説明

空気調和機システム

【課題】ユーザの求める空気調和機システムの必要能力を満たしながら霜取り制御を実行可能な空気調和機システムを得る。
【解決手段】室外機1a、1bと、室外機1a、1bにそれぞれ接続された室内機2a−1〜2b−2と、室内機2a−1〜2b−2に接続され室内機2a−1〜2b−2の運転制御を行うリモコン4とを備えた空気調和機システム100であって、室内機2a−1〜2b−2は、室内機2a−1〜2b−2の運転能力を含む運転状態情報をリモコン4へ送信し、リモコン4は、運転状態情報に含まれる運転能力と要求される空気調和システムに要求される必要能力とに基づいて、各室内機2a−1〜2b−2に霜取り運転を実行させるか否かの霜取り実施判定を、それぞれの室内機毎に実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の空気調和機システムは、複数の室外機と、通信線を介して室外機に接続された1または複数の室内機と、通信線を介して室内機に接続されたリモートコントローラ(以下「リモコン」と称する)とを有して構成されているのが一般的である。このように構成された空気調和機システムは、暖房運転時において室外熱交換器に霜が付着した場合、その霜が熱交換を阻害することを防ぐために、霜取り制御によって霜取り開始するように構成されている。ただし、空気調和機システムに接続される全ての室内機が同時に霜取りを開始した場合、ユーザの求める空気調和機システムの必要能力を満たせずに室温の低下を招く(すなわちユーザに冷風感を与える)こととなる。この必要能力は、ユーザが空気調和機システムに要求する運転能力(暖房能力または冷房能力)を示す。従って、空気調和機システムの暖房能力が空気調和機システムに求められる必要能力よりも小さい場合、ユーザは冷風感を感じることとなる。
【0003】
このような問題を解決するため、例えば下記特許文献1に代表される従来技術では、複数の空気調和機が同時に暖房運転を行っている場合において、着霜検知手段によって着霜を検知されると、着霜検知信号が順次除霜手段に送信される。そして、順次除霜手段が複数の空気調和機に除霜開始信号を順次送信することによって、空気調和機が1台ずつ順次除霜されるため、室温の急激な低下が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−131135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に代表される従来技術は、着霜検知手段で着霜が検知された場合には、順次除霜手段によって何れかの空気調和機の霜取りが開始されるため、例えば、1台の空気調和機が霜取りを開始したことによって空気調和機システムに求められる必要能力を満たせなくなる場合があるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザの求める空気調和機システムの必要能力を満たしながら霜取り制御を実行可能な空気調和機システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の室外機と、前記各室外機にそれぞれ接続された1または複数の室内機と、前記各室内機の運転制御を行うリモートコントローラとを備えた空気調和機システムであって、前記各室内機は、前記各室内機の運転能力と前記各室内機の連続運転時間とを含む運転状態情報と、霜取り運転の開始要求を示す霜取り要求信号と、を前記リモートコントローラへ送信し、前記リモートコントローラは、前記霜取り要求信号を受信したとき、前記運転状態情報に含まれる前記運転能力および前記連続運転時間と、空気調和機システムに要求される運転能力と、に基づいて、前記霜取り要求信号の送信元の室内機に霜取り運転を実行させるか否かの霜取り実施判定を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、ユーザの求める空気調和機システムの必要能力と空気調和機システムの運転能力とを比較して、室内機毎に霜取り運転を実行させるか否かの判定を行うようにしたので、ユーザの求める空気調和機システムの必要能力を満たしながら霜取り制御を実行することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機システムを模式的に示す図である。
【図2】図2は、霜取り要求信号が発生したときにおけるリモコンの霜取り実施判定を説明するための図である。
【図3】図3は、霜取りを許可するか否かの判定動作を中心として示すフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の実施の形態2にかかる空気調和機システムを模式的に示す図である。
【図5】図5は、運転状態信号が発生したときにおけるリモコンの霜取り実施判定を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる空気調和機システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機システム100を模式的に示す図である。図1に示される空気調和機システム100は、室外機1aと、室外機1bと、室外機−室内機通信線8aによって室外機1aに接続された室内機2a−1および室内機2a−2と、室外機−室内機通信線8bによって室外機1bに接続された室内機2b−1および室内機2b−2と、室内機−リモコン通信線9によって各室内機2a−1、2a−2、2b−1、2b−2(各室内機2a−1〜2b−2)に接続されたリモコン4と、を有して構成されている。なお、図1に示される空気調和機システム100は、4台の室内機2a−1〜2b−2を有して構成されているが、室内機の数は、これに限定されるものではない。空気調和機システム100は、例えば、各室外機に対して、1台または3台以上の室内機を接続するように構成してもよい。
【0012】
リモコン4には、例えば、液晶表示部、電源入り/切りボタン、温度上げ/下げボタン、および各室内機2a−1〜2b−2の運転制御を行う制御部など(何れも図示せず)を有して構成されている。
【0013】
室外機1aは、室外機−室内機通信線8aを介して、室内機2a−1、2a−2との通信を行っており、室外機1bは、室外機−室内機通信線8bを介して、室内機2b−1、2b−2との通信を行っている。室外機−室内機通信線8a、8bには、例えば、冷房または暖房の運転モード、設定温度(23℃、24℃など)、連続運転時間、各種サーミスタの温度変化などの情報が伝送される。そして、各室外機1a、1bは、霜取り開始条件(例えば、外気温度や配管温度等)が満たされた場合、室内機2a−1〜2b−2に対して、霜取りを開始できる状態であることを示す霜取り準備信号5a、5bを送信する。
【0014】
各室内機2a−1〜2b−2は、室内機−リモコン通信線9を介してリモコン4との通信を行っている。各室内機2a−1〜2b−2の内部には、室外機1a、1bとの通信回路、商用電源を電源供給源として熱交換器で熱交換された空気を室内に送り出すためのファンモータやその風向を変更するステッピングモータを駆動する回路、リモコン4からの制御信号を受信する受信回路、温度検知回路など(図示せず)を有して構成されている。
【0015】
室内機−リモコン通信線9には、例えば、上述した運転モード、設定温度、各種サーミスタの温度変化、室内機の連続運転時間、各室内機2a−1〜2b−2を特定するための識別情報(例えば1号機、2号機など)、各室内機2a−1〜2b−2の運転能力などの情報が伝送される。これらの情報は、それぞれの室内機2a−1〜2b−2の運転状態を示す情報(運転状態情報)である。運転状態情報は、後述する「運転状態信号7a−1〜7b−2」として各室内機2a−1〜2b−2からリモコン4へ送信される。
【0016】
また、室内機−リモコン通信線9には、各室内機2a−1〜2b−2が霜取り準備信号5a、5bを受信したときに、各室内機2a−1〜2b−2からリモコン4に対して送信される霜取り要求信号3a−1、3a−2、3b−1、3b−2(霜取り要求信号3a−1〜3b−2)が伝送される。この霜取り要求信号3a−1〜3b−2は、霜取り運転の開始要求を示す信号である。
【0017】
さらに、室内機−リモコン通信線9には、リモコン4が霜取り要求信号3a−1〜3b−2を受信したときに、リモコン4から各室内機2a−1〜2b−2に対して送信される霜取り制御信号6が伝送される。この霜取り制御信号6は、それぞれの室内機2a−1〜2b−2毎に霜取り運転を実行させるか否かの判定(霜取り実施判定)結果を示すものである。
【0018】
リモコン4は、各室内機2a−1〜2b−2からの霜取り要求信号3a−1〜3b−2を受信したとき、各室内機2a−1〜2b−2の、運転能力、および連続運転時間と、空気調和機システム100に要求される必要能力(空気調和機システム100に要求される運転能力)と、に基づいて、霜取り要求信号3a−1〜3b−2の送信元の室内機2a−1〜2b−2に霜取り運転を実行させるか否か、すなわち霜取りを許可するか禁止するかの判定を行う。空気調和機システム100に要求される必要能力は、ユーザが空気調和機システム100に要求する運転能力(暖房能力または冷房能力)を示す。
【0019】
次に、図2を用いて実施の形態1にかかる空気調和機システム100の動作を具体的に説明する。
【0020】
図2は、霜取り要求信号3a−1〜3b−2が発生したときにおけるリモコン4の霜取り実施判定を説明するための図である。図2には、説明を簡単化するために便宜上、室外機の図示を省略すると共に、2台の室内機(室内機2a−1、室内機2b−1)とリモコン4とが示されている。
【0021】
リモコン4は、室内機2a−1からの霜取り要求信号3a−1を受信したとき、上述した霜取り実施判定を実行する。同様に、リモコン4は、室内機2b−1からの霜取り要求信号3b−1を受信したとき、霜取り実施判定を実行する。
【0022】
霜取り運転を実行させるか否かの判断パラメータは、例えば、連続運転時間、各室内機2a−1〜2b−2の運転能力、および空気調和機システム100の必要能力などである。
【0023】
例えば、図2に示されるリモコン4が霜取り要求信号3a−1を受信したとき、リモコン4は、ユーザの求める空気調和機システム100の必要能力と、空気調和機システム100の運転能力とを比較する。この運転能力には霜取り要求信号3a−1を送信していない室内機2b−1の運転能力が加味され、またリモコン4の霜取り実施判定では、室内機2a−1の連続運転時間も考慮される。そして、リモコン4は、この運転能力が必要能力を満たさない場合、霜取り禁止を示す信号を霜取り制御信号6aとして室内機2b−1へ送信し、この運転能力が必要能力を満たす場合、霜取り許可を示す信号を霜取り制御信号6bとして室内機2b−1へ送信する。なお、上述したように、室内機−リモコン通信線9には各室内機2a−1〜2b−2を特定するための識別情報が含まれるため、リモコン4は、この情報に基づいて各室内機2a−1〜2b−2の送信元を把握して霜取り制御信号6を送信する。
【0024】
リモコン4による霜取り実施判定は、それぞれの室内機2a−1〜2b−2毎に実施され、また、霜取り制御信号6は、各室内機2a−1〜2b−2からの霜取り要求信号3a−1〜3b−2に応答する形で送信される。
【0025】
各室内機2a−1〜2b−2の運転能力と、空気調和機システム100の必要能力と、の関係を補足すると以下の通りである。例えば、図2に示される各室内機2a−1、2b−1の最大運転能力をそれぞれ「50」と仮定して場合、空気調和機システム100の最大運転能力は「100」となる。ここで、所定時刻における空気調和機システム100の必要能力が「50」である場合、このときの各室内機2a−1、2b−1は、空気調和機システム100の必要能力を満たすように、運転能力「25」でそれぞれ暖房運転していると仮定する。ここで、室内機2a−1が霜取りを開始した場合、空気調和機システム100の必要能力を満たす(必要能力を賄う)ためには、室内機2b−1の運転能力を高める必要がある。この例では、室内機2b−1の運転能力には「25」の余力があるため、室内機2b−1の運転能力が「25」から「50」に高められることによって、空気調和機システム100の必要能力を満たすことができると共に、霜取りを開始してもユーザに冷風感を与えることがない。
【0026】
図3は、霜取りを許可するか否かの判定動作を中心として示すフローチャートである。
【0027】
まず、リモコン4は、何れかの室内機2a−1〜2b−2からの霜取り要求信号3a−1〜3b−2を受信したか否かを判断する(ステップS31)。例えば、室内機2a−1からの霜取り要求信号3a−1を受信した場合(ステップS31,Yes)、リモコン4は、例えば、この霜取り要求信号3a−1を受信したタイミングで霜取り実施判定を実行する(ステップS32)。なお、リモコン4による霜取り実施判定を行うタイミングは、霜取り要求信号3a−1を受信した直後でもよいし、霜取り要求信号3a−1を受信した時点から所定時間(例えば数秒後)であってもよい。
【0028】
ステップS31において、霜取り要求信号3a−1〜3b−2を受信していない場合(ステップS31,No)、リモコン4は、霜取り要求信号3a−1〜3b−2の受信待ち状態となる。
【0029】
霜取り実施判定を実行した結果、空気調和機システム100の運転能力が空気調和機システム100に求められる必要能力を満たすため、霜取りを実行する場合、すなわち霜取りを許可する場合(ステップS33,Yes)、リモコン4は、霜取り許可を示す信号を霜取り制御信号6として送信する(ステップS34)。例えば、図1において、リモコン4が霜取り要求信号3a−1を受信した場合、室内機2a−1以外の室内機2a−2〜2b−2の暖房能力によって、この必要能力を賄うことができる場合には、リモコン4は、室内機2a−1に対して霜取り許可を示す信号を霜取り制御信号6として送信する。
【0030】
霜取り実施判定を実行した結果、空気調和機システム100の運転能力が、空気調和機システム100に求められる必要能力を満たさないため、霜取りを実行しない場合、すなわち霜取りを許可しない場合(ステップS33,No)、リモコン4は、霜取り禁止を示す信号を霜取り制御信号6として送信すると共に、霜取り要求信号3a−1〜3b−2の受信待ち状態となる(ステップS35)。例えば、図1において、リモコン4が霜取り要求信号3a−1を受信した場合、室内機2a−1以外の室内機2a−2〜2b−2の暖房能力ではこの必要能力を賄うことができない場合、リモコン4は、室内機2a−1に対して霜取り禁止を示す信号を霜取り制御信号6として送信すると共に、霜取り要求信号3a−1〜3b−2の受信待ち状態となる。
【0031】
このように、実施の形態1にかかる空気調和機システム100は、各室内機2a−1〜2b−2が、運転能力と各室内機2a−1〜2b−2の連続運転時間とを含む運転状態情報と、霜取り運転の開始要求を示す霜取り要求信号3a−1〜3b−2と、をリモコン4へ送信し、リモコン4が、霜取り要求信号3a−1〜3b−2を受信したとき、運転状態情報に含まれる、運転能力、および連続運転時間と、空気調和機システム100に要求される運転能力(必要能力)と、に基づいて、霜取り要求信号3a−1〜3b−2の送信元の室内機に霜取り運転を実行させるか否かの霜取り実施判定を行うようにしたので、リモコン4が各室内機2a−1〜2b−2からの霜取り要求信号3a−1〜3b−2を受信したタイミングで、それぞれの室内機2a−1〜2b−2毎に、霜取りを許可するか否かの判断を行い、その結果を各室内機2a−1〜2b−2へ送信することが可能である。その結果、空気調和機システムの必要能力を満たしながら霜取りを実行させることが可能である。
【0032】
実施の形態2.
実施の形態1では、リモコン4が各室内機2a−1〜2b−2から霜取り要求信号3a−1〜3b−2を受信したときに霜取り実施判定をするように構成されているが、実施の形態2は、霜取り要求信号3a−1〜3b−2が発生しない場合においても、リモコン4に記録された運転状態情報である運転状態信号7a−1、7a−2、7b−1、7b−2(運転状態信号7a−1〜7b−2)に基づいて、霜取り実施判定を実行可能に構成されている。以下、実施の形態1と同一部分には、同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0033】
図4は、本発明の実施の形態2にかかる空気調和機システム100を模式的に示す図である。実施の形態2の空気調和機システム100は、実施の形態1の空気調和機システム100と同一の構成を有する。また、図4に示される室内機−リモコン通信線9には、図1に示される霜取り要求信号3a−1〜3b−2は伝送されないが、上述した運転状態信号7a−1〜7b−2は送信される。
【0034】
この運転状態信号7a−1〜7b−2は、上述したように、各室内機2a−1〜2b−2の運転状態を示す情報である。この運転状態信号7a−1〜7b−2には、運転モード、設定温度、各種サーミスタの温度変化、室内機の連続運転時間、各室内機2a−1〜2b−2を特定するための識別情報(例えば1号機、2号機など)、各室内機2a−1〜2b−2の運転能力などが含まれる。運転状態信号7a−1〜7b−2は、定期的に各室内機2a−1〜2b−2からリモコン4に送信され、運転状態信号7a−1〜7b−2内の運転状態情報は、リモコン4に蓄積される。
【0035】
リモコン4は、この記録された運転状態情報に含まれる各室内機2a−1〜2b−2の運転能力、温度情報(各種サーミスタの温度変化に関する情報)、および連続運転時間と、空気調和機システム100に要求される運転能力と、に基づいて、各室内機2a−1〜2b−2に霜取り運転を実行させるか否かの霜取り実施判定を行う。
【0036】
次に、図5を用いて実施の形態2にかかる空気調和機システム100の動作を具体的に説明する。
【0037】
図5は、運転状態信号7a−1〜7b−2が発生したときにおけるリモコン4の霜取り実施判定を説明するための図である。図5には、説明を簡単化するために便宜上、室外機の図示を省略すると共に、2台の室内機(室内機2a−1、室内機2b−1)とリモコン4とが示されている。
【0038】
実施の形態2にかかるリモコン4には、運転状態情報が定期的に記録されるため、例えばリモコン通信線9における通信エラーなどによって一時的に運転状態信号7a−1がリモコン4に伝送されない場合でも、リモコン4は、この蓄積された運転状態情報を用いて任意のタイミングで霜取り実施判定を実行することが可能である。
【0039】
霜取り運転を実行させるか否かの判断パラメータは、各室内機2a−1〜2b−2の運転能力、温度情報、および連続運転時間と、空気調和機システム100に要求される必要能力などである。
【0040】
例えば、図5に示されるリモコン4は、運転状態信号7a−1、7b−1を受信して運転状態情報を蓄積する。そして、リモコン4は、ユーザの求める空気調和機システム100の必要能力と、空気調和機システム100の運転能力とを比較する。この運転能力には、霜取り運転を実施しない室内機(例えば室内機2b−1)の運転能力が加味され、またリモコン4の霜取り実施判定では、霜取り運転を実施する予定の室内機(例えば室内機2a−1)の連続運転時間や温度情報も考慮される。そして、リモコン4は、この運転能力が必要能力を満たさない場合、霜取り禁止を示す信号を霜取り制御信号6aとして室内機2b−1へ送信し、この運転能力が必要能力を満たす場合、霜取り実行を示す信号を霜取り制御信号6bとして室内機2b−1へ送信する。なお、リモコン4による霜取り実施判定は、実施の形態1と同様に、それぞれの室内機2a−1〜2b−2毎に実施されると共に、リモコン4は、識別情報によって各室内機2a−1〜2b−2の送信元を把握して、霜取り制御信号6を送信する。
【0041】
このように、実施の形態2にかかる空気調和機システム100は、各室内機2a−1が、各室内機2a−1〜2b−2の運転能力と温度情報と連続運転時間とを含む運転状態情報をリモコン4へ送信し、リモコン4には、各室内機2a−1〜2b−2から送信された運転状態情報が記録され、リモコン4は、この記録された運転状態情報に含まれる各室内機2a−1〜2b−2の運転能力、温度情報、および連続運転時間と、空気調和機システム100に要求される必要能力(運転能力)と、に基づいて、各室内機2a−1〜2b−2に霜取り運転を実行させるか否かの霜取り実施判定を行うようにしたので、実施の形態1で説明した霜取り要求信号3a−1〜3b−2を受信する前に、霜取りを行わせるか否かを判定することができると共に、実施の形態1の空気調和機システム100と同様の効果を得ることが可能である。
【0042】
実施の形態3.
実施の形態1、2にかかる空気調和機システム100は、各室内機2a−1〜2b−2から受信した霜取り要求信号3a−1〜3b−2またはリモコン4に記録された運転状態情報に基づいて、霜取り実施判定を行うように構成されているが、実施の形態3にかかるリモコン4には、運転状態情報に加えて、過去に霜取りを実施した際の時刻情報が記録され、運転状態情報および時刻情報に基づいて霜取り実施判定を行うように構成されている。なお、実施の形態3にかかる空気調和機システム100は、図1および図4に示される空気調和機システム100と同一の構成を有しているものとして、その構成に関しては図示を省略する。
【0043】
時刻情報は、それぞれの室内機2a−1〜2b−2毎に記録される。例えば、これから霜取りを実施する日を「所定日」と仮定し、さらに、この所定日の前日の午後9時と所定日の前々日の午後9時とに、それぞれ霜取りが実施されたと仮定する。この場合、リモコン4には、これらの日時に関する時刻情報が記録される。従って、所定日の午後9が近づいてきたとき(例えば所定日の午後8時)、リモコン4は、運転状態情報と時刻情報とに基づいて霜取り実施判定を実行する。
【0044】
霜取り運転を実行させるか否かの判断パラメータは、各室内機2a−1〜2b−2の運転能力、温度情報、および連続運転時間と、空気調和機システム100に要求される必要能力必要能力などである。
【0045】
このように、実施の形態3にかかるリモコン4には、運転状態情報の他に、過去に霜取りを実施した際の時刻情報が記録され、リモコン4は、この記録された運転状態情報および時刻情報に基づいて、霜取り実施判定を行うようにしたので、各室内機2a−1〜2b−2が霜取り要求信号3a−1〜3b−2を出力するよりも前に、霜取り実施判定を実行して霜取りを開始することが可能である。例えば、霜取り要求信号3a−1〜3b−2が送信されたタイミングで霜取り実施判定が行われた場合、各室内機2a−1〜2b−2の稼働状態によっては、霜取り要求信号3a−1〜3b−2が送信された時点では空気調和機システム100に求められている必要能力を満たすことができず、霜取りを実行することができない場合もある。一方、時刻情報は、空気調和機システム100の運転能力が空気調和機システム100に求められる必要能力を満たしたときにリモコン4へ記録されるため、リモコン4は、この時刻情報を用いることによって、空気調和機システム100に求められている必要能力を満たす蓋然性が高い日時に各室内機2a−1〜2b−2の霜取りを開始させることが可能である。
【0046】
また、霜取り判定実績情報を記録することによって、過去の霜取りの実行タイミングが明確になる。そのため、例えば、空気調和機システム100が一定の間隔で霜取りを行っているような場合、安定したタイミングで霜取りを実行させることができる。従って、空気調和機システム100の必要能力を満たした状態を維持することが可能となる。
【0047】
以上に説明したように、実施の形態3にかかる空気調和機システム100は、リモコン4が運転状態情報の他に過去に霜取りを実施した際の時刻情報を記録し、記録された運転状態情報および時刻情報に基づいて、霜取り実施判定を行うようにしたので、実施の形態1、2の効果に加えて、空気調和機システム100に求められる必要能力を満たさない日時に霜取りが行われることを抑制することができる。
【0048】
実施の形態4.
実施の形態1〜3にかかる空気調和機システム100は、霜取り実施判定を実行するように構成されているが、実施の形態4にかかる空気調和機システム100は、空気調和機システム100の必要能力に応じて各室内機2a−1〜2b−2の運転能力を変化させるように構成されている。なお、実施の形態4にかかる空気調和機システム100は、図1および図4に示される空気調和機システム100と同一の構成を有しているものとして、その構成に関しては図示を省略する。
【0049】
例えば、図2に示される各室内機2a−1、2b−1の最大運転能力をそれぞれ「50」と仮定して場合、空気調和機システム100の最大運転能力は「100」となる。ここで、所定時刻における空気調和機システム100の必要能力が「50」である場合、このときの各室内機2a−1、2b−1は、空気調和機システム100の必要能力を満たすように、運転能力「25」でそれぞれ暖房運転していると仮定する。
【0050】
ここで、室内機2a−1が霜取りを開始した場合、空気調和機システム100の必要能力を満たす(必要能力を賄う)ためには、室内機2b−1の運転能力を高める必要がある。実施の形態4にかかるリモコン4は、室内機2a−1の霜取りを行う場合、室内機2b−1の運転能力には「25」の余力があるため、室内機2b−1の運転能力を「25」から「50」に高めるような制御を行う。この制御は、リモコン4が図示しない制御指令を、室内機−リモコン通信線9を通じて室内機2b−1へ送信することによって実現される。
【0051】
以上に説明したように、実施の形態4にかかる空気調和機システム100は、リモコン4が霜取り実施判定を行った結果、室内機2a−1〜2b−2の霜取りを実行する場合、霜取りを実行する室内機以外の室内機の運転能力を高める制御信号を、霜取りを実行する室内機以外の室内機へ個別に送信するようにしたので、霜取りを開始してもユーザに冷風感を与えることがない。
【0052】
なお、実施の形態1〜4にかかる空気調和機は、本発明の内容の一例を示すものであり、更なる別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能であることは無論である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明は、空気調和機に適用可能であり、特に、号機設定が一致する空気調和機と号機設定が一致しない空気調和機とが共存する場合において、号機設定違いの報知の煩わしさからユーザを解放することが可能な発明として有用である。
【符号の説明】
【0054】
1a、1b 室外機
2a−1、2a−2、2b−1、2b−2 室内機
3a−1、3a−2、3b−1、3b−2 霜取り要求信号
4 リモコン
5a、5b 霜取り準備信号
6、6a、6b 霜取り制御信号
7a−1、7a−2、7b−1、7b−2 運転状態信号
8a、8b 室外機−室内機通信線
9 室内機−リモコン通信線
100 空気調和機システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の室外機と、前記各室外機にそれぞれ接続された1または複数の室内機と、前記各室内機の運転制御を行うリモートコントローラとを備えた空気調和機システムであって、
前記各室内機は、前記各室内機の運転能力と前記各室内機の連続運転時間とを含む運転状態情報と、霜取り運転の開始要求を示す霜取り要求信号と、を前記リモートコントローラへ送信し、
前記リモートコントローラは、前記霜取り要求信号を受信したとき、前記運転状態情報に含まれる前記運転能力および前記連続運転時間と、空気調和機システムに要求される運転能力と、に基づいて、前記霜取り要求信号の送信元の室内機に霜取り運転を実行させるか否かの霜取り実施判定を行うことを特徴とする空気調和機システム。
【請求項2】
複数の室外機と、前記各室外機にそれぞれ接続された1または複数の室内機と、前記各室内機の運転制御を行うリモートコントローラとを備えた空気調和機システムであって、
前記各室内機は、前記各室内機の運転能力と室内機の温度情報と連続運転時間とを含む運転状態情報を前記リモートコントローラへ送信し、
前記リモートコントローラには、前記各室内機から送信された前記運転状態情報が記録され、
前記リモートコントローラは、この記録された運転状態情報に含まれる前記運転能力、前記温度情報、および前記連続運転時間と、空気調和機システムに要求される運転能力と、に基づいて、前記各室内機に霜取り運転を実行させるか否かの霜取り実施判定を行うことを特徴とする空気調和機システム。
【請求項3】
前記リモートコントローラには、前記運転状態情報の他に、過去に霜取りを実施した際の時刻情報が記録され、
前記リモートコントローラは、この記録された前記運転状態情報および前記時刻情報に基づいて、前記霜取り実施判定を行うことを特徴とする請求項2に記載の空気調和機システム。
【請求項4】
前記リモートコントローラは、前記霜取り実施判定を行った結果、室内機の霜取り制御を実行する場合、霜取り制御を実行する室内機以外の室内機の運転能力を高める制御信号を、霜取り制御を実行する室内機以外の室内機へ個別に送信することを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の空気調和機システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−202670(P2012−202670A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70589(P2011−70589)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】