空気調和機
【課題】冷房運転を継続したままでも内部でのカビの発生を長い期間にわたって防止する。
【解決手段】熱交換器5と、空気流を生成するファン7と、活性種を含んだ空気がファン7に直接到達する位置に設けられた活性種生成装置15とを有する空気調和機1である。
【解決手段】熱交換器5と、空気流を生成するファン7と、活性種を含んだ空気がファン7に直接到達する位置に設けられた活性種生成装置15とを有する空気調和機1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性種生成装置を備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から使用されているエアコン(エアーコンディショナ)200は、図17で示すように、筐体202と熱交換器204とファン206とを備えている。
【0003】
そして、ファン206を稼動することにより、矢印で示すような空気の流れが発生するようになっている。すなわち、筐体202の空気導入口208から筐体202内に導入された空気が、プレフィルタ210、熱交換器204、ファン206を通り、筐体202の空気吹き出し口212から筐体202の外に吹き出すようになっている。
【0004】
夏場の冷房に使用しているときなどには、エアコン200内(空気の流れ方向において熱交換器204の下流側の空間214)に結露水が発生し、高湿度になっている。そして、下流側の空間214は、カビ等の微生物にとって好環境になっており、カビ等の微生物が繁殖しやすくなっている。なお、この繁殖は、特にファン206のところで顕著なのである。
【0005】
そこで、従来から様々なカビ対策がなされている。従来からなされている主なカビ対策を次に示す。
【0006】
1つ目のカビ対策の手法として、カビが発生しやすい部位に抗カビ剤を設ける手法が採用されている。すなわち、カビが発生しやすい部位がたとえば合成樹脂で構成されている場合には、上記合成樹脂に抗カビ剤を練り込みまたは含浸させている。
【0007】
2つ目のカビ対策の手法として、冷房運転中に冷房運転を一時中断して通風のみを行い、または、冷房運転後に所定の時間通風のみを行い、エアコン内の湿度を下げて(乾燥させて)結露を防止する手法が採用されている。
【0008】
3つ目のカビ対策の手法として、冷房運転中に冷房運転を一時中断して暖房運転をし、または、冷房運転後に所定の時間暖房運転をし、エアコン内を乾燥させて結露を防止する手法が採用されている。
【0009】
なお、上記従来の技術に関連する特許文献として、特許文献1、特許文献2を掲げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−286240号公報
【特許文献2】特許第4237946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上述した1つ目のカビ対策の手法では、抗カビ剤が結露水で溶出し、短期間(短い場合は数ヶ月)で効果がなくなるという問題がある。
【0012】
また、上述した2つ目、3つ目のカビ対策の手法では、冷房運転の継続中には、実行することができないという問題がある。特に3つ目のカビ対策手法では、空気の吹き出し口を閉じていたとしても、温風が部屋に漏れ出てしまい、はなはだ好ましくない事態が発生する。
【0013】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、冷房運転を継続したままでも内部でのカビの発生を長い期間にわたって防止することができる空気調和器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明は、熱交換器と、空気流を生成するファンと、活性種を含んだ空気が前記ファンに直接到達する位置に設けられた活性種生成装置とを有する空気調和機である。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気調和機において、前記ファンによる空気の流れ方向で、前記活性種生成装置は、前記熱交換器の下流側であって前記ファンの上流側に設けられている空気調和機である。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の空気調和機において、前記活性種生成装置の空気排出部およびこの空気排出部の周辺と前記ファンとの間には、空気だけが存する空間のみが存在する構成である空気調和機である。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の空気調和機において、前記熱交換器を通った空気のみが、前記活性種生成装置と前記ファンとを通る構成である空気調和機である。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の空気調和機において、前記熱交換器を通った空気の一部が、前記活性種生成装置を通る構成である空気調和機である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、冷房運転を継続したままでも内部でのカビの発生を長い期間にわたって防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るエアコンの概略構成を示す断面図である。
【図2】活性種生成装置の概略構成を示す斜視図であり、(a)は、活性種生成装置の斜視図であり、(b)は、活性種生成装置の分解斜視図であり、(c)は、変形例に係る活性種生成装置の斜視図である。
【図3】活性種生成装置の概略構成を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は、(a)におけるIII−III断面図である。
【図4】変形例に係る活性種生成装置の斜視図である。
【図5】変形例に係る活性種生成装置の分解斜視図である。
【図6】変形例に係るエアコンの概略構成を示す断面図であって図1に対応した図である。
【図7】変形例に係るエアコンの概略構成を示す断面図であって図1に対応した図である。
【図8】プレフィルタの部位に活性種生成装置を設置した参考例に係るエアコンの概略構成を示す断面図であって図1に対応した図である。
【図9】熱交換器の部位に活性種生成装置を設置した参考例に係るエアコンの概略構成を示す断面図であって図1に対応した図である。
【図10】熱交換器の部位に活性種生成装置を設置した参考例に係るエアコンの概略構成を示す断面図であって図1に対応した図である。
【図11】活性種生成装置の効果確認の試験方法を示す図である。
【図12】活性種生成装置の効果確認の試験結果を示す図である。
【図13】活性種生成装置の効果確認の試験方法を示す図である。
【図14】エアコンの概略構成を示す斜視図である。
【図15】エアコンの概略構成を示す斜視図であって、筐体の前扉を開き活性種生成装置を取り外した状態を示す図である。
【図16】活性種生成装置の設置の態様を示す図であり、(b)は(a)におけるXVI矢視図である。
【図17】従来のエアコンの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1で示すように、空気調和機(エアーコンディショナ;エアコン)1は、筐体3と熱交換器5とファン(たとえば、クロスフローファン)7とを備えて構成されている。そして、ファン7を稼動することによって空気流が生成され、筐体3の空気導入口9から筐体3内に導入された空気が、プレフィルタ11、熱交換器5、ファン7を通り、塵埃が除去され温度の調整がされて(たとえば冷やされて)、筐体3の空気吹き出し口13から筐体3の外に吹き出すようになっている。
【0022】
なお、図1の紙面に直交する方向が、エアコン1の左右方向(長手方向)になっており、エアコン1(筐体3)の左右方向の両端部は側壁部材(図示せず)で塞がれている。これにより、熱交換器5やファン7が設けられている筐体3の内部空間は、空気導入口9や空気吹き出し口13が設けられていないとすれば、閉空間になっている。熱交換器5とファン7とプレフィルタ11とは、筐体3の内部空間に設けられている。
【0023】
また、エアコン1には、活性種を生成する活性種生成装置(活性種生成装置)15が設けられている。活性種とは、高エネルギー電子、イオン、ヒドロキシラジカル、窒素ラジカル、酸素ラジカル(スーパーオキシドアニオンラジカル;O2−)等のラジカル種、励起分子等である。
【0024】
活性種生成装置15は、筐体3の内部空間内で、活性種生成装置15で生成された活性種を含んだ空気がファン7に直接到達するような位置に設けられている。
【0025】
詳しく説明すると、ファン7を稼動することにより、活性種生成装置15の空気導入部17から導入された空気が、活性種生成装置15の空気排出部21を通るときに、空気中に活性種が放出され、活性種を含んだ空気が活性種生成装置15の空気排出部21から排出されるようになっている。そして、この排出された空気がファン7に向かって流れファン7に直接到達するようになっている。
【0026】
なお、活性種生成装置15での上記空気の流れも、ファン7によって生成されるのであるが、活性種生成装置15の空気導入部17の上流側に別途ファン23を設けて(図7参照)、このファン23により活性種生成装置15での空気の流れを生成してもよい。ファン23は、たとえば、もっぱら活性種生成装置15内での空気の流れ(空気導入部17から導入され内部19を通り空気排出部21から排出される空気の流れ)を生成する専用のファンである。
【0027】
また、ファン7を稼動したときに筐体3の内部で発生する空気の流れ方向で、ファン7は、熱交換器5の下流側に設けられており、活性種生成装置15は、熱交換器5の下流側であってファン7の上流側に設けられている(熱交換器5とファン7との間に設けられている)。
【0028】
さらに、活性種生成装置15の空気排出部21およびこの空気排出部21の周辺とファン7との間には、空気だけが存する空間のみが存在する構成になっている。すなわち、活性種生成装置15の空気排出部21とファン7との間、および、活性種生成装置15の空気排出部21の周囲とファン7との間には、金属やプラスチック等の有体物(障害物)が、一切存在していない。
【0029】
これにより、活性種生成装置15の空気排出部21から排出された活性種を含む空気が、活性種生成装置15とファン7との間の空間やこの空間近傍の空間のみを流れ、ファン7に直接到達するようになっている。なお、「空気だけが存する空間」と記載したが、厳密には、空気に、プレフィルタ11で取りきれなかったごく微量の塵埃や、微量の水蒸気等が含まれているであろう。また、活性種生成装置15が稼動していれば、活性種も含まれている。
【0030】
また、エアコン1では、たとえば、熱交換器5(図示しないフィンの間)を通った空気のみが、活性種生成装置15とファン7とを通るように構成されており、さらに、熱交換器5を通った空気の一部が、活性種生成装置15を通るように構成されている。
【0031】
エアコン1についてさらに詳しく説明する。
【0032】
エアコン1の筐体3の外形は、たとえば、細長い直方体状に形成されており、長手方向が左右方向になるようにして部屋内に設置される。
【0033】
熱交換器5と活性種生成装置15とファン7とは、エアコン1の筐体(ケーシング)3に一体的に設けられている。エアコン1の筐体3には、前述したように、空気導入口9とルーバ25を備えた空気吹き出し口13とが形成されているとともに、プレフィルタ11が着脱自在に設けられている。そして、ファン7が稼動することによって、空気導入口9から導入された空気が、プレフィルタ11、熱交換器5をこの順に通り、塵埃の除去と温度調節とがなされた空気が、空気吹き出し口13から排出されるようになっている。
【0034】
さらに説明すると、筐体3の内部は、フィルタ支持部27に設置されているフィルタ11と薄板状の仕切り部材29と熱交換器5とによって、概ね3つの内部空間(通風路)に仕切られている。第1の内部空間31は、空気導入口9で筐体3の外部に通じており、筐体3(フィルタ支持部27)に設置されたプレフィルタ11を介して第2の内部空間33に通じているが、これらに通じている以外は、概ね閉じた空間になっている。
【0035】
第2の内部空間33は、筐体3(フィルタ支持部27)に設置されたプレフィルタ11を介して第1の内部空間31に通じており、筐体3に設けられている熱交換器5を介して第3の内部空間35に通じているが、これらに通じている以外は、概ね閉じた空間になっている。
【0036】
第3の内部空間35は、筐体3に設けられている熱交換器5を介して第2の内部空間33に通じており、空気吹き出し口13で筐体3の外部に通じているが、これらに通じている以外は、概ね閉じた空間になっている。
【0037】
なお、筐体3の内部には、熱交換器5で結露し熱交換器5から落下してきた水分を受け止めるためのドレイン部(トイ)37が設けられている。ドレイン部37で受け止められた水は、図示しないドレイン配管を通ってエアコン1の外部に排出されるようになっている。ドレイン部37は、第2の内部空間33と第3の内部空間35との間に設けられているが、このドレイン部37と熱交換器5との間の隙間は小さくなっており、ドレイン部37を通って、第2の内部空間33から第3の内部空間35には、空気がほとんど流れないようになっている。
【0038】
ファン7は、第3の内部空間35内で筐体3に設けられており、活性種生成装置15は、第3の内部空間35内で、仕切り部材29とスタッドボルト等の連結部材39を介して熱交換器5に一体的に設けられている。
【0039】
さらに説明すると、熱交換器5は、3つの熱交換器5A、熱交換器5B、熱交換器5Cに分かれている。熱交換器5Aは、細長い直方体状に形成されており、この長手方向が図1の紙面に直交する方向となるようして、筐体3に設けられている。熱交換器5B,5Cも、熱交換器5Aと同様の形状に形成されており、熱交換器5Aと同様にして、筐体3に設けられている。
【0040】
3つの熱交換器5のうちで上方に設けられている2つの熱交換器5A,5Bは、エアコン1の前後方向(図1の左右方向)で間隔をあけて設けられており、側面視においては図1で示すように、「ハ」字状になっている。3つの熱交換器5のうちで下方前側に設けられている1つの熱交換器5Cは、熱交換器5Bに接して設けられており、側面視においては図1で示すように、熱交換器5Bと熱交換器5Cとが「ヘ」字状になっている。
【0041】
上方の2つの熱交換器5A,5Bの上部には、平板状の仕切り部材29が一体的に設けられており、この仕切り部材29によって、熱交換器5Aと熱交換器5Bとの間の間隙が塞がれている。
【0042】
また、仕切り部材29は、空気を一切通さないようになっており、厚さ方向が上下方向になるようにして熱交換器5A,5Bに設けられており、仕切り部材29の中央部(前後方向の中央部)からは、連結部材39が下方(第3の内部空間)35に延出している。連結部材39の上端は、仕切り部材29に一体的に設けられており、連結部材39の下端には、活性種生成装置15が一体的に設けられている。
【0043】
また、連結部材39の長手方向の中間部は、2つの熱交換器5A,5Bの間の貫通しており、活性種生成装置15は、側面視において図1で示すように、熱交換器5A(5B)よりも小さい矩形状に形成されており、2つの熱交換器5A,5Bの一対の角部(エアコン1の前後方向でお互いが最も近接している一対の角部)41,43よりも下方に位置している。
【0044】
そして、ファン7の羽根を回転することにより、空気導入口9から第1の内部空間31に空気が導入され、第1の内部空間31に導入された空気がプレフィルタ11のみを通って第2の内部空間33に導入されるようになっている。
【0045】
また、第2の内部空間33に導入された空気がほぼ熱交換器5のみを通って第3の内部空間35に導入され、第3の内部空間35に導入された空気の一部が活性種生成装置15とファン7とを通って空気吹き出し口13から吹き出し(図1の矢印参照)、第3の内部空間35に導入された空気の残りが、活性種生成装置15を通ることなく、ファン7を通って空気吹き出し口13から吹き出すようになっている。
【0046】
これにより、前述したように、熱交換器5を通った空気のみが、活性種生成装置15とファン7とを通るように構成されており、さらに、熱交換器5を通った空気の一部が、活性種生成装置15を通るように構成されている。
【0047】
ここで、活性種生成装置(殺菌・不活化装置)15について詳しく説明する。活性種生成装置15は、特願2009−250967の明細書や図面に示されているものと同様の原理で活性種を生成(発生)する装置である。
【0048】
図2(a)、(b)に示すように、活性種生成装置15は、プラスチック等の絶縁体で構成された電極固定フレーム45と、この電極固定フレーム45に固定される放電電極47と、この放電電極47と対向配置される平板形状の対向電極(板状電極)49とを備えている。
【0049】
電極固定フレーム45は、細長い矩形な枡状に形成されており、電極固定フレーム45の底板部46には、活性種生成装置15の空気導入部17を構成する矩形状の貫通孔48が設けられている。
【0050】
対向電極49は、細長い矩形な平板形状をなす導電性の金属で構成され、中央部に円形の開口部(厚さ方向を貫通している貫通孔)51が複数個形成されている。開口部51は、対向電極49の長手方向で所定の間隔をあけならんで設けられており、活性種生成装置15の空気排出部21を構成している。
【0051】
また、平板状の対向電極49は、その表面(厚さ方向の両平面)が、ファン7により生成される空気流に対して略直交するように配置されている。すなわち、電極固定フレーム45の長手方向の両端部に設けられている被係合部(図示せず)が、連結部材39に係合し、活性種生成装置15が、筐体3の内部に設置される。活性種生成装置15が、筐体3の内部に設置された状態では、対向電極49の厚さ方向の両平面が、ファン7により生成される空気流(図3(b)の矢印を参照)に対して略直交する方向に展開している。
【0052】
なお、対向電極49の4つの隅部にはネジ止め用の孔(図示せず)が設けられている。これらのネジ止め用の孔にボルト(図示せず)を挿入し、このボルトを電極固定フレーム45の側板部50に設けられているメスネジ(図示せず)の螺合させることにより、電極固定フレーム45の開口部を塞ぐようにして、対向電極49が電極固定フレーム45に固定されている。なお、開口部51の個数は6個に限定されるものではなく、1以上の任意の個数とすることができる。
【0053】
また、放電電極47は、長尺平板形状をなす導電性の金属で構成されており、一つの辺(長手方向の延伸している辺)の複数箇所に設けられた針形状をなす突起が、針状電極53とされている。放電電極47の長手方向の両端は、電極固定フレーム45に固定される。放電電極47と対向電極49とが電極固定フレーム45に固定された状態では、放電電極47は、電極固定フレーム45の内部に位置している。また、各針状電極53の先端部が対向電極49に形成された各開口部51の中心となっている。
【0054】
さらに、放電電極47と対向電極49とが電極固定フレーム45に固定された状態では、各針状電極53の先端部が、対向電極49と同一面となる位置にくるように設定されている(図3参照)。より詳しく説明すると、ファン7により生成される空気の流れ方向(対向電極49の厚さ方向;放電電極47の長手方向)では、電極固定フレーム45の厚さ方向の一方の面(電極固定フレーム45の内部側の面)と、各放電電極47の先端部とは、同じところに位置している。換言すれば、各放電電極47の先端部は、電極固定フレーム45の厚さ方向の上記一方の面と同一の平面状に存在している。
【0055】
なお、図2で示す活性種生成装置15では、対向電極49に設けられている各開口部51のそれぞれに、放電電極47が設けられているが、図3の(a)で示すように、各開口部51の一部に対向電極49に設けられている構成であってもよい。すなわち、対向電極49の長手方向でならんでいる各開口部51において、1つおきに放電電極47が設けられている構成であってもよい。
【0056】
また、活性種生成装置15には、電源(図示せず)が設けられている。この電源は、放電電極47を負極性電圧(第2電圧)とし、対向電極49をグランド電圧(第1電圧)として(即ち、第2電圧は第1電圧に比べて相対的に負極性である)、対向電極49と放電電極47との間に一定の電流を流す回路である。そして、後述するように、針状電極53と対向電極49との間にて放電を発生させることにより、対向電極49に設けられた開口部51内を高励起密度状態(後述)として、開口部51内に活性種を生成させるようになっている。
【0057】
さらに説明すると、活性種生成装置15では、針状電極(放電電極)47と対向電極49との間に所望の電流を流すことにより、針状電極53と対向電極49との間となる開口部51内の空間で放電を発生させ、開口部51の周囲にサークルプラズマ(円形状の発光放電)を発生させる。続いて、サークルプラズマについて説明する。
【0058】
対向電極49をグランド電圧とし、開口部51中心部の針状電極53にマイナスの高電圧を印加すると、針状電極53の近傍にプラズマが発生し、且つ、開口部51の周囲にもプラズマが発生する。この開口部51の周囲に発生するプラズマをサークルプラズマと称している。サークルプラズマが発生すると、開口部51内部の放電領域は高励起密度状態となり、このうち、針状電極53の近傍、および開口部51の周辺が主として電離領域、これらの中間の領域が主として励起・解離領域となる。また、中心に近い励起・解離領域は可視光が発生し、周囲に近い励起・解離領域は赤外線が発生する。
【0059】
電離領域とは、気体分子に衝突する電子が、該気体分子の電離エネルギー(電子の電荷Q×電離電圧V)よりも大きい場合に、気体の原子から軌道電子を奪い取り、正イオンと2次電子が生成される活性領域である。
【0060】
励起領域とは、気体分子に衝突する電子が、該気体分子の電離エネルギーよりも小さく、且つ、最低励起電圧よりも大きいエネルギーを有している場合に、軌道電子が原子から奪い取られることはないが、エネルギー的に高い軌道に移り、活性が生じる領域である。励起分子は、準安定状態を経由して、最終的に基底状態に落ちるものと、直接発光を伴い基底状態に落ちるものとがある。
【0061】
解離領域とは、電界で加速された電子が分子に衝突することにより、2個の原子に分裂する現象が発生する活性領域である。これらの活性領域において、各種の活性種が生成される。
【0062】
そして、上記電源より針状電極53および対向電極49に電圧を印加してサークルプラズマを発生させ、この状態でファン7を駆動させて、電極固定フレーム45の空気導入部17より空気が導入されると、この空気は対向電極49に設けられた複数の開口部51のうちのいずれかを通過することになる。上述したように、対向電極49の開口部51周辺には、高エネルギー電子、イオン等の活性種が生成するので、開口部51内を通過する空気中に含まれる細菌類、ウィルス、およびカビ(胞子)等を、これらの活性種と効率良く接触させることができる。従って、空気中に含まれる細菌類、ウィルスおよびカビを高効率で殺菌、不活化することができる。
【0063】
なお、図2(c)で示すように、貫通孔48に代えてもしくは加えて、電極固定フレーム45の側板部50に複数の貫通孔55を設けて、これらの貫通孔55を空気導入部17としてもよい。
【0064】
ここで、活性種生成装置15の設置の態様について詳しく説明する。
【0065】
エアコン1の内部空間31,33,35や、熱交換器5は、前述したように、図1の紙面に直交する方向に長く延びている。
【0066】
活性種生成装置15は、この長手方向がエアコン1の内部空間35の長手方向と一致するようにして、内部空間35のほぼ全長にわたって配置されている。なお、ファン7も、内部空間35のほぼ全長にわたって設けられている。さらに、内部空間35の長手方向の寸法が、活性種生成装置15の長手方向寸法の何倍かになっている場合には、複数の活性種生成装置15が、この長手方向に並びつなげられて設置されているものとする。
【0067】
また、活性種生成装置15は、ファン7の上部でファン7から20mm〜80mm程度離れている(活性種生成装置15の空気排出部21とファン7の外周との間の距離が、20mm〜80mm程度になっている)。さらに、活性種生成装置15の空気導入部17が活性種生成装置15の上端に位置し、活性種生成装置15の空気排出部21が活性種生成装置15の下端に位置しており、空気導入部17の中心と空気排出部21の中心とをお互いにむすぶ直線の延長線上に、もしくはこの近傍に、ファン7の中心軸が位置している。
【0068】
また、空気排出部21の周辺には、電極固定フレーム45や連結部材39が一切はみ出しておらず、活性種生成装置15の空気排出部21から出てきた空気のほぼ総てが、前述したように、ファン7に直接到達するようになっている。
【0069】
次に、エアコン1の動作について、冷房時を例に掲げて説明する。
【0070】
エアコン1が停止している状態で、オペレータが図示しない始動スイッチを操作すると、図示しない制御装置の制御の下、活性種生成装置15の上記電源が稼動し、熱交換器5内に熱媒体(たとえば、空気の温度よりも温度の低い冷媒)が流れ、ファン7が稼動する。
【0071】
これにより、筐体3の空気導入口9から筐体3内に導入された空気が、プレフィルタ11と熱交換器5とを通って第3の内部空間35に入る。
【0072】
第3の内部空間35に入った空気の一部が、活性種生成装置15内を通り、活性種を含んだ空気が、ファン7に到達する。また、第3の内部空間35に入った他の空気が、ファン7に直接到達する。ファン7に到達した空気は、空気吹き出し口13から、エアコン1の外部に吹き出す。これにより、エアコン1が設置された部屋が冷やされる。
【0073】
ここで、エアコン1の変形例について説明する。
【0074】
上記説明では、活性種生成装置15の形状を、図2、図3で示すように、細長い直方体状としていたが、図4、図5で示すような活性種生成装置15aを採用してもよい。
【0075】
活性種生成装置15aの外形は、立方体に近い直方体状になっており、対向電極49aの貫通孔51が、一列ではなく複数列(たとえば2列)で設けられており、放電電極47aも、貫通孔51に対応して、複数列で設けられている。
【0076】
また、活性種生成装置15aには、専用のファン(図7示してあるファン23に相当するファン)23aが設けられており、このファン23aで発生させた空気流の総てが、活性種生成装置15aの内部を流れて、活性種生成装置15aからファン7に向けて排出されるようになっている。なお、図4や図5で示す活性種生成装置15aにおいて、ファン23aを削除した構成であってもよい。
【0077】
図4や図5で示す活性種生成装置15aは、複数個が、エアコン1の内部空間35の長手方向に並んで、所定の間隔をあけて、もしくは、お互いが接触して、内部空間35内に配置される。
【0078】
また、上記説明では、活性種生成装置15,15aを、ファン7の上方に配置してあるが、活性種生成装置15,15aを、ファン7の上流側(空気流の上流側)で内部空間35内の他の位置に配置してあってもよい。
【0079】
たとえば、図6で示すように、熱交換器5Bと熱交換器5Cとの間に間隙が存在している場合には、仕切り部材29aを熱交換器5Bと熱交換器5Cとの間に設置して間隙を塞ぎ、仕切り部材29aに前後方向延びるようにして連結部材39aを設置し、連結部材39aの先端部に活性種生成装置15,15aを設けた構成であってもよい。この場合、活性種生成装置15,15aは、ファン7の前側で、ファン7から離れており、活性種生成装置15,15aから出てきた活性種を含んだ空気が、ファン7に直接到達するようになっている。
【0080】
さらには、図6で示す態様において、筐体3の前扉71を開閉自在にし、前扉71を開いたときに、活性種発生装置15を、熱交換器5Bと熱交換器5Cとに対して容易に着脱自在にしてもよい(図15等参照)。
【0081】
詳しく説明すると、前扉71は、筐体3の上側で幅方向に延びた軸を回動中心に対して回動自在になっている。そして前扉71が閉じたときには、図14で示すように、熱交換器5Bと熱交換器5C等が隠れ、エアコン1が稼動可能状態になる。一方、前扉71が開いたときには、図15で示すように、熱交換器5B、熱交換器5Cが表われ、さらに、プレフィルタ11をフィルタ支持部27から取り外すと、活性種生成装置15等が表われ、活性種生成装置15の着脱交換ができるようになっている。
【0082】
なお、フィルタ支持部27は、筐体3の上下方向に延びた帯状に形成されており、筐体3の幅方向で所定の間隔をあけて設けられている。
【0083】
活性種生成装置15は、仕切り部材29aを介して、熱交換器5Bと熱交換器5Cとに設置されるようになっている。仕切り部材29aには、たとえば金属で構成された帯状の薄板を曲げて形成された複数の爪部73が設けられている(図15、図16参照)。そして、各爪部73が、各熱交換器5B,5Cのフィン75の間に弾性変形して嵌り込むことによって(図16(b)参照)、活性種生成装置15が熱交換器5B,5Cに対して着脱自在になっている。これにより、活性種生成装置15の交換や熱交換器5B,5Cから取り外しての修理が容易になっている。
【0084】
なお、図15では、熱交換器5Bと熱交換器5Cとの間の間隙(孔)77が、筐体3の幅方向の中央部にのみ設けられており、その部分にのみが、活性種生成装置15が設置されるようになっているが、間隙77が、筐体3の幅方向の全長にわたって設けられていてもよい。この場合、活性種生成装置15を、図15で示すものよりも長く形成し、筐体3の幅方向の全長にわたって設けられている間隙77の全長にわたって、活性種生成装置15を設けることが望ましい。
【0085】
エアコン1によれば、活性種生成装置15,15aで生成した活性種をファン7に到達させるので、ファン7でのカビの発生を防ぐことができる。すなわち、エアコン1における冷房運転を中断することなく冷房運転を継続したままで、また、ファン7の清掃や交換等のメンテナンスをすることなく、エアコン1内部(特にファン7)でのカビの発生を長い期間(たとえば、エアコン1の耐用年数の期間)にわたって防止することができる。
【0086】
また、エアコン1によれば、活性種生成装置15,15aで生成した活性種を含む空気がファン7に直接到達するので、大量の活性種を生成することなく、カビの発生を効率良く防止することができる。
【0087】
また、エアコン1によれば、活性種生成装置15,15aが熱交換器5の下流側であってファン7の上流側に設けられているので、空気の温度調整を効率よく行うことができるとともに、最もカビの発生しやすい部位(ファン7)でのカビの発生を簡素な構成で防止することができる。
【0088】
ところで、金属やプラスチック等の障害物が、活性種生成装置15,15aの空気排出部21の周辺に存在していると、オゾン等の電荷を帯びていないものは障害物に付着しないが、電荷を帯びている酸素ラジカル等は障害物に付着してしまう。
【0089】
すなわち、活性種生成装置15,15aの設置場所として、図8〜図10に示すような場所を考えることができるが、図8〜図10に示す態様では、ファン7におけるカビの活性を防ぐことは困難である。
【0090】
つまり、図8で示すように、第1の内部空間31内でフィルタ支持部27に活性種生成装置15,15aを設けた構成であると、活性種生成装置15,15aから排出された活性種が、フィルタ支持部27や熱交換器5に付着してしまい、活性種がファン7までほとんど届かず、ファン7でのカビの発生を抑制することができない。
【0091】
また、図9で示すように、第2の内部空間33内で熱交換器5に活性種生成装置15,15aを設けた構成であって、同様にして、ファン7でのカビの発生を抑制することができない。
【0092】
さらに、図10で示すように、第2の内部空間33内で、熱交換器5A,5Bの間隙内に活性種生成装置15,15aを設けた構成であっても、ほとんどの活性種が熱交換器5A,5Bによって消滅してしまい、ファン7でのカビの発生を抑制することができない。
【0093】
しかし、図1、図6、図7等で示すエアコン1では、活性種生成装置15,15aの空気排出部21およびこの空気排出部21の周辺と、ファン7との間には、空気が存する空間のみが存在する構成であるので、電荷を帯びている酸素ラジカル等の活性種が確実にファン7まで届き、オゾンでは抑制できないカビを酸素ラジカル等の活性種で抑制することができる。
【0094】
また、エアコン1によれば、熱交換器5を通った空気のみが、活性種生成装置15,15aとファン7とを通るようになっているので、熱交換器5で冷やされていない空気が筐体3内部(ファン7が設置されている第3の内部空間35内)に入り込むことがなく、筐体3内部での結露の発生を防止することができ、カビの発生を一層効果的に抑制することができる。
【0095】
また、エアコン1によれば、熱交換器5を通った空気の一部が、活性種生成装置15,15aを通るようになっている。このように構成しても、カビの発生を抑制することができ、さらに、活性種生成装置15,15aは、空気流の抵抗にはほとんどなっていない。したがって、空気流が阻害されず効率の良い空気の流れを得ることができ、冷却効率等を良好な状態に維持することができる。
【0096】
ここで、活性種生成装置15(15a)を用いた、カビ発生の抑制試験結果について説明する。
【0097】
図11で示すように、ステンレススチール等で平板状に形成されたテストピース61に、カビ菌の菌濁液63を滴下し、活性種生成装置15(15a)によって、活性種を含んだ空気をテストピース61に所定の時間直接照射する。なお、図11で示す態様は、図1で示すエアコン1の態様をモデル化したものである。
【0098】
また、図13で示すように、ステンレススチール等で平板状に形成されたテストピース61に、カビ菌の菌濁液63を滴下し、活性種生成装置15(15a)によって、活性種を含んだ空気をテストピース61に所定の時間照射する。図13で示す態様では、活性種生成装置15(15a)とテストピース61との間に、熱交換器5が配置されており、図9で示した態様をモデル化したものである。
【0099】
図11、図13では、活性種生成装置15(15a)とテストピース61との間の距離が、50mm程度になっている。
【0100】
図11で示す態様で、空気を照射した菌濁液63の一部を抜き取り、25℃程度の温度で、1週間程度培養する。
【0101】
この培養により、図12で示す結果が得られた。図12の横軸は、空気の照射時間であり、図12の縦軸は、カビの量を示している。また、図12で示す線図G1は、空気の照射を行わない場合のものであり、図12で示す線図G2は、図11に示す態様で、空気を照射したものである。
【0102】
図12から理解されるように、活性種生成装置15(15a)で活性種を含んだ空気を生成し、この生成された空気を菌濁液63の直接照射することで、カビの発生を抑制することができる。
【0103】
なお、図13で示した態様では、図12で示す線図G1と同様にしてカビの発生を抑制することができなかった。
【符号の説明】
【0104】
1 エアコン(空気調和機)
5、5A、5B 熱交換器
7 ファン
15、15a 活性種生成装置
21 空気排出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性種生成装置を備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から使用されているエアコン(エアーコンディショナ)200は、図17で示すように、筐体202と熱交換器204とファン206とを備えている。
【0003】
そして、ファン206を稼動することにより、矢印で示すような空気の流れが発生するようになっている。すなわち、筐体202の空気導入口208から筐体202内に導入された空気が、プレフィルタ210、熱交換器204、ファン206を通り、筐体202の空気吹き出し口212から筐体202の外に吹き出すようになっている。
【0004】
夏場の冷房に使用しているときなどには、エアコン200内(空気の流れ方向において熱交換器204の下流側の空間214)に結露水が発生し、高湿度になっている。そして、下流側の空間214は、カビ等の微生物にとって好環境になっており、カビ等の微生物が繁殖しやすくなっている。なお、この繁殖は、特にファン206のところで顕著なのである。
【0005】
そこで、従来から様々なカビ対策がなされている。従来からなされている主なカビ対策を次に示す。
【0006】
1つ目のカビ対策の手法として、カビが発生しやすい部位に抗カビ剤を設ける手法が採用されている。すなわち、カビが発生しやすい部位がたとえば合成樹脂で構成されている場合には、上記合成樹脂に抗カビ剤を練り込みまたは含浸させている。
【0007】
2つ目のカビ対策の手法として、冷房運転中に冷房運転を一時中断して通風のみを行い、または、冷房運転後に所定の時間通風のみを行い、エアコン内の湿度を下げて(乾燥させて)結露を防止する手法が採用されている。
【0008】
3つ目のカビ対策の手法として、冷房運転中に冷房運転を一時中断して暖房運転をし、または、冷房運転後に所定の時間暖房運転をし、エアコン内を乾燥させて結露を防止する手法が採用されている。
【0009】
なお、上記従来の技術に関連する特許文献として、特許文献1、特許文献2を掲げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−286240号公報
【特許文献2】特許第4237946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上述した1つ目のカビ対策の手法では、抗カビ剤が結露水で溶出し、短期間(短い場合は数ヶ月)で効果がなくなるという問題がある。
【0012】
また、上述した2つ目、3つ目のカビ対策の手法では、冷房運転の継続中には、実行することができないという問題がある。特に3つ目のカビ対策手法では、空気の吹き出し口を閉じていたとしても、温風が部屋に漏れ出てしまい、はなはだ好ましくない事態が発生する。
【0013】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、冷房運転を継続したままでも内部でのカビの発生を長い期間にわたって防止することができる空気調和器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明は、熱交換器と、空気流を生成するファンと、活性種を含んだ空気が前記ファンに直接到達する位置に設けられた活性種生成装置とを有する空気調和機である。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気調和機において、前記ファンによる空気の流れ方向で、前記活性種生成装置は、前記熱交換器の下流側であって前記ファンの上流側に設けられている空気調和機である。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の空気調和機において、前記活性種生成装置の空気排出部およびこの空気排出部の周辺と前記ファンとの間には、空気だけが存する空間のみが存在する構成である空気調和機である。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の空気調和機において、前記熱交換器を通った空気のみが、前記活性種生成装置と前記ファンとを通る構成である空気調和機である。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の空気調和機において、前記熱交換器を通った空気の一部が、前記活性種生成装置を通る構成である空気調和機である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、冷房運転を継続したままでも内部でのカビの発生を長い期間にわたって防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るエアコンの概略構成を示す断面図である。
【図2】活性種生成装置の概略構成を示す斜視図であり、(a)は、活性種生成装置の斜視図であり、(b)は、活性種生成装置の分解斜視図であり、(c)は、変形例に係る活性種生成装置の斜視図である。
【図3】活性種生成装置の概略構成を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は、(a)におけるIII−III断面図である。
【図4】変形例に係る活性種生成装置の斜視図である。
【図5】変形例に係る活性種生成装置の分解斜視図である。
【図6】変形例に係るエアコンの概略構成を示す断面図であって図1に対応した図である。
【図7】変形例に係るエアコンの概略構成を示す断面図であって図1に対応した図である。
【図8】プレフィルタの部位に活性種生成装置を設置した参考例に係るエアコンの概略構成を示す断面図であって図1に対応した図である。
【図9】熱交換器の部位に活性種生成装置を設置した参考例に係るエアコンの概略構成を示す断面図であって図1に対応した図である。
【図10】熱交換器の部位に活性種生成装置を設置した参考例に係るエアコンの概略構成を示す断面図であって図1に対応した図である。
【図11】活性種生成装置の効果確認の試験方法を示す図である。
【図12】活性種生成装置の効果確認の試験結果を示す図である。
【図13】活性種生成装置の効果確認の試験方法を示す図である。
【図14】エアコンの概略構成を示す斜視図である。
【図15】エアコンの概略構成を示す斜視図であって、筐体の前扉を開き活性種生成装置を取り外した状態を示す図である。
【図16】活性種生成装置の設置の態様を示す図であり、(b)は(a)におけるXVI矢視図である。
【図17】従来のエアコンの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1で示すように、空気調和機(エアーコンディショナ;エアコン)1は、筐体3と熱交換器5とファン(たとえば、クロスフローファン)7とを備えて構成されている。そして、ファン7を稼動することによって空気流が生成され、筐体3の空気導入口9から筐体3内に導入された空気が、プレフィルタ11、熱交換器5、ファン7を通り、塵埃が除去され温度の調整がされて(たとえば冷やされて)、筐体3の空気吹き出し口13から筐体3の外に吹き出すようになっている。
【0022】
なお、図1の紙面に直交する方向が、エアコン1の左右方向(長手方向)になっており、エアコン1(筐体3)の左右方向の両端部は側壁部材(図示せず)で塞がれている。これにより、熱交換器5やファン7が設けられている筐体3の内部空間は、空気導入口9や空気吹き出し口13が設けられていないとすれば、閉空間になっている。熱交換器5とファン7とプレフィルタ11とは、筐体3の内部空間に設けられている。
【0023】
また、エアコン1には、活性種を生成する活性種生成装置(活性種生成装置)15が設けられている。活性種とは、高エネルギー電子、イオン、ヒドロキシラジカル、窒素ラジカル、酸素ラジカル(スーパーオキシドアニオンラジカル;O2−)等のラジカル種、励起分子等である。
【0024】
活性種生成装置15は、筐体3の内部空間内で、活性種生成装置15で生成された活性種を含んだ空気がファン7に直接到達するような位置に設けられている。
【0025】
詳しく説明すると、ファン7を稼動することにより、活性種生成装置15の空気導入部17から導入された空気が、活性種生成装置15の空気排出部21を通るときに、空気中に活性種が放出され、活性種を含んだ空気が活性種生成装置15の空気排出部21から排出されるようになっている。そして、この排出された空気がファン7に向かって流れファン7に直接到達するようになっている。
【0026】
なお、活性種生成装置15での上記空気の流れも、ファン7によって生成されるのであるが、活性種生成装置15の空気導入部17の上流側に別途ファン23を設けて(図7参照)、このファン23により活性種生成装置15での空気の流れを生成してもよい。ファン23は、たとえば、もっぱら活性種生成装置15内での空気の流れ(空気導入部17から導入され内部19を通り空気排出部21から排出される空気の流れ)を生成する専用のファンである。
【0027】
また、ファン7を稼動したときに筐体3の内部で発生する空気の流れ方向で、ファン7は、熱交換器5の下流側に設けられており、活性種生成装置15は、熱交換器5の下流側であってファン7の上流側に設けられている(熱交換器5とファン7との間に設けられている)。
【0028】
さらに、活性種生成装置15の空気排出部21およびこの空気排出部21の周辺とファン7との間には、空気だけが存する空間のみが存在する構成になっている。すなわち、活性種生成装置15の空気排出部21とファン7との間、および、活性種生成装置15の空気排出部21の周囲とファン7との間には、金属やプラスチック等の有体物(障害物)が、一切存在していない。
【0029】
これにより、活性種生成装置15の空気排出部21から排出された活性種を含む空気が、活性種生成装置15とファン7との間の空間やこの空間近傍の空間のみを流れ、ファン7に直接到達するようになっている。なお、「空気だけが存する空間」と記載したが、厳密には、空気に、プレフィルタ11で取りきれなかったごく微量の塵埃や、微量の水蒸気等が含まれているであろう。また、活性種生成装置15が稼動していれば、活性種も含まれている。
【0030】
また、エアコン1では、たとえば、熱交換器5(図示しないフィンの間)を通った空気のみが、活性種生成装置15とファン7とを通るように構成されており、さらに、熱交換器5を通った空気の一部が、活性種生成装置15を通るように構成されている。
【0031】
エアコン1についてさらに詳しく説明する。
【0032】
エアコン1の筐体3の外形は、たとえば、細長い直方体状に形成されており、長手方向が左右方向になるようにして部屋内に設置される。
【0033】
熱交換器5と活性種生成装置15とファン7とは、エアコン1の筐体(ケーシング)3に一体的に設けられている。エアコン1の筐体3には、前述したように、空気導入口9とルーバ25を備えた空気吹き出し口13とが形成されているとともに、プレフィルタ11が着脱自在に設けられている。そして、ファン7が稼動することによって、空気導入口9から導入された空気が、プレフィルタ11、熱交換器5をこの順に通り、塵埃の除去と温度調節とがなされた空気が、空気吹き出し口13から排出されるようになっている。
【0034】
さらに説明すると、筐体3の内部は、フィルタ支持部27に設置されているフィルタ11と薄板状の仕切り部材29と熱交換器5とによって、概ね3つの内部空間(通風路)に仕切られている。第1の内部空間31は、空気導入口9で筐体3の外部に通じており、筐体3(フィルタ支持部27)に設置されたプレフィルタ11を介して第2の内部空間33に通じているが、これらに通じている以外は、概ね閉じた空間になっている。
【0035】
第2の内部空間33は、筐体3(フィルタ支持部27)に設置されたプレフィルタ11を介して第1の内部空間31に通じており、筐体3に設けられている熱交換器5を介して第3の内部空間35に通じているが、これらに通じている以外は、概ね閉じた空間になっている。
【0036】
第3の内部空間35は、筐体3に設けられている熱交換器5を介して第2の内部空間33に通じており、空気吹き出し口13で筐体3の外部に通じているが、これらに通じている以外は、概ね閉じた空間になっている。
【0037】
なお、筐体3の内部には、熱交換器5で結露し熱交換器5から落下してきた水分を受け止めるためのドレイン部(トイ)37が設けられている。ドレイン部37で受け止められた水は、図示しないドレイン配管を通ってエアコン1の外部に排出されるようになっている。ドレイン部37は、第2の内部空間33と第3の内部空間35との間に設けられているが、このドレイン部37と熱交換器5との間の隙間は小さくなっており、ドレイン部37を通って、第2の内部空間33から第3の内部空間35には、空気がほとんど流れないようになっている。
【0038】
ファン7は、第3の内部空間35内で筐体3に設けられており、活性種生成装置15は、第3の内部空間35内で、仕切り部材29とスタッドボルト等の連結部材39を介して熱交換器5に一体的に設けられている。
【0039】
さらに説明すると、熱交換器5は、3つの熱交換器5A、熱交換器5B、熱交換器5Cに分かれている。熱交換器5Aは、細長い直方体状に形成されており、この長手方向が図1の紙面に直交する方向となるようして、筐体3に設けられている。熱交換器5B,5Cも、熱交換器5Aと同様の形状に形成されており、熱交換器5Aと同様にして、筐体3に設けられている。
【0040】
3つの熱交換器5のうちで上方に設けられている2つの熱交換器5A,5Bは、エアコン1の前後方向(図1の左右方向)で間隔をあけて設けられており、側面視においては図1で示すように、「ハ」字状になっている。3つの熱交換器5のうちで下方前側に設けられている1つの熱交換器5Cは、熱交換器5Bに接して設けられており、側面視においては図1で示すように、熱交換器5Bと熱交換器5Cとが「ヘ」字状になっている。
【0041】
上方の2つの熱交換器5A,5Bの上部には、平板状の仕切り部材29が一体的に設けられており、この仕切り部材29によって、熱交換器5Aと熱交換器5Bとの間の間隙が塞がれている。
【0042】
また、仕切り部材29は、空気を一切通さないようになっており、厚さ方向が上下方向になるようにして熱交換器5A,5Bに設けられており、仕切り部材29の中央部(前後方向の中央部)からは、連結部材39が下方(第3の内部空間)35に延出している。連結部材39の上端は、仕切り部材29に一体的に設けられており、連結部材39の下端には、活性種生成装置15が一体的に設けられている。
【0043】
また、連結部材39の長手方向の中間部は、2つの熱交換器5A,5Bの間の貫通しており、活性種生成装置15は、側面視において図1で示すように、熱交換器5A(5B)よりも小さい矩形状に形成されており、2つの熱交換器5A,5Bの一対の角部(エアコン1の前後方向でお互いが最も近接している一対の角部)41,43よりも下方に位置している。
【0044】
そして、ファン7の羽根を回転することにより、空気導入口9から第1の内部空間31に空気が導入され、第1の内部空間31に導入された空気がプレフィルタ11のみを通って第2の内部空間33に導入されるようになっている。
【0045】
また、第2の内部空間33に導入された空気がほぼ熱交換器5のみを通って第3の内部空間35に導入され、第3の内部空間35に導入された空気の一部が活性種生成装置15とファン7とを通って空気吹き出し口13から吹き出し(図1の矢印参照)、第3の内部空間35に導入された空気の残りが、活性種生成装置15を通ることなく、ファン7を通って空気吹き出し口13から吹き出すようになっている。
【0046】
これにより、前述したように、熱交換器5を通った空気のみが、活性種生成装置15とファン7とを通るように構成されており、さらに、熱交換器5を通った空気の一部が、活性種生成装置15を通るように構成されている。
【0047】
ここで、活性種生成装置(殺菌・不活化装置)15について詳しく説明する。活性種生成装置15は、特願2009−250967の明細書や図面に示されているものと同様の原理で活性種を生成(発生)する装置である。
【0048】
図2(a)、(b)に示すように、活性種生成装置15は、プラスチック等の絶縁体で構成された電極固定フレーム45と、この電極固定フレーム45に固定される放電電極47と、この放電電極47と対向配置される平板形状の対向電極(板状電極)49とを備えている。
【0049】
電極固定フレーム45は、細長い矩形な枡状に形成されており、電極固定フレーム45の底板部46には、活性種生成装置15の空気導入部17を構成する矩形状の貫通孔48が設けられている。
【0050】
対向電極49は、細長い矩形な平板形状をなす導電性の金属で構成され、中央部に円形の開口部(厚さ方向を貫通している貫通孔)51が複数個形成されている。開口部51は、対向電極49の長手方向で所定の間隔をあけならんで設けられており、活性種生成装置15の空気排出部21を構成している。
【0051】
また、平板状の対向電極49は、その表面(厚さ方向の両平面)が、ファン7により生成される空気流に対して略直交するように配置されている。すなわち、電極固定フレーム45の長手方向の両端部に設けられている被係合部(図示せず)が、連結部材39に係合し、活性種生成装置15が、筐体3の内部に設置される。活性種生成装置15が、筐体3の内部に設置された状態では、対向電極49の厚さ方向の両平面が、ファン7により生成される空気流(図3(b)の矢印を参照)に対して略直交する方向に展開している。
【0052】
なお、対向電極49の4つの隅部にはネジ止め用の孔(図示せず)が設けられている。これらのネジ止め用の孔にボルト(図示せず)を挿入し、このボルトを電極固定フレーム45の側板部50に設けられているメスネジ(図示せず)の螺合させることにより、電極固定フレーム45の開口部を塞ぐようにして、対向電極49が電極固定フレーム45に固定されている。なお、開口部51の個数は6個に限定されるものではなく、1以上の任意の個数とすることができる。
【0053】
また、放電電極47は、長尺平板形状をなす導電性の金属で構成されており、一つの辺(長手方向の延伸している辺)の複数箇所に設けられた針形状をなす突起が、針状電極53とされている。放電電極47の長手方向の両端は、電極固定フレーム45に固定される。放電電極47と対向電極49とが電極固定フレーム45に固定された状態では、放電電極47は、電極固定フレーム45の内部に位置している。また、各針状電極53の先端部が対向電極49に形成された各開口部51の中心となっている。
【0054】
さらに、放電電極47と対向電極49とが電極固定フレーム45に固定された状態では、各針状電極53の先端部が、対向電極49と同一面となる位置にくるように設定されている(図3参照)。より詳しく説明すると、ファン7により生成される空気の流れ方向(対向電極49の厚さ方向;放電電極47の長手方向)では、電極固定フレーム45の厚さ方向の一方の面(電極固定フレーム45の内部側の面)と、各放電電極47の先端部とは、同じところに位置している。換言すれば、各放電電極47の先端部は、電極固定フレーム45の厚さ方向の上記一方の面と同一の平面状に存在している。
【0055】
なお、図2で示す活性種生成装置15では、対向電極49に設けられている各開口部51のそれぞれに、放電電極47が設けられているが、図3の(a)で示すように、各開口部51の一部に対向電極49に設けられている構成であってもよい。すなわち、対向電極49の長手方向でならんでいる各開口部51において、1つおきに放電電極47が設けられている構成であってもよい。
【0056】
また、活性種生成装置15には、電源(図示せず)が設けられている。この電源は、放電電極47を負極性電圧(第2電圧)とし、対向電極49をグランド電圧(第1電圧)として(即ち、第2電圧は第1電圧に比べて相対的に負極性である)、対向電極49と放電電極47との間に一定の電流を流す回路である。そして、後述するように、針状電極53と対向電極49との間にて放電を発生させることにより、対向電極49に設けられた開口部51内を高励起密度状態(後述)として、開口部51内に活性種を生成させるようになっている。
【0057】
さらに説明すると、活性種生成装置15では、針状電極(放電電極)47と対向電極49との間に所望の電流を流すことにより、針状電極53と対向電極49との間となる開口部51内の空間で放電を発生させ、開口部51の周囲にサークルプラズマ(円形状の発光放電)を発生させる。続いて、サークルプラズマについて説明する。
【0058】
対向電極49をグランド電圧とし、開口部51中心部の針状電極53にマイナスの高電圧を印加すると、針状電極53の近傍にプラズマが発生し、且つ、開口部51の周囲にもプラズマが発生する。この開口部51の周囲に発生するプラズマをサークルプラズマと称している。サークルプラズマが発生すると、開口部51内部の放電領域は高励起密度状態となり、このうち、針状電極53の近傍、および開口部51の周辺が主として電離領域、これらの中間の領域が主として励起・解離領域となる。また、中心に近い励起・解離領域は可視光が発生し、周囲に近い励起・解離領域は赤外線が発生する。
【0059】
電離領域とは、気体分子に衝突する電子が、該気体分子の電離エネルギー(電子の電荷Q×電離電圧V)よりも大きい場合に、気体の原子から軌道電子を奪い取り、正イオンと2次電子が生成される活性領域である。
【0060】
励起領域とは、気体分子に衝突する電子が、該気体分子の電離エネルギーよりも小さく、且つ、最低励起電圧よりも大きいエネルギーを有している場合に、軌道電子が原子から奪い取られることはないが、エネルギー的に高い軌道に移り、活性が生じる領域である。励起分子は、準安定状態を経由して、最終的に基底状態に落ちるものと、直接発光を伴い基底状態に落ちるものとがある。
【0061】
解離領域とは、電界で加速された電子が分子に衝突することにより、2個の原子に分裂する現象が発生する活性領域である。これらの活性領域において、各種の活性種が生成される。
【0062】
そして、上記電源より針状電極53および対向電極49に電圧を印加してサークルプラズマを発生させ、この状態でファン7を駆動させて、電極固定フレーム45の空気導入部17より空気が導入されると、この空気は対向電極49に設けられた複数の開口部51のうちのいずれかを通過することになる。上述したように、対向電極49の開口部51周辺には、高エネルギー電子、イオン等の活性種が生成するので、開口部51内を通過する空気中に含まれる細菌類、ウィルス、およびカビ(胞子)等を、これらの活性種と効率良く接触させることができる。従って、空気中に含まれる細菌類、ウィルスおよびカビを高効率で殺菌、不活化することができる。
【0063】
なお、図2(c)で示すように、貫通孔48に代えてもしくは加えて、電極固定フレーム45の側板部50に複数の貫通孔55を設けて、これらの貫通孔55を空気導入部17としてもよい。
【0064】
ここで、活性種生成装置15の設置の態様について詳しく説明する。
【0065】
エアコン1の内部空間31,33,35や、熱交換器5は、前述したように、図1の紙面に直交する方向に長く延びている。
【0066】
活性種生成装置15は、この長手方向がエアコン1の内部空間35の長手方向と一致するようにして、内部空間35のほぼ全長にわたって配置されている。なお、ファン7も、内部空間35のほぼ全長にわたって設けられている。さらに、内部空間35の長手方向の寸法が、活性種生成装置15の長手方向寸法の何倍かになっている場合には、複数の活性種生成装置15が、この長手方向に並びつなげられて設置されているものとする。
【0067】
また、活性種生成装置15は、ファン7の上部でファン7から20mm〜80mm程度離れている(活性種生成装置15の空気排出部21とファン7の外周との間の距離が、20mm〜80mm程度になっている)。さらに、活性種生成装置15の空気導入部17が活性種生成装置15の上端に位置し、活性種生成装置15の空気排出部21が活性種生成装置15の下端に位置しており、空気導入部17の中心と空気排出部21の中心とをお互いにむすぶ直線の延長線上に、もしくはこの近傍に、ファン7の中心軸が位置している。
【0068】
また、空気排出部21の周辺には、電極固定フレーム45や連結部材39が一切はみ出しておらず、活性種生成装置15の空気排出部21から出てきた空気のほぼ総てが、前述したように、ファン7に直接到達するようになっている。
【0069】
次に、エアコン1の動作について、冷房時を例に掲げて説明する。
【0070】
エアコン1が停止している状態で、オペレータが図示しない始動スイッチを操作すると、図示しない制御装置の制御の下、活性種生成装置15の上記電源が稼動し、熱交換器5内に熱媒体(たとえば、空気の温度よりも温度の低い冷媒)が流れ、ファン7が稼動する。
【0071】
これにより、筐体3の空気導入口9から筐体3内に導入された空気が、プレフィルタ11と熱交換器5とを通って第3の内部空間35に入る。
【0072】
第3の内部空間35に入った空気の一部が、活性種生成装置15内を通り、活性種を含んだ空気が、ファン7に到達する。また、第3の内部空間35に入った他の空気が、ファン7に直接到達する。ファン7に到達した空気は、空気吹き出し口13から、エアコン1の外部に吹き出す。これにより、エアコン1が設置された部屋が冷やされる。
【0073】
ここで、エアコン1の変形例について説明する。
【0074】
上記説明では、活性種生成装置15の形状を、図2、図3で示すように、細長い直方体状としていたが、図4、図5で示すような活性種生成装置15aを採用してもよい。
【0075】
活性種生成装置15aの外形は、立方体に近い直方体状になっており、対向電極49aの貫通孔51が、一列ではなく複数列(たとえば2列)で設けられており、放電電極47aも、貫通孔51に対応して、複数列で設けられている。
【0076】
また、活性種生成装置15aには、専用のファン(図7示してあるファン23に相当するファン)23aが設けられており、このファン23aで発生させた空気流の総てが、活性種生成装置15aの内部を流れて、活性種生成装置15aからファン7に向けて排出されるようになっている。なお、図4や図5で示す活性種生成装置15aにおいて、ファン23aを削除した構成であってもよい。
【0077】
図4や図5で示す活性種生成装置15aは、複数個が、エアコン1の内部空間35の長手方向に並んで、所定の間隔をあけて、もしくは、お互いが接触して、内部空間35内に配置される。
【0078】
また、上記説明では、活性種生成装置15,15aを、ファン7の上方に配置してあるが、活性種生成装置15,15aを、ファン7の上流側(空気流の上流側)で内部空間35内の他の位置に配置してあってもよい。
【0079】
たとえば、図6で示すように、熱交換器5Bと熱交換器5Cとの間に間隙が存在している場合には、仕切り部材29aを熱交換器5Bと熱交換器5Cとの間に設置して間隙を塞ぎ、仕切り部材29aに前後方向延びるようにして連結部材39aを設置し、連結部材39aの先端部に活性種生成装置15,15aを設けた構成であってもよい。この場合、活性種生成装置15,15aは、ファン7の前側で、ファン7から離れており、活性種生成装置15,15aから出てきた活性種を含んだ空気が、ファン7に直接到達するようになっている。
【0080】
さらには、図6で示す態様において、筐体3の前扉71を開閉自在にし、前扉71を開いたときに、活性種発生装置15を、熱交換器5Bと熱交換器5Cとに対して容易に着脱自在にしてもよい(図15等参照)。
【0081】
詳しく説明すると、前扉71は、筐体3の上側で幅方向に延びた軸を回動中心に対して回動自在になっている。そして前扉71が閉じたときには、図14で示すように、熱交換器5Bと熱交換器5C等が隠れ、エアコン1が稼動可能状態になる。一方、前扉71が開いたときには、図15で示すように、熱交換器5B、熱交換器5Cが表われ、さらに、プレフィルタ11をフィルタ支持部27から取り外すと、活性種生成装置15等が表われ、活性種生成装置15の着脱交換ができるようになっている。
【0082】
なお、フィルタ支持部27は、筐体3の上下方向に延びた帯状に形成されており、筐体3の幅方向で所定の間隔をあけて設けられている。
【0083】
活性種生成装置15は、仕切り部材29aを介して、熱交換器5Bと熱交換器5Cとに設置されるようになっている。仕切り部材29aには、たとえば金属で構成された帯状の薄板を曲げて形成された複数の爪部73が設けられている(図15、図16参照)。そして、各爪部73が、各熱交換器5B,5Cのフィン75の間に弾性変形して嵌り込むことによって(図16(b)参照)、活性種生成装置15が熱交換器5B,5Cに対して着脱自在になっている。これにより、活性種生成装置15の交換や熱交換器5B,5Cから取り外しての修理が容易になっている。
【0084】
なお、図15では、熱交換器5Bと熱交換器5Cとの間の間隙(孔)77が、筐体3の幅方向の中央部にのみ設けられており、その部分にのみが、活性種生成装置15が設置されるようになっているが、間隙77が、筐体3の幅方向の全長にわたって設けられていてもよい。この場合、活性種生成装置15を、図15で示すものよりも長く形成し、筐体3の幅方向の全長にわたって設けられている間隙77の全長にわたって、活性種生成装置15を設けることが望ましい。
【0085】
エアコン1によれば、活性種生成装置15,15aで生成した活性種をファン7に到達させるので、ファン7でのカビの発生を防ぐことができる。すなわち、エアコン1における冷房運転を中断することなく冷房運転を継続したままで、また、ファン7の清掃や交換等のメンテナンスをすることなく、エアコン1内部(特にファン7)でのカビの発生を長い期間(たとえば、エアコン1の耐用年数の期間)にわたって防止することができる。
【0086】
また、エアコン1によれば、活性種生成装置15,15aで生成した活性種を含む空気がファン7に直接到達するので、大量の活性種を生成することなく、カビの発生を効率良く防止することができる。
【0087】
また、エアコン1によれば、活性種生成装置15,15aが熱交換器5の下流側であってファン7の上流側に設けられているので、空気の温度調整を効率よく行うことができるとともに、最もカビの発生しやすい部位(ファン7)でのカビの発生を簡素な構成で防止することができる。
【0088】
ところで、金属やプラスチック等の障害物が、活性種生成装置15,15aの空気排出部21の周辺に存在していると、オゾン等の電荷を帯びていないものは障害物に付着しないが、電荷を帯びている酸素ラジカル等は障害物に付着してしまう。
【0089】
すなわち、活性種生成装置15,15aの設置場所として、図8〜図10に示すような場所を考えることができるが、図8〜図10に示す態様では、ファン7におけるカビの活性を防ぐことは困難である。
【0090】
つまり、図8で示すように、第1の内部空間31内でフィルタ支持部27に活性種生成装置15,15aを設けた構成であると、活性種生成装置15,15aから排出された活性種が、フィルタ支持部27や熱交換器5に付着してしまい、活性種がファン7までほとんど届かず、ファン7でのカビの発生を抑制することができない。
【0091】
また、図9で示すように、第2の内部空間33内で熱交換器5に活性種生成装置15,15aを設けた構成であって、同様にして、ファン7でのカビの発生を抑制することができない。
【0092】
さらに、図10で示すように、第2の内部空間33内で、熱交換器5A,5Bの間隙内に活性種生成装置15,15aを設けた構成であっても、ほとんどの活性種が熱交換器5A,5Bによって消滅してしまい、ファン7でのカビの発生を抑制することができない。
【0093】
しかし、図1、図6、図7等で示すエアコン1では、活性種生成装置15,15aの空気排出部21およびこの空気排出部21の周辺と、ファン7との間には、空気が存する空間のみが存在する構成であるので、電荷を帯びている酸素ラジカル等の活性種が確実にファン7まで届き、オゾンでは抑制できないカビを酸素ラジカル等の活性種で抑制することができる。
【0094】
また、エアコン1によれば、熱交換器5を通った空気のみが、活性種生成装置15,15aとファン7とを通るようになっているので、熱交換器5で冷やされていない空気が筐体3内部(ファン7が設置されている第3の内部空間35内)に入り込むことがなく、筐体3内部での結露の発生を防止することができ、カビの発生を一層効果的に抑制することができる。
【0095】
また、エアコン1によれば、熱交換器5を通った空気の一部が、活性種生成装置15,15aを通るようになっている。このように構成しても、カビの発生を抑制することができ、さらに、活性種生成装置15,15aは、空気流の抵抗にはほとんどなっていない。したがって、空気流が阻害されず効率の良い空気の流れを得ることができ、冷却効率等を良好な状態に維持することができる。
【0096】
ここで、活性種生成装置15(15a)を用いた、カビ発生の抑制試験結果について説明する。
【0097】
図11で示すように、ステンレススチール等で平板状に形成されたテストピース61に、カビ菌の菌濁液63を滴下し、活性種生成装置15(15a)によって、活性種を含んだ空気をテストピース61に所定の時間直接照射する。なお、図11で示す態様は、図1で示すエアコン1の態様をモデル化したものである。
【0098】
また、図13で示すように、ステンレススチール等で平板状に形成されたテストピース61に、カビ菌の菌濁液63を滴下し、活性種生成装置15(15a)によって、活性種を含んだ空気をテストピース61に所定の時間照射する。図13で示す態様では、活性種生成装置15(15a)とテストピース61との間に、熱交換器5が配置されており、図9で示した態様をモデル化したものである。
【0099】
図11、図13では、活性種生成装置15(15a)とテストピース61との間の距離が、50mm程度になっている。
【0100】
図11で示す態様で、空気を照射した菌濁液63の一部を抜き取り、25℃程度の温度で、1週間程度培養する。
【0101】
この培養により、図12で示す結果が得られた。図12の横軸は、空気の照射時間であり、図12の縦軸は、カビの量を示している。また、図12で示す線図G1は、空気の照射を行わない場合のものであり、図12で示す線図G2は、図11に示す態様で、空気を照射したものである。
【0102】
図12から理解されるように、活性種生成装置15(15a)で活性種を含んだ空気を生成し、この生成された空気を菌濁液63の直接照射することで、カビの発生を抑制することができる。
【0103】
なお、図13で示した態様では、図12で示す線図G1と同様にしてカビの発生を抑制することができなかった。
【符号の説明】
【0104】
1 エアコン(空気調和機)
5、5A、5B 熱交換器
7 ファン
15、15a 活性種生成装置
21 空気排出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器と、
空気流を生成するファンと、
活性種を含んだ空気が前記ファンに直接到達する位置に設けられた活性種生成装置と、
を有することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
請求項1に記載の空気調和機において、
前記ファンによる空気の流れ方向で、前記活性種生成装置は、前記熱交換器の下流側であって前記ファンの上流側に設けられていることを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の空気調和機において、
前記活性種生成装置の空気排出部およびこの空気排出部の周辺と前記ファンとの間には、空気だけが存する空間のみが存在する構成であることを特徴とする空気調和機。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の空気調和機において、
前記熱交換器を通った空気のみが、前記活性種生成装置と前記ファンとを通る構成であることを特徴とする空気調和機。
【請求項5】
請求項4に記載の空気調和機において、
前記熱交換器を通った空気の一部が、前記活性種生成装置を通る構成であることを特徴とする空気調和機。
【請求項1】
熱交換器と、
空気流を生成するファンと、
活性種を含んだ空気が前記ファンに直接到達する位置に設けられた活性種生成装置と、
を有することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
請求項1に記載の空気調和機において、
前記ファンによる空気の流れ方向で、前記活性種生成装置は、前記熱交換器の下流側であって前記ファンの上流側に設けられていることを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の空気調和機において、
前記活性種生成装置の空気排出部およびこの空気排出部の周辺と前記ファンとの間には、空気だけが存する空間のみが存在する構成であることを特徴とする空気調和機。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の空気調和機において、
前記熱交換器を通った空気のみが、前記活性種生成装置と前記ファンとを通る構成であることを特徴とする空気調和機。
【請求項5】
請求項4に記載の空気調和機において、
前記熱交換器を通った空気の一部が、前記活性種生成装置を通る構成であることを特徴とする空気調和機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−47352(P2012−47352A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186969(P2010−186969)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)
【Fターム(参考)】
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