説明

空気調和機の梱包構造

【課題】電極端子による本体ケーシングの損傷を低減できる空気調和機の梱包構造を提供する。
【解決手段】把手部101が設けられた空気調和機のケーシング1に緩衝材109を装着する。緩衝材109のケーシング1側の表面には、ケーシング1の表面ハ’,ニ’に当たる当たり面が設けられている。これにより、ケーシング1に緩衝材109を装着した際、プラグ本体104が把手部101外に移動しないように、把手部101に対するプラグ本体104の移動が規制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機と緩衝材を使用する空気調和機の梱包構造に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、空気調和機の本体ケーシングには、電源コードの一端部が接続されている。そして、上記電源コードの他端部には、コンセントに挿入される電極端子が設けられている。
【0003】
また、上記空気調和機はダンボール箱内に収容されて輸送される。このとき、上記電源コードがダンボール箱内で自由に動ける状態であると、電源コードの電極端子が板形状の金属からなるため、本体ケーシングに傷を付けることがある。
【0004】
このような本体ケーシングの損傷を避けるための加湿装置が、実公平04−01983号公報(特許文献1)に開示されている。
【0005】
上記加湿装置は、本体ケーシングと、この本体ケーシング内に配置された給水タンクと、本体ケーシングから導出された電源プラグとを備えている。
【0006】
上記電源プラグの先端部には、プラグ本体と、このプラグ本体の先端面から突出する電極端子とが設けられている。
【0007】
上記給水タンクの側壁には、プラグ本体および電極端子を収容可能な凹部を設けている。そして、上記本体ケーシングにおいて凹部に対向する箇所に貫通孔を設けている。
【0008】
上記構成の加湿装置によれば、プラグ本体および電極端子を本体ケーシングの貫通孔から本体ケーシング内に入れて、プラグ本体および電極端子を凹部内に収容する。これにより、輸送時に、本体ケーシングの外壁が電極端子で傷付くのを防ごうとしている。
【0009】
しかしながら、上記従来の加湿装置では、プラグ本体および電極端子が凹部内で移動可能となっているため、ケーシングの内壁や給水タンクの側壁が電極端子で損傷してしまうという問題がある。
【特許文献1】実公平04−01983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明の課題は、電極端子による本体ケーシングの損傷を低減できる空気調和機の梱包構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の空気調和機の梱包構造は、
把手部が設けられた空気調和機の本体ケーシングと、
上記本体ケーシングに装着される緩衝材と、
一端が上記本体ケーシングに連接する電源コードと、この電源コードの他端に連接するプラグ本体と、このプラグ本体の先端面から突出する電極端子とを有する電源プラグと
を備えた空気調和機の梱包構造であって、
上記把手部は、上記プラグ本体および電極端子を収容可能に設けられ、
上記緩衝材は、上記本体ケーシングに装着した際、上記プラグ本体が上記把手部外に移動しないように、上記把手部に対する上記プラグ本体の移動を規制する規制部を有することを特徴としている。
【0012】
上記構成の空気調和機の梱包構造によれば、上記プラグ本体および電極端子を把手部に収容した後、この把手部が設けられた本体ケーシングに緩衝材を装着する。そうすると、上記緩衝材の規制部が、プラグ本体が把手部外に移動しないように、把手部に対するプラグ本体の移動を規制する。
【0013】
その結果、上記把手部からプラグ本体が抜け出るのを阻止できるので、そのプラグ本体の先端面から突出する電極端子が本体ケーシングの例えば意匠面に傷を付けるのを防ぐことができる。
【0014】
すなわち、上記緩衝材の規制部によってプラグ本体と共に電極端子を把手部内に閉じ込めることができるので、電極端子による本体ケーシングの損傷を低減できる。
【0015】
一実施形態の空気調和機の梱包構造では、
上記緩衝材には、上記電源コードを収容可能な収容スペースが設けられている。
【0016】
上記実施形態の空気調和機の梱包構造によれば、上記緩衝材の収容スペースに電源コードを収容することにより、緩衝材で衝撃を吸収し、電源コードが損傷するのを防ぐことができる。
【0017】
一実施形態の空気調和機の梱包構造では、
上記把手部は、上記プラグ本体を係止可能に設けられている。
【0018】
上記実施形態の空気調和機の梱包構造によれば、上記プラグ本体および電極端子を把手部に収容した際、プラグ本体を把手部に係止することにより、プラグ本体と共に電極端子を把手部で拘束できる。
【0019】
したがって、上記プラグ本体は把手部からより抜け出にくくなるので、電極端子による本体ケーシングの損傷が発生する可能性を極めて低くすることができる。
【0020】
一実施形態の空気調和機の梱包構造では、
上記把手部に上記プラグ本体および電極端子を収容し、上記プラグ本体を係止した状態で、上記電極端子は上記本体ケーシングとの間に隙間を有する。
【0021】
上記実施形態の空気調和機の梱包構造によれば、上記プラグ本体および電極端子を把手部に収容し、プラグ本体を把手部に係止する。このとき、上記電極端子と本体ケーシングとの間に隙間が形成されるので、電極端子による本体ケーシングの損傷をさらに低減できる。
【0022】
一実施形態の空気調和機の梱包構造では、
上記把手部は、上記プラグ本体が当接する一対の当接面を有し、
上記当接面同士の間の距離は、上記プラグ本体を挿入する方向に進むにつれて小さくなる。
【0023】
上記実施形態の空気調和機の梱包構造によれば、上記把手部の当接面同士の間の距離は、プラグ本体を挿入する方向に進むにつれて小さくなるので、当接面同士の間にプラグ本体を挿入すると、プラグ本体は、一対の当接面に当接し、その一対の当接面で挟持される。
【0024】
したがって、上記当接面同士の間にプラグ本体を挿入するだけで、プラグ本体を把手部に容易に係止することができる。
【0025】
一実施形態の空気調和機の梱包構造では、
上記把手部は、上記プラグ本体を係止する突起部を有する。
【0026】
上記実施形態の空気調和機の梱包構造によれば、上記把手部にはプラグ本体を係止する突起部があるので、把手部によるプラグの拘束を確実にすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の空気調和機の梱包構造によれば、空気調和機における本体ケーシングの把手部にプラグ本体および電極端子を収容した後、本体ケーシングに緩衝材を装着すると、緩衝材の規制部が、プラグ本体が把手部外に移動しないように、把手部に対するプラグ本体の移動を規制する。
【0028】
したがって、上記把手部から抜け出たプラグ本体の電極端子が本体ケーシングに接触しないようにし、電極端子による本体ケーシングの損傷を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0030】
本発明の一実施の形態の空気清浄機は、図1に示すように、ケーシング1を備え、このケーシング1は、ケーシング本体2と、このケーシング本体2に着脱可能に取り付けられた前面パネル3とからなる。なお、上記ケーシング1が本体ケーシングの一例である。
【0031】
上記ケーシング1の両側面には吸込口5を設け、ケーシング1の上面の後部に吹出口6を設けている。
【0032】
このように、上記空気清浄機では、吸込口5をケーシング1の側面に設け、吹出口6をケーシング1の上面に設けて、ケーシング1の後面7には吸込口および吹出口を無くしているから、この空気清浄機のケーシング1の後面7は、図示しない部屋の壁面に密着させることができて、この空気清浄機の設置の自由度が高くなっている。
【0033】
従来の空気清浄機は、吸込口がケーシングの後面にあるため、そのケーシングと部屋の壁面との間にある程度の大きさの隙間をあけないと、吸込抵抗が大きくなるため、部屋の壁面に密着させることができなくて、その設置の自由度が低かったのである。
【0034】
また、上記空気清浄機は、図2に示すように、電源プラグ102を備え、この電源プラグ102は、一端がケーシング本体2に連接する電源コード103と、この電源コード103の他端に連接するプラグ本体104と、このプラグ本体104の先端面から突出する一対の電極端子105,105とを有する。
【0035】
図1および2に示すように、上記ケーシング本体2の上部の各側面には、凹部からなる把手部101が設けられている。この把手部101の形状は、プラグ本体104および電極端子105,105を収容可能、かつ、プラグ本体104を係止可能な形状となっている。したがって、上記把手部101にプラグ本体104および電極端子105,105を収容し、プラグ本体104を把手部101に係止することにより、プラグ本体104がケーシング本体2に対して動かないようにし、電極端子105,105によるケーシング本体2の損傷を低減できる。
【0036】
上記把手部101は、底面106と、この底面106に連なってプラグ本体104が当接する一対の当接面107,107と、底面106に連なって電極端子105に対向する前面108とを含む。
【0037】
上記当接面107,107は互いに非平行になっており、当接面107と他の当接面107との間の距離がプラグ本体104を挿入する方向に進むにつれて小さくなっている。つまり、上記把手部101の上下方向の幅は、ケーシング本体2の後部側から前面パネル3側に近づくにつれて徐々に狭くなっている。これにより、上記ケーシング本体2の後部側からプラグ本体104を把手部101内に挿入し、前面パネル3側へ進めて行くと、プラグ本体104は、両当接面107,107に当接し、その当接面107,107で挟持される。したがって、上記プラグ本体104を把手部101に容易に係止することができる。
【0038】
上記把手部101にプラグ本体104を係止した状態において、電極端子105,105は底面106、当接面107,107および前面108との間に隙間を有する。したがって、上記電極端子105,105が底面106、当接面107,107および前面108を傷付けるのを防ぐことができる。
【0039】
また、上記実施形態の空気清浄機では、プラグ本体104および電極端子105,105を収容および係止する把手部101は、ケーシング1を貫通するものではなく、凹部であるから、把手部101を介してケーシング1内に埃などの異物が入らない。したがって、上記異物がケーシング1内に入って引き起こす故障を防ぐことができる。
【0040】
実公平04−01983号公報では、本体ケーシング内にプラグ本体および電極端子を収容するために、本体ケーシングに貫通孔を設けている。このため、上記貫通孔から埃などの異物が本体ケーシング内に入って故障を引き起こすことがある。
【0041】
また、上記実施形態の空気清浄機では、把手部101が、プラグ本体104および電極端子105,105を収容および係止するので、把手部101以外に、プラグ本体104および電極端子105,105を収容および係止するための例えば凹部を、ケーシング1に設けなくてもよい。したがって、上記ケーシング1の美観が低下するのを防ぐことができ、ケーシング1のデザインの自由度を高くできる。
【0042】
なお、図2では、吸込口5および吹出口6の図示を省略している。
【0043】
図3は、上記ケーシング1に装着する緩衝材109を後方の斜め上方から見た概略図である。また、図4は、上記緩衝材109を前方の斜め下方から見た概略図である。また、図5は、上記緩衝材109を後方の斜め下方から見た概略図である。
【0044】
図3〜5に示すように、上記緩衝材109においてケーシング1側となる表面には、当たり面イ,ロ,…,チが設けられている。また、上記緩衝材109は、電源コード103を収容可能な収容スペース110を有している。なお、上記当たり面ハ,ニは規制部の一例である。
【0045】
上記緩衝材109は、図6に示すような状態からケーシング1側に移動させて、ケーシング1に装着される。このとき、上記当たり面イはケーシング1の表面イ’に、当たり面ロはケーシング1の表面ロ’に、当たり面ハはケーシング1の表面ハ’に、当たり面ニはケーシング1の表面ニ’に、当たり面ホはケーシング1の表面ホ’に、当たり面ヘはケーシング1の表面へ’に、当たり面チはケーシング1の表面チ’にそれぞれ当たる。
【0046】
このように、上記プラグ本体104を把手部101に係止した後、ケーシング1に緩衝材109を装着すると、緩衝材109の当たり面ハ,ニが、プラグ本体104が把手部101外に移動しないように、把手部101に対するプラグ本体104の移動を規制する。
【0047】
すなわち、上記プラグ本体104は、把手部101で拘束され、かつ、当たり面ハ,ニによって把手部101外への移動が規制される。
【0048】
したがって、上記プラグ本体104の電極端子105,105がケーシング1に傷を付ける可能性を極めて低くすることができる。
【0049】
また、上記ケーシング1に緩衝材109を装着すると、電源コード103のプラグ本体104近傍の部分が緩衝材109の収容スペース110に収容されるので、電源コード103のプラグ本体104近傍の部分の損傷を防ぐことができる。
【0050】
上記実施の形態において、ケーシング1の表面イ’〜チ’以外の表面にも他の緩衝材を当てて、空気清浄機を梱包してもよい。
【0051】
上記実施の形態では、把手部101の形状は、プラグ本体104および電極端子105,105を収容可能、かつ、プラグ本体104を係止可能な形状となっていたが、プラグ本体104および電極端子105,105を収容可能な形状であれば、プラグ本体104を係止可能な形状でなくてもよい。
【0052】
例えば、上記当接面107,107の代わりに互いに平行な一組の面を設け、各面とプラグ本体104との間に隙間ができるようにしてもよい。
【0053】
このようにしても、ケーシング1に緩衝材109を装着することによって、電極端子105,105によるケーシング1の損傷の低減効果は得られる。
【0054】
上記実施の形態において、一組の当接面107,107の代わりに、図7に示す一組の当接面207,207を用いてもよい。この各当接面207には、プラグ本体104を係止する突起部208が設けられている。
【0055】
上記突起部208があることによって、プラグ本体104の係止を確実に行うことができる。
【0056】
また、上記プラグ本体104の係止ができるのであれば、互いに平行な一組の当接面を用いてもよい。この各当接面に、突起部208と同様の突起部を設けてもよい。
【0057】
本発明は、空気清浄機以外にも、冷房、暖房、除湿、加湿などのうちの少なくとも1つを行う空気調和機にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は本発明の一実施の形態の空気清浄機の斜視図である。
【図2】図2は上記空気清浄機の概略斜視図である。
【図3】図3は本発明の一実施の形態の緩衝材の概略斜視図である。
【図4】図4は上記緩衝材の他の概略斜視図である。
【図5】図5は上記緩衝材の他の概略斜視図である。
【図6】図6は上記空気清浄機への緩衝材の装着を説明するための図である。
【図7】図7は上記空気清浄機の変形例の概略斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
1 ケーシング
2 ケーシング本体
3 前面パネル
101 把手部
102 電源プラグ
103 電源コード
104 プラグ本体
105 電極端子
107,207 当接面
109 緩衝材
110 収容スペース
208 突起部
ハ,ニ 当たり面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
把手部(101)が設けられた空気調和機の本体ケーシング(1)と、
上記本体ケーシング(1)に装着される緩衝材(109)と、
一端が上記本体ケーシング(1)に連接する電源コード(103)と、この電源コード(103)の他端に連接するプラグ本体(104)と、このプラグ本体(104)の先端面から突出する電極端子(105,105)とを有する電源プラグ(102)と
を備えた空気調和機の梱包構造であって、
上記把手部(101)は、上記プラグ本体(104)および電極端子(105,105)を収容可能に設けられ、
上記緩衝材(109)は、上記本体ケーシング(1)に装着した際、上記プラグ本体(104)が上記把手部(101)外に移動しないように、上記把手部(101)に対する上記プラグ本体(104)の移動を規制する規制部(ハ,ニ)を有することを特徴とする空気調和機の梱包構造。
【請求項2】
請求項1に記載の空気調和機の梱包構造において、
上記緩衝材(109)には、上記電源コード(103)を収容可能な収容スペース(110)が設けられていることを特徴とする空気調和機の梱包構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の空気調和機の梱包構造において、
上記把手部(101)は、上記プラグ本体(104)を係止可能に設けられていることを特徴とする空気調和機の梱包構造。
【請求項4】
請求項3に記載の空気調和機の梱包構造において、
上記把手部(101)に上記プラグ本体(104)および電極端子(105,105)を収容し、上記プラグ本体(104)を係止した状態で、上記電極端子(105,105)は上記本体ケーシング(1)との間に隙間を有することを特徴とする空気調和機の梱包構造。
【請求項5】
請求項3または4に記載の空気調和機の梱包構造において、
上記把手部(101)は、上記プラグ本体(104)が当接する一対の当接面(107,107,207,207)を有し、
上記当接面(107,107,207,207)同士の間の距離は、上記プラグ本体(104)を挿入する方向に進むにつれて小さくなることを特徴とする空気調和機の梱包構造。
【請求項6】
請求項3から5までのいずれか一項に記載の空気調和機の梱包構造において、
上記把手部(101)は、上記プラグ本体(104)を係止する突起部(208)を有することを特徴とする空気調和機の梱包構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−58819(P2010−58819A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−227917(P2008−227917)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】