空気調和機用清掃装置と空気調和機
【課題】小型で、組み立てが容易で、しかも空気調和機の空調性能を低下させることがない、優れた空気調和機用清掃装置を提供する。
【解決手段】室内機2(空気調和機)に内蔵されたエアフィルター17の上流側の表面に沿って回転すると共にエアフィルター17に面した開口27を有する本体ケース26と、開口27に臨むと共に、エアフィルター17の表面に付着した塵埃を除去する清掃体30とを備えたもので、固定されたエアフィルター17の表面に沿って回転しながら、エアフィルター17の表面に付着した塵埃を掻き取るので、安定したエアフィルター17の清掃が可能になり、集塵効率が向上する。又、エアフィルター17を回転させたりする必要が無いので、エアフィルター17に必要以上の強度を持たせたり、必要以上に精度よく仕上げる必要が無いので、薄く、安価に構成でき、空気調和機の小型化をはかることができる。
【解決手段】室内機2(空気調和機)に内蔵されたエアフィルター17の上流側の表面に沿って回転すると共にエアフィルター17に面した開口27を有する本体ケース26と、開口27に臨むと共に、エアフィルター17の表面に付着した塵埃を除去する清掃体30とを備えたもので、固定されたエアフィルター17の表面に沿って回転しながら、エアフィルター17の表面に付着した塵埃を掻き取るので、安定したエアフィルター17の清掃が可能になり、集塵効率が向上する。又、エアフィルター17を回転させたりする必要が無いので、エアフィルター17に必要以上の強度を持たせたり、必要以上に精度よく仕上げる必要が無いので、薄く、安価に構成でき、空気調和機の小型化をはかることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に取り付けられたエアフィルターの清掃を行う空気調和機用清掃装置と、それを用いた空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の空気調和機用清掃装置として、駆動軸と従動軸間に張架され、空気調和機内に流入する空気に含まれる塵埃を捕集するベルト状のエアフィルターと、前記駆動軸を回転駆動する第1駆動手段と、前記エアフィルターに付着した塵埃を除去するブラシを外周に有する回転清掃体と、前記回転清掃体を回転駆動する第2駆動手段と、前記回転清掃体で除去された塵埃を、吸引し、外部に排出する塵埃排出用ファンを備え、エアフィルターの清掃時に、第1駆動手段で駆動軸を回転させてエアフィルターを移動させながら、第2駆動手段で回転駆動される回転清掃体のブラシでエアフィルターに付着した塵埃を除去し、同時に、除去された塵埃を塵埃排出用ファンで、吸引し、屋外に排出するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来の空気調和機用清掃装置の構成では、ベルト状のエアフィルターを第1駆動手段で移動させると共に、塵埃吸引用ファンで除去された塵埃を排出するようにしているので、構造が複雑で、しかも空気調和機本体が大型化するという問題があった。又、塵埃の排出時に、塵埃吸引用ファンが高速で回転するため、騒音が大きく、さらに、塵埃を、直接屋外に排出するようにしているため、屋外の空気が塵埃で汚染され、非衛生的でもあった。
【0004】
このような問題を解決するために、空気吸込口から吸込んだ外気を空気吹出口に導く風路内に配設された円盤状のエアフィルターと、前記エアフィルターを回転駆動する除塵モータと、前記エアフィルターに付着した塵埃を除去する自動清掃装置を設け、前記自動清掃装置は、前記エアフィルターの前面に接触すると共に前記エアフィルターの回転によって回転駆動される回転ブラシと、該回転ブラシで除去された塵埃を受ける集塵ボックスを備えた空気調和機用清掃装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
上記特許文献2に記載された従来の空気調和機用清掃装置は、エアフィルターが円盤状なので、従来のものに較べ、空気調和機本体を小型にでき、さらに除去された塵埃を集塵ボックスに貯めておくので、衛生的でもある。
【0006】
又、空気調和機に内蔵されたエアフィルターの上流側に、エアフィルターの表面に付着した塵埃を除去するブラシ部と、前記ブラシ部を覆うダストボックスと、前記ブラシ部とダストボックスを、ガイドレールに沿って往復移動させる駆動部とを備え、前記駆動部を、ダストボックスを駆動する割ナットと、前記割ナットと螺合された駆動スクリュウと、前記駆動スクリュウを回転駆動する駆動モータとで構成し、エアフィルターの清掃を行なうときは、駆動モータで駆動スクリュウを右回り及び左回りに回転駆動して、ダストボックスと共にブラシ部を往復移動させ、その間に、前記ブラシ部でエアフィルターの表面に付着した塵埃を除去するようにした空気調和機用清掃装置もある(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平6−74521号公報
【特許文献2】特開2007−130628号公報
【特許文献3】特開2007−040689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2に記載された従来の空気調和機用清掃装置の構成では、エアフィルターを回転させる構造になっているので、エアフィルター自身に強度を持たせる為、リブ等による補強等が必要となり、エアフィルターが分厚くなり、空気調和機の大型化を招く要因となっていた。又、エアフィルターを回転させるために、エアフィルターの面精度が要求されるが、大きなエアフィルターを精度良く回転させることはなかなか難しかった。
【0008】
又、エアフィルターをスムーズに回転させるために、エアフィルターの外周部と空気調和機本体との間に、ある程度の隙間を設ける必要があり、このため、その隙間から、塵埃を含んだ外部の空気が、空気調和機本体内に直接流入し、熱交換器に塵埃が堆積し、空調性能を低下させるという課題があった。
【0009】
又、上記特許文献3に記載された従来の空気調和機用清掃装置の構成では、ブラシ部とダストボックスを、エアフィルターの表面に沿って移動させるために、ガイドレールと駆動スクリュウを設けなければならず、構造が複雑で、しかもダストボックスがスムーズに往復移動できるように精度よく加工し、組みたてる必要があり、コスト高になるという課題があった。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、小型で、組み立てが容易で、しかも空気調和機の空調性能を低下させることがない、優れた空気調和機用清掃装置及び空気調和機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記従来の課題を解決するために、本発明の空気調和機用清掃装置は、空気調和機に内蔵されたエアフィルターの上流側の表面に沿って回転すると共に前記エアフィルターに面した開口を有する本体ケースと、前記開口に臨むと共に、前記エアフィルターの表面に付着した塵埃を除去する清掃体とを備えたもので、固定されたエアフィルターの表面に沿って回転しながら、エアフィルターの表面に付着した塵埃を掻き取るので、安定したエアフィルターの清掃が可能になり、結果として集塵効率が向上する。又、エアフィルターを回転したり移動させたりする必要が無いので、エアフィルターに必要以上の強度を持たせたり、必要以上に精度よく仕上げる必要が無いので、薄くしかも、安価に構成でき、結果的に、空気調和機の小型化を図ることができる。
【0012】
また、エアフィルターを回転させたりする必要が無いので、従来通り、エアフィルターの周縁を空気調和機本体に確実に固定でき、それによりエアフィルターの周縁部分から塵埃を含んだ外気が直接空気調和機本体内に侵入することが無く、長期に渡って、空気調和機の所定の空調性能を維持することができる。また、エアフィルターの表面に沿って、本体ケースを回転させるだけなので、従来のようなガイドレールも不要になり、安価で、組み立てが容易で、しかも空気調和機の小型化も図れる。
【0013】
又、本発明の空気調和機は、熱交換器と、前記熱交換器の上流側に配され、流入する空気に含まれる塵埃を捕獲するエアフィルターと、請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気調和機用清掃装置を備えたもので、長期に渡って、安定した空調性能を発揮することができる空気調和機を安価に提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の空気調和機用清掃装置及び空気調和機は、小型で、組み立てが容易で、しかも空気調和機の空調性能を低下させることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
第1の発明は、空気調和機に内蔵されたエアフィルターの上流側の表面に沿って回転すると共に前記エアフィルターに面した開口を有する本体ケースと、前記開口に臨むと共に、前記エアフィルターの表面に付着した塵埃を除去する清掃体とを備えたもので、固定されたエアフィルターの表面に沿って回転しながら、エアフィルターの表面に付着した塵埃を掻き取るので、安定したエアフィルターの清掃が可能になり、結果として集塵効率が向上する。又、エアフィルターを回転したり移動させたりする必要が無いので、エアフィルターに必要以上の強度を持たせたり、必要以上に精度よく仕上げる必要が無いので、薄くしかも、安価に構成でき、結果的に、空気調和機の小型化を図ることができる。
【0016】
また、エアフィルターを回転させたりする必要が無いので、従来通り、エアフィルターの周縁を空気調和機本体に確実に固定でき、それによりエアフィルターの周縁部分から塵埃を含んだ外気が直接空気調和機本体内に侵入することが無く、長期に渡って、空気調和機の所定の空調性能を維持することができる。また、エアフィルターの表面に沿って、本体ケースを回転させるだけなので、従来のようなガイドレールも不要になり、安価で、組み立てが容易で、しかも空気調和機の小型化も図れる。
【0017】
第2の発明は、特に、第1の発明の清掃体を本体ケース内で回転させながらエアフィルターの表面に付着した塵埃を除去するもので、エアフィルターの表面に付着した塵埃の除去性能が飛躍的に向上する。
【0018】
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明の本体ケースの回転中心を境に、一方に清掃体が臨む開口を、他方に、前記清掃体で除去された塵埃を収納する塵埃収納部を設けたもので、本体ケースの回転中心を境に左右の重量バランスが良くなり、本体ケースを回転駆動する部分に大きな応力が加わったり、本体ケースの回転時に異常振動が発生することも無く、長寿命で、信頼性の高い空気調和機用清掃装置を提供することが出来る。
【0019】
第4の発明は、特に、第3の発明の清掃体で除去され本体ケース内に回収された塵埃を塵埃収納部に移送する塵埃移送手段を備えたもので、塵埃移送手段で、適宜、塵埃を塵埃収納部に移送、圧縮して貯めておけば、塵埃の廃棄頻度を減らすことができるので、特に、天井など高所に取り付けられた空気調和機に組み込んだ場合は、メンテナンスが容易になる。
【0020】
第5の発明は、特に、第2〜4のいずれか一つの発明の本体ケースの回転を駆動源として、清掃体を回転させるもので、清掃体を回転させるための専用の駆動手段が不要なので、塵埃除去性能に優れた空気調和機用清掃装置を安価に提供することができる。特に、駆動手段としてモータなどを用いる場合は、それ用の電気配線も不要になるので、組み立ても容易になる。
【0021】
第6の発明は、特に、第4又は第5の発明の本体ケースの回転を駆動源として、塵埃移送手段を駆動させるもので、塵埃移送手段を駆動するための専用の駆動手段が不要なので、空気調和機用清掃装置を安価に提供することができる。特に、駆動手段としてモータなどを用いる場合は、それ用の電気配線も不要になるので、組み立ても容易になる。
【0022】
第7の発明は、特に、第4〜6のいずれか一つの発明の清掃体でエアフィルターの表面の塵埃を除去してる間は、塵埃移送手段を駆動しないようにしたもので、塵埃移送手段が塵埃収納部側に移動している間に、本体ケース内の塵埃移送手段の清掃体側に塵埃が落下し、堆積し、塵埃を廃棄することが出来なくなる、ということがない。
【0023】
第8の発明は、熱交換器と、前記熱交換器の上流側に配され、流入する空気に含まれる塵埃を捕獲するエアフィルターと、請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気調和機用清掃装置を備えたもので、長期に渡って、安定した空調性能を発揮することができる空気調和機を安価に提供することができる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施例によって本発明が限定されるものではない。
【0025】
(実施例1)
本発明の第1の実施例における空気調和機用清掃装置について図1〜8を用いて説明する。
図1は、本実施例における空気調和機用清掃装置を搭載した空気調和機の全体斜視図、図2は、同空気調和機の断面図、図3は、同空気調和機のエアフィルターの半下面図である。
【0026】
図1〜3において、空気調和機1は、天井に設置される室内機2と、室外に設置されると共に、室内機2と冷媒を循環させる冷媒配管3を介して連結される室外機4から概略構成されている。
【0027】
室外機4は、冷媒を圧縮する圧縮機5と、冷媒と室外空気との間で熱交換を行なう室外熱交換器6と、室外送風機7を備えている。
【0028】
室内機2は、下部に前面パネル8を有すると共に、天井に埋め込み設置される筐体9と、前面パネル8の中央に開口して形成された空気吸入口10と、空気吸入口10に着脱自在に取着されると共に、室内空気を吸込む吸込口11が形成された前面グリル12と、室内空気を吸込み送り出す室内送風機13と、室内送風機13を回転駆動する電動機14と、室内送風機13の下流側に配され、室内空気と冷媒との間で熱交換を行なう室内熱交換器15と、流入する室内空気の流れを整えるベルマウス16と、ベルマウス16の入口部に配され、流入する空気に含まれる塵埃を捕捉する略円形状のエアフィルター17と、エアフィルター17の上流側に配され、エアフィルター17に付着した塵埃を除去する空気調和機用清掃装置20(以下「清掃装置20」という)と、清掃装置20を、外形が多角形状の駆動軸21を介して回転駆動する駆動手段22と、前面パネル8の空気吸入口10の外方に位置し、室内熱交換器15で熱交換された空気を吹き出す吹出口23とを備えている。駆動軸21は、略円形状のエアフィルター17の中央に設けた開口17dを貫通して下方に突出している。
【0029】
エアフィルター17は、フィルター材17aと、フィルター材17aを張った枠体17bから構成され、外周に位置する枠体17bの下面には、円環状にギヤA17cが形成されている。
【0030】
次に、本実施例における清掃装置20の詳細について、図4〜7を用いて説明する。図4は、同空気調和機用清掃装置の斜視図、図5は、同空気調和機用清掃装置の駆動軸と嵌合孔の断面図、図6は、同空気調和機用清掃装置の透視図、図7は、図6のA−A断面図、図8は、図6のB−B断面図(エアフィルターの断面含む)である。
【0031】
図4〜8において、本実施例における清掃装置20は、上面の略中央に位置すると共に、内形状が駆動軸21の外形形状と略同一で、駆動軸21に着脱自在に嵌合する嵌合孔25を有し、その嵌合孔25に駆動軸21を嵌合させて駆動手段22を運転することにより、エアフィルター17の上流側の面に沿って、例えば、時計の針のように回転する本体ケース26を備え、その本体ケース26の上面の、本体ケース26の回転中心、すなわち、嵌合孔25の中心より一方に、本実施例では、図4に示すように、左側に開口27が長手方向に設けられている。
【0032】
駆動軸21の下部には、先端が円弧状のピン21aが一対、駆動軸21の軸方向と直交する方向に摺動自在に設けられ、一対のピン21aのそれぞれは、付勢手段21bにより、外方に付勢されている。21cは、ピン21aに一体的に形成された座で、ピン21aが駆動軸21から抜けるのを防止するためのものである。一方、嵌合孔25には、一対のピン21aのそれぞれの先端が嵌合する孔25aが設けられている。尚、駆動軸21を嵌合孔25から抜いた状態(図5(a))では、一対のピン21aのそれぞれの先端の円弧状の部分のみ、駆動軸21の外表より突出するように設定されている。
【0033】
駆動軸21の下部と、嵌合孔25が上記のように構成されているので、本体ケース26を掴んで、嵌合孔25を、少し強い力で、駆動軸21に装着しようとすると、ピン21aが、付勢手段21の付勢力に抗して、駆動軸21の内方に没し、駆動軸21の下端が嵌合孔25に挿入される。
【0034】
そして、ピン21aの中心と、孔25aの中心が一致すると、ピン21aが付勢手段21bの付勢力により外方に突出し、孔25aと嵌合し、本体ケース26が駆動軸21に確実に装着できる。又、本体ケース26を駆動軸21から外すときは、本体ケース26を、若干強い力で下方に引っ張れば、ピン21aが一瞬内方に後退するので、容易に外すことができる。
【0035】
本体ケース26内の長手方向には、開口27に臨むと共にエアフィルター17の上流側の面に接してエアフィルター17に付着した塵埃を掻き取る清掃体30が取着されている。26aは、清掃体30の両端を支持する支持壁で、本体ケース26の天面より一体的に垂下形成されている。
【0036】
清掃体30は、ブラシ状で、エアフィルター17の上流側の面に付着した塵埃を掻きとるように除去する清掃部材30aと、金属材料などからなり、清掃部材30aの根元部を挟持する基材30bより構成されている。図8は、本体ケース26が矢印A方向に回転しているときの、清掃体30の清掃部材30aとエアフィルター17との接触関係を示している。
【0037】
又、本体ケース26の、嵌合孔25の中心より、開口27が設けられた側と反対側には、清掃体30によって、エ
アフィルター17から除去された塵埃を収納する塵埃収納部28が形成され、さらに塵埃収納部28の端部には、開閉自在の蓋26bが設けられている。
【0038】
同じく本体ケース26内の長手方向には、エアフィルター17に設けたギヤA17cに噛み合うギヤB31が一端に固着された第1回転軸32が回転自在に収納され、その第1回転軸32の外周にウォームギヤ33が、長手方向に摺動自在に設けられている。34は、同じく本体ケース26内の長手方向に配され、ウォームギヤ33に噛み合うラックギヤである。
【0039】
第1回転軸32のギヤB31側のA部を除く外周の長手方向には、図6、7に示すように、凸リブ32aが設けられ、一方ウォームギヤ33側には、凸リブ32aに嵌合する凹部33aが設けられ、第1回転軸32のA部以外の部分では、ウォームギヤ33が、第1回転軸32上で回転できないようになっている。尚、A部は、本実施例では、ギヤB31のウォームギヤ33側の面から、ウォームギヤ33の長さより若干長い位置までとしている。
【0040】
37は、清掃体30で除去され、落下してきた塵埃を、塵埃収納部28に移送するための塵埃移送手段で、その周縁の一部は、図6、8に示すように、ウォームギヤ33に円環状に設けた溝部33bに嵌り込んでいる。
【0041】
上記構成により、ウォームギヤ33が第1回転軸32のA部以外の部分に位置しているときは、ギヤA31が回転すると、第1回転軸32の回転と一緒にウォームギヤ33も回転すると共に、ウォームギヤ33は、ラックギヤ34と噛み合っているので、本体ケース26の長手方向に沿って移動する。このとき、塵埃移送手段37もウォームギヤ33と一緒に移動することになる。
【0042】
以上のように構成された本実施例における清掃装置20及びそれを搭載した空気調和機1の動作、作用について、以下に説明する。
【0043】
最初に、空気調和機の動作について説明する。
使用者が、空気調和機1の運転、例えば、冷房運転を開始すると、室内送風機13の運転が開始し、室内の空気が前面グリル12に設けた吸込口11から流入し、空気吸入口10を経て、エアフィルター17に至り、そこで空気中に含まれる塵埃が捕捉され、綺麗になった空気は、室内熱交換器15で、室外機4から送られてきた冷媒との間で熱交換が行われ冷やされ、冷たい空気が、吹出口23より、室内に吹き出される。
【0044】
空気調和機1を長期間使用していると、エアフィルター17に塵埃が堆積し、空気の流れが悪くなり、次第に空調性能が低下していくので、適宜、エアフィルター17を清掃しなければならないが、以下に、本実施例における清掃装置20によるエアフィルター17の清掃について説明する。
【0045】
尚、本実施例では、初期設定の一つとして、第1回転軸32上のウォームギヤ33は、第1回転軸32のA部内に、予め寄せられている。
【0046】
図示しない、第1の操作スイッチを操作すると、駆動手段22が動作して、駆動軸21と共にそれに嵌合された本体ケース26が、一方向に、例えば、時計方向に回転する。
【0047】
本体ケース26が回転すると、本体ケース26の開口27から突出した清掃体30により、エアフィルター17の表面に付着した塵埃が除去され、清掃体30の下方に落下する。ギヤB31がエアフィルター17のギヤA17cに噛み合っているので、本体ケース26が回転すると、ギヤB31と共に第1回転軸32を回転するが、ウォームギヤ33は、第1回転軸32のA部に位置しているので、そこで空回りするだけで、ウォームギヤ33は、移動しない、つまり塵埃移送手段37はA部に留まっている。
【0048】
そして、本体ケース26を2、3回回転させて、エアフィルター17の清掃を行なった後、図示しない第2の操作スイッチを操作すると、一旦、本体ケース26の回転が停止する。そして、図示しない移動機構により、ウォームギヤ33が、第1回転軸32上で、A部の外、すなわち、第1回転軸32の凸リブ32aとウォームギヤ33の凹部33aが嵌合する位置まで移動する。そして、再び、駆動手段22を駆動して、本体ケース26を、例えば時計方向に回転させる。すると、ギヤB31が回転し、同時にウォームギヤ33も回転しながら、A部と反対側の方向に、図6の例では、右方向に移動する。このとき、ウォームギヤ33の溝部33bに一部が嵌合した塵埃移送手段37が、ウォームギヤ33と一緒に移動しながら、清掃体30の下方に落下した塵埃を、塵埃収納部28に移送する。
【0049】
本実施例では、本体ケース26を1回転させたときに、塵埃移送手段37が本体ケース26内の右端に達するように、ギヤB31、ラックギヤ34の歯数を設定している。
【0050】
そして、本体ケース26を1回転させて、塵埃移送手段37が本体ケース26内の右端に達した後、駆動手段22を逆転させて、塵埃移送手段37と共にウォームギヤ33を、運転開始時の位置、すなわちA部の隣の位置まで戻す。そして、移動機構を動作させて、ウォームギヤ33を、第1回転軸32のA部の位置まで戻しておく。
【0051】
上記エアフィルター17の清掃運転及び塵埃移送手段37による塵埃移送を数回行なうと、塵埃収納部28に塵埃が次第に堆積していく。そして、ころあいを見て、本体ケース26を駆動軸21から取り外し、ゴミ箱(図示せず)の上で、蓋26bを開けることにより、手を汚すことなく塵埃収納部28に溜まった塵埃を廃棄することができる。
【0052】
以上のように、本実施例における清掃装置20によれば、清掃装置20が、固定されたエアフィルター17の表面に沿って回転しながら、エアフィルター17の表面に付着した塵埃を掻き取るので、安定したエアフィルター17の清掃が可能になり、結果として集塵効率が向上する。
【0053】
又、エアフィルター17を回転したり移動させたりする必要が無いので、エアフィルター17に必要以上の強度を持たせたり、必要以上に精度よく仕上げる必要が無いので、薄くしかも、安価に構成でき、結果的に、空気調和機1の小型化を図ることができる。
【0054】
さらに、エアフィルター17を回転させたりする必要が無いので、従来通り、エアフィルター17の周縁を空気調和機1に確実に且つ気密に固定でき、それによりエアフィルター17の周縁部分から塵埃を含んだ外気が直接室内機2内に侵入することが無く、長期に渡って、所定の空調性能を維持することができる。また、エアフィルター17の表面に沿って、本体ケース26を回転させるだけなので、従来のようなガイドレールも不要になり、安価で、組み立てが容易で、しかも空気調和機の小型化も図れる。
【0055】
又、本体ケース26の回転中心を境に、一方に清掃体20が臨む開口27を、他方に、清掃体30で除去された塵埃を収納する塵埃収納部28を設けたので、本体ケース26の回転中心を境に左右の重量バランスが良くなり、本体ケース26を回転駆動する駆動軸21に大きな応力が加わったり、本体ケース26の回転時に異常振動が発生することも無く、長寿命で、信頼性の高い清掃装置20を提供することが出来る。
【0056】
また、清掃体30で除去され落下して、本体ケース26内に回収された塵埃を、塵埃収納部28に移送する塵埃移送手段37を備えたので、塵埃移送手段37で、適宜、塵埃を塵埃収納部28に移送、圧縮して貯めておけば、塵埃の廃棄頻度を減らすことができ、特に、天井など高所に取り付けられた空気調和機1に組み込んだ場合は、メンテナンスが容易になる。
【0057】
更に、エアフィルター17のギヤA17cとギヤB31を噛み合わせることで、本体ケース26の回転を駆動源として、塵埃移送手段37を駆動させるようにしたので、塵埃移送手段37を駆動するための専用の駆動手段が不要になり、清掃装置20を安価に提供することができる。特に、駆動手段としてモータなどを用いる場合は、それ用の電気配線も不要になるので、組み立ても容易になる。
【0058】
尚、本実施例では、ギヤA17cをエアフィルター17の外周に形成したが、特にそれに限定されるものではなく、エアフィルター17の外側に円環状に形成しても、同様の効果が得られることは、言うまでもない。この場合は、エアフィルター17にギヤを形成しない分、エアフィルター17の構成が簡素化され、しかも軽量化が図られ、エアフィルター17の取り扱いも容易になる、という利点がある。
【0059】
又、清掃体30でエアフィルター17の表面の塵埃を除去してる間は、塵埃移送手段37を駆動しないようにしているので、塵埃移送手段37が塵埃収納部28側に移動している間に、本体ケース26内の塵埃移送手段37の清掃体30側に塵埃が落下し、堆積し、塵埃を廃棄することが出来なくなる、ということがない。
【0060】
(実施例2)
図9は、本発明の第2の実施例における空気調和機用清掃装置の斜視図、図10は、同空気調和機用清掃装置の透視図、図11は、図10のC−C断面図(エアフィルターの断面含む)、図12は、図10のD−D断面図(エアフィルターの断面含む)である。尚、上記第1の実施例における清掃装置20と同一部分については、同一符号を付与し、その詳細な説明を省略する。
【0061】
上記第1の実施例では、清掃体は、本体ケース26に固定されていたが、本実施例では、回転自在の清掃体を用いたものである。
【0062】
図9〜12において、本実施例における空気調和機用清掃装置40の本体ケース26内の長手方向には、開口27に臨むと共にエアフィルター17の上流側の面に接してエアフィルター17に付着した塵埃を掻き取る清掃体41が回転自在に配されている。
【0063】
清掃体41は、本体ケース26に設けた一対の支持壁26aに回転自在に軸支された第2回転軸41aと、第2回転軸41aの外周に放射状に設けた清掃部材41bとから構成され、第2回転軸41aの一端には、ギヤB31に噛み合うギヤC43が、図示しないクラッチ機構を介して取り付けられている。クラッチ機構は、ギヤC43に加わる回転動力を第2回転軸41aに伝えたり、切ったりするためのものである。
【0064】
塵埃を塵埃収納部28に移送する塵埃移送手段45は、図11に示すように、略U字状の切り欠き45aを備え、その切り欠き45aの内径は、同図に示すように、清掃体41の清掃部材41bの略半周に渡って、少し食い込むように設定されている。これにより、清掃部材41bに付着した塵埃をこそぎ落とすことが出来る。
他の構成は、上記第1の実施例における清掃装置20と同一である。
【0065】
以上のように構成された本実施例における清掃装置40の動作、作用は以下の通りである。
上記第1の実施例と同様に、第1回転軸32上のウォームギヤ33は、第1回転軸32のA部内に予め寄せられている。
【0066】
そして図示しない、第1の操作スイッチを操作すると、駆動手段22が動作して、駆動軸21と共にそれに嵌合された本体ケース26が、一方向に、例えば、時計方向に回転する。
【0067】
本体ケース26が回転すると、ギヤA17cに噛み合ったギヤB31が回転し、そのギヤB31に噛み合ったギヤC43が回転し、本体ケース26の開口27から突出した清掃体41も同時に回転し、エアフィルター17の表面に付着した塵埃が効率よく除去され、清掃体41の下方に落下する。
【0068】
本体ケース26の回転時に、ギヤB31と共に第1回転軸32も回転するが、ウォームギヤ33は、第1回転軸32のA部に位置しているので、そこで空回りするだけで、ウォームギヤ33は、移動しない、つまり塵埃移送手段45はA部に留まっている。
【0069】
そして、本体ケース26を2、3回回転させて、エアフィルター17の清掃を行なった後、図示しない第2の操作スイッチを操作すると、一旦、本体ケース26の回転が停止する。そして、図示しない移動機構により、ウォームギヤ33を、第1回転軸32上で、A部の外、すなわち、第1回転軸32の凸リブ32aとウォームギヤ33の凹部33aが嵌合する位置まで移動させる。
【0070】
更に、クラッチ機構を動作させて、ギヤC43に加わる回転動力が第2回転軸41aに伝わらないようにする。
そして、再び、駆動手段22を駆動して、本体ケース26を、例えば時計方向に回転させる。すると、ギヤB31が回転し、同時にウォームギヤ33も回転しながら、A部と反対側の方向に、図10の例では、右方向に移動する。このとき、ウォームギヤ33の溝部33bに一部が嵌合した塵埃移送手段45が、ウォームギヤ33と一緒に移動しながら、清掃体41の下方に落下した塵埃を、塵埃収納部28に移送する。
【0071】
塵埃移送手段45が移動している間は、クラッチ機構が動作して、ギヤC43が空転するだけなので、第2回転軸41aに動力が伝達されない。つまり、第2回転軸41aの回転がフリーになり、エアフィルター17に接触している清掃体41が、エアフィルター17の表面を転がるように回転するだけで、エアフィルター17の表面に残っている塵埃を掻き落とすことがない。つまり、塵埃移送手段45が右方向に移動している間に、塵埃移送手段45の左側に、塵埃が新たに落下してくることがない。
【0072】
本実施例では、本体ケース26を1回転させたときに、塵埃移送手段45が本体ケース26内の右端に達するように、ギヤB31、ラックギヤ34の歯数を設定している。
【0073】
そして、本体ケース26を1回転させて、塵埃移送手段45が本体ケース26内の右端に達した後、駆動手段22を逆転させて、塵埃移送手段45と共にウォームギヤ33を、運転開始時の位置、すなわちA部の隣の位置まで戻す。そして、移動機構を動作させて、ウォームギヤ33を、第1回転軸32のA部の位置まで戻しておく。
本体ケース26の塵埃収納部28に堆積した塵埃の廃棄方法は、上記第1の実施例と同じなので説明を割愛する。
【0074】
以上のように、本実施例における清掃装置40によると、清掃体41を本体ケース26内で回転させながらエアフィルター17の表面に付着した塵埃を除去するようにしたので、エアフィルター17の表面に付着した塵埃の除去性能が飛躍的に向上する。
【0075】
また、ギヤB31とギヤC43を噛み合せて、本体ケース26の回転を駆動源として、清掃体41を回転させるようにしているので、清掃体41を回転させるための専用の駆動手段が不要となり、塵埃除去性能に優れた清掃装置40を安価に提供することができる。特に、駆動手段としてモータなどを用いる場合は、それ用の電気配線も不要になるので、組み立ても容易になる。
【0076】
さらに、室内熱交換器15と、前記室内熱交換器15の上流側に配され、流入する空気に含まれる塵埃を捕獲するエアフィルター17を備えた空気調和機1に、上記清掃装置20又は40を搭載し、清掃装置20又は40で、エアフィルター17に付着した塵埃を除去するようにすれば、長期に渡って、安定した空調性能を発揮することができる空気調和機を安価に提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上のように、本発明にかかる空気調和機用清掃装置及び空気調和機は、小型で、組み立てが容易で、しかも空気調和機の空調性能を低下させることがないので、家庭用、業務用の各種空気調和機は勿論、空気清浄機、換気装置などエアフィルターを有する各種機器に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本実施例における空気調和機用清掃装置を搭載した空気調和機の全体斜視図
【図2】同空気調和機の断面図
【図3】同空気調和機のエアフィルターの半下面図
【図4】同空気調和機用清掃装置の斜視図
【図5】(a)同空気調和機用清掃装置の駆動軸と嵌合孔の断面図(嵌合前)、(b)同駆動軸と嵌合孔が嵌合した状態を示す断面図
【図6】同空気調和機用清掃装置の透視図
【図7】図6のA−A断面図
【図8】図6のB−B断面図(エアフィルターの断面含む)
【図9】本発明の第2の実施例における空気調和機用清掃装置の斜視図
【図10】同空気調和機用清掃装置の透視図
【図11】図10のC−C断面図(エアフィルターの断面含む)
【図12】図10のD−D断面図(エアフィルターの断面含む)
【符号の説明】
【0079】
1 空気調和機
2 室内機
17 エアフィルター
20、40 空気調和機用清掃装置(清掃装置)
21 駆動軸
25 嵌合孔
26 本体ケース
27 開口
28 塵埃収納部
30、41 清掃体
37、45 塵埃移送手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に取り付けられたエアフィルターの清掃を行う空気調和機用清掃装置と、それを用いた空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の空気調和機用清掃装置として、駆動軸と従動軸間に張架され、空気調和機内に流入する空気に含まれる塵埃を捕集するベルト状のエアフィルターと、前記駆動軸を回転駆動する第1駆動手段と、前記エアフィルターに付着した塵埃を除去するブラシを外周に有する回転清掃体と、前記回転清掃体を回転駆動する第2駆動手段と、前記回転清掃体で除去された塵埃を、吸引し、外部に排出する塵埃排出用ファンを備え、エアフィルターの清掃時に、第1駆動手段で駆動軸を回転させてエアフィルターを移動させながら、第2駆動手段で回転駆動される回転清掃体のブラシでエアフィルターに付着した塵埃を除去し、同時に、除去された塵埃を塵埃排出用ファンで、吸引し、屋外に排出するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来の空気調和機用清掃装置の構成では、ベルト状のエアフィルターを第1駆動手段で移動させると共に、塵埃吸引用ファンで除去された塵埃を排出するようにしているので、構造が複雑で、しかも空気調和機本体が大型化するという問題があった。又、塵埃の排出時に、塵埃吸引用ファンが高速で回転するため、騒音が大きく、さらに、塵埃を、直接屋外に排出するようにしているため、屋外の空気が塵埃で汚染され、非衛生的でもあった。
【0004】
このような問題を解決するために、空気吸込口から吸込んだ外気を空気吹出口に導く風路内に配設された円盤状のエアフィルターと、前記エアフィルターを回転駆動する除塵モータと、前記エアフィルターに付着した塵埃を除去する自動清掃装置を設け、前記自動清掃装置は、前記エアフィルターの前面に接触すると共に前記エアフィルターの回転によって回転駆動される回転ブラシと、該回転ブラシで除去された塵埃を受ける集塵ボックスを備えた空気調和機用清掃装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
上記特許文献2に記載された従来の空気調和機用清掃装置は、エアフィルターが円盤状なので、従来のものに較べ、空気調和機本体を小型にでき、さらに除去された塵埃を集塵ボックスに貯めておくので、衛生的でもある。
【0006】
又、空気調和機に内蔵されたエアフィルターの上流側に、エアフィルターの表面に付着した塵埃を除去するブラシ部と、前記ブラシ部を覆うダストボックスと、前記ブラシ部とダストボックスを、ガイドレールに沿って往復移動させる駆動部とを備え、前記駆動部を、ダストボックスを駆動する割ナットと、前記割ナットと螺合された駆動スクリュウと、前記駆動スクリュウを回転駆動する駆動モータとで構成し、エアフィルターの清掃を行なうときは、駆動モータで駆動スクリュウを右回り及び左回りに回転駆動して、ダストボックスと共にブラシ部を往復移動させ、その間に、前記ブラシ部でエアフィルターの表面に付着した塵埃を除去するようにした空気調和機用清掃装置もある(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平6−74521号公報
【特許文献2】特開2007−130628号公報
【特許文献3】特開2007−040689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2に記載された従来の空気調和機用清掃装置の構成では、エアフィルターを回転させる構造になっているので、エアフィルター自身に強度を持たせる為、リブ等による補強等が必要となり、エアフィルターが分厚くなり、空気調和機の大型化を招く要因となっていた。又、エアフィルターを回転させるために、エアフィルターの面精度が要求されるが、大きなエアフィルターを精度良く回転させることはなかなか難しかった。
【0008】
又、エアフィルターをスムーズに回転させるために、エアフィルターの外周部と空気調和機本体との間に、ある程度の隙間を設ける必要があり、このため、その隙間から、塵埃を含んだ外部の空気が、空気調和機本体内に直接流入し、熱交換器に塵埃が堆積し、空調性能を低下させるという課題があった。
【0009】
又、上記特許文献3に記載された従来の空気調和機用清掃装置の構成では、ブラシ部とダストボックスを、エアフィルターの表面に沿って移動させるために、ガイドレールと駆動スクリュウを設けなければならず、構造が複雑で、しかもダストボックスがスムーズに往復移動できるように精度よく加工し、組みたてる必要があり、コスト高になるという課題があった。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、小型で、組み立てが容易で、しかも空気調和機の空調性能を低下させることがない、優れた空気調和機用清掃装置及び空気調和機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記従来の課題を解決するために、本発明の空気調和機用清掃装置は、空気調和機に内蔵されたエアフィルターの上流側の表面に沿って回転すると共に前記エアフィルターに面した開口を有する本体ケースと、前記開口に臨むと共に、前記エアフィルターの表面に付着した塵埃を除去する清掃体とを備えたもので、固定されたエアフィルターの表面に沿って回転しながら、エアフィルターの表面に付着した塵埃を掻き取るので、安定したエアフィルターの清掃が可能になり、結果として集塵効率が向上する。又、エアフィルターを回転したり移動させたりする必要が無いので、エアフィルターに必要以上の強度を持たせたり、必要以上に精度よく仕上げる必要が無いので、薄くしかも、安価に構成でき、結果的に、空気調和機の小型化を図ることができる。
【0012】
また、エアフィルターを回転させたりする必要が無いので、従来通り、エアフィルターの周縁を空気調和機本体に確実に固定でき、それによりエアフィルターの周縁部分から塵埃を含んだ外気が直接空気調和機本体内に侵入することが無く、長期に渡って、空気調和機の所定の空調性能を維持することができる。また、エアフィルターの表面に沿って、本体ケースを回転させるだけなので、従来のようなガイドレールも不要になり、安価で、組み立てが容易で、しかも空気調和機の小型化も図れる。
【0013】
又、本発明の空気調和機は、熱交換器と、前記熱交換器の上流側に配され、流入する空気に含まれる塵埃を捕獲するエアフィルターと、請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気調和機用清掃装置を備えたもので、長期に渡って、安定した空調性能を発揮することができる空気調和機を安価に提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の空気調和機用清掃装置及び空気調和機は、小型で、組み立てが容易で、しかも空気調和機の空調性能を低下させることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
第1の発明は、空気調和機に内蔵されたエアフィルターの上流側の表面に沿って回転すると共に前記エアフィルターに面した開口を有する本体ケースと、前記開口に臨むと共に、前記エアフィルターの表面に付着した塵埃を除去する清掃体とを備えたもので、固定されたエアフィルターの表面に沿って回転しながら、エアフィルターの表面に付着した塵埃を掻き取るので、安定したエアフィルターの清掃が可能になり、結果として集塵効率が向上する。又、エアフィルターを回転したり移動させたりする必要が無いので、エアフィルターに必要以上の強度を持たせたり、必要以上に精度よく仕上げる必要が無いので、薄くしかも、安価に構成でき、結果的に、空気調和機の小型化を図ることができる。
【0016】
また、エアフィルターを回転させたりする必要が無いので、従来通り、エアフィルターの周縁を空気調和機本体に確実に固定でき、それによりエアフィルターの周縁部分から塵埃を含んだ外気が直接空気調和機本体内に侵入することが無く、長期に渡って、空気調和機の所定の空調性能を維持することができる。また、エアフィルターの表面に沿って、本体ケースを回転させるだけなので、従来のようなガイドレールも不要になり、安価で、組み立てが容易で、しかも空気調和機の小型化も図れる。
【0017】
第2の発明は、特に、第1の発明の清掃体を本体ケース内で回転させながらエアフィルターの表面に付着した塵埃を除去するもので、エアフィルターの表面に付着した塵埃の除去性能が飛躍的に向上する。
【0018】
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明の本体ケースの回転中心を境に、一方に清掃体が臨む開口を、他方に、前記清掃体で除去された塵埃を収納する塵埃収納部を設けたもので、本体ケースの回転中心を境に左右の重量バランスが良くなり、本体ケースを回転駆動する部分に大きな応力が加わったり、本体ケースの回転時に異常振動が発生することも無く、長寿命で、信頼性の高い空気調和機用清掃装置を提供することが出来る。
【0019】
第4の発明は、特に、第3の発明の清掃体で除去され本体ケース内に回収された塵埃を塵埃収納部に移送する塵埃移送手段を備えたもので、塵埃移送手段で、適宜、塵埃を塵埃収納部に移送、圧縮して貯めておけば、塵埃の廃棄頻度を減らすことができるので、特に、天井など高所に取り付けられた空気調和機に組み込んだ場合は、メンテナンスが容易になる。
【0020】
第5の発明は、特に、第2〜4のいずれか一つの発明の本体ケースの回転を駆動源として、清掃体を回転させるもので、清掃体を回転させるための専用の駆動手段が不要なので、塵埃除去性能に優れた空気調和機用清掃装置を安価に提供することができる。特に、駆動手段としてモータなどを用いる場合は、それ用の電気配線も不要になるので、組み立ても容易になる。
【0021】
第6の発明は、特に、第4又は第5の発明の本体ケースの回転を駆動源として、塵埃移送手段を駆動させるもので、塵埃移送手段を駆動するための専用の駆動手段が不要なので、空気調和機用清掃装置を安価に提供することができる。特に、駆動手段としてモータなどを用いる場合は、それ用の電気配線も不要になるので、組み立ても容易になる。
【0022】
第7の発明は、特に、第4〜6のいずれか一つの発明の清掃体でエアフィルターの表面の塵埃を除去してる間は、塵埃移送手段を駆動しないようにしたもので、塵埃移送手段が塵埃収納部側に移動している間に、本体ケース内の塵埃移送手段の清掃体側に塵埃が落下し、堆積し、塵埃を廃棄することが出来なくなる、ということがない。
【0023】
第8の発明は、熱交換器と、前記熱交換器の上流側に配され、流入する空気に含まれる塵埃を捕獲するエアフィルターと、請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気調和機用清掃装置を備えたもので、長期に渡って、安定した空調性能を発揮することができる空気調和機を安価に提供することができる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施例によって本発明が限定されるものではない。
【0025】
(実施例1)
本発明の第1の実施例における空気調和機用清掃装置について図1〜8を用いて説明する。
図1は、本実施例における空気調和機用清掃装置を搭載した空気調和機の全体斜視図、図2は、同空気調和機の断面図、図3は、同空気調和機のエアフィルターの半下面図である。
【0026】
図1〜3において、空気調和機1は、天井に設置される室内機2と、室外に設置されると共に、室内機2と冷媒を循環させる冷媒配管3を介して連結される室外機4から概略構成されている。
【0027】
室外機4は、冷媒を圧縮する圧縮機5と、冷媒と室外空気との間で熱交換を行なう室外熱交換器6と、室外送風機7を備えている。
【0028】
室内機2は、下部に前面パネル8を有すると共に、天井に埋め込み設置される筐体9と、前面パネル8の中央に開口して形成された空気吸入口10と、空気吸入口10に着脱自在に取着されると共に、室内空気を吸込む吸込口11が形成された前面グリル12と、室内空気を吸込み送り出す室内送風機13と、室内送風機13を回転駆動する電動機14と、室内送風機13の下流側に配され、室内空気と冷媒との間で熱交換を行なう室内熱交換器15と、流入する室内空気の流れを整えるベルマウス16と、ベルマウス16の入口部に配され、流入する空気に含まれる塵埃を捕捉する略円形状のエアフィルター17と、エアフィルター17の上流側に配され、エアフィルター17に付着した塵埃を除去する空気調和機用清掃装置20(以下「清掃装置20」という)と、清掃装置20を、外形が多角形状の駆動軸21を介して回転駆動する駆動手段22と、前面パネル8の空気吸入口10の外方に位置し、室内熱交換器15で熱交換された空気を吹き出す吹出口23とを備えている。駆動軸21は、略円形状のエアフィルター17の中央に設けた開口17dを貫通して下方に突出している。
【0029】
エアフィルター17は、フィルター材17aと、フィルター材17aを張った枠体17bから構成され、外周に位置する枠体17bの下面には、円環状にギヤA17cが形成されている。
【0030】
次に、本実施例における清掃装置20の詳細について、図4〜7を用いて説明する。図4は、同空気調和機用清掃装置の斜視図、図5は、同空気調和機用清掃装置の駆動軸と嵌合孔の断面図、図6は、同空気調和機用清掃装置の透視図、図7は、図6のA−A断面図、図8は、図6のB−B断面図(エアフィルターの断面含む)である。
【0031】
図4〜8において、本実施例における清掃装置20は、上面の略中央に位置すると共に、内形状が駆動軸21の外形形状と略同一で、駆動軸21に着脱自在に嵌合する嵌合孔25を有し、その嵌合孔25に駆動軸21を嵌合させて駆動手段22を運転することにより、エアフィルター17の上流側の面に沿って、例えば、時計の針のように回転する本体ケース26を備え、その本体ケース26の上面の、本体ケース26の回転中心、すなわち、嵌合孔25の中心より一方に、本実施例では、図4に示すように、左側に開口27が長手方向に設けられている。
【0032】
駆動軸21の下部には、先端が円弧状のピン21aが一対、駆動軸21の軸方向と直交する方向に摺動自在に設けられ、一対のピン21aのそれぞれは、付勢手段21bにより、外方に付勢されている。21cは、ピン21aに一体的に形成された座で、ピン21aが駆動軸21から抜けるのを防止するためのものである。一方、嵌合孔25には、一対のピン21aのそれぞれの先端が嵌合する孔25aが設けられている。尚、駆動軸21を嵌合孔25から抜いた状態(図5(a))では、一対のピン21aのそれぞれの先端の円弧状の部分のみ、駆動軸21の外表より突出するように設定されている。
【0033】
駆動軸21の下部と、嵌合孔25が上記のように構成されているので、本体ケース26を掴んで、嵌合孔25を、少し強い力で、駆動軸21に装着しようとすると、ピン21aが、付勢手段21の付勢力に抗して、駆動軸21の内方に没し、駆動軸21の下端が嵌合孔25に挿入される。
【0034】
そして、ピン21aの中心と、孔25aの中心が一致すると、ピン21aが付勢手段21bの付勢力により外方に突出し、孔25aと嵌合し、本体ケース26が駆動軸21に確実に装着できる。又、本体ケース26を駆動軸21から外すときは、本体ケース26を、若干強い力で下方に引っ張れば、ピン21aが一瞬内方に後退するので、容易に外すことができる。
【0035】
本体ケース26内の長手方向には、開口27に臨むと共にエアフィルター17の上流側の面に接してエアフィルター17に付着した塵埃を掻き取る清掃体30が取着されている。26aは、清掃体30の両端を支持する支持壁で、本体ケース26の天面より一体的に垂下形成されている。
【0036】
清掃体30は、ブラシ状で、エアフィルター17の上流側の面に付着した塵埃を掻きとるように除去する清掃部材30aと、金属材料などからなり、清掃部材30aの根元部を挟持する基材30bより構成されている。図8は、本体ケース26が矢印A方向に回転しているときの、清掃体30の清掃部材30aとエアフィルター17との接触関係を示している。
【0037】
又、本体ケース26の、嵌合孔25の中心より、開口27が設けられた側と反対側には、清掃体30によって、エ
アフィルター17から除去された塵埃を収納する塵埃収納部28が形成され、さらに塵埃収納部28の端部には、開閉自在の蓋26bが設けられている。
【0038】
同じく本体ケース26内の長手方向には、エアフィルター17に設けたギヤA17cに噛み合うギヤB31が一端に固着された第1回転軸32が回転自在に収納され、その第1回転軸32の外周にウォームギヤ33が、長手方向に摺動自在に設けられている。34は、同じく本体ケース26内の長手方向に配され、ウォームギヤ33に噛み合うラックギヤである。
【0039】
第1回転軸32のギヤB31側のA部を除く外周の長手方向には、図6、7に示すように、凸リブ32aが設けられ、一方ウォームギヤ33側には、凸リブ32aに嵌合する凹部33aが設けられ、第1回転軸32のA部以外の部分では、ウォームギヤ33が、第1回転軸32上で回転できないようになっている。尚、A部は、本実施例では、ギヤB31のウォームギヤ33側の面から、ウォームギヤ33の長さより若干長い位置までとしている。
【0040】
37は、清掃体30で除去され、落下してきた塵埃を、塵埃収納部28に移送するための塵埃移送手段で、その周縁の一部は、図6、8に示すように、ウォームギヤ33に円環状に設けた溝部33bに嵌り込んでいる。
【0041】
上記構成により、ウォームギヤ33が第1回転軸32のA部以外の部分に位置しているときは、ギヤA31が回転すると、第1回転軸32の回転と一緒にウォームギヤ33も回転すると共に、ウォームギヤ33は、ラックギヤ34と噛み合っているので、本体ケース26の長手方向に沿って移動する。このとき、塵埃移送手段37もウォームギヤ33と一緒に移動することになる。
【0042】
以上のように構成された本実施例における清掃装置20及びそれを搭載した空気調和機1の動作、作用について、以下に説明する。
【0043】
最初に、空気調和機の動作について説明する。
使用者が、空気調和機1の運転、例えば、冷房運転を開始すると、室内送風機13の運転が開始し、室内の空気が前面グリル12に設けた吸込口11から流入し、空気吸入口10を経て、エアフィルター17に至り、そこで空気中に含まれる塵埃が捕捉され、綺麗になった空気は、室内熱交換器15で、室外機4から送られてきた冷媒との間で熱交換が行われ冷やされ、冷たい空気が、吹出口23より、室内に吹き出される。
【0044】
空気調和機1を長期間使用していると、エアフィルター17に塵埃が堆積し、空気の流れが悪くなり、次第に空調性能が低下していくので、適宜、エアフィルター17を清掃しなければならないが、以下に、本実施例における清掃装置20によるエアフィルター17の清掃について説明する。
【0045】
尚、本実施例では、初期設定の一つとして、第1回転軸32上のウォームギヤ33は、第1回転軸32のA部内に、予め寄せられている。
【0046】
図示しない、第1の操作スイッチを操作すると、駆動手段22が動作して、駆動軸21と共にそれに嵌合された本体ケース26が、一方向に、例えば、時計方向に回転する。
【0047】
本体ケース26が回転すると、本体ケース26の開口27から突出した清掃体30により、エアフィルター17の表面に付着した塵埃が除去され、清掃体30の下方に落下する。ギヤB31がエアフィルター17のギヤA17cに噛み合っているので、本体ケース26が回転すると、ギヤB31と共に第1回転軸32を回転するが、ウォームギヤ33は、第1回転軸32のA部に位置しているので、そこで空回りするだけで、ウォームギヤ33は、移動しない、つまり塵埃移送手段37はA部に留まっている。
【0048】
そして、本体ケース26を2、3回回転させて、エアフィルター17の清掃を行なった後、図示しない第2の操作スイッチを操作すると、一旦、本体ケース26の回転が停止する。そして、図示しない移動機構により、ウォームギヤ33が、第1回転軸32上で、A部の外、すなわち、第1回転軸32の凸リブ32aとウォームギヤ33の凹部33aが嵌合する位置まで移動する。そして、再び、駆動手段22を駆動して、本体ケース26を、例えば時計方向に回転させる。すると、ギヤB31が回転し、同時にウォームギヤ33も回転しながら、A部と反対側の方向に、図6の例では、右方向に移動する。このとき、ウォームギヤ33の溝部33bに一部が嵌合した塵埃移送手段37が、ウォームギヤ33と一緒に移動しながら、清掃体30の下方に落下した塵埃を、塵埃収納部28に移送する。
【0049】
本実施例では、本体ケース26を1回転させたときに、塵埃移送手段37が本体ケース26内の右端に達するように、ギヤB31、ラックギヤ34の歯数を設定している。
【0050】
そして、本体ケース26を1回転させて、塵埃移送手段37が本体ケース26内の右端に達した後、駆動手段22を逆転させて、塵埃移送手段37と共にウォームギヤ33を、運転開始時の位置、すなわちA部の隣の位置まで戻す。そして、移動機構を動作させて、ウォームギヤ33を、第1回転軸32のA部の位置まで戻しておく。
【0051】
上記エアフィルター17の清掃運転及び塵埃移送手段37による塵埃移送を数回行なうと、塵埃収納部28に塵埃が次第に堆積していく。そして、ころあいを見て、本体ケース26を駆動軸21から取り外し、ゴミ箱(図示せず)の上で、蓋26bを開けることにより、手を汚すことなく塵埃収納部28に溜まった塵埃を廃棄することができる。
【0052】
以上のように、本実施例における清掃装置20によれば、清掃装置20が、固定されたエアフィルター17の表面に沿って回転しながら、エアフィルター17の表面に付着した塵埃を掻き取るので、安定したエアフィルター17の清掃が可能になり、結果として集塵効率が向上する。
【0053】
又、エアフィルター17を回転したり移動させたりする必要が無いので、エアフィルター17に必要以上の強度を持たせたり、必要以上に精度よく仕上げる必要が無いので、薄くしかも、安価に構成でき、結果的に、空気調和機1の小型化を図ることができる。
【0054】
さらに、エアフィルター17を回転させたりする必要が無いので、従来通り、エアフィルター17の周縁を空気調和機1に確実に且つ気密に固定でき、それによりエアフィルター17の周縁部分から塵埃を含んだ外気が直接室内機2内に侵入することが無く、長期に渡って、所定の空調性能を維持することができる。また、エアフィルター17の表面に沿って、本体ケース26を回転させるだけなので、従来のようなガイドレールも不要になり、安価で、組み立てが容易で、しかも空気調和機の小型化も図れる。
【0055】
又、本体ケース26の回転中心を境に、一方に清掃体20が臨む開口27を、他方に、清掃体30で除去された塵埃を収納する塵埃収納部28を設けたので、本体ケース26の回転中心を境に左右の重量バランスが良くなり、本体ケース26を回転駆動する駆動軸21に大きな応力が加わったり、本体ケース26の回転時に異常振動が発生することも無く、長寿命で、信頼性の高い清掃装置20を提供することが出来る。
【0056】
また、清掃体30で除去され落下して、本体ケース26内に回収された塵埃を、塵埃収納部28に移送する塵埃移送手段37を備えたので、塵埃移送手段37で、適宜、塵埃を塵埃収納部28に移送、圧縮して貯めておけば、塵埃の廃棄頻度を減らすことができ、特に、天井など高所に取り付けられた空気調和機1に組み込んだ場合は、メンテナンスが容易になる。
【0057】
更に、エアフィルター17のギヤA17cとギヤB31を噛み合わせることで、本体ケース26の回転を駆動源として、塵埃移送手段37を駆動させるようにしたので、塵埃移送手段37を駆動するための専用の駆動手段が不要になり、清掃装置20を安価に提供することができる。特に、駆動手段としてモータなどを用いる場合は、それ用の電気配線も不要になるので、組み立ても容易になる。
【0058】
尚、本実施例では、ギヤA17cをエアフィルター17の外周に形成したが、特にそれに限定されるものではなく、エアフィルター17の外側に円環状に形成しても、同様の効果が得られることは、言うまでもない。この場合は、エアフィルター17にギヤを形成しない分、エアフィルター17の構成が簡素化され、しかも軽量化が図られ、エアフィルター17の取り扱いも容易になる、という利点がある。
【0059】
又、清掃体30でエアフィルター17の表面の塵埃を除去してる間は、塵埃移送手段37を駆動しないようにしているので、塵埃移送手段37が塵埃収納部28側に移動している間に、本体ケース26内の塵埃移送手段37の清掃体30側に塵埃が落下し、堆積し、塵埃を廃棄することが出来なくなる、ということがない。
【0060】
(実施例2)
図9は、本発明の第2の実施例における空気調和機用清掃装置の斜視図、図10は、同空気調和機用清掃装置の透視図、図11は、図10のC−C断面図(エアフィルターの断面含む)、図12は、図10のD−D断面図(エアフィルターの断面含む)である。尚、上記第1の実施例における清掃装置20と同一部分については、同一符号を付与し、その詳細な説明を省略する。
【0061】
上記第1の実施例では、清掃体は、本体ケース26に固定されていたが、本実施例では、回転自在の清掃体を用いたものである。
【0062】
図9〜12において、本実施例における空気調和機用清掃装置40の本体ケース26内の長手方向には、開口27に臨むと共にエアフィルター17の上流側の面に接してエアフィルター17に付着した塵埃を掻き取る清掃体41が回転自在に配されている。
【0063】
清掃体41は、本体ケース26に設けた一対の支持壁26aに回転自在に軸支された第2回転軸41aと、第2回転軸41aの外周に放射状に設けた清掃部材41bとから構成され、第2回転軸41aの一端には、ギヤB31に噛み合うギヤC43が、図示しないクラッチ機構を介して取り付けられている。クラッチ機構は、ギヤC43に加わる回転動力を第2回転軸41aに伝えたり、切ったりするためのものである。
【0064】
塵埃を塵埃収納部28に移送する塵埃移送手段45は、図11に示すように、略U字状の切り欠き45aを備え、その切り欠き45aの内径は、同図に示すように、清掃体41の清掃部材41bの略半周に渡って、少し食い込むように設定されている。これにより、清掃部材41bに付着した塵埃をこそぎ落とすことが出来る。
他の構成は、上記第1の実施例における清掃装置20と同一である。
【0065】
以上のように構成された本実施例における清掃装置40の動作、作用は以下の通りである。
上記第1の実施例と同様に、第1回転軸32上のウォームギヤ33は、第1回転軸32のA部内に予め寄せられている。
【0066】
そして図示しない、第1の操作スイッチを操作すると、駆動手段22が動作して、駆動軸21と共にそれに嵌合された本体ケース26が、一方向に、例えば、時計方向に回転する。
【0067】
本体ケース26が回転すると、ギヤA17cに噛み合ったギヤB31が回転し、そのギヤB31に噛み合ったギヤC43が回転し、本体ケース26の開口27から突出した清掃体41も同時に回転し、エアフィルター17の表面に付着した塵埃が効率よく除去され、清掃体41の下方に落下する。
【0068】
本体ケース26の回転時に、ギヤB31と共に第1回転軸32も回転するが、ウォームギヤ33は、第1回転軸32のA部に位置しているので、そこで空回りするだけで、ウォームギヤ33は、移動しない、つまり塵埃移送手段45はA部に留まっている。
【0069】
そして、本体ケース26を2、3回回転させて、エアフィルター17の清掃を行なった後、図示しない第2の操作スイッチを操作すると、一旦、本体ケース26の回転が停止する。そして、図示しない移動機構により、ウォームギヤ33を、第1回転軸32上で、A部の外、すなわち、第1回転軸32の凸リブ32aとウォームギヤ33の凹部33aが嵌合する位置まで移動させる。
【0070】
更に、クラッチ機構を動作させて、ギヤC43に加わる回転動力が第2回転軸41aに伝わらないようにする。
そして、再び、駆動手段22を駆動して、本体ケース26を、例えば時計方向に回転させる。すると、ギヤB31が回転し、同時にウォームギヤ33も回転しながら、A部と反対側の方向に、図10の例では、右方向に移動する。このとき、ウォームギヤ33の溝部33bに一部が嵌合した塵埃移送手段45が、ウォームギヤ33と一緒に移動しながら、清掃体41の下方に落下した塵埃を、塵埃収納部28に移送する。
【0071】
塵埃移送手段45が移動している間は、クラッチ機構が動作して、ギヤC43が空転するだけなので、第2回転軸41aに動力が伝達されない。つまり、第2回転軸41aの回転がフリーになり、エアフィルター17に接触している清掃体41が、エアフィルター17の表面を転がるように回転するだけで、エアフィルター17の表面に残っている塵埃を掻き落とすことがない。つまり、塵埃移送手段45が右方向に移動している間に、塵埃移送手段45の左側に、塵埃が新たに落下してくることがない。
【0072】
本実施例では、本体ケース26を1回転させたときに、塵埃移送手段45が本体ケース26内の右端に達するように、ギヤB31、ラックギヤ34の歯数を設定している。
【0073】
そして、本体ケース26を1回転させて、塵埃移送手段45が本体ケース26内の右端に達した後、駆動手段22を逆転させて、塵埃移送手段45と共にウォームギヤ33を、運転開始時の位置、すなわちA部の隣の位置まで戻す。そして、移動機構を動作させて、ウォームギヤ33を、第1回転軸32のA部の位置まで戻しておく。
本体ケース26の塵埃収納部28に堆積した塵埃の廃棄方法は、上記第1の実施例と同じなので説明を割愛する。
【0074】
以上のように、本実施例における清掃装置40によると、清掃体41を本体ケース26内で回転させながらエアフィルター17の表面に付着した塵埃を除去するようにしたので、エアフィルター17の表面に付着した塵埃の除去性能が飛躍的に向上する。
【0075】
また、ギヤB31とギヤC43を噛み合せて、本体ケース26の回転を駆動源として、清掃体41を回転させるようにしているので、清掃体41を回転させるための専用の駆動手段が不要となり、塵埃除去性能に優れた清掃装置40を安価に提供することができる。特に、駆動手段としてモータなどを用いる場合は、それ用の電気配線も不要になるので、組み立ても容易になる。
【0076】
さらに、室内熱交換器15と、前記室内熱交換器15の上流側に配され、流入する空気に含まれる塵埃を捕獲するエアフィルター17を備えた空気調和機1に、上記清掃装置20又は40を搭載し、清掃装置20又は40で、エアフィルター17に付着した塵埃を除去するようにすれば、長期に渡って、安定した空調性能を発揮することができる空気調和機を安価に提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上のように、本発明にかかる空気調和機用清掃装置及び空気調和機は、小型で、組み立てが容易で、しかも空気調和機の空調性能を低下させることがないので、家庭用、業務用の各種空気調和機は勿論、空気清浄機、換気装置などエアフィルターを有する各種機器に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本実施例における空気調和機用清掃装置を搭載した空気調和機の全体斜視図
【図2】同空気調和機の断面図
【図3】同空気調和機のエアフィルターの半下面図
【図4】同空気調和機用清掃装置の斜視図
【図5】(a)同空気調和機用清掃装置の駆動軸と嵌合孔の断面図(嵌合前)、(b)同駆動軸と嵌合孔が嵌合した状態を示す断面図
【図6】同空気調和機用清掃装置の透視図
【図7】図6のA−A断面図
【図8】図6のB−B断面図(エアフィルターの断面含む)
【図9】本発明の第2の実施例における空気調和機用清掃装置の斜視図
【図10】同空気調和機用清掃装置の透視図
【図11】図10のC−C断面図(エアフィルターの断面含む)
【図12】図10のD−D断面図(エアフィルターの断面含む)
【符号の説明】
【0079】
1 空気調和機
2 室内機
17 エアフィルター
20、40 空気調和機用清掃装置(清掃装置)
21 駆動軸
25 嵌合孔
26 本体ケース
27 開口
28 塵埃収納部
30、41 清掃体
37、45 塵埃移送手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機に内蔵されたエアフィルターの上流側の表面に沿って回転すると共に前記エアフィルターに面した開口を有する本体ケースと、前記開口に臨むと共に、前記エアフィルターの表面に付着した塵埃を除去する清掃体とを備えた空気調和機用清掃装置。
【請求項2】
清掃体を本体ケース内で回転させながらエアフィルターの表面に付着した塵埃を除去する請求項1に記載の空気調和機用清掃装置。
【請求項3】
本体ケースの回転中心を境に、一方に清掃体が臨む開口を、他方に、前記清掃体で除去された塵埃を収納する塵埃収納部を設けた請求項1又は2に記載の空気調和機用清掃装置。
【請求項4】
清掃体で除去され本体ケース内に回収された塵埃を塵埃収納部に移送する塵埃移送手段を備えた請求項3に記載の空気調和機用清掃装置。
【請求項5】
本体ケースの回転を駆動源として、清掃体を回転させることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の空気調和機用清掃装置。
【請求項6】
本体ケースの回転を駆動源として、塵埃移送手段を駆動させることを特徴とする請求項4又5に記載の空気調和機用清掃装置。
【請求項7】
清掃体でエアフィルターの表面の塵埃を除去してる間は、塵埃移送手段を駆動しないようにした請求項4〜6のいずれか1項に記載の空気調和機用清掃装置。
【請求項8】
熱交換器と、前記熱交換器の上流側に配され、流入する空気に含まれる塵埃を捕獲するエアフィルターと、請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気調和機用清掃装置を備えた空気調和機。
【請求項1】
空気調和機に内蔵されたエアフィルターの上流側の表面に沿って回転すると共に前記エアフィルターに面した開口を有する本体ケースと、前記開口に臨むと共に、前記エアフィルターの表面に付着した塵埃を除去する清掃体とを備えた空気調和機用清掃装置。
【請求項2】
清掃体を本体ケース内で回転させながらエアフィルターの表面に付着した塵埃を除去する請求項1に記載の空気調和機用清掃装置。
【請求項3】
本体ケースの回転中心を境に、一方に清掃体が臨む開口を、他方に、前記清掃体で除去された塵埃を収納する塵埃収納部を設けた請求項1又は2に記載の空気調和機用清掃装置。
【請求項4】
清掃体で除去され本体ケース内に回収された塵埃を塵埃収納部に移送する塵埃移送手段を備えた請求項3に記載の空気調和機用清掃装置。
【請求項5】
本体ケースの回転を駆動源として、清掃体を回転させることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の空気調和機用清掃装置。
【請求項6】
本体ケースの回転を駆動源として、塵埃移送手段を駆動させることを特徴とする請求項4又5に記載の空気調和機用清掃装置。
【請求項7】
清掃体でエアフィルターの表面の塵埃を除去してる間は、塵埃移送手段を駆動しないようにした請求項4〜6のいずれか1項に記載の空気調和機用清掃装置。
【請求項8】
熱交換器と、前記熱交換器の上流側に配され、流入する空気に含まれる塵埃を捕獲するエアフィルターと、請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気調和機用清掃装置を備えた空気調和機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−24984(P2009−24984A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191547(P2007−191547)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】
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