空気調和機
【課題】フィルタ清掃装置の着脱を簡単に行うことができる空気調和機を提供する。
【解決手段】フィルタラック200に形成されたフィルタ移動通路にフィルタ4を挿入するガイドリブを設け、ガイドリブをフィルタラック200を室内機筐体1から脱着する際のつまみとしても用いる。
【解決手段】フィルタラック200に形成されたフィルタ移動通路にフィルタ4を挿入するガイドリブを設け、ガイドリブをフィルタラック200を室内機筐体1から脱着する際のつまみとしても用いる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタとフィルタラックを備えた空気調和機(室内機)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空気調和機(エアコン)の室内機ユニットには、フィルタに付着したゴミを自動的に除去するフィルタ清掃機能を備えたものが普及しつつある。このフィルタ清掃機能は、筐体内に設けられたダストボックス内の清掃ブラシによりフィルタに付着したゴミを掻き取って、ダストボックス内にゴミを回収するようにしている。
【0003】
例えば特許文献1に記載のように、通常、ダストボックスは、室内機ユニットから着脱自在に設けられており、清掃によってダストボックス内に溜まったゴミを容易に回収できるようになっている。また、同様にフィルタも取り外して清掃できるようになっている。
【0004】
しかしながら、特許文献1のフィルタ清掃装置は、室内機筐体の上面側に配置されていたため、着脱時に手でフィルタ清掃装置を掴み上げるようにして取り外す必要があった。そのためフィルタ清掃装置の着脱が容易ではなく、その取付位置の確認も困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−175206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、フィルタ清掃ユニットの着脱を簡単に行うことができる空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するため、本発明は、以下に示すいくつかの特徴を備えている。請求項1に記載の発明は、上面から前面にかけて空気吸込口が設けられ、下面側に空気吹出口を有し、上記空気吸込口の内面にフィルタが配置されている室内機筐体を備える空気調和機において、上記室内機筐体には、上記フィルタを着脱自在に支持するフィルタラックを含み、上記フィルタラックには、上記フィルタの一部が導入されるフィルタ移動通路と、上記フィルタ移動通路に上記フィルタを案内するガイドリブとが設けられており、上記ガイドリブは、上記フィルタラックを上記室内機筐体から脱着する際のつまみも兼ねることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1において、上記室内機筐体内には、上記フィルタを上記フィルタ移動通路に沿って移動させるフィルタ移動手段と、上記フィルタに付着したゴミを回収するフィルタ清掃部とを上記フィルタラックと一体となるように備えることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2において、上記ガイドリブは、上記フィルタの上記フィルタ移動通路の底面に沿って平行に形成される基端部と、上記基端部の一端から上記フィルタ移動通路の底面に対して所定角度傾斜するように配置され、上記つまみとしての把持部とを有することを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の発明は、上記請求項3において、上記基端部の板厚に対して上記把持部の板厚が厚く形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の発明は、上記請求項3または4において、上記把持部の先端には、手を上記把持部に引っ掛けやすくするための凸部が設けられていることを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の発明は、上記請求項3,4または5において、上記基端部と上記把持部との付け根部は、上記フィルタを上記フィルタ移動通路に案内するために面取りされていることを特徴としている。
【0013】
請求項7に記載の発明は、上記請求項1ないし6のいずれか1項において、上記フィルタラックは、上記室内機筐体の前面から上面の一部にかけて配置され、上記フィルタラックは、上記室内機筐体の上面側に位置する端部を中心に回動可能に取り付けられており、上記ガイドリブは、上記フィルタラックの他端側に配置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、フィルタを着脱自在に支持するフィルタラックの一部にフィルタが導入されるフィルタ移動通路と、フィルタ移動通路にフィルタを案内するガイドリブとを設け、ガイドリブがフィルタラックを室内機筐体から脱着する際のつまみも兼ねることにより、フィルタの取付作業をスムーズに行えるばかりでなく、着脱もワンタッチで行うことができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、室内機筐体内にフィルタをフィルタ移動通路に沿って移動させるフィルタ移動手段と、フィルタに付着したゴミを回収するフィルタ清掃部とを上記フィルタラックと一体となるように備えることにより、フィルタの自動清掃機能を備えた空気調和機にも適用することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、ガイドリブは、フィルタ移動通路の底面に沿って平行に形成される基端部と、基端部の一端からフィルタ移動通路の底面に対して所定角度傾斜するように配置され、つまみとしての把持部とを有することにより、基端部でフィルタをガイド溝に案内し、把持部で着脱することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、基端部の板厚に対して把持部の板厚が厚く形成されていることにより、指で掴みやすく、かつ、指で押しても壊れにくい。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、把持部の先端には、手を上記把持部に引っ掛けやすくするための凸部が設けられていることにより、指によって摘みやすく、また指の腹をかけやすいため、着脱がより容易となる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、基端部と把持部との付け根部は、フィルタをフィルタ移動通路に案内するために面取りされているため、よりスムーズにフィルタをフィルタ移動通路に導入することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、フィルタラックは、室内機筐体の前面から上面の一部にかけて配置され、フィルタラックは、室内機筐体の上面側に位置する端部を中心に回動可能に取り付けられており、ガイドリブはフィルタラックの他端側に配置されていることにより、フィルタラックを着脱する際の支点から離れた位置にガイドリブが設けられているため、てこの原理によって、より小さな力でフィルタラックを取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気調和機の要部断面図。
【図2】上記空気調和機の上面パネルの斜視図。
【図3】上記空気調和機のフロントパネルを閉じた状態の要部断面図。
【図4】通常運転モード時の上記フロントパネルが開いた状態の要部断面図。
【図5】フィルタ清掃モード時の上記フロントパネルが開いた状態の要部断面図。
【図6】上記空気調和機のフィルタの斜視図。
【図7】上記フィルタのストッパーの部分拡大斜視図。
【図8】上記フィルタのフィルタラックの部分拡大側面図。
【図9】上記フィルタとガイドレールの相対的な構造を説明する模式図。
【図10】上記フィルタ清掃ユニットの斜視図。
【図11】上記フィルタ清掃ユニットのフィルタラックにダストユニットと導出ガイドを取り付けた状態の斜視図。
【図12】上記フィルタラックの斜視図。
【図13】導出ガイドを正面側から見た状態の斜視図。
【図14】導出ガイドを背面側から見た状態の斜視図。
【図15】フィルタラックのガイドレールの斜視図。
【図16】ガイドレールとフィルタの位置関係を説明する説明図。
【図17】(a),(b)ガイドレールに設けられたスイッチの位置を説明する説明図。
【図18】フィルタラックに設けられたガイドリブの拡大斜視図。
【図19】上記ガイドリブの(a)平面図および(b)A−A’線断面図。
【図20】(a)上記ガイドリブの設置状態を説明する模式図、(b)上記ガイドリブの設置例の変形例を説明する模式図。
【図21】フィルタ移動通路にフィルタを挿入した状態の模式図。
【図22】フィルタラックの回動支点とガイドリブとの位置関係を説明する模式図。
【図23】(a),(b)ガイドリブをつまみとして用いる場合の使用手順を説明する説明図。
【図24】(a)フィルタの初期位置を示す模式図、(b)フィルタを前面側に移動させた状態の模式図、(c)フィルタを背面側に移動させた状態の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図1に示すように、この空気調和機の室内機ユニット1は、図示しない壁面に固定された背板10aを介して壁面に保持されるベースパネル10を備えている。
【0023】
図示が省略されているが、ベースパネル10は、左右一対の側板を含み、その側板間に熱交換器2とクロスフローファン3とが左右(図1では紙面と直交する方向)に支持されている。
【0024】
この例において、熱交換器2は、本体前側に配置される前面側熱交換器21と、本体後側に配置される背面側熱交換器22とをラムダ(Λ)型に組み合わせたものが用いられている。本発明において、熱交換器2とクロスフローファン3の具体的な構成は仕様に応じて任意に選択されてよい。
【0025】
また、ベースパネル10の下面側には、空気吹出口の上下風向板17や左右風向板18、ディフューザー19などが設けられるが、本発明において、これらの構成は任意的な構成要素であって、特に限定されることはない。
【0026】
ベースパネル10には、熱交換器2の上面を覆う上面パネル11と、熱交換器2の前面に配置される前面パネル12と、上記側板に沿って配置される側面パネル(図示しない)とを備えている。各パネルは合成樹脂の成型品からなる。
【0027】
上面パネル11には、室内の空気を室内機ユニット1に取り込むための空気吸込グリル13が設けられている。図2を併せて参照して、上面パネル11は、室内機ユニット1の上面を全面にわたって覆うように形成されており、その全面にわたって桟状の空気吸込グリル13が形成されている。
【0028】
前面パネル12には、運転時に開くことにより、前面側熱交換器21の前側に空気通路を形成するオープンパネル14が設けられている。図3を併せて参照して、オープンパネル14は、室内機ユニット1の前面を覆うように形成される矩形状パネルからなる。
【0029】
オープンパネル14の背面には、オープンパネル14を開閉させるための開閉パネル駆動手段としてのスイングアーム14aと、図示しない駆動モータに連結されたピニオンギア14bと、オープンパネル14の下側を支え、回動動作に併せて従動する従動アーム14dを備えている。
【0030】
スイングアーム14aは、一端が開閉パネル14の背面に回動可能に取り付けられ、他端にはピニオンギア14bに歯合するセクター歯車14cが設けられている。スイングアーム14aとセクター歯車14cは、開閉パネル14の両端に設けられている。
【0031】
本発明において、セクター歯車14cは、歯車部が扇状に形成されており、ピニオンギア14bとの歯合位置によって開閉パネル14の開度が閉→半開→全開の3段階に調節可能となっている。
【0032】
すなわち、図3に示すように、セクター歯車14cの一端側がピニオンギア14bに歯合している状態では、開閉パネル14は閉状態となっている。この状態からピニオンギア14bを反時計回りに所定の角度回転すると、セクター歯車14cが時計方向に回転することにより、図4に示すように、スイングアーム14aの先端に取り付けられた開閉パネル14が前面側に張り出すようにして開かれる。
【0033】
ピニオンギア14bをさらに反時計回りに回転させ、セクタ歯車14cの他端側とピニオンギア14bとを歯合させることで、図5に示すように、開閉パネル14はさらに前面側に押し出された全開状態となる。
【0034】
室内機ユニット1の内部には、空気吸込グリル13に沿ってフィルタ4が設けられている。図6〜図9に示すように、フィルタ4は、格子状のフィルタフレーム41と、フィルタフレーム41に沿って張設されたメッシュシート42とを有し、この例において、フィルタフレーム41はポリプロピレンなどの樹脂で成形され、メッシュシート42はポリエチレンテレフタレートで成形されている。
【0035】
フィルタフレーム41は、スライド方向(図6では上下方向)と、幅方向(図6では左右方向)に沿って外枠を含め複数本の梁を有する格子状に形成されており、それらが一体成形されている。
【0036】
フィルタフレーム41のスライド方向の梁には、フィルタ清掃時にフィルタ4を変形させた際に、後述する係止凸部244に係合することによって、フィルタ4が湾曲することにより生じる弾性復元力によってフィルタ4の後述するストッパー250に当接している端部がずれないようにするための、フィルタ位置ずれ防止手段としての係止孔45が設けられている。
【0037】
係止孔45は、フィルタ4の厚さ方向に形成された貫通孔であって、2個一組に2箇所(合計4箇所)設けられている。係止孔45は、フィルタ清掃時にフィルタ4を湾曲させた際に、後述する導出ガイド240の第2ガイド面243の内側に設けられた係止凸部244が差し込まれることによって、フィルタ4のスライド方向への動きが拘束されるようになっている。
【0038】
これによれば、フィルタ4を湾曲させた状態で室内機筐体外に出す際、その弾性復元力によって、フィルタ4の端部がストッパー250から離れることが防止され、フィルタ3の端部を検知するリミットスイッチ320の誤作動を確実に防止することができる。
【0039】
フィルタフレーム41の幅方向の両端には、フィルタ4を上下方向にスライドさせる際、駆動手段に接続された図示しないギアが歯合されるラックギア43,43が設けられている。ラックギア43,43は、フィルタ4のスライド方向(図6では上下方向)に沿って連続して形成されており、フィルタフレーム41に一体的に形成されている。
【0040】
この例において、フィルタフレーム41は、一方の面41a(図8では下面)にラックギア43,43が一体形成され、他方の面41b(図8では上面)は平滑面に形成されている。これによれば、ラックギア43,43の形成された部分の他方の面41bが筐体の内面に触れた状態でフィルタ4をスライドさせても、異音などを生じることを防止できる。
【0041】
ラックギア43は、その内部が中空に肉抜きされていることが好ましい。すなわち、ラックギア33の内部が肉抜きされていることにより、フィルタ4の清掃時にフィルタ4を撓ませて変形させやすくすることができる。さらには、成形時の熱収縮による変形を抑えることができる。
【0042】
この例において、ラックギア43,43はフィルタフレーム41に一体成形されているが、ラックギア43,43を別体で形成しておき、フィルタフレーム41に接着してもよい。
【0043】
フィルタ4は、その幅方向の両端がフィルタ移動通路によって支持されることで、スライド可能となっている。この例において、フィルタ移動通路は、フィルタラック200側に形成されたフ第1フィルタ移動通路211と、後述するガイドフレーム300の一部に形成された第2フィルタ移動通路310とが互いに合致することで、1つのフィルタ移動通路を形成している。フィルタラック200の第1フィルタ移動通路211の側面には、フィルタ4を湾曲させる際に後述する第1フィルタ移動通路211にフィルタ4が干渉しないようにするための切欠部44が設けられている。
【0044】
切欠部44は、フィルタフレーム41の側面の上端側と下端側に残部44aを残すように形成されている。図8を併せて参照して、フィルタ4は、その幅方向の長さをW1、切欠部44における幅方向の長さをW2、第1フィルタ移動通路211,211の間の長さをW3としたとき、W1>W3>W2となるように形成されている。
【0045】
これによれば、フィルタ4をスライド方向に押し込んで湾曲させてゆくと、フィルタ4の切欠部44に相当する部分が第1フィルタ移動通路211の間を通り抜けて外側に向かって膨出することができる。さらに、フィルタ4の湾曲時においても、残部44aは第1フィルタ移動通路211によって挟まれているため、フィルタ4が第1フィルタ移動通路211から抜け落ちることがないようになっている。
【0046】
メッシュシート42は、細かな網目状のシート材からなり、この例ではポリエチレンテレフタレートで成形されている。メッシュシート42は、空気中の比較的粗い埃が室内機ユニット1内に入り込まないようなメッシュであれば、その形状や材質などは任意に選択されてよく、抗菌材や防かび材などが配合されていてもよい。
【0047】
また、この例において、メッシュシート42は、フィルタフレーム41とヒートシールにより成形されているが、フィルタフレーム41とメッシュシート42とを一体成形してもよく、メッシュシート42の形状も仕様に応じて任意に選択できる。
【0048】
室内機ユニット1の内部にはさらに、フィルタ4を清掃するためのフィルタ清掃ユニット5が設けられている。図10および図11を併せて参照して、フィルタ清掃ユニット5は、フィルタ4に付着したゴミを回収するダストボックス100と、ダストボックス100およびフィルタ4を着脱可能に保持するとともに、それ自体が室内機ユニット1から着脱自在に設けられたフィルタラック200と、フィルタ4を湾曲させた際に正しい方向にフィルタ4を室内機筐体1外に出す導出ガイド240と、フィルタラック200を室内機ユニット1に支持するとともに、フィルタ4のスライドを案内するガイドフレーム300とを備えている。
【0049】
この例において、ダストボックス100およびフィルタラック200は、室内機ユニット1の横方向に並んだ状態でそれぞれ設けられている。各々のダストボックス100とフィルタラック200とはともに同一構成であるため、以下、一方のみを説明する。
【0050】
図1を併せて参照して、ダストボックス100は、フィルタ4の一方の面(図1では風上側)を清掃する上部ダストボックス110と、フィルタ4の他方の面(図1では風下側)を清掃する下部ダストボックス120とを有し、それらがフィルタ4を挟んで対向するように配置されている。
【0051】
上部ダストボックス110の内部には、フィルタに付着したゴミを清掃する清掃ブラシ111と、清掃ブラシ111によって回収されたゴミを貯留しておくゴミ貯留部112とが設けられている。
【0052】
この例において、清掃ブラシ111は、図示しない回動手段を介して回動自在に設けられており、フィルタ4を反前面側(図1では10a側)にスライドさせたときのみに清掃ブラシ4をフィルタ4に接触させ、前面側(図1ではオープンパネル14側)に移動する際は、清掃ブラシ111はフィルタ4に非接触となるようになっている。
【0053】
下部ダストボックス120は、フィルタ4の下面に沿って配置されており、フィルタ4を上部ダストボックス110の清掃ブラシ111に接触させた際、フィルタ4が撓まないようにするためのフィルタ受けの働きをするとともに、フィルタ4の裏にこぼれた埃を回収する。
【0054】
本発明において、ダストボックス100の具体的な構成は任意的事項であってよく、その構成は、仕様に応じて任意に変更されてよい。
【0055】
ダストボックス100とフィルタラック200とを組み合わせた状態の図11、および、フィルタラック200単体の状態である図12を参照して、フィルタラック200は、フィルタ4の幅とほぼ同じ間隔で配置される左右一対のサイドフレーム210,210と、サイドフレーム210,210の間に所定の間隔をもって水平に架け渡される例えば2本の補強フレーム220と、サイドフレーム210,210の間に所定間隔をもって垂直方向に配置される例えば2本のガイドフレーム230とを備えている。
【0056】
サイドフレーム210,210は、前面側熱交換器21の前面を覆うように取り付けられるくの字状に形成されており、内側のフィルタ4がスライド可能に移動する第1フィルタ移動通路211,211が形成されている。
【0057】
第1フィルタ移動通路211,211は、フィルタラック200をガイドフレーム300に取り付けることにより、後述するガイドフレーム300の一部に形成されたフィルタ移動通路310と連通されるようになっている。
【0058】
サイドフレーム210の前面側(図12では手前側)には、フィルタ導出部212,212が設けられている。フィルタ導出部212,212は、フィルタ4を撓ませた際に、その湾曲部の導出の始端と終端を規定するために設けられた案内部であり、図9にて説明したように、フィルタ4を挟んで向かい合う間隔がW3となるように形成されている。
【0059】
フィルタ導出部212,212の開口縁の両端には、フィルタ4の導出をスムーズにするためのガイド板213a,213bが設けられている。ガイド板213a,213bは、第1フィルタ移動通路211の側面から内側に向かって張り出すように突出しており、その縁はフィルタ4が引っ掛からないよう湾曲されている。
【0060】
サイドフレーム210の内部には、フィルタ4のラックギア43に歯合される送りギア214が設けられている。送りギア214は図示しない駆動モータに接続され、その一部が第1フィルタ移動通路211内に露出している。フィルタ4は、平滑部が風上側で、ラックギア43の形成された側が風下となるように配置されている。第1フィルタ移動通路211の内部でフィルタ4のラックギア43に歯合するようになっている。
【0061】
フィルタラック200にはさらに、フィルタ4を湾曲させた際に正しい方向にフィルタ4がフィルタ移動通路211外に出るようにガイドする導出ガイド240が設けられている。図13および図14を参照して、導出ガイド240は、フィルタラック200の一端側に回動自在に取り付けられる回動アーム241,241を有するアーチ状に形成されている。
【0062】
導出ガイド240には、フィルタ4を垂直状態に保持する第1ガイド面242と、一端が第1ガイド面242の上端に接続され、他端が室内機ユニット1の前面側に向かって傾斜された第2ガイド面243とを備えている。
【0063】
図1を併せて参照して、導出ガイド240は、回動軸214aを介して回動可能に軸支されているが、フィルタラック200に固定された状態(図11の状態)において、第1ガイド面242は、フィルタ4を室内機ユニット1の前面に沿ってほぼ垂直となった状態で支持するようになっている。
【0064】
第2ガイド面243は、第1ガイド面242の上端から斜め上方向に向かって延設されており、フィルタ清掃時に第2ガイド面243に沿って湾曲されたフィルタ4が案内されることで、後述するフィルタ4の変形部4aが斜め上方に導出されるようになっている。
【0065】
第2ガイド面243の内側の上端(図14参照)には、上述したフィルタ4の係止孔45に差し込まれる係止凸部244が2箇所設けられている。係止凸部244は、第2ガイド面243から室内機ユニット1側に向けて延設された凸リブからなり、その先端はフィルタ4の係止孔45に入りやすいよう面取りされている。
【0066】
導出ガイド240は、フィルタラック200を室内機ユニット1から取り外す際のリリースレバーとしての役割も兼ねている。導出ガイド240は、フィルタラック200の図示しない軸受孔に回動軸241aが軸支されることで、メインフレーム110に対して上下に、その下端側が開閉可能に取り付けられている。
【0067】
この例において、回動軸241aには、コイルバネ(図示しない)が設けられており、コイルバネを介して導出ガイド240が常に開く方向にバネ付勢されている。
【0068】
導出ガイド240には、導出ガイド240をフィルタラック200に閉じた状態で固定するためのスライド式の係止爪およびその駆動機構(ともに図示しない)が設けられている。本発明において、係止爪およびその駆動機構は任意的事項であるため、その具体的な説明は省略する。
【0069】
フィルタラック200の下端側には、フィルタ4の下端を当接させてフィルタ4の移動を規制するストッパー250が設けられている。図1および図17を併せて参照して、ストッパー250は、フィルタラック200下端に沿って後述するフィルタガイド300,300の間に架け渡されており、その一部にフィルタ4の下端が当接することで、フィルタ4がストッパー250より下にスライドしないようになっている。
【0070】
次に、図15〜図17を参照して、ガイドフレーム300は、室内機ユニット1の前面から上面にかけて配置されるL字状に形成されている。ガイドフレーム300には、フィルタ4が案内される第2フィルタ移動通路310が設けられている。
【0071】
第2フィルタ移動通路310は、ガイドフレーム300の側面301からほぼ水平に延設され、フィルタ4のラックギア43の下面を支持する底壁311と、底壁311の一端からほぼ直角に折り曲げられ、側面301と平行な側壁312とを有する断面L字状に形成されている。
【0072】
これによれば、フィルタ4はラックギア43の側面が側壁312によって支持されるため、スライド時にフィルタ4が歪んだりして、移動が妨げられるのを防止することができる。
【0073】
図15に示されたガイドフレーム300は、室内機ユニット1の中央に配置されるため、両側面でフィルタ4,4を支持するために第2フィルタ移動通路310がガイドフレーム300の両面に形成されているが、室内機ユニット1の両端側に配置されるガイドフレーム300には、一方のフィルタ4の配置される方向の側面にのみ配置されている。
【0074】
底壁311の上面には、上面パネル10が取り付けられ、これにより、第2フィルタ移動通路310が形成されるようになっている。ここで、第2フィルタ移動通路310の一端側は、上述した第1フィルタ移動通路211の一方の出口にフィルタ清掃ユニット5を介して連通するように形成されており、フィルタラック200の第1フィルタ移動通路211からスムーズにフィルタガイド300の第2フィルタ移動通路310に案内されるようになっている。
【0075】
第2フィルタ移動通路310の他端側は、室内機ユニット1のベースパネル10と背面側熱交換器22との間に向けて開放されており、その間の空間にフィルタ4を導入できるようになっている。
【0076】
ガイドフレーム300の下側面には、フィルタ4の下端位置を検知するフィルタ検知部320が設けられている。図17に示すように、フィルタ検知部320は、ガイドフレームの側面から外側に向けて可動可能に突設されたリミットスイッチ321と、リミットスイッチ321に向けてフィルタ4の下端を案内するガイド部322とを備えている。
【0077】
リミットスイッチ320は、一端側が回動自在に連結され、自由端側がガイドフレーム300の底部側から上部側に向かって回動するように配置されている。これによれば、フィルタ4の側面でリミットスイッチ320を押圧するようになるため、検出エラーを少なくすることができる。さらには、ラック面で押圧する場合よりも音の発生を抑えられる。
【0078】
ガイド部322は、リミットスイッチ320を囲むように設けられており、その一部には、フィルタ4の下端が案内されるガイド溝323が設けられている。ガイド溝323は、上述した第1フィルタ移動通路211の出口に連通するように形成されている。
【0079】
この例において、フィルタ検知部320は、1枚のフィルタ4に対して1箇所設けられいるが、例えばフィルタ4の両端を検知するようにそれぞれ2箇所設けられていてもよい。
【0080】
次に図18〜図23を参照して、フィルタラック200には、フィルタラック200にフィルタ4を取り付ける際、フィルタ移動通路211にフィルタ4を安全に挿入するためのガイドリブ400が設けられている。
【0081】
ガイドリブ400は、フィルタ移動通路211の開放端に設けられており、フィルタラック200の幅方向の両端下部に設けられている。フィルタ移動通路211には、フィルタラック200にフィルタ4を取り付ける際、フィルタ4に設けられたラックギア43が収納されるガイド溝260,260が設けられている。
【0082】
ガイド溝260,260は、ラックギア43を収納するため、フィルタ移動通路211からさらに一段凹んで形成されており、フィルタラック200の前端から後端に沿って形成されている。ガイド溝260,260の入口側261は、フィルタ4のラックギア43がガイド溝260,260内に入りやすいようにテーパー状に広げられている。
【0083】
図18,19に示すように、ガイドリブ400は、フィルタラック200の側壁200aから立設し、ガイド溝260の底面に沿って平行に形成された基端部410と、同基端部410のガイド溝260の入口側261からガイド溝260の底面に対してほぼ直角に立設される把持部420とを有し、ガイド溝260の入口側261に隣接して設けられている。
【0084】
基端部410は、フィルタ移動通路211およびガイド溝260から所定の間隔をもって平行に配置されており、フィルタ移動通路211およびガイド溝260の上面側の一部を塞ぐように配置されている。
【0085】
この例において、把持部420は、図20(a)に示すように、フィルタラック200に対してほぼ直角に形成されているが、図20(b)に示すように、90°以下の位置となるように配置されていてもよく、その角度は仕様に応じて任意に変更可能である。
【0086】
基端部410と把持部420の付け根部430のフィルタ移動通路211に対向する面は、フィルタ4を挿入する際に、挿入をスムーズにするために円弧状または面取りに形成されている。この例において、付け根部430は円弧状に形成されているが、挿入をスムーズにすることができる方法であれば、例えばローラなどが取り付けられていてもよい。
【0087】
把持部420は、その板厚が基端部410の板厚よりも厚く形成されている。図19(b)において、把持部420の板厚は、付け根部430側から徐々に厚くなり、基端部410の板厚よりも2倍程度厚く形成されており、これによれば、把持部420に適度な厚みがあり、手で摘みやすく、さらには強度も高くなる。
【0088】
把持部420の先端には、把持部420を指で摘んだ際に、指が引っ掛かりやすくするための凸部421が設けられている。この例において、凸部421は、把持部420の先端にキノコ状に形成されているが、これ以外の形状であってもよく、滑り止めとしてローレット目地が形成されてもよい。
【0089】
図21を参照して、フィルタラック200にフィルタ4を取り付けるに当たっては、まず、フィルタ4の先端をガイド溝260と基端部410との間のフィルタ移動通路211に差し込み、そのまま他端側に向かってスライドさせるだけでよい。
【0090】
これによれば、フィルタ41のラックギア43は自動的にガイド溝260の内部に押し込まれてゆき、図示しないギアに歯合される。その際、ガイドリブ400の付け根部430がフィルタ4の内面に沿って摺接するため、異音などを発生させることなく、スムーズに取り付けることができる。
【0091】
図1および図22に示すように、ダストボックス100を保持したフィルタラック200は、フィルタ清掃ユニット端部130で室内機筐体1の前面側(図1では左側)で、フィルタガイド300に配置されており、フィルタ清掃ユニット端部130の支点Sを中心に回動可能に着脱されるようになっている。
【0092】
さらに、上述したガイドリブ400は、フィルタラック200を挟んで支点Sと対称となる位置に配置されている。これによれば、把持部420を指で摘んでフィルタラック200を取り外す際に、てこの原理によって、より小さな力でフィルタラック200を取り外すことができる。
【0093】
フィルタラック200を室内機筐体1から取り外すに当たっては、導出ガイド240を開放すると現れるガイドリブ400の把持部420を、図23(a)に示すように、指で摘んで手前側に引っ張る方法と、図23(b)に示すように、把持部420の下面を指の腹で下から上に押し上げる方法の二通りの方法があり、いずれの方法でもフィルタラック200をワンタッチで取り外すことができる。フィルタラック200を外すと、フィルタラック200に取り付けられたダストボックス100とフィルタ4も同時に室内機筐体1から取り外すことができる。
【0094】
次に、図24を参照して、本発明の空気調和機のフィルタ清掃手順の一例について説明する。フィルタ清掃の手順を説明するに先立ち、この例では、フィルタ4をストッパ250に向けて移動させる方向を「往方向」とし、フィルタ4を室内機ユニット1の背面側に移動させる方向を「復方向」として説明する。
【0095】
フィルタ清掃が開始されると、図示しない制御部は、まずフィルタ清掃ユニット5を初期化する。初期化は、フィルタ4の先端がストッパー250に当接しているかどうかをリミットスイッチ320によって確認し、さらに、ダストボックス100内の清掃ブラシ111がフィルタ4に対して非接触に配置されているかどうかを確認する(図24(a)参照)。
【0096】
また、制御部は、オープンパネル14の駆動手段に全開指令を出し、これを受けて、図示しない駆動モータを介してスイングアーム14aが回動して、オープンパネル14が全開状態となる。
【0097】
オープンパネル14が全開状態としたのち、制御部は、フィルタ清掃を開始する。制御部は、まず、フィルタ送り方向に図示しない駆動手段を駆動してフィルタ4を送り出すが、この例において、清掃ブラシ111はフィルタ戻り方向に移動させたときのみ、ブラシをフィルタ4に接触させるようになっている。
【0098】
制御部は、フィルタ4に付着したゴミをまんべんなく除去するため、フィルタ4を1回に所定の長さずつ(この例では最少移動量60mm〜最大移動量130mm)送り出し、フィルタ戻り方向に同じ長さずつ戻す往復動作を複数ステップに分けて行うことで、清掃ブラシ111に付着したゴミをこまめにダストボックス110内に移すようにしている。
【0099】
フィルタ4の一端がストッパー250に突き当たった状態で、制御部はフィルタ送り方向にフィルタ4を移動させる。これにより、フィルタ4は、その一部が撓んで変形し、その変形部4aが室内機ユニット1とオープンパネル14の前面に形成された空間に導き出される。
【0100】
図24(b)に示すように、ダストボックス100にフィルタ4の後端まで移動すると、フィルタ変形部4aの変形量は最大値となり、フィルタ変形部4は、室内機ユニット1の前面とオープンパネル14の背面との間に形成された空間に出される。
【0101】
その際、フィルタ4は導出ガイド240の第2ガイド面242によって斜め上方向に向けて出されるよう案内される。これによれば、室内機ユニット1の前面とオープンパネル14の背面との間に斜め上方向に向かってフィルタ変形部4aが出されるため、オープンパネル14に接触するなどしてオープンパネル14の開閉に支障を来すことを防止できる。
【0102】
逆に、フィルタ4の先端側(突き当て側)がダストボックス100によって清掃される際は、図24(c)に示すように、フィルタ4の後端側は、室内機ユニット1の背面側に形成された空間に導き入れられる。
【0103】
以上、一連の清掃工程が終了すると、制御部は、再びリミットスイッチ320が作動する状態までフィルタ4を戻したのち、待機状態となる。なお、この実施形態において、フィルタ4やフィルタラック200の脱着方法、並びに、脱着時のフィルタ4の初期化などについては、任意であってよいため、その説明は省略する。
【符号の説明】
【0104】
1 空気調和機(室内機ユニット)
14 オープンパネル
2 熱交換器
3 クロスフローファン
4 フィルタ
41 フィルタフレーム
42 メッシュシート
43 ラックギア
44 切欠部
45 係止孔
5 フィルタ清掃ユニット
100 ダストボックス
200 フィルタラック
260 ガイド溝
300 フィルタガイド
400 ガイドリブ
410 基端部
420 把持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタとフィルタラックを備えた空気調和機(室内機)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空気調和機(エアコン)の室内機ユニットには、フィルタに付着したゴミを自動的に除去するフィルタ清掃機能を備えたものが普及しつつある。このフィルタ清掃機能は、筐体内に設けられたダストボックス内の清掃ブラシによりフィルタに付着したゴミを掻き取って、ダストボックス内にゴミを回収するようにしている。
【0003】
例えば特許文献1に記載のように、通常、ダストボックスは、室内機ユニットから着脱自在に設けられており、清掃によってダストボックス内に溜まったゴミを容易に回収できるようになっている。また、同様にフィルタも取り外して清掃できるようになっている。
【0004】
しかしながら、特許文献1のフィルタ清掃装置は、室内機筐体の上面側に配置されていたため、着脱時に手でフィルタ清掃装置を掴み上げるようにして取り外す必要があった。そのためフィルタ清掃装置の着脱が容易ではなく、その取付位置の確認も困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−175206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、フィルタ清掃ユニットの着脱を簡単に行うことができる空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するため、本発明は、以下に示すいくつかの特徴を備えている。請求項1に記載の発明は、上面から前面にかけて空気吸込口が設けられ、下面側に空気吹出口を有し、上記空気吸込口の内面にフィルタが配置されている室内機筐体を備える空気調和機において、上記室内機筐体には、上記フィルタを着脱自在に支持するフィルタラックを含み、上記フィルタラックには、上記フィルタの一部が導入されるフィルタ移動通路と、上記フィルタ移動通路に上記フィルタを案内するガイドリブとが設けられており、上記ガイドリブは、上記フィルタラックを上記室内機筐体から脱着する際のつまみも兼ねることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1において、上記室内機筐体内には、上記フィルタを上記フィルタ移動通路に沿って移動させるフィルタ移動手段と、上記フィルタに付着したゴミを回収するフィルタ清掃部とを上記フィルタラックと一体となるように備えることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2において、上記ガイドリブは、上記フィルタの上記フィルタ移動通路の底面に沿って平行に形成される基端部と、上記基端部の一端から上記フィルタ移動通路の底面に対して所定角度傾斜するように配置され、上記つまみとしての把持部とを有することを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の発明は、上記請求項3において、上記基端部の板厚に対して上記把持部の板厚が厚く形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の発明は、上記請求項3または4において、上記把持部の先端には、手を上記把持部に引っ掛けやすくするための凸部が設けられていることを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の発明は、上記請求項3,4または5において、上記基端部と上記把持部との付け根部は、上記フィルタを上記フィルタ移動通路に案内するために面取りされていることを特徴としている。
【0013】
請求項7に記載の発明は、上記請求項1ないし6のいずれか1項において、上記フィルタラックは、上記室内機筐体の前面から上面の一部にかけて配置され、上記フィルタラックは、上記室内機筐体の上面側に位置する端部を中心に回動可能に取り付けられており、上記ガイドリブは、上記フィルタラックの他端側に配置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、フィルタを着脱自在に支持するフィルタラックの一部にフィルタが導入されるフィルタ移動通路と、フィルタ移動通路にフィルタを案内するガイドリブとを設け、ガイドリブがフィルタラックを室内機筐体から脱着する際のつまみも兼ねることにより、フィルタの取付作業をスムーズに行えるばかりでなく、着脱もワンタッチで行うことができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、室内機筐体内にフィルタをフィルタ移動通路に沿って移動させるフィルタ移動手段と、フィルタに付着したゴミを回収するフィルタ清掃部とを上記フィルタラックと一体となるように備えることにより、フィルタの自動清掃機能を備えた空気調和機にも適用することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、ガイドリブは、フィルタ移動通路の底面に沿って平行に形成される基端部と、基端部の一端からフィルタ移動通路の底面に対して所定角度傾斜するように配置され、つまみとしての把持部とを有することにより、基端部でフィルタをガイド溝に案内し、把持部で着脱することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、基端部の板厚に対して把持部の板厚が厚く形成されていることにより、指で掴みやすく、かつ、指で押しても壊れにくい。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、把持部の先端には、手を上記把持部に引っ掛けやすくするための凸部が設けられていることにより、指によって摘みやすく、また指の腹をかけやすいため、着脱がより容易となる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、基端部と把持部との付け根部は、フィルタをフィルタ移動通路に案内するために面取りされているため、よりスムーズにフィルタをフィルタ移動通路に導入することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、フィルタラックは、室内機筐体の前面から上面の一部にかけて配置され、フィルタラックは、室内機筐体の上面側に位置する端部を中心に回動可能に取り付けられており、ガイドリブはフィルタラックの他端側に配置されていることにより、フィルタラックを着脱する際の支点から離れた位置にガイドリブが設けられているため、てこの原理によって、より小さな力でフィルタラックを取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気調和機の要部断面図。
【図2】上記空気調和機の上面パネルの斜視図。
【図3】上記空気調和機のフロントパネルを閉じた状態の要部断面図。
【図4】通常運転モード時の上記フロントパネルが開いた状態の要部断面図。
【図5】フィルタ清掃モード時の上記フロントパネルが開いた状態の要部断面図。
【図6】上記空気調和機のフィルタの斜視図。
【図7】上記フィルタのストッパーの部分拡大斜視図。
【図8】上記フィルタのフィルタラックの部分拡大側面図。
【図9】上記フィルタとガイドレールの相対的な構造を説明する模式図。
【図10】上記フィルタ清掃ユニットの斜視図。
【図11】上記フィルタ清掃ユニットのフィルタラックにダストユニットと導出ガイドを取り付けた状態の斜視図。
【図12】上記フィルタラックの斜視図。
【図13】導出ガイドを正面側から見た状態の斜視図。
【図14】導出ガイドを背面側から見た状態の斜視図。
【図15】フィルタラックのガイドレールの斜視図。
【図16】ガイドレールとフィルタの位置関係を説明する説明図。
【図17】(a),(b)ガイドレールに設けられたスイッチの位置を説明する説明図。
【図18】フィルタラックに設けられたガイドリブの拡大斜視図。
【図19】上記ガイドリブの(a)平面図および(b)A−A’線断面図。
【図20】(a)上記ガイドリブの設置状態を説明する模式図、(b)上記ガイドリブの設置例の変形例を説明する模式図。
【図21】フィルタ移動通路にフィルタを挿入した状態の模式図。
【図22】フィルタラックの回動支点とガイドリブとの位置関係を説明する模式図。
【図23】(a),(b)ガイドリブをつまみとして用いる場合の使用手順を説明する説明図。
【図24】(a)フィルタの初期位置を示す模式図、(b)フィルタを前面側に移動させた状態の模式図、(c)フィルタを背面側に移動させた状態の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図1に示すように、この空気調和機の室内機ユニット1は、図示しない壁面に固定された背板10aを介して壁面に保持されるベースパネル10を備えている。
【0023】
図示が省略されているが、ベースパネル10は、左右一対の側板を含み、その側板間に熱交換器2とクロスフローファン3とが左右(図1では紙面と直交する方向)に支持されている。
【0024】
この例において、熱交換器2は、本体前側に配置される前面側熱交換器21と、本体後側に配置される背面側熱交換器22とをラムダ(Λ)型に組み合わせたものが用いられている。本発明において、熱交換器2とクロスフローファン3の具体的な構成は仕様に応じて任意に選択されてよい。
【0025】
また、ベースパネル10の下面側には、空気吹出口の上下風向板17や左右風向板18、ディフューザー19などが設けられるが、本発明において、これらの構成は任意的な構成要素であって、特に限定されることはない。
【0026】
ベースパネル10には、熱交換器2の上面を覆う上面パネル11と、熱交換器2の前面に配置される前面パネル12と、上記側板に沿って配置される側面パネル(図示しない)とを備えている。各パネルは合成樹脂の成型品からなる。
【0027】
上面パネル11には、室内の空気を室内機ユニット1に取り込むための空気吸込グリル13が設けられている。図2を併せて参照して、上面パネル11は、室内機ユニット1の上面を全面にわたって覆うように形成されており、その全面にわたって桟状の空気吸込グリル13が形成されている。
【0028】
前面パネル12には、運転時に開くことにより、前面側熱交換器21の前側に空気通路を形成するオープンパネル14が設けられている。図3を併せて参照して、オープンパネル14は、室内機ユニット1の前面を覆うように形成される矩形状パネルからなる。
【0029】
オープンパネル14の背面には、オープンパネル14を開閉させるための開閉パネル駆動手段としてのスイングアーム14aと、図示しない駆動モータに連結されたピニオンギア14bと、オープンパネル14の下側を支え、回動動作に併せて従動する従動アーム14dを備えている。
【0030】
スイングアーム14aは、一端が開閉パネル14の背面に回動可能に取り付けられ、他端にはピニオンギア14bに歯合するセクター歯車14cが設けられている。スイングアーム14aとセクター歯車14cは、開閉パネル14の両端に設けられている。
【0031】
本発明において、セクター歯車14cは、歯車部が扇状に形成されており、ピニオンギア14bとの歯合位置によって開閉パネル14の開度が閉→半開→全開の3段階に調節可能となっている。
【0032】
すなわち、図3に示すように、セクター歯車14cの一端側がピニオンギア14bに歯合している状態では、開閉パネル14は閉状態となっている。この状態からピニオンギア14bを反時計回りに所定の角度回転すると、セクター歯車14cが時計方向に回転することにより、図4に示すように、スイングアーム14aの先端に取り付けられた開閉パネル14が前面側に張り出すようにして開かれる。
【0033】
ピニオンギア14bをさらに反時計回りに回転させ、セクタ歯車14cの他端側とピニオンギア14bとを歯合させることで、図5に示すように、開閉パネル14はさらに前面側に押し出された全開状態となる。
【0034】
室内機ユニット1の内部には、空気吸込グリル13に沿ってフィルタ4が設けられている。図6〜図9に示すように、フィルタ4は、格子状のフィルタフレーム41と、フィルタフレーム41に沿って張設されたメッシュシート42とを有し、この例において、フィルタフレーム41はポリプロピレンなどの樹脂で成形され、メッシュシート42はポリエチレンテレフタレートで成形されている。
【0035】
フィルタフレーム41は、スライド方向(図6では上下方向)と、幅方向(図6では左右方向)に沿って外枠を含め複数本の梁を有する格子状に形成されており、それらが一体成形されている。
【0036】
フィルタフレーム41のスライド方向の梁には、フィルタ清掃時にフィルタ4を変形させた際に、後述する係止凸部244に係合することによって、フィルタ4が湾曲することにより生じる弾性復元力によってフィルタ4の後述するストッパー250に当接している端部がずれないようにするための、フィルタ位置ずれ防止手段としての係止孔45が設けられている。
【0037】
係止孔45は、フィルタ4の厚さ方向に形成された貫通孔であって、2個一組に2箇所(合計4箇所)設けられている。係止孔45は、フィルタ清掃時にフィルタ4を湾曲させた際に、後述する導出ガイド240の第2ガイド面243の内側に設けられた係止凸部244が差し込まれることによって、フィルタ4のスライド方向への動きが拘束されるようになっている。
【0038】
これによれば、フィルタ4を湾曲させた状態で室内機筐体外に出す際、その弾性復元力によって、フィルタ4の端部がストッパー250から離れることが防止され、フィルタ3の端部を検知するリミットスイッチ320の誤作動を確実に防止することができる。
【0039】
フィルタフレーム41の幅方向の両端には、フィルタ4を上下方向にスライドさせる際、駆動手段に接続された図示しないギアが歯合されるラックギア43,43が設けられている。ラックギア43,43は、フィルタ4のスライド方向(図6では上下方向)に沿って連続して形成されており、フィルタフレーム41に一体的に形成されている。
【0040】
この例において、フィルタフレーム41は、一方の面41a(図8では下面)にラックギア43,43が一体形成され、他方の面41b(図8では上面)は平滑面に形成されている。これによれば、ラックギア43,43の形成された部分の他方の面41bが筐体の内面に触れた状態でフィルタ4をスライドさせても、異音などを生じることを防止できる。
【0041】
ラックギア43は、その内部が中空に肉抜きされていることが好ましい。すなわち、ラックギア33の内部が肉抜きされていることにより、フィルタ4の清掃時にフィルタ4を撓ませて変形させやすくすることができる。さらには、成形時の熱収縮による変形を抑えることができる。
【0042】
この例において、ラックギア43,43はフィルタフレーム41に一体成形されているが、ラックギア43,43を別体で形成しておき、フィルタフレーム41に接着してもよい。
【0043】
フィルタ4は、その幅方向の両端がフィルタ移動通路によって支持されることで、スライド可能となっている。この例において、フィルタ移動通路は、フィルタラック200側に形成されたフ第1フィルタ移動通路211と、後述するガイドフレーム300の一部に形成された第2フィルタ移動通路310とが互いに合致することで、1つのフィルタ移動通路を形成している。フィルタラック200の第1フィルタ移動通路211の側面には、フィルタ4を湾曲させる際に後述する第1フィルタ移動通路211にフィルタ4が干渉しないようにするための切欠部44が設けられている。
【0044】
切欠部44は、フィルタフレーム41の側面の上端側と下端側に残部44aを残すように形成されている。図8を併せて参照して、フィルタ4は、その幅方向の長さをW1、切欠部44における幅方向の長さをW2、第1フィルタ移動通路211,211の間の長さをW3としたとき、W1>W3>W2となるように形成されている。
【0045】
これによれば、フィルタ4をスライド方向に押し込んで湾曲させてゆくと、フィルタ4の切欠部44に相当する部分が第1フィルタ移動通路211の間を通り抜けて外側に向かって膨出することができる。さらに、フィルタ4の湾曲時においても、残部44aは第1フィルタ移動通路211によって挟まれているため、フィルタ4が第1フィルタ移動通路211から抜け落ちることがないようになっている。
【0046】
メッシュシート42は、細かな網目状のシート材からなり、この例ではポリエチレンテレフタレートで成形されている。メッシュシート42は、空気中の比較的粗い埃が室内機ユニット1内に入り込まないようなメッシュであれば、その形状や材質などは任意に選択されてよく、抗菌材や防かび材などが配合されていてもよい。
【0047】
また、この例において、メッシュシート42は、フィルタフレーム41とヒートシールにより成形されているが、フィルタフレーム41とメッシュシート42とを一体成形してもよく、メッシュシート42の形状も仕様に応じて任意に選択できる。
【0048】
室内機ユニット1の内部にはさらに、フィルタ4を清掃するためのフィルタ清掃ユニット5が設けられている。図10および図11を併せて参照して、フィルタ清掃ユニット5は、フィルタ4に付着したゴミを回収するダストボックス100と、ダストボックス100およびフィルタ4を着脱可能に保持するとともに、それ自体が室内機ユニット1から着脱自在に設けられたフィルタラック200と、フィルタ4を湾曲させた際に正しい方向にフィルタ4を室内機筐体1外に出す導出ガイド240と、フィルタラック200を室内機ユニット1に支持するとともに、フィルタ4のスライドを案内するガイドフレーム300とを備えている。
【0049】
この例において、ダストボックス100およびフィルタラック200は、室内機ユニット1の横方向に並んだ状態でそれぞれ設けられている。各々のダストボックス100とフィルタラック200とはともに同一構成であるため、以下、一方のみを説明する。
【0050】
図1を併せて参照して、ダストボックス100は、フィルタ4の一方の面(図1では風上側)を清掃する上部ダストボックス110と、フィルタ4の他方の面(図1では風下側)を清掃する下部ダストボックス120とを有し、それらがフィルタ4を挟んで対向するように配置されている。
【0051】
上部ダストボックス110の内部には、フィルタに付着したゴミを清掃する清掃ブラシ111と、清掃ブラシ111によって回収されたゴミを貯留しておくゴミ貯留部112とが設けられている。
【0052】
この例において、清掃ブラシ111は、図示しない回動手段を介して回動自在に設けられており、フィルタ4を反前面側(図1では10a側)にスライドさせたときのみに清掃ブラシ4をフィルタ4に接触させ、前面側(図1ではオープンパネル14側)に移動する際は、清掃ブラシ111はフィルタ4に非接触となるようになっている。
【0053】
下部ダストボックス120は、フィルタ4の下面に沿って配置されており、フィルタ4を上部ダストボックス110の清掃ブラシ111に接触させた際、フィルタ4が撓まないようにするためのフィルタ受けの働きをするとともに、フィルタ4の裏にこぼれた埃を回収する。
【0054】
本発明において、ダストボックス100の具体的な構成は任意的事項であってよく、その構成は、仕様に応じて任意に変更されてよい。
【0055】
ダストボックス100とフィルタラック200とを組み合わせた状態の図11、および、フィルタラック200単体の状態である図12を参照して、フィルタラック200は、フィルタ4の幅とほぼ同じ間隔で配置される左右一対のサイドフレーム210,210と、サイドフレーム210,210の間に所定の間隔をもって水平に架け渡される例えば2本の補強フレーム220と、サイドフレーム210,210の間に所定間隔をもって垂直方向に配置される例えば2本のガイドフレーム230とを備えている。
【0056】
サイドフレーム210,210は、前面側熱交換器21の前面を覆うように取り付けられるくの字状に形成されており、内側のフィルタ4がスライド可能に移動する第1フィルタ移動通路211,211が形成されている。
【0057】
第1フィルタ移動通路211,211は、フィルタラック200をガイドフレーム300に取り付けることにより、後述するガイドフレーム300の一部に形成されたフィルタ移動通路310と連通されるようになっている。
【0058】
サイドフレーム210の前面側(図12では手前側)には、フィルタ導出部212,212が設けられている。フィルタ導出部212,212は、フィルタ4を撓ませた際に、その湾曲部の導出の始端と終端を規定するために設けられた案内部であり、図9にて説明したように、フィルタ4を挟んで向かい合う間隔がW3となるように形成されている。
【0059】
フィルタ導出部212,212の開口縁の両端には、フィルタ4の導出をスムーズにするためのガイド板213a,213bが設けられている。ガイド板213a,213bは、第1フィルタ移動通路211の側面から内側に向かって張り出すように突出しており、その縁はフィルタ4が引っ掛からないよう湾曲されている。
【0060】
サイドフレーム210の内部には、フィルタ4のラックギア43に歯合される送りギア214が設けられている。送りギア214は図示しない駆動モータに接続され、その一部が第1フィルタ移動通路211内に露出している。フィルタ4は、平滑部が風上側で、ラックギア43の形成された側が風下となるように配置されている。第1フィルタ移動通路211の内部でフィルタ4のラックギア43に歯合するようになっている。
【0061】
フィルタラック200にはさらに、フィルタ4を湾曲させた際に正しい方向にフィルタ4がフィルタ移動通路211外に出るようにガイドする導出ガイド240が設けられている。図13および図14を参照して、導出ガイド240は、フィルタラック200の一端側に回動自在に取り付けられる回動アーム241,241を有するアーチ状に形成されている。
【0062】
導出ガイド240には、フィルタ4を垂直状態に保持する第1ガイド面242と、一端が第1ガイド面242の上端に接続され、他端が室内機ユニット1の前面側に向かって傾斜された第2ガイド面243とを備えている。
【0063】
図1を併せて参照して、導出ガイド240は、回動軸214aを介して回動可能に軸支されているが、フィルタラック200に固定された状態(図11の状態)において、第1ガイド面242は、フィルタ4を室内機ユニット1の前面に沿ってほぼ垂直となった状態で支持するようになっている。
【0064】
第2ガイド面243は、第1ガイド面242の上端から斜め上方向に向かって延設されており、フィルタ清掃時に第2ガイド面243に沿って湾曲されたフィルタ4が案内されることで、後述するフィルタ4の変形部4aが斜め上方に導出されるようになっている。
【0065】
第2ガイド面243の内側の上端(図14参照)には、上述したフィルタ4の係止孔45に差し込まれる係止凸部244が2箇所設けられている。係止凸部244は、第2ガイド面243から室内機ユニット1側に向けて延設された凸リブからなり、その先端はフィルタ4の係止孔45に入りやすいよう面取りされている。
【0066】
導出ガイド240は、フィルタラック200を室内機ユニット1から取り外す際のリリースレバーとしての役割も兼ねている。導出ガイド240は、フィルタラック200の図示しない軸受孔に回動軸241aが軸支されることで、メインフレーム110に対して上下に、その下端側が開閉可能に取り付けられている。
【0067】
この例において、回動軸241aには、コイルバネ(図示しない)が設けられており、コイルバネを介して導出ガイド240が常に開く方向にバネ付勢されている。
【0068】
導出ガイド240には、導出ガイド240をフィルタラック200に閉じた状態で固定するためのスライド式の係止爪およびその駆動機構(ともに図示しない)が設けられている。本発明において、係止爪およびその駆動機構は任意的事項であるため、その具体的な説明は省略する。
【0069】
フィルタラック200の下端側には、フィルタ4の下端を当接させてフィルタ4の移動を規制するストッパー250が設けられている。図1および図17を併せて参照して、ストッパー250は、フィルタラック200下端に沿って後述するフィルタガイド300,300の間に架け渡されており、その一部にフィルタ4の下端が当接することで、フィルタ4がストッパー250より下にスライドしないようになっている。
【0070】
次に、図15〜図17を参照して、ガイドフレーム300は、室内機ユニット1の前面から上面にかけて配置されるL字状に形成されている。ガイドフレーム300には、フィルタ4が案内される第2フィルタ移動通路310が設けられている。
【0071】
第2フィルタ移動通路310は、ガイドフレーム300の側面301からほぼ水平に延設され、フィルタ4のラックギア43の下面を支持する底壁311と、底壁311の一端からほぼ直角に折り曲げられ、側面301と平行な側壁312とを有する断面L字状に形成されている。
【0072】
これによれば、フィルタ4はラックギア43の側面が側壁312によって支持されるため、スライド時にフィルタ4が歪んだりして、移動が妨げられるのを防止することができる。
【0073】
図15に示されたガイドフレーム300は、室内機ユニット1の中央に配置されるため、両側面でフィルタ4,4を支持するために第2フィルタ移動通路310がガイドフレーム300の両面に形成されているが、室内機ユニット1の両端側に配置されるガイドフレーム300には、一方のフィルタ4の配置される方向の側面にのみ配置されている。
【0074】
底壁311の上面には、上面パネル10が取り付けられ、これにより、第2フィルタ移動通路310が形成されるようになっている。ここで、第2フィルタ移動通路310の一端側は、上述した第1フィルタ移動通路211の一方の出口にフィルタ清掃ユニット5を介して連通するように形成されており、フィルタラック200の第1フィルタ移動通路211からスムーズにフィルタガイド300の第2フィルタ移動通路310に案内されるようになっている。
【0075】
第2フィルタ移動通路310の他端側は、室内機ユニット1のベースパネル10と背面側熱交換器22との間に向けて開放されており、その間の空間にフィルタ4を導入できるようになっている。
【0076】
ガイドフレーム300の下側面には、フィルタ4の下端位置を検知するフィルタ検知部320が設けられている。図17に示すように、フィルタ検知部320は、ガイドフレームの側面から外側に向けて可動可能に突設されたリミットスイッチ321と、リミットスイッチ321に向けてフィルタ4の下端を案内するガイド部322とを備えている。
【0077】
リミットスイッチ320は、一端側が回動自在に連結され、自由端側がガイドフレーム300の底部側から上部側に向かって回動するように配置されている。これによれば、フィルタ4の側面でリミットスイッチ320を押圧するようになるため、検出エラーを少なくすることができる。さらには、ラック面で押圧する場合よりも音の発生を抑えられる。
【0078】
ガイド部322は、リミットスイッチ320を囲むように設けられており、その一部には、フィルタ4の下端が案内されるガイド溝323が設けられている。ガイド溝323は、上述した第1フィルタ移動通路211の出口に連通するように形成されている。
【0079】
この例において、フィルタ検知部320は、1枚のフィルタ4に対して1箇所設けられいるが、例えばフィルタ4の両端を検知するようにそれぞれ2箇所設けられていてもよい。
【0080】
次に図18〜図23を参照して、フィルタラック200には、フィルタラック200にフィルタ4を取り付ける際、フィルタ移動通路211にフィルタ4を安全に挿入するためのガイドリブ400が設けられている。
【0081】
ガイドリブ400は、フィルタ移動通路211の開放端に設けられており、フィルタラック200の幅方向の両端下部に設けられている。フィルタ移動通路211には、フィルタラック200にフィルタ4を取り付ける際、フィルタ4に設けられたラックギア43が収納されるガイド溝260,260が設けられている。
【0082】
ガイド溝260,260は、ラックギア43を収納するため、フィルタ移動通路211からさらに一段凹んで形成されており、フィルタラック200の前端から後端に沿って形成されている。ガイド溝260,260の入口側261は、フィルタ4のラックギア43がガイド溝260,260内に入りやすいようにテーパー状に広げられている。
【0083】
図18,19に示すように、ガイドリブ400は、フィルタラック200の側壁200aから立設し、ガイド溝260の底面に沿って平行に形成された基端部410と、同基端部410のガイド溝260の入口側261からガイド溝260の底面に対してほぼ直角に立設される把持部420とを有し、ガイド溝260の入口側261に隣接して設けられている。
【0084】
基端部410は、フィルタ移動通路211およびガイド溝260から所定の間隔をもって平行に配置されており、フィルタ移動通路211およびガイド溝260の上面側の一部を塞ぐように配置されている。
【0085】
この例において、把持部420は、図20(a)に示すように、フィルタラック200に対してほぼ直角に形成されているが、図20(b)に示すように、90°以下の位置となるように配置されていてもよく、その角度は仕様に応じて任意に変更可能である。
【0086】
基端部410と把持部420の付け根部430のフィルタ移動通路211に対向する面は、フィルタ4を挿入する際に、挿入をスムーズにするために円弧状または面取りに形成されている。この例において、付け根部430は円弧状に形成されているが、挿入をスムーズにすることができる方法であれば、例えばローラなどが取り付けられていてもよい。
【0087】
把持部420は、その板厚が基端部410の板厚よりも厚く形成されている。図19(b)において、把持部420の板厚は、付け根部430側から徐々に厚くなり、基端部410の板厚よりも2倍程度厚く形成されており、これによれば、把持部420に適度な厚みがあり、手で摘みやすく、さらには強度も高くなる。
【0088】
把持部420の先端には、把持部420を指で摘んだ際に、指が引っ掛かりやすくするための凸部421が設けられている。この例において、凸部421は、把持部420の先端にキノコ状に形成されているが、これ以外の形状であってもよく、滑り止めとしてローレット目地が形成されてもよい。
【0089】
図21を参照して、フィルタラック200にフィルタ4を取り付けるに当たっては、まず、フィルタ4の先端をガイド溝260と基端部410との間のフィルタ移動通路211に差し込み、そのまま他端側に向かってスライドさせるだけでよい。
【0090】
これによれば、フィルタ41のラックギア43は自動的にガイド溝260の内部に押し込まれてゆき、図示しないギアに歯合される。その際、ガイドリブ400の付け根部430がフィルタ4の内面に沿って摺接するため、異音などを発生させることなく、スムーズに取り付けることができる。
【0091】
図1および図22に示すように、ダストボックス100を保持したフィルタラック200は、フィルタ清掃ユニット端部130で室内機筐体1の前面側(図1では左側)で、フィルタガイド300に配置されており、フィルタ清掃ユニット端部130の支点Sを中心に回動可能に着脱されるようになっている。
【0092】
さらに、上述したガイドリブ400は、フィルタラック200を挟んで支点Sと対称となる位置に配置されている。これによれば、把持部420を指で摘んでフィルタラック200を取り外す際に、てこの原理によって、より小さな力でフィルタラック200を取り外すことができる。
【0093】
フィルタラック200を室内機筐体1から取り外すに当たっては、導出ガイド240を開放すると現れるガイドリブ400の把持部420を、図23(a)に示すように、指で摘んで手前側に引っ張る方法と、図23(b)に示すように、把持部420の下面を指の腹で下から上に押し上げる方法の二通りの方法があり、いずれの方法でもフィルタラック200をワンタッチで取り外すことができる。フィルタラック200を外すと、フィルタラック200に取り付けられたダストボックス100とフィルタ4も同時に室内機筐体1から取り外すことができる。
【0094】
次に、図24を参照して、本発明の空気調和機のフィルタ清掃手順の一例について説明する。フィルタ清掃の手順を説明するに先立ち、この例では、フィルタ4をストッパ250に向けて移動させる方向を「往方向」とし、フィルタ4を室内機ユニット1の背面側に移動させる方向を「復方向」として説明する。
【0095】
フィルタ清掃が開始されると、図示しない制御部は、まずフィルタ清掃ユニット5を初期化する。初期化は、フィルタ4の先端がストッパー250に当接しているかどうかをリミットスイッチ320によって確認し、さらに、ダストボックス100内の清掃ブラシ111がフィルタ4に対して非接触に配置されているかどうかを確認する(図24(a)参照)。
【0096】
また、制御部は、オープンパネル14の駆動手段に全開指令を出し、これを受けて、図示しない駆動モータを介してスイングアーム14aが回動して、オープンパネル14が全開状態となる。
【0097】
オープンパネル14が全開状態としたのち、制御部は、フィルタ清掃を開始する。制御部は、まず、フィルタ送り方向に図示しない駆動手段を駆動してフィルタ4を送り出すが、この例において、清掃ブラシ111はフィルタ戻り方向に移動させたときのみ、ブラシをフィルタ4に接触させるようになっている。
【0098】
制御部は、フィルタ4に付着したゴミをまんべんなく除去するため、フィルタ4を1回に所定の長さずつ(この例では最少移動量60mm〜最大移動量130mm)送り出し、フィルタ戻り方向に同じ長さずつ戻す往復動作を複数ステップに分けて行うことで、清掃ブラシ111に付着したゴミをこまめにダストボックス110内に移すようにしている。
【0099】
フィルタ4の一端がストッパー250に突き当たった状態で、制御部はフィルタ送り方向にフィルタ4を移動させる。これにより、フィルタ4は、その一部が撓んで変形し、その変形部4aが室内機ユニット1とオープンパネル14の前面に形成された空間に導き出される。
【0100】
図24(b)に示すように、ダストボックス100にフィルタ4の後端まで移動すると、フィルタ変形部4aの変形量は最大値となり、フィルタ変形部4は、室内機ユニット1の前面とオープンパネル14の背面との間に形成された空間に出される。
【0101】
その際、フィルタ4は導出ガイド240の第2ガイド面242によって斜め上方向に向けて出されるよう案内される。これによれば、室内機ユニット1の前面とオープンパネル14の背面との間に斜め上方向に向かってフィルタ変形部4aが出されるため、オープンパネル14に接触するなどしてオープンパネル14の開閉に支障を来すことを防止できる。
【0102】
逆に、フィルタ4の先端側(突き当て側)がダストボックス100によって清掃される際は、図24(c)に示すように、フィルタ4の後端側は、室内機ユニット1の背面側に形成された空間に導き入れられる。
【0103】
以上、一連の清掃工程が終了すると、制御部は、再びリミットスイッチ320が作動する状態までフィルタ4を戻したのち、待機状態となる。なお、この実施形態において、フィルタ4やフィルタラック200の脱着方法、並びに、脱着時のフィルタ4の初期化などについては、任意であってよいため、その説明は省略する。
【符号の説明】
【0104】
1 空気調和機(室内機ユニット)
14 オープンパネル
2 熱交換器
3 クロスフローファン
4 フィルタ
41 フィルタフレーム
42 メッシュシート
43 ラックギア
44 切欠部
45 係止孔
5 フィルタ清掃ユニット
100 ダストボックス
200 フィルタラック
260 ガイド溝
300 フィルタガイド
400 ガイドリブ
410 基端部
420 把持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面から前面にかけて空気吸込口が設けられ、下面側に空気吹出口を有し、上記空気吸込口の内面にフィルタが配置されている室内機筐体を備える空気調和機において、
上記室内機筐体には、上記フィルタを着脱自在に支持するフィルタラックを含み、上記フィルタラックには、上記フィルタの一部が導入されるフィルタ移動通路と、上記フィルタ移動通路に上記フィルタを案内するガイドリブとが設けられており、上記ガイドリブは、上記フィルタラックを上記室内機筐体から脱着する際のつまみも兼ねることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
上記室内機筐体内には、上記フィルタを上記フィルタ移動通路に沿って移動させるフィルタ移動手段と、上記フィルタに付着したゴミを回収するフィルタ清掃部とを上記フィルタラックと一体となるように備えることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
上記ガイドリブは、上記フィルタの上記フィルタ移動通路の底面に沿って平行に形成される基端部と、上記基端部の一端から上記フィルタ移動通路の底面に対して所定角度傾斜するように配置され、上記つまみとしての把持部とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
上記基端部の板厚に対して上記把持部の板厚が厚く形成されていることを特徴とする請求項3に記載の空気調和機。
【請求項5】
上記把持部の先端には、手を上記把持部に引っ掛けやすくするための凸部が設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載の空気調和機。
【請求項6】
上記基端部と上記把持部との付け根部は、上記フィルタを上記フィルタ移動通路に案内するために面取りされていることを特徴とする請求項3,4または5に記載の空気調和機。
【請求項7】
上記フィルタラックは、上記室内機筐体の前面から上面の一部にかけて配置され、上記フィルタラックは、上記室内機筐体の上面側に位置する端部を中心に回動可能に取り付けられており、上記ガイドリブは、上記フィルタラックの他端側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項1】
上面から前面にかけて空気吸込口が設けられ、下面側に空気吹出口を有し、上記空気吸込口の内面にフィルタが配置されている室内機筐体を備える空気調和機において、
上記室内機筐体には、上記フィルタを着脱自在に支持するフィルタラックを含み、上記フィルタラックには、上記フィルタの一部が導入されるフィルタ移動通路と、上記フィルタ移動通路に上記フィルタを案内するガイドリブとが設けられており、上記ガイドリブは、上記フィルタラックを上記室内機筐体から脱着する際のつまみも兼ねることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
上記室内機筐体内には、上記フィルタを上記フィルタ移動通路に沿って移動させるフィルタ移動手段と、上記フィルタに付着したゴミを回収するフィルタ清掃部とを上記フィルタラックと一体となるように備えることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
上記ガイドリブは、上記フィルタの上記フィルタ移動通路の底面に沿って平行に形成される基端部と、上記基端部の一端から上記フィルタ移動通路の底面に対して所定角度傾斜するように配置され、上記つまみとしての把持部とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
上記基端部の板厚に対して上記把持部の板厚が厚く形成されていることを特徴とする請求項3に記載の空気調和機。
【請求項5】
上記把持部の先端には、手を上記把持部に引っ掛けやすくするための凸部が設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載の空気調和機。
【請求項6】
上記基端部と上記把持部との付け根部は、上記フィルタを上記フィルタ移動通路に案内するために面取りされていることを特徴とする請求項3,4または5に記載の空気調和機。
【請求項7】
上記フィルタラックは、上記室内機筐体の前面から上面の一部にかけて配置され、上記フィルタラックは、上記室内機筐体の上面側に位置する端部を中心に回動可能に取り付けられており、上記ガイドリブは、上記フィルタラックの他端側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の空気調和機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−149811(P2012−149811A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8474(P2011−8474)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]