説明

空気調和機の風量調整装置

【課題】機外静圧をユニット自身で判定し、その機外静圧において定格の風量が得られるように、風量を迅速にかつ精度よく調整することができる空気調和機の風量調整装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ユニット本体内に熱交換器、DCファンモータ12が内蔵され、熱交換器で温調された空気がユニット本体に接続される吹出しダクトを介して室内に吹出されるタイプの空気調和機の風量調整装置において、風量調整装置は、予め設定されている2点の回転数でDCファンモータ12を運転し、その際にモータ制御回路22側からDCファンモータ12に出力されるモータ出力値を読み取り、2点の回転数でのモータ出力値の差から機外静圧を判定し、その機外静圧に基づいて静圧設定毎の回転数テーブルから定格風量が得られるようにDCファンモータ12の回転数を設定する風量調整回路25を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温調された空気をユニット本体に接続されているダクトを介して室内に吹出すタイプの空気調和機の風量調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱交換器およびファンが内蔵されているユニット本体内で温調された空気を、例えば天井内部等に配設されているダクトを介して室内に吹出すようにしたダクト形の空気調和機では、ファン用のモータにACモータが採用されていた。この場合、一定出力でファンが運転されるため、ダクトの長さや径あるいはその形状等によって通風抵抗が変わり、それによって決まる機外静圧を把握する術がなかった。従って、古い建物等において、ダクトをそのまま流用して空気調和機を据え付けた場合、機外静圧が大きいと、風量がダウンして能力が低下し、逆に機外静圧が小さいと、風量が多すぎてドラフト悪化となる等の問題があった。
【0003】
そこで、ダクトの長さや径あるいは形状等によって圧力損失が変化しても、指示された一定風量で運転することができるとともに、風量を検出する特別なセンサ等を設けることなく、風量を一定に制御することができるように構成された換気装置用風量一定制御DCファンモータが特許文献1に提示されている。
【0004】
このDCファンモータは、運転風量を指示する風量指示手段によって指示された風量で運転するための、DCモータの各印加電圧での回転数を記憶する記憶手段を備え、回転数検出手段によって検出されたDCモータの運転回転数と、記憶手段に記億された現在の指示風量と印加電圧の両方に対応する規定回転数とを比較し、運転回転数と規定回転数とが同回転数となるようにDCモータに対する印加電圧を制御する電圧制御手段を備えた構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3012721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示されたものは、予め設定しておいた電圧をDCモータに印加して運転を開始し、回転数検出手段で検出されたモータの運転回転数Naと、記憶手段に記億された現在の指示風量Qmと印加電圧Vaの両方に対応する規定回転数Nmaとを比較し、運転回転数Naと規定回転数Nmaが同回転数となるまでモータに対する印加電圧を増減しながら繰り返し運転することにより、指示風量を確保し、一定風量での運転を可能としたものであり、このため、調整に時間がかかるとともに、単に運転回転数が規定回転数となるように印加電圧を制御するものである故、制御回路部品や電源電圧、モータ指令電圧等のバラツキを吸収することできず、一定風量に精度よく調整することができない等の課題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ダクトの長さ、径、形状等により変わる機外静圧をユニット自身で判定し、その機外静圧において定格の風量が得られるように、風量を迅速にかつ精度よく調整することができる空気調和機の風量調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明の空気調和機の風量調整装置は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる空気調和機の風量調整装置は、ユニット本体内に熱交換器およびDCファンモータが内蔵され、前記熱交換器で温調された空気がユニット本体に接続される吹出しダクトを介して室内に吹出されるタイプの空気調和機の風量調整装置において、前記風量調整装置は、予め設定されている2点の回転数で前記DCファンモータを運転し、その際にモータ制御回路側から前記DCファンモータに出力されるモータ出力値を読み取り、前記2点の回転数でのモータ出力値の差から機外静圧を判定し、該機外静圧に基づいて静圧設定毎の回転数テーブルから定格風量が得られるようにDCファンモータの回転数を設定する風量調整回路を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、予め設定されている2点の回転数でDCファンモータを運転し、その際にモータ制御回路側からDCファンモータに出力されるモータ出力値を読み取り、2点の回転数でのモータ出力値の差から機外静圧を判定し、該機外静圧に基づいて静圧設定毎の回転数テーブルから定格の風量が得られるようにDCファンモータの回転数を設定する風量調整回路を備えているため、空気調和機を据え付け後、予め設定されている2点の回転数でDCファンモータを運転することにより、その時のモータ出力値の差からユニット自身で機外静圧を判定し、該機外静圧に基づいて静圧設定毎の回転数テーブルから定格の風量が得られるようにDCファンモータの回転数を設定することによって、風量の調整を迅速に行うことができる。従って、空気調和機を指示された風量を確保して運転し、機外静圧が高い場合の風量ダウンによる能力低下や機外静圧が低い場合の風量アップによるドラフトを防止することができる。また、2点の回転数でのモータ出力値の差から、機外静圧を判定するようにしているため、コントローラ側の回路部品や電源電圧あるいはモータ出力値等のバラツキを吸収し、風量を精度よく調整することができる。
【0010】
さらに、本発明の空気調和機の風量調整装置は、上記の空気調和機の風量調整装置において、前記風量調整回路は、前記DCファンモータを予め設定されている2点の回転数A,Bで運転する運転指令手段と、該運転指令手段からの指令により前記モータ制御回路から前記DCファンモータに出力されるモータ出力値を読み取り、そのモータ出力値の差を算出する演算手段と、該演算手段により算出されたモータ出力値の差から判定表に基づいて機外静圧を判定する判定手段と、その機外静圧に基づいて前記静圧設定毎の回転数テーブルから定格風量が得られるように前記DCファンモータの回転数を設定する回転数設定手段と、前記判定表、静圧設定毎の回転数テーブル等のデータを記憶する記億手段とから構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、風量調整回路が、DCファンモータを予め設定されている2点の回転数A,Bで運転する運転指令手段と、該運転指令手段からの指令によりモータ制御回路からDCファンモータに出力されるモータ出力値を読み取り、そのモータ出力値の差を算出する演算手段と、該演算手段により算出されたモータ出力値の差から判定表に基づいて機外静圧を判定する判定手段と、その機外静圧に基づいて静圧設定毎の回転数テーブルから定格風量が得られるようにDCファンモータの回転数を設定する回転数設定手段と、判定表、静圧設定毎の回転数テーブル等のデータを記憶する記億手段とから構成されているため、空気調和機の据え付け後において、運転指令手段の指令により予め設定されている2点の回転数A,BでDCファンモータを運転し、その時のモータ出力値を読み取り、その出力値の差を演算手段により演算し、その値から判定手段により機外静圧を判定し、該機外静圧に基づいて静圧設定毎の回転数テーブルから、回転数設定手段により定格風量が得られるようにDCファンモータの回転数を設定することができる。従って、ダクトの長さや径、形状等により変わる機外静圧をユニット自身で判定し、その機外静圧において定格の風量が得られるように、風量を迅速にかつ精度よく調整することができる。
【0012】
さらに、本発明の空気調和機の風量調整装置は、上記の空気調和機の風量調整装置において、前記モータ制御回路から前記DCファンモータに出力される前記出力値は、回転数指令電圧VspAおよびVspBとされ、前記演算手段は、前記回転数指令電圧VspAおよびVspBを読み取り、その差ΔVspを算出し、前記判定手段は、前記演算手段により算出されたΔVspに基づいて前記吹出しダクト側の機外静圧を判定し、前記回転数設定手段は、その機外静圧に基づいて静圧設定毎の回転数テーブルからDCファンモータの回転数を設定する機能を有していることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、モータ制御回路からDCファンモータに出力される出力値が、回転数指令電圧VspAおよびVspBとされ、演算手段が、回転数指令電圧VspAおよびVspBを読み取り、その差ΔVspを算出し、判定手段が、演算手段により算出されたΔVspに基づいて機外静圧を判定し、回転数設定手段が、その機外静圧に基づいて静圧設定毎の回転数テーブルからDCファンモータの回転数を設定する機能を有するため、通常の運転時にモータ制御回路からDCファンモータに出力される出力値(指令値)と同じ2点の回転数での回転数指令電圧VspAおよびVspBを読み取って、その差ΔVspを算出し、その値から機外静圧をユニット自身で判定し、該機外静圧に基づいて、それに対応したDCファンモータの回転数を設定することができる。従って、印加電圧を増減して繰り返し運転する必要がなく、比較的簡単にかつ迅速に機外静圧を判定し、その機外静圧において定格の風量が得られるように、風量を精度よく調整することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、空気調和機を据え付け後、予め設定されている2点の回転数でDCファンモータを運転することにより、その時のモータ出力値の差からユニット自身で機外静圧を判定し、該機外静圧に基づいて静圧設定毎の回転数テーブルから定格の風量が得られるようにDCファンモータの回転数を設定することによって、風量の調整を迅速に行うことができるため、空気調和機を指示された風量を確保して運転し、機外静圧が高い場合の風量ダウンによる能力低下や機外静圧が低い場合の風量アップによるドラフトを防止することができる。また、2点の回転数でのモータ出力値の差から、機外静圧を判定するようにしているため、コントローラ側の回路部品や電源電圧あるいはモータ出力値等のバラツキを吸収し、風量を精度よく調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るダクト形空気調和機の設置状態の一例を示す概略側面図である。
【図2】図1に示すダクト形空気調和機のDCファンモータの制御回路図である。
【図3】図2に示すDCファンモータの制御回路図による風量調整時の制御フロー図である。
【図4】風量調整時におけるDCファンモータの回転指令のタイミングチャートである。
【図5】風量調整時におけるDCファンモータの回転数とモータ出力(Vsp)と静圧との関係を示すグラフである。
【図6】風量調整時におけるモータ出力差(Vsp)から静圧設定Noを選択する判定表の一例である。
【図7】風量調整時におけるDCファンモータの回転数設定に用いる静圧設定毎の回転数テーブルの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の一実施形態について、図1ないし図7を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係るダクト形空気調和機の設置状態の一例を示す概略側面図が示され、図2には、そのDCファンモータの制御回路図が示されている。本実施形態においては、ダクト形空気調和機の一例として、天井に埋め込み設置されるダクトタイプの空気調和機が例示されている。
このダクト形空気調和機1のユニット本体2は、図1に示されるように、建屋の梁等に鉛直方向に設けられる複数本の吊りボルトを介して天井内に吊り下げ設置されるようになっている。なお、屋外に設置される室外機は、図示省略されている。
【0017】
このダクト形空気調和機1は、室内から吸込みグリル3、消音チャンバー4および吸込みダクト5を介して吸込んだ室内空気を冷媒と熱交換させて冷却または加熱した後、吹出しダクト6、吹出しユニット7および吹出しグリル8等を介して室内に吹出すように構成されている。吹出しダクト6は、吹出しユニット7の配設位置等により、その長さ、径および形状等が様々変化されるものである。なお、天井面9には、ダクト形空気調和機1のユニット本体2を点検あるいはメンテナンスするための点検口10が設けられている。
【0018】
ユニット本体2は、箱形とされており、その内部には、冷媒と室内空気とを熱交換する室内熱交換器11、室内空気を循環する複数組のシロッコファンおよびDCモータからなるDCファンモータ12、室内熱交換器11で発生したドレン水を受けるドレンパン、ドレンパン内に溜まったドレン水を外部に排出するドレンポンプ(ドレンパンおよびドレンポンプは図示省略)等が組み込まれている。また、外部には、前後側面に吸込みダクト5および吹出しダクト6が接続される吸込み口13および吹出し口14が設けられている。
【0019】
DCファンモータ12は、図2に示されるように、DCモータ20がコントローラ(制御基板)21のモータ制御回路22から出力されるモータ出力値(例えば回転数指令電圧Vsp)に基づき、駆動回路23を介して回転駆動されるようになっており、その回転数を回転数検出回路24が検出し、該回転数検出回路24からの出力FGをコントローラ21のモータ制御回路22にフィードバックすることによって、DCファンモータ12の回転数が目標値(目標FG)となるように、目標FGと回転数出力FGとを比較してDCモータ20への出力値(回転数指令電圧Vsp)が調整されるように構成されている。
【0020】
また、コントローラ21には、主に吹出しダクト6の長さや径あるいはその形状等によって変化する圧力損失等で決まる機外静圧に対応して、DCファンモータ12の風量(回転数)を調整し、機外静圧が変わった場合においても、定格の風量が得られるようにするための風量調整回路25が設けられている。
【0021】
この風量調整回路25は、DCファンモータ12(DCモータ20)を予め設定されている2点の回転数A,Bで運転する運転指令手段26と、該運転指令手段26からの指令によりモータ制御回路22を介してDCモータ20に出力されているモータ出力値、すなわち回転数指令電圧VspA,VspBを読み取り、そのモータ出力値の差ΔVsp(=VspB−VspA)を算出する演算手段27と、該演算手段27で算出されたモータ出力値の差ΔVspから判定表31(図6参照)に基づいて吹出しダクト6側の機外静圧を判定する判定手段28と、その機外静圧に基づいて静圧設定毎の回転数テーブル32(図7参照)から定格風量が得られるようにDCファンモータ12の回転数を設定する回転数設定手段29と、上記判定表31、静圧設定毎の回転数テーブル32等のデータを記憶する記億手段30等とから構成されている。
【0022】
また、風量調整回路25は、運転指令手段26からの指令によって、図3に示されるように、先ず、ステップS1において、DCファンモータ12を予め設定されている回転数Arpmで数分間運転し、続いてステップS2において、予め設定されている回転数Brpmで数分間運転する。この運転は、送風モードにて運転とされる。図4は、この運転のタイミングチャートを示すものであり、それぞれ数分間のArpmおよびBrpmの指令運転が終了前の1分間において、ファンモータDutyがサンプリングされるようになっている。
【0023】
このArpmおよびBrpmの2点でのそれぞれの回転数時のファンモータDutyのサンプリングは、図5に示されるように、DCファンモータ12の回転数(rpm)とモータ出力(Vsp)と静圧との関係グラフから、ΔVspAおよびΔVspBを読み取ることにより行われる。演算手段27は、ステップS3において、図5上のΔVspAおよびΔVspBを読み取り、その差ΔVsp(ΔVsp=ΔVspB−ΔVspA)を算出するものである。
【0024】
ステップS3において、モータ出力値(ΔVspAおよびΔVspB)の差ΔVspが算出されると、ステップS4に移行される。ここで、判定手段28は、演算手段27によって算出された演算値ΔVspを用い、記億手段30に記億されている、例えば図6に示す機種毎のモータ出力差(ΔVsp)による静圧設定Noの判定表に基づいて、該当する静圧設定Noを選択することによって、当該空気調和機1の機外静圧が判定されるようになっている。
【0025】
ステップS4で静圧設定Noが選択され、機外静圧が判定されると、ステップS5に移行され、ここで、記億手段30に記億されている、例えば図7に示す静圧設定毎の回転数テーブル32に基づいて、回転数設定手段29が、選択された静圧設定Noの静圧設定毎の回転数テーブル32から定格の風量が得られるように、DCファンモータ12の回転数が設定される。例えば、図7に示される機種において、静圧設定No.3が選択され、機外静圧が30Paと判定された場合、指示風量が、13m/minのとき、DCファンモータ12は、Uhi2タップにより1030rpmで回転されるようになり、同様に指示風量が、9m/minのとき、DCファンモータ12は、Meタップにより760rpmで回転されることになる。
【0026】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
上記ダクト形空気調和機1が運転されると、DCファンモータ12が駆動され、室内空気が吸込みグリル3、消音チャンバー4および吸込みダクト5を介してユニット本体2内に吸込まれる。この空気は、室内熱交換器11で室外機から供給される冷媒と熱交換されて冷却または加熱された後、吹出しダクト6、吹出しユニット7および吹出しグリル8を介して室内に吹出され、室内の空調に供される。
【0027】
かかるダクト形空気調和機1では、吹出しダクト6側の長さや径あるいはその形状等により通風抵抗が変わり、それによって決まる機外静圧の大小で吹出し風量が変化することから、据え付け時に風量を調整し、機外静圧の如何にかかわらず定格の風量が得られるようにしなければならない。
【0028】
そこで、本実施形態では、空気調和機1の据え付け時、風量調整回路25によって予め設定されている2点の回転数Arpm,BrpmでDCファンモータ12を運転し、その際にモータ制御回路22側からDCファンモータ12に出力されるモータ出力値、すなわち回転数指令電圧VspA,VspBを読み取り、そのモータ出力値VspA,VspBの差ΔVspからユニット自身で機外静圧を判定し、該機外静圧に基づいて静圧設定毎の回転数テーブル31から定格の風量が得られるようにDCファンモータ12の回転数を設定するようにしている。
【0029】
具体的には、運転指令手段26の指令によって、予め設定されている2点の回転数Arpm,BrpmでDCファンモータ12を運転し、その時のコントローラ21からDCファンモータ12への出力値である回転数指令電圧VspA,VspBを読み取り、その出力値の差ΔVspを演算手段27により演算し、その値ΔVspから判定手段28により判定表31に基づいて機外静圧を判定し、該機外静圧に基づいて静圧設定毎の回転数テーブル32から、回転数設定手段29を介して定格の風量が得られるようにDCファンモータ12の回転数を設定することによって、風量の調整を迅速に行うことができる。
【0030】
斯くして、本実施形態によれば、空気調和機1を指示された風量を確保して運転し、機外静圧が高い場合の風量ダウンによる能力低下や機外静圧が低い場合の風量アップによるドラフトを防止することができる。また、2点の回転数Arpm,Brpmでのモータ出力値VspA,VspBの差ΔVspから機外静圧を判定するようにしているため、コントローラ21側の回路部品や電源電圧あるいはモータ出力値等のバラツキを吸収し、風量を精度よく調整することができる。つまり、吹出しダクト6の長さ、径、形状等によって変化する機外静圧をユニット自身で判定し、その機外静圧において定格の風量が得られるように、風量を迅速にかつ精度よく調整することができる。
【0031】
また、本実施形態では、モータ制御回路22からDCファンモータ21に出力される出力値が、回転数指令電圧VspAおよびVspBとされ、演算手段27が回転数指令電圧VspAおよびVspBを読み取ってその差ΔVspを算出し、判定手段28が演算手段27により算出されたΔVspから判定表31に基づいて機外静圧を判定し、回転数設定手段29がその機外静圧に基づいて静圧設定毎の回転数テーブル32からDCファンモータ12の回転数を設定する機能を有する構成とされている。
【0032】
このため、通常の運転時にモータ制御回路22からDCファンモータ12に出力される出力値(指令値)と同じ2点の回転数Arpm,Brpmでの回転数指令電圧VspAおよびVspBを読み取って、その差ΔVspを算出し、その値から吹出しダクト6等によって変化する機外静圧をユニット自身で判定し、該機外静圧に基づいて、それに対応したDCファンモータ12の回転数を設定することができる。従って、印加電圧を増減して繰り返し運転する必要がなく、比較的簡単にかつ迅速に機外静圧を判定し、その機外静圧において定格の風量が得られるように、風量を精度よく調整することができる。
【0033】
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態では、DCファンモータ12としてシロッコファンを用いた例について説明したが、これに限定されるものではなく、ファンとして他のプロペラファン等を用いたものにも同様に適用できることはもちろんである。また、吹出しダクト6、吹出しユニット7および吹出しグリル8等については、いかなる形状、構成のものであってもよく、特に制約されるものではない。
【0034】
さらに、上記実施形態では、ユニット本体2の吸込み側に消音チャンバー4および吸込みダクト5を接続しているものについて説明したが、ユニット本体2の下面に吸込み口を設け、この吸込み口より室内空気をユニット本体2内に直接吸込むように構成した空気調和機1にも同様に適用できることはもちろんである。また、上記実施形態では、モータ制御回路22からDCファンモータ12に出力される出力値(指令値)を回転数指令電圧Vspとしているが、必ずしも回転数指令電圧Vspである必要はなく、他の指令値を用いてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 空気調和機
2 ユニット本体
6 吹出しダクト
11 室内熱交換器
12 DCファンモータ
20 DCモータ
21 コントローラ(制御基板)
22 モータ制御回路
23 駆動回路
24 回転数検出回路
25 風量調整回路
26 運転指令手段
27 演算手段
28 判定手段
29 回転数設定手段
30 記億手段
31 判定表
32 静圧設定毎の回転数テーブル
Vsp 回転数指令電圧(モータ出力値)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニット本体内に熱交換器およびDCファンモータが内蔵され、前記熱交換器で温調された空気がユニット本体に接続される吹出しダクトを介して室内に吹出されるタイプの空気調和機の風量調整装置において、
前記風量調整装置は、予め設定されている2点の回転数で前記DCファンモータを運転し、その際にモータ制御回路側から前記DCファンモータに出力されるモータ出力値を読み取り、前記2点の回転数でのモータ出力値の差から機外静圧を判定し、該機外静圧に基づいて静圧設定毎の回転数テーブルから定格風量が得られるようにDCファンモータの回転数を設定する風量調整回路を備えていることを特徴とする空気調和機の風量調整装置。
【請求項2】
前記風量調整回路は、前記DCファンモータを予め設定されている2点の回転数A,Bで運転する運転指令手段と、該運転指令手段からの指令により前記モータ制御回路から前記DCファンモータに出力されるモータ出力値を読み取り、そのモータ出力値の差を算出する演算手段と、該演算手段により算出されたモータ出力値の差から判定表に基づいて機外静圧を判定する判定手段と、その機外静圧に基づいて前記静圧設定毎の回転数テーブルから定格風量が得られるように前記DCファンモータの回転数を設定する回転数設定手段と、前記判定表、静圧設定毎の回転数テーブル等のデータを記憶する記億手段とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の風量調整装置。
【請求項3】
前記モータ制御回路から前記DCファンモータに出力される前記出力値は、回転数指令電圧VspAおよびVspBとされ、前記演算手段は、前記回転数指令電圧VspAおよびVspBを読み取り、その差ΔVspを算出し、前記判定手段は、前記演算手段により算出されたΔVspに基づいて機外静圧を判定し、前記回転数設定手段は、その機外静圧に基づいて静圧設定毎の回転数テーブルからDCファンモータの回転数を設定する機能を有していることを特徴とする請求項2に記載の空気調和機の風量調整装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−241969(P2012−241969A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111749(P2011−111749)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】