説明

空気調和機の冷媒中継ユニット

【課題】 ケーシング内部に収納される低温部を気密に包囲する断熱材の内部で凝縮水が発生しても、この凝縮水を効率よく蒸発させる構造について提案する。
【解決手段】 断熱材300の底面部310には、凝縮水を中央部に向けて集めるための凝縮水案内面316および案内溝316および案内溝315を有しており、蓋部340,350の下端縁342から外面にかけて蒸発部材351,352が貼着されており、底面部310の中央に集められた凝縮水は、蒸発部材351,352により外面側に吸い上げられ、自然蒸発する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、室外機内に設けられる室外熱交換器と複数の室内機に設けられる室内熱交換器とを接続する冷媒配管の中継部に設けられる空気調和機の冷媒中継ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】1つの室外機と複数の室内機とが接続されるマルチタイプの空気調和機では、室外機内に設けられる室外熱交換器と複数の室内機に設けられる室内熱交換器との間で冷媒回路が形成される。室外熱交換器と室内熱交換器との間に配置される冷媒配管には、複数の室内熱交換器に冷媒を搬送するため、または各室内機間で冷房運転と暖房運転を同時に行うなどの運転状態を切り替えるために、冷媒中継ユニットを設ける場合がある。この冷媒中継ユニットが、例えば、複数の室内熱交換器に冷媒を搬送するための分岐ユニットである場合、この分岐ユニット内には、分岐部を構成する分岐配管とともに、冷媒温度を検出するためのサーミスタ、冷媒庄力を調薬するための電動弁、冷媒間の熱交換を行う気液熱交換器、サーミスタの検出する冷媒温度に基づいて電動弁を制御するための電装品などが設けられる場合がある。このような分岐配管、サーミスタ、電動弁、気液熱交換器、電装品などを備える分岐部は、ケーシング内に収納されて、分岐ユニットを構成することが一般的である。
【0003】分岐ユニット内に収納される分岐配管は、内部に冷媒が流れるため、周囲の温度よりも低くなる場合があり、このような低温部に結露を生じるおそれがある。したがって、結露した凝縮水を受けるためのドレンパンをケーシング内部に設け、ドレンパンに集まった凝縮水を外部に導出するドレン配管を設けることが一般的に行われている。
【0004】また、発泡合成樹脂などの断熱材をケーシング内部に充填することによって、結露を防止することが考えられる。この場合、断熱材が分岐配管を完企に包囲するように充填し、分岐配管の低温部が空気に触れることをなくすことにより、結露を防止している。したがって、ドレンパンやドレン配管などを設ける必要がなく、凝縮水の処理についても考慮する必要がなくなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述したような従来技術のうち、前者の場合には、冷媒中継ユニット内にドレンパンやドレン配管などを設ける必要があり、部品点数が多くなり小型化を図ることが困難である。また、ドレン配管を介して外部に導出される凝縮水の処理について考慮する必要があり、ドレン配管の排水端部をどのように配置するかが問題となってくる。
【0006】前述した従来技術のうち後者の場合には、ケーシング内部に充填される断熱材により、低圧配管に結露する凝縮水が抑制され、ドレンパンやドレン配管などの部品を省略することができる。冷媒中継ユニット内に配置される部品のうち、断熱材によって包囲されるのは低温となる部分とその部分に不可欠な部品であって、低圧配管、サーミスタ、電動弁、気液熱交換器などが含まれている。このような各部品を断熱材によって完全に覆っている場合には、これら部品を点検したり交換することが困難であり、冷媒中継ユニットを全て取り替える必要がでてくる。
【0007】複数のパーツでなる断熱材組立体をケーシング内部で接合させてケーシング内部の低圧配管を気密に包囲するように配置させることが考えられる。しかし、このような構成とした場合であっても、低圧配管や気液熱交換器などの低温部分に多少の結露を生じることは免れない。本発明では、ケーシング内部に収納される低温部を気密に包囲する断熱材の内部で凝縮水が発生しても、この凝縮水を効率よく蒸発させる構造について提案する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る空気調和機の冷媒中継ユニットは、室外機内に設けられる室外熱交換器と複数の室内機に設けられる室内熱交換器とを接続する冷媒配管の中継部に設けられる空気調和機の冷媒中継ユニットであって、冷媒配管の中継部に位置する低圧配管を内装し、室外熱交換器側の接続配管と室内熱交換器側の接続配管とが引き出されてなるケーシングと、ケーシング内の低圧配管を気密に包囲するように配置された断熱材と、断熱材内部に発生した凝縮水を蒸発させる蒸発部材とを備える。
【0009】ここで、断熱材は、内部に発生する凝縮水を蒸発部材側に案内する案内部を備える構成とすることができる。また、蒸発部材は、断熱材の外表面に取り付けられた吸水性材料とすることができる。さらに、蒸発部材は布または紙で構成することができる。
【0010】また、ケーシングは、設置された際に前後方向に位置して開口部を備えるケーシング本体と、開口部を閉止可能な蓋部材とを備える構成とすることができる。さらに、蒸発部材の近傍に位置して、凝縮水の蒸発を促進するための加熱手段をさらに備える構成とすることが可能である。また、低圧配管の圧力調整を行う電動弁と、低圧配管内の冷媒温度を検出するサーミスタと、サーミスタの温度に基づいて電動弁の制御を行う制御手段を搭載する電装品とをさらに備え、電装品が蓋部材の少なくとも一方の内方であって蒸発部材に近接して取り付けられることにより加熱手段を兼ねる構成とすることも可能である。
【0011】さらに、蒸発部材の近傍に位置して、凝縮水の蒸発を促進するための送風手段をさらに備える構成とすることもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】〔空気調和機の構成概要〕本発明に係る冷媒中継ユニットの一例として分岐ユニットを含む空気調和機の構成概要を図1に基づいて説明する。この空気調和機1は、1台の室外機2と、複数の室内機3〜5を備えている。室外機2には、室外熱交換器、圧縮機、アキュムレータ、四路切換弁などの冷媒回路の一部と、室外熱交換器内の冷媒と外気との熱交換を行うために空気流を発生させるプロペラファン、このプロペラファンを駆動するためのファンモータ、室外熱交換器内の冷媒温度を検出するためのサーミスタ、装置の制御を行うための制御回路などを内蔵している。
【0013】室内機3〜5には、それぞれ室内熱交換器、室内温度を検出するための温度センサ、室内熱交換器と室内空気との間で熱交換を行うために空気流を発生させるクロスフローファン、クロスフローファンを駆動するためのファンモータ、室外機との間で通信を行ってファンモータを制御する制御回路などを備えている。室外機2内の室外熱交換器と、室内機3〜5内の室内熱交換器とは、冷媒配管7〜10を介して接続されており、室外機側の冷媒配管7から室内機側の冷媒配管8〜10に分岐するための分岐ユニット6が設置されている。
【0014】〔分岐ユニットの概略〕分岐ユニット6の概略構成を図2に示す。室外機2から分岐ユニット6に接続される冷媒配管7は、ガス管71と液管72とから構成される。同様に、室内機3〜5と分岐ユニット6とを接続する冷媒配管8〜10も、それぞれガス管81,91,101および液管82,92,102とから構成される。ガス管71は、分岐配管61を介して各ガス管81,91,101と接続されている。
【0015】室外機2側の液管72と、室内機3〜5側の液管82〜102とは、気液熱交換ユニット62を介して接続されている。気液熱交換ユニット62は、高温冷媒液と低温冷媒ガスとの間で熱交換をするためのものであり、この気液熱交換ユニット62に冷媒を再導入するための冷媒循環路63を備えている。この冷媒循環路63には、冷房時の減圧および暖房時の冷媒分配のための電動膨張弁64,65,66が設けられている。また、室外機2側のガス管71と液管72との間には、油回収、除霜などに用いるためのバイパス用電動膨張弁67が設けられている。
【0016】また、室内機側のガス管81,91,101には、冷房時の等温制御を行い、配管の結露を防止するために内部の冷媒温度を検出するガス管サーミスタ83,93,103が設けられている。さらに、室内機側の液管82,92,102には、暖房時の等温制御を行うために内部の冷媒温度を検出する液管サーミスタ84,94,104が設けられている。
【0017】〔分岐ユニットの構造〕分岐ユニット6の分解斜視図を図3に示す。分岐ユニット6の外面は、主に前後方向に開放した長方形状のケーシング本体201と、ケーシング本体201の後面開口に取り付けられる本体蓋202と、ケーシング本体201の前面開口に取り付けられる電装品取付板203と、電装品取付板203を覆うようにケーシング本体201の前面開口に取り付けられる電装品蓋204とを備えている。電装品取付板203は、本体蓋202とほぼ同一の形状でなり、装置の制御を行うためのCPUやROM、RAM、電源回路などを搭載した回路基板208が取り付けられる。ケーシング本体201の前面開口および後面開口は略同一の形状でなり、本体蓋202、電装品取付板203および電装品蓋204をどちら側に取り付けることも可能となっている。
【0018】ケーシング本体201の一方の側面には、室外機側配管取出口205が設けられており、室外機側のガス管71および液管72がこの室外機側配管取出口205から露出した状態で配置される。また、ケーシング本体201の他方の側面には、室内機側配管取出口206が設けられており、室内機側のガス管81,91,101および室内機側の液管82,92,102がこの室内機側配管取出口206から露出した状態で配置される。
【0019】ケーシング本体201の内部には、気液熱交換ユニット62、冷媒循環路63、電動膨張弁64〜67などが配置されている。また、ここでは図示していないが、室内機側冷媒配管の近傍には、それぞれガス管サーミスタ83,93,103および液管サーミスタ84,94,104が取り付けられている。
〔断熱材〕室外機側のガス管71,液管72および室内機側のガス管81〜101,液管82〜102のケーシング本体201内部に位置する部分、気液熱交換ユニット62、冷媒循環路63、電動膨張弁64〜67、ガス管サーミスタ83〜103、液管サーミスタ84〜104などの内部部品は、図4に示すような断熱材300によってほぼ気密に密閉される。
【0020】断熱材300は、底面に位置する底面部310、上面に位置する上面部330、前後の開口に位置する蓋部340,350、一方の側面側に位置する室外機側側面部370、他方の側面側に位置する室内機側側面部390で構成されている。底面部310は、ケーシング本体201の内部底面に載置されるように長方形状でなり、上面の前側および後側に蓋部340,350を受け入れるための蓋受入部311,311が設けられている。蓋受入部311,311は、内方側において蓋部340,350の縁部分と接触する接触面が約45゜の傾斜を有する傾斜面312,312を有している。
【0021】また、底面部310上面の一方の側面側には、室外機側側面部370の下端部と接触する接触面313が形成されており、他方の側面側には、室内機側側面部390の下端部と接触する接触面314が形成されている。各接触面313,314は、約45゜の傾斜面が山形に連続された構成となっている。底面部310の内方上面は、前後面側から中央に向かって高さが低くなるとともに、側面側から中央部に向かって高さが低くなるように傾斜する凝縮水案内面316を構成している。また、底面部310の内方上面の中央部には、中央部から前面側または後面側に凝縮水を案内するための案内満315,315が設けられている。このことにより、内部に結露が発生した場合には、凝縮水案内面316により中央部分に凝縮水を案内し、集まった凝縮水を蓋受入部311,311側に案内するように構成している。
【0022】この底面部310は、ケーシング本体201の前面および後面のいずれの開口部からも着脱可能となっている。蓋部340,350は、ほぼ同一の形状であり、下端部341が底面部310の蓋受入部311に挿入可能な形状となっている。蓋部340,350の下端部341は、蓋受入部311の接触面312と密着して当接するように、約45゜の傾斜面を形成する下端縁342を有している。
【0023】蓋部340,350の内方側の縁部分は、下端縁342の他に、それぞれ側面部370,390と当接する側端縁343,344および上面部330と当接する上端縁345を有している。下端縁342、側端縁343,344および上端縁345は、いずれも内方に向けて約45゜の角度で傾斜する傾斜面を構成している。
【0024】また、蓋部340,350の側端縁343,344および上端縁345の基端側には、それぞれ側面部370,390および上面部330の縁部分を受け入れることによって気密性を高く維持するための溝部346,347,348が形成されている。蓋部340,350には、下端縁342から外面349にかけて布、紙などの吸水性材料でなる蒸発部材351,352(図6参照)が貼着されている。この蒸発部材351,352は、底面部310の凝縮水案内面316および案内溝315,315により案内される凝縮水を毛細管現象により吸い上げて、自然蒸発させるものである。
【0025】室外機側側面部370は、ケーシング本体201の前面側に位置する第1側面部371と、ケーシング本体201の後面側に位置する第2側面部372とを備えている。第1側面部371は第2側面部372との当接面に突条373を有しさらに、室外機側のガス管71および液管72を受け入れるための配管受入部374が設けられている。また、第1側面部371は、底面部310、上面部330,蓋部340と当接する面が内方に約45゜の角度で傾斜する接触面375を構成しており、接触面375の基端部には蓋部340の溝部347に嵌合する突条376を備えている。また、第1側面部371の底面は、底面部310の接触面313に当接するように、約45゜の角度で傾斜した面が連続する凹部が形成されている。
【0026】第2側面部372は、第1側面部371との接触面に、突条373を受け入れるための嵌合溝377を有し、さらに室外機側のガス管71および液管72を受け入れるための配管受入部378を備えている。また、第2側面部372は、底面部310、上面部330、蓋部350と当接する面が内方に約45゜の角度で傾斜する接触面379を構成しており、接触面379の基端部には蓋部350の溝部347に嵌合する突条380を備えている。また、第2側面部372の底面は、底面部310の接触面313に当接するように、約45゜の角度で傾斜した面が連続する凹部381が形成されている。
【0027】室内機側側面部390は、ケーシング本体201の前面側に位置する第3側面部391と、ケーシング本体201の後面側に位置する第4側面部392とを備えている。第3側面部391は第4側面部392との当接面に突条393を有しさらに、室内機側のガス管および液管を受け入れるための配管受入部394〜396が設けられている。また、第3側面部391は、底面部310、上面部330、蓋部340と当接する面が内方に約45゜の角度で傾斜する接触面397を構成しており、接触面397の基端部には蓋部340の溝部347に嵌合する突条398を備えている。また、第3側面部391の底面は、底面部310の接触面314に当接するように、約45°の角度で傾斜した面が連続する凹部が形成されている。
【0028】第4側面部392は、第3側面部391との接触面に、突条393を受け入れるための嵌合溝399を有し、さらに室内機側のガス管および液管を受け入れるための配管受入部400〜402を備えている。また、第4側面部392は、底面部310、上面部330、蓋部350と当接する面が内力に約45゜の角度で傾斜する接触面403を構成しており、接触面403の基端部には蓋部350の溝部347に嵌合する突条404を備えている。また、第4側面部392の底面は、底面部310の接触面314に当接するように、約45゜の角度で傾斜した面が連続する凹部405が形成されている。
【0029】上面部330は長方形状であり、縁部分の下面側には内方に向けて約45゜の角度で傾斜する傾斜面が形成されており、傾斜面の前側および後側の基端部には蓋部340,350の溝部348に嵌合可能な突条331,332が形成されている。
〔断熱材の装着〕断熱材300をケーシング本体201内に装着する場合には、まず、第3側面部391の配管受入部394〜396と第4側面部392の配管受入部400〜402によって室内機側のガス管81,91,101および液管82,92,102を挟み込むとともに、ケーシング本体201の室内機側配管取出口206に突出部分を位置させる。このとき、第3側面部391の突条393が第4側面部392の嵌合溝399に嵌合する。
【0030】次に、第1側面部371の配管受入部374と第2側面部372の配管受入部378によって室外機側のガス管71および液管72を挟み込むように取り付ける。このとき、第1側面部371の突条373が第2側面部372の嵌合溝377に嵌合する。底面部310の接触面313,314が、それぞれ室外機側側面部370の凹部および室内機側側面部390の川部に当接するように、ケーシング本体201の前面開口または後面開口から挿入する。さらに、上面部330の側方に位置する傾斜面が、室外機側側面部370の接触面375,379の上面部分、室内機側側面部390の接触面397,403の上面部分と当接するように、ケーシング本体201の前面開口または後面開口から挿入する。
【0031】次に、蓋部350をケーシング本体201の後面開口から挿入し、蓋部350の下端部分を底面部310の蓋受入部311内に挿入する。このとき、蓋部350の下端縁342が底面部310の傾斜面312に当接し、上端縁345が上面部330の縁部分下面側に当接するとともに、溝部348に上面部320の突条332を受け入れて嵌合する。さらに、蓋部350の側端縁343は室外機側側面部370の接触面379の後面側と当接し、側端縁344は室内機側側面部390の接触面403の後面側と当接するとともに、溝部346,347がそれぞれ室外機側側面部370の突条380および室内機側側面部390の突条404を受け入れて嵌合状態となる。
【0032】さらに、蓋部340をケーシング本体201の前面開口から挿入し、下端部分を底面部310の蓋受入部311内に挿入して、蓋部350と同様に装着する。このとき、蓋部340下端縁342が底面部310の傾斜面312に当接し、上端縁345が上面部330の縁部分下面側に当接し、側端縁343が室外機側側面部370の接触面375の前面側と当接し、側端縁344が室内機側側面部390の接触面397の前面側と当接する。また、各溝部346,347,348が、それぞれ室内機側側面部370の突条376、室内機側側面部390の突条398、上面部330の突条331を受け入れて嵌合状態となる。
【0033】このようにして組み立てられた断熱材300は、図5〜図7に示すように、各部材の当接面が約45゜の角度で当接しており、各突条と溝部分とが嵌合して気密性を維持している。詳しくは、図5に示すように、底面部310の接触面313,314がそれぞれ室外機側側面部370の凹部381、室内機側側面部390の凹部405と当接し、上面部330の接触面333,334が室外機側側面部370の接触面375,379および室内機側側面部390の接触面397,403と当接している。
【0034】また、図6に示すように、底面部310の接触面312,312が蓋部340,350の下端縁342に当接し、上面部330の接触面335,336が蓋部340,350の345に当接している。また、底面部310の蓋受入部311,311に蓋部340,350の下端部341を受け入れ、蓋部340,350の溝部348に上面部330の突条331,332を受け入れてそれぞれ嵌合状態となっている。
【0035】さらに、図7に示すように、第1側面部371の突条373が第2側面部372の嵌合溝377に嵌合しており、第3側面部391の突条393が第4側面部392の嵌合溝399に嵌合している。また、蓋部340,350の側端縁343が室外機側側面部370の接触面375,379と当接しており、側端縁344が室内機側側面部390の接触面397,403と当接している。さらに、室外機側側面部370の突条376,380が蓋部340,350の溝部346に嵌合しており、室内機側側面部390の突条398,404が蓋部340,350の溝部347に嵌合している。
【0036】このようにして、各部の当接面は約45゜の角度で内方に傾斜する傾斜面を構成しており、寸法精度を高くすることなく気密を維持することができるとともに、外気温の上昇・降下に伴う膨張・収縮があっても気密性を損なうことがない。また、各突条と溝部によるラップ構造を備えていることから、より気密性を高く保つことができ、内部に配置される配管内の冷媒温度と外気温との差に基づく結露を極力抑えることができる。
【0037】また、図6に示すように、蓋部340の下端部の底面部310との当接面近傍にシール材501を取り付けることも可能である。シール材501は、スポンジ、その他の合成樹脂材料を用いることが可能である。このシール材501により蓋部340と底面部310との間の当接部において気密性を高く維持することが可能である。他の当接面においても、同様のシール材を設けることが可能であり、この場合には、各当接部における気密性を高く維持することが可能となる。
【0038】〔分岐ユニットの設置〕ケーシング本体201内に、気液熱交換ユニット62、冷媒循環路63、電動膨張弁64〜67、ガス管サーミスタ83,93,103、液管サーミスタ84,94,104などを設置し、これらの部品を取り囲むように断熱材300を装着した後、図3に示すような本体蓋202、電装品取付板203および電装品蓋204を取り付ける。
【0039】本体蓋202は、ケーシング本体201の後面開口に嵌合可能な形状となっており、この後面開口にはめ込んだ後、ケーシング本体201の側面方向からビス251,252によって固定される、電装品取付蓋203は、本体蓋202とほぼ同一-の形状であり、ケーシング本体201の前面開口に可能可能な形状となっている。この電装品取付蓋203をケーシング本体201の前面開口にはめ込んで、ケーシング本体201の側方からビス(図示せず)によって固定する。電装品取付蓋203の前面には、さらに電装品蓋204が配置され、ビス止めなどにより固定される。
【0040】ケーシング本体201の上面には、両側面に突出する取付片231,232が設けられている。この取付片231,232には、それぞれ壁掛金具271,272がビス273,274によって取り付けられる。ケーシング本体201の下面には、取付片231,232と同様に両側面に突出する取付片233,234が設けられている。この取付片233,234には、それぞれ壁掛金具275,276が、ビス277,278,279,280によって取り付けられる。
【0041】壁掛金具271,272,275,276はいずれも同様の構成であり、このうち壁掛金具271について図3および図6に基づいて説明する。壁掛金具271は、ケーシング本体201の取付片231に取り付けられる水平片281と、水平片281の後面側で直角に折曲された垂直片282とを備えている。垂直片282には、壁などにビスなどで取り付けるための係止孔283が設けられている。
【0042】この壁掛金具271は、垂直片282が、ケーシング本体201の所定位置に取り付けられた本体蓋202から所定の距離だけ離間するように取付片231に取付られる。同様にして、壁掛金具272,275,276の各垂直片が、本体蓋202から所定の距離だけ離間して各取付片232,233,234に取り付けられている。このことにより、各壁掛金具271,272,275,276の垂直片に設けられている係止孔を利用して壁面などに固定することによって、本体蓋202が壁面から所定距離だけ離間するように、分岐ユニット6を取り付けることが可能となる。
【0043】〔メンテナンス処理および断熱材の取り外し〕サーミスタや電動弁などの内部部品の取り替えなどのメンテナンス処理を行う際には、ろう付けなどの加熱作業を伴う場合がある。この場合には、内部に配置した断熱材300を損傷させることがないように、取り外す必要がある。このような場合には、電装品蓋204および電装品取付板203を取り外し、さらに、後面開口に装着されている本体蓋202を取り外す。本体蓋202は、側面方向から251,252によってビス止めされているため、このビス251,252を外すことにより、後面側に引き出すことが可能となる。分岐ユニット6が後面側の壁面と所定の距離だけ離間して配置されているため、この間隙を利用して本体蓋202を後面側に引き出し、さらに側面側にスライドさせることにより後面側開口を開放状態とすることが可能となる。
【0044】この後、断熱材300のうち、蓋部340、底面部310、上面部330,第1側面部371、第3側面部391を前面開口より引き出す。また、蓋部350、第2側面部372、第4側面部392を後面開口より引き出す。この場合にも、分岐ユニット6が後面側の壁面と所定の距離だけ離間して配置されているため、蓋部350、第2側面部372、第4側面部392を後面側に引き出し、側面側にスライドさせることにより取り外すことが可能となる。
【0045】メンテナンス作業が終了した後は、前述と同様の手順で断熱材300を装着し、本体蓋202,電装品取付板203、電装品蓋204を取り付ける。
〔ドレイン処理〕分岐ユニット6の内部は、断熱材300により気密性を維持しているが、真空状態ではないため、冷媒配管内の冷媒との温度差により多少の結露が発生するおそれがある。この内部に発生した凝縮水を自然蒸発によって処理する構成を図5,図6に基づいて説明する。
【0046】まず、分岐配管61と接続される室内機側のガス管81,91,101は、内方に向けて約5゜の角度で傾斜している。このことにより、ガス管81,91,101に結露があった場合には内方側に凝縮水が流れ、中央部に凝縮水が集まるうように構成されている。また、断熱材300の底面部310の上面は、中央部に向けて約3゜の勾配で傾斜する凝縮水案内面316を構成している。また、中央部には集まった凝縮水を前後方向に案内する案内溝315,315が形成されている。さらに、底面部310の上面中央部には、前後方向にわたって紙、布などの親水性シート317が貼着されている。この親水性シート317は、中央部に集まった凝縮水を毛細管現象を利用して前後方向に案内するものである。
【0047】さらに、蓋部340,350には、下端縁342から外面349にかけて布、紙などの多孔質吸水材料でなる蒸発部材351,352が貼着されている。この蒸発部材351,352は、底面部310の凝縮水案内面316、案内溝315,315および親水性シート317により案内される凝縮水を毛細管現象により吸い上げて、自然蒸発させるものである。
【0048】本体蓋202および電装品取付蓋203には、外面を等間隔で切り欠いて外方斜め方向に折曲した鎧窓291,292が設けられている。このことにより、室内機側のガス管81,91,101に結露した凝縮水は、配管の勾配によって内部側に案内され、断熱材300の底面部310の凝縮水案内面316上に集まる。また、その他の部位に結露した凝縮水も、断熱材300の底面部310の凝縮水案内面316上にに案内されて中央部に集められる。
【0049】底面部310の中央部に集められた凝縮水は、案内溝315,315および親水性シート317によって前後方向の蓋受入部311,311に案内される。蓋部340,350の下端縁には蒸発部材351,352の一部が位置しており、蓋受入部311,311に案内された凝縮水は、この蒸発部材351,352に当接し、毛細管現象により外面側に吸い上げられる。
【0050】ここで、前面側の蓋部340は、前面に電装品取付板203が配置されており、電装品取付板203に取り付けられている回路基板208で発生する熱によって、蒸発部材351に吸い上げられた凝縮水が蒸発されることとなる。また、後面側の蓋部350に取り付けられている蒸発部材352に吸い上げられた凝縮水は、鎧窓292を介して外気と接触して自然蒸発することとなる。
【0051】このようにして、分岐ユニット6内部に発生した凝縮水は、自然蒸発によって処理されることとなり、ドレンパンやドレイン水を外部に排水するための配管を設置する必要がない。また、本体蓋202および電装品取付板203には鎧窓291,292が設けられているため、外部からほこりが侵入することを防止することができる。
【0052】本体蓋202および電装品取付板203の内面にフィルタを取り付けて、外部からのほこりや薬品などが侵入することを防止するように構成することも可能である。
〔他の実施形態〕上述の実施形態では、分岐ユニットについて説明したが、室内機と室外機との中間に設置されるその他の冷媒中継ユニットについても、同様の構成とすることが可能である。
【0053】また、実施形態では、ケーシングの形状が直方体形状のものについて説明したが、この形状に限定されるものではなく、立方体形状、円筒形状、直線と曲線とが混在するような断面形状のものなどについても同様の構成を適用することが可能である。断熱材300の蓋部340,350に貼着された蒸発部材351,352に対して、凝縮水の蒸発を促進するために送風を行うファンを設けることも可能である。
【0054】
【発明の効果】本発明では、ケーシング内部に収納される低温部を気密に包囲する断熱材の内部で凝縮水が発生しても、この凝縮水を効率よく蒸発させることができ、排水処理のための配管をなくすことができる。
【0055】
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の1実施形態が採用される空気調和機の外観構成を示す斜視図。
【0057】
【図2】分岐ユニットの概略構成図。
【0058】
【図3】分岐ユニットの分解斜視図。
【0059】
【図4】断熱材の分解斜視図。
【0060】
【図5】分岐ユニットの縦断面図。
【0061】
【図6】分岐ユニットの縦断面図。
【0062】
【図7】分岐ユニットの縦断面図。
【0063】
【符号の説明】
6 分岐ユニット
201 ケーシング本体
202 本体蓋
203 電装品取付板
291 鎧窓
292 鎧窓
310 底面部
330 上面部
340 蓋部
350 蓋部
351 蒸発部材
352 蒸発部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】室外機内に設けられる室外熱交換器と複数の室内機に設けられる室内熱交換器とを接続する冷媒配管の中継部に設けられる空気調和機の冷媒中継ユニット(6)であって、前記冷媒配管の中継部に位置する低圧配管を内装し、前記室外熱交換器側の接続配管(71,72)と前記室内熱交換器側の接続配管(81,82,91,92,101,102)とが引き出されてなるケーシングと、前記ケーシング内の低圧配管を気密に包囲するように配置された断熱材(300)と、前記断熱材(300)内部に発生した凝縮水を蒸発させる蒸発部材(351,352)と、を備える空気調和機の冷媒中継ユニット。
【請求項2】前記断熱材(300)は、内部に発生する凝縮水を前記蒸発部材(351,352)側に案内する案内部(316,315)を備える、請求項1に記載の空気調和機の冷媒中継ユニット。
【請求項3】前記蒸発部材(351,352)は、前記断熱材(340,350)の外表面に取り付けられた吸水性材料である、請求項1または2に記載の空気調和機の冷媒中継ユニット。
【請求項4】前記蒸発部材(351,352)は布または紙で構成される、請求項3に記載の空気調和機の冷媒中継ユニット。
【請求項5】前記ケーシングは、設置された際に前後方向に位置して開口部を備えるケーシング本体(201)と、前記開口部を閉止可能な蓋部材(202,203)とを備える、請求項1〜4のいずれかに記載の空気調和機の冷媒中継ユニット。
【請求項6】前記蒸発部材(351,352)の近傍に位置して、凝縮水の蒸発を促進するための加熱手段をさらに備える、請求項1〜5のいずれかに記載の空気調和機の冷媒中継ユニット。
【請求項7】前記低圧配管の圧力調整を行う電動弁(64,65,66,67)と、前記低圧配管内の冷媒温度を検出するサーミスタ(83,84,93,94,103,104)と、前記サーミスタ(83,84,93,94,103,104)の温度に基づいて前記電動弁(64,65,66,67)の制御を行う制御手段を搭載する電装品(208)とをさらに備え、前記電装品(208)が前記蓋部材(203)の少なくとも一方の内方であって前記蒸発部材(351)に近接して取り付けられることにより前記加熱手段を兼ねる、請求項6に記載の空気調和機の冷媒中継ユニット。
【請求項8】前記蒸発部材(351,352)の近傍に位置して、凝縮水の蒸発を促進するための送風手段をさらに備える、請求項1〜7のいずれかに記載の空気調和機の冷媒中継ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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