説明

空気調和機

【課題】冷房運転時の輻射パネル(輻射熱交換器)の結露や輻射暖房運転時の異音の発生を防止する。
【解決手段】冷媒回路10が、室内熱交換器20が設けられた第1流路12と、第1流路12と並列に接続されていると共に、輻射パネル30が設けられた第2流路13を有している。暖房運転時の回路において第2流路13における輻射パネル30よりも下流側には、室内電動弁23が設けられている。そして、第2流路13において輻射パネル30と室内電動弁23との間に、補助熱交換器37を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内熱交換器及び輻射熱交換器が並列に接続された冷媒回路を備えた空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気調和機として、圧縮機、温風暖房を行うための室内熱交換器、輻射暖房を行うための輻射パネル、減圧機構、及び室外熱交換器を有する冷媒回路を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されている空気調和機の冷媒回路においては、室内熱交換器と輻射パネルとは並列に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−280762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような空気調和機において、暖房運転時における輻射パネルの下流側に、輻射パネルに供給される冷媒の流量を調整するための弁機構を設けることが考えられる。かかる空気調和機では、冷房運転時には弁機構は閉弁され、輻射パネルに冷媒が流れず室内熱交換器のみに冷媒が流れる状態となる。温風暖房運転時には弁機構は閉弁され、輻射パネルに冷媒が流れず室内熱交換器のみに冷媒が流れる状態となる。輻射暖房運転時には弁機構が開弁され、輻射パネル及び室内熱交換器の両方に冷媒が流れる状態となる。
【0005】
上述の冷媒回路において、冷房運転時に、弁機構の故障等により、閉弁されているはずの弁機構から冷媒が漏れた場合には、低温低圧の冷媒が輻射パネルの配管内に流れ込み、輻射パネルに結露が生じる。また、輻射暖房運転時に、輻射パネルにおいて冷媒が完全に液化しない場合がある。このような場合には、ガス冷媒が混ざった状態の冷媒が、輻射パネルの下流側の弁機構を通過する際に異音が生じる。また、ガス冷媒が混ざった状態の冷媒が、輻射パネルの下流側において室内熱交換器からの液冷媒と合流する際に異音が生じる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、冷房運転時の輻射パネル(輻射熱交換器)の結露や輻射暖房運転時の異音の発生を防止できる空気調和機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る空気調和機は、圧縮機、温風暖房を行うための室内熱交換器、輻射暖房を行うための輻射熱交換器、減圧機構および室外熱交換器を有する冷媒回路を備えた空気調和機であって、前記冷媒回路が、減圧機構、室外熱交換器及び圧縮機が順に設けられた主流路と、暖房運転時、前記主流路の前記圧縮機の下流側に設けられた分岐部と前記減圧機構の上流側に設けられた合流部とを接続すると共に、前記室内熱交換器が設けられた第1流路と、前記分岐部と前記合流部とを前記第1流路と並列に接続すると共に、前記輻射熱交換器が設けられた第2流路とを有しており、前記第2流路において前記輻射熱交換器と前記合流部との間に、弁機構が設けられていると共に、前記第2流路において前記輻射熱交換器と前記弁機構との間には、補助熱交換器が設けられている。
【0008】
この空気調和機では、冷房運転時に故障等により弁機構から低温低圧冷媒が漏れた場合には、その冷媒が補助熱交換器に流入し、加熱される。したがって、低温低圧の冷媒が輻射熱交換器に直接流れ込むことがないので、輻射熱交換器の結露を防ぐことができる。また、輻射暖房運転時に、第2流路に流れ込んだ冷媒は、輻射熱交換器に流入して凝縮された後、補助熱交換器に流入する。このとき、冷媒にガス冷媒が混ざっていれば、補助熱交換器において凝縮される。よって、暖房運転時、補助熱交換器よりも下流側の弁機構や合流部に送られる冷媒を完全に液化できる。したがって、液冷媒が弁機構を通過するので異音の発生を防ぐことができる。また、合流部において第1流路の過冷却液と液同士で合流するので、異音の発生を防ぐことができる。
【0009】
第2の発明に係る空気調和機は、第1の発明に係る空気調和機において、前記室内熱交換器が、室内機の内部においてファンと対向するように設けられており、前記輻射熱交換器が、室内機の表面に設けられている。
【0010】
この空気調和機では、室内機の表面に設けられた輻射熱交換器に結露が生じるのを防ぐことができる。
【0011】
第3の発明に係る空気調和機では、第2の発明に係る空気調和機において、前記補助熱交換器が、前記ファンによって発生した空気流が供給されるように設けられている。
【0012】
この空気調和機では、補助熱交換器用のファンを別途設けることなく、室内熱交換器と対向するファンを補助熱交換器用に用いることができる。
【0013】
第4の発明に係る空気調和機では、第3の発明に係る空気調和機において、前記補助熱交換器が、前記室内熱交換器の一部に積層される。
【0014】
この空気調和機では、ファンによって発生した空気流が確実に補助熱交換器に供給されるようにできる。
【発明の効果】
【0015】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0016】
第1の発明では、冷房運転時に故障等により弁機構から低温低圧冷媒が漏れた場合には、その冷媒が補助熱交換器に流入し、加熱される。したがって、低温低圧の冷媒が輻射熱交換器に直接流れ込むことがないので、輻射熱交換器の結露を防ぐことができる。また、輻射暖房運転時に、第2流路に流れ込んだ冷媒は、輻射熱交換器に流入して凝縮された後、補助熱交換器に流入する。このとき、冷媒にガス冷媒が混ざっていれば、補助熱交換器において凝縮される。よって、暖房運転時、補助熱交換器よりも下流側の弁機構や合流部に送られる冷媒を完全に液化できる。したがって、液冷媒が弁機構を通過するので異音の発生を防ぐことができる。また、合流部において第1流路の過冷却液と液同士で合流するので、異音の発生を防ぐことができる。
【0017】
第2の発明では、室内機の表面に設けられた輻射熱交換器に結露が生じるのを防ぐことができる。
【0018】
第3の発明では、補助熱交換器用のファンを別途設けることなく、室内熱交換器と対向するファンを補助熱交換器用に用いることができる。
【0019】
第4の発明では、ファンによって発生した空気流が確実に補助熱交換器に供給されるようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る空気調和機の概略構成を示す回路図であって、冷房運転時と温風暖房運転時の冷媒の流れを示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る空気調和機の概略構成を示す回路図であって、輻射暖房運転時の冷媒の流れを示す図である。
【図3】図1及び図2に示す室内機の斜視図である。
【図4】図3に示す室内機のIV−IV線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る空気調和機1の実施の形態について説明する。
【0022】
<空気調和機1の全体構成>
図1及び図2に示すように、本実施形態の空気調和機1は、室内に設置される室内機2と、室外に設置される室外機6とを備えている。室内機2は、室内ファン21と対向するように設けられた室内熱交換器20と、輻射パネル30と、室内電動弁23と、室内の気温を検出するための室内温度センサ24と、を備えている。また、室外機6は、圧縮機60と、四路切換弁61と、室外熱交換器62と、室外熱交換器62の近傍に配置された室外ファン63と、室外電動弁64(減圧機構)とを備えている。
【0023】
また、空気調和機1は、室内機2と室外機6とを接続する冷媒回路10を備えている。冷媒回路10は、室外電動弁64、室外熱交換器62及び圧縮機60が順に設けられた主流路11を有している。圧縮機60の吸入側配管及び吐出側配管は、四路切換弁61に接続されている。暖房運転時(後で詳述するように、冷媒回路10において図1中実線の矢印で示す方向に冷媒が流れる時)、主流路11の圧縮機60の下流側となる部分に分岐部10aが設けられており、室外電動弁64の上流側となる部分に合流部10bが設けられている。そして、冷媒回路10は、分岐部10aと合流部10bとを接続すると共に、室内熱交換器20が設けられた第1流路12と、分岐部10aと合流部10bとを第1流路12と並列に接続すると共に、輻射パネル30が設けられた第2流路13とをさらに有している。
【0024】
第2流路13における輻射パネル30と合流部10bとの間には、室内電動弁(弁機構)23が設けられている。また、第2流路13における輻射パネル30の両側には、パネル入温度センサ25とパネル出温度センサ26とが付設されている。より具体的には、パネル入温度センサ25は、暖房運転時において、輻射パネル30よりも上流側の配管に設けられている。パネル出温度センサ26は、暖房運転時において、輻射パネル30よりも下流側の配管に設けられている。さらに、輻射パネル30と室内電動弁23との間(より詳細には、パネル出温度センサ26と室内電動弁23との間)には、補助熱交換器37が設けられている。
【0025】
また、冷媒回路10における圧縮機60の吸入側と四路切換弁61との間にはアキュムレータ65が介設されており、冷媒回路10における圧縮機60の吐出側と四路切換弁61との間には、吐出温度センサ66が付設されている。さらに、室外熱交換器62には、室外熱交温度センサ68が付設されている。
【0026】
室内熱交換器20は、冷媒回路10の一部を構成する配管を有しており、室内熱交温度センサ27が付設されている。室内熱交換器20は、室内ファン21の風上側に配置されている。室内熱交換器20との熱交換により加熱または冷却された空気が、室内ファン21によって温風または冷風として室内に吹き出されることで、温風暖房または冷房が行われる。
【0027】
輻射パネル30は、室内機2の表面側に配置されており、冷媒回路10の一部を構成する配管を有している。この配管を流れる冷媒の熱が室内に輻射されることで輻射暖房が行われる。室内電動弁23は、輻射パネル30に供給される冷媒の流量を調整するために設けられている。補助熱交換器37は、冷媒回路10の一部を構成する配管を有しており、室内ファン21の風上側に配置されている。
【0028】
本実施形態の空気調和機1は、冷房運転、温風暖房運転、及び輻射暖房運転を行うことができる。冷房運転は、輻射パネル30に冷媒を流さないで室内熱交換器20に冷媒を流して冷房を行う運転であって、温風暖房運転は、輻射パネル30に冷媒を流さないで室内熱交換器20に冷媒を流して温風暖房を行う運転である。輻射暖房運転は、室内熱交換器20に冷媒を流して温風暖房を行うと共に、輻射パネル30に冷媒を流して輻射暖房を行う運転である。
【0029】
各運転時における冷媒回路10の冷媒の流れについて図1及び図2を用いて説明する。
冷房運転時には、室内電動弁23が閉弁されると共に、四路切換弁61が図1中破線で示す状態に切り換えられる。そのため、図1中破線の矢印で示すように、圧縮機60から吐出された高温高圧冷媒は、四路切換弁61を通って、室外熱交換器62に流入する。そして、室外熱交換器62において凝縮した冷媒は、室外電動弁64で減圧された後、室内熱交換器20に流入する。そして、室内熱交換器20において蒸発した冷媒は、四路切換弁61及びアキュムレータ65を介して、圧縮機60に流入する。
【0030】
なお、冷房運転時には、閉弁された室内電動弁23により、室外電動弁64で減圧された低温低圧冷媒が、第2流路13における室内電動弁23よりも補助熱交換器37側に流入しないようになっている。しかしながら、故障等により室内電動弁23から冷媒が漏れた場合には、補助熱交換器37の配管に低温低圧の冷媒が流入し、加熱される。
【0031】
温風暖房運転時には、室内電動弁23が閉弁されると共に、四路切換弁61が図1中実線で示す状態に切り換えられる。そのため、図1中実線の矢印で示すように、圧縮機60から吐出された高温高圧冷媒は、四路切換弁61を通って、室内熱交換器20に流入する。そして、室内熱交換器20において凝縮した冷媒は、室外電動弁64で減圧された後、室外熱交換器62に流入する。そして、室外熱交換器62において蒸発した冷媒は、四路切換弁61及びアキュムレータ65を介して、圧縮機60に流入する。なお、閉弁された室内電動弁23により、圧縮機60から吐出された冷媒が、第2流路13における室内電動弁23よりも合流部10b側に流れないようになっている。すなわち、第2流路13においては、室内電動弁23よりも上流側に冷媒が溜まった状態となっている。
【0032】
輻射暖房運転時には、室内電動弁23が開弁されると共に、四路切換弁61が図2中実線で示す状態に切り換えられる。そのため、図2中実線の矢印で示すように、圧縮機60から吐出された高温高圧冷媒は、四路切換弁61を通って、第1流路12と第2流路13とに流れ込む。第1流路12に流れ込んだ冷媒は、室内熱交換器20に流入し、凝縮される。一方、第2流路13に流れ込んだ冷媒は、輻射パネル30に流入して凝縮された後、補助熱交換器37に流入する。このとき、冷媒にガス冷媒が混ざっていれば、補助熱交換器37において凝縮される。そして、室内熱交換器20と輻射パネル30及び補助熱交換器37とにおいて凝縮した冷媒は、室外電動弁64で減圧された後、室外熱交換器62に流入する。そして、室外熱交換器62において蒸発した冷媒は、四路切換弁61及びアキュムレータ65を介して、圧縮機60に流入する。
【0033】
<室内機2の構成>
次に、室内機2の構成について説明する。
図3に示すように、本実施形態の室内機2は、全体として直方体形状を有しており、室内の床面近傍に据え付けるものである。本実施形態においては、室内機2は、床面から10cm程度浮かした状態で、壁面に取り付けられている。なお、以下の説明において、室内機2が取り付けられる壁から突出する方向を「前方」と称し、その反対の方向を「後方」と称する。また、図3に示す左右方向を単に「左右方向」と称し、上下方向を単に「上下方向」と称する。
【0034】
図4に示すように、室内機2は、ケーシング4と、ケーシング4内に収容された室内ファン21、室内熱交換器20、補助熱交換器37、吹出口ユニット46、および電装品ユニット47などの内部機器と、前面グリル42とを主に備えている。後で詳述するように、ケーシング4は、その下壁に形成された主吸込口4aと、その前壁に形成された補助吸込口4b、4cとを有している。さらに、ケーシング4の上壁には、吹出口4dが形成されている。室内機2においては、室内ファン21の駆動により、主吸込口4aから床面近傍にある空気を吸い込みつつ、補助吸込口4b、4cからも空気を吸い込む。そして、室内熱交換器20において、吸い込んだ空気に対して加熱または冷却などを行い調和する。その後、調和後の空気を吹出口4dから吹き出し、室内へと返流させる。
【0035】
ケーシング4は、本体フレーム41、吹出口カバー51、輻射パネル30及び開閉パネル52で構成されている。なお、後述するように、吹出口カバー51は前面パネル部51aを有しており、輻射パネル30は輻射板31を有している。吹出口カバー51の前面パネル部51a、輻射パネル30の輻射板31及び開閉パネル52は、ケーシング4の前面において面一となるように配置され、前面パネル5を構成する。図3に示すように、前面パネル5の右上端部、すなわち吹出口カバー51の前面パネル部51aの右端部には、電源ボタン48と、運転状況を示す発光表示部49とが設けられている。
【0036】
本体フレーム41は、壁面に取り付けられるものであり、上述の各種内部機器を支持している。そして、前面グリル42、吹出口カバー51、輻射パネル30及び開閉パネル52は、内部機器を支持している状態の本体フレーム41の前面に取り付けられている。吹出口カバー51は、本体フレーム41の上端部に取り付けられており、その上壁に左右方向に長い矩形状の開口である吹出口4dが形成されている。輻射パネル30は吹出口カバー51の下方に、開閉パネル52は輻射パネル30の下方にそれぞれ取り付けられている。本体フレーム41の下前端と開閉パネル52の下端との間は、左右方向に長い開口である主吸込口4aとなっている。
【0037】
ここで、ケーシング4内に収容される各内部機器について説明する。
室内ファン21は、ケーシング4の高さ方向中央部分のやや上方において、その軸方向が左右方向に沿うように配置されている。室内ファン21は、下前方から空気を吸い込んで、上後方に吹き出すようになっている。
【0038】
室内熱交換器20は、前面パネル5と略平行に配置されており、前面パネル5の背面と対向する前面熱交換器20aと、前面熱交換器20aの下端部近傍から背面に近付くにつれて上方に傾斜する背面熱交換器20bとで構成されている。前面熱交換器20aは、室内ファン21の前方に配置されており、その上半分が室内ファン21と対向している。背面熱交換器20bは、室内ファン21の下方に配置されており、室内ファン21と対向している。すなわち、室内熱交換器20は、全体として略V字の形状を有しており、室内ファン21の前方と下方とを取り囲むように配置されている。
【0039】
補助熱交換器37は、背面熱交換器20bの背面に積層されている。すなわち、室内ファン21によって発生した空気流が、室内熱交換器20だけでなく、補助熱交換器37にも供給されるようになっている。
【0040】
室内熱交換器20及び補助熱交換器37の下方には、左右方向に延在するドレンパン22が配置されている。また、ドレンパン22の下方には、電装品ユニット47が配置されている。
【0041】
吹出口ユニット46は、室内ファン21の上方に配置されており、室内ファン21から吹き出された空気をケーシング4の上壁に形成された吹出口4dへと導くものである。吹出口ユニット46は、吹出口4dの近傍に配置される水平羽根46aと、水平羽根46aの下方に配置される垂直羽根46bとを備えている。水平羽根46aは、吹出口4dから吹き出される空気流の上下方向の風向きを変更すると共に、吹出口4dの開閉を行う。垂直羽根46bは、吹出口4dから吹き出される空気流の左右方向の風向きを変更する。
【0042】
前面グリル42は、上述のように、室内熱交換器20、補助熱交換器37、室内ファン21、吹出口ユニット46及び電装品ユニット47などの内部機器が取り付けられた状態の本体フレーム41を覆うように、本体フレーム41に取り付けられる。より具体的には、前面グリル42は、前面熱交換器20aの上下方向略中央部分から、本体フレーム41の下端までを覆うように、本体フレーム41に取り付けられている。前面グリル42は、フィルタ保持部42aと、主吸込口4aに配置される吸込口グリル42bとを有している。
【0043】
フィルタ保持部42aには、下部フィルタ43と上部フィルタ44とが取り付けられる。図4に示すように、フィルタ保持部42aに保持された下部フィルタ43は、前面熱交換器20aの上下方向略中央部分から下方に延在していると共に、その下端部が後斜め方向に傾斜している。下部フィルタ43の下端は、主吸込口4aの後端縁近傍に位置している。また、上部フィルタ44は、前面熱交換器20aの上下方向略中央部分から上方に延在している。そして、これら下部フィルタ43と上部フィルタ44とによって、前面熱交換器20aと前面パネル5との間の空間が、前後方向に関して分割されている。
【0044】
吹出口カバー51は、吹出口ユニット46を覆っている。そして、上述のように、吹出口カバー51の上壁には吹出口4dが形成されている。また、吹出口カバー51の前面には、前面パネル部51aが設けられている。前面パネル部51aは、左右方向に長い矩形形状を有している。
【0045】
輻射パネル30は、左右に長い略矩形形状を有している。輻射パネル30は、アルミ製の輻射板31と、輻射板31の背面に取り付けられた樹脂製の断熱カバー32とで主に構成されている。輻射板31は、吹出口カバー51の前面パネル部51aの下方に位置している。図4に示すように、輻射板31の背面には、冷媒回路10を構成する配管の一部であるパネル配管36が取り付けられている。
【0046】
開閉パネル52は、輻射パネル30の輻射板31の下方に着脱可能に取り付けられている。開閉パネル52は、左右方向に長い矩形形状を有している。図4に示すように、開閉パネル52の上端の上下方向位置は、前面グリル42の上端とほぼ同じである。上述のように、開閉パネル52の下端は、主吸込口4aの一部を構成している。したがって、開閉パネル52を取り外すことにより、前面グリル42を露出させ、前面グリル42のフィルタ保持部42aに取り付けられている下部フィルタ43及び上部フィルタ44の着脱を行うことができる。
【0047】
<本実施形態の空気調和機1の特徴>
本実施形態の空気調和機1では、冷媒回路10が、室内熱交換器20が設けられた第1流路12と、第1流路12と並列に接続されていると共に、輻射パネル30が設けられた第2流路13とを有している。暖房運転時の回路において第2流路13における輻射パネル30よりも下流側には、室内電動弁23が設けられている。また、第2流路13において輻射パネル30と室内電動弁23との間には、補助熱交換器37が設けられている。
したがって、冷房運転時に故障等により室内電動弁23から低温低圧冷媒が漏れた場合には、その冷媒が補助熱交換器37に流入し、加熱される。したがって、低温低圧の冷媒が輻射パネル30に直接流れ込むことがないので、輻射パネル30の結露を防ぐことができる。また、輻射暖房運転時に、第2流路13に流れ込んだ冷媒は、輻射パネル30に流入して凝縮された後、補助熱交換器37に流入する。このとき、冷媒にガス冷媒が混ざっていれば、補助熱交換器37において凝縮される。よって、暖房運転時、補助熱交換器37よりも下流側の室内電動弁23や合流部10bに送られる冷媒を完全に液化できる。したがって、液冷媒が室内電動弁23を通過するので異音の発生を防ぐことができる。また、合流部10bにおいて第1流路12の過冷却液と液同士で合流するので、異音の発生を防ぐことができる。
【0048】
また、本実施形態の空気調和機1では、室内熱交換器20が室内機2の内部において室内ファン21と対向するように設けられており、輻射パネル30が室内機2の前面に設けられている。したがって、室内機2の前面に設けられた輻射パネル30に結露が生じるのを防ぐことができる。
【0049】
さらに、本実施形態の空気調和機1では、補助熱交換器37が、室内ファン21によって発生した空気流が供給されるように設けられている。したがって、補助熱交換器37用のファンを別途設けることなく、室内熱交換器20と対向する室内ファン21を補助熱交換器37用に用いることができる。
【0050】
加えて、本実施形態の空気調和機1では、補助熱交換器37が、室内熱交換器20の背面熱交換器20bに積層される。したがって、室内ファン21によって発生した空気流が確実に補助熱交換器37に供給されるようにできる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0052】
上述の実施形態では、補助熱交換器37が、室内熱交換器20と対向する室内ファン21によって発生した空気流が供給されるように設けられている場合について説明したが、これには限定されない。室内ファン21の他に、補助熱交換器37に空気流を供給するファンが別途設けられていてもよい。
【0053】
加えて、上述の実施形態では、補助熱交換器37が、室内熱交換器20の背面熱交換器20bに積層されている場合について説明したが、これには限定されない。補助熱交換器37は、室内熱交換器20の前面熱交換器20aに積層されていてもよい。また、補助熱交換器37は、室内熱交換器20と一体に設けられていてもよい。さらに、補助熱交換器37は、室内ファン21によって発生した空気流が供給される位置で、単独で配置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明を利用すれば、冷房運転時の輻射パネル(輻射熱交換器)の結露や輻射暖房運転時の異音の発生を防止できる。
【符号の説明】
【0055】
1 空気調和機
2 室内機
10 冷媒回路
10a 分岐部
10b 合流部
11 主流路
12 第1流路
13 第2流路
20 室内熱交換器
21 室内ファン
23 室内電動弁(弁機構)
30 輻射パネル(輻射熱交換器)
37 補助熱交換器
60 圧縮機
62 室外熱交換器
64 室外電動弁(減圧機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、温風暖房を行うための室内熱交換器、輻射暖房を行うための輻射熱交換器、減圧機構および室外熱交換器を有する冷媒回路を備えた空気調和機であって、
前記冷媒回路が、
減圧機構、室外熱交換器及び圧縮機が順に設けられた主流路と、
暖房運転時、前記主流路の前記圧縮機の下流側に設けられた分岐部と前記減圧機構の上流側に設けられた合流部とを接続すると共に、前記室内熱交換器が設けられた第1流路と、
前記分岐部と前記合流部とを前記第1流路と並列に接続すると共に、前記輻射熱交換器が設けられた第2流路とを有しており、
前記第2流路において前記輻射熱交換器と前記合流部との間に、弁機構が設けられていると共に、
前記第2流路において前記輻射熱交換器と前記弁機構との間には、補助熱交換器が設けられていることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記室内熱交換器が、室内機の内部においてファンと対向するように設けられており、
前記輻射熱交換器が、室内機の表面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記補助熱交換器が、前記ファンによって発生した空気流が供給されるように設けられていることを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記補助熱交換器が、前記室内熱交換器の一部に積層されることを特徴とする請求項3に記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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