説明

空気調和機用回転ロータと空気調和機

【課題】製造時の反りを容易に矯正することが出来る空気調和機用回転ロータを提供する。
【解決手段】空気調和機(図示せず)のエアフィルター(図示せず)に堆積した塵埃を除去し、全長が少なくとも300mmのロータ30を有する空気調和機用回転ロータであって、ロータ30は、軽合金材料で形成されると共に外周の長手方向に複数条の支持溝31を有し、支持溝31に一端が挿入固定され、他端が支持溝31の開口31aより突出してエアフィルター上の塵埃を掻き取る清掃体32を備え、ロータ30の隣り合う2つの支持溝31間に位置する全ての外周部30aにおけるもっとも突出した部分の先端30cの回転軌跡を同一にしたもので、ロータ30の反り矯正時に、ロータ30と定盤(図示せず)との間や、ロータ30と矯正用のローラー(図示せず)間でのがたつきが少なくなって、反りの矯正が容易になり、仕上がり精度の高い空気調和機用回転ロータを提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に取り付けられたエアフィルターの清掃を行う空気調和機用回転ロータと、それを用いた空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気調和機に取り付けられたエアフィルターに堆積した塵埃を除去する従来の方法として、塵埃吸引用の吸引孔を設けた吸引ノズルと、前記吸引ノズルに連結された吸引装置とを備え、前記吸引ノズルをエアーフィルターの上流側表面に沿って移動させて、エアフィルター上に堆積した塵埃を吸引するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、上記特許文献1に記載されたエアフィルターの清掃方法では、空気調和機の冷房運転時に発生する湿気などにより、エアーフィルターの表面にこびりついた塵埃が取れ難く、また、塵埃が取れ易いように、吸引力を高めるために、吸引ノズルに設けた吸引孔を狭めると、広いエアーフィルターの全面を清掃するのに時間がかかるといった問題があった。
【0003】
これを改善する方法として、外周長手方向にブラシ状の清掃体を植毛した空気調和機用回転ロータでエアフィルターの表面に付着した塵埃を強制的に除去するようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
図7は、上記特許文献2に記載された従来の空気調和機用回転ロータを搭載した空気調和機の縦断面図、図8は、同空気調和機用回転ロータの斜視図である。
【0005】
図7において、空気調和機本体1内には、熱交換器2と、室内の空気を取り入れる吸込口3と、前記熱交換器2と前記吸込口3の間に設けられたベルト状のエアフィルター4と、このエアフィルター4を張設した駆動軸6および従動軸7と、前記駆動軸6を回転駆動するサーボモーター5と、前記フィルター4で捕集された塵埃を除去する空気調和機用回転ロータ8(以下、「回転ロータ8」という)と、前記回転ロータ8を回転駆動する駆動手段(図示せず)と、前記吸込口3と連通すると共に前記回転ロータ8を内設し排出口9を有する排気管10と、前記排気管10内に設けられた塵埃排出用ファン11と、前記吸込口3から室内の空気を吸引し、熱交換器2を通して吹き出し口12から、熱交換された空気を室内に吹き出すファン13とを備えている。
【0006】
回転ロータ8は、図8に示すように、樹脂からなる回転自在のロータ8aと、前記ロータ8aの外周の長手方向に直線状に植設されたブラシ状の清掃体8bから構成されている。
【0007】
上記構成による回転ロータと空気調和機の動作、作用は以下の通りである。
【0008】
空気調和機本体1を、例えば、冷房運転すると、ファン13により室内の空気が吸込口3から流入し、エアフィルター4を通って熱交換器2に至り、そこで冷却され、冷たい空気が吹き出し口12から室内に吹き出される。吸引される室内の空気に含まれる塵埃は、前記エアフィルター4で捕集され、フィルター4の表面に堆積する。エアフィルター4の表面に塵埃が堆積してくると、空気の通気圧損が増加し、熱交換効率が低下してくるので、定期的に或いは、必要に応じて、エアフィルター4上の塵埃の除去運転が必要となる。
【0009】
塵埃の除去運転は、サーボモーター5を運転して駆動軸6を回転させてベルト状のフィルター4を連続的に移動させ、その間に回転ロータ8を回転させると共に塵埃排出用ファン11を運転するもので、エアフィルター4上の塵埃が、回転ロータ8の清掃体8bで掻き取られ、掻き取られた塵埃は、塵埃排出用ファン11により吸引され、排出口9より室外に排出されるようになっている。
【0010】
しかしながら、上記特許文献2に開示された回転ロータ8は、樹脂などからなるロータ8aに清掃体8bを植毛して構成しているため、製造コストが高く、また、強度を確保する観点からロータ8aが太くなるという問題があった。又、前記清掃体8bは、網目状のエアフィルター4上の塵埃を掻き取るため消耗していくが、ロータ8aに植設されているため、それ自体の交換は不可能で、回転ロータ8全体を交換する必要があり、維持費用が高価になるという問題があった。
【0011】
上記問題を解決するために、本来の使用用途は、電気掃除機用であるが、アルミニュームなどの金属材料からなり、外周面に螺旋状の複数の溝を有する回転ロータと、前記溝に下端が着脱自在に装着される清掃体とで構成した回転ロータがある(例えば、特許文献3、4参照)。このような回転ロータの場合は、ロータが金属材料で形成されているので、強度が上がり、その分ロータの径が小さくできると共に、清掃体の交換が容易になるというメリットを有している。
【特許文献1】特開2005−140405号公報
【特許文献2】特開平6−74521号公報
【特許文献3】特開2001−161611号公報
【特許文献4】特開平11−9522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ロータをアルミニュームなどの金属材料で形成し、それに清掃体取り付け用の溝を螺旋状に設ける場合、一般的な製法として、1)捩り押出し金型にて、ロータの材料を捩りながら押出す、2)ロータの材料を一旦まっすぐに押出して、後加工で、目的の捩り角度まで捩って仕上げるなどの方法があるが、いずれの場合も、捩り加工時に、ロータに反りが発生するが、電気掃除機用の回転ロータは、床吸込具に装着されるようになっているので、長さもせいぜい20〜30cm程度で、前記反りもさほど大きな問題とならない。仮に、製造工程で、大きな反りが発生した場合でも、図9に示すように定盤34でロータを転がして、その反りを実用的に問題ない範囲で容易に矯正することが出来る。
【0013】
しかしながら、空気調和機用回転ロータの場合は、それが清掃するエアフィルターの幅が300mm以上と広く、時には、左右に配置された2つのエアフィルターを同時に清掃できるように600mm以上と長く形成する必要があり、しかも、電気掃除機用の回転ロータと異なり、低速で回転して使用されるため、製造工程で発生する反りを、より精度よく、確実に矯正する必要がある。
【0014】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、ロータの製造工程で発生する反りを、精度よく確実に矯正することができる空気調和機用回転ロータとそれを用いた空気調和機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記従来の課題を解決するために、本発明の空気調和機用回転ロータは、空気調和機に取着されたエアフィルターに堆積した塵埃を除去し、全長が少なくとも300mmのロータを有する空気調和機用回転ロータであって、前記ロータは、軽合金材料で形成されると共に外周の長手方向に複数条の支持溝が前記ロータの長手方向の軸の周りに螺旋状に形成されており、該支持溝に一端が挿入され、他端が前記支持溝の開口より突出して前記エアフィルター上の塵埃を掻き取る清掃体を備え、前記ロータの隣り合う2つの前記支持溝間に位置する全ての外周部における最も突出した先端部分の回転軌跡を同一にし、且つ該突出した先端部分が前記ロータの隣り合う2つの前記支持溝間の一方の支持溝側に近くなるように偏らせて形成されてあることに特徴を有する。
【0016】
また、本発明の空気調和機は、熱交換器と、該熱交換器の上流側に配され流入する空気中に含まれる塵埃を捕獲するエアフィルターと、請求項1に記載の空気調和機用回転ロータと、該回転ロータを回転させる回転駆動手段と、該回転ロータを前記エアフィルターの上流側に配置し、前記エアフィルターの表面に沿って移動させる上下方向移動手段とを備えたことに特徴を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の空気調和機用回転ロータは、ロータの製造工程で発生する反りを、精度良く確実に矯正することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、空気調和機に取着されたエアフィルターに堆積した塵埃を除去し、全長が少なくとも300mmのロータを有する空気調和機用回転ロータであって、前記ロータは、軽合金材料で形成されると共に外周の長手方向に複数条の支持溝を有し、前記支持溝に一端が挿入固定され、他端が前記支持溝の開口より突出して前記エアフィルター上の塵埃を掻き取る清掃体を備え、前記ロータの隣り合う2つの前記支持溝間に位置する全ての外周部におけるもっとも突出した部分の先端の回転軌跡を同一にしたもので、前記ロータの反り矯正時に、ロータと定盤との間や、ロータとローラー間でのがたつきが少なくなるので、反りの矯正が容易で且つ確実にでき、仕上がり精度の高い空気調和機用回転ロータを提供することができる。
【0019】
本発明は、特に、複数条の支持溝を、ロータの長手方向の軸の周りに螺旋状に形成したもので、支持溝の開口近傍の外径が、ロータの最大回転外径より小さい場合でも、その部分が、その支持溝と隣の支持溝との間に位置すると共にロータの最大回転外径と同じ外径の外周部で支持されるので、前記ロータの反り矯正時に、ロータと定盤との間や、ロータとローラー間でのがたつきがより少なくなり、反りの矯正がより容易になり、仕上がり精度の高い空気調和機用回転ロータを提供することができる。
【0020】
本発明は、空気調和機に、空気を熱交換する熱交換器と、前記熱交換器の上流側に配され流入する空気中に含まれる塵埃を捕獲するエアフィルターと、上述の空気調和機用回転ロータとを備えたもので、ロータの反りが非常に小さいので、回転ロータの回転時の騒音を低減するために、回転ロータの回転数を落としても、エアフィルターの全幅に渡って確実に塵埃を掻き取ることができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
以下に、本発明の第1の実施例における空気調和機用回転ロータについて、図1〜3を用いて説明する。
【0023】
図1は、本実施例における空気調和機用回転ロータを搭載した空気調和機の縦断面図、図2は、同空気調和機の内部構成の概略を示す斜視図、図3は、同空気調和機用回転ロータの詳細を示す図である。
【0024】
図1、2において、空気調和機本体20は、熱交換器21と、室内の空気を取り入れる吸込口22と、前記熱交換器21と前記吸込口22の間に配され、前記吸込口22から流入する空気中に含まれる塵埃を捕獲するエアフィルター23と、前記エアフィルター23の上流側に配されると共に、前記エアフィルター23で捕獲された塵埃を除去する空気調和機用回転ロータ25(以下、「回転ロータ25」という)と、前記回転ロータ25を回転駆動する回転駆動手段(図示せず)と、前記回転ロータ25を前記エアフィルター23の上流側の表面に沿って上下方向に移動させる上下移動手段(図示せず)と、前記吸込口22から室内の空気を吸引し、エアフィルター23、熱交換器21を通して、吹き出し口26から、熱交換された空気を室内に吹き出すファン27とを備えている。
【0025】
本実施例では、エアフィルター23は、左右に分割されて2個配されると共に、清掃を容易にするため空気調和機本体20に対し着脱自在である。また、回転ロータ25は、それぞれのエアフィルター23に対向して設けられている。
【0026】
次に、本実施例における回転ロータ25の詳細な構成について、図3を用いて説明する。図3(a)は、回転ロータの斜視図、図3(b)は、同回転ロータのロータの側面図、図3(c)は、同ロータの側面図、図3(d)は、同回転ロータの清掃体の斜視図である。
【0027】
図3において、回転ロータ25は、比重1.7〜2.0のマグネシウム合金、比重2.7〜3.0のアルミニューム合金或いは比重約4.5のチタン合金などの軽合金材料から形成され、その外周長手方向に、複数の螺旋状の支持溝31を設けたロータ30と、ロータ30に着脱自在に装着されると共にエアフィルター23の塵埃を掻き取る清掃体32と、清掃体32の抜け止め用のキャップ33から構成されている。また、本実施例では、回転ロータ25の有効清掃幅L3(清掃体32の全幅寸法)を、一般的な空気調和機用エアフィルター23の幅寸法に合わせて、300mm以上としている。
【0028】
本実施例では、ロータ30の断面形状において、図3(c)に示すように、ロータ30の隣り合う2つの支持溝31間に位置する全ての外周部30a(本実施例では、4箇所)におけるもっとも突出した部分の先端30cの回転軌跡(直径がLの円)が同一になるようにすると共に、それぞれの外周部30aを円弧状に形成している。
【0029】
例えば、図4に示すように、清掃体32のブラシ部32aが撓む時の腰を強くするためなどの理由で、ロータ30の外周部30aの一部にリブ30bを突設する場合は、外周部30aにおけるもっとも突出した部分の先端、すなわちリブ30bの先端の回転軌跡(直径がLの円)が全て同一になるように、4つの外周面30a全てに、同じ突出代のリブ30bを設けるようにする。
【0030】
ロータ30の製造、加工方法として、捩り押出し金型にて、ロータ30の材料を捩りながら押出す方法、ロータ30の材料を金型で捩りながら押出して、一旦目的の捩り角度より小さな角度のロータ30を作り、このロータ30を後加工にて、目的の捩り角度まで捩って仕上げる方法、ロータ30の材料をまっすぐに押出して、後加工で、目的の捩り角度まで捩って仕上げる方法、同一ライン上に捩り方向に回転する可動盤等の設備を設けて、金型で、ロータ30の材料を押出しながら、同時に捩り加工も行い、目的の捩り角度に仕上げる方法など各種方法があるが、ロータ30の断面形状、材質、厚み、強度、捩り角度、必要な精度等を勘案し、製造方法、加工方法を適宜決定するようにすると良い。
【0031】
また、本実施例では、回転ロータ25の有効清掃幅L3が、300mm以上と、長尺なので、ロータ30の製造時に発生する反りが全体で大きくなり、矯正が必要となってくるが、具体的には、従来のように定盤34上でロータ30を転がして行なう方法(図9)、あるいは、図5に示すように、少なくとも三つの棒状のローラー35でロータ30を挟持しながら転がして、矯正するなどの方法がある。
【0032】
清掃体32は、図3(d)に示すように、多数の極細繊維などからなるブラシ部32aと、ブラシ部32aの下端を固定すると共に、ロータ30に設けた支持溝31に着脱自在に装着される基部32bから構成されている。尚、ブラシ部32aは、繊維などに限らず、塩化ビニールなどの軟質材からなるブレード状のもの、或いは不織布で形成しても良い。またブラシ部32aと基部32bとの固定は、ブラシ部32aを基部32bに植設したり、両者を接着したり、或いは、一方を他方で挟むようにするなどその方法は特に限定しない。
【0033】
以上のように構成された空気調和機用回転ロータを搭載した空気調和機の動作、作用は、以下の通りである。
【0034】
空気調和機本体20を例えば、冷房運転すると、ファン27の運転により室内の空気が吸込口22から流入し、エアフィルター23を通って熱交換器21に至り、そこで冷却され、冷たい空気が吹き出し口26から室内に吹き出される。吸込口22から吸引される室内の空気に含まれる塵埃は、エアフィルター23で捕獲され、そのエアフィルター23の表面に次第に堆積していく。エアフィルター23の表面に塵埃が堆積してくると、空気の通気圧損が増加し、熱交換器21での熱交換効率が低下してくるので、定期的に或いは、必要に応じて、エアフィルター23に堆積した塵埃の除去運転が必要となる。
【0035】
そこで、本実施例では、塵埃の除去運転を開始すると、図2に示すように、エアフィルター23の下端に位置していた回転ロータ25が、回転駆動手段(図示せず)により矢印方向(時計方向)に回転しながら、上下移動手段(図示せず)で、エアフィルター23の表面に沿って上方に移動する。この間に、清掃体32のブラシ部32aの先端で、エアフィルター23の上流側表面に付着堆積した塵埃が掻き落とされる。掻き落とされた塵埃は、図示しない塵埃吸引手段で吸引されると共に、屋外に排出されるようになっている。
【0036】
なお、上下移動手段により、回転ロータ25が、エアフィルター23の上端まで達すると、自動的に下降し、次回の塵埃の除去運転用に、エアフィルター23の下端で停止するようになっている。また、回転ロータ25の回転方向は、矢印方向と反対方向(反時計方向)であっても良く、その回転方向は、清掃性能等を考慮しながら適宜決定すればよい。
【0037】
以上のように、本実施例によれば、ロータ30の隣り合う2つの支持溝31間に位置する全ての外周部30a(本実施例では、4箇所)におけるもっとも突出した部分の先端30cの回転軌跡(直径がLの円)が同一になるようにしているので、ロータ30の反り矯正時に、ロータ30と定盤34との間や、ロータ30とローラー35間でのがたつきが少なくなり、300mm以上の長いロータ30でも、反りの矯正が容易になり、仕上がり精度の高い空気調和機用回転ロータを提供することができる。
【0038】
また、ロータ30を、比重の軽いマグネシウム合金、アルミニューム合金、チタン合金などの軽合金材料で形成しているので、ロータ30が空気調和機用に長尺に形成されても空気調和機全体の重さの中では微々たるもので、一般に壁に取り付けられる空気調和機に重量的に大きな負担をかけることがない。
【0039】
又、複数条の支持溝31を、ロータの長手方向の軸の周りに螺旋状に形成することにより、図6に示すように、支持溝31の開口31a近傍での外径L1が、ロータ30の最大回転外径L0より小さい場合でも、その部分が、その支持溝31と隣の支持溝31’との間に位置すると共にロータ30の最大回転外径L0と同じ外径の外周部30aによって、ロータ30の長手方向で位置はずれるものの支持されるので、前記ロータ30の反り矯正時に、ロータ30と定盤34との間や、ロータ30とローラー35間でのがたつきがより少なくなり、反りの矯正が容易になり、仕上がり精度の高い空気調和機用回転ロータを提供することができる。本実施例では、支持溝31が4つ設けられているので、支持溝31の捩り角度を、ロータ30の一方の端から他方の端にかけて、360度÷4、すなわち90度に設定している。特に図示しないが、ロータ30に、一対の支持溝30を対向して設けた場合は、その支持溝31の捩り角度を180度以上にすると良い。
【0040】
また、空気を熱交換する熱交換器21と、前記熱交換器21の上流側に配され流入する空気中に含まれる塵埃を捕獲するエアフィルター23と、上記実施の形態で述べた回転ロータ25とを、空気調和機本体20に備えることにより、ロータ30の反りが非常に小さいので、回転ロータ30の回転時の騒音が低く、また回転ロータ25の回転数を落としても、エアフィルター23の全幅に渡って確実に塵埃を掻き取ることができるもので、メンテナンスの容易な空気調和機を提供することができる。
【0041】
又、清掃体32の基部32bが、ロータ30の支持溝31に対し挿脱自在なので、回転ロータ25の組み立てが容易である。また、清掃体32は、網目状のエアフィルター23上の塵埃を掻き取るため、消耗が激しいが、その基部32bが、ロータ30の支持溝31に挿脱自在なので、清掃体32が消耗したときに、回転ロータ25全体を交換する必要が無く、清掃体32のみの交換で済むので、空気調和機の維持費用が安価である。
【0042】
又、支持溝31が、ロータ30の外周長手方向に螺旋状に形成されているので、その支持溝31に、清掃体32の基部32bを挿入することで、清掃体32のブラシ部32aが螺旋状に配置され、それによってブラシ部32aの先端がエアフィルター23に部分的に接して、摺動抵抗が分散されるので、回転ロータ25を回転駆動する回転駆動手段を小型化することが出来ると共に、エアフィルター23をむら無く、均一に清掃することができる。
【0043】
又、ロータ30を金属材で形成することにより、強度が高まり、その分、ロータ30をより小径に形成することができ、省スペース化となる。
【0044】
なお、上記実施例では、2個のエアフィルター23のそれぞれに回転ロータ25を設けたが、一本の長尺の回転ロータ25で、2個のエアフィルター23の清掃を同時に行うようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上のように、本発明にかかる空気調和機用回転ロータは、製造時にロータに発生した反りを精度良く、かつ容易に矯正できるもので、家庭用、業務用の各種空気調和機は勿論、空気清浄機、換気装置などエアフィルターを有する各種機器に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施例における空気調和機用回転ロータを搭載した空気調和機の縦断面図
【図2】同空気調和機の内部構成の概略を示す斜視図
【図3】(a)同空気調和機用回転ロータの斜視図、(b)同空気調和機用回転ロータのロータの側面図、(c)同ロータの側面図、(d)同空気調和機用回転ロータの清掃体の斜視図
【図4】同空気調和機用回転ロータの他の例を示すロータの断面図
【図5】同空気調和機用回転ロータのロータの矯正例を示す図
【図6】同空気調和機用回転ロータの他の例を示すロータの断面図
【図7】従来の空気調和機用回転ロータを搭載した空気調和機の縦断面図
【図8】同空気調和機用回転ロータの斜視図
【図9】同空気調和機用回転ロータのロータの矯正例を示す斜視図
【符号の説明】
【0047】
20 空気調和機本体
21 熱交換器
23 エアフィルター
25 空気調和機用回転ロータ(回転ロータ)
30 ロータ
30a 外周部
30c 先端
31 支持溝
31a 開口
32 清掃体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機に取着されたエアフィルターに堆積した塵埃を除去し、全長が少なくとも300mmのロータを有する空気調和機用回転ロータであって、前記ロータは、軽合金材料で形成されると共に外周の長手方向に複数条の支持溝が前記ロータの長手方向の軸の周りに螺旋状に形成されており、該支持溝に一端が挿入され、他端が前記支持溝の開口より突出して前記エアフィルター上の塵埃を掻き取る清掃体を備え、前記ロータの隣り合う2つの前記支持溝間に位置する全ての外周部における最も突出した先端部分の回転軌跡を同一にし、且つ該突出した先端部分が前記ロータの隣り合う2つの前記支持溝間の一方の支持溝側に近くなるように偏らせて形成されてあることを特徴とする空気調和機用回転ロータ。
【請求項2】
熱交換器と、該熱交換器の上流側に配され流入する空気中に含まれる塵埃を捕獲するエアフィルターと、請求項1に記載の空気調和機用回転ロータと、該回転ロータを回転させる回転駆動手段と、該回転ロータを前記エアフィルターの上流側に配置し、前記エアフィルターの表面に沿って移動させる上下方向移動手段とを備えた空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−2802(P2008−2802A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224650(P2007−224650)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【分割の表示】特願2006−144609(P2006−144609)の分割
【原出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】