説明

空気調和機

【課題】設置する際におけるレイアウト上の柔軟性を向上させることが可能な空気調和機を得る。
【解決手段】本体ケース10を備え、本体ケース10が載置面上に載置された状態で使用される空気調和機100であって、本体ケース10は、吸込口1を有するケース部材11と、吸込口2を有するケース部材12と、吹出口7を有するケース部材17と、を含み、ケース部材11は、本体ケース10の内部を挟んでケース部材17の反対側に位置し、ケース部材12は、ケース部材11とケース部材17との間に位置し、吸込口1および吸込口2は、互いに独立した開口から形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体ケースを備える空気調和機に関し、特に、本体ケースが載置面上に載置された状態で使用される空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2010−080425号公報(特許文献1)に開示されるように、本体ケースを備え、本体ケースが載置面上に載置された状態で使用される空気調和機が知られる。一般的な空気調和機は、吸込口から吸い込んだ空気を吹出口から吹き出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−080425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の空気調和機は、載置面上に載置される際の姿勢が1つに限られていたため、空気調和機を室内等に設置する際におけるレイアウト上の柔軟性が低かった。
【0005】
本発明は、設置する際におけるレイアウト上の柔軟性を向上させることが可能な空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく空気調和機は、本体ケースを備え、上記本体ケースが載置面上に載置された状態で使用される空気調和機であって、上記本体ケースは、第1吸込口を有する第1領域と、第2吸込口を有する第2領域と、吹出口を有する吹出口形成領域と、を含み、上記第1領域は、上記本体ケースの内部を挟んで上記吹出口形成領域の反対側に位置し、上記第2領域は、上記第1領域と上記吹出口形成領域との間に位置し、上記第1吸込口および上記第2吸込口は、互いに独立した開口から形成される。
【0007】
好ましくは、上記本体ケースは、隙間形成部を含み、上記隙間形成部と上記載置面とが互いに対向するように上記本体ケースが上記載置面上に載置された状態においては、上記隙間形成部と上記載置面との間に隙間が形成される。
【0008】
好ましくは、上記第2領域は、第3吸込口をさらに有し、上記第3吸込口は、上記第1吸込口および上記第2吸込口とは互いに独立した開口から形成される。
【0009】
好ましくは、上記吹出口形成領域と上記第2領域との間には、上記吹出口形成領域と上記第2領域とが交差する領域における全周にわたって環状に形成される上記第1面取り部が設けられ、上記第1領域と上記第2領域との間には、上記第1領域と上記第2領域とが交差する領域における全周にわたって環状に形成される第2面取り部が設けられる。
【0010】
好ましくは、上記吹出口形成領域と上記第2領域とが交差する領域には、第1面取り部が設けられ、上記第1面取り部上に、電源スイッチが設けられる。
【0011】
好ましくは、上記本体ケースの内部には、フィルターが着脱可能に取り付けられ、上記第1領域には、フィルター取付用開口部が設けられ、上記フィルターは、上記フィルター取付用開口部を通して着脱される。
【0012】
好ましくは、上記吹出口には、揺動可能に支持された第1ルーバーと、上記第1ルーバーよりも上記本体ケースの内部側において揺動可能に支持された第2ルーバーとが設けられ、上記第1ルーバーを上記第2ルーバー側に投影する方向における投影視においては、上記第1ルーバーの揺動軸と上記第2ルーバーの揺動軸とは互いに直交しており、上記第2ルーバーは、上記本体ケースの内部側から上記第1ルーバー側に向かう方向において折れ曲がるようにまたは湾曲するように形成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、設置する際におけるレイアウト上の柔軟性を向上させることが可能な空気調和機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態における空気調和機を示す斜視図である。
【図2】実施の形態における空気調和機を示す正面図である。
【図3】実施の形態における空気調和機を示す側面図である。
【図4】実施の形態における空気調和機を示す背面図である。
【図5】実施の形態における空気調和機を示す平面図である。
【図6】実施の形態における空気調和機を示す底面図である。
【図7】実施の形態における空気調和機の一部を示す第1斜視図である。
【図8】実施の形態における空気調和機の一部を示す第2斜視図である。
【図9】実施の形態における空気調和機に備えられるフィルター、構造体51、およびガイド部等を示す斜視図である。
【図10】実施の形態における空気調和機に備えられるフィルターを示す斜視図である。
【図11】図10中におけるXI−XI線に沿った矢視断面図である。
【図12】実施の形態における空気調和機に備えられるフィルターを本体ケースの内部から取り外す際の様子を示す断面図である。
【図13】図9中のXIII−XIII線に沿った矢視断面図である。
【図14】実施の形態における空気調和機の内部を示す斜視図である。
【図15】実施の形態における空気調和機が動作している様子を示す斜視図である。
【図16】実施の形態における空気調和機の使用態様の第1例を示す側面図である。
【図17】実施の形態における空気調和機の使用態様の第2例を示す側面図である。
【図18】実施の形態における空気調和機の使用態様の第3例を示す側面図である。
【図19】実施の形態における空気調和機の使用態様の第4例を示す正面図である。
【図20】実施の形態における空気調和機の使用態様の第4例を示す斜視図である。
【図21】実施の形態における空気調和機の使用態様の第5例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に基づいた実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。実施の形態の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0016】
(空気調和機100)
図1〜図6を参照して、本実施の形態における空気調和機100の全体構成について説明する。図1は、空気調和機100を示す斜視図である。図2は、空気調和機100を示す正面図である。図3は、空気調和機100を示す側面図である。図4は、空気調和機100を示す背面図である。図5は、空気調和機100を示す平面図である。図6は、空気調和機100を示す底面図である。
【0017】
図1〜図6に示すように、空気調和機100は、本体ケース10を備える。本体ケース10は、全体としては角部が丸みを帯びた略直方体状に形成される。本体ケース10の内部には、ファン(図14における多翼ファン60参照)が配置される。本体ケース10は、互いに組み合わされるケース部材15およびケース部材16と、ケース部材15およびケース部材16同士が互いに組み合わされることによって形成された開口を塞ぐように設けられるケース部材11,12,13,17と、を含む。
【0018】
ケース部材11(本発明における第1領域に相当する)は、ケース部材11を下にして本体ケース10を載置面上に載置した状態においては、本体ケース10の底面側に位置する。ケース部材11は、吸込口1(本発明における第1吸込口に相当する)(図1および図6参照)を有する。
【0019】
ケース部材17(本発明における吹出口形成領域に相当する)は、ケース部材11を下にして本体ケース10を載置面上に載置した状態においては、本体ケース10の上面側に位置する。ケース部材17は、吹出口7(図1および図5参照)を有する。ケース部材11は、本体ケース10の内部を挟んでケース部材17の反対側に位置している。
【0020】
ケース部材12は、ケース部材11を下にして本体ケース10を載置面上に載置した状態においては、本体ケース10の正面側に位置する(図2参照)。ケース部材12のケース部材16寄りの部分に、吸込口2(本発明における第2吸込口に相当する)が設けられる。ケース部材12のケース部材17寄りの部分は、ケース部材15,16によって形成された開口に対して、本体ケース10の内部に入り込むように湾曲している。この湾曲している部分によって、本体ケース10を持ち上げる際に利用可能な把持部6(図8も参照)が凹状に形成される。
【0021】
ケース部材13は、ケース部材11を下にして本体ケース10を載置面上に載置した状態においては、本体ケース10の背面側(本体ケース10の正面とは反対側)に位置する(図4参照)。ケース部材13のケース部材16寄りの部分に、吸込口3(本発明における第3吸込口に相当する)が設けられる。吸込口1〜3は、互いに独立した開口から形成される。空気調和機100において、吸込口3は必要に応じて設けられるとよい。
【0022】
図4に示すように、ケース部材13のケース部材17寄りの部分も、ケース部材15,16によって形成された開口に対して、本体ケース10の内部に入り込むように湾曲している。この湾曲している部分によって、本体ケース10を持ち上げる際に利用可能な把持部6が凹状に形成される。
【0023】
ケース部材15およびケース部材16は、略同形状を有するとともに、本体ケース10の両側面側に位置する。ケース部材11とケース部材17との間に位置するケース部材12,13,15,16は、本発明における第2領域に相当している。
【0024】
図2〜図4を参照して、ケース部材15は、側面視においては、角部に丸みが付けられた正方形状を呈している。ケース部材15の側面側における表面には、4つの突起15Tが設けられる。
【0025】
ケース部材15の側面視における各辺に相当する部分には、凹状に湾曲する隙間形成部15K(図3参照)が設けられるとよい。詳細は図16〜図18を参照して後述されるが、隙間形成部15Kがケース部材15に設けられる場合、隙間形成部15Kと載置面70(図16〜図18参照)とが互いに対向するように本体ケース10が載置面70上に載置された状態においては、隙間形成部15Kと載置面70との間に隙間S(図16〜図18参照)が形成される。
【0026】
ケース部材15には、ケース部材12とケース部材17とが互いに交差する領域を含むように、面取り部15Jが設けられる。本実施の形態におけるケース部材15には、ケース部材12,13とケース部材17とが互いに交差する領域をも含むように、平面視U字状の面取り部15Jが設けられる(図5参照)。面取り部15Jとしては、一般的な面取り状に形成されていてもよく、丸みを帯びたいわゆるR面取り状に形成されていてもよい(図1参照)。
【0027】
ケース部材16は、上述のとおり、ケース部材15と略同様に形成される。ケース部材12,13とケース部材17とが交差する領域を含むように、平面視U字状の面取り部16Jが設けられる(図5参照)。面取り部16Jとしても、一般的な面取り状に形成されていてもよく、丸みを帯びたいわゆるR面取り状に形成されていてもよい。面取り部16Jは、ケース部材12とケース部材17とが交差する領域のみに設けられていてもよい。
【0028】
面取り部15Jおよび面取り部16Jは、全体として平面視環状を呈しており、本発明における第1面取り部に相当している。面取り部15J,16J上におけるケース部材12寄りの部分(ケース部材15およびケース部材16の間の部分)に、電源スイッチ5が設けられる。
【0029】
ケース部材15,16においては、面取り部15J,16Jと同様に、ケース部材12,13,15,16(本発明における第2領域に相当)とケース部材11とが交差する領域に面取り部15G,16Gもそれぞれ設けられる。面取り部15G,16Gは、全体として平面視環状を呈しており、本発明における第2面取り部に相当している。面取り部15G,16Gも、一般的な面取り状に形成されていてもよく、丸みを帯びたいわゆるR面取り状に形成されていてもよい。
【0030】
図5を参照して、吹出口7には、揺動軸21Gによって揺動可能に支持された2つのルーバー21(本発明における第1ルーバーに相当)と、ルーバー21よりも本体ケース10の内部側において揺動軸22Gによって揺動可能に支持された4つのルーバー22(本発明における第2ルーバーに相当)とが、いわゆる2段式に設けられる。揺動軸21Gおよび揺動軸22Gは、ルーバー21をルーバー22側に投影する方向における投影視においては、互いに対して直交している。
【0031】
ルーバー21は、たとえば平板状の部材から形成される(図14参照)。ルーバー21の本体ケース10の内部とは反対側の端面は、湾曲するように形成される。
【0032】
ルーバー22は、本体ケース10の内部側からルーバー21側に向かう方向において折れ曲がるように形成される。より具体的には、ケース部材12寄りに配置された2枚のルーバー22は、本体ケース10の内部側からルーバー21側に向かうにつれ、徐々にケース部材12側に近づくように鈍角に折れ曲がる(図14参照)。ケース部材13寄りに配置された2枚のルーバー22は、本体ケース10の内部側からルーバー21側に向かうにつれ、徐々にケース部材13側に近づくように鈍角に折れ曲がる(図14参照)。
【0033】
これらのルーバー22は、本体ケース10の内部側からルーバー21側に向かう方向において、徐々に湾曲するように形成されていてもよい。また、ルーバー22の形状に沿うように、吹出口7を形成するケース部材17の内周面も、徐々に外側に向かって広がるように形成するとよい。当該構成によれば、本体ケース10の内部から吹出口7を通して吹き出される空気が、ルーバー22に衝突することによって生じるエネルギー損失を低減することが可能となる。
【0034】
図6を参照して、吸込口1が設けられるケース部材11には、上述の吸込口1に加えて、円柱状に形成された4つの支持片11Tと、フィルター30を本体ケース10の内部に着脱可能に取り付けるためのフィルター取付用開口部11Hとが設けられる。本実施の形態においては、吸込口1およびフィルター取付用開口部11Hは、互いに一体的に形成されている。換言すると、吸込口1およびフィルター取付用開口部11Hは、1つの開口から形成されている。
【0035】
(フィルター30)
図7は、空気調和機100からケース部材12、ケース部材16、およびケース部材11を取り外した状態を示す斜視図である。図7においては、ケース部材12に設けられる吸込口2は、説明の便宜上、点線にて仮想的に図示されている。図8は、空気調和機100からケース部材16およびケース部材11を取り外した状態を示す斜視図である。図8においては、ケース部材11に設けられる吸込口1は、説明の便宜上、点線にて仮想的に図示されている。
【0036】
図7および図8を参照して、本体ケース10の内部には、構造体51に対して固定具53によって取り付けられた枠状のガイド部52が設けられる。フィルター30は、フィルター30の両側を案内するガイド部52に対して滑りながら(スライドしつつ)、本体ケース10の内部に着脱可能に取り付けられる。
【0037】
図9は、フィルター30、構造体51、ガイド部52、および固定具53を示す斜視図である。上述のとおり、フィルター30は、フィルター取付用開口部11H(図6参照)を通して、本体ケース10の内部に着脱可能に取り付けられる(図9における矢印AR30参照)。フィルター取付用開口部11Hおよび吸込口1から形成される1つの開口のうち、フィルター30(より具体的には、図10における垂下部30T)が配置された部分を除く部分が、吸込口1を形成する。
【0038】
図7〜図9を参照して、本体ケース10に設けられる吸込口1〜3は、フィルター30に設けられる集塵部39の表面(図11における表面39A)にそれぞれ連通している。吸込口1(図6および図8参照)を通して吸い込まれた空気は、矢印AR1(図9参照)に示すように、集塵部39の表面に到達し、集塵部39を通過して本体ケース10の内部にさらに吸い込まれる。
【0039】
吸込口2(図7および図8参照)を通して吸い込まれた空気は、矢印AR2(図9参照)に示すように、集塵部39の表面に到達し、集塵部39を通過して本体ケース10の内部にさらに吸い込まれる。吸込口3(図7および図8参照)を通して吸い込まれた空気は、矢印AR3(図9参照)に示すように、集塵部39の表面に到達し、集塵部39を通過して本体ケース10の内部にさらに吸い込まれる。
【0040】
図10は、フィルター30を示す斜視図である。図11は、図10中におけるXI−XI線に沿った矢視断面図である。図12は、フィルター30を本体ケース10の内部から取り外す際の様子を示す断面図である。
【0041】
図10〜図12(ならびに図7〜図9)に示すように、フィルター30は、集塵部39と、ベース部30Bと、第1立壁部33と、第2立壁部31(図10および図12参照)と、側壁部32,34(図10および図11参照)と、を備える。第1立壁部33と、第2立壁部31と、側壁部32,34とは、ベース部30Bの外周部から起立するように設けられる。
【0042】
ベース部30Bは、後述する4つの集塵部39が配置される部分に対応するそれぞれの部位に、開口部30H(図11および図12参照)を1つずつ有する。開口部30Hは、集塵部39によって覆われる。集塵部39をその表面39A側から裏面39B側に向かって通過した空気は、開口部30H、および構造体51に設けられた開口部51H(図12参照)を通って、本体ケース10の内部に向かってさらに流れる。
【0043】
第1立壁部33、第2立壁部31(図10参照)、および側壁部32,34は、ベース部30Bの外周部において、全体として矩形の枠状に形成される。第1立壁部33、第2立壁部31(図10参照)、および側壁部32,34は、4つの集塵部39の周囲を取り囲むように設けられる。
【0044】
第1立壁部33は、フィルター30が本体ケース10の内部に取り付けられた状態では、集塵部39を挟んでフィルター取付用開口部11H(図6参照)の反対側に位置する。第2立壁部31は、フィルター30が本体ケース10の内部に取り付けられた状態では、集塵部39よりもフィルター取付用開口部11H側に位置する。フィルター30が本体ケース10の内部に取り付けられた状態では、第1立壁部33は、第2立壁部31に比べて本体ケース10の内部寄りに位置する。
【0045】
側壁部32,34は、第1立壁部33および第2立壁部31の両端部同士を接続する。側壁部32,34は、(次述するリブ36とともに)集塵部39を両外側から挟み込むように設けられる。ベース部30Bの第2立壁部31が設けられている部分よりも、さらにフィルター取付用開口部11H側に位置する部分には、ベース部30Bから折れ曲がるようにして、垂下部30Tが設けられる。上述のとおり、フィルター取付用開口部11H(図6参照)および吸込口1(図6参照)から形成される1つの開口のうち、フィルター30(図10における垂下部30T)が配置された部分を除く部分が、吸込口1を形成する。
【0046】
図10に示すように、側壁部32および側壁部34との間には、第1立壁部33および第2立壁部31に対して平行な方向に延在するするリブ35が設けられる。第1立壁部33および第2立壁部31との間には、側壁部32および側壁部34に対して平行な方向に延在するリブ36が設けられる。第1立壁部33、第2立壁部31、側壁部32、および側壁部34によって囲まれるとともに、リブ35およびリブ36によって区切られた4つの部分に、集塵部39が一つずつ取り付けられる。
【0047】
図11に示すように、ベース部30Bの側壁部32が設けられている部分の外側(集塵部39の反対側)には、集塵部39とは反対側に向かって延在する延在部30Cが設けられる。延在部30Cの延在方向における先端に連続するとともに、延在部30Cから起立するように、起立部37が設けられる。起立部37の上面の長手方向における一部には、突起37T(図10参照)が設けられる。フィルター30が本体ケース10に取り付けられた状態においては、突起37Tは、ガイド部52(図9参照)における開口部37Q(図9参照)に嵌合する。
【0048】
同様に、ベース部30Bの側壁部34が設けられている部分の外側(集塵部39の反対側)には、集塵部39とは反対側に向かって延在する延在部30Dが設けられる。延在部30Dの延在方向における先端に連続するとともに、延在部30Dから起立するように、起立部38が設けられる。起立部38の上面の長手方向における一部には、突起38T(図10参照)が設けられる。フィルター30が本体ケース10に取り付けられた状態においては、突起38Tは、ガイド部52(図9参照)における開口部38Q(図9参照)に嵌合する。
【0049】
フィルター30内にフィルター取付用開口部11Hを通して挿入されたフィルター30は、上述の突起37T(図10参照)および開口部37Q(図9参照)同士の嵌合、ならびに、突起38T(図10参照)および開口部38Q(図9参照)同士の嵌合によって、本体ケース10に対して位置決めされる。
【0050】
ここで、開口部30Hから集塵部39の表面39A側に向かう方向(図11紙面上下方向)における第1立壁部33の高さ33H(第1立壁部33の最小高さ)は、同方向における集塵部39の高さ39H(集塵部39の最大高さ)よりも高く設けられる。
【0051】
図12を参照して、当該構成によれば、フィルター30をフィルター取付用開口部11Hを通して本体ケース10の内部から取り外す際(図12中の矢印AR30参照)に、集塵部39の表面に堆積したほこりGが本体ケース10の内部にほこりGの自重によって落下することは抑制される。また、吸込口1およびフィルター取付用開口部11Hを形成するケース部材11の内周面部1YなどにほこりGが接触することによって、ほこりGが本体ケース10の内部に落下してしまうことも抑制される。
【0052】
空気調和機100のように、フィルター取付用開口部11Hと吸込口1とが一体に形成される場合には、開口部30Hから集塵部39の表面39A側に向かう方向における第2立壁部31の高さ31Hは、同方向における第1立壁部33の高さ33Hよりも低く設けられるとよい。
【0053】
当該構成によれば、吸込口1から集塵部39の表面39Aまでの流路面積を多く確保することが可能となり、より多くの空気を、吸込口1を通してフィルター30の内部に吸い込むことができる。また、第2立壁部31の高さ31Hを低くしたとしても、集塵部39に堆積されたほこりGがフィルター30の内部に落下することにはほとんど影響しない。
【0054】
図11を再び参照して、開口部30Hから集塵部39の表面39Aに向かう方向における側壁部32の高さ32H(側壁部32の最小高さ)も、同方向における集塵部39の高さ39H(集塵部39の最大高さ)よりも高く設けられるとよい。同様に、開口部30Hから集塵部39の表面39Aに向かう方向における側壁部34の高さ34H(側壁部34の最小高さ)も、同方向における集塵部39の高さ39H(集塵部39の最大高さ)よりも高く設けられるとよい。
【0055】
当該構成によっても、側壁部32,34が障壁として機能することによって、フィルター30をフィルター取付用開口部11Hを通して本体ケース10の内部から取り外す際(図12中の矢印AR30参照)に、集塵部39の表面に堆積したほこりGが本体ケース10の内部に落下することは効果的に抑制されることができる。
【0056】
図13は、図9中のXIII−XIII線に沿った矢視断面図である。図13に示すように、ガイド部52は、固定具53によって構造体51に対して取り付けられるベース部52Bを有する。
【0057】
吸込口2(図7参照)側においては、ベース部52Bのフィルター30寄りの部分に、起立部52Pと、起立部52Pの起立方向の先端部からフィルター30側に向かって延設された延在部52Qと、延在部52Qの延設方向の先端部から折れ曲がるように設けられた垂下部52Rと、が設けられる。
【0058】
起立部52P、延在部52Q、および垂下部52Rは、フィルター30の側方に設けられた起立部38に沿うように折れ曲がるとともに、垂下部52Rは、フィルター30の延在部30Dに向かって延びている。構造体51の表面にも、起立部51Sが設けられ、起立部52P、延在部52Q、および垂下部52Rは、構造体51の起立部51Sおよびフィルター30の起立部38を挟み込むようにして、ガイドレール部として機能する。当該ガイドレール部においては、構造体51、ガイド部52およびフィルター30同士が互いに噛み合うように接触するため、吸込口2を通して吸い込まれた空気(矢印AR2参照)は、漏れなく集塵部39に通流されることができる。
【0059】
同様に、吸込口3(図7参照)側においても、ベース部52Bのフィルター30寄りの部分に、起立部52Sと、起立部52Sの起立方向の先端部からフィルター30側に向かって延設された延在部52Tと、延在部52Tの延設方向の先端部から折れ曲がるように設けられた垂下部52Uと、が設けられる。
【0060】
起立部52S、延在部52T、および垂下部52Uは、フィルター30の側方に設けられた起立部37に沿うように折れ曲がるとともに、垂下部52Uは、フィルター30の延在部30Cに向かって延びている。構造体51の表面にも、起立部51Tが設けられ、起立部52S、延在部52T、および垂下部52Uは、構造体51の起立部51Tおよびフィルター30の起立部37を挟み込むようにして、ガイドレール部として機能する。当該ガイドレール部においても、構造体51、ガイド部52およびフィルター30同士が互いに噛み合うように接触するため、吸込口3を通して吸い込まれた空気(矢印AR3参照)は、漏れなく集塵部39に通流されることができる。
【0061】
図14および図15を参照して、以上のように構成される空気調和機100においては、上述のとおり、吸込口1〜3からフィルター30の集塵部39を通して、本体ケース10の内部に空気が吸い込まれる。本体ケース10の内部に吸い込まれた空気は、フィルター30の集塵部39と対向するように配置された多翼ファン60(シロッコファン)に取り込まれ、流路形成部材61に沿って吹出口7側へと通流される。
【0062】
多翼ファン60からの空気は、ルーバー21およびルーバー22によって所定の方向へガイドされ、吹出口7から本体ケース10の外部へと吹き出される(図15中における矢印AR7参照)。流路形成部材61によって形成される空気の流通路の途中には、イオン発生器62(図14参照)が設けられていてもよい。この場合、空気調和機100はイオン発生装置として機能することが可能となる。
【0063】
図16を参照して、空気調和機100は、吸込口1〜3を有する。吸込口1が載置面70と対向するように本体ケース10が載置面70上に載置された状態であっても、吸込口2,3を通して本体ケース10の内部に空気を取り込むことができる。
【0064】
吸込口1が載置面70と対向するように本体ケース10が載置面70上に載置された状態においては、ケース部材12,13,15,16,17が、外観として視認可能となる。フィルター30およびフィルター取付用開口部11Hは、外部からはほとんど視認されないため、空気調和機100の意匠性が向上する。空気調和機100においては、ケース部材15およびケース部材16に、フィルター30を着脱するための開口(切欠)などが設けられないため、製造上の都合もよい。
【0065】
空気調和機100においては、ケース部材11側にフィルター取付用開口部11Hが設けられる。フィルター取付用開口部11Hは、吹出口7とは本体ケース10の内部を挟んで反対側に位置する。フィルター30および多翼ファン60が、本体ケース10の内部においてケース部材11寄りに配置されることによって、多翼ファン60と吹出口7との間の流通路を長く確保することが可能となる。結果として、空気調和機100によれば送風性能を向上させることができる。多翼ファン60をケース部材11側に配置することによって、フィルター30の大きさを小さくすることも可能である。
【0066】
上述のとおり、ケース部材11には隙間形成部15Kが設けられる。隙間形成部15Kと載置面70とが互いに対向するように本体ケース10が載置面70上に載置された状態においては、隙間形成部15Kと載置面70との間に隙間Sが形成される。
【0067】
ケース部材11が載置面70と対向するように本体ケース10が載置面70の上に載置された場合であっても、隙間Sが形成されていることによって、隙間Sを通して吸込口1内に空気を取り込むことが可能となる(矢印AR1参照)。
【0068】
隙間形成部15Kをケース部材11側に形成するためには、支持片11Tをケース部材11に設けてもよいし、ケース部材15(およびケース部材16)の端部15Lから、ケース部材15の側面視における各辺に相当する部分を凹状に湾曲するように形成してもよい。
【0069】
図17を参照して、空気調和機100は、ケース部材12側を下にして載置面70上に載置されることもできる。吸込口2が載置面70と対向するように本体ケース10が載置面70上に載置された状態であっても、吸込口1,3を通して本体ケース10の内部に空気を取り込むことができる。
【0070】
ケース部材12側においても、本体ケース10に隙間形成部15Kが設けられるとよい。ケース部材12が載置面70と対向するように本体ケース10が載置面70の上に載置された場合であっても、隙間Sが形成されていることによって、隙間Sを通して吸込口2内に空気を取り込むことが可能となる(矢印AR2参照)。
【0071】
電源スイッチ5は、面取り部15J,16J上におけるケース部材12寄りの部分(ケース部材15およびケース部材16の間の部分)に設けられる。ケース部材12側を下にして本体ケース10が載置面70上に載置される場合であっても、ケース部材17側などから手指を伸ばして、電源スイッチ5は操作されることが可能である。
【0072】
図18を参照して、空気調和機100は、ケース部材13側を下にして載置面70上に載置されることもできる。吸込口3が載置面70と対向するように本体ケース10が載置面70上に載置された状態であっても、吸込口1,2を通して本体ケース10の内部に空気を取り込むことができる。
【0073】
ケース部材13側においても、本体ケース10に隙間形成部15Kが設けられるとよい。ケース部材13が載置面70と対向するように本体ケース10が載置面70の上に載置された場合であっても、隙間Sが形成されていることによって、隙間Sを通して吸込口3内に空気を取り込むことが可能となる(矢印AR3参照)。
【0074】
図19および図20を参照して、空気調和機100においては、ケース部材11側を下にして本体ケース10が載置面70上に載置されるとともに、ケース部材16と壁面71とが互いに接触するように配置される場合がある。
【0075】
上述のとおり、ケース部材16のケース部材11寄りの部分には面取り部16Gが設けられる。本体ケース10のケース部材16が壁面71と接触するように配置された場合であっても、空気は、ケース部材12側から面取り部16Gと載置面70および壁面71との間に形成された隙間を通して、吸込口3(図20参照)へと流れることができる(矢印AR3参照)。ケース部材13側に壁などが設けられる場合であっても、吸込口3は、面取り部16Gを通過した空気を取り込むことが可能となる。
【0076】
図21を参照して、空気調和機100においては、ケース部材15側を下にして本体ケース10が載置面70上に載置されるとともに、ケース部材16の上に載置物72が置かれる場合がある。
【0077】
この場合であっても、上述(図20)と同様に、ケース部材15,16のケース部材13寄りの部分に設けられた面取り部15G,16Gを通して、空気は、吸込口1または吸込口3に取り込まれることが可能となる(矢印AR1および矢印AR3参照)。
【0078】
以上説明したとおり、空気調和機100によれば、種々の設置態様を選択することができる。空気調和機100は、レイアウト上の制約を受けにくく、設置する際における柔軟性を向上させることが可能となる。
【0079】
以上、本発明に基づいた実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。たとえば、吸込口2および吸込口3は、いずれか一方のみが本体ケース10に設けられていてもよい。隙間形成部15K、面取り部15G,15J,16G,16J、電源スイッチ5、フィルター30、フィルター取付用開口部11H、ルーバー21およびルーバー22も、必要に応じて設けられるとよい。
【0080】
したがって、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
1,2,3 吸込口、1Y 内周面部、5 電源スイッチ、6 把持部、7 吹出口、10 本体ケース、11,12,13,15,16,17 ケース部材、11H フィルター取付用開口部、11T 支持片、15G,15J,16G,16J 面取り部、15K 隙間形成部、15L 端部、15T,37T,38T 突起、21,22 ルーバー、21G,22G 揺動軸、30 フィルター、30B,52B ベース部、30C,30D,52Q,52T 延在部、30H,37Q,38Q,51H 開口部、30T,52R,52U 垂下部、31 第2立壁部、31H,32H,33H,34H,39H 高さ、32,34 側壁部、33 第1立壁部、35,36 リブ、37,38,51S,51T,52P,52S 起立部、39 集塵部、39A 表面、39B 裏面、51 構造体、52 ガイド部、53 固定具、60 多翼ファン、61 流路形成部材、62 イオン発生器、70 載置面、71 壁面、72 載置物、100 空気調和機、AR1,AR2,AR3,AR7,AR30 矢印、G ほこり、S 隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースを備え、前記本体ケースが載置面上に載置された状態で使用される空気調和機であって、
前記本体ケースは、
第1吸込口を有する第1領域と、
第2吸込口を有する第2領域と、
吹出口を有する吹出口形成領域と、を含み、
前記第1領域は、前記本体ケースの内部を挟んで前記吹出口形成領域の反対側に位置し、
前記第2領域は、前記第1領域と前記吹出口形成領域との間に位置し、
前記第1吸込口および前記第2吸込口は、互いに独立した開口から形成される、
空気調和機。
【請求項2】
前記本体ケースは、隙間形成部を含み、
前記隙間形成部と前記載置面とが互いに対向するように前記本体ケースが前記載置面上に載置された状態においては、前記隙間形成部と前記載置面との間に隙間が形成される、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記第2領域は、第3吸込口をさらに有し、
前記第3吸込口は、前記第1吸込口および前記第2吸込口とは互いに独立した開口から形成される、
請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記吹出口形成領域と前記第2領域との間には、前記吹出口形成領域と前記第2領域とが交差する領域における全周にわたって環状に形成される第1面取り部が設けられ、
前記第1領域と前記第2領域との間には、前記第1領域と前記第2領域とが交差する領域における全周にわたって環状に形成される第2面取り部が設けられる、
請求項1から3のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項5】
前記吹出口形成領域と前記第2領域とが交差する領域には、第1面取り部が設けられ、
前記第1面取り部上に、電源スイッチが設けられる、
請求項1から3のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項6】
前記本体ケースの内部には、フィルターが着脱可能に取り付けられ、
前記第1領域には、フィルター取付用開口部が設けられ、
前記フィルターは、前記フィルター取付用開口部を通して着脱される、
請求項1から5のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項7】
前記吹出口には、揺動可能に支持された第1ルーバーと、前記第1ルーバーよりも前記本体ケースの内部側において揺動可能に支持された第2ルーバーとが設けられ、
前記第1ルーバーを前記第2ルーバー側に投影する方向における投影視においては、前記第1ルーバーの揺動軸と前記第2ルーバーの揺動軸とは互いに直交しており、
前記第2ルーバーは、前記本体ケースの内部側から前記第1ルーバー側に向かう方向において折れ曲がるようにまたは湾曲するように形成される、
請求項1から6のいずれかに記載の空気調和機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate