空気調和機およびその製造方法
【課題】装置を大型化させることなく、通気孔の開口面積を十分に確保し、成形時の変形、および、外力の応力集中による変形や破損が生じることを回避する。
【解決手段】互いに間隔を有するように外縁10に両端支持された複数の羽板7により通気孔22が形成された着脱可能なパネル2を備える空気調和機1において、羽板7と該羽板7に近接する羽板7のうちの1つの羽板7とを連結する連結部14を千鳥状に配置する。
【解決手段】互いに間隔を有するように外縁10に両端支持された複数の羽板7により通気孔22が形成された着脱可能なパネル2を備える空気調和機1において、羽板7と該羽板7に近接する羽板7のうちの1つの羽板7とを連結する連結部14を千鳥状に配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄機、除湿器、および、加湿器等の空気調和機およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図14(ロ)には、フレームの外縁に両端支持された複数の横断部により空気を吸入する吸気孔が形成された空気清浄機が開示されている。この空気清浄機では、吸気孔に十分な開口面積が確保されているが、複数の横断部が成形時に変形したり、取り付け、取り外し時に加えられた押圧力によって破損するおそれがある。
【0003】
同特許文献1の図1には、格子状に設けられた縦断部と横断部とにより吸気孔が形成されたパネルを有する空気清浄機が開示されている。この空気清浄機では、パネルの強度を向上させることはできるが、吸気孔として十分な開口面を確保することができない。
【0004】
したがって、特許文献1の図14(ロ)に開示された空気清浄機に対して、複数の横断部間にまたがるように、直線上の連結部を設けることにより、フレームの外縁に対する横断部の変位量を低減し、成形時に生じる変形や、横断部の両端に加えられる応力の増加を防止する対策が有用であるように考えられる。しかしながら、連結部においても応力集中は生じ得る。これに対処するために、縦方向に延びる連結部の幅を太くすると、ヒケが生じる可能性がある。また、連結部を、幅を太くせずに奥行き方向に長くすると、強度を向上させることはできるが、製品が奥行き方向に大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−45632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、装置を大型化させることなく、通気孔の開口面積を十分に確保し、成形時の変形、および、外力の応力集中による変形や破損が生じることを回避することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、本発明の空気調和機は、互いに間隔を有するように外縁に両端支持された複数の羽板により通気孔が形成された着脱可能なパネルを備える空気調和機において、前記羽板と該羽板に近接する羽板のうちの1つの羽板とを連結する連結部を千鳥状に配置するようにした。
【0008】
この構成によれば、連結部を千鳥状に配置しているので、複数の羽板により形成された通気孔の開口面積を十分に確保することができるとともに、装置の大型化を回避できる。そして、羽板と羽板とを柔軟性を有した状態で連結することができる。したがって、パネルの成型時に変形が生じることを回避できる。また、外力による応力集中が生じた場合に該応力を分散させることができるので、外縁に対する羽板の変位量を低減し変形や破損が生じることを回避できる。
【0009】
前記羽板と該羽板に近接する羽板のうちの1つの羽板とを連結する切断可能な補助連結部を設けることが好ましい。この構成によれば、羽板と該羽板に近接する羽板のうちの1つの羽板とを補助連結部により連結しているので、パネルの成形時にパネルの羽板に変形が生じることを回避できる。そして、成形後の加工工程において、補助連結部を切断することにより、千鳥状に配置された連結部のみによって羽板と羽板の間が柔軟性を有した状態で連結されたパネルを得ることができる。
【0010】
前記連結部および前記補助連結部をそれぞれ直線上に交互に配置することが好ましい。この構成によれば、連結部および補助連結部をそれぞれ直線上に配置することにより、パネルの成型時に生じる変形をより一層回避できる。
【0011】
前記補助連結部は、一側に位置する前記羽板に設けられた基部と、該基部の端部と他側の前記羽板の間に設けられた切断可能な被切断部とを備えることが好ましい。この構成によれば、成形後の加工工程において、被切断部を切断することにより、一側に位置する羽板と他側に位置する羽板とを容易に切り離すことができる。
【0012】
前記パネルの上端縁から略水平に延びる天面部を設けることが好ましい。この構成によれば、空気調和機頂部の清掃性、およびデザイン性を向上させることができる。なお、パネルの頂部と反対側の端部と天面部の端部とで支持されるようにパネルを置き、誤って複数の羽板に外力を加えた場合に複数の羽板および連結部への応力集中を回避できるので、変形や破損が生じることを回避できる。
【0013】
前記課題を解決するための手段として、本発明の空気調和機の製造方法は、互いに間隔を有するように外縁に両端支持された複数の羽板により通気孔が形成され、前記複数の羽板のうち、少なくとも一部の羽板のそれぞれと該羽板に近接する羽板とが連結部で連結された着脱可能なパネルを備える空気調和機の製造方法において、前記連結部が千鳥状に配置されるように、前記連結部のうちの一部の連結部を切断するようにした。
【0014】
この方法によれば、パネルの成形時、羽板と該羽板に近接する羽板とを連結部により連結しているので、成形時に変形が生じることを回避できる。そして、成形後の加工工程において、連結部のうちの一部の連結部を切断することにより、千鳥状に配置された連結部のみによって羽板と羽板の間が柔軟性を有した状態で連結されたパネルを得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、連結部を千鳥状に配置しているので、複数の羽板により形成された通気孔の開口面積を十分に確保することができるとともに、装置の大型化を回避できる。そして、羽板と羽板とを柔軟性を有した状態で連結することができる。したがって、パネルの成型時に変形が生じることを回避できる。また、外力による応力集中が生じた場合に該応力を分散させることができるので、外縁に対する羽板の変位量を低減し変形や破損が生じることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる空気清浄機の前面パネルの正面図(A)、平面図(B)、側面図(C)。
【図2】前面パネルの内面を示す図。
【図3】前面パネル内面の部分拡大図。
【図4】前面パネルの部分側方断面図。
【図5】空気清浄機の本体の正面図。
【図6】前面パネルの羽板の状態を示し、(A)は外力が加えられていない状態、(B)は連結部に連結された羽板に外力が加えられた状態、(C)は連結部に連結されていない羽板に外力が加えられた状態を示す図。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる空気清浄機の前面パネルを示す斜視図。
【図8】前面パネル内面の部分拡大斜視図。
【図9】前面パネル内面の部分拡大図。
【図10】前面パネルの部分側方断面図。
【図11】前面パネルの部分側方断面図。
【図12】前面パネル内面の部分拡大図。
【図13】本発明の第3実施形態にかかる空気清浄機の前面パネルの部分側方断面図。
【図14】前面パネルの部分側方断面図。
【図15】前面パネルの変形例を示す図。
【図16】前面パネルの変形例を示す図。
【図17】前面パネルの変形例を示す図。
【図18】前面パネルの変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明にかかる空気調和機の一例である第1実施形態の空気清浄機1を示す。空気清浄機1は、前面パネル(パネル)2と本体3とを備えている。
【0019】
前面パネル2は、矩形の鉛直な面の両端縁が後方に向かって湾曲した前面部4と、前面部4の上端縁(頂部)38から略水平に延びる天面部5とからなっている。前面部4の中央には、空気を取り入れるルーバー6が形成されている。図2ないし4に示すように、ルーバー6は、複数の羽板7を備えている。複数の羽板7は、長手方向の両端部8,9が前面パネル2の外縁10に支持されるように縦方向に間隔を有して配置されている。羽板7は、前側垂直部11、該前側垂直部11の上方に位置する後側垂直部12、および、これらを接続する略水平部13を備えており、断面が略クランク状に形成されている。羽板7とこの羽板7に近接する羽板7の間には、連結部14が設けられている。連結部14は、略矩形の薄板状に形成され垂直方向に配置されている。連結部14の上側端面15は、略水平部13の下面16と連結されている。連結部14の前側端面17は、前側垂直部11の後面18と連結されている。連結部14の下側端面19は、後側の一部分である接続部20を介して後側垂直部12の上端面21と連結されている。連結部14は、羽板7の端部8,9から所定間隔を有する位置に配置される。本実施形態では、所定間隔は、互いに異なる2つの間隔である。そして、連結部14は、配置が考えられる全ての位置に対して、垂直、および、水平のそれぞれの方向において、1つおきに配置されている。すなわち、連結部14は、千鳥状に配置されている。「連結部14を千鳥状に配置する」とは、羽板7の一側に連結された連結部14と、羽板7の他側で連結された連結部14とを、羽板7に直交する同一線上に重ならないように配置することである。羽板7と、この羽板7の下方で近接した羽板7との間には、吸気孔(通気孔)22が形成されている。前面部4とこれに連続する天面部5とが形成する稜部23の右側部分には、第1スイッチ(切タイマー)操作部24aと第2スイッチ(入/切選択スイッチ)操作部24bが設けられている。第1と第2のスイッチ操作部24a、24bの下方の前面部4には、横方向に延びるLED表示窓25が設けられている。前面パネル2の前面部4と天面部5とが形成する稜部23の中央の内面には、位置決め部として1対の突片26が形成されている。
【0020】
図5は、前面パネル2を取り外した空気清浄機1の正面から見た本体3を示す。本体3には、前面パネル2のルーバー6を通過した空気をフィルタ27を介して内部のファン(不図示)に吸い込むための吸込み口28が形成されている。本体3の正面の右上には、第1スイッチと第2スイッチ用の2つの駆動部29a、29bが形成され、該駆動部29a、29bの下方には、空気清浄機1の複数のLED孔30が水平方向に1列に形成されている。駆動部29a、29b及びLED孔30を覆うようにシート31が貼り付けられ、LED孔30の部分は透明な窓になっている。本体3の前面と天面の稜部の中央には、前記前面パネル2の1対の突片26が係合する凹部32が形成されている。
【0021】
次に、以上の構成からなる本発明の第1実施形態の空気清浄機1の動作を説明する。
【0022】
第2スイッチ(入/切選択スイッチ)操作部24bを押すと、本体3のファン(不図示)が回転し、外部の空気が前面パネル2のルーバー6の吸気孔22から吸い込まれ、フィルタ27により粉塵等が捕捉された後、本体3の吸込み口28に吸い込まれ、本体3の内部を通って外部に排気される。
【0023】
図6は、前面パネル2の羽板7の状態を示したもので、(A)は外力が加えられていない状態、(B)は連結部14に連結された羽板7に外力が加えられた状態、(C)は連結部に連結されていない羽板7に外力が加えられた状態を示したものである。フィルタ27交換時、前面パネル2を取り外し、前面パネル2の頂部と反対側の下端部と天面部の端部とで支持されるように前面パネル2を置き、前面パネル2の複数の羽板7に、誤って外力を加えた場合に、連結部14と羽板7の間を柔軟性を有した状態で連結しているので、複数の羽板7の両端部8,9、および、連結部14の両端への応力を分散させることができる。また、図6(B)に示すように、図6(C)に示した連結部を有しないルーバーと比較して、外縁10に対する羽板7の変位量を低減し変形や破損が生じることを回避できる。そして、連結部14を千鳥状に配置しているので、成型時に変形が生じることを回避できる。また、複数の羽板7により形成された吸気孔22の開口面積を十分に確保することができるとともに、装置の大型化を回避できる。
【0024】
また、該応力を分散させることができるので、前面パネル2に天面部5を設けることができ、空気清浄機1頂部の清掃性、およびデザイン性を向上させることができる。
【0025】
(第2実施形態)
図7ないし図9は、本発明の第2実施形態にかかる空気清浄機1の前面パネル2を示す。本実施形態において、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0026】
連結部14の垂直方向において、連結部14が設けられていない羽板7と羽板7の間には、成形時、補助連結部33が設けられている。図9に示すように、連結部14と補助連結部33は、それぞれ直線上に交互に配置されている。補助連結部33は、基部34と被切断部35とを備えている。図10に示すように、補助連結部33の基部34は、連結部14の後ろ側を切除した形状であり、下端が、後側垂直部12の上端面21から離れている。被切断部35は薄板状であり、基部34の下部と、後側垂直部12の上端面21とを連結している。
【0027】
羽板7の補助連結部33の基部34と羽板7の上端面21とを被切断部35により連結しているので、前面パネル2の成形時にルーバー6の変形が生じることを回避できる。そして、成形後の加工工程において、図11および図12に示すように、被切断部35を切除することにより、一側に位置する羽板7と他側に位置する羽板7とを容易に切り離すことができ、千鳥状に配置された連結部14のみによって羽板7と羽板7の間が柔軟性を有した状態で連結された前面パネル2を得ることができる。本実施形態において、第1実施形態と同様の効果も得ることができる。
【0028】
(第3実施形態)
図13は、本発明の第3実施形態にかかる空気清浄機1の前面パネル2を示す。本実施形態において、第2実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0029】
連結部14および補助連結部33に代えて、突出部36が設けられている。突出部36は、補助連結部33の基部34と同様である。被切断部35は設けられていない。
【0030】
図14に示すように、成形後の加工工程において、連結部14となる位置の突出部36と羽板7とを溶着部37を溶着して連結することにより、千鳥状に配置された連結部14のみによって羽板7と羽板7の間が柔軟性を有した状態で連結された前面パネル2を得ることができる。本実施形態において、第1実施形態と同様の効果も得ることができる。
【0031】
本発明は実施形態のものに限定されず、以下に例示するように種々の変形が可能である。
【0032】
羽板と連結部とが格子状に配置されたパネルを平面に置いた時、パネルと平面との間に隙間を有し、パネルを上方から押さえ付けると割れる可能性があるものに適用可能である。
【0033】
前述した実施形態では、通気孔が吸気孔であるパネルを有する空気調和機について説明したが、本発明は、通気孔が排気孔であるパネルを有する空気調和機にも適用することができる。なお、パネルは、側面パネルや背面パネル等、いかなるパネルでもよい。
【0034】
図15に示すように、複数の羽板7を横方向に配置し、連結部14を下方または上方に向かって斜めに規則的に配置するようにしてもよい。
【0035】
図16に示すように、複数の羽板7を縦方向に配置してもよい。また、図17に示すように、複数の羽板7を縦方向に対して傾斜した方向に配置してもよい。
【0036】
図18に示すように、補助連結部33は、補助連結部33の上下それぞれの方向に1つずれた同一直線上に位置する連結部14,14に対して、横方向にずれた位置に配置してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 空気清浄機
2 前面パネル(パネル)
5 天面部
7 羽板
10 外縁
14 連結部
22 吸気孔(通気孔)
33 補助連結部
34 基部
35 被切断部
38 上端縁(頂部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄機、除湿器、および、加湿器等の空気調和機およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図14(ロ)には、フレームの外縁に両端支持された複数の横断部により空気を吸入する吸気孔が形成された空気清浄機が開示されている。この空気清浄機では、吸気孔に十分な開口面積が確保されているが、複数の横断部が成形時に変形したり、取り付け、取り外し時に加えられた押圧力によって破損するおそれがある。
【0003】
同特許文献1の図1には、格子状に設けられた縦断部と横断部とにより吸気孔が形成されたパネルを有する空気清浄機が開示されている。この空気清浄機では、パネルの強度を向上させることはできるが、吸気孔として十分な開口面を確保することができない。
【0004】
したがって、特許文献1の図14(ロ)に開示された空気清浄機に対して、複数の横断部間にまたがるように、直線上の連結部を設けることにより、フレームの外縁に対する横断部の変位量を低減し、成形時に生じる変形や、横断部の両端に加えられる応力の増加を防止する対策が有用であるように考えられる。しかしながら、連結部においても応力集中は生じ得る。これに対処するために、縦方向に延びる連結部の幅を太くすると、ヒケが生じる可能性がある。また、連結部を、幅を太くせずに奥行き方向に長くすると、強度を向上させることはできるが、製品が奥行き方向に大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−45632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、装置を大型化させることなく、通気孔の開口面積を十分に確保し、成形時の変形、および、外力の応力集中による変形や破損が生じることを回避することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、本発明の空気調和機は、互いに間隔を有するように外縁に両端支持された複数の羽板により通気孔が形成された着脱可能なパネルを備える空気調和機において、前記羽板と該羽板に近接する羽板のうちの1つの羽板とを連結する連結部を千鳥状に配置するようにした。
【0008】
この構成によれば、連結部を千鳥状に配置しているので、複数の羽板により形成された通気孔の開口面積を十分に確保することができるとともに、装置の大型化を回避できる。そして、羽板と羽板とを柔軟性を有した状態で連結することができる。したがって、パネルの成型時に変形が生じることを回避できる。また、外力による応力集中が生じた場合に該応力を分散させることができるので、外縁に対する羽板の変位量を低減し変形や破損が生じることを回避できる。
【0009】
前記羽板と該羽板に近接する羽板のうちの1つの羽板とを連結する切断可能な補助連結部を設けることが好ましい。この構成によれば、羽板と該羽板に近接する羽板のうちの1つの羽板とを補助連結部により連結しているので、パネルの成形時にパネルの羽板に変形が生じることを回避できる。そして、成形後の加工工程において、補助連結部を切断することにより、千鳥状に配置された連結部のみによって羽板と羽板の間が柔軟性を有した状態で連結されたパネルを得ることができる。
【0010】
前記連結部および前記補助連結部をそれぞれ直線上に交互に配置することが好ましい。この構成によれば、連結部および補助連結部をそれぞれ直線上に配置することにより、パネルの成型時に生じる変形をより一層回避できる。
【0011】
前記補助連結部は、一側に位置する前記羽板に設けられた基部と、該基部の端部と他側の前記羽板の間に設けられた切断可能な被切断部とを備えることが好ましい。この構成によれば、成形後の加工工程において、被切断部を切断することにより、一側に位置する羽板と他側に位置する羽板とを容易に切り離すことができる。
【0012】
前記パネルの上端縁から略水平に延びる天面部を設けることが好ましい。この構成によれば、空気調和機頂部の清掃性、およびデザイン性を向上させることができる。なお、パネルの頂部と反対側の端部と天面部の端部とで支持されるようにパネルを置き、誤って複数の羽板に外力を加えた場合に複数の羽板および連結部への応力集中を回避できるので、変形や破損が生じることを回避できる。
【0013】
前記課題を解決するための手段として、本発明の空気調和機の製造方法は、互いに間隔を有するように外縁に両端支持された複数の羽板により通気孔が形成され、前記複数の羽板のうち、少なくとも一部の羽板のそれぞれと該羽板に近接する羽板とが連結部で連結された着脱可能なパネルを備える空気調和機の製造方法において、前記連結部が千鳥状に配置されるように、前記連結部のうちの一部の連結部を切断するようにした。
【0014】
この方法によれば、パネルの成形時、羽板と該羽板に近接する羽板とを連結部により連結しているので、成形時に変形が生じることを回避できる。そして、成形後の加工工程において、連結部のうちの一部の連結部を切断することにより、千鳥状に配置された連結部のみによって羽板と羽板の間が柔軟性を有した状態で連結されたパネルを得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、連結部を千鳥状に配置しているので、複数の羽板により形成された通気孔の開口面積を十分に確保することができるとともに、装置の大型化を回避できる。そして、羽板と羽板とを柔軟性を有した状態で連結することができる。したがって、パネルの成型時に変形が生じることを回避できる。また、外力による応力集中が生じた場合に該応力を分散させることができるので、外縁に対する羽板の変位量を低減し変形や破損が生じることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる空気清浄機の前面パネルの正面図(A)、平面図(B)、側面図(C)。
【図2】前面パネルの内面を示す図。
【図3】前面パネル内面の部分拡大図。
【図4】前面パネルの部分側方断面図。
【図5】空気清浄機の本体の正面図。
【図6】前面パネルの羽板の状態を示し、(A)は外力が加えられていない状態、(B)は連結部に連結された羽板に外力が加えられた状態、(C)は連結部に連結されていない羽板に外力が加えられた状態を示す図。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる空気清浄機の前面パネルを示す斜視図。
【図8】前面パネル内面の部分拡大斜視図。
【図9】前面パネル内面の部分拡大図。
【図10】前面パネルの部分側方断面図。
【図11】前面パネルの部分側方断面図。
【図12】前面パネル内面の部分拡大図。
【図13】本発明の第3実施形態にかかる空気清浄機の前面パネルの部分側方断面図。
【図14】前面パネルの部分側方断面図。
【図15】前面パネルの変形例を示す図。
【図16】前面パネルの変形例を示す図。
【図17】前面パネルの変形例を示す図。
【図18】前面パネルの変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明にかかる空気調和機の一例である第1実施形態の空気清浄機1を示す。空気清浄機1は、前面パネル(パネル)2と本体3とを備えている。
【0019】
前面パネル2は、矩形の鉛直な面の両端縁が後方に向かって湾曲した前面部4と、前面部4の上端縁(頂部)38から略水平に延びる天面部5とからなっている。前面部4の中央には、空気を取り入れるルーバー6が形成されている。図2ないし4に示すように、ルーバー6は、複数の羽板7を備えている。複数の羽板7は、長手方向の両端部8,9が前面パネル2の外縁10に支持されるように縦方向に間隔を有して配置されている。羽板7は、前側垂直部11、該前側垂直部11の上方に位置する後側垂直部12、および、これらを接続する略水平部13を備えており、断面が略クランク状に形成されている。羽板7とこの羽板7に近接する羽板7の間には、連結部14が設けられている。連結部14は、略矩形の薄板状に形成され垂直方向に配置されている。連結部14の上側端面15は、略水平部13の下面16と連結されている。連結部14の前側端面17は、前側垂直部11の後面18と連結されている。連結部14の下側端面19は、後側の一部分である接続部20を介して後側垂直部12の上端面21と連結されている。連結部14は、羽板7の端部8,9から所定間隔を有する位置に配置される。本実施形態では、所定間隔は、互いに異なる2つの間隔である。そして、連結部14は、配置が考えられる全ての位置に対して、垂直、および、水平のそれぞれの方向において、1つおきに配置されている。すなわち、連結部14は、千鳥状に配置されている。「連結部14を千鳥状に配置する」とは、羽板7の一側に連結された連結部14と、羽板7の他側で連結された連結部14とを、羽板7に直交する同一線上に重ならないように配置することである。羽板7と、この羽板7の下方で近接した羽板7との間には、吸気孔(通気孔)22が形成されている。前面部4とこれに連続する天面部5とが形成する稜部23の右側部分には、第1スイッチ(切タイマー)操作部24aと第2スイッチ(入/切選択スイッチ)操作部24bが設けられている。第1と第2のスイッチ操作部24a、24bの下方の前面部4には、横方向に延びるLED表示窓25が設けられている。前面パネル2の前面部4と天面部5とが形成する稜部23の中央の内面には、位置決め部として1対の突片26が形成されている。
【0020】
図5は、前面パネル2を取り外した空気清浄機1の正面から見た本体3を示す。本体3には、前面パネル2のルーバー6を通過した空気をフィルタ27を介して内部のファン(不図示)に吸い込むための吸込み口28が形成されている。本体3の正面の右上には、第1スイッチと第2スイッチ用の2つの駆動部29a、29bが形成され、該駆動部29a、29bの下方には、空気清浄機1の複数のLED孔30が水平方向に1列に形成されている。駆動部29a、29b及びLED孔30を覆うようにシート31が貼り付けられ、LED孔30の部分は透明な窓になっている。本体3の前面と天面の稜部の中央には、前記前面パネル2の1対の突片26が係合する凹部32が形成されている。
【0021】
次に、以上の構成からなる本発明の第1実施形態の空気清浄機1の動作を説明する。
【0022】
第2スイッチ(入/切選択スイッチ)操作部24bを押すと、本体3のファン(不図示)が回転し、外部の空気が前面パネル2のルーバー6の吸気孔22から吸い込まれ、フィルタ27により粉塵等が捕捉された後、本体3の吸込み口28に吸い込まれ、本体3の内部を通って外部に排気される。
【0023】
図6は、前面パネル2の羽板7の状態を示したもので、(A)は外力が加えられていない状態、(B)は連結部14に連結された羽板7に外力が加えられた状態、(C)は連結部に連結されていない羽板7に外力が加えられた状態を示したものである。フィルタ27交換時、前面パネル2を取り外し、前面パネル2の頂部と反対側の下端部と天面部の端部とで支持されるように前面パネル2を置き、前面パネル2の複数の羽板7に、誤って外力を加えた場合に、連結部14と羽板7の間を柔軟性を有した状態で連結しているので、複数の羽板7の両端部8,9、および、連結部14の両端への応力を分散させることができる。また、図6(B)に示すように、図6(C)に示した連結部を有しないルーバーと比較して、外縁10に対する羽板7の変位量を低減し変形や破損が生じることを回避できる。そして、連結部14を千鳥状に配置しているので、成型時に変形が生じることを回避できる。また、複数の羽板7により形成された吸気孔22の開口面積を十分に確保することができるとともに、装置の大型化を回避できる。
【0024】
また、該応力を分散させることができるので、前面パネル2に天面部5を設けることができ、空気清浄機1頂部の清掃性、およびデザイン性を向上させることができる。
【0025】
(第2実施形態)
図7ないし図9は、本発明の第2実施形態にかかる空気清浄機1の前面パネル2を示す。本実施形態において、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0026】
連結部14の垂直方向において、連結部14が設けられていない羽板7と羽板7の間には、成形時、補助連結部33が設けられている。図9に示すように、連結部14と補助連結部33は、それぞれ直線上に交互に配置されている。補助連結部33は、基部34と被切断部35とを備えている。図10に示すように、補助連結部33の基部34は、連結部14の後ろ側を切除した形状であり、下端が、後側垂直部12の上端面21から離れている。被切断部35は薄板状であり、基部34の下部と、後側垂直部12の上端面21とを連結している。
【0027】
羽板7の補助連結部33の基部34と羽板7の上端面21とを被切断部35により連結しているので、前面パネル2の成形時にルーバー6の変形が生じることを回避できる。そして、成形後の加工工程において、図11および図12に示すように、被切断部35を切除することにより、一側に位置する羽板7と他側に位置する羽板7とを容易に切り離すことができ、千鳥状に配置された連結部14のみによって羽板7と羽板7の間が柔軟性を有した状態で連結された前面パネル2を得ることができる。本実施形態において、第1実施形態と同様の効果も得ることができる。
【0028】
(第3実施形態)
図13は、本発明の第3実施形態にかかる空気清浄機1の前面パネル2を示す。本実施形態において、第2実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0029】
連結部14および補助連結部33に代えて、突出部36が設けられている。突出部36は、補助連結部33の基部34と同様である。被切断部35は設けられていない。
【0030】
図14に示すように、成形後の加工工程において、連結部14となる位置の突出部36と羽板7とを溶着部37を溶着して連結することにより、千鳥状に配置された連結部14のみによって羽板7と羽板7の間が柔軟性を有した状態で連結された前面パネル2を得ることができる。本実施形態において、第1実施形態と同様の効果も得ることができる。
【0031】
本発明は実施形態のものに限定されず、以下に例示するように種々の変形が可能である。
【0032】
羽板と連結部とが格子状に配置されたパネルを平面に置いた時、パネルと平面との間に隙間を有し、パネルを上方から押さえ付けると割れる可能性があるものに適用可能である。
【0033】
前述した実施形態では、通気孔が吸気孔であるパネルを有する空気調和機について説明したが、本発明は、通気孔が排気孔であるパネルを有する空気調和機にも適用することができる。なお、パネルは、側面パネルや背面パネル等、いかなるパネルでもよい。
【0034】
図15に示すように、複数の羽板7を横方向に配置し、連結部14を下方または上方に向かって斜めに規則的に配置するようにしてもよい。
【0035】
図16に示すように、複数の羽板7を縦方向に配置してもよい。また、図17に示すように、複数の羽板7を縦方向に対して傾斜した方向に配置してもよい。
【0036】
図18に示すように、補助連結部33は、補助連結部33の上下それぞれの方向に1つずれた同一直線上に位置する連結部14,14に対して、横方向にずれた位置に配置してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 空気清浄機
2 前面パネル(パネル)
5 天面部
7 羽板
10 外縁
14 連結部
22 吸気孔(通気孔)
33 補助連結部
34 基部
35 被切断部
38 上端縁(頂部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔を有するように外縁に両端支持された複数の羽板により通気孔が形成された着脱可能なパネルを備える空気調和機において、
前記羽板と該羽板に近接する羽板のうちの1つの羽板とを連結する連結部を千鳥状に配置したことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記羽板と該羽板に近接する羽板のうちの1つの羽板とを連結する切断可能な補助連結部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記連結部および前記補助連結部をそれぞれ直線上に交互に配置したことを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記補助連結部は、一側に位置する前記羽板に設けられた基部と、該基部の端部と他側の前記羽板の間に設けられた切断可能な被切断部とを備えることを特徴とする請求項2または3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記パネルの上端縁から略水平に延びる天面部を設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項6】
互いに間隔を有するように外縁に両端支持された複数の羽板により通気孔が形成され、前記複数の羽板のうち、少なくとも一部の羽板のそれぞれと該羽板に近接する羽板とが連結部で連結された着脱可能なパネルを備える空気調和機の製造方法において、
前記連結部が千鳥状に配置されるように、前記連結部のうちの一部の連結部を切断することを特徴とする空気調和機の製造方法。
【請求項7】
前記切断する連結部は、一側に位置する前記羽板に設けられた基部と、該基部の端部と他側の前記羽板の間に設けられた切断可能な被切断部とを有する補助連結部であることを特徴とする請求項6に記載の空気調和機の製造方法。
【請求項1】
互いに間隔を有するように外縁に両端支持された複数の羽板により通気孔が形成された着脱可能なパネルを備える空気調和機において、
前記羽板と該羽板に近接する羽板のうちの1つの羽板とを連結する連結部を千鳥状に配置したことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記羽板と該羽板に近接する羽板のうちの1つの羽板とを連結する切断可能な補助連結部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記連結部および前記補助連結部をそれぞれ直線上に交互に配置したことを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記補助連結部は、一側に位置する前記羽板に設けられた基部と、該基部の端部と他側の前記羽板の間に設けられた切断可能な被切断部とを備えることを特徴とする請求項2または3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記パネルの上端縁から略水平に延びる天面部を設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項6】
互いに間隔を有するように外縁に両端支持された複数の羽板により通気孔が形成され、前記複数の羽板のうち、少なくとも一部の羽板のそれぞれと該羽板に近接する羽板とが連結部で連結された着脱可能なパネルを備える空気調和機の製造方法において、
前記連結部が千鳥状に配置されるように、前記連結部のうちの一部の連結部を切断することを特徴とする空気調和機の製造方法。
【請求項7】
前記切断する連結部は、一側に位置する前記羽板に設けられた基部と、該基部の端部と他側の前記羽板の間に設けられた切断可能な被切断部とを有する補助連結部であることを特徴とする請求項6に記載の空気調和機の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−242002(P2012−242002A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113417(P2011−113417)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]