説明

空気調和装置の室外ユニット、及び空気調和装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和装置の室外ユニットと、該室外ユニットを備えた空気調和装置とに関し、特に、室内ユニットとの間に設けられる連絡配管を室外ユニットに接続するのに用いられる閉鎖弁の配置構造に係るものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、室内ユニットと室外ユニットとを連絡配管で接続したいわゆるセパレート形の空気調和装置(例えば特開平8−100944号公報参照)は、一般に、室外ユニットと室内ユニットとを設置した後に、室内ユニットとの連絡配管を、室外ユニットの内部回路の末端部に設けられている閉鎖弁に接続して冷媒回路を構成するようになっている。そして、該空気調和装置は、連絡配管の接続後に閉鎖弁を開くことにより、室外ユニットと室内ユニットの間で冷媒が流通可能となるように構成されている。
【0003】ところで、例えば少なくとも1台の室外ユニットに複数台の室内ユニットが接続されて構成されるビル用などのマルチタイプの空気調和装置は、能力が大きくなると、配管径が太くなって、閉鎖弁も大型化する。特に、ガス側配管で外径がφ38.1mm以上程度に太くなると、ガス側閉鎖弁が大型化し、該ガス側閉鎖弁をケーシングに強固に固定することが必要となる。なお、上記配管径のガス管を使用する場合の能力は、例えば定格冷房能力で69Kw以上程度であり、この場合、液配管には外径がφ22.2mm程度のものが使用される。
【0004】このようにφ38.1mm以上の太い配管径に対応する大型のガス側閉鎖弁を使用する場合の室外ユニットの部分破断正面図を図10に、部分破断平面図を図11R>1に示している。また、図12〜図13には、それぞれ、閉鎖弁の配設部分を拡大した正面図、平面図、及び側面図を示している。
【0005】これらの図に示すように、大型のガス側閉鎖弁(18)を使用する場合、該ガス側閉鎖弁(18)は、室外ユニット(2) のケーシング(20)の底面プレート(23)にベース部材(24)などを介して強固に固定する構成が一般に採用されている。また、通常は、ガス側連絡配管(17a) と液側連絡配管(17b) とを機外で並べるように配管施工することから、液側閉鎖弁(19)はガス側閉鎖弁(18)の隣りに並設されるのが一般的である。なお、図10,図12R>2では各連絡配管(17a,17b) は省略している。
【0006】以上のように能力の大きな従来の装置では、室外ユニット(2) 内にガス側閉鎖弁(18)と液側閉鎖弁(19)とを並べて配置する構造が一般的に採用されていることから、両閉鎖弁(18,19) とも、図示しているように配管接続口(18a,19b) をケーシング(20)の前面側に向けるように配置するのが一般的である。そして、各連絡配管(17a,17b) をケーシング(20)から側方や下方へ向かう方向に配設する場合は、閉鎖弁(18,19) からケーシング(20)の前面プレート(21)を貫通して機外に引き出された連絡配管(17a,17b) を室外ユニット(2) の外で曲げるようにしている。図11には、連絡配管(17a,17b) を、ケーシング(20)の側方に向かって配設する場合にケーシング(20)の前面で曲げた状態を示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このように連絡配管(17a,17b) が必ず室外ユニット(2) のケーシング(20)の前面プレート(21)を貫通する構成では、例えば室外ユニット(2) をビルの屋上などに複数台設置するような場合に各室外ユニット(2) 間の設置スペースが狭い条件などでは、配管施工が困難になって、作業性が極端に低下することがあった。
【0008】本発明は、このような問題点に鑑みて創案されたものであり、その目的とするところは、閉鎖弁(18,19) の配置構造を改善してケーシング(20)からの連絡配管(17a,17b) の引き出し方向の自由度を高め、ひいては配管施工時の作業性を高められるようにすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、ガス側閉鎖弁(18)を前面プレート(21)の近傍で側面プレート(22)から離して横向きに配置するようにしたことを特徴としている。
【0010】具体的に、本発明が講じた第1の解決手段は、ガス側連絡配管(17a) が接続されるガス側閉鎖弁(18)と、液側連絡配管(17b) が接続される液側閉鎖弁(19)とをケーシング(20)内に備えた空気調和装置の室外ユニットを前提としている。そして、ガス側閉鎖弁(18)を、配管接続口(18a) をケーシング(20)の側面プレート(22)の方向に向けて該側面プレート(22)から所定間隔を隔てるように、前面プレート(21)の近傍に配置したものである。
【0011】上記構成において、ガス側閉鎖弁(18)は、外径が38.1mm以上のガス側連絡配管(17a) に対応する接続口径を有し、ケーシング(20)の底面プレート(23)に直接またはベース部材(24)を介して固定されている。
【0012】また、液側閉鎖弁(19)は、ガス側閉鎖弁(18)の配管接続口(18a) 側の側方で該ガス側閉鎖弁(18)よりも上方に配置されている。さらに、液側閉鎖弁(19)は、ケーシング(20)の前面プレート(21)に対してガス側閉鎖弁(18)よりも後方の位置に配置されている。
【0013】また、本発明が講じた第2の解決手段は、上記第1の解決手段において、液側閉鎖弁(19)を、液側連絡配管(17b) 用の配管接続口(19b) がケーシング(20)の底面プレート(23)の方向を向くように下向きに配置したものである。
【0014】また、本発明が講じた第3の解決手段は、上記第1または第2の解決手段において、ケーシング(20)の前面プレート(21)、側面プレート(22)、及び底面プレート(23)の何れか一つに、ガス側連絡配管(17a) と液側連絡配管(17b) が貫通する配管孔(H) を形成するようにしたものである。
【0015】また、本発明が講じた第4の解決手段は、上記第3の解決手段において、ケーシング(20)の前面プレート(21)、側面プレート(22)、及び底面プレート(23)に、それぞれ開口部(21a,22a,23a) を形成し、該開口部(21a,22a,23a) の一つをガス側連絡配管(17a) と液側連絡配管(17b) が貫通する配管孔(H) として用いる一方、残りの開口部をカバー(26,27,28)により閉鎖するようにしたものである。
【0016】また、本発明が講じた第5の解決手段は、少なくとも圧縮機(11)と室外熱交換器(13)とを備えた室外ユニット(2) と、少なくとも室内熱交換器(16)を備えた室内ユニット(3) とが、ガス側連絡配管(17a) と液側連絡配管(17b) とによって接続された空気調和装置を前提としている。そして、室外ユニット(2) として、請求項1ないし4の何れか1記載の室外ユニットを用いるようにしたものである。
【0017】−作用−上記第1の解決手段では、ガス側閉鎖弁(18)に対して、ガス側連絡配管(17a)が室外ユニット(2) の側面プレート(22)側から取り付けられる。この場合、液側閉鎖弁(17b) は、当然、ガス側連絡配管(17a) の接続の邪魔にならないように、ガス側閉鎖弁(18)の配管接続口(18a) からずれた位置に配置される。したがって、ガス側連絡配管(17a) は、室外ユニット(2) 内で曲げずに側面プレート(22)から機外へ引き出すことも可能であるし、配管接続口(18a) と側面プレート(22)との間のスペースを利用して室外ユニット(2) 内で曲げて前面プレート(21)や底面プレート(23)から機外へ引き出すことも可能である。また、液側連絡配管(17b)は、ガス側連絡配管よりも細径であるため、ガス側連絡配管(17a) に沿った方向に引き出すことが可能である。
【0018】この第1の解決手段では、液側閉鎖弁(19)がガス側閉鎖弁(18)の配管接続口(18a) 側の側方で該ガス側閉鎖弁(18)よりも上方に配置されている。また、液側閉鎖弁(19)はガス側閉鎖弁(18)よりも後方の位置に配置されている。したがって、各連絡配管(17a,17b) を下方や側方へ引き出すときに連絡配管(17a,17b) 同士が干渉しない。また、例えば連絡配管(17a,17b) を前方へ引き出す場合は、液側連絡配管(17b) をガス側連絡配管(17a) の下方または上方から引き出すようにすることにより、連絡配管(17a,17b) 同士の干渉を回避できる。
【0019】また、上記第2の解決手段では、液側閉鎖弁(19)は、液側連絡配管(17b) 用の配管接続口(19b) がケーシング(20)の底面プレート(23)の方向を向くように下向きに配置されている。したがって、液側連絡配管(17b) は、室外ユニット(2) 内で曲げずに底面プレート(23)から機外へ引き出したり、室外ユニット(2) 内で曲げて前面プレート(21)や側面プレート(22)から機外へ引き出したりすることができる。
【0020】また、上記第3の解決手段では、ケーシング(20)の前面プレート(21)、側面プレート(22)、及び底面プレート(23)の何れか一つに形成された配管孔(H) から、ガス側連絡配管(17a) と液側連絡配管(17b) が引き出される。
【0021】また、上記第4の解決手段では、ケーシング(20)の前面プレート(21)、側面プレート(22)、及び底面プレート(23)に予め形成された開口部(21a,22a,23a) のうち、ガス側連絡配管(17a) と液側連絡配管(17b) を引き出す配管孔(H) として用いるものを除いて、残りの開口部はカバー(26,27,28)により閉塞される。
【0022】
【発明の効果】従って、上記各解決手段によれば、連絡配管(17a,17b) をケーシング(20)の前方、側方、下方へ引き出しやすくなるため、連絡配管(17a,17b) の引き出し方向の自由度が高められて、配管施工時の作業性が向上する。つまり、複数台の室外ユニット(2) を設置する場合などにケーシング(20)の前面側にスペースが少ない場合などには、連絡配管(17a,17b) をケーシング(20)の側面から引き出すような対応が容易となる。
【0023】また、上記第1の解決手段によれば、ガス側閉鎖弁(18)を前面プレート(21)の近傍で横向きに配置しているため、ガス側連絡配管(17a) をガス側閉鎖弁(18)に容易に取り付けることができる。また、ガス側閉鎖弁(18)は、一般に開閉操作部(18d) がガス側連絡配管(17a) の配管接続口(18a) とは反対の端部に設けられているため、配管接続口(18a) を前面プレート(21)に向けて配置する従来の構造では開閉操作部(18d) がケーシング(20)の奥に位置するのに対して、横向きに配置すると該操作部(18d) が前面プレート(21)の近くに位置することになり、開閉操作を容易に行えるようになる。
【0024】また、この第1の解決手段によれば、ガス側閉鎖弁(18)を比較的大型として底面プレート(23)に固定するようにしているので、ガス側閉鎖弁(18)を強固に保持でき、定格能力の大きな空気調和装置の室外ユニットに適した構成とすることができる。
【0025】また、この第1の解決手段によれば、ガス側閉鎖弁(18)に対する液側閉鎖弁(19)の配置を特定したことによって、ガス側連絡配管(17a) と液側連絡配管(17b)が機内で干渉するのを確実に防止できる。
【0026】また、上記第2の解決手段によれば、液側閉鎖弁(19)の向きを特定したことによって、ガス側連絡配管(17a) の引き出し方向に対応して液側連絡配管(17b) を引き出すことが容易に可能となる。
【0027】また、上記第3の解決手段によれば、ケーシング(20)の前面プレート(21)、側面プレート(22)、及び底面プレート(23)の何れか一つに設けられた配管孔(H) を通して、ガス側連絡配管(17a) と液側連絡配管(17b) を機外に引き出すことができる。したがって、各閉鎖弁(18,19) の配置に対応した室外ユニット(2) のケーシング(20)を実用化することができる。
【0028】また、上記第4の解決手段によれば、ケーシング(20)の前面プレート(21)、側面プレート(22)、及び底面プレート(23)に予め開口部(21a,22a,23a) を形成しておき、ガス側連絡配管(17a) と液側連絡配管(17b) を引き出す配管孔(H) として用いない開口部(21a,22a,23a) をカバー(26,27,28)により閉塞するようにしているので、配管施工を容易に行うことができるとともに、連絡配管(17a,17b) の引き出し方向が異なっても別のケーシングを用いる必要がなく、コストの上昇を抑えられる。
【0029】そして、上記第5の解決手段によれば、上記第1ないし第4の解決手段の室外ユニット(2) を用いるようにしているので、該室外ユニット(2) 側での配管施工時の作業性が高く、連絡配管(17a,17b) の引き出し方向の自由度が高い空気調和装置を実現できる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0031】−冷媒回路−まず、この空気調和装置(1) の冷媒回路(10)の概略構成について、図1を参照して説明する。この空気調和装置は、一つの室外ユニット(2) に対して複数の室内ユニット(3) が並列に接続されて、いわゆるセパレート形でマルチタイプに構成されている。
【0032】この空気調和装置(1) の冷媒回路(10)は、圧縮機(11)と、四路切換弁(12)と、室外熱交換器(13)と、室外膨張弁(14)と、室内膨張弁(15)と、室内熱交換器(16)とが冷媒配管(17)により順に接続されて、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うように構成されている。そして、室外ユニット(2) に圧縮機(11)と四路切換弁(12)と室外熱交換器(13)と室外膨張弁(14)とが設けられている一方、各室内ユニット(3) に室内膨張弁(15)と室内熱交換器(16)とが設けられて、各室内ユニット(3) が室外ユニット(2) に並列に接続されている。
【0033】なお、図1の冷媒回路は実際の回路を簡略化したものであり、例えば圧縮機(11)には、インバータによる回転数制御を行う容量可変の圧縮機と、オンオフ制御される定容量の圧縮機とが組み合わせて使用される。また、室外ユニット(2) 内には受液器やアキュムレータその他の付属機器も設けられているが、これらについては図1の冷媒回路(10)では省略している。
【0034】室外ユニット(2) の内部回路の末端部には、ガス側閉鎖弁(18)と液側閉鎖弁(19)とが設けられている。そして、ガス側閉鎖弁(18)にガス側連絡配管(17a) が接続され、液側閉鎖弁(19)に液側連絡配管(17b) が接続されて、これらの連絡配管(17a,17b) により室外ユニット(2) と各室内ユニット(3) とが接続されている。
【0035】各閉鎖弁(18,19) は、室外ユニット(2) 及び室内ユニット(3) を設置する時には閉鎖されている。そして、各閉鎖弁(18,19) は、各ユニット(2,3) を設置して連絡配管(17a,17b) を各閉鎖弁(18,19) に接続した後に開放され、それによって冷媒回路(10)内を冷媒が循環可能な状態となる。
【0036】−運転動作−次に、この空気調和装置の運転動作について説明する。
【0037】まず、冷房運転時は、四路切換弁(12)が図1R>1の実線の状態に設定される。そして、圧縮機(11)から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四路切換弁(12)を介して室外熱交換器(13)に流入して室外空気と熱交換し、凝縮して液化する。このとき、室外膨張弁(14)は全開であり、液冷媒は該室外膨張弁(14)を通過し、液側連絡配管(17b) を通って各室内ユニット(3) に流入する。冷媒は各室内膨張弁(15)で所定の低圧に減圧されて二相冷媒になり、さらに室内熱交換器(16)で室内空気と熱交換して蒸発する。そして、その際に冷却された室内空気が室内ファン(図示せず)で室内へ吹き出されて室内が冷房される。また、室内熱交換器(16)で蒸発したガス冷媒は、ガス側連絡配管(17a) を通って室外ユニット(2) に戻り、圧縮機(11)に吸入される。冷房運転時は、以上のようにして冷媒が循環する。
【0038】一方、暖房運転時は、四路切換弁(12)が図1R>1の破線の連通状態に設定される。そして、圧縮機(11)から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四路切換弁(12)を介して各室内ユニット(3) の室内熱交換器(16)に流入して室内空気と熱交換し、凝縮して液化する。その際に加熱された室内空気が室内ファンで室内へ吹き出されて室内が暖房される。この暖房運転時には室内膨張弁(15)は全開であり、液冷媒は該室内膨張弁(15)から液側連絡配管(17b) を通過して室外ユニット(2) に戻る。冷媒は室外膨張弁(14)で所定の低圧に減圧されて二相冷媒になり、さらに室外熱交換器(13)で室外空気と熱交換して蒸発した後、四路切換弁(12)を介して圧縮機(11)に吸入される。暖房運転時は、以上のようにして冷媒が循環する動作が行われる。
【0039】なお、冷房運転時と暖房運転時のいずれの場合も、停止中の室内ユニット(3)では室内膨張弁(15)が閉鎖されて冷媒が室内熱交換器(16)を流通しない状態に設定される。また、このとき、室内ファンも停止した状態となり、室内への送風は行われない。そして、圧縮機(11)は、そのときの運転状態に対応して容量制御が行われる。
【0040】−閉鎖弁の配置構造−図2及び図3は、それぞれ、室外ユニット(2) の一部破断正面図及び一部破断平面図である。また、図4,図5及び図6は、それぞれガス側閉鎖弁(18)と液側閉鎖弁(19)の取付構造を示す拡大図であり、図4が正面図、図5が平面図、図6が左側面図である。
【0041】図示するように、ガス側閉鎖弁(18)は、ガス側連絡配管(17a) 用の配管接続口(18a) を室外ユニット(2) のケーシング(20)の側面プレート(22)の方向に向けた横向きの姿勢で前面プレート(21)の近傍に配置されており、配管接続口(18a) と側面プレート(22)との間には所定の間隔があけられている。
【0042】なお、本実施形態の空気調和装置(1) の定格冷房能力は69Kwであり、ガス側連絡配管(17a) には呼び径がφ38.1mmまたはそれ以上のもの(例えばφ45mmなど)が使用され、液側連絡配管(17b) には呼び径がφ22.2mmのものが使用されている。ガス側閉鎖弁(18)は、外径がφ38.1mm以上のガス側連絡配管(17a) に対応する接続口径を有しているために比較的大型であり、ケーシング(20)の底面プレート(23)にベース部材(24)を介して強固に固定されている。なお、ガス側閉鎖弁(18)は、ベース部材(24)を用いずにケーシング(20)の底面プレート(23)に直接固定してもよい。
【0043】ガス側閉鎖弁(18)は、ガス側連絡配管(17a) の配管接続口(18a) 側に、該連絡配管(17a) をフランジ継手で取り付けるためのフランジ(18b) を有している。このフランジ(18b) は、空気調和装置(1) の設置前には閉塞板(18c) で塞がれており、ガス側連絡配管(17a) を取り付ける際に該閉塞板(18c) を取り外して、ガス側連絡配管(17a) をフランジ継手で固定するようになっている。また、このガス側閉鎖弁(18)は、配管接続口(18a) の反対側の端部に、弁開閉用の操作部(18d)を有している。
【0044】一方、液側閉鎖弁(19)は、ケーシング(20)の底面プレート(23)に固定された縦長のブラケット(25)に固定されている。ブラケット(25)は、溝型部材のような形状に形成された脚部(25a) と閉鎖弁固定部(25b) とが前後にずれた位置で横板(25c) によって連接されており、1枚のプレートを折り曲げ加工することで形成されている。そして、脚部(25a) がケーシング(20)の底面プレート(23)に固定されている。
【0045】液側閉鎖弁(19)は、上記ブラケット(25)の閉鎖弁固定部(25b) に、左右へ張り出した取付部(19a) をビス留めすることで固定されている。そして、該液側閉鎖弁(19)は、ガス側閉鎖弁(18)の配管接続口(18a) 側の側方で該ガス側閉鎖弁(18)よりも上方に、液側連絡配管(17b) 用の配管接続口(19b) がケーシング(20)の底面プレート(23)の方向を向くように下向きに配置されている。また、液側閉鎖弁(19)は、前面プレート(21)に対してガス側閉鎖弁(18)よりも後方の位置に配置されている。この液側閉鎖弁(19)は、フレアナット接合タイプであり、フレアナット(19c) による配管接続口(19b) が下方に位置し、弁開閉用の操作部(19d) がケーシング(20)の手前側を向くように位置している。
【0046】なお、図中、(17c) は機内ガス配管の一部を示し、(17d) は機内液配管の一部を示している。
【0047】−連絡配管の引き出し方向−本実施形態において、各連絡配管(17a,17b) は、ケーシング(20)の前方、側方、及び下方から機外へ引き出すことができるようになっている。
【0048】<下方引き出し>連絡配管(17a,17b) をケーシング(20)の下方へ引き出す場合の構成を図7に示している。この図7に示すように、ケーシング(20)の前面プレート(21)、側面プレート(22)、及び底面プレート(23)には、それぞれ、開口部(21a,22a,23a) が形成されている。そして、この図7の例では、底面プレート(23)の開口部(23a) を配管孔(H) として利用してガス側連絡配管(17a) と液側連絡配管(17b) を通す一方で、残りの開口部(21a,22a) は、それぞれ、カバー(26,27) によって閉塞されている。このようにすることによって、ケーシング(20)の底面プレート(23)にのみ配管孔(H) が設けられた状態としている。
【0049】この図7の例では、現地での配管施工時に、ガス側連絡配管(17a) の一部であるガス側付属配管(31)が、一端側に設けられたフランジ継手(31a) によって、閉塞板(18c) を取り外したガス側閉鎖弁(18)のフランジ(18b) に固定される。ガス側付属配管(31)は、上記配管接続口(18a) から側面プレート(22)に向かって真っ直ぐにのびた後に下方へ湾曲して、配管孔(H) から機外へ突出している。
【0050】また、液側連絡配管(17b) の一部を構成する液側付属配管(32)は、一端がフレア加工されて、フレアナットにより液側閉鎖弁(19)に固定されている。そして、液側付属配管(32)は、液側閉鎖弁(19)の中心線上から偏倚するように曲げられて、ガス側付属配管(31)の後方側の位置でケーシング(20)から機外に突出している。
【0051】このように、ガス側付属配管(31)と液側付属配管(32)とは先端部の位置が前後に揃うように配置されている。なお、これらの付属配管(31,32) は、機外に突出した部分が拡径されており、ろう付け継手として用いられる。つまり、この拡径部分に、機外に配設されるガス側連絡配管(17a) と液側連絡配管(17b) の本体部分(各付属配管(31,32) を除いた部分)を差し込んでろう付けすることにより、各連絡配管(17a,17b) を固定できるようになっている。
【0052】<側方引き出し>次に、各連絡配管(17a,17b) をケーシング(20)の側方に引き出す場合、図8に示すように、ガス側付属配管(31)はケーシング(20)内でほぼ真っ直ぐの状態で、この場合の配管孔(H) である側面プレート(22)の開口部(22a) から機外に突出している。また、液側付属配管(32)は、ガス側付属配管(31)の下方に位置するように曲げられて、側面プレート(22)の開口部(22a) から突出している。そして、ガス側付属配管(31)と液側付属配管(32)が側面プレート(22)から突出した先端の拡径部分にガス側連絡配管(17a) と液側連絡配管(17b) の本体部分を差し込んでろう付けすることにより、各連絡配管(17a,17b) が固定されるように構成されている。なお、この図8の例では、前面プレート(21)の開口部(21a) と底面プレート(23)の開口部(23a) が、それぞれ、カバー(26,28) によって閉塞されている。
【0053】<前方引き出し>次に、連絡配管(17a,17b) をケーシング(20)の前方に引き出す場合の構成を図9に示している。この場合、側面プレート(22)の開口部(22a) と底面プレート(23)の開口部(23a) とがカバー(27,28) で閉塞されると共に、前面プレート(21)の開口部(21a) には、配管孔(H) が形成されたカバー(29)が取り付けられている。つまり、この例では、開口部(21a) 自体を配管孔(H) として利用するのでなく、カバー(29)の一部に配管孔(H) を形成している。これは、前面プレート(21)の開口部(21a) を、各閉鎖弁(18,19) への付属配管(31,32) の接続を行うために比較的大きな面積に形成していることから、付属配管(31,32) の周囲に大きな隙間ができるのを防止するためである。
【0054】そして、ガス側付属配管(31)は、ガス側閉鎖弁(18)の中心線上の高さで前面プレート(21)側に湾曲して該前面プレート(21)を貫通し、液側付属配管(32)は、ガス側付属配管(31)の斜め下方となる位置において該前面プレート(21)を貫通している。この場合にも、各付属配管(31,32) の先端部はろう付け継手とするために拡径され、各連絡配管(17a,17b) を差し込んでろう付けすることによって固定できるようになっている。
【0055】なお、この例では、ガス側付属配管(31)を曲げ加工したものとしているが、例えばエルボを用いれば、ガス側閉鎖弁(18)を前面プレート(21)により接近させて配置することが可能となる。
【0056】以上のように、各連絡配管(17a,17b) は、各付属配管(31,32) を用いてケーシング(20)の前面プレート(21)、側面プレート(22)、及び底面プレート(23)の何れか一つから室外ユニット(2) の外に引き出すことができる。したがって、機外の連絡配管(17a,17b) は、室外ユニットの前方、側方、下方のいずれにも容易に配設することが可能である。
【0057】−実施形態の効果−本実施形態によれば、以下のような効果が発揮される。
【0058】まず、上記実施形態では、ガス側閉鎖弁(18)に対して、ガス側連絡配管(17a)の一部であるガス側付属配管(31)をケーシング(20)の側面プレート(22)側から取り付けるようにしている。したがって、ガス側連絡配管(17a) は、図8のように室外ユニット(2) 内で殆ど曲げずに側面プレート(22)から機外へ引き出したり、図7R>7及び図9のように室外ユニット(2) 内で曲げて底面プレート(23)や前面プレート(21)から機外へ引き出したりする形で配設することができる。なお、図7及び図9の例に示すように、液側閉鎖弁(19)をガス側閉鎖弁(18)からずらした位置に配置して、該ガス側閉鎖弁(18)の側方にスペースを確保するようにしているため、ガス側連絡配管(17a) を機内で曲げることも容易である。
【0059】また、液側閉鎖弁(19)をガス側閉鎖弁(18)の配管接続口(18a) 側の側方で該ガス側閉鎖弁(18)よりも上方に配置し、かつ液側連絡配管(17b) 用の配管接続口(19b) がケーシング(20)の底面プレート(23)の方向を向くように下向きに配置している。したがって、液側連絡配管(17b) は、図7に示すようにあまり曲げずに底面プレート(23)から機外へ引き出したり、図8及び図9に示すように直角方向に折り曲げて前面プレート(21)や側面プレート(22)から機外へ引き出したりすることができる。
【0060】以上のように、本実施形態では、各連絡配管(17a,17b) をケーシング(20)の前方、側方、下方へ引き出しやすくなるため、配管施工時の作業性が向上する。また、配管施工の自由度が高くなるため、複数台の室外ユニット(2) を設置する場合に各室外ユニット(2) 間のスペースが狭い場合でも、従来よりも配管施工を容易に行うことができる。
【0061】次に、本実施形態では、液側閉鎖弁(19)がガス側閉鎖弁(18)よりも後方の位置に配置されているため、各連絡配管(17a,17b) を下方や側方へ引き出すときに連絡配管(17a,17b) 同士が当然干渉しない。一方、連絡配管(17a,17b) を前方へ引き出す場合は液側連絡配管(17b) をガス側連絡配管(17a) の下方または上方から(実施形態では下方から)引き出すようにすることにより、連絡配管(17a,17b)同士の干渉を容易に回避できる。
【0062】さらに、ガス側閉鎖弁(18)を前面プレート(21)の近傍で横向きに配置しているため、ガス側連絡配管(17a) をガス側閉鎖弁(18)に取り付ける作業が容易である。そして、大型のガス側閉鎖弁(18)は、一般に開閉操作部(18d) がガス側連絡配管(17a) の配管接続口(18a) とは反対の端部に設けられているため、配管接続口(18a) を前面プレート(21)に向けて配置すると開閉操作部(18d) がケーシング(20)の奥に位置するのに対して、横向きに配置すると該操作部(18d) が前面プレート(21)寄りに位置することになり、開閉操作を容易に行えるようになる。
【0063】また、液側閉鎖弁(19)に関しては、該液側閉鎖弁(19)を下向きに配置しているので、フレアナット(19c) や開閉操作部(19d) をスパナなどの工具で回す際の作業を容易に行うことができる。
【0064】一方、上記実施形態では、ケーシング(20)の前面プレート(21)、側面プレート(22)、及び底面プレート(23)のそれぞれに開口部(21a,22a,23a) を形成して、一つを配管孔(H) として利用すると共に、残りの二つをカバー(26,27,28)で閉塞するようにしている。したがって、連絡配管(17a,17b) の引き出し方向が異なっても別のケーシング(20)を用いる必要がなく、コストを抑えながら、ガス側連絡配管(17a) と液側連絡配管(17b) の引き出し方向の多様化に対応した室外ユニット(2) のケーシング(20)を実用化することができる。
【0065】また、上記実施形態によれば、大型のガス側閉鎖弁(18)を用いる定格能力の大きな空気調和装置の室外ユニット(2) において、該ガス側閉鎖弁(18)をケーシング(20)の底部に強固に固定するという制約の中で、連絡配管(17a,17b) の取り回しに優れた構成を実現できる。
【0066】さらに、上記実施形態によれば、例えば、室外ユニット(2) を設置部分の基礎から少し上に上げて固定することでケーシング(20)の下に空間を設けるとともに、連絡配管(17a,17b) を底面プレート(23)から引き出してその空間から側方へ引き出す構造として、その空間に化粧板を設けて連絡配管(17a,17b) が前面や側面から見えないようすれば、設置後の見映えを良くすることも可能である。
【0067】
【発明のその他の実施の形態】本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0068】例えば、上記実施形態において、配管接続口(18a) にガス側連絡配管(17a) を接続するのに邪魔にならない位置であれば、液側閉鎖弁(19)の向きは変更してもよい。その場合でも、径の大きなガス側連絡配管(17a) をケーシング(20)から3方向に引き出すことは可能であるし、液側連絡配管(17b) は径が細くて比較的任意の方向に引き出しやすいので、ケーシング(20)からの引き出し方向の自由度を従来よりも高めて配管施工時の作業性を改善することは可能である。
【0069】さらに、例えば図7の例では、液側付属配管(32)を若干曲げて機外に引き出しているが、真っ直ぐに引き出せるように各閉鎖弁(18,19) を配置してもよい。このことは、図8の例でガス側付属配管(31)を若干曲げていることについても同様である。
【0070】また、ケーシング(20)に形成される開口部(21a,22a,23a) や、該開口部(21a,22a,23a) によって構成される配管孔(H) の位置や形状は、上記実施形態の例に限らず、適宜変更可能である。
【0071】また、上記実施形態では各閉鎖弁(18,19) をケーシング(20)内の左側前方部分に配置しているが、右側前方部分に配置してもよい。さらに、各連絡配管(17a,17b) は、場合によってはケーシング(20)の背面側に引き出すようにしてもよい。
【0072】また、ガス側連絡配管(17a) と液側連絡配管(17b) は基本的には室外ユニット(2) の機外で並べて配設されるため、通常はケーシング(20)から同じ方向に引き出されるが、場合によっては各連絡配管(17a,17b) をケーシング(20)から異なる方向に引き出すようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る空気調和装置の冷媒回路図である。
【図2】室外ユニットの一部破断正面図である。
【図3】室外ユニットの一部破断平面図である。
【図4】ガス側閉鎖弁と液側閉鎖弁の取付構造を示す拡大正面図である。
【図5】ガス側閉鎖弁と液側閉鎖弁の取付構造を示す拡大平面図である。
【図6】ガス側閉鎖弁と液側閉鎖弁の取付構造を示す拡大左側面図である。
【図7】連絡配管をケーシングの下方から引き出す構造を示す斜視図である。
【図8】連絡配管をケーシングの側方から引き出す構造を示す斜視図である。
【図9】連絡配管をケーシングの前方から引き出す構造を示す斜視図である。
【図10】従来の室外ユニットの一部破断正面図である。
【図11】従来の室外ユニットの一部破断平面図である。
【図12】従来の室外ユニットにおけるガス側閉鎖弁と液側閉鎖弁の取付構造を示す拡大正面図である。
【図13】従来の室外ユニットにおけるガス側閉鎖弁と液側閉鎖弁の取付構造を示す拡大平面図である。
【図14】従来の室外ユニットにおけるガス側閉鎖弁と液側閉鎖弁の取付構造を示す拡大側面図である。
【符号の説明】
(1) 空気調和装置
(2) 室外ユニット
(3) 室内ユニット
(17a) ガス側連絡配管
(17b) 液側連絡配管
(18) ガス側閉鎖弁
(18a) 配管接続口
(19) 液側閉鎖弁
(19b) 配管接続口
(20) ケーシング
(21) 前面プレート
(21a) 開口部
(22) 側面プレート
(22a) 開口部
(23) 底面プレート
(23a) 開口部
(24) ベース部材
(25) ブラケット
(26〜29) カバー
(31) ガス側付属配管(ガス側連絡配管)
(32) 液側付属配管(液側連絡配管)
(H) 配管孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガス側連絡配管(17a) が接続されるガス側閉鎖弁(18)と、液側連絡配管(17b) が接続される液側閉鎖弁(19)とをケーシング(20)内に備えた空気調和装置の室外ユニットであって、ガス側閉鎖弁(18)は、配管接続口(18a) をケーシング(20)の側面プレート(22)の方向に向けて該側面プレート(22)から所定間隔を隔てるように、前面プレート(21)の近傍に配置され、ガス側閉鎖弁(18)は、外径が38.1mm以上のガス側連絡配管(17a) に対応する接続口径を有し、ケーシング(20)の底面プレート(23)に直接またはベース部材(24)を介して固定され、液側閉鎖弁(19)は、ガス側閉鎖弁(18)の配管接続口(18a) 側の側方で該ガス側閉鎖弁(18)よりも上方に配置され、液側閉鎖弁(19)が、ケーシング(20)の前面プレート(21)に対してガス側閉鎖弁(18)よりも後方の位置に配置されている空気調和装置の室外ユニット。
【請求項2】 液側閉鎖弁(19)は、液側連絡配管(17b) を接続する配管接続口(19b) がケーシング(20)の底面プレート(23)の方向を向くように下向きに配置されている請求項1記載の空気調和装置の室外ユニット。
【請求項3】 ケーシング(20)の前面プレート(21)、側面プレート(22)、及び底面プレート(23)の何れか一つに、ガス側連絡配管(17a) と液側連絡配管(17b) が貫通する配管孔(H) が形成されている請求項1または2記載の空気調和装置の室外ユニット。
【請求項4】 ケーシング(20)の前面プレート(21)、側面プレート(22)、及び底面プレート(23)に、それぞれ開口部(21a,22a,23a) が形成され、該開口部(21a,22a,23a) の一つがガス側連絡配管(17a) と液側連絡配管(17b) の貫通する配管孔(H) に用いられる一方、残りの開口部がカバー(26,27,28)により閉鎖されている請求項3記載の空気調和装置の室外ユニット。
【請求項5】 少なくとも圧縮機(11)と室外熱交換器(13)とを備えた室外ユニット(2) と、少なくとも室内熱交換器(16)を備えた室内ユニット(3) とが、ガス側連絡配管(17a) と液側連絡配管(17b) とによって接続された空気調和装置であって、室外ユニット(2) が、請求項1ないし4の何れか1記載の室外ユニットにより構成されている空気調和装置。

【図1】
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【図12】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図14】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【特許番号】特許第3460672号(P3460672)
【登録日】平成15年8月15日(2003.8.15)
【発行日】平成15年10月27日(2003.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−130195(P2000−130195)
【出願日】平成12年4月28日(2000.4.28)
【公開番号】特開2001−311538(P2001−311538A)
【公開日】平成13年11月9日(2001.11.9)
【審査請求日】平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【参考文献】
【文献】特開 平2−106638(JP,A)
【文献】実開 平2−58629(JP,U)
【文献】実開 昭53−104463(JP,U)
【文献】実開 昭64−22929(JP,U)
【文献】実開 昭62−95272(JP,U)