説明

空気調和機

【課題】空調室内機やリモコンに設置されている温度センサは、通常測温部がパッケージの通風口を通して入ってくる空気温度を測定するようになっている。通風口に入る空気量は限られているため、その測定値は体感温度データとしては使えない。
【解決手段】室内機と室外機の運転制御を行うリモートコントローラ200と、このリモートコントローラ200を構成するケース200aの内部に取り付けられた測温部4aを備えた空気調和機において、前記測温部4aにて検知された値を温度情報に変換する測定回路を前記ケース200a内に保持し、このケース200aには前記測温部4aの出入口となる開口部200fを設け、この開口部200fから前記測温部4aを外に露出させるための移動手段を設けるとともに、前記測温部4aは、前記開口部200f内の位置にある場合と、前記開口部200fからケース200a外に突き出した位置にある場合とで温度測定を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気温度を計測する温度センサを備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機(以下、空調機という)が冷暖房を行なう場合、室内機本体やリモコンに設けられた温度センサにより室内温度を逐次測定し、その値が、使用者により設定された目標設定温度に近づくよう圧縮機等をフィードバック制御し冷暖房運転している。
【0003】
的確な温度制御を行なうためには、正確な室内温度値を取得することが必須である。そのため、例えば特許文献1では、室内ユニットやリモコンのみならず、室温測定用の温度センサユニットを別途接続して室内の複数地点の温度を取得する仕組みを持った空調機などが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−13788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、室温や外気温を測定するための温度センサは、図9に示した壁設置リモコンのように測温部が物体に接触して物体温度測定を行ってしまうことを避けるため、リモコンのケースに通風口を設け、該通風口を通して入ってくる空気の温度を測定している。この形態は、空調機本体やワイヤレスリモコンに組み込まれた温度センサも同様である。
【0006】
ただし、通風口を通じて接触できる空気量は限られており、この状態でのパッケージ内の温度センサ測温部周辺は、風通しの悪い澱んだ小部屋のような状態になる。通常の自然状態での気温や室温は比較的緩やかに変化するため、前記形態でも正確な室温測定が可能である。また、室内温度に関しては、ドアの開閉などによる外気の乱れによる影響や直射日光などの影響を避けて、部屋の平均的な温度が取得できる利点もある。
【0007】
しかし、空調機が冷暖房を行なう場合には、分単位あるいは数十秒単位で室温が時々刻々変化する。そのため、通風口を通してでは、たとえ十分な感度を持つ測温素子を有するセンサであっても、実際の室温に追従した測定が行なえず、図4のように、その測定値は測温部全体をパッケージの外に突き出した時と比べ数℃隔たった値となる。従って、室内の空調ムラを無くして快適な運転をするために、空調室内の各場所にいる人間の体感温度を取得たい場合などの用途には、通風孔を通して測定した温度データは、実際の人間の対簡易温度とは数℃隔たっているため正確な温度測定とは言い難い。
【0008】
つまり、空調制御で使用する温度センサの測温部を、冷暖房運転の際にパッケージの通風孔からパッケージ外に露出させて室内空気に直接接触するようにする仕組みを設け、人が空調中の室内で体感している温度を正確に測定する必要がある。
【0009】
本発明の目的は、空調する部屋の居住者が体感する温度を正確に測定可能な温度センサを備えた空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、居室空間の所定位置に設置された空気調和装置の室内機と、この室内機と冷媒配管にて接続されて屋外に設置された室外機と、前記室内機と室外機の運転制御を行うリモートコントローラと、このリモートコントローラを構成するケースの内部に取り付けられた測温部を備えた空気長機において、前記測温部にて検知された値を温度情報に変換する測定回路を前記ケース内に保持し、このケースには前記測温部の出入口となる開口部を設け、この開口部から前記測温部を外に露出させるための移動手段を設けるとともに、前記測温部は前記開口部内の位置にある場合の温度測定と前記開口部からケース外に突き出した位置にある場合の温度測定とを行なうことにより達成される。
【0011】
また上記目的を達成するために本発明は好ましくは、前記リモートコントローラは壁設置リモコンであって、前記壁設置リモコンの測温部は空気調和装置の運転状態に応じて駆動する駆動手段を備え、この駆動手段によって前記測温部はケース開口部位置にある場合と、ケース開口部からケース外に突き出した位置にある場合の温度測定を行うようにすると良い。
【0012】
また上記目的を達成するために本発明は好ましくは、前記リモートコントローラはワイヤレスリモコンであって、前記ワイヤレスリモコンの測温部は移動手段によって摺動可能であるとともに、この駆動手段によって前記測温部はケース開口部位置にある場合と、ケース開口部からケース外に突き出した位置にある場合の温度測定を手動で行うようにすると良い。
【0013】
また上記目的を達成するために本発明は好ましくは、前記リモートコントローラはワイヤレスリモコンであって、前記測温部と測定回路基板とを繋ぐリード線に複数段のストップ部を備えていると良い。
【0014】
また上記目的を達成するために本発明は好ましくは、前記リモートコントローラは壁設置リモコンであって、前記壁設置リモコンの液晶表示部にはリモコンセンサ使用の有無を表示する領域を備えていると良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、空調する部屋の居住者が体感する温度を正確に測定可能な温度センサを備えた空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例に係る壁設置リモコンの斜視図である。
【図2】本発明の一実施例に係るワイヤレスリモコンの正面図である。
【図3】本発明の一実施例に係るワイヤレスリモコンの正面図である。
【図4】本発明に係る温度センサの温度測定例を表すグラフ図である。
【図5】本発明の一実施例に係る温度センサのハードウェア構成図である。
【図6】本発明の一実施例に係る温度センサの空調連携制御プログラムのフロー図である。
【図7】一般的な空調機が設置された居室空間の斜視図である。
【図8】一般的な空調機の運転制御構成図である。
【図9】一般的な空調機の用いされる壁設置リモコンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施例を説明する前に、空調機に使用される一般的なリモートコントローラー(以下、リモコンという)について図7と図8と図9を使って説明する。
図7は空調機が設置された居室空間の斜視図である。
図8は空調機の運転制御構成図である。
図9はこの種空調機の用いされる一般的なリモコンの斜視図である。
【0018】
図7において、居室空間の天井面には空調機の室内機2が取り付けられている。この室内機2は屋外に設置された室外機1と冷媒配管3にて接続されている。この空調機の運転制御は壁に取り付けられた壁設置リモコン200或いは人が自在に携帯できるワイヤレスリモコン100で行われる。
【0019】
図8において、冷媒配管3によって接続された室内機2と室外機1は制御通信網6で連結された壁設置リモコン200によって運転制御される。この壁設置リモコン200には温度センサが内蔵(詳細は図9で説明する)され、壁設置リモコン200周辺の温度を検出し、その温度を室内機2に送信するようになっている。ワイヤレスリモコン100は室内機2に取り付けられた無線送受信部2aに対して無線通信7で送受信して運転制御するようになっている。図示していないが、室内機2の空気吸い込み部には温度センサが取り付けられており、この温度センサ若しくは壁設置リモコン200の温度センサ、ワイヤレスリモコン100の何れかを選択的に採用して運転制御に利用できるようになっている。
【0020】
図9において、壁設置リモコン200は壁の所定位置に固定されている。この壁設置リモコン200の外郭を形成するケース200aの正面には液晶表示部200bが設けられ、設定温度や居室内温度或いは運転状況が表示される。この液晶表示部200bの下側には操作部200cが設けられ、空調機の運転停止や温度設定などが行われる。操作部200cの内部には温度センサの測温部4aが収納され、居室内の温度を直接検出できるように操作部200cの面にはスリットによる通風孔200dが設けられている。この操作部200cは通常蓋200eで閉塞されているため、この蓋200eにも操作部200cの通風孔200dと同じ位置にやはりスリットによる通風孔200dが設けられている。
【0021】
このように、一般的な壁設置リモコン200に設けられた温度センサの測温部4aは通常状態では操作部200cの通風孔200dと蓋200eの通風孔200dによる二重で覆われるため環境空気が入り難く、正確な居室内の温度を検出することができない場合がある。
【0022】
つまり、居住者の位置より高い位置の室内機2の温度センサよりも居住者に近い位置の壁設置リモコン200の温度センサで計測したほうが居住者の希望に近い適切な温度を検出することができる。ところが温度センサは二重の通風孔200dで覆われているため、測温部4aへの通風が遮られ、たとえ空調室内機の送風口の近くに壁設置リモコン200が設置されていても空調機からの風が届かない状態となってしまう。換言すると、風通しの悪い家具の隙間の温度を測定しているような状態となってしまう。
【0023】
そこで、本発明の発明者らは壁設置リモコン200で温度を検出する場合には温度センサの測温部4aをリモコンの筐体から突出させるようにすることを考えた結果、以下のような実施例を得た。
【実施例1】
【0024】
図1は本発明の一実施例に係る壁設置リモコンの斜視図である。
図1において、壁設置リモコン200は壁の所定位置に固定されている。この壁設置リモコン200の外郭を形成するケース200aの正面には液晶表示部200aが設けられ、設定温度や居室内温度或いは運転状況が表示される。この液晶表示部200bの下側には操作部200cが設けられ、空調機の運転停止や温度設定などが行われる。操作部200cの内部には温度センサの測温部4aが収納され、居室内の温度を直接検出できるように操作部200cの面にはスリットによる通風孔200dが設けられている。この操作部200cは通常蓋200eで閉塞されているため、この蓋200eにも操作部200bの通風孔200dと同じ位置にやはりスリットによる通風孔200dが設けられている。
【0025】
本実施例では、壁設置リモコン200形成するケース200aの側壁に設けられた開口部200fから操作部200cの内部に収納された温度センサ4の測温部4aが外部に引き出しできるようになっている。この測温部4aの引き出し構造については後述するが、空調機の運転に連動して機械的に出し入れ可能となっている。
【0026】
図2は本発明の一実施例に係るワイヤレスリモコンの正面図である。
図2において、ワイヤレスリモコン100のケース100aには通風孔100bが設けられ、通風孔100bの内側に温度センサ5の測温部5aが収納されている。通常この測温部5aは図1に示した壁設置リモコン200の同様にワイヤレスリモコン100の内部に収納されているが、本実施例ではこの測温部5aが手動により引き出せるようになっている。この引き出し構造については同じく後述する。
【実施例2】
【0027】
図3はワイヤレスリモコンから測温部が引き出された状態を示す図である。
図3において、ワイヤレスリモコン100の温度センサ5は、熱電対や測温抵抗体などからなる測温部5aと、測温部が電圧や抵抗値として検知する変化値をアナログまたはデジタルの温度データに変換する電子回路および該温度データを他の基板や装置に渡すための出力ポートを備えた温度測定回路基板5fと、測温部5aと温度測定回路基板5fを繋ぐ信号通信線であるリード線5cからなる。リード線5cは硬質の保護管内に収められており、引き出した状態で使用する場合に測温部5aを支える支柱を兼ねる。リード線保護管の温度測定回路基板側の端には、センサを真直ぐスライドさせるためのセンサ移動ガイド5eが取り付けられており、それがケース100a側に設けられたセンサ移動ガイドレール5hをスライドすることで、センサ引き出しが可能になっている。
【0028】
また、リード線の保護管には図3に示すようにいくつかの膨らんでいる部分(ストップ箇所5b)が設けられており、その部分がケース側に設置されたゴムのセンサストッパ5gに締め付けられて、故意に力を加えなければ、そのままの状態でセンサが固定されるようになっており、測温部5aがケースから突き出す長さを調節できる。
【0029】
このように本実施例では、ワイヤレスリモコン100の測温部5aを矢印で示すように手動でつまみ出すことにより測温部5aのセンサ移動ガイド5eがセンサ移動レール5h上をスライドして引き出すことができる。さらには、この測温部5aにはストップ個所5bが複数段に渡って設けられているため引き出し長さの調節が段階的に行うことができる。
【0030】
図7に示した空調システムの場合、温度センサ5の出力する温度データは、データ信号線5dでリモコン制御基板(図示せず)に送られ、さらにリモコンの無線データに変換されて室内機2へと無線通信で送られるとともに、室内機2が冷暖房運転する際のフィードバック制御情報として使用されることになる。
【0031】
なお、ケースの通信線ガイド(図示せず)は、温度センサ5の動きに連れて弛んだ通信線5dを収める場所である。
【0032】
室内機2は、室内の同じ場所にワイヤレスリモコン100が置かれていて同じ温度センサ5が温度測定しているにもかかわらず、測温部5aが通風孔100b越しに測定している場合と、測温部5a全体が露出している場合とでの温度測定実験を行った。その温度測定実験結果を図4で説明する。
【0033】
図4において、測温部を通風孔越しにした場合(■)と、露出させた場合(*)とで空調制御運転を行って実験した。その結果、図4に示すように(■)の位置を(*)の位置と比較すると、最大で2度以上の高精度で居室内の温度を検出することができた。この結果から、測温部を露出させることがいかに高精度の温度検出を行うことができるかが分る。
【0034】
なお、温度センサ5が出力した温度データの扱いについては本発明の本質には関り無く、上記のリモコン制御基板や室内機の温度データの処理や使い方についての記載は、データ使用例の一つに過ぎない。
【0035】
以上のようにして、本発明の温度センサを用いることにより、ユーザが自身の体感温度で冷暖房運転したい場合などに、温度センサの測温部を空気中に露出させて空調機にユーザ体感温度に等しい温度データを渡し、また特に必要の無い場合は測温部を含めた温度センサ全体をケースに収め、ケース通風孔越しの測定データを使用できる。
【実施例3】
【0036】
図5は、本発明の壁設置リモコンに係る温度センサのハードウェアの構成図である。
図5において、上述したようにワイヤレスリモコン100の場合は温度センサ5を手動で引き出すようにしたが、壁設置リモコン200の温度センサ4は、冷暖房運転の際に自動的に測温部4aが矢印のようにケース200aからスライドして出たり引き込まれたりするようになっている。
【0037】
壁設置リモコン200は、ユーザが設定や指示を行ったりするためのセンサ設定切替ボタンが並んだ入力装置201、現在の空調機の設定や運転状態を参照するための液晶表示パネル202、空調機制御通信ネットワークN1で結ばれた室内機2や室外機1との通信を行う制御通信ポート203、温度センサ4を動かすモータ16と、それらの装置を制御するリモコン制御基板200gからなる。入力装置201には本リモコン搭載の温度センサ4を露出させて温度測定するか否かを設定するセンサ設定ボタン20が付いている。
【0038】
リモコン制御基板200gには、制御マイコン211の他、CPUが処理実行するソフトウェアプログラムや空調機設定情報などのデータを格納するROMとCPUがプログラムを実行する際のワークエリアとなるRAMなどからなるメモリ部212、入力装置201から送られる電気信号を受信し制御マイコン211に中継する入力ドライバ部213、表示パネル装置202に情報を表示する表示ドライバ部214、モータ16に制御信号を送ってセンサを移動させる移動モータドライバ部215、温度センサ4の測定回路基板と繋がり、温度センサの測定動作を制御したり測定温度データを取得したりする温度センサドライバ部216、通信ポート203を制御し空調機制御通信ネットワークN1との情報送受信を行なう通信ドライバ部217からなる。
【0039】
温度センサ4本体の構成は上述の温度センサ5と同様で、測温部4aと測定回路基板4bとリード線(保護管)4cからなり、移動装置に取り付けられている。
【0040】
本実施例のセンサ移動装置は、図5に示すようにモータ16と移動軸4dと回転シャフト4eからなり、回転部シャフト4eがモータ16により回転すると、その中にセットされたねじ溝が、移動軸4dのねじ溝とかみ合い、モータの回転方向により移動軸4dが左右にスライドする単純構造である。移動軸4dが左右にスライドする際、移動軸4dに連結されたセンサ移動ガイド11がセンサ移動ガイドレール12に案内されるあため、測温部4aは偏位することなく正確に移動できる。
【0041】
図5に示すように、移動軸4dの先に温度センサの測定回路基板4bが取り付けられ、リード線4cは移動軸4d内を通って前記リモコン制御基板200gの温度センサドライバ部216に接続されて計測温度データが送られる。
【0042】
図6はメモリ部112のROMに格納された制御マイコンの実行するリモコン制御プログラムのうち、温度センサ4をスライドし測温部4aをケース外に露出したりケース内に引き込んだりするセンサ移動実行プログラムのフローチャートである。
【0043】
図6において、温度センサ4を自動移動させる動作を説明すると、制御マイコン212は、常時、入力装置201からのユーザ入力と通信ポート203からの空調機情報受信を待って待機している状態である(ステップ1001、1004)。
【0044】
入力装置201からのユーザ入力指示があると(ステップ1001)、ユーザが押下したボタンに応じた空調システム設定変更指示を、通信ポート203から所定の送信データとして送信することにより空調室内機に通知すると共に、メモリ部212に記憶している現在設定情報データに上書きして更新し、また表示パネル装置202に表示している項目で変更が必要なら表示を変更する。
【0045】
例えば、運転停止ボタンが押下したことを検知した場合は、室内機に対し、現在運転中なら運転停止指示を、逆に停止中ならば運転指示を送ると共に、メモリ部212に格納記憶されているリモコン最新設定情報も上書きして変更する。表示パネル装置202の運転中を示すLEDランプを点灯または消灯する(ステップ1011)。ただしここでは、センサ設定ボタン20以外のユーザ入力に対する処理は本発明の内容に影響しないため記載を省く。
【0046】
センサ設定ボタン20は、温度センサ4を露出測定して使用するか否かを設定するボタンで、一回押下する毎に露出使用と未使用(通風孔で測定)が切り替わる。センサ設定ボタン20が押下されたことを検知すると、現在使用中なら未使用、現在未使用なら使用の設定にメモリ212内の設定情報を更新し、室内機に通知する。本例のリモコンは、センサ使用設定がなされている場合は、図5の表示パネル装置202ように「リモコンセンサ使用」の文字が表示されるため、該表示または消去も行なう(ステップ1002、1003)。
【0047】
ステップ1004で空調機からのデータ受信があると、受信した空調機情報の内容に応じ、メモリ部212に記憶している空調機現在情報データを上書きして更新し、また表示パネル装置202に表示している項目で変更が必要なら表示を変更する(ステップ1012)。
【0048】
例えば、ユーザがワイヤレスリモコンで設定温度28℃冷房運転していたところを除湿運転に変更する設定したとする。ワイヤレスリモコンからの設定変更を受けた空調室内機は、冷房運転を停止して除湿運転を行なうよう動作し、運転変更が成功すると冷房運転停止&除湿運転開始の情報を制御通信網N1に接続する全機器に送信する。
【0049】
壁設置リモコン200の制御マイコン211は、該情報を受信して、メモリ部212の空調機現在情報の運転モードを除湿に更新し、さらに表示パネル装置202の運転モードの表示も「除湿」に変更することになる。なお、ここでも、温度センサ4の測定を実施する冷房/暖房の運転/停止以外の空調機情報に対するリモコンの処理は、本発明の内容に影響しないため記載を省く。
【0050】
上述したように、空調室内機は壁設置リモコン200やワイヤレスリモコン100からのユーザ指示を受けて運転モード等を変更すると、変更した内容についての情報を、制御通信網N1経由で他機器に送る。制御マイコン211は、暖房運転/暖房運転停止/冷房運転/冷房運転停止の情報を受信すると(ステップ1005)、まず、表示パネル装置の表示を変更し(ステップ1006)、次にセンサ使用/未威容の設定状態を確認する(ステップ1007)。未使用の場合はセンサに対する処理は何も行わずにステップ1001に戻る。
【0051】
センサ使用の場合はステップ1008に進み、今まで冷房または暖房運転していない状態から運転状態になった場合は、制御マイコン211は、センサ測温部をケースから外に突き出して風当たりをよくする方向に移動(図5では右方向)するよう移動モータドライバ部215に指示し、移動モータドライバ部215は所望の移動を行なう回転数と回転方向でモータ16を動作させる(ステップ1009)。
【0052】
逆に冷房または暖房運転状態から停止になった時は、ケース外に突き出している測温部を通風孔に格納する方向(図5では左方向)に、移動モータドライバ部215がモータ16の回転駆動を制御する(ステップ1010)。
【0053】
以上のようにして、ユーザ体感温度に近い温度測定が必要な冷暖房運転の際には温度センサの測温部をケースから露出させ、その他の通風孔越しの温度測定でよい場合はケースに収める動作を自動で行なうことができる。
【0054】
なお、前記の例では温度センサが空調機器に接続して動作する例を使って説明してきたが、本発明の温度センサは、空調機器に限らずどのような機器と連携してしてもよい。例えば、通常はケース内で通風孔越しに温度測定することで、測温部を汚れや虫の接触による御測定から守り、ある一定以上の温度を検知した際に、ケース外に測温部を突き出しての温度測定を開始し、急激な温度上昇が起こるようなら警報機を鳴らすなどの火災報知機などにも利用可能である。
【0055】
以上のごとく本発明によれば、空調機が冷暖房運転の制御に使用する室内温度測定用の温度センサにおいて、センサの測温部がパッケージ通風孔からパッケージ外に突出させる仕組みを設け、平均的な室内温度測定と、使用者の体感温度に等しい室温測定との双方の測定を行なえるようにする。これにより、センサ感度を最大に活かし、より的確な空調運転制御のための温度データを取得出来る。
【符号の説明】
【0056】
1…室外機、2…室内機、2a…無線送受信部、3…冷媒配管、4…温度センサ、4a…測温部、4b…測定回路基板、4c…リード線、4d…移動軸、4e…回転シャフト、5…温度センサ、5a…測温部、5b…ストップ箇所、5c…リード線、5d…通信線、5e…センサ移動ガイド、5f…温度測定回路基板、5g…センサストッパ、5h…センサ移動ガイドレール、6…制御通信網、7…無線通信、16…モータ、20…センサ設定ボタン、211…制御マイコン、212…メモリ部、213…入力ドライバ部、201…入力装置、100…ワイヤレスリモコン、100a…ケース、100b…通風孔、100b…通風孔、200…壁設置リモコン、200a…ケース、200b…液晶表示部、200c…操作部、200d…通風孔、200e…蓋、200f…開口部、200g…リモコン制御基板、201…入力装置、202…液晶表示パネル、N1…空調機制御通信ネットワーク、203…制御通信ポート、214…表示ドライバ部、215…移動モータドライバ部、216…温度センサドライバ部、217…通信ドライバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
居室空間の所定位置に設置された空気調和装置の室内機と、この室内機と冷媒配管にて接続されて屋外に設置された室外機と、前記室内機と室外機の運転制御を行うリモートコントローラと、このリモートコントローラを構成するケースの内部に取り付けられた測温部を備えた空気長機において、
前記測温部にて検知された値を温度情報に変換する測定回路を前記ケース内に保持し、このケースには前記測温部の出入口となる開口部を設け、この開口部から前記測温部を外に露出させるための移動手段を設けるとともに、
前記測温部は前記開口部内の位置にある場合の温度測定と前記開口部からケース外に突き出した位置にある場合の温度測定とを行なうことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
請求項1記載の空気調和機において、
前記リモートコントローラは壁設置リモコンであって、
前記壁設置リモコンの測温部は空気調和装置の運転状態に応じて駆動する駆動手段を備え、この駆動手段によって前記測温部はケース開口部位置にある場合と、ケース開口部からケース外に突き出した位置にある場合の温度測定を行うことを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
請求項1記載の空気調和機において、
前記リモートコントローラはワイヤレスリモコンであって、
前記ワイヤレスリモコンの測温部は移動手段によって摺動可能であるとともに、
この駆動手段によって前記測温部はケース開口部位置にある場合と、ケース開口部からケース外に突き出した位置にある場合の温度測定を手動で行うことを特徴とする空気調和機。
【請求項4】
請求項1記載の空気調和機において、
前記リモートコントローラはワイヤレスリモコンであって、
前記測温部と測定回路基板とを繋ぐリード線に複数段のストップ部を備えていることを特徴とする空気調和機。
【請求項5】
請求項1記載の空気調和機において、
前記リモートコントローラは壁設置リモコンであって、
前記壁設置リモコンの液晶表示部にはリモコンセンサ使用の有無を表示する領域を備えていることを特徴とする空気調和機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−96668(P2013−96668A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241790(P2011−241790)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】