説明

空気調和機の室内機

【課題】フィルタ掃除中におけるパネルの下降を防止し、フィルタ掃除を正常に行うことが可能な空気調和機の室内機を提供する。
【解決手段】空気調和機の室内機1は、吸気口3を有するケース2と、吸気口3を開閉するパネル6と、パネル移動機構13と、フィルタ20と、ブラシ23と、ブラシ駆動機構60とを備えている。パネル移動機構13は、パネル6を移動するための駆動力を発生するモータ29を有し、パネル6を所定の開位置と閉位置との間を往復移動させる。フィルタ20は、ケース2内部に配置され、吸気口3から導入された空気をろ過する。ブラシ23は、パネル6に回転自在に取り付けられ、フィルタ20を清掃する。ブラシ駆動機構60は、ケース2内部に設けられ、ブラシ23を回転駆動する。ブラシ駆動機構60の動作中に、パネル移動機構13のモータ29を励磁して、モータ29の回転を固定しパネル6が移動しないようにする、もしくはモータ29をパネル6に閉方向の力を付与する方向に回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルが開閉する空気調和機の室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、天井に埋め込まれた空気調和機の室内機において、吸気経路に設けられたフィルタを定期的にブラシで掃除する室内機が種々提案されている。
【0003】
特許文献1(特開2007―40689号公報)には、昇降可能なパネルにフィルタ掃除用ブラシが取り付けられた室内機が提案されている。この室内機では、フィルタからブラシで掻き落とされた塵や埃は、パネル上のダストボックスに集められる。ダストボックスに溜まった塵や埃は、パネルとともに下降させることにより、作業者によって容易に外部へ廃棄させることが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、フィルタ掃除中に、ブラシを駆動する際にブラシ駆動機構からブラシを経由してパネルへパネルを押し下げる力が働く場合がある。
【0005】
この場合、パネルを保持するワイヤが繰り出されることがあり、それにより所定の閉位置からパネルが下がってしまい、正常なフィルタ掃除が困難になるおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、フィルタ掃除中におけるパネルの下降を防止し、フィルタ掃除を正常に行うことが可能な空気調和機の室内機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の空気調和機の室内機は、吸気口を有するケースと、吸気口を開閉するパネルと、パネル移動機構と、エアフィルタと、ブラシと、ブラシ駆動機構とを備えている。パネル移動機構は、パネルを移動するための駆動力を発生するモータを有し、パネルを所定の開位置と閉位置との間を往復移動させる。エアフィルタは、ケース内部に配置され、吸気口から導入された空気をろ過する。ブラシは、パネルに回転自在に取り付けられ、フィルタを清掃する。ブラシ駆動機構は、ケース内部に設けられ、ブラシを回転駆動する。
ブラシ駆動機構の動作中に、パネル移動機構のモータを励磁して、モータの回転を固定しパネルが移動しないようにする、もしくはモータをパネルに閉方向の力を付与する方向に回転させる。
【0008】
ここでは、ブラシ駆動機構の動作中に、パネル移動機構のモータを励磁して、モータの回転を固定しパネルが移動しないようにする、もしくはモータをパネルに閉方向の力を付与する方向に回転させるので、フィルタ掃除中においてブラシの動きによって停止中のパネルが動く不具合およびそれによる掃除不良などを避けることが可能である。
【0009】
第2発明の空気調和機の室内機は、第1発明の空気調和機の室内機であって、パネル位置検出手段をさらに備えている。パネル位置検出手段は、パネルが所定の収納位置にあるか否かを検知する。
【0010】
ここでは、パネル位置検出手段を備えているので、それによってパネルの収納状態を正確に検出することが可能である。
【0011】
第3発明の空気調和機の室内機は、第2発明の空気調和機の室内機であって、パネル位置検出手段がパネルが所定の収納位置にないことを検出したときには、パネル移動機構は、ブラシ駆動機構の動作終了後に、パネルを閉方向に向かって、パネル位置検出手段がパネルが収納位置にあることを検出するまで移動させる。
【0012】
ここでは、パネル位置検出手段がパネルが所定の収納位置にないことを検出したときには、パネル移動機構が、ブラシ駆動機構の動作終了後に、パネルを閉方向に向かって、パネル位置検出手段がパネルが収納位置にあることを検出するまで、移動させる。これにより、フィルタ掃除終了後にパネルが収納位置にないときには、パネル移動機構を作動させてパネルを収納位置に確実に戻すことが可能である。
【0013】
第4発明の空気調和機の室内機は、第3発明の空気調和機の室内機であって、パネル移動機構がブラシ駆動機構の動作終了後にパネルを閉方向に向かう移動において、所定時間内に、パネル位置検出手段は、パネルが所定の収納位置にあることを検出しない場合には、パネル移動機構の駆動を停止して運転待機状態にする。
【0014】
ここでは、パネル移動機構がブラシ駆動機構の動作終了後にパネルを閉方向に向かう移動において、所定時間内に、パネル位置検出手段は、パネルが所定の収納位置にあることを検出しない場合には、パネル移動機構の駆動を停止して運転待機状態にする。これにより、パネルが収納位置に所定時間内に戻ることができない場合には、パネル移動機構の駆動を停止して運転待機状態に確実に戻すことが可能であり、異常動作が続くような不具合を解消できる。
【0015】
第5発明の空気調和機の室内機は、第1発明から第4発明のいずれかの空気調和機の室内機であって、パネル位置検出手段がパネルが所定の収納位置にあることを検出したときには、パネル移動機構は、パネルを閉方向に向かって移動させて増し締めする。
【0016】
ここでは、パネル位置検出手段がパネルが所定の収納位置にあることを検出したときには、パネル移動機構がパネルを閉方向に向かって移動させて増し締めするので、パネルを正確に収納位置へ位置決めすることができ、パネルを室内機下面と正確に同一平面上にして運転待機状態にすることが可能である。
【0017】
第6発明の空気調和機の室内機は、第1発明から第5発明のいずれかの空気調和機の室内機であって、ケースは、空調空間の天井に埋め込まれている。パネルは、ケースの下側開口に開閉自在に取り付けられている。パネル移動機構は、パネルを昇降させる。
【0018】
ここでは、ケースが空調空間の天井に埋め込まれ、パネルがケースの下側開口に開閉自在に取り付けられ、パネル移動機構がパネルを昇降させる。これにより、ブラシによるフィルタ掃除中に昇降可能なパネルが下降する方向へ力を受けても、フィルタ掃除中においてブラシの動きによって停止中のパネルが動く不具合がなくなり、それによる掃除不良などを避けることが可能である。
【発明の効果】
【0019】
第1発明によれば、フィルタ掃除中においてブラシの動きによって停止中のパネルが動く不具合およびそれによる掃除不良などを避けることができる。
【0020】
第2発明によれば、パネル位置検出手段によってパネルの収納状態を正確に検出することができる。
【0021】
第3発明によれば、フィルタ掃除終了後にパネルが収納位置にないときには、パネル移動機構を作動させてパネルを収納位置に確実に戻すことができる。
【0022】
第4発明によれば、パネルが収納位置に所定時間内に戻ることができない場合には、パネル移動機構の駆動を停止して運転待機状態に確実に戻すことができ、異常動作が続くような不具合を解消できる。
【0023】
第5発明によれば、パネルを正確に収納位置へ位置決めすることができ、パネルを室内機下面と正確に同一平面上にして運転待機状態にすることができる。
【0024】
第6発明によれば、ブラシによるフィルタ掃除中に昇降可能なパネルが下降する方向へ力を受けても、フィルタ掃除中においてブラシの動きによって停止中のパネルが動く不具合がなくなり、それによる掃除不良などを避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る室内機の外観を示す斜視図。
【図2】(a)は運転停止時の図1の室内機の側面図、(b)は運転時の図1の室内機の側面図、(c)はメンテナンス時の空気調和装置の側面図。
【図3】図1のA−A線で切断した室内機の断面図。
【図4】図1の室内機の運転停止時の昇降パネルが閉じた状態を示す昇降パネル付近の拡大断面図。
【図5】図1の室内機の昇降パネルが開く途中の状態を示す昇降パネル付近の拡大断面図。
【図6】図1の室内機の本体ケースの分解斜視図。
【図7】図1の室内機における制御装置とその周辺装置との配線を示す配線図。
【図8】図1の室内機内部のフィルタ清掃機構のフィルタ収納枠の分解斜視図。
【図9】図1の室内機内部のフィルタ収納枠の内部の断面図。
【図10】(a)は図9のフィルタが前方収納部にあるときのフィルタ収納部の断面図、(b)はフィルタが後方収納部にあるときのフィルタ収納部の断面図、(c)はフィルタを取り出すときのフィルタ収納部の断面図。
【図11】図1の移動パネルの分解斜視図。
【図12】図1の化粧パネルの斜視図。
【図13】図12のヒンジ連結装置の分解斜視図。
【図14】図12の昇降装置の分解斜視図。
【図15】図12の昇降装置内部の部品の配置を示す図。
【図16】図12の移動パネルが吸込口を開いた状態の斜視図。
【図17】図12の移動パネルが降下している状態の斜視図。
【図18】ダストボックス、及びダストボックスが取り出された後の昇降パネルの斜視図。
【図19】図3の移動パネルが閉じているときの移動パネル及びその周辺部材の動作を説明するための図。
【図20】フィルタ掃除中におけるブラシ駆動ギアから移動パネルへ力が伝達される様子を示す説明図。
【図21】フィルタ掃除動作における昇降モータの制御についてのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
つぎに本発明の空気調和機の室内機(以下、単に室内機という)の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0027】
<室内機の構成>
図1は本発明の実施形態に係る室内機の外観斜視図である。図1において、室内機2は、下面に吸込口3及び吹出口4を有する本体ケース5と、吸込口3を開閉する移動パネル6と、吹出口4を開閉する第1風向調節羽根7とを備えている。吸込口3と吹出口4とは一定距離を隔てて隣接している。本体ケース5の下面は、化粧パネル8によって覆われており、実際に天井面に露出するのは化粧パネル8であって、吸込口3及び吹出口4の輪郭は化粧パネル8によって形成されている。なお、本体ケース5は、本発明の吸気口を有するケースに対応する。
【0028】
図2(a)は、室内機の運転停止時の側面図であり、図2(b)は、その室内機の運転時の側面図であり、図2(c)は、メンテナンス時の側面図である。
【0029】
図2(a)および図4に示すように室内機2が停止しているとき、移動パネル6は化粧パネル8と見かけ上一体化している。なお、図4の符号70は、ワイヤ14途中に設けられた昇降ワイヤS管である。
【0030】
図2(b)および図5に示すように室内機2が稼動するとき、移動パネル6は吸込口3を開き、第1風向調節羽根7は吹出口4を開く。移動パネル6の一端は蝶番によって本体5に支持されており、移動パネル6は回動して吸込口3を開ける。
【0031】
図2(c)に示すメンテナンス時には、移動パネル6は、昇降装置13により、本体5側から延びるワイヤ14に吊られた状態で使用者の手が届くメンテナンス位置まで降下することができる。移動パネル6にこのような昇降動作を行わせるのは、フィルタ清掃機構15に溜まった塵埃を取り除くなどのメンテナンスをするためである。但し、移動パネル6は、一端が蝶番によって本体5に支持されている状態ではメンテナンス位置まで降下することができないので、一旦、吸込口3を閉じて、本体5による支持が解除されたのちにメンテナンス位置まで降下する。本体5による支持の解除については後段で説明する。
【0032】
図3は、室内機の断面図である。図3において、室内機2は、エアフィルタ20、フィルタ清掃機構15、室内熱交換器16、室内ファン17、ドレンパン18及び吹出口モジュール19を備えている。室内機2の運転時、吸込口3及び吹出口4が開き、室内ファン17が回転し、空気が吸込口3から吸い込まれる。室内熱交換器16は、複数のフィンと、冷媒が流れる伝熱管とによって構成され、2つの熱交換器16a,16bが異なる傾斜姿勢で隣接した形状をしている。吸い込まれた空気は、エアフィルタ20及び室内熱交換器16を通過して室内ファン17に入る。室内ファン17は、クロスフローファンであり、幅寸法が直径よりも長く、回転軸と垂直な方向から空気を吸い込むので、単一の吸込口3から空気を吸い込んで、単一の吹出口4へ吹き出すことができる。
【0033】
図6は、本体の分解斜視図である。図6において、化粧パネル8の上面には、ヒンジ連結装置21、昇降装置13、フィルタ収納枠22、吹出口モジュール19及び吹出口モジュールケース19aが装着されている。化粧パネル8の下面には、移動パネル6が装着されている。
【0034】
移動パネル6の上面には、ブラシ23とダストボックス24が設置されている。移動パネル6が化粧パネル8と一体化している室内機2の運転停止時にフィルタ清掃機構15による清掃が行われ、化粧パネル8に取り付けられたモータからブラシ23を回転させるための動力が伝達される。モータなどを移動パネルに設けないのは、移動パネル6に駆動装置を設けることによる移動パネル6の重量増加を防ぐためである。
【0035】
(制御装置)
図7は、制御装置と各スイッチ及び各モータとの接続を示す配線図である。図7に示すように、制御装置25は、昇降装置13に配置されるスイッチ26、フィルタ収納枠22に配置される位置検出スイッチ27、及び移動パネル6が収納位置にあるか否かを検出する収納リミットスイッチ30が接続されている。また、制御装置25には、ヒンジ連結装置21のモータ28、昇降装置13の昇降モータ29、フィルタ清掃機構15のフィルタ駆動モータ31、およびブラシ駆動モータ32が接続されている。
【0036】
制御装置25は、CPU、メモリ及びモータドライブ回路を搭載しており、ヒンジ連結装置21や昇降装置13などから離れた電装品箱(図示省略)に配置されている。各モータや各スイッチと制御装置25とはワイヤハーネスによって電気的に接続されている。
【0037】
<フィルタ清掃機構>
図8は、フィルタ清掃機構のフィルタ収納枠の分解斜視図である。図8において、フィルタ収納枠22には、エアフィルタ20、ローラー34、エアフィルタ20の浮き上がりを防止するフィルタ安定板35が取り付けられる。
【0038】
(エアフィルタ20)
エアフィルタ20は、網部20aと網部20aの周囲を保持する縁部20bを有しており、図2に示すように室内熱交換器16の前面側(上流側)に配置され、室内から取り込まれた空気から塵埃を除去する。これにより、エアフィルタ20は、空気中に浮遊する塵埃が室内熱交換器16の表面を汚染することを防止している。エアフィルタ20の縁部20bには、ピニオンギア36と噛み合うラック37が形成されている。
【0039】
(ローラー34)
ローラー34は、複数のピニオンギア36と、複数のピニオンギア36を同軸上に連結する連結軸38とを有している。ピニオンギア36は、エアフィルタ20のラック37と噛み合い、回転することによってエアフィルタ20を水平に移動させる。
【0040】
(フィルタ収納枠22)
図8に示すように、フィルタ収納枠22は、上枠39と下枠40とを有しており、上枠39と下枠40とが一定の間隔を隔てて上下に重なる。また、上枠39には、モータ収納部41が形成されており、ピニオンギア36と噛み合う伝達歯車42、伝達歯車42を駆動する駆動歯車43、及び駆動歯車43を回転させるフィルタ駆動モータ31が収納される。
【0041】
図9は、フィルタ収納枠の内部の断面図である。フィルタ収納枠22は、前方収納部44と後方収納部45とを備えている。前方収納部44及び後方収納部45の長さは、エアフィルタ20の長手方向の長さに相当する。前方収納部44は、エアフィルタ20が後方収納部45へ移動するときの経路となる直線状の前方収納経路46を有し、後方収納部45は、前方収納部44から移動してくるエアフィルタ20を導く後方収納経路47を有する。後方収納経路47には、第1湾曲領域48と第2湾曲領域49とがあり、第1湾曲領域48は、ローラー34によって繰り出されたエアフィルタ20をピニオンギア36へ近づく方向に湾曲させる。第2湾曲領域49は、第1湾曲領域48と反対の方向へエアフィルタ20を湾曲させる。後方収納部45は、吸込口3と吹出口4との間で、且つドレンパン18の下方に位置している。
【0042】
次に、フィルタ駆動モータ31及びブラシ駆動モータ32のフィルタ収納枠22に対する位置関係について説明する。図9では、フィルタ駆動モータ31及びブラシ駆動モータ32のフィルタ収納枠22に対する位置が明確になるように、フィルタ駆動モータ31及びブラシ駆動モータ32を2点鎖線で表示している。フィルタ駆動モータ31及びブラシ駆動モータ32は、フィルタ収納枠22の長手方向の両側、すなわち吸込口3の長手方向の両側の上方に位置している。
【0043】
図9において、フィルタ駆動モータ31の回転軸に駆動歯車43が連結され、この駆動歯車43に伝達歯車42が噛み合っている。この伝達歯車42がローラー34のピニオンギア36を回転させる。
【0044】
図10(a)は、フィルタが前方収納部にあるときのフィルタ収納部の断面図であり、図10(b)は、フィルタが後方収納部にあるときのフィルタ収納部の断面図であり、図10(c)は、フィルタを取り出すときのフィルタ収納部の断面図である。
【0045】
図10(a),(b),(c)において、位置検知スイッチ27は、前方収納部44の終端近傍、及び後方収納部45の終端近傍に配置されている。位置検知スイッチ27の外側には、レバーが蝶番によって装着されており、外力が加わると回動して位置検知スイッチ27のボタンを押す。
【0046】
室内機2の運転時には、図10(a)に示すように、エアフィルタ20が前方収納部44の前方収納経路46に収納されている。エアフィルタ20が前方収納経路46に収納されていることは、前方収納部44の終端近傍の位置検出スイッチ27で検出される。
【0047】
エアフィルタ20の掃除を行うときには、図10(b)に示すように、エアフィルタ20は後方収納部45の後方収納経路47へと移動させられる。エアフィルタ20が前方収納部44から後方収納部45へ向けて移動しているときに、ブラシ23により塵埃が掻き落される。フィルタ収納枠22内を移動し後方収納部の終端近傍に達したときは、位置検知スイッチ27によって検知されてエアフィルタ20が停止する。
【0048】
エアフィルタ20を取り替える際には、図10(c)に示すようにエアフィルタ20を引き出す。フィルタ押え50によって下方からエアフィルタ20が支えられており、メンテナンスするために使用者がフィルタ収納枠22からエアフィルタ20を取り出すには、フィルタ押え50を下方へ回動させる。
【0049】
(ブラシ23)
図9に示すように、ブラシ23の毛23aは、エアフィルタ20を挟んでローラー34と反対側に位置しエアフィルタ20に接触している。つまり、エアフィルタ20の上側にローラー34があり、エアフィルタ20の下方にブラシ23がある。ブラシ23の回転軸55上には、ブラシギア51が連結されており、ブラシ駆動モータ32の回転軸にはブラシ駆動ギア53が連結されている。ブラシギア51は、回転軸55の両端に連結されており、ブラシ駆動ギア53とブラシギア51とが噛み合っている。それにより、ブラシ駆動モータ32の駆動力がブラシギア51を介してブラシ23に伝達される。直線状の前方収納経路46と湾曲した後方収納経路47との間にブラシ23が位置するので、エアフィルタ20が前方収納経路46と後方収納経路47との間を移動するときに、ブラシ23は、エアフィルタ20の網部20a(図8参照)の全域に接触することができる。
【0050】
図11の移動パネルの分解斜視図に示すように、ブラシ23の毛23aは、回転軸55に固定されている。毛23aは、プラスチック製の細い毛であるので、エアフィルタ20の網目に入り込んで塵埃を確実に除去することができる。
【0051】
図9に示されるように、ブラシ駆動モータ32とブラシ駆動ギア53は、ブラシ駆動装置60を構成する。ブラシギア51とブラシ駆動ギア53との噛み合いは、移動パネル6の開時および下降時には外れ、ブラシギア51は、移動パネル6及びブラシ23と共に移動する。そして、移動パネル6が吸込口3を閉じたとき、ブラシギア51とブラシ駆動ギア53とは再び噛み合う。ブラシギア51とブラシ駆動ギア53との解放・締結については後に詳述する。
【0052】
(ダストボックス24)
図11において、ダストボックス24は、上部の吹出口4寄りに、塵埃取り込み口56を有しており、塵埃取り込み口56の長手方向の両端で、軸受57を介して回転軸55を支持する。さらに、塵埃取り込み口56には、ブラシ23がエアフィルタ20から掻き取った塵埃をブラシ23からふるい落とす櫛部58が取り付けられている。
【0053】
ダストボックス24は移動パネル6の回動軸側に寄って取り付けられており、ブラシ23が吸込口3の端のさらに吹出口4寄りに近づくので、図2(b)から分かるように、移動パネル6が回動して吸込口3を開けたとき、ブラシ23と共にエアフィルタ20から離れ、吸込空気の進路を妨害しない。また、ダストボックス24へ向って来る空気を滑らかにエアフィルタ20へ向わせるために、ダストボックス24の吸込空気と対向する面59は傾斜し、空気抵抗を低減している。ダストボックス24が移動パネル6に固定されたとき、移動パネル6はダストボックス24によって構造的に補強されるので、従来、補強用として使用されていた板金部材の使用率が減少する。
【0054】
(エアフィルタの清掃動作)
室内機2では、使用者が必要とするときにリモートコントローラによって、或いは制御装置25により定期的にエアフィルタ20が自動で清掃される。以下、その仕組みについて説明する。
【0055】
図10(a)に示すように、運転時には、エアフィルタ20のラック37は、前方収納経路46に収まっており、ラック37の一端(以後、第1端部37aとよぶ)はピニオンギア36と噛み合っている。ローラー34が回転するとき、ピニオンギア36からラック37に回転が伝達され、エアフィルタ20のラック37は、ローラー34によって後方収納経路47側へ搬送される。ローラー34が回転し続けることによって、ラック37の第1端部37aは後方収納経路47の終端に到達する。
【0056】
ラック37の第1端部37aが後方収納経路47の終端に到達したとき、第1端部37aが位置検知スイッチ27のレバーを回動させオン動作させる。制御装置25は、位置検知スイッチ27から出力されるオン信号からラック37の第1端部37aが後方収納経路47の終端に到達したと判断し、ローラー34の回転を停止させる。このとき、エアフィルタ20のラック37の全域が、後方収納経路47に収まっており、ラック37の他端(以後、第2端部37bとよぶ)はピニオンギア36と噛み合っている。
【0057】
図9及び図10に示すように、エアフィルタ20が移動する際に、エアフィルタ20の表面に付着していた塵埃はブラシ23によって掻き取られ、図11に示すダストボックス24に貯えられる。ブラシ23は、少なくともエアフィルタ20が前方収納経路46から後方収納経路47へ移動している期間中は回転しており、その回転方向は、エアフィルタ20の進行方向に逆らう方向である。
【0058】
エアフィルタ20が前方収納経路46から後方収納経路47へ移動し塵埃の除去が終了したとき、制御装置25は、ローラー34を逆回転させる。エアフィルタ20のラック37の第2端部37bは、ピニオンギア36と噛み合っているので、ピニオンギア36からラック37に回転が伝達され、エアフィルタ20は、ローラー34によって前方収納経路46側へ搬送される。ローラー34が逆回転し続けることによって、ラック37の第2端部37bは前方収納経路46の終端に到達する。
【0059】
ラック37の第2端部37bが前方収納経路46の終端に到達したとき、第2端部37bが位置検知スイッチ27のレバーを回動させオン動作させる。制御装置25は、位置検知スイッチ27から出力されるオン信号からラック37の第2端部37bが前方収納経路46の終端に到達したと判断し、ローラー34の回転を停止させる。このとき、エアフィルタ20のラック37は、前方収納経路46に収まっており、ラック37の第1端部37aはピニオンギア36と噛み合っている。
【0060】
<移動パネルの動作に関連する装置>
図12は、化粧パネルの斜視図である。図12に示すように、化粧パネル8の天井側の面上には、昇降装置13以外に、ヒンジ連結装置21が配置されている。以下、ヒンジ連結装置21、および昇降装置13の詳細構造について順に説明する。
【0061】
(ヒンジ連結装置21)
ヒンジ連結装置21は、室内機2が稼動するときに移動パネル6の一端を回動可能に支持し、一方、移動パネル6をメンテナンス位置まで降下させるときには、移動パネル6の一端の支持を解除する。
【0062】
図13は、ヒンジ連結装置の分解斜視図である。図13において、ヒンジ連結装置21は、回動部材61、滑り部材62、第1ピン63、ピニオンギア64、モータ28、固定部材66、第2ピン67及びネジ68を有している。回動部材61は、U字状の固体物であって、端面から外側に向ってと棒状の支持軸61aが突出している。さらに、回動部材61の一端部には、軸孔61bが形成されている。
【0063】
滑り部材62は、ピニオンギア64と噛み合うラック62aと、回動部材61の軸孔61bの両端を挟むアーム62bとが形成されている。さらに、アーム62bには、第1滑り孔62cが形成され、ラック62aの根元近傍には、第2滑り孔62dが形成されている。モータ28は、ステッピングモータであり、ピニオンギア64を回転させる。モータ28は、ネジ68が通る貫通孔65aを有する。
【0064】
固定部材66には、滑り部材62を滑り移動可能に保持する滑り空間66aと、ピニオンギア64が挿入される歯車空間66bと、ネジ68と螺合するネジ孔66cとが形成されている。さらに、滑り空間66aを形成する壁には、第1貫通孔66dと第2貫通孔66eとが形成されている。
【0065】
固定部材66の滑り空間66aに滑り部材62が配置され、その滑り部材62のアーム62bに回動部材61の軸孔61bが挟まれるように配置される。第1ピン63は、固定部材66の第1貫通孔66dの一端から挿入され、滑り部材62の第1滑り孔62c及び回動部材61の軸孔61bを通って第1貫通孔66dの他端に出る。
【0066】
第2ピン67は、第2貫通孔66eの一端から挿入され、滑り部材62の第2滑り孔62dを通って第2貫通孔66eの他端に出る。その結果、滑り部材62は、第1ピン63及び第2ピン67に沿って滑り空間を水平移動することができ、回動部材61は、第1ピン63を中心に回動することができる。
【0067】
(ヒンジ連結装置21の動作)
図12、図13において、モータ28がピニオンギア64を回転させると、ピニオンギア64と噛み合うラック62aに動力が伝達されて滑り部材62は第1ピン63に沿って滑り移動し、滑り部材62の移動に伴って回動部材61が移動パネル6の方向、或はその反対の方向へ移動する。ここで説明の便宜上、回動部材61を移動パネル6と連結する方向へ移動するようにモータ28が回転することを正転と呼び、回動部材61と移動パネル6との連結を解除する方向へ移動するようにモータ28が回転することを逆転と呼ぶ。
【0068】
移動パネル6の端部には、回動部材61に支持軸61aと対峙する支持孔6c(図11参照)が設けられており、モータ28が正転し、支持軸61aが移動パネル6の支持孔6cに挿入されたときは、回動部材61と移動パネル6との連結が成立し、移動パネル6は、第1ピン63を中心に回動することができる。
【0069】
一方、モータ28が逆転し、支持軸61aが移動パネル6の支持孔6cから抜け出たときは、回動部材61と移動パネル6との連結が解消され、移動パネル6は、第1ピン63を中心に回動することができない。回動部材61と移動パネル6との連結が解消された状態でワイヤ14の繰り出し・巻取りを行うことで移動パネル6の昇降動作を行わせることができる。
【0070】
(昇降装置13)
図14は、昇降装置の分解斜視図である。また、図15は、昇降装置内部の部品の配置を示す図である。図14及び図15において、昇降装置13は、ワイヤ14、滑車72、ボビン73、巻取り歯車74、駆動歯車75、昇降モータ29、スイッチ26及びケース78を有している。
【0071】
滑車72は、滑車部72aとカム部72bとが一体に成形されており、滑車部72aは、ワイヤ14を支え、ワイヤ14の移動に伴って回転する。カム部72bは、小径曲面と大径曲面とそれら両曲面を結ぶ平面とから成る。
【0072】
ボビン73は、ワイヤ14を巻取る。巻取り歯車74は、ボビン73と同軸で連結され一体的に回転する。駆動歯車75は、巻取り歯車74と噛み合いボビン73を回転させる。昇降モータ29は、ステッピングモータであり駆動歯車75を回転させる。昇降モータ29の回転数は、制御装置25から供給されるパルス数によって制御される。
【0073】
スイッチ26は、レバー26aを有するマイクロスイッチであり、レバー26aが押されることによってオンする。レバー26aは、常に滑車72のカム部72bと接触しており、カム部72bの大径曲面と対峙したときに押される。スイッチ26も、制御装置25とワイヤハーネスによって電気的に接続されている。
【0074】
ケース78は、支持ケース78aとカバー78bとに分割されている。支持ケース78aには、滑車72を支持する第1軸79a、ボビン73と巻取り歯車74とを支持する第2軸79b、スイッチ26を支持する第3軸79cが形成されている。カバー78bは、支持ケース78aに支持された各部品を覆って保護する。
【0075】
(昇降装置13の動作)
図15において、昇降装置13がワイヤ14を繰り出す場合、昇降モータ29は駆動歯車75をCCW方向へ回転させ、巻取り歯車74をCW方向へ回転させる。これによって、ボビン73がワイヤ14を繰り出す方向に回転する。
【0076】
一方、昇降装置13がワイヤ14を巻き取る場合、昇降モータ29は駆動歯車75をCW方向へ回転させ、巻取り歯車74をCCW方向へ回転させる。これによって、ボビン73がワイヤ14を巻き取る方向に回転する。ワイヤ14の繰り出し量および巻き取り量は、昇降モータ29の回転量に比例しており、制御装置25が昇降モータ29へ供給するパルス数を制御することによって、ワイヤ14の繰り出し量および巻き取り量は制御される。
【0077】
ワイヤ14の先端には移動パネル6が連結されるため、ワイヤ14には常に張力が発生しており、ワイヤ14が繰り出されるとき、又はワイヤ14が巻き取られるとき、滑車部72aがワイヤ14との摩擦力によって回転する。このとき、カム部72bも回転するので、スイッチ26は、レバー26aがカム部72bの大径曲面と対峙したときにオン信号を発し、レバー26aが小径曲面と対峙したときにはオフ信号を発する。滑車72が回転している間は、オン信号とオフ信号が交互に発生し、これらの信号は、すべて制御装置25に入力される。
【0078】
しかし、何らかの要因でワイヤ14が弛み張力がなくなった場合、例えば、メンテナンスのためにワイヤ14を繰り出して移動パネル6を降下させているときに、所定の繰り出し量に達する前に、移動パネル6がテーブルなどの上に着地して停止した場合には、ワイヤ14と滑車部72aとの摩擦力が減退し滑車72が停止する。このため、スイッチ26からは、オン信号又はオフ信号のいずれか一方が連続的に出力される。このとき、制御装置25では、昇降モータ29が回転しているときにスイッチ26からの信号が一定になっていることから、移動パネル6が何らかの障害物によって停止したと推定し、直ちに昇降モータ29を停止させる。
【0079】
(移動パネルの開閉動作)
図16は、移動パネルが吸込口を開いた状態の斜視図である。図16において、ヒンジ連結装置21が移動パネル6を連結した状態で、昇降装置13がワイヤ14を繰り出したとき、移動パネル6は自重によって降下する。しかし、移動パネル6の端部はヒンジ連結装置21に連結されているので、移動パネル6は端部を軸として吸込口3を開く方向へ回動する(図19の状態D1、D2参照)。
【0080】
一方、昇降装置13がワイヤ14を巻き取るとき、移動パネル6は上昇するが、移動パネル6の端部がヒンジ連結装置21に連結されているので、移動パネル6は端部を軸として吸込口3を閉じる方向へ回動し、移動パネル6が吸込口3を完全に閉じた位置で回動を停止する。
【0081】
(移動パネルの昇降動作)
図17は、移動パネルが降下している状態の斜視図である。図17において、ヒンジ連結装置21が移動パネル6の端部との連結を解除し、昇降装置13がワイヤ14を繰り出したとき、移動パネル6は自重によって降下する(図19の状態D2、D3参照)。一方、昇降装置13がワイヤ14を巻き取るとき、移動パネル6は上昇し、移動パネル6が吸込口3を完全に閉じた位置で停止する。
【0082】
移動パネル6は2本のワイヤに吊られて、ダストボックス24と共に降下するので、ダストボックス24を含めた移動パネル6の総重量は増加しており、室内の気流によって姿勢が不安定になることはない。
【0083】
ダストボックス24内に貯えられた塵埃を捨てるときは、ダストボックス24が室内機2の移動パネル6から取り外される。しかし、ダストボックス24は、使用者の手の届かない移動パネル6に取り付けられているので、使用者は、使用者の手が届くメンテナンス位置まで移動パネル6を降下させてから、ダストボックス24を移動パネル6から取り外す。
【0084】
図18は、ダストボックス及びダストボックスが取り出された後の昇降パネルの斜視図である。図18において、移動パネル6には、ダストボックス24が収納される収納部6aが形成されている。図18を正面から見たとき、左側端部には取り出し機構の第1押し出し部90が配置されており、右側端部には取り出し機構の第2押し出し部91が配置されている。取り出し機構は、第1押し出し部90及び第2押し出し部91を有する。第1押し出し部90は、ボタン92を有しており、ユーザーがこのボタン92を押すことによって、第1押し出し部90がダストボックス24の一端近傍を移動パネル6の上方へ押し出し、同時に、第2押し出し部91がダストボックス24の他端近傍を移動パネル6の上方へ押出す。ダストボックス24が収納部6aに装着されたときに、フック(図示省略)がダストボックス24の両端に設けられた凹部94に嵌り、ダストボックス24が上方へ突出することを防止している。
【0085】
<開閉及び昇降における歯車の解放・締結>
図3〜4に示されるように、ダストボックス24は、移動パネル6と共に、閉じた位置から回動したり、昇降したりする。図3に示す運転停止時に移動パネル6が閉じている状態のとき、ブラシ駆動ギア53は、ブラシギア51の斜め上方からブラシギア51に噛み合っている(図19の状態D1参照)。エアフィルタ20を掃除する際には、ブラシ駆動ギア53からブラシギア51に、図9に示すブラシ駆動モータ32から駆動力が伝達できる。
【0086】
上述のようにブラシギア51の斜め上方からブラシ駆動ギア53が噛み合っているので、移動パネル6の回動時や昇降時のブラシギア51の移動軌跡上にブラシ駆動ギア53が位置しないので、移動パネル6の移動をブラシ駆動ギア53が妨げなくなる。
【0087】
<移動パネルの励磁ロック動作>
ここで、図20に示されるように、エアフィルタ20をブラシ23を用いて掃除中に、ブラシ23を回転駆動する際にブラシ駆動装置60からブラシ23を経由して移動パネル6へ移動パネル6を押し下げる力が働く場合がある。具体的には、ブラシ駆動装置60のブラシ駆動ギア53が時計回りCW方向へ回転すると、ブラシ駆動ギア53の右半分の歯によって、それに噛み合うブラシギア51は下方へ押される。その結果、移動パネル6が押し下げられ、それによって、エアフィルタ20の掃除中にワイヤ14が繰り出して移動パネル6が所定の閉位置から下降する不具合が生じるおそれがある。
【0088】
そこで、本実施形態の室内機では、かかる不具合を解消するために、図21のフローチャートのように昇降装置13の昇降モータ29を励磁ロックする。すなわち、ブラシ駆動装置60の動作中に、昇降装置13の昇降モータ29を励磁して、昇降モータ29の回転を固定し移動パネル6が移動しないようにする。
【0089】
なお、励磁ロックにより移動パネル6が移動しないようにロックできればよいので、昇降モータ29を移動パネル6に閉方向の力を付与する方向に回転させてもよい。
【0090】
このように、フィルタ掃除中に励磁ロックすることにより、フィルタ掃除中においてブラシ23の動きによって停止中の移動パネル6が動く不具合がなくなり、それによる掃除不良などを避けることが可能である。
【0091】
昇降モータ29は、正確に回転角度を制御できるステッピングモータが採用されるのが好ましい。また、その場合、昇降モータ29は、励磁ロックの際に必要なトルク、例えば、1相または2相励磁して通常のパネル昇降時よりも弱いトルクを発生させればよい。
【0092】
また、本実施形態の室内機2は、移動パネル6が所定の収納位置にあるか否かを検知するパネル位置検出手段である収納リミットスイッチ30(図7参照)をさらに備えている。収納リミットスイッチ30は、本体ケース5内部における移動パネル6が収納位置近傍に配置されている。
【0093】
移動パネル6が所定の収納位置にあるときには、収納リミットスイッチ30がオンになり、収納位置にないときにはオフになり、オンオフ信号が制御装置25へ送信される。
【0094】
(励磁ロック動作のフローチャート)
本実施形態の室内機では、具体的には、図21に示される手順でフィルタ掃除中における励磁ロックを行う。
【0095】
まず、ステップS11における運転待機中、すなわち、パネル収納状態において、ステップS12において、リモコンの操作をすることによって室内機2の制御装置25へフィルタ掃除の指示をする信号が入力される。信号が入力されない場合には、ステップS11へ戻り、運転待機状態を維持する。
【0096】
ついで、ステップS13において、昇降モータ29を1相励磁して励磁ロックする。
【0097】
ついで、励磁ロックの状態を維持しながら、ステップS14において、ブラシ駆動装置60を作動させ、ブラシ23を回転駆動させてフィルタ掃除を行う。このとき、エアフィルタ20を図10(b)のように移動させながら、ブラシ23によって塵埃を除去する。
【0098】
ついで、励磁ロックの状態を維持しながら、ステップS15において、ブラシ23の清掃を行う。具体的には、エアフィルタ20を図10(a)の所定位置に戻した後、ブラシ23をエアフィルタ20に触れない状態で回転させて、ブラシ23の毛を櫛部58(図11参照)に当ててダストボックス24へ塵埃を落とす。
【0099】
ついで、ステップS16において、昇降モータ29への通電を止めて励磁ロックを解除する。
【0100】
ついで、ステップS17において、移動パネル6が所定の収納位置にあるか否かを収納リミットスイッチ30(図21の収納LSに対応)によって検出する。収納位置にあることが検出された場合には、ステップS18へ進み、収納位置にないことが検出された場合には、ステップS19へ進む。
【0101】
ステップS18へ進む場合、昇降モータ29を作動させてワイヤ14をボビン73に少し巻き戻すことにより、移動パネル6を上昇する方向へ力を加えて、上昇増締めを行い、その後、運転待機状態(ステップS11)へ戻る。
【0102】
一方、ステップS19へ進む場合、昇降モータ29を作動させて移動パネル6を上昇させる。
【0103】
具体的には、収納リミットスイッチ30が移動パネル6が所定の収納位置にないことを検出したときには、制御装置25は、昇降装置13を、ブラシ駆動装置60の動作終了後に、移動パネル6を閉方向に向かって、収納リミットスイッチ30が移動パネル6が収納位置にあることを検出するまで、移動させるように制御する。
【0104】
その後、ステップS20において、昇降装置13がブラシ駆動装置60の動作終了後に移動パネル6を閉方向に向かう移動において、所定時間内に、収納リミットスイッチ30が、移動パネル6が所定の収納位置にあることを検出する。収納位置にあることを検出しない場合には、ステップS22へ進み、昇降装置13の駆動を停止し、異常出力をし、その後、運転待機状態にする(ステップS11へ戻る)ように制御する。ここで、異常出力の動作は、具体的には、異常を知らせる信号をリモコンへ送信したり、室内機2の本体表示部に異常発生の記号または文字を表示する。
【0105】
一方、収納位置にあることを検出した場合には、ステップS21へ進む。この場合、昇降モータ29を作動させてワイヤ14をボビン73に少し巻き戻すことにより、移動パネル6を上昇する方向へ力を加えて、上昇増締めを行い、その後、運転待機状態(ステップS11)へ戻る。
【0106】
<特徴>
(1)
本実施形態の室内機2では、ブラシ駆動装置60の動作中に、昇降装置13の昇降モータ29を励磁して、昇降モータ29の回転を固定し移動パネル6が移動しないようにしたり、または昇降モータ29を移動パネル6に閉方向の力を付与する方向に回転させることによって、励磁ロックの制御をしている。
【0107】
このように、フィルタ掃除中に励磁ロックすることにより、フィルタ掃除中においてブラシ23の動きによって停止中の移動パネル6が動く不具合がなくなり、それによる掃除不良などを避けることが可能である。
【0108】
(2)
本実施形態の室内機2は、移動パネル6が所定の収納位置にあるか否かを検知するパネル位置検出手段である収納リミットスイッチ30をさらに備えているので、移動パネル6の収納状態を正確に検出することが可能である。
【0109】
また、この検出信号に基づいて、収納されていないときには収納ためのパネル上昇などの動作をするように、昇降装置13の制御を円滑に行うことが可能である。
【0110】
(3)
本実施形態の室内機2では、収納リミットスイッチ30が移動パネル6が所定の収納位置にないことを検出したときには、制御装置25は、昇降装置13を、ブラシ駆動装置60の動作終了後に、移動パネル6を閉方向に向かって、収納リミットスイッチ30が移動パネル6が収納位置にあることを検出するまで、移動させるように制御する。これにより、フィルタ掃除終了後に移動パネル6が収納位置にないときには、昇降装置13を作動させて移動パネル6を収納位置に確実に戻すことが可能である。
【0111】
(4)
本実施形態の室内機2では、昇降装置13がブラシ駆動装置60の動作終了後に移動パネル6を閉方向に向かう移動において、所定時間内に、収納リミットスイッチ30は、移動パネル6が所定の収納位置にあることを検出しない場合には、昇降装置13の駆動を停止して運転待機状態にする。これにより、移動パネル6が障害物に当たるなどの異常事態により収納位置に所定時間内に戻ることができないときには、昇降装置13の駆動を停止して運転待機状態に確実に戻すことが可能であり、異常動作が続くような不具合を解消できる。
【0112】
(5)
本実施形態の室内機2では、収納リミットスイッチ30が移動パネル6が所定の収納位置にあることを検出したときには昇降装置13は、移動パネル6を閉方向に向かって移動させて増し締めする。これにより、移動パネル6を正確に収納位置へ位置決めすることができ、移動パネル6を室内機下面を構成する化粧パネル8と正確に同一平面上にして運転待機状態にすることが可能である。
【0113】
(6)
本実施形態の室内機2では、本体ケース5が、空調空間の天井に埋め込まれ、移動パネル6が本体ケース5の下側に開口する吸気口3に開閉自在に取り付けられ、昇降装置13が移動パネル6を昇降させる構造であり、いわゆる天井カセット型の室内機である。
【0114】
このため、フィルタ掃除中に昇降可能な移動パネル6が下降する方向へ力を受けても、フィルタ掃除中においてブラシ23の動きによって停止中の移動パネル6が動く不具合がなくなり、それによる掃除不良などを避けることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、開閉可能なパネルに回転ブラシを備えた空気調和機の室内機に種々適用することが可能である。
【符号の説明】
【0116】
1,101 室内機
2 本体ケース(ケース)
3 吸込口(吸気口)
4 吹出口
6 移動パネル
8 化粧パネル
13 昇降装置(パネル移動機構)
17 室内ファン
20 エアフィルタ
23 ブラシ
24 ダストボックス
29 昇降モータ
30 収納リミットスイッチ
51 ブラシギア
53 ブラシ駆動ギア
【先行技術文献】
【特許文献】
【0117】
【特許文献1】特開2007―40689号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口(3)を有するケース(2)と、
前記吸気口(3)を開閉するパネル(6)と、
前記パネル(6)を移動するための駆動力を発生するモータ(29)を有し、前記パネル(6)を所定の開位置と閉位置との間を往復移動させるパネル移動機構(13)と、
前記ケース(2)内部に配置され、前記吸気口(3)から導入された空気をろ過するエアフィルタ(20)と、
前記パネル(6)に回転自在に取り付けられ、前記エアフィルタ(20)を清掃するブラシ(23)と、
前記ケース(2)内部に設けられ、前記ブラシ(23)を回転駆動するブラシ駆動機構(60)と
を備えており、
前記ブラシ駆動機構(60)の動作中に、前記パネル移動機構(13)のモータ(29)を励磁して、前記モータ(29)の回転を固定し前記パネル(6)が移動しないようにする、もしくは前記モータ(29)を前記パネル(6)に閉方向の力を付与する方向に回転させる、
空気調和機の室内機(1)。
【請求項2】
前記パネル(6)が所定の収納位置にあるか否かを検知するパネル位置検出手段(30)をさらに備えている、
請求項1に記載の空気調和機の室内機(1)。
【請求項3】
前記パネル位置検出手段(30)が前記パネル(6)が所定の収納位置にないことを検出したときには、
前記パネル移動機構(13)は、前記ブラシ駆動機構(60)の動作終了後に、前記パネル(6)を閉方向に向かって、前記パネル位置検出手段(30)が前記パネル(6)が収納位置にあることを検出するまで、移動させる、
請求項2に記載の空気調和機の室内機(1)。
【請求項4】
前記パネル移動機構(13)が前記ブラシ駆動機構(60)の動作終了後に前記パネル(6)を閉方向に向かう移動において、所定時間内に、前記パネル位置検出手段(30)は、前記パネル(6)が所定の収納位置に
あることを検出しない場合には、前記パネル移動機構(13)の駆動を停止して運転待機状態にする、
請求項3に記載の空気調和機の室内機(1)。
【請求項5】
前記パネル位置検出手段が前記パネル(6)が所定の収納位置にあることを検出したときには、前記パネル移動機構(13)は、前記パネル(6)を閉方向に向かって移動させて増し締めする、
請求項1から4のいずれかに記載の空気調和機の室内機(1)。
【請求項6】
前記ケース(2)は、空調空間の天井に埋め込まれ、
前記パネル(6)は、前記ケース(2)の下側開口に開閉自在に取り付けられ、
前記パネル移動機構(13)は、前記パネル(6)を昇降させる、
請求項1から5のいずれかに記載の空気調和機の室内機(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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