説明

空気調和機の室内機及びそれを備えた空気調和機

【課題】ファンモーターが熱交換器の1次側及び2次側のいずれの位置に配置されても、ファンモーターへの駆動回路基板の内蔵を可能とする空気調和機の室内機及びそれを備えた空気調和機を得る。
【解決手段】インバーター駆動回路基板7に実装されたパワーIC8は、ワイドバンドギャップ半導体であるSiC(シリコンカーバイド)によって形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室内機及びそれを備えた空気調和機に関し、特に、耐熱性に優れたファンモーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、天井埋込形空気調和機において、ファンモーターは直流又は交流に関わらず、インバーターによって制御されていることが多い。ここで、インバーター駆動回路基板がファンモーターに内蔵されている場合、パワーICの温度上昇の限界がファンモーターの運転限界となる。また、ファンが例えば、熱交換器の2次側に配置された構造(熱交換器を通過した空気を吸い込む構造)となっている室内機においては、暖房運転時にファンモーターの周囲温度が高くなり、ファンモーターの保護機能を必要とする場合がある。
【0003】
そのため、インバーター駆動のファンモーターを採用する際、上記の暖房運転時における問題を考慮し、従来からファンモーターは熱交換器の1次側に配置して問題解決を図っている。また、このようなインバーターの主回路には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)モジュール又はMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスターモジュール等のパワーモジュールが用いられている。このようなパワーモジュールの飽和熱抵抗を低減する技術として、熱伝導性に優れたAlN(窒化アルミニウム)基板とチップとをリードフレームを介して密着させ、モールドする構造とすることによって、パワーモジュールの飽和熱抵抗の低減を図るものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
さらに、将来、冷媒が変わり、凝縮温度が高くなれば、ますます暖房運転時におけるファンモーター周囲温度は高くなり、ファンモーター及び駆動回路の耐熱及び排熱設計が重要となってくる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−43204号公報(第3−4頁、図21)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のように、ファンモーターの保護機能の観点から、ファンモーターを熱交換器の1次側に配置させるものとしており、この場合、ファンモーターの周囲温度は常温の空気になるため、パワーICの温度上昇への影響は小さい。しかしながら、出力の高い(例えば、400[W]以上)ファンモーターにインバーター駆動回路を内蔵した場合、常温雰囲気でも、部品温度は上昇して設計限界に達し、インバーター駆動回路基板を内蔵できなくなるという問題点があった。
【0007】
また、上記のような場合、インバーター駆動回路基板を内蔵できなくなるので、空気調和機の室内機の制御箱に、電源基板又は制御基板等と共に、インバーター駆動回路基板を配置する必要があり、制御箱はこのインバーター駆動回路基板分の面積がさらに必要となるので、制御箱が大きくなり、ひいては室内機自体のサイズが大きくなるという問題点もあった。
【0008】
さらに、ファンモーターを熱交換器の2次側に配置した空気調和機の室内機の場合、ファンで負圧となった風路に熱交換器が配置され風が流れるため、通過する風は風速分布が均一となる。しかしながら、暖房運転時には、ファンモーターの周囲温度が高くなるため、ファンモーターの放熱がしにくく、インバーター駆動回路基板をファンモーターに内蔵できなくなるという問題点もあった。この場合、内蔵されたインバーター駆動回路基板及びモーター巻線を冷却するためにモーターの外郭に放熱穴を持つことも一般的になされているが、火災安全の信頼性が下がるという問題点がある。
【0009】
本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたものであり、ファンモーターが熱交換器の1次側及び2次側のいずれの位置に配置されても、ファンモーターへのインバーター駆動回路基板の内蔵を可能とする空気調和機の室内機及びそれを備えた空気調和機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る空気調和機の室内機は、吸込口及び吹出口を有した本体と、内部を流れる冷媒と、前記吸込口から吸い込まれた空調対象空間の空気との熱交換を実施して空調空気を生成する熱交換器と、回転動作によって、前記吸込口から前記空調対象空間の空気を前記本体内部に吸い込ませて前記熱交換器に送り込み、該熱交換器によって生成された前記空調空気を前記吹出口から吹き出させるファンと、該ファンを回転動作させるファンモーターと、該ファンモーターをインバーター制御し、実装されているパワーICがワイドバンドギャップ半導体によって形成されたインバーター駆動回路基板と、を備え、該インバーター駆動回路基板は、前記ファンモーターに内蔵されたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、パワーICをワイドバンドギャップ半導体で形成することによって、例えば、Si等で形成するよりも耐熱性が向上するので、ファンモーターの発熱に対する耐性が向上し、ファンモーターに、インバーター駆動回路基板を内蔵することが可能となる。また、インバーター駆動回路基板をファンモーターに内蔵する場合、インバーター駆動回路基板を室内機用の制御箱内に配置する必要がないので、制御箱をコンパクトにすることができる。ひいては、制御箱のコンパクト化によって、本体の熱交換器が設置された部分側に侵食することがないように、ファン及びファンモーターが設置された部分に設置することが可能となり、また、そのファン及びファンモーターが設置された部分のサイズを小さくすることができるので室内機自体のサイズもコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機101の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る空気調和機の室内機101aの概略構成図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係る空気調和機の冷媒回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
(室内機101の構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機101の概略構成図である。このうち、図1(a)は、室内機101の側面図であり、図1(b)は、室内機101の平面図である。本実施の形態において、空気調和機の室内機101は、天井埋め込み型室内機を例として説明する。
図1で示されるように、室内機101の本体はファンセクション11及び熱交換器セクション12によって構成されている。ファンセクション11は、吸込口1、ファンモーター3、ファン4及び制御箱6を備えている。また、熱交換器セクション12は、吹出口2及び熱交換器5を備えている。この天井埋め込み型室内機である室内機101のサイズとしては、例えば、高さ300[mm]、幅1500[mm](図1(b)における上下方向の寸法)、奥行き700[mm](図1(b)における左右方向の寸法)とする。そして、この奥行き700[mm]のうち、例えば、ファンセクション11部分の奥行き寸法は300[mm]、熱交換器セクション12部分の奥行き寸法は400[mm]とする。
【0014】
吸込口1は、ファンセクション11において、熱交換器セクション12との隣接面と対向する側面に形成されたものであり、後述するファン4の回転動作によって、室内機101の本体内部に室内空気が吸い込まれる部分である。
【0015】
吹出口2は、熱交換器セクション12において、ファンセクション11との隣接面と対向する側面に形成されたものであり、後述するように、熱交換器セクション12によって熱交換された空調空気を外部に排出するものである。
【0016】
ファンモーター3は、インバーター制御によってモーター軸3aを回転駆動させるものである。このファンモーター3には、インバーター制御をするためのインバーター駆動回路基板7が内蔵されている。また、モーター軸3aは、後述するように、ファンモーター3の両側に配置されているそれぞれの各ファン4へ向かって延設されている。また、ファンモーター3の外郭にはヒートシンク9が当接して設置されており、ファンモーター3から発生した熱を外部に放熱する機能を奏する。
【0017】
ファン4は、ファンモーター3の両側のモーター軸3aにそれぞれ連結されており、モーター軸3aの回転駆動によって、回転動作するものである。このファン4の回転動作によって、吸込口1から室内空気が本体内部に吸い込まれ、その室内空気はファン4を介して熱交換器5へ向かって送り込まれ、そして、後述するように熱交換器5によって熱交換された空調空気が吹出口2から吹き出される。すなわち、室内機101は、ファン4が熱交換器5の1次側に配置された構成となっている。
なお、図1(b)で示されるように、ファンモーター3の両側それぞれにファン4が配置される構成、すなわち、ファン4が2つ配置された構成としているが、これに限定されるものではなく、片側のみにファン4が配置されるものとしてもよい。この場合、1つのファン4によって熱交換器5の全域に室内空気が送り込まれるように、例えば、ファン4はラインフローファン等によって構成されるものとすればよい。
【0018】
熱交換器5は、その内部を流れる冷媒と、ファン4の回転動作によって室内機101内部に吸い込まれた室内空気との熱交換を実施するものである。具体的には、暖房運転時には、室外機の圧縮機(図示せず)によって圧縮された高温高圧の冷媒によって室内空気は加熱され、温風となって吹出口2から吹き出される。一方、冷房運転時には、膨張装置(図示しておらず、室内機又は室外機のいずれに設置してもよい)によって膨張及び減圧された低温低圧の冷媒によって室内空気は冷却され、冷風となって吹出口2から吹き出される。
【0019】
制御箱6は、ファンセクション11のいずれかの側面、上面又は下面(図1(b)においては、下部の側面に取り付けられた構成を例示している)に取り付けられ、内部に空気調和機の動作に必要な電源基板及び制御基板等の電気部品等を配置したものである。なお、制御箱6は、熱交換器セクション12側に侵食しないように取り付けられている。これは、一般的に、例えば冷房運転を実施している場合、熱交換器セクション12において熱交換器5の表面には水滴が結露するので、内部に電気部品が配置された制御箱6を熱交換器セクション12側に設置するのを回避するのが望ましいからである。
本実施の形態においては、インバーター駆動回路基板7のファンモーター3への内蔵により、制御箱6のサイズを小さくすることができるので、インバーター駆動回路基板7を制御箱6に設置することで制御箱6のサイズが大きくなることによって制御箱6の設置位置が熱交換器セクション12側に侵食することを防止することができる。
【0020】
インバーター駆動回路基板7は、前述のように、ファンモーター3に内蔵され、このファンモーター3をインバーター制御するものである。具体的には、インバーター駆動回路基板7の基板面が、モーター軸3aと略垂直となるように内蔵され、その基板にはモーター軸3aが貫通する開口部が形成されている。このインバーター駆動回路基板7の実装面には、パワーIC8等の電子部品が実装されている。このパワーIC8は、ワイドバンドギャップ半導体であるSiC(シリコンカーバイド)によって形成されている。また、このインバーター駆動回路基板7の実装面は、ファンモーター3のローター及びステーター等の発熱部からの影響を小さくするため、ステーター及びローター側とは反対側に向くように配置されるのが望ましい。そして、インバーター駆動回路基板7は、ファンモーター3本体の外郭を形成する不飽和ポリエステル等の樹脂材料によってモールドされることにより、ファンモーター3に内蔵される態様となっている。
【0021】
ヒートシンク9は、前述のように、ファンモーター3の外郭に当接して設置されているが、インバーター駆動回路基板7に近接して配置されるように、インバーター駆動回路基板7を樹脂材料によってモールドした部分に設置されている。これによって、パワーIC8等の電子部品から発生した熱が、モールドした樹脂材料を介してヒートシンク9に伝達し、外部に放熱される。また、このヒートシンク9についても、SiCによって形成されている。
【0022】
なお、パワーIC8及びヒートシンク9は、ワイドバンドギャップ半導体の一種であるSiCによって形成されているものとしているが、これに限定されるものではなく、その他のワイドバンドギャップ半導体であるGaN(窒化ガリウム)、ダイヤモンド、又は、SiC、GaN若しくはダイヤモンドの組み合わせによって形成されるものとしてもよい。
【0023】
(実施の形態1の効果)
以上の構成のように、パワーIC8をSiC等のワイドバンドギャップ半導体で形成することによって、例えば、Si等で形成するよりも耐熱性が向上するので、ファンモーター3の発熱に対する耐性が向上する。また、ヒートシンク9をSiC等のワイドバンドギャップ半導体で形成することによって、例えば、アルミニウム等で形成したものよりも熱伝導率が向上するので、ファンモーター3が発生する熱を効率よく外部に放熱することができる。以上のような効果を有することにより、出力の大きいファンモーター3(例えば、400[W]以上のモーター)に、インバーター駆動回路基板7を内蔵することが可能となる。さらに、インバーター駆動回路基板7をファンモーター3に内蔵する場合、インバーター駆動回路基板7を制御箱6内に配置する必要がないので、制御箱6をコンパクトにすることができる。ひいては、制御箱6のコンパクト化によって、熱交換器セクション12側に侵食することがないようにファンセクション11に設置することが可能となり、また、ファンセクション11のサイズを小さくすることができるので室内機101自体のサイズもコンパクトにすることができる。
【0024】
また、インバーター駆動回路基板7は、その基板面がモーター軸3aと略垂直となるように内蔵されているので、ファンモーター3の体積の増加を抑制することができる。
【0025】
なお、前述のように、室内機101を天井埋め込み型室内機として説明したのは例示であり、これに限定されるものではなく、家庭用等の通常の空気調和機における室内機であってもよい。
【0026】
また、SiC等のワイドバンドギャップ半導体によって形成されたヒートシンク9を備える構成としたが、これに限定されるものではなく、ファンモーター3の出力等のスペックによって高い水準の放熱性能が求められない場合は、ワイドバンドギャップ半導体ではなく通常のアルミニウム製等によって形成されたヒートシンク9を備えるものとしてもよい。また、ヒートシンク9による放熱性能が求められないファンモーター3であれば、ヒートシンク9を備えないものとしてもよい。
【0027】
実施の形態2.
本実施の形態に係る空気調和機の室内機101aについて、実施の形態1に係る空気調和機の室内機101と相違する点を中心に説明する。実施の形態1においては、ファン4が熱交換器5の1次側に配置された構成について説明したが、本実施の形態においては、ファン4が熱交換器5の2次側に配置された構成について説明する。
【0028】
(室内機101aの構成)
図2は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機の室内機101aの概略構成図である。このうち、図2(a)は、室内機101aの側面図であり、図2(b)は、室内機101aの平面図である。本実施の形態において、空気調和機の室内機101aは、天井埋め込み型室内機を例として説明する。
図2で示されるように、室内機101aの本体はファンセクション11及び熱交換器セクション12によって構成されている。ファンセクション11は、吹出口2、ファンモーター3、ファン4及び制御箱6を備えている。また、熱交換器セクション12は、吸込口1及び熱交換器5を備えている。この天井埋め込み型室内機の室内機101aのサイズとしては、例えば、高さ400[mm]、幅1200[mm](図2(b)における上下方向の寸法)、奥行き600[mm](図2(b)における左右方向の寸法)とする。そして、この奥行き600[mm]のうち、例えば、ファンセクション11部分の奥行き寸法は300[mm]、熱交換器セクション12部分の奥行き寸法は300[mm]とする。
【0029】
吸込口1は、熱交換器セクション12において、ファンセクション11との隣接面と対向する側面に形成されたものであり、後述するファン4の回転動作によって、室内機101aの本体内部に室内空気が吸い込まれる部分である。
【0030】
吹出口2は、ファンセクション11において、熱交換器セクション12との隣接面と対向する側面に形成されたものであり、後述するように、熱交換器セクション12によって熱交換された空調空気を、ファン4を介して外部に排出するものである。
【0031】
ファン4は、ファンモーター3の両側のモーター軸3aにそれぞれ連結されており、モーター軸3aの回転駆動によって、回転動作するものである。このファン4の回転動作によって、吸込口1から室内空気が本体内部に吸い込まれ、その室内空気は熱交換器5へ向かい、後述するように熱交換器5によって熱交換されて空調空気となり、そして、ファン4を介して吹出口2から吹き出される。すなわち、室内機101aは、ファン4が熱交換器5の2次側に配置された構成となっている。
【0032】
その他、ファンモーター3、熱交換器5、制御箱6、インバーター駆動回路基板7及びヒートシンク9の構成は、実施の形態1における構成と同様である。
【0033】
(実施の形態2の効果)
以上の構成のように、ファン4を熱交換器5の2次側に配置した構成とすることによって、暖房運転時の場合、ファンモーター3の周囲温度が高くなるが、実施の形態1において述べたのと同様に、パワーIC8及びヒートシンク9をSiC等のワイドバンドギャップ半導体で形成することによって、耐熱性及び放熱性が向上するので、ファンモーター3に、インバーター駆動回路基板7を内蔵することが可能となる。さらに、インバーター駆動回路基板7をファンモーター3に内蔵する場合、インバーター駆動回路基板7を制御箱6内に配置する必要がないので、制御箱6をコンパクトにすることができる。ひいては、制御箱6のコンパクト化によって、熱交換器セクション12側に侵食することがないように設置することが可能となり、また、ファンセクション11のサイズを小さくすることができるので室内機101a自体のサイズもコンパクトにすることができる。
【0034】
実施の形態3.
本実施の形態に係る空気調和機において、実施の形態1に係る空気調和機の室内機101を備えた場合について説明する。
【0035】
(空気調和機の構成)
図3は、本発明の実施の形態3に係る空気調和機の冷媒回路図である。
本実施の形態に係る空気調和機は、室内機101及び室外機102によって構成されている。この室内機101は、実施の形態1に係る室内機101と同様のものである。
【0036】
室内機101は、実施の形態1において説明したように、ファン4及び熱交換器5を備えている。室外機102は、少なくとも、圧縮機21、四方弁22、室外機用ファン23、室外熱交換器24及び膨張装置25を備えている。そして、圧縮機21、四方弁22、室外熱交換器24、膨張装置25、熱交換器5、四方弁22、そして圧縮機21の順で冷媒配管によって接続され、冷媒回路が構成されている。
【0037】
圧縮機21は、低温低圧のガス冷媒を吸入して圧縮し、高温高圧の冷媒にして吐出するものである。
【0038】
四方弁22は、圧縮機21から吐出された高温高圧の冷媒の冷媒流路を切り替えるものである。暖房運転の場合、四方弁22は、圧縮機21から吐出された冷媒を熱交換器5に流れるように、そして、室外熱交換器24から流出した低温低圧のガス冷媒を圧縮機21に吸入されるように冷媒流路を切り替える。一方、冷房運転の場合、四方弁22は、圧縮機21から吐出された冷媒を室外熱交換器24に流れるように、そして、熱交換器5から流出した低温低圧のガス冷媒を圧縮機21に吸入されるように冷媒流路を切り替える。
【0039】
室外機用ファン23は、モーターによる回転動作によって、熱交換器5に外気を送り込むものである。
【0040】
室外熱交換器24は、その内部を流れる冷媒と、室外機用ファン23の回転動作によって室外機102内部に吸い込まれた外気との熱交換を実施するものである。
【0041】
膨張装置25は、流入してきた冷媒を膨張させて減圧し、低温低圧の気液二相冷媒として流出させるものである。
【0042】
室内機101におけるファン4及び熱交換器5の機能は、実施の形態1において説明した通りである。
【0043】
(空気調和機の暖房運転動作)
次に、図3を参照しながら本実施の形態に係る空気調和機の暖房運転動作の説明をする。
圧縮機21によって圧縮され吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁22を経由して、熱交換器5へ流入する。この熱交換器5に流入したガス冷媒は、ファン4の回転動作によって送られてくる室内空気と熱交換が実施されて凝縮し、低温の冷媒となって、熱交換器5から流出する。このとき、冷媒から吸熱して加熱された室内空気は、空調空気(温風)となって、室内機101の吹出口(図3において図示せず)から室内(空調対象空間)に吹き出される。熱交換器5から流出した冷媒は、膨張装置25に流れ込み、この膨張装置25によって膨張及び減圧され、低温低圧の気液二相冷媒となる。この気液二相冷媒は、室外熱交換器24に流入し、室外機用ファン23の回転動作によって送られてくる外気と熱交換が実施されて蒸発し、低温低圧のガス冷媒となって室外熱交換器24から流出する。この室外熱交換器24から流出したガス冷媒は、四方弁22を経由して圧縮機21に流入し、再び圧縮される。以上の動作が繰り返される。
【0044】
(空気調和機の冷房運転動作)
次に、図3を参照しながら本実施の形態に係る空気調和機の冷房運転動作の説明をする。
圧縮機21によって圧縮され吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁22を経由して、室外熱交換器24へ流入する。この室外熱交換器24に流入したガス冷媒は、室外機用ファン23の回転動作によって送られてくる外気と熱交換が実施されて凝縮し、低温の冷媒となって、室外熱交換器24から流出する。室外熱交換器24から流出した冷媒は、膨張装置25に流れ込み、この膨張装置25によって膨張及び減圧され、低温低圧の気液二相冷媒となる。この気液二相冷媒は、熱交換器5に流入し、ファン4の回転動作によって送られてくる室内空気と熱交換が実施されて蒸発し、低温低圧のガス冷媒となって熱交換器5から流出する。このとき、冷媒に吸熱されて冷却された室内空気は、空調空気(冷風)となって、室内機101の吹出口から室内(空調対象空間)に吹き出される。この熱交換器5から流出したガス冷媒は、四方弁22を経由して圧縮機21に流入し、再び圧縮される。以上の動作が繰り返される。
【0045】
(実施の形態3の効果)
以上の構成のように、空気調和機が実施の形態1に係る室内機101を備えることによって、実施の形態1の効果を有する空気調和機を得ることができる。
【0046】
なお、本実施の形態に係る空気調和機は、実施の形態1に係る室内機101を備えるものとしたが、これに限定されるものではなく、実施の形態2に係る室内機101aを備えるものとしてもよい。この場合、実施の形態2の効果を有する空気調和機を得ることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 吸込口、2 吹出口、3 ファンモーター、3a モーター軸、4 ファン、5 熱交換器、6 制御箱、7 インバーター駆動回路基板、8 パワーIC、9 ヒートシンク、11 ファンセクション、12 熱交換器セクション、21 圧縮機、22 四方弁、23 室外機用ファン、24 室外熱交換器、25 膨張装置、101、101a 室内機、102 室外機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口及び吹出口を有した本体と、
内部を流れる冷媒と、前記吸込口から吸い込まれた空調対象空間の空気との熱交換を実施して空調空気を生成する熱交換器と、
回転動作によって、前記吸込口から前記空調対象空間の空気を前記本体内部に吸い込ませて前記熱交換器に送り込み、該熱交換器によって生成された前記空調空気を前記吹出口から吹き出させるファンと、
該ファンを回転動作させるファンモーターと、
該ファンモーターをインバーター制御し、実装されているパワーICがワイドバンドギャップ半導体によって形成されたインバーター駆動回路基板と、
を備え、
該インバーター駆動回路基板は、前記ファンモーターに内蔵された
ことを特徴とする空気調和機の室内機。
【請求項2】
前記ファンモーターに内蔵された前記インバーター駆動回路基板に近接するように、前記ファンモーターの外郭に当接して設置され、前記ファンモーターから発生する熱を外部に放熱するヒートシンクを備えた
ことを特徴とする請求項1記載の空気調和機の室内機。
【請求項3】
前記ヒートシンクは、ワイドバンドギャップ半導体によって形成された
ことを特徴とする請求項2記載の空気調和機の室内機。
【請求項4】
前記ワイドバンドギャップ半導体は、SiC、GaN若しくはダイヤモンド、又は、これらの組み合わせによって構成された
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の空気調和機の室内機。
【請求項5】
前記ファンは、前記熱交換器の1次側に配置された
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の空気調和機の室内機。
【請求項6】
前記ファンは、前記熱交換器の2次側に配置された
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の空気調和機の室内機。
【請求項7】
前記インバーター駆動回路基板は、その基板面が前記ファンモーターのモーター軸に対して略垂直となるように前記ファンモーターに内蔵された
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の空気調和機の室内機。
【請求項8】
前記インバーター駆動回路基板は、前記ファンモーターの外郭を形成する樹脂材料によってモールドされることによって内蔵された
ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の空気調和機の室内機。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の空気調和機の室内機と、
圧縮機、室外熱交換器及び膨張装置を備えた室外機と、
を備え、
前記圧縮機、前記室外熱交換器、前記膨張装置及び前記熱交換器が冷媒配管によって接続されて冷媒回路が構成された
ことを特徴とする空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−24477(P2013−24477A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159462(P2011−159462)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】