参照してファンケース40について説明する。ファンケース40は、本体部10の開放された上端を覆い本体部10の上部に取り付けられる矩形板状で中央部が円形に開口されたファンケース基部41、及びファンケース基部41の上面に配設されてファンケース基部41の開口とほぼ同径の内径を有し内周面によって排出口43を形成する中央部が縮径された円筒状のファンガイド部42を有する。
【0033】
更に、中央部にモータ47を嵌合保持する開口部を備えた矩形のモータ保持パネル45及びモータ保持パネル45の各隅部から放射状に延在して下方に湾曲する支持アーム46が延設されたファン支持部材44を備える。このファン支持部材44の各支持アーム46の各基端46aをファンケース基部41の各隅部に取り付けることによって、モータ47がファンガイド部42と同軸芯上でかつファンガイド部42の上方に保持され、モータ47に取り付けられたファン48がファンガイド部42内に保持される。
【0034】
更に、ファンケース基部41の下面に上記底部11に設けられたフィルタ支持部52と共にロールフィルタ保持部51を構成するフィルタクランプ55が設けられる。フィルタクランプ55は、ファンケース基部41の本体部10の後面25に近接した部位に支持されて本体部10内に突出するブラケット56の下端に基端が軸ピン56aによって前面31方向に延在して上下方向に揺動自在に支持され先端に把持部57bが形成された第1アーム57a及びこの第1アーム57aの中央部に突設された第2アーム57cを有するT字状のロール支持アーム57を備え、第2アーム57cの先端にロールフィルタFの上端面Fcに当接するフィルタ支持パネル58aを備えた芯材Fhに挿入可能な第2フィルタ支持軸58が形成される。この第1アーム57を前面31側にほぼ水平に延在保持した状態で第2アーム57cに形成した第2フィルタ支持軸58が底部11に設けたフィルタ支持部52の第1フィルタ支持軸53と同軸上で対向する。
【0035】
本体部10の底部11の隅部11aとファンケース基部41の隅部41aとの間に連続部22の外面に沿うと共に前面31及び第1側面23より若干外方に突出して上下方向に延在するフィルタガイド部材となる第1フィルタ送りローラ59aが架設される。同様に、底部11の隅部11bとファンケース基部41の隅部41bとの間に連続部24の外面に沿うと共に第1側面23及び後面25より若干外方に突出して上下方向に延在する第2フィルタ送りローラ59bが架設される。底部11の隅部11cとファンケース基部41の隅部41cとの間に連続部26の外面に沿うと共に後面25及び第2側面27より若干外方に突出して上下方向に延在する第3フィルタ送りローラ59cが架設される。底部11の隅部11dとファンケース基部41の隅部41dとの間に連続部28の外面に沿うと共に前面31及び第2側面27より若干外方に突出して上下方向に延在する第4フィルタ送りローラ59dが架設される。また、図3において仮想線で示すように、本体部10の内の隅部に配設される第1〜第4支柱12〜15に沿って上下に延在するメッシュ等によって形成され容器60を配置し、この容器60内に活性炭等の脱臭剤を収納する。この隅部には、本体部10内に保持されるロールフィルタFやロールフィルタFから引き出されたフィルタFaに影響を与えることなく容易に容器60を配設できる。
【0036】
このように構成された空気清浄装置1において、本体部10の開口部29を閉鎖する第1開閉パネル32及び第2開閉パネル34をそれぞれ開放すると共に、フィルタクランプ55のロール支持アーム57の把持部57bを持ち上げて第1フィルタ支持軸53から第2フィルタ支持軸58を離反する。
【0037】
この第1フィルタ支持軸53から第2フィルタ支持軸58が離反した状態で、開口部29から本体部10内にロールフィルタFを搬入してロールフィルタFの芯材Fhの下端を第1フィルタ支持軸53に嵌合し、かつ下端面Fdをフィルタストッパ54に当接させてロールフィルタFをフィルタ支持部52に保持する。続いて、ロール支持アーム57を下方に揺動して芯材Fhの上端に第2フィルタ支持軸58を挿入してフィルタ支持パネル58aを上端面Fcに当接させる。
【0038】
これにより、ロールフィルタFは芯材Fhの下端及び上端に挿入された第1フィルタ支持軸53及び第2フィルタ支持軸58によって回転自在に支持され、かつロール支持アーム57の自重によってフィルタストッパ54とフィルタ支持パネル58aによってロールフィルタFの下端面Fd及び上端面Fcの両端面が上下から保持されて安定した状態でロールフィルタ保持部51によって支持される。
【0039】
しかる後、第1開閉パネル32を閉じると共に、ロールフィルタ保持部51に回転自在に保持されたロールフィルタFからフィルタFaの端部Fbを第1開閉パネル32の開放端32bを迂回して引き出し、第2開閉パネル34を閉じる。そして、閉じられた第1開閉パネル32と第2開閉パネル34の対向する開放端32bと34bとの間の隙間Sから突出するフィルタFaの端部Fbを引き出し、引き出されたフィルタFaを第1開閉パネル32の外面に沿って張装し、更に第1フィルタ送りローラ59aに巻掛けて第1側面23の外面に沿って張装し、同様に第2フィルタ送りローラ59bに巻掛けて後面25の外面に沿って張装し、更に第3フィルタ送りローラ59cに巻掛けて第2側面27の外面にて張装して更に第4フィルタ送りローラ59dに巻掛けて第2開閉パネル34の外面に沿って張装する。このとき、フィルタFaの引き出しに追従して第1フィルタ送りローラ59a、第2フィルタ送りローラ59b、第3フィルタ送りローラ59c、第4フィルタ送りローラ59dが回転してフィルタFaを誘導することで円滑かつ容易に外周面21に巻装できる。
【0040】
このようにして本体部10の外周面21を全周面に亘って覆い被装したフィルタFaの端部Fbを第2開閉パネル34の開放端34b近傍に配設されたフィルタ端部保持部36のベース部材37の基部37aとフィルタ保持部材38とによってクランプ保持する。
【0041】
このようにロールフィルタFを装着した空気清浄装置1を作動させる、即ちモータ47を駆動させてファン48を回転させることで、外気が本体部10の外周面21を形成する第1側面23、後面25、第2側面27及び第1開閉パネル32、第2開閉パネル34を覆うフィルタFaを通過し、かつこれら第1側面23、後面25、第2側面27及び第1開閉パネル32、第2開閉パネル34の全面に亘り開口する多数の吸入口21aから本体部10内に吸入され、本体部10内からファンケース40の排出口43を経て外部に放出される空気流が生成される。
【0042】
この第1側面23、後面25、第2側面27及び第1開閉パネル32、第2開閉パネル34の外周面21の全面に亘り形成され吸入口21aから外気が本体部10内に吸入され、外周面21の全面に亘り張設されたフィルタFaによって外気に混在する微細な塵埃やオイルミストが吸着除去されて本体部10内に吸入され、更に活性炭等の消臭剤により脱臭されて清浄化された空気が排出口43から放出される。
【0043】
ここで、本体部10の第1側面23、後面25、第2側面27及び第1開閉パネル32、第2開閉パネル34の外周面21の全面に亘り形成され吸入口21aから外気が本体部10内に吸入され、外周面21の全面に亘り張設されたフィルタFaによって外気に混在する微細な塵埃やオイルミストが吸着除去することから、空気清浄装置1の全方向から周囲の外気がフィルタFaを介して本体部10内に吸入され、フィルタFaによる濾過面積が大きく確保され、塵埃やオイルミストの除去能力の向上が得られる。
【0044】
また、フィルタFaによって吸着除去されずに外気と共に本体部10内に導入された塵埃やオイルミストは、本体部10内のフィルタFaに吸着除去されると共に、本体部10内で空気流から分離して底部11上に載置されたドレン用受皿に落下して受け止められる。
【0045】
空気清浄に伴って本体部10の外周面21に巻装されたフィルタFaに塵埃やオイルミストが付着してフィルタFaによる清浄能力が低下した場合は、フィルタFaの端部Fbを保持するフィルタ端部保持部36を開放してクランプを解除すると共に、第1開閉パネル32と第2開閉パネル34の対向する開放端32bと34bとの間の隙間SからフィルタFaを若干引き出すと共に、隙間Sから突出しているフィルタFaの塵埃やオイルミストが付着している使用済み部分を切除して回収する。
【0046】
しかる後、使用済み部分の切除により形成された隙間Sから若干突出しているフィルタFaの端部Fbを引き出すことで、本体部10の内部に収容されたロールフィルタFから塵埃やオイルミスト等が付着していないフィルタFaの未使用部分が引き出される。このようにフィルタFaを引き出しつつ前記同様にフィルタFaを第1開閉パネル32の外面に沿って張装し、更に第1フィルタ送りローラ59aに巻掛けて第1側面23の外面に沿って張装し、同様に第2フィルタ送りローラ59bに巻掛けて後面25の外面に沿って張装し、更に第3フィルタ送りローラ59cに巻掛けて第2側面27の外面にて張装して更に第4フィルタ送りローラ59dに巻掛けて第2開閉パネル34の外面に沿って張装する。このとき、フィルタFaの引き出しに追従して第1フィルタ送りローラ59a、第2フィルタ送りローラ59b、第3フィルタ送りローラ59c、第4フィルタ送りローラ59dが回転して引き出され、かつ巻装するフィルタFaを誘導することで円滑かつ容易に外周面21に巻装できる。そして巻装されたフィルタFaの端部Fbを第2開閉パネル34に配設されたフィルタ端部保持部36のベース部材37の基部37aとフィルタ保持部材38とによってクランプ保持する。
【0047】
本体部10に収容されるロールフィルタFを全て引き出した場合、すなわち、残余が芯材Fhのみとなった場合は、第1開閉パネル32及び第2開閉パネル34を開放して芯材Fhを取り出した上で、上述したロールフィルタFの設置手順に従って新たなロールフィルタFを設置する。
【0048】
従って、上記のように構成された本実施の形態における空気清浄装置1によると、本体部10の外周面21を形成する第1側面23、後面25、第2側面27、第1開閉パネル32及び第2開閉パネル34が、それぞれの全面に亘って吸入孔21aを有し、この外周面21の全面に亘ってロールフィルタFから引き出されたフィルタFaが巻装されて被装されているので、外気吸入の方向性が限定されることなく空気清浄装置1の全方位から外気を吸入することが可能となる。即ち外周面21の全面に亘るフィルタFaによる大きな濾過面積を確保して塵埃やオイルミストの清浄能力が高められ、工場内の広い作業空間でも効率よく清浄作業を実行することができる。従って、空気清浄装置1の設置数を少数とすることができるので、製造・加工ライン等の機器が合理化的に配置された工場内においても過大な設置スペースを要することなく設置することができる。また、空気清浄装置1の設備数を抑制とすることで設備コストも大幅に削減することが可能となる。
【0049】
また、本体部10の外周面21に巻装されたフィルタFaの清浄能力の低下によりフィルタFaの未使用部分を本体部10に収容されたロールフィルタFから引き出して本体部10の外周面21に巻装させる場合は、本体部10内に保持されたロールフィルタFからフィルタFaの引き出しに追従して第1フィルタ送りローラ59a、第2フィルタ送りローラ59b、第3フィルタ送りローラ59c、第4フィルタ送りローラ59dの回転により円滑なフィルタFaの繰り出し及び誘導が実現されてフィルタFaの未使用部分を容易に引き出して巻装することができる。
【0050】
更に、ロールフィルタFの空気清浄装置1への設置及び交換も、第1開閉パネル32及び第2開閉パネル34を開蓋して本体部10の前面の開口部29を開放してロールフィルタFをそのまま本体部10に装着することが可能であり、ロールフィルタFを空気清浄装置1の清浄部分の形状に合わせて切断加工する必要がなく、極めて容易にロールフィルタFの設置及び交換を実行することができる。更に、本体部10の外周面21が平面状の第1側面23、後面25、第2側面27及び第1開閉パネル32、第2開閉パネル34を有する断面略矩形の多角形状なのでフィルタFaを外周面21に巻装させる際に、ロールフィルタFから繰り出されたフィルタFaを外周面21の各隅部に配設された第1フィルタ送りローラ59a、第2フィルタ送りローラ59b、第3フィルタ送りローラ59c及び第4フィルタ送りローラ59dに押し付けて巻掛けることでフィルタFaの位置決めが容易に行えると共に第1側面23、後面25、第2側面27及び第1開閉パネル32、第2開閉パネル34の外面に沿って張設することができる。
【0051】
また、ロールフィルタFのフィルタFaを本体部10の外周面21に巻装させて端部Fbをフィルタ端部保持部36で挟持する比較的簡単な構造で、簡易にフィルタFaを本体部10に巻装保持できる。従って、作業負担及び作業コストが軽減される。
【0052】
そして、本体部10の外周面21が矩形平面状の第1側面23、後面25、第2側面27及び第1開閉パネル32、第2開閉パネル34を有する多角形状に形成することで本体部10の各構成部材の成形が容易になり、空気清浄装置1を容易に製造できる。
【0053】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記実施の形態では、各フィルタガイド部材をフィル送りローラにより構成したが、円筒状のパイプや棒材によって構成することもできる。また、上記実施の形態では、第1〜第4支柱12〜15に沿って配置された容器60に活性炭等の脱臭剤を収納したが、ロールフィルタFの芯材Fh内に活性炭等の脱臭剤を装填することもできる。
【0054】
また、上記実施の形態では、本体部10の前面31が第1開閉パネル32及び第2開閉パネル34で形成した場合を例として説明したが、片開きの1枚の開閉パネルで前面31を形成してもよい。なお、この場合も開閉パネルは、開閉パネルの開放端と本体部10との間に上下に連続するフィルタFaの貫通用の間隙Sが形成される。
【0055】
更に、上記実施の形態では、清浄化された外気はファンケース40に開口する排出口43から直接外部に排出される場合を例に説明したが、ファンケース40の上部にフードを取り付け、このフードに外気の排出方向を制御できる可変式のルーバを設けて外気の排出方向を制御してもよい。更に上記実施の形態では本体部10の外周面21を矩形断面形状に形成したが、他の多角形や円筒状に形成することもできる。本実施の形態では、芯材FhにフィルタFaが巻回されたロールフィルタFを例として説明したが、フィルタFaのみが筒状に巻回されたいわゆる芯材のないロールフィルタを使用することも可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 空気清浄装置
10 本体部
11 底部
11a、11b、11c、11d 隅部
12〜15 第1〜第4支柱
21 周面
22、24、26、28 連続部
23 第1側面
25 後面
27 第2側面
29 開口部
31 前面
32 第1開閉パネル
32b 開放端
34 第2開閉パネル
34b 開放端
35 ヒンジ
S 隙間
36 フィルタ端部保持部
40 ファンケース
43 排出口
47 モータ
48 ファン
51 ロールフィルタ保持部
58 第2フィルタ支持軸
59a〜59d 第1〜第4 フィルタ送りローラ(フィルタガイド部材)
F ロールフィルタ
Fa フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部及び該底部の外周縁に連続して形成されて筒状で全周に亘って多数の吸入孔が開口する外周面を備えた上方が開放される本体部と、
該本体部の上方に連続配置されて本体部内と外部を連通する排出口を備えるとともにモータによって回転するファンを収容するファンケースと、
前記外周面の外面を全周に亘って被装するシート状のフィルタと、を備え
前記モータによるファンの回転により生成される気流により、前記フィルタを通過して濾過された外気を外周面の吸入孔から本体部内に吸引しかつ前記ファンケースの排出口から外部に放出することを特徴とする空気清浄装置。
【請求項2】
前記フィルタは、
シート状の濾紙を巻回してロール状に形成されたロールフィルタであって、
前記本体部内には、
前記ロールフィルタを保持するロールフィルタ保持部を備え、
前記外周面は、
該外周面の一部が開放形成された開口部と、
該開口部に上下方向に連続する間隙を形成して開閉する開閉パネルと、を備え、
前記ロールフィルタ保持部に前記ロールフィルタが保持されて前記本体部の内部に設置されるとともに前記フィルタの端部が前記間隙から引き出されて前記外周面に被装されることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄装置。
【請求項3】
前記開閉パネルは、
前記外周面に巻回された前記フィルタの端部を保持するフィルタ端部保持部が設けられたことを特徴とする請求項2に記載の空気清浄装置。
【請求項4】
前記本体部の外周面は、
底部の外周縁に沿って配置される平面状の第1側面、後面、第2側面及び開閉パネルからなる前面を備えた多角形状に形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気清浄装置。
【請求項5】
前記複数の平面状の第1側面、後面、第2側面及び開閉パネルからなる前面の連続部の外方側において前記底部と前記ファンケースとの間で前記本体部の上下方向に延在するフィルタガイド部材を備えることを特徴とする請求項4に記載の空気清浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−234244(P2010−234244A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84308(P2009−84308)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】