説明

空気調和機

【課題】フィルタ清掃機構の回転ブラシ上から櫛状部材により塵埃を掻き落とす際、塵埃の一部が櫛状部材の回転方向後方に跳ねたとしても、それを確実にダストボックス内に誘導し、回収することができる空気調和機を提供することを目的とする。
【解決手段】フィルタ清掃機構23が装備されている空気調和機において、フィルタ清掃機構23は、エアフィルタ14から塵埃を掻き取る回転ブラシ25と、該回転ブラシ25によって掻き取られた塵埃を回収し、蓄積するダストボックス26と、該ダストボックス26側に設けられ、回転ブラシ25に付着されている塵埃を離脱させ、ダストボックス26内に掻き落とす櫛状部材37とを備え、櫛状部材37には、その櫛部の根元部側に、回転方向後方に跳ねた塵埃をダストボックス26内に誘導する開口38が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアフィルタを自動的に清掃するフィルタ清掃機構を備えている空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エアフィルタで捕集された塵埃が蓄積されると、通風抵抗が増大し、空気調和機の運転効率が低下する。そこで、エアフィルタにより捕集された塵埃を定期的に除去し、エアフィルタを自動清掃するフィルタ清掃機構を備えた空気調和機が提供されている。このフィルタ清掃機構としては、様々な様式が提案されている。その1として、熱交換器の上流側に配設されているエアフィルタをフィルタガイドに沿って移動させ、その移動経路に沿って設置されている回転ブラシ等を介してエアフィルタ上の塵埃を掻き取り、それをダストボックス内に回収するように構成したものが知られている。
【0003】
このような空気調和機にあって、フィルタ清掃機構は、例えば特許文献1に示されるように、エアフィルタの移動経路を形成するガイド部材と、エアフィルタを移動経路に沿って移動させるフィルタ駆動手段と、エアフィルタから塵埃を掻き取る回転ブラシと、回転ブラシで掻き取った塵埃を回収するダストボックスと、フィルタ駆動手段および回転ブラシを駆動するモータおよび歯車機構を含む駆動機構等とから構成され、更にダストボックスには、エアフィルタから掻き取られて回転ブラシに付着している塵埃を離脱させ、ダストボックス内に掻き落とす櫛状部材が設けられた構成とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−65908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されるように、エアフィルタから掻き取った塵埃が回転ブラシ上に残らないように、回転ブラシ上の塵埃を掻き落とす櫛状部材を設けることは、塵埃がエアフィルタに再付着するのを防止する上で有効である。しかしながら、櫛状部材の櫛部は、回転ブラシのブラシ毛内に差し込まれているため、ブラシ毛が櫛部を通過する際、塵埃の一部がブラシ毛によって櫛状部材の回転方向後方に跳ねられる。これによって、櫛状部材の回転方向後方部位に塵埃の一部が堆積し、それがダストボックスの外部に飛散したり、回転ブラシを介してエアフィルタに再付着したりする等の原因となり、フィルタ清掃機構の機能を低下させるという課題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、回転ブラシ上から櫛状部材により塵埃を掻き落とす際、塵埃の一部が櫛状部材の回転方向後方に跳ねたとしても、それを確実にダストボックス内に誘導し、回収することができる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明の空気調和機は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる空気調和機は、熱交換器の上流側に設けられ、空気中の塵埃を捕集するエアフィルタと、該エアフィルタをフィルタ移動経路に沿って移動させるフィルタ駆動手段と、前記フィルタ移動経路に沿って設けられ、前記エアフィルタで捕集された塵埃を除去するフィルタ清掃機構とが装備されている空気調和機において、前記フィルタ清掃機構は、前記エアフィルタから塵埃を掻き取る回転ブラシと、該回転ブラシによって掻き取られた塵埃を回収し、蓄積するダストボックスと、該ダストボックス側に設けられ、前記回転ブラシに付着されている塵埃を離脱させ、前記ダストボックス内に掻き落とす櫛状部材と、を備え、前記櫛状部材には、その櫛部の根元部側に、回転方向後方に跳ねた塵埃を前記ダストボックス内に誘導する開口が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、エアフィルタから塵埃を掻き取る回転ブラシと、該回転ブラシによって掻き取られた塵埃を回収し、蓄積するダストボックスと、該ダストボックス側に設けられ、回転ブラシに付着されている塵埃を離脱させ、ダストボックス内に掻き落とす櫛状部材とを備え、エアフィルタで捕集された塵埃を除去するフィルタ清掃機構にあって、櫛状部材の櫛部の根元部側に、その回転方向後方に跳ねた塵埃をダストボックス内に誘導する開口が設けられているため、エアフィルタから掻き取られ、回転ブラシ上に付着している塵埃を櫛状部材でダストボックス内に掻き落とす際、その回転方向後方に跳ねた塵埃を櫛状部材の根元部に設けられている開口を通してダストボックス内に誘導し、該ダストボックス内に回収、蓄積することができる。従って、櫛状部材の回転方向後方に跳ねた塵埃がその後方部位に堆積し、それがダストボックスの外部に飛散したり、回転ブラシを介してエアフィルタに再付着されたりするのを防止し、確実にダストボックス内に回収することができる。
【0009】
さらに、本発明の空気調和機は、上記の空気調和機において、前記開口は、前記ダストボックスと一体に設けられている前記櫛状部材の前記根元部側に、その長さ方向に沿って所定の間隔で連結桟部を残し、複数個設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、開口が、ダストボックスと一体に設けられている櫛状部材の根元部側に、その長さ方向に沿って所定の間隔で連結桟部を残し、複数個設けられているため、櫛状部材により回転ブラシ上から塵埃をダストボックス内に掻き落とす際、櫛状部材の回転方向後方に跳ねた塵埃を、その長さ方向に沿う複数個の開口のいずれかからダストボックス内に誘導することができる。従って、櫛状部材の回転方向後方に跳ねた塵埃の略すべてを確実にダストボックス内に誘導し、回収することができる。また、複数の開口間に残された連結桟部によって必要な強度を確保できるため、櫛状部材の機能低下を防止し、塵埃の掻き落とし機能を確実に維持することができる。
【0011】
さらに、本発明の空気調和機は、上述のいずれかの空気調和機において、前記ダストボックスには、前記櫛状部材の回転方向後方に、該櫛状部材から回転方向後方に跳ねた塵埃の飛散防止用カバーが設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、ダストボックスの櫛状部材の回転方向後方に、該櫛状部材から回転方向後方に跳ねた塵埃の飛散防止用カバーが設けられているため、櫛状部材によって回転ブラシ上から塵埃をダストボックス内に掻き落とす際、櫛状部材の回転方向後方に跳ねた塵埃を、塵埃飛散防止用カバーにより下方に落下させ、櫛状部材の根元部に設けられている開口を通してダストボックス内に誘導し、その内部に回収、蓄積することができる。従って、エアフィルタから除去した塵埃のダストボックス外部への飛散や落下を防止し、確実にダストボックス内に回収することができる。
【0013】
また、本発明の空気調和機は、上記の空気調和機において、前記塵埃飛散防止用カバーは、前記ダストボックスに対して着脱自在に設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、塵埃飛散防止用カバーが、ダストボックスに対して着脱自在に設けられているため、空気調和機の筐体からダストボックスを取り外し、内部に回収、蓄積されている塵埃を処理する際、ダストボックスから塵埃飛散防止用カバーを取り外すことによって、塵埃飛散防止用カバーを綺麗に洗浄することができる。また、塵埃飛散防止用カバーをダストボックスと別体にすることで、それぞれの成形を容易化することができる。従って、塵埃の飛び跳ねにより汚れ易い塵埃飛散防止用カバーを、簡易に取り外して洗浄メンテナンスすることができるとともに、ダストボックスおよび塵埃飛散防止用カバーそれぞれの製造型費や製造コストを低減することができる。
【0015】
さらに、本発明の空気調和機は、上述のいずれかの空気調和機において、前記塵埃飛散防止用カバーの先端部は、前記回転ブラシの外周に接する接線位置まで延在されていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、塵埃飛散防止用カバーの先端部が、回転ブラシの外周に接する接線位置まで延在されているため、櫛状部材によって回転ブラシから塵埃をダストボックス内に掻き落とす際、櫛状部材の回転方向後方に跳ねた塵埃が、回転ブラシと塵埃飛散防止用カバーの先端部との間の隙間から、ダストボックスの外部に飛び散るのを防止することができる。従って、塵埃飛散防止用カバーによる塵埃の飛散防止効果を高めることができるとともに、塵埃飛散防止用カバーと回転ブラシとが接触することによる回転抵抗の増大を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、エアフィルタから掻き取られ、回転ブラシ上に付着している塵埃を櫛状部材でダストボックス内に掻き落とす際、その回転方向後方に跳ねた塵埃を櫛状部材の根元部に設けられている開口を通してダストボックス内に誘導し、該ダストボックス内に回収、蓄積することができるため、櫛状部材の回転方向後方に跳ねた塵埃がその後方部位に堆積し、それがダストボックスの外部に飛散したり、回転ブラシを介してエアフィルタに再付着されたりするのを防止し、確実にダストボックス内に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気調和機の外観斜視図である。
【図2】図1に示す空気調和機のフロントパネルを取外した状態の斜視図である。
【図3】図1に示す空気調和機の縦断面図である。
【図4】図2に示す空気調和機のフィルタ清掃機構の一部を分解した状態の分解斜視図である。
【図5】図4に示すフィルタ清掃機構のエアフィルタとダストボックスとの配置関係を示す側面視図である。
【図6】図5に示すフィルタ清掃機構のダストボックスの分解斜視図である。
【図7】図6に示すダストボックスを構成している櫛状部材の斜視図である。
【図8】図6に示すダストボックスを構成している塵埃飛散防止カバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の一実施形態について、図1ないし図8を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る空気調和機の外観斜視図が示され、図2には、そのフロントパネルを取外した状態の斜視図が示され、更に図3には、その縦断面図が示されている。ここでは、壁掛け型の空気調和機1が例示されている。
空気調和機1は、ベース本体2と、該ベース本体2にその前方部位を上下、左右、および前面から被うように着脱自在に設けられたフロントカバー3と、該フロントカバー3の前面に上部を支点に上方に開閉自在に設けられたフロントパネル4とから構成された横長長方形状の筐体5を備えている。
【0020】
筐体5を構成しているフロントカバー3の前面および上面は、その略全面が格子状の桟6,7とされ、該桟6,7により空気吸込み口8が形成されるとともに、該桟6,7がフィルタガイドを兼ねるように構成されている。また、フロントカバー3には、空気吸込み口8の左右方向の中央部にセンターフレーム3Aが形成され、空気吸込み口8の左右両側にサイドフレーム3B,3Cが形成されている。なお、これらセンターフレーム3Aおよびサイドフレーム3B,3Cは、後述するフィルタ清掃機構23の構成部品およびその関連部品等が組み付けられるため、必要な強度が確保されている。
【0021】
さらに、フロントカバー3の上面には、吸込みグリル9が設置されており、また、その下面の前方部位には、略全幅にわたり温調された空気を室内に吹出すための吹出し口10が開口されている。この空気吹出し口10には、風向を左右方向に変更する複数枚のルーバ11と、風向を上下方向に変更するとともに、空気吹出し口10を閉鎖可能な左右に2分割されている上下各2枚の水平フラップ12が設けられている。なお、このルーバ11および水平フラップ12は、図示省略のモータによって、それぞれ独立して回動されるように構成されている。
【0022】
筐体5内には、前面および上面の空気吸込み口8から下面前方部位の空気吹出し口10に至る間に空気流路13が形成されており、該空気流路13中に上流側からエアフィルタ14、室内熱交換器(熱交換器)15および室内送風機16が順次配設されている。吸込みグリル9を介して吸込まれた室内空気は、エアフィルタ14を通過して塵埃が除去された後、室内熱交換器15により冷却または加熱され、室内送風機16を介して空気吹出し口8から室内に吹出されるようになっている。エアフィルタ14は、左右に2分割されて設置されており、該エアフィルタ14の背面側の前面上方部位には、それぞれ横長の空清フィルタ17がフィルタ保持枠18を介して左右に一対配設されている。
【0023】
室内熱交換器15は、概略Λ形状に折り曲げ形成されたプレートフィンチューブ型熱交換器とされ、筐体5内において、前面の下部位置から上面および後面にかけて配設されている。該室内熱交換器15の下流側において、その内側空間内に室内送風機16を構成する細長い筒状のクロスフローファンが配設されている。一対のエアフィルタ14は、室内熱交換器12の上流側において、筐体5を構成しているフロントカバー3の前面および上面の略全面に設けられている格子状の桟6,7の前面側領域を覆うように、多数のフィルタガイド部材によって形成される第1フィルタ移動経路19に沿って付設されている。
【0024】
第1フィルタ移動経路19は、フロントカバー3の桟6,7の表面、吸込みグリル9の下面、フロントカバー3の前面側に設置されているフィルタガイド部材20、空清フィルタ17のフィルタ保持枠18の外表面、該フィルタ保持枠18に対向してフロントカバー3の前面上方部位に設置されているフィルタガイド部材21、フロントパネル4の背面にフィルタガイド部材20と対向配置されているフィルタガイド部材22等々の多数のフィルタガイド部材によりフロントカバー3の左右に一対で形成されている。これらの多数のフィルタガイド部材は、フロントカバー3に一体に組み付けられている。
【0025】
この第1フィルタ移動経路19は、筐体5の上面側の空気吸込み口8に沿って形成されている移動経路19Aと、筐体5の前面側の空気吸込み口8に沿って形成されている移動経路19Bとにより構成されている。また、第1フィルタ移動経路19を介して室内熱交換器15の上流側に付設されているエアフィルタ14は、その上流側の塵埃捕集面により捕集された塵埃を除去するため、左右一対のフィルタ清掃機構23により第1フィルタ移動経路19内を往復動可能とされている。
【0026】
フィルタ清掃機構23は、エアフィルタ14上に捕集されている塵埃を除去してエアフィルタ14を自動清掃するためのものであり、フロントカバー3の前面側の下方部位に設置されている。本実施形態のフィルタ清掃機構23は、エアフィルタ14を往復動させるための左右一対の円筒状をなすフィルタ駆動ローラ(フィルタ駆動手段)24と、このフィルタ駆動ローラ24の下方に対向配置され、該フィルタ駆動ローラ24により移動されるエアフィルタ14の塵埃捕集面から塵埃を掻き取る左右一対の回転ブラシ25と、該回転ブラシ25で掻き取った塵埃を回収して蓄積する左右一対の着脱可能なダストボックス26と、フィルタ駆動ローラ24および回転ブラシ25を駆動するステッピングモータおよび歯車列等を有する左右一対の駆動機構33と、を備えた構成とされている。
【0027】
左右一対のフィルタ駆動ローラ24には、左右両端部に歯車(ピニオン)24Aが設けられ、その間の表面がブラシ状とされており、歯車24Aにエアフィルタ14のフィルタ枠の左右両側に設けられているラック14Aが噛み合わされ、ブラシ状表面がエアフィルタ14の裏面と接し、塵埃を押出す構成とされている。これによって、各フィルタ駆動ローラ24を介して左右一対のエアフィルタ14が、それぞれ第1フィルタ移動経路19内を往復動可能とされている。なお、フィルタ駆動ローラ24は、左右一対の駆動機構33のフィルタ用ステッピングモータ(図示省略)を介して正逆回転可能とされている。
【0028】
また、フィルタ清掃時に、エアフィルタ14がフィルタ清掃機構23のフィルタ駆動ローラ24を介して移動されたとき、その移動経路を確保するための第2フィルタ移動経路27および第3フィルタ移動経路29が筐体5を構成するフロントカバー3上に左右一対で形成されている。第2フィルタ移動経路27は、エアフィルタ14をフィルタ駆動ローラ24に沿う湾曲部を介して上方に折り返すための湾曲経路(Uターン経路)とされており、フィルタ駆動ローラ24の外周面と該フィルタ駆動ローラ24に沿って設けられている湾曲ガイド部材28とによって形成されている。該第2フィルタ移動経路27は、第1フィルタ移動経路19の一端に連続されている。
【0029】
第3フィルタ移動経路29は、エアフィルタ14を室内熱交換器15の上方部位から外れた位置に導くための経路であって、第2フィルタ移動経路27のUターンされた側の端部に連続されている。この第3フィルタ移動経路29は、室内熱交換器15の前面側において、フロントパネル4の背面に沿って上下方向に延在されている第1フィルタ移動経路19の移動経路19Bと、室内熱交換器15の前面側との間を通して、該移動経路19Bと略平行に上方に延在されている。
【0030】
また、第3フィルタ移動経路29は、フロントカバー3の前面側の桟6の表面とフィルタガイド部材20の後面20Aとの間に形成される上方に延在する移動経路29Aと、筐体5内の前面上方部位で第1フィルタ移動経路19と交差してフロントパネル4の背面に延在する、フィルタガイド部材21とフロントパネル4背面のフィルタガイド部材22とによって形成される移動経路29Bと、フロントパネル4の背面に沿って下向きに折り返されて下方に延在し、フィルタガイド部材21の下端付近で第1フィルタ移動経路19に合流される、フィルタガイド部材21とフロントパネル4背面のフィルタガイド部材22とによって形成される移動経路29Cとから構成されている。
【0031】
なお、第3フィルタ移動経路29と第1フィルタ移動経路19が交差する位置は、エアフィルタ14が第3フィルタ移動経路29に沿って移動される過程で、その一端が交差位置に差し掛かったとき、第1フィルタ移動経路19を移動しているエアフィルタ14の他端が交差位置を通過しているように、第2フィルタ移動経路27のUターン位置から最遠の上方位置に設定されている。
【0032】
さらに、本実施形態においては、フィルタ清掃機構23を構成するフィルタ駆動ローラ24、回転ブラシ25、ダストボックス26、および第2フィルタ移動経路27を形成している湾曲ガイド部材28等が、複数のロック機構30、31および軸押え部材32を介してフロントカバー3に着脱自在に組み込まれている。そして、これら複数のロック機構30,31および軸押え部材32を開放することにより、フィルタ駆動ローラ24、回転ブラシ25、ダストボックス26、湾曲ガイド部材28等が、図4に示されるように、着脱自在、取り外し可能とされている。
【0033】
なお、ロック機構30,31は、それぞれ水平方向にスライド自在に設けられたキー部材を、フロントカバー3のセンターフレーム3Aおよびサイドフレーム3B,3Cに設けられているロック部材の穴にスライドさせて挿入することにより、係脱自在とされたものであり、それぞれ同様の構成とされている。また、軸押え部材32は、フィルタ駆動ローラ24の軸部を回転自在に押え、支持するものである。
【0034】
左右一対の回転ブラシ25は、左右一対のダストボックス26に一体に組み込まれており、各ダストボックス26は、左右両側に設けられている一対のスライド方式のロック機構30を介して、フロントカバー3のセンターフレーム3Aとサイドフレーム3B,3Cとの間に着脱自在に組み込まれている。また、フィルタ駆動ローラ24の外周に沿って該フィルタ駆動ローラ24と回転ブラシ25およびダストボックス26との間に組み込まれている湾曲ガイド部材28は、ダストボックス26の上部にて、左右両側に設けられている一対のスライド方式のロック機構31を介して、フロントカバー3のセンターフレーム3Aとサイドフレーム3B,3Cとの間に着脱自在に組み込まれている。
【0035】
各回転ブラシ25は、回転軸25Aの外周面に多数のブラシ毛25Bを植設したものであり、図5に示されるように、ブラシ毛25Bがエアフィルタ14の表面に摺接して該エアフィルタ14の表面から塵埃を掻き取るようになっている。各回転ブラシ25は、図5および図6に示されるように、ダストボックス26に対して回転自在に一体に組み込まれており、その右側端部および左側端部には、歯車(ピニオン)25Cが一体に設けられている。この歯車25Cが、左右一対の駆動機構33のブラシ用ステッピングモータ(図示省略)の出力軸に設けられている歯車と噛み合わされることにより、回転ブラシ25が回転駆動されるように構成されている。
【0036】
一対のダストボックス26は、図5および図6に示されるように、回転ブラシ25によりエアフィルタ14から掻き落とされた塵埃を回収し、蓄積するためのものであり、所要の容積を有している。このダストボックス26は、ボックス部材(A)34、ボックス部材(B)35および塵埃飛散防止カバー36を一体に組み付けた構成とされており、ボックス部材(A)34およびボックス部材(B)35に設けられている軸受部34A,35Aにより回転ブラシ25が回転自在に支持されるようになっている。
【0037】
また、ボックス部材(B)35には、図5に示されるように、回転ブラシ25のブラシ毛25B中に突出され、回転ブラシ25に付着されている塵埃を掻き落とす櫛状部材37が一体に設けられている。この櫛状部材37は、図7に示されるように、先端側が櫛部37Aとされており、根元部37B側に長手方向に沿って所定の間隔で複数箇所に連結桟部37Cが残され、該連結桟部37C間に、櫛状部材37の回転方向後方に跳ねた塵埃をダストボックス26内に誘導する複数個の開口38が設けられた構成とされている。
【0038】
さらに、ボックス部材(B)35には、櫛状部材37の回転方向後方に跳ねた塵埃がダストボックス26の外部に飛散するのを防止するための塵埃飛散防止カバー36が、一体に組み付けられている。この塵埃飛散防止カバー36は、図6および図8に示されるように、両端部に設けられている爪部36Aと、長手方向の複数箇所に設けられている爪部36Bを、ボックス部材(B)35の内面側に差し込むことによって着脱自在に組み付けられるものであり、その先端部36Cは、回転ブラシ25の外周に接する接線位置まで延在されている。
【0039】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
空気調和機1が運転されると、室内送風機16の回転により、室内空気が吸込みグリル9および空気吸込み口8を介して筐体5内に吸込まれる。該空気は、エアフィルタ14および空清フィルタ17を通過する過程で塵埃、臭気等が除去され、清浄化されて室内熱交換器15に供給される。そして、この空気が室内熱交換器15で内部を流通する冷媒と熱交換されて冷却または加熱された後、空気流路13、空気吹出し口10を経て室内に吹出されることによって、室内の冷房または暖房に供される。
【0040】
空気調和機1の運転時間が長くなると、エアフィルタ14に捕集された塵埃が少しずつ蓄積され、通風抵抗が徐々に増加される。そのまま運転を続けると、圧損が増大し、空気調和機1の運転効率が低下されるため、例えば累積運転時間が設定時間に到達時の運転終了時毎に、フィルタ清掃機構23を稼働させ、エアフィルタ14上に蓄積されている塵埃を除去するフィルタ清掃運転を行うようにしている。このフィルタ清掃運転は、駆動機構33を介してフィルタ清掃機構23のフィルタ駆動ローラ(フィルタ駆動手段)24および回転ブラシ25を回転駆動し、第1フィルタ移動経路19に沿って付設されているエアフィルタ14を、第2フィルタ移動経路27を経て第3フィルタ移動経路29へと移動させることによって行われる。
【0041】
エアフィルタ14が移動されることにより、フィルタ駆動ローラ24と対向配置されている回転ブラシ25は、図5に示される矢印方向に回転されながらエアフィルタ14の塵埃捕集面に摺接し、エアフィルタ14の表面に蓄積されている塵埃をブラシ毛25Aにより掻き取る。回転ブラシ25によって掻き取られた塵埃は、ダストボックス26内に落下し、その内部に回収、蓄積される。エアフィルタ14は、第3フィルタ移動経路29の終端位置まで移動される間に全面の清掃が完了され、その後、駆動機構33が逆転されることにより、エアフィルタ14は逆方向に移動され、元の位置に復帰される。
【0042】
このようにして、エアフィルタ14の塵埃捕集面が自動的に清掃される。この際、回転ブラシ25により掻き取られた塵埃は、全てがダストボックス26内に落下せず、一部がブラシ毛25Aに付着したまま回転し、エアフィルタ14に対して再付着される可能性がある。しかし、かかる塵埃は、回転ブラシ25の下方部位において、ブラシ毛25A内に差し込まれるように設置されている櫛状部材37を介して、強制的にダストボックス26内に掻き落とされ、回収される。
【0043】
さらに、櫛状部材37により、回転ブラシ25から塵埃を掻き落とすとき、一部の塵埃が櫛状部材37の回転方向後方に跳ねるが、この塵埃についても、櫛状部材37の根元部37Bに設けられている開口38を通してダストボックス26内に誘導し、ダストボックス26内に回収、蓄積することができる。同様に、櫛状部材37の回転方向後方に跳ねた塵埃を、塵埃飛散防止用カバー36により下方に落とし、櫛状部材37の根元部37Bに設けられている複数個の開口38を通してダストボックス26内に誘導することができるため、ダストボックス26の外部への飛散をも防止することができる。
【0044】
斯くして、本実施形態によると、エアフィルタ14から掻き取られて回転ブラシ25に付着している塵埃を、櫛状部材37によりダストボックス26内に掻き落とす際、その回転方向後方に跳ねた塵埃を櫛状部材37の根元部37Bに設けられている複数の開口38を通してダストボックス26内に誘導し、ダストボックス26に回収、蓄積することができる。従って、櫛状部材37の回転方向後方に跳ねた塵埃がその後方部位に堆積し、それがダストボックス26の外部に飛散したり、回転ブラシ25を介してエアフィルタ14に再付着されたりするのを防止し、確実にダストボックス26内に回収することができる。
【0045】
また、開口38は、櫛状部材37の根元部37Bに、その長さ方向に沿って所定の間隔で連結桟部37Cを残し、複数個設けられている。このため、櫛状部材37により回転ブラシ25上から塵埃をダストボックス26内に掻き落とす際、櫛状部材37の回転方向後方に跳ねた塵埃を、その長さ方向に沿う複数個の開口38のいずれかからダストボックス26内に誘導することができる。従って、櫛状部材37の回転方向後方に跳ねた塵埃の略全てを確実にダストボックス26内に誘導し、回収することができるとともに、複数の開口38間に残された連結桟部37Cによって必要な強度を確保できるため、櫛状部材37の機能低下を防止し、塵埃の掻き落とし機能を確実に維持することができる。
【0046】
また、ダストボックス26の櫛状部材37の回転方向後方に、塵埃飛散防止用カバー36を設けているため、櫛状部材37によって回転ブラシ25上から塵埃をダストボックス26内に掻き落とす際、回転方向後方に跳ねた塵埃を、塵埃飛散防止用カバー36によって下方に落とし、それを櫛状部材37の根元部37Cに設けられている複数個の開口38を通してダストボックス26内に誘導し、その内部に回収、蓄積することができる。従って、エアフィルタ14から除去された塵埃のダストボックス26の外部への飛散や落下を防止し、確実にダストボックス26内に回収することができる。
【0047】
さらに、塵埃飛散防止用カバー36は、ダストボックス26に対して着脱自在に組み込まれている。このため、筐体5からダストボックス26を取り外し、内部に回収、蓄積されている塵埃を処理する際、ダストボックス26から塵埃飛散防止用カバー36を取り外すことによって、塵埃飛散防止用カバー36を綺麗に洗浄することができる。また、ダストボックス26と塵埃飛散防止用カバー36とを別体にすることで、それぞれの成形を容易化することができる。従って、塵埃の飛び跳ねにより汚れ易い塵埃飛散防止用カバー36を、簡易に取り外して洗浄メンテナンスすることができるとともに、ダストボックス26および塵埃飛散防止用カバー36の製造型費や製造コストを低減することができる。
【0048】
また、塵埃飛散防止用カバー36の先端部36Cが、回転ブラシ25の外周に接する接線位置まで延在された構成とされているため、櫛状部材37によって回転ブラシ25から塵埃をダストボックス26内に掻き落とす際に、櫛状部材37の回転方向後方に跳ねた塵埃が、回転ブラシ25と飛散防止用カバー36の先端部36Cとの間の隙間からダストボックス26の外部に飛び散るのを防止することができる。従って、塵埃飛散防止用カバー36による塵埃の飛散防止効果を高めることができるとともに、回転ブラシ25が塵埃飛散防止用カバー36と接触することによる回転抵抗の増大を抑制することができる。
【0049】
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態では、壁掛け型の空気調和機1に適用した例について説明したが、これに限らず、他型式の空気調和機にも同様に適用できることは云うまでもない。また、フィルタ清掃機構23は、エアフィルタ14をフィルタ駆動ローラ24により移動しながら、回転ブラシ25で塵埃を掻き取る方式であれば、如何なる構成であってもよい。特に、回転ブラシ25やダストボックス26の配置位置やフィルタ移動経路は様々な態様で変形が可能である。
【0050】
さらに、上記実施形態では、飛散防止用カバー36が、ダストボックス26を構成しているボックス部材(B)35と別体で成形されているが、本発明は、一体成形したものを包含ことは云うまでもない。
【符号の説明】
【0051】
1 空気調和機
14 エアフィルタ
15 室内熱交換器(熱交換器)
19 第1フィルタ移動経路
23 フィルタ清掃機構
24 フィルタ駆動ローラ(フィルタ駆動手段)
25 回転ブラシ
26 ダストボックス
27 第2フィルタ移動経路
29 第3フィルタ移動経路
36 塵埃飛散防止カバー
36C 先端部
37 櫛状部材
37A 櫛部
37B 根元部
37C 連結桟部
38 開口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器の上流側に設けられ、空気中の塵埃を捕集するエアフィルタと、該エアフィルタをフィルタ移動経路に沿って移動させるフィルタ駆動手段と、前記フィルタ移動経路に沿って設けられ、前記エアフィルタで捕集された塵埃を除去するフィルタ清掃機構とが装備されている空気調和機において、
前記フィルタ清掃機構は、前記エアフィルタから塵埃を掻き取る回転ブラシと、該回転ブラシによって掻き取られた塵埃を回収し、蓄積するダストボックスと、該ダストボックス側に設けられ、前記回転ブラシに付着されている塵埃を離脱させ、前記ダストボックス内に掻き落とす櫛状部材と、を備え、
前記櫛状部材には、その櫛部の根元部側に、回転方向後方に跳ねた塵埃を前記ダストボックス内に誘導する開口が設けられていることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記開口は、前記ダストボックスと一体に設けられている前記櫛状部材の前記根元部側に、その長さ方向に沿って所定の間隔で連結桟部を残し、複数個設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記ダストボックスには、前記櫛状部材の回転方向後方に、該櫛状部材から回転方向後方に跳ねた塵埃の飛散防止用カバーが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記塵埃飛散防止用カバーは、前記ダストボックスに対して着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記塵埃飛散防止用カバーの先端部は、前記回転ブラシの外周に接する接線位置まで延在されていることを特徴とする請求項3または4に記載の空気調和機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−154589(P2012−154589A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15587(P2011−15587)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】