説明

空気調和機

【課題】放電ユニットの接点が汚れにくい構成を備えた空気調和機を提供する。
【解決手段】放電ユニットを備える空気清浄機100。放電ユニット200は、電位差のある正負2つの電極であるイオン化線及び電極板を有し、前記電極間で放電させる。放電ユニット200は、放電部200aと、接点部である第1接点端子及び第2接点端子とを有する。放電部200aは、空気の流路500に配置され、上記電極を保持する。接点部は、上記電極を高電圧電源に接続する。接点部は、上記流路500の外に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放電機能を有し室内から取り込んだ空気を清浄化することができる空気調和機が利用されている。放電機能は、針又は線状のイオン化電極と対向電極との間で放電を発生させることにより実現され、電気集塵や、マイナスイオン、強酸化物である活性種の生成等に利用されている。例えば、特許文献1(実開昭63−63129号公報)に記載の空気調和機は、吸気グリル部と、フィルタ体と、これら2つの空間を二層に分離するガイド板体と、電気集塵機能を発揮するイオン化部とを備え、イオン化部は、ガイド板体の端部と本体との間に形成される二層空間通気路に配置されている。以下、当該イオン化部のように放電機能を発揮させるための部分を放電ユニットとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、放電ユニットは、吸い込まれた空気の流路に配置されるため、放電ユニットに空気中の汚れが付着する。放電ユニットの電源に接続するための接点である端子に汚れが付着すると、接触不良等の問題の原因となり、好ましくない。特許文献1に記載の空気調和機では、接点端子は、一応、取り付けケースの背面に位置するようになっている。しかし、当該ケース全体が、吸気口から吸い込まれた後、ガイド板にガイドされて左右両側に別れて流れてきた空気が突き当たる場所に位置するため、空気が当該ケースを回りこみ、接点端子のある空間に流入してしまう。このため、接点端子の汚れ防止という観点では、不十分な構成となっている。
【0004】
そこで、本発明の課題は、放電ユニットの接点が汚れにくい構成を備えた空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る空気調和機は、放電ユニットを備える。放電ユニットは、電位差のある正負2つの電極を有し、前記電極間で放電させる。放電ユニットは、放電部と、接点部とを有する。放電部は、空気の流路に配置され、上記電極を保持する。接点部は、上記電極を電源に接続する。接点部は、上記流路の外に配置される。ここで、空気の流路とは、空気調和機内に空間を形成する部材にガイドされて、吸込口等の開口から空気を空気調和機内に吸い込むファンまで、なるべく最短経路を通って流れようとする空気の経路である。
【0006】
本発明の第1観点に係る空気調和機では、放電ユニットの接点部は、空気の流路の外に配置される。したがって、放電ユニットの接点が汚れにくい構成を備えた空気調和機を提供することができる。
【0007】
本発明の第2観点に係る空気調和機は、第1観点に係る空気調和機であって、本体側接点とフランジ部とをさらに備える。本体側接点は、挿入孔を有する。挿入孔には、電極を電源に接続するために接点部が挿入される。フランジ部は、接点部が挿入孔に挿入された状態において接点部と挿入孔との間の隙間を覆う。
【0008】
本発明の第2観点に係る空気調和機では、接点部が本体側接点の挿入孔に挿入された状態において接点部と挿入孔との間の隙間を覆う。これにより、吸い込まれた空気が接点になるべく触れないようにできる。
【0009】
本発明の第3観点に係る空気調和機は、第2観点に係る空気調和機であって、接点部とフランジ部とが、一体化される。
【0010】
本発明の第3観点に係る空気調和機では、吸い込まれた空気が接点になるべく触れないようにできる。
【0011】
本発明の第4観点に係る空気調和機は、第2観点又は第3観点に係る空気調和機であって、本体と前パネルとをさらに備える。本体は、放電ユニットを収納する。前パネルは、本体の正面を覆う板状である。前パネルは、フランジ部を押圧する。
【0012】
本発明の第4観点に係る空気調和機では、フランジ部が前パネルにより押圧される。これにより、吸い込まれた空気が接点になるべく触れないようにできる。
【0013】
本発明の第5観点に係る空気調和機は、第1観点から第4観点のいずれかに係る空気調和機であって、放電ユニットは、放電ユニットを手で掴むための把持部をさらに有する。把持部は、放電部と接点部との間にある。
【0014】
本発明の第5観点に係る空気調和機では、放電部と接点部との間にある把持部を持つことにより放電ユニットを手で掴むことができる。これにより、放電ユニットを取り扱い易くできる。
【0015】
本発明の第6観点に係る空気調和機は、第1観点から第5観点のいずれかに係る空気調和機であって、放電ユニットは、放電部を覆うケーシングをさらに有する。ケーシングには、水抜き穴が形成される。
【0016】
本発明の第6観点に係る空気調和機では、放電部を覆うケーシングには、水抜き穴が形成されているので、放電ユニット内に水がたまりにくくすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1観点に係る空気調和機では、放電ユニットの接点が汚れにくい構成を備えた空気調和機を提供することができる。
【0018】
本発明の第2観点から第4観点に係る空気調和機では、吸い込まれた空気が接点になるべく触れないようにできる。
【0019】
本発明の第5観点に係る空気調和機では、放電ユニットを取り扱い易くできる。
【0020】
本発明の第6観点に係る空気調和機では、放電ユニット内に水がたまりにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の1実施形態に係る空気清浄機の正面斜視図
【図2】本発明の1実施形態に係る空気清浄機の側面視図
【図3】本発明の1実施形態に係る空気清浄機における送風の経路を示す概念図
【図4】本発明の1実施形態に係る空気清浄機の分解図
【図5】放電ユニットの外観図
【図6】放電ユニットのケーシング見開き図
【図7】図6の放電ユニットのVII−VII断面図
【図8】図5の放電ユニットのVIII−VIII断面図
【図9】接点ユニットの正面斜視図
【図10】図1の空気清浄機のX−X断面図
【図11】図1の空気清浄機のXI−XI断面図
【図12】本発明の1実施形態に係る空気清浄機における空気の流路を示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0023】
(1)空気調和機の概要構成
本発明の一実施形態に係る空気調和機は、空気清浄機100である。空気清浄機100は、本体100aと当該本体100aを覆う複数のケーシング部材から構成されている。本体100aには、後述する放電ユニット200、フィルタ部310、加湿部320、シロッコファン350、及びストリーマ放電ユニット340等が収納されている。
【0024】
(1−1)外観
図1は、当該空気清浄機100の正面斜視における外観正面斜視図である。空気清浄機100の正面は、ケーシング部材の1つである合成樹脂製の前パネル102に覆われている。正面の下方には、前パネル102に覆われていない部分があり、当該部分に下吸込口113が設けられている。図2は、空気清浄機100の側面視における外観側面視図である。図2において、空気清浄機100の側面の一部は、ケーシング部材の1つである合成樹脂製の側方吸込口形成部材103により覆われている。側方吸込口形成部材103には、空気を取り込む第1側方吸込口111が縦方向に延びるように形成されている。つまり、第1側方吸込口111は、縦の寸法の方が、横の寸法よりも大きい。また、図示されていないが、空気清浄機100の反対側の側面の一部も同様に側方吸込口形成部材103により覆われている。側方吸込口形成部材103には、第1側方吸込口111に対向する位置に第2側方吸込口112が縦方向に延びるように形成されている。第2側方吸込口112の縦横の寸法は、第1側方吸込口111の寸法と同じである。以下、第1側方吸込口111及び第2側方吸込口112を指す場合は、側方吸込口110とし、側方吸込口110及び下吸込口113の全てを指す場合は、単に吸込口とする。
【0025】
空気清浄機100内に吸い込まれた空気が吹き出される吹出口114は、図1及び図4に示されているように空気清浄機100の上面に設けられている。
【0026】
なお、下吸込口113は、前パネル102に形成されていても良く、また、前パネル102と側方吸込口形成部材103とは、一体化された1つのケーシング部材であってもよい。
【0027】
(1−2)空気の流れ
図3は、空気清浄機100における塵埃の除去および分解の概念を説明するための概念図である。図3において、シロッコファン350によって吸込口から吹出口114に至る空気の流れ501が発生する。吸込口から吸込まれた室内空気は、フィルタ部310で塵埃や臭い成分などが取り除かれ、シロッコファン350から清浄な空気が吹き出される。
【0028】
(2)詳細構成
(2−1)放電ユニット
図4は、空気清浄機100から前パネル102等のケーシング部材の一部を取り外した分解図である。この図に示されているように、放電ユニット200は、横よりも縦が長い筒状の形状をしており、第1側方吸込口111及び第2側方吸込口112の近傍に1つずつ、それぞれの側方吸込口110に沿って立てた状態で、着脱可能に設置されている。放電ユニット200の縦横それぞれの寸法は、側方吸込口110の縦横それぞれの寸法よりも大きく、放電ユニット200は側方吸込口形成部材103と、その間になるべく隙間ができないように接しているので、側方吸込口110から吸い込まれる空気は、全て放電ユニット200を通るように構成されている。放電ユニット200は、吸い込まれた空気の中に浮遊している比較的小さな塵埃を帯電させる。
【0029】
以下、上或いは上端とは、放電ユニット200が空気清浄機100に縦に装着された状態における上或いは上端を指し、下或いは下端とは、同じく放電ユニット200が空気清浄機100に縦に装着された状態における下或いは下端を指すものとする。また、第1側方吸込口111の近傍に配置される放電ユニット200を第1放電ユニット201とし、第2側方吸込口112の近傍に配置される放電ユニット200を第2放電ユニット202とする。第1放電ユニット201と第2放電ユニット202とは、基本的に同じ構成を有するので、以下、第1放電ユニット201について説明し、第2放電ユニット202についての説明は省略する。
【0030】
<放電部>
図5〜図8を参照しながら、第1放電ユニット201について説明する。なお、以下、上とは、第1放電ユニット201が空気清浄機100に装着された状態での上であり、下とは、装着された状態での下である。
【0031】
図5は、第1放電ユニット201の外観図である。第1放電ユニット201は、縦に長い筒状の形状をした合成樹脂製のケーシング210を有する。図6に示されているように、ケーシング210は、ケーシング第1部211及びケーシング第2部212の2つに縦に分かれており、ケーシング第1部211とケーシング第2部212とは、ヒンジ213で繋がれている。
【0032】
ケーシング第1部211は、正負2つの電極のうちの正極であるタングステン製のイオン化線231を保持する。負極は、ケーシング第2部212により保持されている。負極は、ステンレス金属製の板状の電極(電極板232)である。
【0033】
図7は、ヒンジ213を開いた状態での第1放電ユニット201の断面図である。ケーシング第1部211は、縦方向に長く、横断面が半円に近い形状をしている。ここで、当該略半円形状の凹湾曲面をケーシング第1部211の内側、当該略半円形状の凸湾曲面をケーシング第1部211の外側とする。また、外側から観た場合の左右をケーシング第1部211の左右とする。ケーシング第1部211の下端の近傍の内側には、ブリッジ217が設けられている。ブリッジ217は、図7に示されているように、ケーシング第1部211が形成する空間から外に突出した部材であり、その先端付近の両側にはそれぞれ、イオン化線231を嵌合するための窪みが形成されている。ケーシング第1部211の上端には、イオン化線231の一端が取り付けられている。イオン化線231は、ケーシング第1部211の上端から、下端近傍の上記ブリッジ217まで延びている。イオン化線231は、ブリッジ217の先端付近両側の窪みに嵌合し、当該先端を半周して、ケーシング第1部211の上端に向けて折り返す。イオン化線231は、ケーシング第1部211の上端まで延び、ケーシング第1部211の上端に戻ってきたイオン化線231の端は、ケーシング第1部211の上端に取り付けられている。すなわち、イオン化線231は、U字状に設置されている。
【0034】
ケーシング第2部212は、縦方向に長く、図7に示されているように横断面が凹型形状をしている。ここで、当該凹型形状の凹面をケーシング第2部212の内側、当該凹型形状の凹面と反対側の面をケーシング第2部212の外側とする。また、外側から観た場合の左右をケーシング第2部212の左右とする。ケーシング第2部212の内側には、負極である電極板232が取り付けられている。電極板232は、ケーシング第2部212の長手方向に並行な3つの対向する壁を形成するように成形されている。ここで、説明の便宜上、当該3つの壁のうち、真ん中に位置する壁を中壁232b、当該中壁232bの左右に位置する壁をそれぞれ左壁232c、右壁232aとする。左壁232cと右壁232aは、ケーシング第2部212が形成する空間内に収まっている。一方、中壁232bは、当該空間から数ミリ程度外に出ている。なお、ケーシング第2部212の下端には、図6に示されているように、水抜き穴218が設けられており、ケーシング内に水が溜まらないようになっている。
【0035】
図6に示すように、ヒンジ213は、ケーシング第1部211の左側と、ケーシング第2部212の右側とをつなぎとめている。ここで、右或いは左とは、ケーシング第1部及びケーシング第2部の外側から観た場合の右或いは左である(以下同様)。ケーシング第1部211とケーシング第2部212とを繋ぐヒンジ213を閉じると、図8に示すように、ケーシング第1部211の縁とケーシング第2部212の縁とが接するようになっている。ヒンジ213が閉じられた状態では、イオン化線231は、ケーシング第2部212により形成された空間に位置し、中壁232bをU字状に囲む。また、当該U字状のイオン化線231は、外側から左壁232c及び右壁232aに囲まれた状態になる。即ち、イオン化線231は、左壁232cと中壁232bとの間、及び中壁232bと右壁232aとの間に位置し、それぞれの壁に並行な状態で、当該壁と放電に適切な一定の距離を保って位置する。
【0036】
イオン化線231に高電圧を印加すると、当該2つの電極間に電位差が生じ、イオン化線231と電極板232とが対向している部位において、当該2つの電極間で1種のコロナ放電が生じる。放電ユニット200の当該放電が起こる部位を放電部200aと呼ぶ。
【0037】
放電部200aを覆う部位では、ケーシング第1部211及びケーシング第2部212は、図5に示すように格子状になっている。また、ケーシング第1部211の当該格子状になった部分の外側は、図示しないがプレフィルタにより覆われている。吸い込まれた空気は、当該格子状になった部分からケーシング210内に入り込み、放電部200aを通過する。通過する空気中の塵埃は、放電により帯電する。
【0038】
<把持部>
ケーシング第1部211及びケーシング第2部212のうち放電部200aを覆う部位の上に位置する部位は、把持部200bと呼ばれる。把持部200bにおいては、ケーシング第1部211及びケーシング第2部212は、格子状になっておらず、ケーシング第1部211は、手で掴みやすいように少し凹んでいる。即ち、ケーシング第1部211は、把持部200bにおいて、その半円形状をした横断面の半径が、上記放電部200aを覆う部位よりも小さくなっている。把持部200bは、側方吸込口形成部材103の外側から観た場合、側方吸込口形成部材103の後方に重なって位置しており、第1側方吸込口111から流入する空気に直接あたらない。このため、把持部200bには、塵埃が付着しにくく、汚れにくくなっている。したがって、利用者は、把持部200bを掴むことにより手を汚さずに第1放電ユニット201を着脱できるようになっている。
【0039】
<接点部>
次に、図6を参照しながらイオン化線231及び電極板232からなる電極と高電圧電源を有する回路との接点について説明する。
【0040】
ケーシング第1部211の上端からは、横断面がT字型に近い形状をした合成樹脂製の接点部材(以下、第1接点部材214とする)が突出している。第1接点部材214は、ケーシング第1部211の上端の縦方向の中心線よりも右よりに付いている。第1接点部材214は、本体214aとフランジ部216aとからなる。図6に示されているように、第1接点部材本体214aの左側には、2つの板状突出部が設けられている。当該2つの突出部は、正極の接点端子(以下、第1接点端子233とする)であり、正極であるイオン化線231の両端それぞれからハーネスが当該各突出部のいずれか異なる1つの先まで延びている。第1接点部材本体214aの右側は、板状のフランジ部216aと接合している。フランジ部216aの平面は、第1接点部材本体214aの平面と略直角をなすように構成されている。即ち、第1接点部材本体214aとフランジ部216aが接合している部分の横断面は、T字型に近い形状になっている。
【0041】
また、ケーシング第2部212の上端からは、横断面がT字型に近い形状をした合成樹脂製の接点部材(以下、第2接点部材215とする)が突出している。第2接点部材215は、ケーシング第2部212の上端の縦方向の中心線よりも左よりに付いている。第2接点部材215は、本体215aとフランジ部216bとからなる。第2接点部材本体215aの右端に沿って、負極である電極板232の一部が板状に延びており、負極の接点端子(以下、第2接点端子234とする)を形成している。第2接点部材本体215aの左側は、板状のフランジ部216bと接合している。フランジ部216bの平面は、第2接点部材本体215aの平面と略直角をなすように構成されている。即ち、第2接点部材本体215aとフランジ部216bが接合している部分の横断面は、T字型に近い形状になっている。
【0042】
なお、ケーシング第1部211とケーシング第2部212とを繋ぐヒンジ213が閉じると、第1接点部材214のフランジ部216aと第2接点部材215のフランジ部216bとは、1つのフランジ216を形成する。
【0043】
なお、上記第1接点端子233と第2接点端子234を合わせて接点部と呼ぶ。
【0044】
<第2放電ユニット>
第2放電ユニット202は、次の点を除いては、第1放電ユニット201と同じ構成を有している。すなわち、ケーシング第1部211とケーシング第2部212とは、第2放電ユニット202では、第1放電ユニット201とは反対側(ケーシング第1部211の右側及びケーシング第2部212の左側)でヒンジ213により繋がれている。また、第1接点部材214及び第2接点部材215がついている位置も第1放電ユニット201とは、反対側(ケーシング第1部211の縦方向の中心線よりも左側、ケーシング第2部212の縦方向の中心線よりも右側)よりである。第1接点端子233は第1接点部材本体214aの右側に突出している。第1接点部材214及び第2接点部材215のフランジ部216a、216bもそれぞれ第1接点部材本体214aの左側及び第2接点部材本体215aの右側に設けられている。
【0045】
<放電ユニットの装着>
再び図4に戻ると、空気清浄機100の本体の正面の上部には、接点ユニット301が配置されている。図9は、上を覆うカバーを外した状態の接点ユニット301の正面斜視図である。接点ユニット301には、放電ユニット200を高電圧電源に接続する回路を構成するハーネスが収納されている。接点ユニット301の前面には、縦スリット302が当該前面の左右両側に2つずつ計4つ設けられている。放電ユニット200は、第1接点端子233及び第2接点端子234が、接点ユニット301の前面に設けられた各縦スリット302に挿入され、取り付けられる。当該縦スリット302内には、クリップ状のハーネス端子303が設けられている。第1接点端子233及び第2接点端子234が縦スリット302に挿入されると、当該ハーネス端子303に挟まれるようになっている。これにより、放電ユニット200の電極、即ちイオン化線231及び電極板232が高電圧電源を含む回路と接続される。
【0046】
<接点の汚れ防止>
図11は、放電ユニット200が空気清浄機100に装着された状態における空気清浄機100の接点ユニット301が設置されている部位における横断面の前方部分の図である。第1接点端子233及び第2接点端子234が、接点ユニット301の前面に設けられた縦スリット302に挿入され、放電ユニット200が接点ユニット301に取り付けられた状態では、縦スリット302と放電ユニット200の第1接点端子233或いは第2接点端子234との間の隙間は、図11に示すとおり放電ユニット200のフランジ216により覆われる。これにより、第1接点端子233及び第2接点端子234は、縦スリット302の中にほぼシールされ、汚れが付きにくくなる。
【0047】
前パネル102には、前パネル102の内側に突出した4つの突起部102aが設けられている。突起部102aは、前パネル102を空気清浄機100の前面に取り付けた際に、装着されている2つの放電ユニット200それぞれのフランジ216と対向する位置に、2つずつ設けられている。したがって、前パネル102を空気清浄機100の前面に取り付けた状態では、図11に示されているように、2つの放電ユニット200それぞれのフランジ216は、前パネル102に設けられた各2つの突起部102aにより接点ユニット301の前面に対して押圧される。これにより、第1接点端子233及び第2接点端子234が挿入された、縦スリット302内の空間がより確実にシールされ、汚れがより付きにくくなる。
【0048】
図10は、空気清浄機100を接点ユニット301よりも下の位置で横に切断した断面図である。空気清浄機100を接点ユニット301が設置されている位置で横に切断した断面図である図11と、図10を見比べると分かるように、接点ユニット301の設置されている位置では、その前面を覆う前パネル102との間にほとんど隙間が存在しないのに対し、接点ユニット301の下方には、比較的大きな空間が存在する。ここで、空間とは、何も構造物が存在しないことを意味する。当該空間は、その平面は、前パネル102、プレフィルタ311、及び2つの放電ユニット200により囲われており、その上下は、空気清浄機100本体100a内部の底とプレフィルタ311より少し上に位置する接点ユニット301の底とに囲われている。前パネル102とプレフィルタ311との間の距離は、少なくとも4cmあることが好ましく、本実施形態では、当該距離は、約4cmである。2つの放電ユニット200間の距離は、約24cmである。当該空間の高さは、プレフィルタ311の縦の寸法以上である。当該空間は、吸込口から吸い込まれ、フィルタ部310の後方に設けられたシロッコファン350に向けて流れる空気の流路になっている。ここで、空気の流路とは、空気調和機内に空間を形成する部材にガイドされて、吸込口等の開口からシロッコファン350等の空気を空気調和機内に吸い込むファンまで、なるべく最短経路を通って流れようとする空気の経路である。
【0049】
空気清浄機100における空気の流れる様子を図示すると図12のようになる。図中の500は、空気の流れ、つまり空気の流路500を示している。即ち、空気清浄機100の前面下方に設けられた下吸込口113から吸い込まれた空気は、上記空間に流れこみ、プレフィルタ311の方へ真っ直ぐ流れる。左右の側方吸込口110から吸い込まれる空気は、側方吸込口形成部材103によりガイドされて、2つの放電ユニット200のいずれかの放電部200aを通過した後、当該空間に流れこみ、プレフィルタ311の方へ進路を曲げて流れる。
【0050】
放電ユニット200の放電部200aは、図12に示されているように空気の流路500の中に配置されている。他方、図12に示されているように、第1接点端子233及び第2接点端子234を覆うフランジ216は、空気の流路500から上に外れている。つまり、放電ユニット200の接点部である第1接点端子233及び第2接点端子234は、空気の流路500の外にある。これは、第1接点端子233及び第2接点端子234が挿入される接点ユニット301前面の縦スリット302が、上記空間の上に外れて位置するからである。接点ユニット301は、シロッコファン350までなるべく最短経路を通ろうとする空気の流れを遮るような位置にもないから、空気が接点ユニット301前面に回りこむことも少ない。また、さらには、上述したとおり縦スリット302は、フランジ216により覆われている。したがって、第1接点端子233及び第2接点端子234が挿入される接点ユニット301前面の縦スリット302には、吸込口から吸い込まれた空気が流入することは、ほとんど無く、第1接点端子233及び第2接点端子234には、汚れが付着しにくい。
【0051】
(2−2)他の構成要素
空気清浄機100の他の構成要素を以下に説明する。
【0052】
(2−2−1)フィルタ部
図3に示されているように、フィルタ部310は、プレフィルタ311とHEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルタ312と脱臭エレメント313とで構成されている。まず、プレフィルタ311によって大きな塵埃が取り除かれる。次に、HEPAフィルタ312によってさらに微細な塵埃が取り除かれる。さらに、HEPAフィルタ312を通過した空気は、活性炭などを含む脱臭エレメント313によってホルムアルデヒドや臭い成分などが分解され、或いは吸着される。
【0053】
(2−2−2)ストリーマ放電ユニット
シロッコファン350から吹き出される空気のうちの一部が、図3に示す支流502としてストリーマ放電ユニット(図4及び図9において接点ユニット301に装着されている340)に送られる。この支流502がストリーマ放電ユニット340を通過するときに、ストリーマ放電によって活性種が供給される。活性種の供給された支流502は、複数の分流となって放出口331からプレフィルタ311の前に吹き出される。
【0054】
複数の分流は、プレフィルタ311から吸い込まれる室内空気に合流してHEPAフィルタ312及び脱臭エレメント313にまで到達する。脱臭エレメント313にまで達する活性種によって消臭効果が高められる。
【0055】
ストリーマ放電ユニット340は、正極であるタングステン製の針状の電極と、当該針状電極の近傍に位置し、当該電極に対向する板状の電極(対向電極)を有する。針状電極に高電圧を印加することによりプラズマ放電の一種であるストリーマ放電が発生する。当該放電発生の際に酸化分解力の高い活性種が生成される。
【0056】
生成された活性種を含む空気は、図3に示すような2つの鉛直風通路部材330へ流入する。空気清浄機100の第1側方吸込口111及び第2側方吸込口112は、上述のとおり鉛直方向に長い開口であるが、2つの鉛直風通路部材330は第1側方吸込口111及び第2側方吸込口112に沿って配置されている。各鉛直風通路部材330には、複数の放出口331が第1側方吸込口111及び第2側方吸込口112の鉛直方向に沿うように形成されている。鉛直風通路部材330へ流入した活性種を含む空気は、当該放出口331からフィルタ部310のプレフィルタ311の前に吹き出される。
【0057】
(2−2−3)加湿部320
加湿部320は、加湿ロータ321や水トレイ322などを備えている。脱臭エレメント313を通過した空気は、加湿部320の加湿ロータ321を通過する。加湿ロータ321を空気が通過する際に、加湿ロータ321から空気中に水分が放出される。放出されることによって減少する水分を補うため、加湿ロータ321は、水トレイ322から水の供給を受ける。水トレイ322には、鉛直通風路部材330に設けられた上記放出口331の1つから活性種を含む空気が導入される。
【0058】
(3)空気清浄動作
図3を参照しながら、空気清浄機100による空気清浄作用について説明する。第1側方吸込口111及び第2側方吸込口112から吸い込まれた空気は、放電ユニット200に到達する。そこで、放電ユニット200のケーシング第1部211の外側に設けられたプレフィルタにより比較的大きなホコリや塵が空気中から除去される。次に、空気は放電ユニット200の放電部を通過する。その際、空気に含まれる塵埃等がプラス電荷に帯電する。そして、空気は、フィルタ部310に到達する。他方、下吸込口113から吸い込まれた空気は、フィルタ部310に到達する。
【0059】
フィルタ部310では、空気は先ず、プレフィルタ311を通過する。その際、比較的大きなホコリや塵が、プレフィルタ311により空気中から除去される。また、プレフィルタ311に含まれる光触媒とカテキンとの作用により、プレフィルタ311の繊維に付着した塵埃などに含まれるカビ菌や細菌などの菌やウィルスの繁殖が抑制されるとともに、ウィルスが不活化される。
【0060】
プレフィルタ311を通った空気は、HEPAフィルタ312を通過する。当該空気中の帯電した塵埃等は、HEPAフィルタ312に吸着される。
【0061】
HEPAフィルタ312を通過した空気は、脱臭エレメント313を通過し、この際脱臭される。
【0062】
その後、当該空気は、加湿部320の加湿ロータ321に到達する。空気は、加湿ロータ321を通過し、加湿される。
【0063】
フィルタ部310及び加湿ロータ321を通過して清浄された空気は、吹出口114から室内へと吹き出される。また、清浄された空気の一部は、室内へと吹き出されることなく支流502となって、ストリーマ放電ユニット340へ導入される。
【0064】
ストリーマ放電ユニット340におけるストリーマ放電により活性種が生成される。活性種を含む空気は、2つの鉛直通風路部材330内を通り、各鉛直通風路部材330に形成された複数の放出口331からプレフィルタ311の前に放出される。活性種を含む空気は、吸込空気と混ざり合ってプレフィルタ311及びHEPAフィルタ312に吸い込まれる。これらの活性種を含んだ空気は、ウィルスやカビ菌、細菌などを不活化または死滅させる。
【0065】
(4)特徴
(4−1)
上記実施形態では、放電ユニット200の第1接点端子233及び第2接点端子234は、接点ユニット301の前面に設けられた縦スリット302に挿入されており、空気の流路500の外に位置している。したがって、放電ユニット200の接点が汚れにくい構成を備えた空気清浄機100を提供することができている。
【0066】
(4−2)
上記実施形態では、第1接点端子233及び第2接点端子234が接点ユニット301の縦スリット302に挿入され、放電ユニット200が装着された状態では、縦スリット302と第1接点端子233或いは第2接点端子234との間の隙間は、フランジ216により覆われている。また、フランジ216は、第1接点端子233及び第2接点端子234と一体化されている。これにより、吸い込まれた空気がなるべく接点に触れないようにできている。
【0067】
(4−3)
上記実施形態では、フランジ216が前パネル102の内側に設けられた突起部102aにより押圧されている。これにより、吸い込まれた空気が接点になるべく触れないようにできている。
【0068】
(4−4)
上記実施形態では、放電ユニット200は、手で掴みやすいように少し凹んだ把持部200bを有する。把持部200bは、側方吸込口110から流入する空気に直接あたらない位置にあり、塵埃が付着しにくく、汚れにくくなっている。これにより、把持部200bを持つことにより放電ユニットを手で掴むことができ、放電ユニットを取り扱い易くなっている。
【0069】
(4−5)
上記実施形態では、放電部を覆うケーシング第2部212には、底に水抜き穴218が形成されている。これにより、放電ユニット200内に水がたまりにくくなっている。
【0070】
(5)変形例
(5−1)変形例1A
上記実施形態では、空気調和機は、空気清浄機100であった。しかし、他の実施形態においては、空気調和機は、ルームエアコン、業務用エアコン等、どのような空気調和機でもよい。
【0071】
(5−2)変形例1B
上記実施形態では、放電ユニット200は、電気集塵機能を発揮するものであった。しかし、他の実施形態においては、他の機能を発揮するものでも良い。例えば、放電ユニット200は、ストリーマ放電ユニット340のようにストリーマ放電を発生させ、強酸化物である活性種を生成するものでもよい。また、マイナスイオンを生成するものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、放電機能を搭載した空気調和機に利用可能である。
【符号の説明】
【0073】
100 空気清浄機(空気調和機)
100a 本体
102 前パネル
200 放電ユニット
200a 放電部
200b 把持部
210 ケーシング
211 ケーシング第1部
212 ケーシング第2部
216 フランジ(フランジ部)
218 水抜き穴
231 イオン化線(電極)
232 電極板(電極)
233 第1接点端子(接点部)
234 第2接点端子(接点部)
301 接点ユニット(本体側接点)
302 縦スリット(挿入孔)
500 空気の流路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【特許文献1】実開昭63−63129号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電位差のある正負2つの電極(231,232)を有し、前記電極(231,232)間で放電させる放電ユニット(200)、
を備え、
前記放電ユニット(200)は、
空気の流路(500)に配置され、前記電極(231,232)を保持する放電部(200a)と、
前記電極(231,232)を電源に接続する接点部(233,234)と、
を有し、
前記接点部(233,234)が、前記流路(500)の外に配置された、
空気調和機(100)。
【請求項2】
前記電極(231,232)を電源に接続するために前記接点部(233,234)が挿入される挿入孔を有する本体側接点と、
前記接点部(233,234)が前記挿入孔に挿入された状態において前記接点部(233,234)と前記挿入孔との間の隙間を覆うフランジ部(216)と、
をさらに備えた、
請求項1に記載の空気調和機(100)。
【請求項3】
前記接点部(233,234)と前記フランジ部(216)とが、一体化された、
請求項2に記載の空気調和機(100)。
【請求項4】
前記放電ユニット(200)を収納する本体(100a)と、
前記本体(100a)の正面を覆う板状の前パネル(102)と、
をさらに備え、
前記前パネル(102)は、前記フランジ部(216)を押圧する、
請求項2又は3に記載の空気調和機(100)。
【請求項5】
前記放電ユニット(200)は、前記放電部(200a)と前記接点部(233,234)との間に、前記放電ユニット(200)を手で掴むための把持部(200b)をさらに有する、
請求項1〜4のいずれかに記載の空気調和機(100)。
【請求項6】
前記放電ユニット(200)は、前記放電部(200a)を覆うケーシング(210)をさらに有し、
前記ケーシング(210)には、水抜き穴(218)が形成された、
請求項1〜5のいずれかに記載の空気調和機(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−7552(P2013−7552A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142217(P2011−142217)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】