説明

空気調和機

【課題】排水不良の前兆を予測することで、管理しやすい空気調和機を提供することを目的としている。
【解決手段】空調運転可能で、熱交換器で生じる凝縮水をドレン水として貯留するドレンパンが設けられている空気調和機において、ドレンパンに貯留されたドレン水を排水するドレンポンプと、ドレンポンプを制御するとともに、ドレンポンプに供給されている電流値とドレン水の排水状態の種類に応じて予め設定されている複数の第1の電流値の基準値とを比較する制御部と、を有し、制御部は、初期の正常な空調運転時におけるドレンポンプに供給されている電流値から複数の第1の電流値の基準値を算出し、比較した結果に基づいて排水状態の種類ごとにドレンポンプの排水不良の前兆の有無を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、熱交換器で生じるドレン水を貯留するドレンパンの水位を水位検知手段が検知して、その検知した水位に基づいてドレンポンプを運転し、ドレン水を排水する空気調和機が各種提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
空気調和機では、運転中に、ドレン水の粘度が高くなったり、ドレンポンプが故障したり、ドレンポンプに接続される排水経路に異物が詰まったりすること等が原因で、排水不良になる場合がある。このような場合、特許文献1に記載されているような空気調和機では、ドレンパン内の水位が上昇していき、当該水位検知手段が所定の水位を超えたことを検知すると、その検知結果に基づいて運転を停止して、ドレン水が、ドレンパンより溢れてしまうことを防止するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−141686号公報(例えば、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、排水不良によって空気調和機の運転が停止することでユーザーが排水不良と認識して、それからドレンポンプの修理に取り掛かるので、管理しにくくなってしまっており、空気調和機が復帰するまでの時間を多く要していた。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、排水不良の前兆を予測することで、管理しやすい空気調和機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る空気調和機は、空調運転可能で、熱交換器で生じる凝縮水をドレン水として貯留するドレンパンが設けられている空気調和機において、ドレンパンに貯留されたドレン水を排水するドレンポンプと、ドレンポンプを制御するとともに、ドレンポンプに供給されている電流値とドレン水の排水状態の種類に応じて予め設定されている複数の第1の電流値の基準値とを比較する制御部と、を有し、制御部は、初期の正常な空調運転時におけるドレンポンプに供給されている電流値から複数の第1の電流値の基準値を算出し、比較した結果に基づいて排水状態の種類ごとにドレンポンプの排水不良の前兆の有無を判断する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る空気調和機によれば、排水不良の前兆を予測するので、ユーザーが空気調和機を管理しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る空気調和機の概要構成例図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る空気調和機の概要構成例図である。
【図3】図2に示す空気調和機のドレンポンプのモーターの回路例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機100の概要構成例図である。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。空気調和機100は、排水不良の前兆を予測して、ユーザーに事前にメンテナンスを促す機能を有しているものである。つまり、空気調和機100は、排水不良で故障してしまい、空調運転ができなくなってしまう前に、ユーザーに、メンテナンスを促すことができる。
【0011】
[空気調和機100の冷媒回路構成]
まず、空気調和機100の冷媒回路構成について説明する。
空気調和機100は、室内機101及び室外機102を有している。
室内機101は、少なくとも室内熱交換器2を有している。この室内熱交換器2の近傍には、室内送風機3が付設されている。
【0012】
室内熱交換器2は、冷房運転時において、蒸発器として機能して空気を冷却し、暖房運転時において、凝縮器(放熱器)として機能して空気を加温するものである。この、室内熱交換器2は、例えば伝熱管と多数のフィンとにより構成されるクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器で構成するとよい。
【0013】
この室内送風機3は、室内機101内に室内空気を吸入し、室内熱交換器2により冷媒との間で熱交換した空気を空調空気として空調対象空間に供給するものである。この室内送風機3は、室内熱交換器2に供給する空調空気の流量を可変することが可能なファン等からなる。
【0014】
室外機102は、圧縮機4、室外熱交換器5及び絞り装置7を少なくとも有している。この室外熱交換器5の近傍には、室外送風機6が付設されている。
【0015】
圧縮機4は、運転容量を可変することが可能であり、例えばインバータにより制御されるモーター(図示省略)によって駆動される容積式圧縮機を用いる。この圧縮機4は、室外熱交換器5と室内熱交換器2の間に配置されている。
【0016】
室外熱交換器5は、冷房運転時において、凝縮器(放熱器)として機能して空気に放熱し、暖房運転時において、蒸発器として機能して空気を冷却するものである。この室外熱交換器5は、例えば伝熱管と多数のフィンとにより構成されるクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器で構成するとよい。
【0017】
この室外送風機6は、室外機102内に室外空気を吸入し、室外熱交換器5により冷媒との間で熱交換した空気を室外に排出するものである。室外送風機6は、室外熱交換器5に付設され、室外熱交換器5に供給する空気の流量を可変することが可能なファン等からなる。
【0018】
絞り装置7は、絞り開度が可変であり、冷媒回路内を流れる冷媒の流量の調節等を行うものである。この絞り装置7は、室外熱交換器5と室内熱交換器2の間に配置されている。
【0019】
そして、図1に示すように、圧縮機4、室外熱交換器5、絞り装置7及び室内熱交換器2は、この順番で環状に冷媒配管103で接続され、冷媒回路を構成している。したがって、空気調和機100は、冷媒回路に冷媒を循環させることで冷房又は暖房運転を行うことができるようになっている。なお、図1では、冷房運転時の冷媒回路を示しているが適宜四方弁(図示省略)で暖房運転に切り替えることができることは言うまでもない。
【0020】
空気調和機100では、特に冷房運転時において、室内熱交換器2の表面温度が低下することで、凝縮水13が室内熱交換器2の表面に生じ、ドレンパン9内にドレン水12として貯留される。このドレンパン9内に貯留されたドレン水12は、適宜ドレンポンプ10によって、排出されるようになっており、ドレン水12が、ドレンパン9から溢れて空調対象空間(図示省略、例えば室内等)に滴下することを防止している。以下に、室内機101の構成(冷媒回路以外の構成)について説明する。
【0021】
[室内機101の構成(冷媒回路以外の構成)]
図1に示すように、室内機101は、上述した室内送風機3の他に、ドレンパン9、ドレンポンプ10、回転数検知装置16、水位検知装置11、ドレン配管22、制御部60及び表示部70を有している。
【0022】
ドレンパン9は、室内熱交換器2で生じる凝縮水13をドレン水12として貯留するものである。ドレンパン9内のドレン水12は、室内熱交換器2から滴下した凝縮水13の分だけ増加し、ドレンポンプ10による排水分だけ減少する。ドレンパン9の設置される場所は、図1に示すように、室内熱交換器2の略鉛直下方向等とするとよい。
【0023】
ドレンポンプ10は、ドレンパン9内のドレン水12を室内機101の外部に排出するものである。ドレンポンプ10の設置される場所は、図1に示すように、ドレンパン9の鉛直上方向等とするとよい。このドレンポンプ10は、ケーシング20、モーター17、軸18、及び羽根車21を有している。
【0024】
ケーシング20は、ドレン水12を吸い込む吸水口14及びドレン水12を排出する吐出口15が形成されているものである。また、ケーシング20には、羽根車21が設けられている。吸水口14は、ドレンパン9内に貯留されているドレン水12を、ケーシング20内に吸い込むものである。吸水口14は、図1に示すように、例えばドレンパン9の底面と対向する位置に設けられているとよい。吐出口15は、ケーシング20内に吸い込まれたドレン水12を、ケーシング20外に排水するものである。なお、吐出口15は、ドレン配管22に接続されている。
【0025】
モーター17は、供給される電力によって軸18を回転させるものである。モーター17は、電源(図示省略)に接続されている。また、このモーター17も室内送風機3と同様に、制御部60によって制御されている。
【0026】
軸18は、モーター17と羽根車21を接続するものであり、モーター17の回転力を羽根車21に伝達するものである。つまり、軸18は、羽根車21と接続しているので、軸18の軸回転に連動して、羽根車21が回転するようになっている。
【0027】
羽根車21は、自身の回転によって、ドレン水12を、吸水口14を介してケーシング20内に吸い込み、吐出口15から排出するものである。羽根車21は、略円板形状をしており、その中心は、軸18と一致するように固定されているので、軸18の回転に伴って回転するようになっている。
【0028】
回転数検知装置16は、軸18の回転数を検知するものである。この回転数検知装置16は、検知した軸18の回転数を、回転数データAとして制御部60に送信するものである。また、回転数検知装置16は、例えば軸18に隣接するように設置されているとよい。なお、空気調和機100においては、軸18に磁石(図示省略)が取り付けられており、その磁石の回転によって生じる磁場の変化を回転数検知装置16で検知して、軸18の回転数を検知する方式であるものとして説明する。なお、軸18の回転数を検知する方式は、特に、上記方式に限定されるものではない。
【0029】
水位検知装置11は、ドレンパン9内に貯留されているドレン水12の水位を検知するものである。この水位検知装置11は、検知したドレンパン9内のドレン水12水位を、水位データCとして制御部60に送信するものである。また、水位検知装置11は、例えばドレンパン9の鉛直上方向に設置されているとよい。なお、回転数検知装置16によって軸18の回転数を検知することでドレンパン9内の水位を検知してもよいので、水位検知装置11が、設けられていなくてもよい。
【0030】
ドレン配管22は、吐出口15から排水されたドレン水12を室内機101の外部に排水するものである。ドレン配管22は、その一端が、吐出口15に接続されており、また、ドレン配管22の他端は、例えば空調対象空間外(例えば室外)に設置されているとよい。
【0031】
制御部60は、室内送風機3及びモーター17の回転と、表示部70の表示を制御するものである。この制御部60は、回転数検知装置16から回転数データAを受信し、回転数データAに基づいて、表示部70を制御するための排水不良表示信号A2を送信する。具体的には、制御部60は、回転数データAに基づいて、排水不良の前兆があるかを判断し、排水不良の前兆があると判断した場合に、表示部70に排水不良表示信号A2を送信するようになっている。なお、排水不良表示信号A2は、ドレンポンプ10が排水不良の前兆があることをユーザーに報知するために表示部70に表示するための制御信号である。
【0032】
また、この制御部60は、水位検知装置11から水位データCを受信し、水位データCに基づいて、表示部70を制御するための修理表示信号C2、室内送風機3及び圧縮機4を制御するため停止信号Dを送信する。具体的には、制御部60は、水位データCに基づいて、所定の水位より高くなっているか高くなっていないかを判断し、所定の水位より高くなっていると判断した場合には、表示部70に修理表示信号C2を送信し、室内送風機3及び圧縮機4には停止信号Dを送信する。
【0033】
なお、修理表示信号C2は、ドレンパン9内のドレン水12の水位が所定の値より高くなったことをユーザーに報知するために表示部70に表示するための制御信号である。また、停止信号Dは、ドレンパン9内のドレン水12の水位が上昇してドレンパン9からドレン水12が溢れないように、室内送風機3及び圧縮機4の運転を停止する制御信号である。
【0034】
表示部70は、制御部60から排水不良表示信号A2及び修理表示信号C2を受信することで、ユーザーにドレンポンプ10の排水不良の前兆について知らせて事前にメンテナンスを促したり、ドレンパン9内のドレン水12の水位が所定の値より高くなった場合にメンテナンスが必要であることを要求することで知らせたりするものである。なお、表示部70は、室内機101に設けられているものとして説明するが、リモコン(図示省略)等に設けられていてもよい。また、音声等で、ユーザーにメンテナンスを促したり、メンテナンスが必要であることを要求することを知らせたりしてもよく、表示部70が設けられていなくてもよい。
【0035】
[動作説明]
次に、空気調和機100の冷房運転におけるドレン水12の処理について説明する。
冷房運転を開始すると、室内熱交換器2の表面温度が低下する。そして、室内送風機3によって室内機101内に吸い込まれた空気は、室内熱交換器2に送り込まれて冷却される。この空気が露点温度以下になると、当該空気中の水分から凝縮水13が室内熱交換器2の表面に生じ、ドレンパン9内にドレン水12として貯留される。このドレンパン9内に貯留されたドレン水12は、適宜ドレンポンプ10によって排水される。その際に、軸18の回転数は、排水経路に詰まりが生じたり、ドレン水12の粘度が高くなったり、ドレンポンプ10の排水能力が低下したりすると、低下する。
【0036】
回転数検知装置16は、軸18の回転数を検知しており、その回転数に基づいた回転数データAを制御部60に送信する。この回転数データAが制御部60によって排水不良の兆候があると判断されると、制御部60は、表示部70に排水不良表示信号A2を送信する。この排水不良表示信号A2を受信した表示部70は、ユーザーにドレンポンプ10が排水不良の前兆があること報知する表示をする。ドレンポンプ10が排水不良になると上記のように、その前兆を予測して事前にメンテナンスをするように促すようになっている。
【0037】
また、仮に、ドレンパン9内のドレン水12の水位が所定の値まで上昇してしまった場合には、制御部60が、室内送風機3及び圧縮機4に停止信号Dを送信して室内送風機3及び圧縮機4の運転を停止し、また、表示部70に修理表示信号C2を送信して表示部70にメンテナンスが必要であることを要求することを報知するようになっている。
【0038】
[排水不良について]
排水不良とは、排水経路(ケーシング20及びドレン配管22)に詰まりが生じたり(排水状態S1)、ドレン水12の粘度が高くなったり(排水状態S2)、ドレンポンプ10の排水能力が低下したり(排水状態S3)ということが原因で、ドレンポンプ10の排水量が低下してしまうことである。空気調和機100において、制御部60は、軸18の回転数と予め設定されている回転数の基準値Vとを比較し、その比較結果に基づいて、ドレンポンプ10に排水不良(排水状態S1〜排水状態S3のいずれか)の前兆の有無を判断する。排水不良の前兆があるものと判断された場合には、制御部60が、排水不良の前兆があるという内容の表示をするように表示部70を制御して、ユーザーに報知するようになっている。
【0039】
ここで、仮に、モーター17を一定電圧で運転している場合において、吸水口14とドレンパン9の底面までの距離やドレン配管22の長さ(楊程)等で、排水不良の前兆があると判断するべき回転数が変わってしまう場合がある。このような場合には、空気調和機100の据付当初の正常運転をしている時の回転数から、回転数の基準値Vを算出してもよい。
【0040】
また、ドレンポンプ10を構成している部品を交換したり、ドレン配管22を交換したりした場合においても、排水不良の前兆があると判断する回転数が変わってしまう場合がある。このような場合には、制御部60を、設定されている回転数の基準値Vを決定、変更(更新)することができるようにすればよい。
【0041】
排水不良の前兆を判断すると、制御部60が、電源からモーター17に供給される電圧を大きくなるように制御して、モーター17の出力を向上させるようにしてもよい。このように、モーター17の出力を向上されることにより、実質的にドレンパン9内のドレン水12を排水することができなくなる排水状態S4(排水能力が許容値以下に低下)に至るまでの時間的な猶予を長くすることができる。
【0042】
さらに、制御部60が、ドレンポンプの排水不良(排水状態S1〜排水状態S3)の前兆だけでなく、排水が出来なくなってしまう排水状態S4を判断することができるように、回転数の基準値Vが2つ設けられてもよい。このように回転数の基準値Vを2つ設けることで、制御部60は、軸18の回転数が、第2の回転数の基準値V2より低くなった場合に、排水状態S4であると判断する。その後、制御部60は、排水状態S4であることを表示するように表示部70を制御して、ユーザーに報知するようになっている。また、制御部60は、ドレンポンプ10が、排水状態S4になっていると判断した場合には、室内送風機3及び圧縮機4の運転を停止(空調運転の停止)するように制御するものとする。よって、空気調和機100は、水位検知装置11で検知するドレンパン9内のドレン水12の水位ではなく、回転数検知装置16の回転数に基づいて運転停止を判断するので、水位検知装置11が必要なくなることは言うまでもない。
【0043】
なお、制御部60は、軸18の回転数と予め複数設定されている回転数の基準値を比較して、その比較結果に基づいて排水状態S1〜S4の内のいずれか1つだけの前兆の有無を判断するようになっていてもよい。また、逆に、制御部60は、軸18の回転数と予め設定されている一つの回転数の基準値を比較し、その比較結果に基づいて複数の排水状態の前兆の有無を判断するようになっていてもよい。(設けられる回転数の基準値の数は、特に、限定されるものではない。)
【0044】
[空気調和機100の有する効果]
空気調和機100は、ドレンポンプ10の回転数を検知することで、排水不良の前兆を予測するので、ユーザーが空気調和機100を管理しやすくなる。また、空気調和機100は、ドレンポンプ10の排水不良の前兆を予測するので、ドレンポンプ10の点検回数を低減することができることは言うまでもない。
【0045】
実施の形態2.
図2は、実施の形態2に係る空気調和機200の概要構成例図である。図3は、図2に示す空気調和機200のドレンポンプ10のモーター17の回路例である。なお、本実施の形態2では、実施の形態1と同一部分には同一符号とし、実施の形態1との相違点を中心に説明するものとする。
【0046】
図3に示すように、制御部201は、モーター17の回転数を制御するためのインバーター回路202、モーターに供給されている電流値を検知する電流検知部205と接続されている。この電流検知部205は、配線Kの位置に設けて磁束の変化から検知するようなものでもよい。図2に示すように、制御部201は、電流検知部205から電流値Fを受信し、電流値Fに基づいて、表示部70を制御するための排水不良表示信号A2を送信する。
【0047】
制御部201は、排水不良が進行するにつれて、回転数の低下を抑制するためにインバーター回路202のスイッチング周波数を高くして、モーター17の回転の低下を抑制するようにフィードバック制御をかける。つまり、ドレンポンプ10は、排水不良が進行するにつれて、供給される電流が大きくなるようになっている。それに伴い、モーター17に供給される電流値Fが適宜変化するので、その変化を検知することで、排水状態S1〜S4の前兆を判断する。つまり、空気調和機200において、制御部201は、モーター17に供給されている電流値Fと、予め設定されている電流値の基準値Iとを比較し、その比較結果に基づいて、ドレンポンプ10に排水不良(排水状態S1〜排水状態S3のいずれか)の前兆の有無を判断する。排水不良の前兆があるものと判断された場合には、制御部201が、排水不良の前兆があるという内容の表示をするように表示部70を制御して、ユーザーに報知するようになっている。なお、インバーター回路202は、制御部202内に設けられているものでものとして説明するが、特に、設けられる場所は限定されるものではない。
【0048】
ここで、モーター17を一定電圧で運転している場合において、吸水口14とドレンパン9の底面までの距離やドレン配管22の長さ(楊程)等で、排水不良の前兆があると判断する電流値が変わってしまう場合がある。このような場合には、空気調和機200の据付当初の正常運転をしている時の電流値から、電流値の基準値Iを算出してもよい。
【0049】
また、ドレンポンプ10を構成している部品を交換したり、ドレン配管22を交換したりした場合においても、排水不良の前兆があると判断する電流値が変わってしまう場合がある。このような場合には、制御部201を、設定されている電流値の基準値Iを決定、変更(更新)することができるようにすればよい。
【0050】
排水不良の前兆を判断すると、制御部201が、電源からモーター17に供給する電圧を大きくなるように制御して、モーター17の出力を向上させるようにしてもよい。このように、モーター17の出力を向上させることにより、実質的にドレンパン9内のドレン水12を排水することができなくなる排水状態S4(排水能力が許容値以下に低下)に至るまでの時間的な猶予を長くすることができる。
【0051】
さらに、制御部201が、ドレンポンプの排水不良(排水状態S1〜排水状態S3)の前兆だけでなく、排水が出来なくなってしまう排水状態S4を判断することができるように、電流値の基準値Vが2つ設けられてもよい。このように基準値Vを2つ設けることで、制御部201は、電流値Fが、第2の電流値の基準値I2より大きくなった場合に、排水状態S4であると判断する。その後、制御部201は、排水状態S4であることを表示するように表示部70を制御して、ユーザーに報知するようになっている。また、制御部201は、ドレンポンプ10が、排水状態S4になっていると判断した場合には、室内送風機3及び圧縮機4の運転を停止(空調運転の停止)するように制御するものとする。よって、空気調和機200は、水位検知装置11で検知するドレンパン9内のドレン水12の水位ではなく、ドレンポンプ10に供給される電流値Fに基づいて運転停止を判断するので、水位検知装置11が必要なくなることは言うまでもない。
【0052】
なお、制御部201は、ドレンポンプ10に供給される電流の電流値Fと予め複数設定されている電流値の基準値Iを比較し、その比較結果に基づいて排水状態S1〜S4の内のいずれか1つだけの前兆の有無を判断するようになっていてもよい。また、逆に、制御部201は、ドレンポンプ10に供給される電流の電流値Fと一つの電流値の基準値Iを比較し、その比較結果に基づいて複数の排水状態の前兆の有無を判断するようになっていてもよい。(設けられる電流の基準値Iの数は、特に、限定されるものではない。)
【0053】
[空気調和機200の有する効果]
空気調和機200は、ドレンポンプ10に供給される電流の値を検知することで、排水不良の前兆を予測するので、ユーザーが空気調和機200を管理しやすくなる。また、空気調和機200は、ドレンポンプ10の排水不良の前兆を予測するので、ドレンポンプ10の点検回数を低減することができることは言うまでもない。
【0054】
なお、実施の形態1、2に記載されている内容を適宜組み合わせてもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0055】
2 室内熱交換器、3 室内送風機、4 圧縮機、5 室外熱交換器、6 室外送風機、7 絞り装置、9 ドレンパン、10 ドレンポンプ、11 水位検知装置、12 ドレン水、13 凝縮水、14 吸水口、15 吐出口、16 回転数検知装置、17 モーター、18 軸、20 ケーシング、21 羽根車、22 ドレン配管、60 制御部、70 表示部、100 空気調和機、101 室内機、102 室外機、103 冷媒配管、200 空気調和機、201 制御部、202 インバーター回路、205 電流検知部、A 回転数データ、A2 排水不良表示信号、C 水位データ、C2 修理表示信号、D 停止信号、S1 排水状態、S2 排水状態、S3 排水状態、S4 排水状態、V 回転数の基準値、V2 第2の回転数の基準値、I 電流値の基準値、I2 第2の電流値の基準値、F 電流値、K 配線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調運転可能で、熱交換器で生じる凝縮水をドレン水として貯留するドレンパンが設けられている空気調和機において、
前記ドレンパンに貯留された前記ドレン水を排水するドレンポンプと、
前記ドレンポンプを制御するとともに、前記ドレンポンプに供給されている電流値とドレン水の排水状態の種類に応じて予め設定されている複数の第1の電流値の基準値とを比較する制御部と、
を有し、
前記制御部は、
初期の正常な空調運転時における前記ドレンポンプに供給されている前記電流値から前記複数の第1の電流値の基準値を算出し、
前記比較した結果に基づいて前記排水状態の種類ごとに前記ドレンポンプの排水不良の前兆の有無を判断する
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記制御部は、
前記複数の第1の電流値の基準値を変更することができる
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記制御部は、
前記ドレンポンプに排水不良の前兆があると判断したとき、前記ドレンポンプの回転数を上げるように制御する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記制御部は、
前記ドレンポンプに供給されている電流値が、前記複数の第1の電流値の基準値のいずれよりも大きい第2の電流値の基準値より大きい場合には、空調運転を停止する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記制御部は、
前記ドレンポンプに排水不良の前兆があると判断したとき、その前兆を報知する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−57503(P2013−57503A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−256708(P2012−256708)
【出願日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【分割の表示】特願2010−196101(P2010−196101)の分割
【原出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】