説明

空気調和機の清掃装置及び空気調和機

【課題】空気調和機のフィルターと清掃体に付着した塵埃を、効率よく、確実に除去できるための清掃装置を提供すること。
【解決手段】本体に設けられた吸込口と吹出口を結ぶ空気通路に、除塵用のエアフィルターを配置してなるエアコンディショナーや送風機、加湿器、除湿機、換気扇、あるいは空気清浄機等の空気調和機において、前記エアフィルターに付着した塵埃を除去する手段として、ロータに少なくとも1条以上の清掃体が取り付けられた回転ロータを有し、前記回転ロータは、駆動手段で正逆に回転可能であることにより、複数の清掃手段ができ、また複数の清掃面を使用することができるため、空気調和機のエアフィルターに付着した塵埃を、効率よく確実に除去でき、且つ前記清掃体自身に付着した塵埃も除去できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアコンディショナーや送風機、加湿器、除湿機、換気扇、あるいは空気清浄機等の空気調和機に配置されたエアフィルターの清掃装置及び、それを用いた空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和機には、吸込口と熱交換器との間に、空気調和機本体内部への塵埃侵入を防ぐためにエアフィルターが配置されており、空気調和機の運転に伴い吸込口から空気と共に侵入する塵埃を捉える機能を有している。このため、エアフィルターには捉えた塵埃が徐々に付着するとともに、目が徐々に詰まってしまい風量を低下させてしまうので、空気調和機本体から着脱可能に構成され、定期的にエアフィルター表面を電気掃除機等で吸引したり、洗浄したりしなければならなかった。
【0003】
これに対し、エアフィルターの上流側表面に沿って移動することができる吸引口を有する吸引ノズルと、この吸引ノズルに連結された吸引装置を空気調和機本体に設けて、吸引口からエアフィルター表面に付着した塵埃を吸引することで、エアフィルターを取り外すことなくエアフィルターの自動清掃が行える構造が考案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、空気調和機本体内に、フィルターを本体キャビネットの内外に向けて、往復的に移動させるスライド手段と、フィルターの移動経路に沿ってフィルターと接触するように配置されたフィルター清掃部を設けて、フィルター清掃部内に設けられた清掃ブラシでフィルターを両側から挟みこむような構造とし、フィルターをスライドさせることによって清掃ブラシでフィルター両面を清掃することができ、且つ、フィルター清掃部内に溜まった塵埃を、フィルター清掃部を開閉させることで簡単に回収できる、という構造も考案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−140405号公報
【特許文献2】特開2004−28487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたような従来の空気調和機においては、吸引口の開閉面積を絞ることで風量を落として、吸引圧力を高めている。このような吸引ノズルで塵埃を除去しようとすると、エアフィルター表面に浮いたような状態で乗っている綿埃等は容易に吸引できるが、吸引力のみでは、エアフィルターの網目に絡んだ塵埃や、油分を含む塵埃等を、清掃ブラシのように掻き出して剥離させることはできず、エアフィルターにこびりついた塵埃を確実に除去することは非常に困難であった。
【0007】
また、上記特許文献2に開示されたような従来の空気調和機においては、清掃ブラシでフィルターを挟み込んでいるため、フィルター両面の塵埃を同時に清掃できるが、フィルターの表面を一定の緩やかな速度で移動する清掃ブラシでは、フィルターの表面をなでるだけで、擦る効果は少なく、フィルター表面に浮いたような状態で乗っている綿埃等は除去できるが、フィルターの網目に絡んだ塵埃や、油分を含む塵埃等を擦り取るように、完全に剥離させるまで掻き出すことはできず、フィルターにこびりついた塵埃を確実に除去することは非常に困難であった。
【0008】
また、除去された塵埃が清掃ブラシの繊維間に入り込み、清掃ブラシ自身が汚れてしまうという欠点を有していた。更に、清掃ブラシの繊維間に入り込んだ塵埃が、フィルター清掃を繰り返しているうちに、フィルター面へ再付着してしまうこともあり、頻繁に清掃ブラシ及び、これを含むフィルター清掃部を掃除しなければならないという欠点も有していた。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、空気調和機のエアフィルターに付着した塵埃を、効率よく、確実に除去でき、且つ、清掃体自身に付着した塵埃も除去でき、清潔で、除塵効果も低下せず、長期間に亘ってエアフィルターの目詰まりのない状態で使用することができる空気調和機の清掃装置及び、空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明では、本体に設けられた吸込口と吹出口を結ぶ空気通路に、除塵用のエアフィルターを配置してなるエアコンディショナーや送風機、加湿器、除湿機、換気扇、あるいは空気清浄機等の空気調和機において、前記エアフィルターに付着した塵埃を除去する手段として、ロータに少なくとも1条以上の清掃体が取り付けられた回転ロータを有し、前記回転ロータを、駆動手段で正逆に回転可能な構造としたため、1条の清掃体において、正回転時にエアフィルターに当接する清掃面、逆回転時にエアフィルターに当接する清掃面の夫々に異なった機能を持たせることが可能となり、エアフィルターに対して叩く、掻き出す、拭く等の複数の清掃手段を用いることができ、空気調和機のエアフィルターに付着した塵埃を、効率よく確実に除去できる。
【0011】
また、回転ロータの正回転時には、エアフィルターに付着した塵埃を除去し、逆回転時には、清掃体自身に付着した塵埃を除去するというような機能を付加することも可能である。
【0012】
また、本発明の空気調和機は、空気調和機本体に設けられた吸込口と吹出口を結ぶ空気通路に、除塵用のエアフィルターを配置するとともに、請求項1〜6の何れかに記載の清掃装置を有しているので、回転ロータの正回転、逆回転によって複数の清掃手段を用いることで効率よく確実にエアフィルターに付着した塵埃が除去でき、更に、清掃体自身に付着した塵埃も除去できるので、本体の風量低下が非常に小さく、消費電力も抑えることができる。また、長期間に亘ってエアフィルター及び、回転ロータのメンテナンスが不要となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の空気調和機の清掃装置は、ロータに少なくとも1条以上の清掃体が取り付けられた回転ロータを有し、前記回転ロータは、駆動手段で正逆に回転できるため、エアフィルターの表面を往復移動させる際、前記回転ロータは進行方向に対してそれぞれ同じ方向に回転させることができる。従って回転ロータは、往復ともにエアフィルターに同じ状態で掻き込みながら清掃ができるため、より大きな清掃効果が期待できる。また回転ロータが正逆に回転できるため、清掃面の形状を清掃目的に合わせれば、複数の清掃効果が期待できる。
【0014】
また回転ロータを逆回転させた時に、清掃体自身に付着した塵埃を除去する構造にすることも可能である。従って、エアフィルターに付着した塵埃を、効率よく確実に除去でき、且つ前記清掃体自身に付着した塵埃も除去できる。清潔で、長期間に亘って前記エアフィルターの目詰まりのない状態で使用することができるため、空気調和機の性能も維持され、且つエアフィルターを取り外して塵埃の清掃を行う必要もなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
第1の発明は、本体に設けられた吸込口と吹出口を結ぶ空気通路に、除塵用のエアフィルターを配置してなる空気調和機において、前記エアフィルターに付着した塵埃を除去する手段として、ロータに少なくとも1条以上の清掃体が取り付けられた回転ロータを有し、前記回転ロータは、駆動手段で正逆に回転できるようにしたもので、1条の清掃体において、正転、逆転夫々に異なった清掃手段を持たせることができ、エアフィルターに付着した塵埃を効率よく確実に除去できる。また、回転ロータを逆回転させた時に、清掃体自身に付着した塵埃を除去する構造にすることも可能である。
【0016】
また、回転ロータが回転しながらエアフィルターの表面に沿って往復移動する場合、回転ロータの回転方向を往路、復路で切り替えることで、常にエアフィルターに対して同じ状態で清掃体を当てることが可能となり、効率よく塵埃の除去が行える。
【0017】
第2の発明は、第1の発明の清掃体が、回転ロータが正逆に回転する際に、それぞれの回転方向側の面がエアフィルターに接触するようにしたもので、清掃面の形状を清掃目的に合わせれば、複数の清掃効果が期待できる。例えば、回転ロータが正回転する際には、清掃体の正回転時における回転方向側の面に、エアフィルターを叩いたり、加振したり、塵埃を掻き取ったりする機能を持たせ、回転ロータが逆回転する際には、清掃体の逆回転時における回転方向側の面にエアフィルターを擦ったり、磨いたり、または、清掃体自身の除塵を行ったりする機能を持たせる等、目的に合わせて形状、材質を選択することで1条の清掃体で回転方向によって異なる機能を持たせることが可能になる。
【0018】
第3の発明は、第1または第2の発明の回転ロータの断面において、清掃体の長手方向の中心線が、ロータの中心を通らないようにしたもので、回転ロータが正回転した場合と逆回転した場合とでは、清掃体が異なった角度でエアフィルターに接触するため、夫々異なった清掃効果を持たせることができる。
【0019】
エアフィルターに対して、清掃体の先端側が根元側より先行する方向に回転ロータが回転する際には、清掃体の先端でエアフィルターの表面を叩きつけて、且つ引っ掻くような作用が発生し、エアフィルターに付着した塵埃を強力に除去できる。
【0020】
また、エアフィルターに対して、清掃体の根元側が先端側より先行する方向に回転ロータが回転する際には、清掃体は回転方向に対して後方にしなやかに撓み、エアフィルターの表面を撫でるような作用が発生し、エアフィルターに対して拭き、磨き効果を発揮でき、摺動抵抗も小さくなるため消費電力を抑えることもできる。
【0021】
また、清掃体の根元側が先端側より先行する方向に回転ロータが回転する際に、清掃体を除塵体に接触させることで、エアフィルターを清掃した際、清掃体自身に付着した塵埃を効率よく除去することができる。
【0022】
また、清掃体の長手方向の中心線が、ロータの中心を通らないようにしているため、清掃体の高さを充分に確保した状態で、回転ロータの回転外径を小さくすることができる。そのため、空気調和機の小型化も可能になる。
【0023】
第4の発明は、第1〜3の発明の回転ロータを構成するロータの断面形状を略扁平状に形成したもので、ロータは厚みがうすいため、清掃体を取り付けた際、回転ロータの回転外径寸法を小さくできる。従って、空気調和機の小型化も可能になる。また、ロータの中心部をずらして清掃体を取り付けても、ロータが略扁平で厚みが薄いため、回転ロータの回転外径寸法を小さくしても、清掃体の毛丈を充分に確保することができる。
【0024】

更に、ロータ断面が略扁平形状なので、回転ロータ断面において、回転外径内に広い空間部が確保でき、この空間部を、塵埃を移送するための塵埃通路として利用することができる。よって、回転ロータの回転外径の外に、塵埃移送用の空間部を別途設ける必要が無いので、省スペース化が図れ、空気調和機本体の小型化につながる。
【0025】
第5の発明は、第1〜4の発明の回転ロータを構成するロータを金属材料で形成したもので、ロータの強度が高まり、その分、ロータを小径に形成したり、或は略扁平形状にすることができ、省スペース化となる。また、特に、空気調和機のような、一般的に横長の本体においては、エアフィルターが長尺になるため、空気調和機用回転ロータにも長尺が要求されるが、ロータを金属材で形成することで、必要な強度の確保が容易になる。また、反り等の変形も発生しにくくなり、仕上がり精度の良い空気調和機用回転ロータで掃除効率が向上する。
【0026】
第6の発明は、第1〜5の発明の回転ロータを構成する清掃体を、回転ロータの長手方向の軸の周りに螺旋状に形成したもので、回転ロータが正逆に回転すると、清掃体は連続的に滑らかに、かつ均一にエアフィルターに当たるため、音が静かでむらが無く効率よく、均一に且つ確実に塵埃を除去することができる。また、摺動抵抗が分散され、それによって空気調和機用回転ロータを回転駆動する駆動手段の消費電流が少なくて済む。
【0027】
第7の発明は、空気調和機本体内に、請求項1〜6の何れかの清掃装置を有しているので、効率の良いエアフィルター或は清掃体自身の除塵ができるため、エアフィルターの目詰まりが起こらず、常に安定した風量を確保でき、運転効率も良い、空気調和機を提供することができる。
【0028】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0029】
本発明の第1の実施例における空気調和機の清掃装置について、図1を用いて説明する。
図1において、空気調和機本体1は、熱交換器4と、室内の空気を取り入れる吸込口2と、前記熱交換器4と前記吸込口2の間に配され、前記吸込口2から流入する空気中に含まれる塵埃を捕集するエアフィルター5と、前記エアフィルター5の上流側に配されると共に、前記エアフィルター5で捕集された塵埃を除去する回転ロータ7と、前記回転ロータ7の正逆回転を切替え可能な状態で回転駆動するための回転駆動手段8と、前記回転ロータ7を前記エアフィルター5の上流側の表面に沿って上下方向に移動させる上下移動手段(図示せず)と、前記吸込口2から室内の空気を吸引し、エアフィルター5、熱交換器4を通して、吹き出し口3から、熱交換された空気を室内に吹き出す送風ファン6とを備えている。
【0030】
次に、図2、3を用いて回転ロータ7の構成について説明する。
図2、3において、回転ロータ7は、アルミニウムなどの金属材料からなり、外周に、且つ長手方向に螺旋状に形成された支持溝13を有するロータ9と、エアフィルター5に付着した塵埃を掻き取る清掃体10と、ロータ9の両端に固着され、中心部に各々軸24を一体に有するプーリー22及び、歯付プーリー23、更に、軸24を回転自在に軸支する軸受25及び、この軸受25を保持するホルダー26から構成されている。前記支持溝13の断面形状は、図3に示すように略T字状になっている。
【0031】
清掃体10は、ゴムなどの軟質材からなり、前記支持溝13に挿脱自在の基部34と、清掃片35から構成されている。尚、清掃体10の材質は、軟質材などに限らず、パイル状に植設されたブラシで形成しても良い。また、清掃体10は、単体の状態では、図3に示すように直線状になっているが、その基部34を、ロータ9の螺旋状の支持溝13に挿入することにより、清掃体10の清掃片35がロータ9の外周に螺旋状に設けられることになる。
【0032】
次に、ロータ9の製造、加工方法についていくつか述べる。
第1の方法は、捩り押出し金型にて、ロータ9の材料を捩りながら押出すもので、1工程で目的の捩り角度に仕上げることができる。ただ、反り、うねりが生じやすく精度が確保しにくく、また、捩り角度が大きくなるほどこの傾向が顕著になるという難点があり、捩り角度は、360度程度が限界で、それ以上は実用上製品にならない。
【0033】
第2の方法は、ロータ9の材料を金型で捩りながら押出して、一旦目的の捩り角度より小さな角度のロータ9を作り、このロータ9を後加工にて、目的の捩り角度まで捩って仕上げるもので、後加工が最小限に抑えられるので、断面形状の歪も少なく、精度のよいロータ9を製造することができる。唯一の欠点は、工程が2段階になることである。
【0034】
第3の方法は、ロータ9の材料をまっすぐに押出して、後加工で、目的の捩り角度まで捩って仕上げるもので、1工程(直線押出し)による製品素材の精度が非常に高く、これを元に後加工で捩るため、捩りによる歪が小さく精度のよいロータ9を製造することができる。また、後捩り加工により、同一金型でも自由にロータ9の捩り角度を設定することができる。欠点としては、中空素材や、大径の素材は捩り加工による断面変形が生じやすく、あまり大きな捩り角度には向かない。
【0035】
第4の方法は、同一ライン上に捩り方向に回転する可動盤等の設備を設けて、金型で、ロータ9の材料を押出しながら、同時に捩り加工も行い、目的の捩り角度に仕上げる製法で、捩り工程を別に設ける必要が無く、また、可動盤の回転速度で自由に捩り角度が設定できるというメリットがあるが、設備が複雑になるという欠点がある。
【0036】
したがって、ロータ9の製造にあたっては、ロータ9の断面形状、材質、厚み、強度、捩り角度、必要な精度等を勘案し、製造方法、加工方法を適宜決定するようにすると良い。例えば、合成樹脂であれば、射出成形によって、ロータ9を完成させてもよい。製造方法に関しても、上記方法に拘らず、目的の形状を完成できる方法であれば問わない。又、本実施例では、ロータ9を螺旋形状で説明しているが、もちろん、捩っていない状態で使用してもよいものである。
【0037】
次に、本実施例における回転ロータ7及びそれを搭載した空気調和機の動作を説明する。
【0038】
空気調和機の本体1を、例えば、冷房運転すると、送風ファン6により室内の空気が吸込口2から流入し、エアフィルター5を通って熱交換器4に至り、そこで冷却され、冷たい空気が吹き出し口3から室内に吹き出される。吸込口2から吸引される室内の空気に含まれる塵埃は、エアフィルター5で捕集され、エアフィルター5の表面に次第に堆積していく。エアフィルター5の表面に塵埃が堆積してくると、空気の通気圧損が増加し、熱交換器4での熱交換効率が低下してくるので、定期的に或いは、必要に応じて、エアフィルター5に堆積した塵埃の除去運転が必要となる。
【0039】
塵埃の除去運転の開始に当たり、回転ロータ7は、図1に示すように、エアフィルター5の下端近傍に位置している。塵埃の除去運転を開始すると、ギヤ(図示せず)、ベルト(図示せず)を介して、歯付プーリー23に回転駆動手段8の駆動が伝達され、回転ロータ7が矢印Aの方向に回転すると共に、その回転する回転ロータ7が上下移動手段(図示せず)で、エアフィルター5の表面に沿って上方に移動する。この間に、清掃体10の清掃片35の先端で、エアフィルター5に付着堆積した塵埃が掻き落とされる。掻き落とされた塵埃は、図示しない塵埃吸引手段で吸引されると共に、屋外に排出されるようになっている。
【0040】
次に、上下移動手段により、回転ロータ7が、エアフィルター5の上端まで達すると、回転駆動手段8により回転ロータ7が矢印Bの方向に回転方向を切り替えられると共に、その回転する回転ロータ7が上下移動手段(図示せず)で、エアフィルター5の表面に沿って下方に移動する。その後回転ロータは次回の塵埃の除去運転用に、エアフィルター5の下端近傍で停止するようになっている。
【0041】
この様に、回転ロータ7は正逆に回転が可能なため、回転ロータ7は進行方向に対してそれぞれ同じ方向に回転させることができる。従って回転ロータ7は、往復ともにエアフィルター5に同じ状態で掻き込みながら清掃ができるため、より大きな清掃効果を発揮する。
【0042】
本実施例における回転ロータ7を構成するロータ9は、アルミニウムなどの金属材料で形成されているので、ロータ9の強度が高まり、その分、ロータ9を小径に形成することができ、省スペース化となる。また、特に、空気調和機のような、一般的に横長の本体においては、エアフィルター5が長尺になるため、空気調和機用回転ロータ7にも長尺が要求されるが、ロータ9を金属材料で形成することで、必要な強度の確保が容易になる。また、反り等の変形も発生しにくく、仕上がり精度の良い空気調和機用回転ロータ7となり、掃除効率が向上する。
【0043】
また、清掃体10は、ロータ9の螺旋状の支持溝13に挿入することにより、清掃片35がロータ9の軸の周りに螺旋状に設けられているので、清掃片35は連続的に滑らかに、かつ均一にエアフィルター5に当たるため、音が静かでむらが無く効率よく、均一に且つ確実に塵埃を除去することができる。また、摺動抵抗が分散され、それによって空気調和機用回転ロータ7を回転駆動する回転駆動手段8の消費電流が少なくて済む。
【0044】
また、熱交換器4と、前記熱交換器4の上流側に設けられたエアフィルター5を内蔵した空気調和機本体1に本実施例における回転ロータ7を用いた清掃装置を設けることにより、エアフィルター5の目詰まりが起こらず、常に安定した風量を確保でき、運転効率も良いので、性能も維持されて空気調和機本体の消費電力も節約できる。且つ、エアフィルター5を取り外して塵埃の清掃を行う必要もなくなり、メンテナンスの頻度が大幅に低減できる。
【実施例2】
【0045】
図4及び図5は、本発明の実施例2における、エアフィルターに付着した塵埃41の清掃装置を構成する回転ロータ17の清掃状態を示す断面図である。なお、実施例1と重複する内容についてはその説明を省略する。ロータ9と、表側清掃面11及び裏側清掃面12を有する清掃体30で形成された回転ロータ17は、図4に示すように回転駆動手段(図示せず)により、矢印Cの方向に回転すると、表側清掃面11が、エアフィルター5の表面に当接し、表側清掃面11の表面に複数形成された突起31によりエアフィルター5の表面に付着した塵埃41を引っ掻く様に掻き出す。また、突起31が断続的にエアフィルター5に振動を与え、塵埃41を表面上に浮かせる効果も有している。
【0046】
また、図5に示すように回転ロータ17を矢印Dの方向に回転させれば、裏側清掃面12がエアフィルター5に当接する。裏側清掃面は表面が平滑なため、撓みながら滑らかにエアフィルター5の表面上を摺動し、エアフィルター5の表面に堆積した塵埃41を除去することができる。このように、回転ロータ17が正逆に回転できるため、清掃体30の清掃面の形状を清掃目的に合わせれば、複数の清掃効果を持たせることができる。
【0047】
また、本実施例では清掃体30は回転方向に対して傾斜しない状態で取り付けているが、清掃体30を回転方向に対して傾斜させて、回転ロータ17を、清掃体30の基部34より先端36が先行する方向に回転させると、清掃体30の先端36は、エアフィルター5に対して突き刺さるように接するため、エアフィルター5を叩いたり、加振したり、塵埃41を掻き取ったりでき、また、逆に回転ロータ17を、清掃体30の先端36より基部34が先行する方向に回転させると、清掃体30はエアフィルター5に対して滑らかに当たるため、エアフィルター5を擦ったり、磨いたりすることが可能になる。
【0048】
また、熱交換器4と、前記熱交換器4の上流側に設けられたエアフィルター5を内蔵した空気調和機本体1に本実施例における回転ロータ17を用いた清掃装置を設けることにより、エアフィルター5の目詰まりが起こらず、常に安定した風量を確保でき、運転効率も良いので、性能も維持されて空気調和機本体の消費電力も節約できる。且つ、エアフィルター5を取り外して塵埃41の清掃を行う必要もなくなり、メンテナンスの頻度が大幅に低減できる。
【実施例3】
【0049】
図6及び図7は、本発明の実施例3における、エアフィルター5と清掃体20に付着した塵埃41の清掃装置を構成する回転ロータ27の清掃状態を示す断面図である。
【0050】
回転ロータ27を構成するロータ19は、材質がアルミニウムのような金属を使用し、断面形状が略扁平に形成され、清掃体20を挿入固定するための支持溝13を、ロータ19断面における長辺側の両端部近傍に設けている。
【0051】
ロータ19の支持溝13には清掃体20の基部39が挿入固定されており、その際、清掃体20の長手方向の中心線L1が、回転ロータ27の断面において、ロータ19の回転中心32を通らないようにしている。
【0052】
清掃体20は、基部39と、この基部39にパイル状に植設されたブラシで形成される清掃片40とから構成されている。
【0053】
このように構成した回転ロータ27は、回転方向が正回転と逆回転の場合では、清掃体20の清掃片40は異なった角度でエアフィルター5に接触するため、夫々異なった清掃効果を持たせることができる。
【0054】
図6に示すように回転ロータ27が矢印Eの方向に回転する際には、清掃体20の清掃片40はエアフィルター5に対して突き刺さる様な状態で当接するため、強くエアフィルター5を叩いたり、加振したり、塵埃41を掻き取ったりでき、エアフィルター5に付着した塵埃41を効率よく除去する。
【0055】
また、図7に示すように回転ロータ27が矢印Fの方向に回転する際には、清掃体20の清掃片40はエアフィルター5に対して滑らかに、掃いたり拭いたりするように接触するので、エアフィルター5の拭き清掃ができる。
【0056】
また、同じく回転ロータ27が矢印Fの方向に回転する際に、この回転方向とは逆方向に傾斜した除塵子37を有する除塵体38を回転ロータ27の回転外径近傍に設け、除塵子37に清掃片40を接触させることで、エアフィルター5を掃除した際に付着した、清掃体20自身の塵埃41を効率よく除去することができる。除塵子37によって回収された塵埃41は、別途吸引装置(図示せず)を用いて吸引回収したり、集塵ボックス(図示せず)を除塵体38近傍に設けて回収してもよい。
【0057】
このようにして、清掃片40は常に除塵子37によって除塵されるため、常に清潔な状態でエアフィルター5を清掃することができ、清掃片40からエアフィルター5への塵埃41の再付着も防止できる。この際、除塵子37は特に傾斜した状態で図示しているが、傾斜せずに除塵子37が垂直方向に向いていても問題はない。材質も特に問わず、除塵子37はブラシで形成したり、プラスチックや金属等で櫛状に形成したりしてもよい。
【0058】
本実施例では、清掃体20の長手方向の中心線L1が、ロータ19の回転中心32を通らないようにしているため、清掃体20の高さを充分に確保した状態で、回転ロータ27の回転外径を小さくすることができる。そのため、空気調和機の小型化も可能になる。
【0059】
また、清掃体20を挿入固定するための支持溝13を、略扁平形状に形成したロータ19の長片側両端部近傍に設けているため、清掃体20の基部39と、ロータ19の回転中心32との距離を容易に確保できるため、ロータ19の外径、及び回転ロータ27の回転外径を小さくすることができる。そのため、空気調和機の小型化も可能になる。
【0060】
更に、ロータ19断面が略扁平形状なので、回転ロータ27断面において、回転外径内に広い空間部33が確保でき、この空間部33を、塵埃41を移送するための塵埃通路として利用することができる。よって、回転ロータ27の回転外径の外に、塵埃移送用の空間を別途設ける必要が無いので、省スペース化が図れ、空気調和機本体の小型化につながる。
【0061】
また、ロータ19の材質をアルミニウムのような金属で形成しているため、ロータ19の断面形状が略扁平に形成されて厚みが薄くなっても、十分な強度が確保されるので、ロータ19の外径を大きくすることなく、回転ロータ27に使用できる。
【0062】
また、ロータ19の支持溝13を、長手方向の軸の周りに螺旋状に形成して、清掃体20の清掃片40が螺旋状に捩られた回転ロータ27を形成しているため、回転ロータ27が回転すると、清掃片40は連続的に滑らかに、かつ均一に、エアフィルター5の表面に当たるため、音が静かでむらが無く効率よく、かつ確実に塵埃41を除去することができる。また、摺動抵抗が分散され、それによって空気調和機用回転ロータ27を回転駆動する回転駆動手段の消費電流が少なくて済む。
【0063】
また、熱交換器4と、前記熱交換器4の上流側に設けられたエアフィルター5を内蔵した空気調和機本体1に本実施例における回転ロータ27を用いた清掃装置を設けることにより、エアフィルター5の目詰まりが起こらず、常に安定した風量を確保でき、運転効率も良いので、性能も維持されて空気調和機本体の消費電力も節約できる。且つ、エアフィルター5を取り外して塵埃41の清掃を行う必要もなくなり、メンテナンスの頻度が大幅に低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明にかかる空気調和機の清掃装置、及び空気調和機は、エアフィルターの清掃装置として優れた性能を有し、エアコンディショナーや空気清浄機は勿論、エアフィルターを有する機器であれば、そのエアフィルターの清掃装置にも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施例1における空気調和機本体の要部断面図
【図2】同回転ロータの一部を断面にした正面図
【図3】同回転ロータの組立状態を示す部分斜視図
【図4】本発明の実施例2における回転ロータ及びその周辺部を示す要部断面図
【図5】本発明の実施例2における回転ロータ及びその周辺部を示す要部断面図
【図6】本発明の実施例3における回転ロータ及びその周辺部を示す要部断面図
【図7】本発明の実施例3における回転ロータ及びその周辺部を示す要部断面図
【符号の説明】
【0066】
1 空気調和機本体
2 吸込口
3 吹出口
4 熱交換器
5 エアフィルター
6 送風ファン
7 回転ロータ
8 回転駆動手段
9、19 ロータ
10、20、30 清掃体
11 表側清掃面
12 裏側清掃面
13 支持溝
7、17、27 回転ロータ
31 突起
35、40
清掃片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に設けられた吸込口と吹出口を結ぶ空気通路に、除塵用のエアフィルターを配置してなる空気調和機において、前記エアフィルターに付着した塵埃を除去する手段として、ロータに少なくとも1条以上の清掃体が取り付けられた回転ロータを有し、前記回転ロータは、駆動手段により正逆に回転可能な空気調和機の清掃装置。
【請求項2】
回転ロータが正逆に回転した時、清掃体は、少なくともそれぞれの回転方向側の面がエアフィルターに接触することを特徴とする、請求項1記載の空気調和機の清掃装置。
【請求項3】
回転ロータの断面において、清掃体の長手方向の中心線が、ロータの中心を通らないようにしたことを特徴とする、請求項1又は2記載の空気調和機の清掃装置。
【請求項4】
回転ロータを構成するロータの断面形状を略扁平状に形成したことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の空気調和機の清掃装置。
【請求項5】
回転ロータを構成するロータを金属材料で形成したことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の空気調和機の清掃装置。
【請求項6】
少なくとも清掃体は、回転ロータの長手方向の軸の周りに螺旋状に形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の清掃装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうち、何れかに記載の清掃装置を有する、空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−232229(P2007−232229A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−50646(P2006−50646)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】